ニューヨークの小地震

 横井技術士事務所
 技術士(応用理学) 横井和夫


 今日のWSJに拠れば、最近ニューヨーク周辺で地震(M2.0程度)が頻発している。地質学者の一部は近じか大地震が発生する可能性があると警告している。個人的に云えば、NYの周辺で今後大地震が起こる可能性は殆どないと思う。しかし実際に起こった小規模地震の原因は何かと言われると、ずばりよく判らない。
 M2.0という規模から考えると、核実験でもない限り、トンネル工事のような人工地震は考えられない。NY周辺の地質は先カンブリア紀の花崗岩や片麻岩から出来ているから、シェールガス掘削の影響は考えられない。下図はニューヨーク周辺に分布する片麻岩
の露頭(WSJ)。水平に見える縞模様はこの片麻岩が出来たときの初期構造。原岩が堆積岩であればその層理を、玄武岩のような溶岩なら、その流理構造を示す。縦に入っている割れ目はその後経験した地殻変動によるもの。100万年前からの氷河期に於ける大陸氷床の荷重によるものと思われる。



 一つ考えられるのは地球温暖化でグリーンランドの氷床が薄くなり、地中応力が減少して地殻表層に引っ張り応力が発生した、というモデルである。これもグリーンランドとNYとでは離れすぎているから説得力に欠ける。 もう一つ、確かNY州北部には石灰岩(或いはP-C大理石)が発達しているはずである。石灰岩であれば地下に鍾乳洞が発達している。これが崩壊を起こしたケースも考えられる*。要するに地下の陥没だ。このケースだと地震は説明できるだろう。なおこのケースでは、将来大地震はともかく、大陥没が起こる可能性はある。それが起これば大騒ぎだ。NY州はいずれ地上から消えてなくなる。どっちにしろ、原因は大阪高槻からえは判らない。とりあえず震源地帯にボーリング*
でもやったらどうか、としか云えない。
 では何故アメリカ地質学者が大地震の到来を警告したのでしょうか?ここには09年イタリアラクイア地震のトラウマがあると思います。この地震では、大地震はないと言った地震学者が住民から告発され、一部は逮捕される騒ぎ。アメリカの地質学者の脳にもこれが影響している可能性はあります。その影響は日本の原発活断層にも及んでいます。
*確か数10年ぐらい前に似たような事故があったような記憶がある。
**まずは石灰岩の分布と震源の位置関係をはっきりさせること。石灰岩はカレンフェルドという独特の地形を作る・・・・・少なくとも上の写真の片麻岩とはことなる地形を作る・・・ので、これに着目すればその分布を推定することはそれほど難しくはない。更にレーダースキャナーを組み合わせれば、過去の陥没地点を復元することも可能だろう。

(16/03/04)