ゴーンというひびき

 


 アベ晋三「桜を見る会」費用補填事件は予想通り、アベ不起訴・秘書略式起訴で決着。そもそも法律が政治家が責任を免れるために作られているのだから、当たり前と云えば当たり前。しかし世間はこれでは納得しない。おそらく東京都検察審査会は検察に対し強制捜査議決をするだろう。無論これも再捜査の上不起訴となるが、これに1年は引っ張られる。今年秋には嫌でも衆院選。自民党にとっては迷惑な話だ。なおこの件で、首相主催観桜会だの何タラの無意味な行事がなくなれば無意味ではない。
 強制捜査としては、黒川元検事長への「賭博罪」による強制捜査が議決された。賭博罪自身は形式犯で実刑でも大したことはない。まして彼らの掛け金はテンピンというサラリーマン並みの低レート。これで地検は起訴猶予とした。また事件発覚後の某テレビ(BS朝日)番組で、日本マスコミ界のクズ・ゴキブリこと田原総一郎が「あんなものだれでもやってんだ!」と犯罪容認発言。局がテレ朝で、捕まったのに朝日記者がいたから、朝日にヨイショしたのだろう。いかにもマスコミ芸人ヨイショの田原らしい。
 黒川らの犯罪は大したことはないかもしれない。しかし背景にはマスコミと検察のもたれあい、という日本社会のバックボーンを揺るがす問題があるのだ。
 そもそもこの事件はサンケイ記者の自宅に検察の事実上トップである黒川検事長とサンケイ記者2名、朝日記者1名が集まって麻雀をやったというものだ。重要なことはこの麻雀の賭け金のようなつまらないことではなく、そこで何が話し合われたかだ。当時東京地検の重要案件は日産ゴーン事件。
 記者の私宅で現役の検察トップと新聞記者三人が会って、それが只の麻雀であるはずがない。魚心あれば水心。ここでゴーン事件に関する情報のリークがあっても不思議ではない。無論文書ではない。麻雀用語を使った掛詞で、それとなく匂わせる。証拠は残らない。この後、メデイアにはゴーンの逃亡ニュースしか出てこなくなった。
 ゴーン事件の本質は、ニッサン/ルノー提携に危機感を感じた安倍内閣、特に横浜を選挙区とする官房長官の菅と、安定天下り先を失う経産省による謀略である。それに検察が利用されただけなのだ。その中で黒川はこれを自分の出世に利用しようとした。それぞれに共通することは、第二次アベ政権で強まった権力者による公権力の私物化、公共資産の私的利用である。
(20/12/25)

 政府系政策金融銀行が経営危機に陥っているニッサンに1300億円の融資を決定。うち1000億円が政府保障。これが焦げ付けば国民負担になる。こういう重要事項が国会で審議されず官邸の中で決定されている。日産の経営危機は今に始まったことではなく、18年10月の突然のゴーン逮捕から株価の下落が始まり、19年5月の米中貿易危機で更に下落し・・・但しトヨタの株価は跳ね上がり過去最高益を記録した・・・、更に今回のCovid19騒ぎで止めを刺された。累計損失は1兆円に上るというから救いようがない。
 こんな死に体会社に何故救いの手を差し伸べるのか?それは菅ー経産省ーアベラインが陰で動いているからである。まずニッサン本社は横浜、菅義偉の選挙区も横浜。これだけで両者の密な関係が伺われる。菅にとってニッサン票は、その下請け関連企業も含めて極めて重要だ。これを潰すわけにはいかない。まして今や自民党総裁選直下。ニッサン票をつかめば神奈川票は確実だ。
 もう一つ思惑がある。それは先月来の野党、立憲民主党/国民民主党合併問題がある。これを阻止あるいは骨抜きに出来れば、国会での自民優位は動かない。特に旧民社党系民間労組・・・自動車労連、中でもニッサン労組は有力・・・はねらい目だ。つまりニッサンに援助の手を差し伸べれば、国民民主党の労組出身議員を切り崩せる。かくて総裁選での菅優位シナリオ確実なものとなる。ニッサン救済は実は菅の総裁選援護射撃なのである。これこそ彼が云う自助、共助、公助の最たるものだ。
(20/09/08)

