コアストーン(核岩)とは

技術士(応用理学) 横井和夫


 2018年西日本豪雨災害で有名になった地質学用語の一つに「コアストーン(核岩)」と云うものがあります。コアストーンとは花崗岩または花崗岩質岩石特有の風化形態の一つです。まずコアストーンぼ例を見ていきます.。

図-1     これは奈良県柳生地方の、あるダムサイト上流斜面です。この地域は白亜紀末に併入した「柳生花崗岩」と呼ばれる花崗岩が広く分布しています。
 斜面内転がっている岩塊はみんな花崗岩中の核岩が、浸食によって浮き出したものです。この斜面は現在では水没して見ることはできません。
 図-2   上図と同じ柳生花崗岩中の土取り場の様子です。 写真右端の丸い塊が花崗岩の核岩。写真中央下にハンマーで表面を削った跡がありますが、ここでは粗粒花崗岩の組織がそのまま残っているので、核岩の周りの土砂は、花崗岩の風化生成物、いわゆるマサということがわかります。
 
 図-3   これも同じく柳生花崗岩の採石場跡。斜面上部は極度に風化が進んだマサ化帯ですが、その中に固い塊があります。 これも核岩です。
 斜面頂部に核岩が地表露出している様子が見られます。図-1の地表面に転がっているように見える岩塊が、実は核岩であるという証拠です。
 なおこの露頭では、強風化(マサ化)帯の下に、直接未風化塊状の花崗岩(正確には花崗閃緑岩)が現れ、中間部分がありません。これは近畿地方中部に分布する領家型花崗岩の特徴の一つです。

 では一般的な花崗岩の風化形態はどういうものでしょうか?下図は和歌山県熊野町の某砕石場跡の全景です。地質は中新世の熊野酸性岩で、下部に柱状節理が見事に発達していることがわかります。