基礎工法色々

技術士(応用理学) 横井和夫


 

 これは名古屋のリニア新幹線名城立て坑・・・非常口と云われていますが、実態はシールドの発進基地・・・の写真です。どっちみちゼネコン(大林組)のPR写真。たまたまネットを見ていると、この立て坑で湧水が発生し、掘削高50mの半分ぐらいが水没し、ここ数カ月間工事がストップしたという報道があったのでDLしてみました。
 
原因は要するに設計が無能か施工が下手なのです。2年程前、ここから2㎞ほど離れた押切公園内でも、名古屋市上下水道局が施工した下水道立て坑工事で陥没事故を起こしています。また他にも推進工事で陥没をおこしている。名古屋市の地下は地下水位が高く、深部では高い被圧水圧が作用していることを官民共に理解していないようだ。
 写真から判断すると工法は地中連続壁。大林組だから多分OWSだろう。縦型カッターで地盤を溝状に掘削し、その中にRC壁体をつくるものである。既に施工実績も多く成熟した工法である。
 それが何故湧水で止まってしまったのか?多分連壁の先端が不透水層に十分根入れされていなかったか、底盤薬注を怠ったため、地盤のパイイピグを起こしたかです。なおパイピングが起こるかどうかの計算は、地盤の被圧水圧分布を正確に把握しておけば、後は小学生の算数です。
 事前の地盤調査(地下水調査を含む)を十分にやらなかったか、やっても設計・施工の段階でそれを無視したのでしょう。大林組は過去にこんな失敗を何度も経験しているので、やり方は分かっているはずだが何故繰り返すのでしょうか?リストラのやり過ぎでベテランがいなくなり、技術の継承が出来なくなったのでしょう。その代わり女子大生に手を出す技だけは身についた。
 地盤調査などやってもやらなくても施工で全部カバーできるわい、という思い上がりがこういう事故を招いたのです。リニア新幹線は名古屋市内でも大部分はトンネル(シールド工法)で通過するが、発進部でこれでは先が思いやられる。施工業者を変えてはどうか?
 な、対策は通常は坑内に土砂を投入して一旦湧水を抑え、地下水の流れを安定化した上で、薬液注入を行うか、立て坑周辺に深井戸を掘って被圧水圧を低下させて施工に掛かるかです。
(19/03/16)

   大分前から我が家の近所で家の解体・整地工事をやっていたので何かと思っていたら、本日基礎工事が始まりました。CCPによる地盤改良です。マシンはクローラータイプのオーガーモール。
 このあたり軟弱地盤(沖積層)が20~25mほどありますが、地下5~6m程に砂層が分布している。戸建て住宅の場合それを支持層として、鋼管杭とか写真のようなCCPによる改良杭で基礎を作る。昨年の大阪北部地震でもこのあたりで被害が出た例はないので、多分これで大丈夫なのでしょう。
 なお高槻市ではこれが標準工法。地域によってはこれもやらないところが多いのではないか?一戸建てでも、軟弱地盤ではこの程度はやるように。
(19/01/25)
  昨年新名神で起こった橋桁落下事故直後の写真。このほどやっと施工した横河Bの現場所長を在宅起訴。理由は中央の架台基礎の不等沈下と架台の傾斜への対策を怠ったというもの。
 現在の仮設工事では架台には傾斜計が設置され、傾斜は基準値を超えると、コンピューターと連動して警告音が出たりする。それに従ってジャッキを操作して姿勢を修正するのが普通。
 おそらく前日には警告が出ていたのだろう。ところが、桁はすでに併合直前に達しており、工期も迫っているので、「エイこのまま行け「ということになったのだろう。この場面を支配するのは、科学的データではなく、昔ながらの職人的3K(カン、ケイケン、キアイ)である。これではいくら事前に地盤調査をしても、精密な計測を行っても何にもならない。現在テレビで流行っている日本ホメ番組で、やたら職人のカンを持ち上げるのも、この傾向を助長しているのではないか?
(18/07/27)
 
    これはある展示会場に現れたサイレントパイラー。油圧で鋼矢板を圧入する装置。ネット(アホのサンケイ)では、これを国土を守る切り札だと、ベタ褒め。大方メーカーから幾らか貰っているんだろう。
 どんな機械にも適用範囲というものがあって、これも例外ではない。細かい理屈は省略するが、圧入力を大きくしても、地盤の圧入抵抗力がそれ以上あれば、肝心のクイが座屈する。こんな大型機でも、粘性土でN値10以上、砂質土で20から30以上は、施工が著しく困難か無理。抵抗力を弱めようと、振動やジェット噴射などを併用すれば、周辺地盤を緩めてしまう。
 問題は工事を発注する役所がアホで、メーカーの宣伝をそのまま受け取ってしまい、不適格な設計をやってしまうことである。サンケイはまさにその愚行を、自ら行っているのである。
(18/05/15)