アルゼンチン潜水艦遭難とバミューダトライアングル
横井技術士事務所
技術士(応用理学) 横井和夫


 大西洋上で行方不明となったアルゼンチン海軍潜水艦。最近、不明海域で”爆発音のような音がした”という報道があります。潜水艦が爆発したのか、ほかに爆発物があったのかは不明。潜水艦はドイツ製。頑丈極まりないでしょう。魚雷が爆発したのか?通常、魚雷は分解し戦闘態勢に入った時のみ組み立てる。艦内の爆発はまず考えられない。
 ただし海底からのガスの暴噴なら同じような音を立てても不思議ではない。
(17/11/24)

 数日前からアルゼンチン海軍の潜水艦が大西洋で連絡が取れなくて行方悲鳴になっています。まだ原因は明らかではありません。筆者はこの手の話は嫌いではないので、すぐに口を出したくなる。筆者なりの仮説を述べてみましょう。
1、当該潜水艦は艦齢30年といささかとうが立っているが、頑丈だけが取り柄のドイツ製。ということで性能的には十分成熟しており、いきなりの事故は考え難い。
2、艦内の何らかのトラブルが原因とすれば、その時点で連絡・通報があるはずで、それが何もなかったのは腑に落ちない。
3、外部から何らかの攻撃があったのか?例えば外国艦からの攻撃とか。アルゼンチンは日本と違って中立政策をとっているから、他国に狙われるおそれはない。それに今どき軍艦をいきなり襲う馬鹿な国はない。
 何らかの海底障害物に接触したか?これには海底の山塊への衝突とか海底乱泥流に巻き込まれたかの二通りが考えられる。
 日本近海とか東地中海などは海底地形が複雑なので、航路情報をよく知らない人が艦長だったりするとこういうことになるかもしれない。しかし大西洋の地形はそれほど複雑ではないので、陸地の極端に近づかない限りあり得ない。
 海底乱泥流。これは海流の局所的乱流現象です。海流が突如乱れてそれに巻き込まれるケースです。これには幾つかのケースが考えられます。一つは大きな海底地震で大陸斜面に海底地すべりが生じそれに伴って海水に乱流が発生するケース。しかし連絡が取れなくなった時点ではそのような地震は生じていない。
 次に考えられるのは海底火山の噴出です。火山活動に伴って大量の火山ガスが噴出する。これが海流の乱れを作る。実は大西洋底にも海底火山は見られる(GoogleEarth)。しかし潜水艦がこの海域を通ったかわからないし、もし海底火山火山活動があったなら、例えばUSGSあたりから直ぐに情報がでるはずである。
 そこで筆者が考えたのが有機性ガスによる海底乱流の発生である。大西洋の海底は中央海嶺(MAR)で生産された海洋プレートが大陸側に移動することによって形成されている。この海底地形は必ずしも平坦ではない。大西洋西部ではMARと南米大陸に挟まれて局所的にひずみが発生する。このひずみ帯が凹状になればそこは物質の堆積場であり、短期間で莫大な堆積物が形成される。
 堆積物内の圧力が高くなると、堆積物中の有機物が分解しその過程で有機性ガスが発生する。ガス圧が高くなるとこの圧力によりガスが暴噴を起こす。この暴噴が海上まで達すると「泥火山」という現象になる。これは海面から数100m上空まで泥を巻き上げることがあるらしく、前世紀では7例ぐらい目撃されている。多いのはカリブ海でついでインド洋。ただしこれは航行数が多い海域だけのことで、その他の海域を含めるともっと多いはずだ。つまり地球海洋上どこでも起こっている現象と考えられる。
 無論泥が海面上まで噴き上がらないケースもある。この場合は海面下で大きな乱流を作る。もし潜水艦がこれに巻き込まれたとしたら当然航行能力を失い、外部との連絡も取れなくなるのは容易に想像される。筆者が注目しているのは、こういう現象が例えばバミューダトライアングルとか、日本近海では小笠原沖海域という海域でしばしば目撃される超自然現象の原因の一つではないかということである。
 これら特異海域での目撃証言には「天気は晴天で気象情報にも何ら異常はなかった。しかしいきなり海面が泡立ちはじめ、高波が起こって船をコントロールできなくなった」というタイプが多い。これは海底からのガスの暴噴を考えれば説明可能なのである。
 なお研究者によれば、泥火山は海底の堆積速度が大きい場所が多いといわれる。そういう場所というとまず浮かぶのはプレート沈み込み帯、それから大陸棚中のトラフと呼ばれる堆積盆、大きな河の河口デルタである。大洋底でもまだ知られていないがそういう場所ああってもおかしくない。アルゼンチン潜水艦が消息を絶った場所が具体的に分れば、もっと詳しい話ができるでしょう。
(17/11/19)