 PCが故障して十日ほど入院させていたが、その間にも色々ありました。その第一が例の黒川検事長辞任騒動。発端は週刊文春が、黒川が緊急事態事態発令による集合自粛要請期間中に新聞記者3名と賭け麻雀をやっていたということを報道したこと。その前に検察庁法改正反対ツイッターデモがあり、それに重なったものだから政権もどうにも庇いきれなくなって遂に辞任。
 これだけ見ると大した話しではないようだ。そのためかマスコミ関係者やアベよりの吉本芸人・・・維新の橋下徹とかトミーズ雅など・・・からは、あの程度のレート(テンピン)の麻雀は誰でもやってると黒川援護射撃発言が相次ぐ。中でも滑稽なのは先週のテレ朝BS某時事トーク番組。司会の田原総一郎が、云わなくてもよいのに「あんなものはこれまで誰でもやってきたんだ」とやったものだから、若い女性キャスターから「そんなことして良いんですか?・・・」と畳みかけられると、この耄碌爺さんは答えられずに口をもごもご。恥ずかしいったらありゃしない。要するに田原は「・・・赤信号みんなで渡れば怖くない」レベルの認識なのである。
 田原総一郎のような死にぞこないはどうでも良いが、問題は黒川と卓を囲んだ新聞記者が、サンケイが二名、朝日が一名。そもそもサンケイと朝日は犬猿の仲、互いに相手をけなしあっている。それが検事長を間に仲良く雀卓を囲むというのは、これがタダの仲良し麻雀ではなく、もっときな臭い何かがあるはずだ。ズバリ言えば黒川を介した捜査情報の漏洩である。
 筆者は当初黒川の定年延長問題は河井事件が背景にあると考えていた。しかしその後、実はゴーン事件絡みという説が出てきた。そう考えると、色々なことが納得できるのである。
 ゴーンが逮捕されたのは2018年10月。スクープしたのは朝日で、実況中継したのはテレ朝。これだけでも検察と朝日との癒着が疑われる。これは特捜案件だったが、黒川はこの時法務事務次官。高検を通じて情報を入手できる地位にはあった。
 ゴーン事件の発端はルノーがニッサン・三菱自工との経営統合を画策したことである。ゴーンは当初これに反対したが、18年春になって急に統合賛成に回ったため、焦ったニッサン経営陣が検察にゴーンスキャンダルを垂れ込んだ。これに検察が乗ったわけだが、この事件只の業務上横領だが、それも実行されていない点が多く、本当に立件できるのか怪しい案件だ。それをいきなり検挙に至ったのは何故か?筆者はここに経産省と官房長官の菅の政治的思惑が働いたと考えている。
 まずルノーがニッサンの経営権を握れば、トヨタ、ニッサンの2プラトンシステムで牽引しようとする経産省主導の自動車産業政策が破綻する。あとホンダやスズキでは外国資本に太刀打ちできない。それとニッサンという美味しい天下り先がなくなってしまう。
 菅義偉の現在の選挙区は横浜。横浜と云えばニッサン。ニッサン本体だけでなくその関連企業や下請けを合わせると、全く馬鹿に出来ない。選挙に勝つためにもニッサンとその関連企業、労働者は手放せない。ルノー傘下に入ればそれがどうなるか分からない。つまり経産、菅、ニッサンの三者の利害がゴーン追放で一致したのである。そしてゴーン起訴のカギを握るのは東京地検。サンケイは官邸特に菅と近い。朝日が検察に近い理由はよく分からないが、黒川の大学同期が朝日に居てもおかしくない。黒川と仲良くなっておけば色々とくダネを頂ける。
 世間ではこの事件を単なる賭博罪と見、それに矮小化しようとする傾向が強い。その代表が冒頭に上げた田原総一郎とか、あるいは田崎史郎のような政権に近い保守系ジャーナリスト、更には似たような芸人たち。しかしこの問題をこういう形で終わらせれば、それは日本のジャーナリズムの自殺行為だ。アメリカ人なら黙ってはいないはずだ。
(20/05/31)

