やっぱり出てきたアスベスト不法投棄

昨日(08/13)のニュースで、京都府下山中にアスベスト不法投棄が見つかったという報道がありました。解体業の規制を強化しなければアスベストの不法処理が発生する懸念があるということを既に述べています。アスベスト問題が大きくなって、メデイアではよく報道されるが、それはアスベスト撤去までで、後処理については殆ど何もふれられていない。そこでネットでアスベスト関連情報を検索すると、撤去業者のhpは沢山出てきます。しかし、どれを見てもせいぜい「当社は法令を守り、厳重に梱包して最終処分施設に送ります」程度止まり。つまり、最終処分施設でどの様な処分が行われているのかさっぱり判らない。そこで、先々週、以前裁判で面倒を見たことのある滋賀県の某ゼネコンに電話して「お宅はどうしてるンや?」、と聞いたところ「ウチは産廃業者にマニフェストを渡して、あとは業者任せです。一度産廃屋に聞いておきますわ」という返事。そして数日後、電話があって「近畿には2カ所ほど最終処分地があって、産廃業者はそこに持ち込むだけ。後は管理処分です」というのが実態らしい。なんと云うことはない、マスコミは例によって撤去撤去とほえるが、後始末の方法は何も決まっていないと言うのが実状。一犬虚に吠え、万犬これにならう、の例え。これではアスベスト不法投棄が増えるだろうと思っていたら、案の定そのとおりになってしまった。世の中は役人やマスコミが考える以上のスピードで進んでいるのだ。
 アスベストには天然アスベストと合成アスベストがありますが、構造は似たようなものと考えられます。例えば角閃石アスベストはSiO4の二重二員鎖が基本で、これにOH基と各種陽イオンがくっついて様々なバリエーションを作る。 一般化学式は(WX2Y5Z8O22(OH,F)2)のようになります。更にこれにくっつく元素は皆無機塩類です。アスベスト類は概ね800゜C当たりで相転移を起こし、1000数100゜Cで溶融し、冷却過程でガラス繊維が成長する。冷却速度と酸化・還元雰囲気のコントロールがアスベスト合成のポイントのよう。この点から考えると、アスベストの処理はダイオキシンよりは簡単で、何らかの工夫により、無害化は可能と考えられます。他にも大胆なアイデアはありますが、それは企業秘密。
 日本にはアスベスト鉱山はありません(採算に合うほど規模の大きい蛇紋岩体がないため)が、カナダの鉱山の例(TV映像)では、蛇紋岩の割れ目にアスベストが生成している様子が見られます。蛇紋岩でも岩体全部がアスベストに変わるわけではない。割れ目に沿って熱水が浸透し、それの冷却過程でアスベストが生成されたのではないか、と思われます。
 なお、現在のような管理処分では将来的に必ず飛散の危険があります。早急な恒久処理法の確立が必要です。更に処理方法が確立するまで、建物の解体は急ぐべきではない。それにTVでよく見られる、吹きつけアスベストの引き剥がしは工法として不適当ではないか。極端に云えば一時的には、パイプなどサランラップでまいておけばそれで済む。ボードも同様でスプレーでコーテング材を吹き付けておけばよい。今やっている引き剥がし工法は、何か無理矢理危険物をばらまいているような気がするのである。(08/14)


以下は08/14に筆者が知人に送ったメール。
「合成鉱物繊維はもの凄く種類が多く、その全部が判っているわけではないが、その一つの角閃石系石綿合成法では・・・これも沢山方法があるが、出発原料を1000数100゜Cで加熱溶融し、10〜30゜C/hぐらいで冷却すると、繊維が成長するという方法が多いようだ。但し溶融時の酸化・アルカリ雰囲気も、合成に効いてくるようである。蛇紋岩系石綿でも多分似たようなものだと思う。その他の金属繊維合成法でも800〜1000゜Cで熱処理して、繊維を作るというのが一般的らしい。
 だから1000数100゜Cぐらいで溶融した後の冷却方法を工夫すれば、固化体に出来るのではないか、考えているが、どうでしょう?その他角閃石系石綿ではOH基がくっついているので、これが繊維の成長に関係しているかも知れない。OH基を何らかの方法で分解できれば、冷却時の繊維の再合成を防げるかも知れない。」
 
  

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