ニッポン闇社会の系譜


ホリエ問題と並んで、今の話題の一つに、防衛施設庁官製談合問題があります。連日の報道によると、これは最早談合の域を脱し、官僚による税金の私的流用、つまり背任横領と言って良いレベルのものです。しかし、これはあまり世間の目に触れないのですが、並行して、もう一つの国際官製談合が進んでいます。それは在日米軍のグアム島移転に伴う、9000億円とも云われる日本側負担分です。これの内訳は一切公開されていない。つまり、アメリカ側に「これにこれだけ要る」と云われれば、日本側は無条件に「はいはい」といって払わなければならない、というシステムです。ここに、例えばチェイニー関連ゼネコンが関連しておれば、或いはアメリカゼネコンに日本の商社が関連しておれば、当に巨大な国際談合組織が出来るのです。なお、このような、巨大談合に政治家が、目を付けない訳はありません。なお、日本の防衛施設庁談合でも、談合で浮いた金が、廻り回って、某政党(或いは防衛族議員)に還流されている、というのはよくある構図です。
(06/02/22)
 なお、この種の問題で常に出てくるのが、戦後日本の闇社会の問題です。これについては、かつては松本清張が研究し、最近では立花隆が論究しています。日本の右翼とヤクザが、切っても切れない関係にあるのは、戦前からの伝統です。終戦後GHQは日本右翼社会を根絶するために、これに関係する人間や団体を追放しました。その一人が児玉譽士夫です。ところが、戦後直ぐにヨーロッパで、東西対立という構図が現れ、更に朝鮮戦争の過程で、日本世論の中に左翼的気運が高まるのを恐れて、GHQ内に右派勢力が強くなってきます。彼等が、目を付けたのが、児玉のような右翼ヤクザだったのです。児玉は終戦前は満州浪人として、関東軍や満州国中枢に食い込み、東条英機、岸信介、鮎川義介、萩原吉太郎(元北海道探鉱汽船会長)、河野一郎といった戦中・戦後の人脈を作っていったのです。笹川良一とか、小佐野賢治なんかはその使い走り。以前、大林組に「ナニワの談合王」と呼ばれる、平島渉という専務がいて、これが、関西の公共工事割り振りに、絶大な権力を振るっていた。彼は憲兵の出身で、各社の談合情報だけでなく、スキャンダルやゼネコン幹部・役人の個人情報を調べ尽くしていたため、彼の意向には誰も逆らえなかった、と言われる。ひょっとすると、平島も岸・児玉ラインに繋がっていたのかも知れない。岸の出所によって、これら旧右翼が結集し、彼等が戦後日本の闇世界の元を作った、と云えるでしょう。この流れは、岸の後、弟の佐藤栄作に受け継がれ、更に田中角栄が引き継いだ。しかし、全てではない。半分はライバルの福田にも受け継がれたはず。でなければ小泉(純一郎の父)や、浜幸のようなヤクザが、福田にくっつく筈がないでしょう。そして、この右翼ヤクザの系譜が、今安部晋三という人間に受け継がれようとしているのです。安部の背後にある闇部分・・・安晋会(一説によれば、右翼暴力団団体と密接な関係がある)・・・が、日本を支配しようとしている。それに誰も気が付こうとしていない。
  ・・・・・以上は所謂「風説の流布」です。しかし、ネットなど所詮風説の世界です。風説の中に、意外に真実が隠されていることもあります。
(06/02/22)
 岸信介と云えば、今は懐かしい「M資金」という言葉を思い出します。「M資金」とは、かつて自民党総裁選の度に出たり、消えたりする謎の資金です。これを使った詐欺事件が、自民党総裁選の前に発生する。例えば、狙われるのは内紛を抱えていたり、資金繰りに苦しんでいる企業です。ある日、そういう会社の社長に電話が入る。「無担保の低利融資が出来る。原資はM資金というもので、表に出せないが信用出来る。ついては保証金ン百万を、ここへ振り込んでくれ」。資金繰りに困っていた社長は、藁をもすがる気持ちで、云うがまま保証金を振り込む。ところが何時まで待っても融資が実行されない。不信に思った社長は、相手に電話したが、繋がらない。聞いていた住所に行ってみると、もぬけの空。このM資金を最初に使って、自民党総裁になった人物が、岸信介と云われます。では、「M資金」とは何者でしょうか?これには2説あります。
(1)満州資金説;関東軍の秘密資金(主にアヘン密売利益と云われる金・銀・ダイヤ等)を、終戦時のどさくさに日本に持ち帰り、それを隠匿して保守系政治家の政治資金にしたという説。Mは満州のイニシャル。これを取り仕切っていたのが、児玉譽士夫で、戦後の保守合同もこれを原資とした。
(2)上海原資説;上海を管理していた海軍が、終戦前に隠匿資金(金・銀・ダイヤ等)を日本に持ち帰った、という説。Mはマリーンのイニシャル。これを取り仕切っていたのが、笹川良一で、日本船舶振興会も、これを原資として設立された、という説がある。
 何れにせよ、胡散臭い連中が、廻りに群れているのだ。岸は巣鴨を出所した後、直ちに自由党に復帰。あれよあれよという間に、総裁候補になり、57年には石橋湛山の後を受けて、総理総裁になってしまう。この時の買収資金に使われたのが、M資金だというのが、もっぱらの噂。
 今のところ、ホリエから自民党に金が流れたという確証はありません。しかし、粉飾や、裏資金の海外逃避があったのは事実でしょう。これらが隠匿されると、将来「L資金」などという、怪しげな資金を使った、詐欺事件が起こる可能性はあります。7〜10年くらい先でしょうか。根拠は証券取引法違反の最高刑が、懲役5年だからです。
(06/02/23)


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