 滋賀県湖東病院殺人事件の再審。検察も有罪論告は断念、原告勝利は間違いないと云われる。さてここであきれるのが、再審でなんと189点もの新証拠が現れてきたこと、更にその三割は滋賀県警が検察にも提出していなかったことである。ここで筆者が指摘したいのは、例のニッサンゴーン事件である。ゴーンは日本を脱出した後、メデイアを通じて日本司法を散々批判している。そのポイントは弁護士もつけず100日以上にも及ぶ拘束下での・・・人質司法と呼ばれる・・・取り調べである。こういう強引な取り調べでの供述の任意性・正確性の疑問は昔から指摘されてきた。事実、再審決定後原判決が覆された(冤罪)例も少なくない。
 しかし不思議なことに日本ではこういう強引捜査を肯定する意見も少なくない。例えばゴーン逃亡後、法務大臣の森雅子(あまり頭はよくない)は、日本の司法は世界一厳密だ、と居直った。又辞め検弁護士は真実を追求するためには身柄の長期拘束は必要だ、と主張する。さて、真実の追求と身柄の長期拘束とがどういう相関を持つのか?そもそも裁判に真実が必要なのか?外形的違法行為を認定処分すればそれで済むはずだ。法治国家とはそういうもので、それを踏み外すと、とんでもない情治国家・人治国家になってしまう。しかしその説明は一切ない。要するにこれは日本法学者が勝手に考えた妄想にすぎないのである。
 滋賀県湖東病院事件は、現在の日本司法が抱える病根をあからさまにしたものである。要するに法学部を始めとする文系人間が駄目なのである。直ちに日本の大学から文系学部を追放し、文科省などの文系官庁を廃止すべきである。何故なら文系人間は、脳がないわりに利権に対しては目ざといからだ。
(20/02/04)

