《コイズミジュンイチロー他;日本の平和と繁栄は、日米同盟が基軸である》
 これは小泉総理の信念であり、小泉政権及び支持者(特に、山崎、阿部、中西輝正ら日本のネオコンと呼ばれる連中)に共通の認識でしょう。事実、小泉氏はしばしば国会で、その意味の答弁を行っています。テロ特措法やイラク特措法も、その流れで来ているのは顕かです。アメリカにそこまで肩入れして良いんでしょうか。乙女の純情というより、ナントカの深情けのような気がします。
 近世以降の日本の国家経営の歴史は、その時点での世界の最大最強国を手本として国作りを行い、それに習い、結局裏切られて国を滅ぼす、というパターンを繰り返しています。
 江戸時代、日本の知る世界最大最強国は中国です。日本は中国にならって儒教を国家運営の基礎とし、封建の制を定めて安穏に暮らしておりました。日本も鎖国していましたが、中国も鎖国していたのです。ところが、19世紀初め、アヘン戦争で中国が敗れ、開国に踏み切ると、途端に幕府の政策は支離滅裂になります。負ける筈がない中国が、あっさり負けちゃった。手本が無くなったからです。結局維新の混乱を経て、幕府は滅んでしまいました。
 明治政府は、英国を世界最大最強国と見定め、これに習って国づくりを行いました。日英同盟は大成功で、日本を世界の列強に押し上げる原動力になりました。ところが、第一次大戦後、日英同盟は英国から一方的に破棄されてしまいました。日本は再び手本を失ったのです。政策は又々混乱し、三国同盟に至り、結局対英米戦に突入し、国家を破滅させることになったのです。
 そして今又、日米同盟です。アメリカは本当に、信頼出来るパートナーと云えるでしょうか。私は人間としてアメリカ人が信頼出来ないというのじゃない。アメリカという国はそのシステムから政策の変動幅が大きいため、無批判にのめり込むと危険であると云っているのです。
 アメリカ大統領の任期は、憲法上2期8年が限度になります。無論自分の後継者に、自分の政策を受け継がせる事は出来ます。しかしこれに成功したのは、戦後はレーガン+ブッシュ政権だけです。ブッシュは1期4年で終わりました。現在ではもっと難しいでしょう。つまりアメリカの政策は、長くて8年しか持続性がないと云えるのです。その先はどうなるか判りません。事実、かつてのクリントン政権は、中国を戦略的パートナーと呼び、露骨に日本を無視してきました。ところが、ブッシュ政権になると手の平を返したように、中国敵視政策をとり、日本に色目を使うようになったのです。これが1年後には、突然逆になるかもしれないのです。本日03/09/24のアメリカ世論調査では、ブッシュ支持率は41%に低下し、逆に民主党のクラーク氏のそれは49%となっています。来年の大統領選挙ではどうなっているか判りません。
 今、アメリカの最も強力な同盟国は、日本とイギリスと云われます。ワタクシが知っている限り、これまでの政権の中で、日本の対米協調姿勢が、小泉政権より強かったのは無かったのではないか、と思います。何故、アメリカにそこまで肩入れする必要があるのでしょうか。それはアメリカのユニラテラリズムと、北朝鮮問題が挙げられます。日本の保守派と言うか、反動派は何かというと、北朝鮮の驚異を口にしますが、本気でそう信じているのでしょうか。鳥取県は自衛隊と協同で、有事訓練を行い、県選出の石破防衛庁長官はそれを賞賛したらしいが、ワタクシにとっては、彼らの頭の悪さにモノも云えない。北朝鮮軍が鳥取県に上陸しようとするのでしょうか。彼らにそんな能力はありません。北朝鮮がことを起こすなら、対象は間違いなく韓国です。テポドンの話はありますが、あんなものは大したことはない。枯れ尾花です。北朝鮮は最早死に態国家でほっとけば、潰れてしまうのですよ。周りが、ワアワア騒ぐから生き延びるだけなのです。
 アメリカは現在、世界最大の軍事大国です。それが、これからは自分勝手に振る舞うと言いだした。周辺弱小国としては、それにくっついた方が得に決まっています。クラスの中に、力が強く身勝手なボスがいた場合、身の安全を守るためには、それと対立するより、パシリと云われようが、何と云われようが、彼にくっついていた方が安全なのです。ところが、学校には必ず卒業式があります。ボスと別れなければならない時です。この時、クラスの誰かから、報復を喰らうことは、覚悟していなければなりません。ワタクシの中学の頃は、よくそういう騒ぎがありました。かく言うワタクシもそういう奴に、パンチを喰らわしてやったこともあります。
 アメリカ大統領選挙は、当に卒業式に相当するものです。来年の大統領選挙で、仮に民主党のクラーク氏が当選したらどうなるのでしょう。彼はユニラテラリズムを批判し、多国間協調主義を打ち出しています。イラク戦争にも批判的です。従ってネオコンは影響力を失うでしょう。イラク復興は国連主体になり、フランス・ドイツの発言力が増すかもしれません。ブッシュのライス補佐官は、アメリカの提案したイラク援助は、日、英にとって有望な投資だ、とそそのかしていますが、本当にそうなるかどうか判らないのです。
 しかし、小泉、阿部らは冷静な判断を欠いたまま、アメリカの要請に載って突っ走るが、気がついたときには情勢は変わっていた。日本は国際的に孤立し、冷笑を買い、内閣支持率は低下し、小泉らは空しく政権を去る。ワタクシには目に見えます。その時、小泉氏や阿部はどう言い訳するんでしょうねえ。いや、言い訳などせず、「この程度のことは大したことじゃない」と居直ると思います。