16年の災害

 東北地方はもともと台風被害はなく、洪水対策も春の雪解けに伴う河川の増水が主で、台風のような急激な増水には対応できていなかった。その盲点を突いたのが2016年8月台風10号。こんな台風は今後いくらでも発生するでしょう。


 台風16号で鹿児島県垂水市の国道220号にかかる橋が流失しました。両岸とも橋台ごと持っていかれているから、橋台基礎に問題があったことはあきらか。こりゃ大変だ。 この地域の地盤は、霧島火山の火砕流で出来ている。ガサガサなのだ。本来深礎で対応しなくてはならないところを、直接基礎で済ましたとか、そんな原因が疑われます。おそらく上流からの水で、橋台下部の地盤がパイピングを起こしたのでしょう。そうでなければ現実を説明できない。下流に堆積している黒い砂が、その辺を物語っている。
 無論そんなことは表に出せないから、「かってない豪雨のため」とかなんとか理屈をつけてごまかそうとするでしょう。しかし国道橋だから、当然会見検査の対象になる。会検が「はいそうですか」と見逃してくれるでしょうか?誰か犠牲者が出そうな雰囲気です。
(16/09/20)

 16年台風10号は東北地方に甚大な被害をもたらしましたが、写真はその一つ、岩手県岩泉町「龍泉洞」の坑口からの湧水。「龍泉洞」は地下深くにある鍾乳洞。鍾乳洞なら天井は岩でおおわれているはず。それが何故、雨が降ったくらいで水浸しになるのでしょうか?鍾乳洞は石灰岩地帯に特徴的にできます。そして鍾乳洞の上には、必ずドリーネという縦穴ができます。ドリーネは地表まで達しているので、特徴的な陥没地形を作ります。 「龍泉洞」ぐらいになると、ドリーネの数は一つや二つではありません。
 台風10号の雨が、多数のドリーネから一斉に注ぎ込んだので、鍾乳洞が溢れかえったのです。ではこのような湧水を防ぐ方法はないでしょうか?土木工学的には幾つか考えられますが、そもそも 「龍泉洞」は国の特別天然記念物だし、ユネスコの世界自然遺産にも登録されているから、現実には何にも手が付けられない。現状保存しかありません。
(16/09/03)

 昨日のニュースを見ていると、岩手県岩泉町が緊急避難指示をだした。岩泉町が被害をだしたのは、台風10号の所為。しかしこれは先月の話。何故通り過ぎた台風に対し緊急避難を出すのか?これは面妖と思っていたら、台風12号に対するものだったらしい。
 この町長、天気図どころか、日本地図も読めないらしい。おそらく今回の災害で台風という言葉がトラウマとなり、台風と聞けば、それが自分のところにやってくると錯覚する一種の脅迫症状だ。これが進むとうつ状態になる。人間うつ状態になると、見えないものが見えたり、聞こえないものが聞こえたりする。台風進路より、この町長の病状に注意したほうが良いだろう。
 実はこの手の症状、結構身近なところにある。「汚染」と聞いたとたん、何でもかんでも「危険」と勘違いする某朝日新聞とか某都民とか。
(16/09/05)

 地方の災害が起こるたびに繰り返されるのが「情報がキチンと伝達されなかった」「現場の市町村が対応を誤った」というような、責任を下部に転嫁する報道。さて、このような事態が何故起こったか?結論は、事態に対応できる人間がいなかったからである。
 人間はただ頭数さえ揃えば、それでよいというものではない。経験があって判断ができる人間が必要なのである。ところがある時期から、これが極端に減ってしまった。一つは90年代橋本行革である。これで公務員定員法が出来、一番狙われたのが土木系職員。これが第一次リストラ。
 その次がコイズミ内閣による経世会潰し。橋本行革は役人のリストラだったが、コイズミ改革は経世会に繋がる業者まで狙い撃ちにした過酷なもの。従来の防災工事は地方自治体と、地場業者が一体となってやってきた。無論それはとんでもない官民癒着を産み、とんでもない世界を作ったのは事実である。しかしいざとなれば、一体となって対応してきたのも事実である。それが潰れてしまったのだから、地方では災害に対応できる人間がいなくなってしまった。
 それに対し国土交通省河川局が押し付けたのが、マニュアルを作り、河川データを供給することにより、地方がそれに応じた対策を採るべきという、無責任政策。要するにデータを供給し、マニュアルがあるのだから、それを生かせなかったのは、地方の責任だというわけだ。
 しかし、いくら河川データを供給しても、そのデータの意味を読み取る能力がなければ何にもならない。最近の災害を見ていると、特にこの点が強く影響している。その能力を削り取ってきたのがコイズミ改革である。アベ晋三はそのとき官房副長官や自民党幹事長をやって、コイズミ地方首切りを手助けしてきたのである。このように政策によって発生した災害が政災である。
 本省の無責任と、地方の経験不足の複合が今回災害の原因で、まさに人災・政災ある。
(16/09/03)


 昨日台風10号の影響で氾濫した岩手県岩泉町内小本川の空中写真。写真右上丸印が堤防決壊場所。見てわかる通り、小本川の流路は自然の蛇行ではありません。上流側は不自然に直線で、決壊場所は急角度で曲がっている。
 こういう現象は自然状態では起こらない。人工的」な河道の付け替えの結果です。下流になにかグラウンドのようなものが二か所見える。もともとの河道はもっとスムーズだったのが、かつてのふるさと創生でこういう施設を作り、その結果河道を無理やり直線に変更したためとも考えられる。そうだとすればこの災害は人災だ。
(16/09/01) 


本日長崎市で転落した家屋の跡。隣の家も風前の灯。こんなところに家を建てる九州人の勇気というか度胸に感心する。村田秀雄じゃないが、「・・・度胸一代、無法建築」と云ったところか。違法とは言っていません。”無法”なのです。
(16/06/30)