 イラン問題と並んで今のマスコミ話題はニッサンvsゴーン問題。メデイアでは日産に買収された評論家や弁護士、マスコミとかアホタレントが、やれ日本の法律を護れとか、逃げたのは自分の罪を認めたからだ、など江戸時代の捕り物帖的発想を垂れ流す。この問題は(1)ゴーンにとって法律とはなにか、(2)日本にとってゴーンとニッサン経営陣のどちらが役に立ったか、の2点で考えるべきです。
(1)ゴーンにとって法律とは何か
 ゴーンの国籍はレバノン人だが人種としてはアラビア人が主。他に様々な血が入っているかもしれない。古来より中東アラビア人生業の主は商業で、古代より東はモンゴル草原、中華大陸から西は北アフリカ、イベリア半島を股にかけて流通業を営んできた。アラビア人の中でもレバノン商人はしたたかで有名だった。
 商売をする以上、その国の王様が作った法律は守らなくてはならない。その法律が自分の商売にプラスになれば守る。しかしマイナスとなればスルーするか逃げ出してしまう。この点が土地に縛り付けられた農耕民との法律に対する考えの違いである。ゴーンが犯した間違いは、日本の政治家に賄賂をばらまかなかったことだけだ。
 昨年ラグビーWCが日本で行われ、思いがけないラグビー人気だ。ラグビーというゲームの特徴の一つに、ややこしいよく分からないルールが多いというのがある。実はこれ、ラグビーがいかに相手と審判を出し抜くかという頭脳ゲームということの証でもある。今でこそ微妙な点ではビデオ判定が持ち込まれたり、主審以外に線審を複数置くなどの措置を執っているが、昔の世界ラグビーはレフェリーさえ見ていなければ何でもありのトンデモゲームだったのだ。つまり世界クラスのラグビー選手は鼻からルールを守る気がない。ところが日本人は自らルールをまもろうとする。だから何時まで経っても勝てなかった。この日本的農耕社会ルールでいえば、ゴーンの国外逃亡はとんでもない話だが、騎馬遊牧社会では当たり前。そんなこともできないようでは男として落第だ、というのが中東ラブ社会の伝統なのである。
(2)日本にとってゴーンとニッサン経営陣のどちらが役に立ったか、
 企業と国家との関係でいえば、収益を上げ・・・株価を上げ・・・税金を沢山納めてくれる会社が良いのに決まっている。つまり株価が上がる会社ほど国家・社会貢献度が高いわけだ。ゴーンがニッサンCEOに就任する前のニッサンの経営はどうだったか?殆ど破綻寸前だったのである。日欧米有力企業はみんなニッサン支援には及び越しだった。そこに食い込んできたのがフランスのルノー。言っておくがルノーだって慈善事業でニッサン救済に乗り込んだわけではない。当時流行のハイリスクハイリターンを狙っていた。つまりニッサンは国際的ハイリスク企業だったのだ。
 その先鋒として乗り込んできたのがゴーン。容赦ないリストラでたちまちニッサン業績はV字回復。この点について先日某BS番組で司会者(多分経済系ジャーナリスト)が2万人のリストラをした所為だ、と云ってゴーンの手腕を否定するような発言をした。おそらくこの司会者はニッサンに買収されているのだろう。2万人のリストラと云っても、大部分は海外法人や系列会社。つまりニッサンはグループ全体で2万人の余計な人間を抱えていたのだ。そこにかかる経費のいくらかが、ニッサン旧経営陣にバックされていたのだ。ゴーンはこの犯罪的企業内癒着構造を断ち切っただけである。日本人はそれが出来なかった、あるいはそれを利用していたのだ。
 18年10月ゴーン追放前のニッサン株価は概ね1100~1200円台を付けていたが、その後はたちまち800~900円台に下落。ニッサン経営陣が主張するゴーンの独裁的経営や会社資産の私物化が本当なら、ここで株価は上がって当然。しかし事実は逆だ。その後検察はニッサンに協力するように再逮捕を繰り返すが、株価はじりじりと下落する一方で、回復しない。とどめは19年5月以降で。ニッサン㈱は600~700円台まで急落。無論これは米中貿易戦争の影響もあるが、この時期トヨタ株は急騰し、昨年トヨタは過去最高益を記録した。これはどういうことか?現在ニッサン株主のおおよそ70%は外人投資家だ。要するにゴーン追放で彼らがニッサンを見放し、トヨタに乗り換えたのだ。
 ゴーンを始めとするレバノン商人が使うのは、古代ローマ時代より全世界に張り巡らした人的ネットワークである。ゴーンはそれを使ってニッサンのV字回復を成し遂げた。ところが何を勘違いしたのか、ニッサン(とその背後にいる人物・権力、大体想像がつくと思いますが、横浜選出の頭が禿げた大物国会議員)は自分達だけやれると思ってゴーンを追放した。つまり自らゴーンのネットワークを断ち切ってしまったのである。その結果、ニッサンは投資家から見放されることになってしまった。ゴーン追放後ニッサンの業績低下は留まることを知らない。当然納税額は減少する。果たしてどちらが」日本という国に貢献してきたか明らかである。
 筆者の見るところここまでニッサンっを貶めた元凶は西川以下、現在のニッサン経営陣である。こういう能無しこそ背任で逮捕すべきだ。なお最近になっていきなり出てきたのが、ルノーの撤退とそれに代わる受け皿としてホンダや鈴木の名が挙がっている。しかしまともな経営者ならこんなボロ会社引き受けない。それにも拘わらずニッサン経営陣はあくまで対等合併を要求する。対等ということは新会社の出資比率は同じ、つまり役員も同数ということだ。この期に及んで未だこんなこと云っているのだから救いようがない。
 この件でアベ晋三が記者団の質問に対し「ニッサンの問題はニッサンで」と答えた。つまりニッサン問題は私は知りませんよ、菅さんちゃんとやってくださいね、ということだ。これに対し菅は昨日記者会見で、「桜を見る会」招待者名簿の内、内閣官房所管部分に違法行為があったと説明。この部分は首相関与部分だ。アベー麻生ー菅という永田町鉄のトライアングルに、遂にひびが入ったかということだ。さて、云うまでもなく2月国会明けは政局。これで解散があるかどうか。
(20/01/16)

 本日は午後からゴーンの記者会見が予定。それに先制パンチを食らわせる形での、妻キャロルへの逮捕状請求。容疑は公判前証人調べでの偽証だ。しかしこの証人調べは1年も前のことで、何を今更だ。公判での偽証ならいざ知らず、検察取り調べの件。しかもこんな罪はせいぜい罰金か禁固二カ月程度の形式犯。しかも執行猶予が付く可能性の方が高い。こんな軽罪を国際指名手配するとは、日本の検察も焼きが回った。
 なぜこんなに大げさに騒ぐ理由は、マスコミの眼をゴーン記者会見からそらそうという魂胆。ゴーンはこの会見で、ニッサンだけでなく政治家の名前も出すといっている。出されては困る政治家がいて、それが法務大臣経由で検察に圧力をかけた、ということだ。
 ではそんなことをする必要があり、且つ出来る政治家と云えば、唯一秋田の禿ネズミ・・・今は横浜選出・・・こと官房長官の菅義偉。これにルノーによる日産吸収を恐れる経産省官僚とニッサン経営陣が加わる。彼らに頼まれてアベが最終指示、てなところだろう。
 そもそもこの事件、にっさんという只の自動車屋のもめごと。会長が会社経費を私的流用しているのなら社内外監査役によって調査し、更に不明な点があれば、その時初めて刑事告発という手順を踏む。ところが本件はそういう手順を無視していきなり検察、それも特捜案件にしてしまった。よっぽどニッサン側に明らかに出来ない後ろ暗いところがあったのだろう。
 それをニッサン経営陣は全てゴーンの所為にした。ではゴーンを追放してニッサンの体質は改まったか?とんでもない、業績は下がる一方。外部から招聘したN03もあきれてこのほど辞職。日本の経済回復の足を引っ張るだけだ。更に経営陣内の内紛は改まらず、ゴーン追放劇の主役だった西川に至っては、ゴーンと同じ手法でオプション報酬を手に入れようとしていたことがばれてクビ。何にも変わっちゃいないのだ。
 それとゴーンは本日記者会見で日本メデイアを排除したが、それはそうだろう。日本のメデイアは自分で取材することもなく、当局の発表を右から左に流すだけ。これじゃ中学校新聞部か放送部と変わらない。こんなアホの取材を受けても時間の無駄ということだ。
 ゴーンは悪党だが、ニッサンは只のアホ。現代国際ビジネスという弱肉強食の砂漠では、悪党は生き残れるがアホは死ぬしかない。今のニッサンの業績を見ればそれは明か。そして今世界経済は90年以来、確実に砂漠化が進んでいるのである。
(20/.01/08)

 トランプによるイラン騒ぎと並んで、年明けマスコミを賑あわせているのがゴーン逃亡劇。これには日本のマスコミや司法関係者は否定的だが、一方のゴーンは意気軒高。一部にはゴーン支持派もいる。両者の違いは何処から来ているのでしょうか?一つは両者の法律に対する価値観の違いがあると思う。日本は法律があればそれを守ろうとする、あるいは法律で特に定めなくても、共同体の共通価値観を重視する。そうしなければ共同体から排除される。
 一方ゴーンのルーツであるアラブのような騎馬遊牧民族では、自らを守ることが第一である。法律が定めていないところがあれば、なんでもありだ。国王が作った法律など、守っている振りだけして基本的には無視する。そうしなければ自分だけでなく一族も死に絶えるからである。自分の身を護るためには法律の抜け穴を探し、それを利用する。法律とは破るために存在するのである。当たり前と云えば当たり前だ。つまり両者の違いは、法律を絶対視するか相対視するかである。
 では世界の潮流から見て、どちらが優位・・・正しいという意味ではない・・・に立っているかというと、明らかに後者である。何故こうなったかというと、一つは80年代から主に西側諸国で始まったグローバル経済。更に90年に始まったソ連・東欧崩壊による社会主義経済の敗北という都市伝説。その結果がGAFAという巨大プラットホーム企業の誕生だ。
 そういう目で見れば、日本マスコミのゴーン批判は時代遅れの気がしてならない。結果として最終的には日本検察の敗北に終わるだろう。
(20/01/06)

 年末にゴーン出国というトンデモ事件。これは金と力とチャンスさえあれば、法律など無視して何でも出来るという時代の到来を意味します。無論その法律など旧世代生物が自分勝手に作った駄文に過ぎないかもしれませんが。ソ連東欧崩壊以来、筆者がかねてから考えている歴史逆転現象から見れば、この事件は当に世界がジャングルのような、何でもあり世界に戻ったということに他なりません。
 しかし現代のゴリラ・・・ゴーンやザッカーバーグ等・・・は既に人類が作ったシステムを上手く使って自分たちのコロニーを拡大しようとしているのです。それに気が付かないのが、旧世代のチンパンジー。アベやトランプがその代表です。
 レバノン出国ということですが、その手順などは何もわかっていない。いきなりレバノン大使館に飛び込んで亡命申請したのかもしれない。レバノン大使館が外交官特権を使ってゴーンを送り出したとすれば、日本側は手出しできない。なんとなく007かミッションインポシブルを思わせる脱出檄でしょう。
 そもそもこの事件、筆者は鼻から官邸・経産省がらみの胡散臭い物件と思っていた。ゴーン亡命で一番慌てているのは、検察ではなく経産省と官邸、中でもアベと菅、それと和泉のような経産省からの出向官僚ではないか?
(19/12/31)

 現代の紀文こと前沢が遂にZOZOを孫に身売り。どっちみちこんなことになるだろうとは思っていたが、もう少し例えば東京五輪位までは持つと思っていた。何故なら多分彼なら菅やアベあるいは世耕あたりにそれなりの工作をしていたはずだからだ。もししていなかったとすれば、とんでもない世間知らずの田舎モンということになる。
 奴のこれまでは例えば江戸時代の紀伊国屋文左衛門だ。マスコミに煽られていい気になって金をばらまいたのもそっくり。紀文は江戸吉原で芸子遊女相手に小判をばらまいたと云われるが、前沢も1億円ボーナスとか結構似たようなことをやっている。
 いずれ彼も社会の記憶から消え去り、「ああーあんな人もおったなあー」で終わるだろう。
(19/09/21)

 日産の西川が辞任しましたが筆者はあんなものだと思っていた。これまで何度も指摘していますが、あんなネズミ男せいぜい姑息な佞臣、常務あたりが限度。正義漢面しているが陰で王に告げ口ばかりして私腹・私権をふやすことばかり考えていた。
 ここで王とは誰か?当たり前ですが、横浜に選挙区を持ち経産省にも影響力が大きい菅義偉のことです。ゴーンを追放したのも王の意向。王を支配するのは皇帝。今の日本で皇帝並みの権力を持っているのは誰か?
(19/09/10)

 川崎逃亡犯は捕まりましたが、この犯人元々相当のワルだったらしく、切れると何をするか分からない、ともっぱらの評判。なんでこんな人物を簡単に保釈してしまったのか?又保釈しても所轄警察が常時監視すべきではなかったのか?
 これに比べ、どう考えても逃亡のおそれがないゴーン・・・や籠池夫妻・・・に対しては、執拗な拘留延期と再逮捕の繰り返し。その背景にあるのは検察に対する官邸の圧力、あるいは官邸に対する検察の忖度。
 それにも拘わらずニッサンの将来は未だ見えない。FCAによる業務提携はとりあえず切り抜けたものの、FCAだってあきらめたわけではない。又他の企業グループが乗り出してくるかもしれない。自分で自分の将来を決められない会社の断末魔。
(19/06/23)

 ゴーンが二度目の保釈で検察の面目は丸つぶれ。その直前にルノーが日産との経営統合前進を表明。元々この事件ゴーンの不正を暴くのではなく、日産・ルノーの経営統合阻止が目的と云う生臭い話。要するに西川他今の日産無能経営陣の延命を諮るためゴーンを陥れた様なものだ。
 検察(背後にあるのは官邸)も巻き込んでゴーン追い出しに成功はしたものの、後から来たルノーの代理人スナール(事実上マクロンの代理人)は、最初こそ柔腰だったが、最近になって経営統合を示唆する発言。
 こんなはずじゃなかったが、これに追い打ちをかけるのが、最近のニッサンの営業不振。ゴーンの他達か。このままいけばゴーン無罪もありうる。まさかゴーン復帰はないだろうが、経営統合はありうる。現在アベは欧州に行っている。ここで当然マクロンとニッサン問題について話し合うはずだが、果たしてどういう結果になるのか、興味深々。夏には参院選がある。それまでにこの問題を日本有利な形で収めておかなければ、支持率にも影響する。
(19/04/26)

 ゴーン4度目の逮捕。これも何故逮捕されるのかさっぱり分からない。そもそも逮捕とは、容疑者が逃亡あるいは証拠隠滅のおそれがある場合に適用される制度である。ゴーンはその保釈条件から逃亡や証拠隠滅どころか外部の人間とは直接連絡が取れなくなっている。現実には拘置所の独房が自宅に代わって、看守が弁護士に代わっただけだ。
 今回はオマーンの代理人へのニッサン資産不正支出らしいが、この捜査なら現状では在宅で取り調べても構わない。オマーン資金から国際マネーロンダリング捜査に入るという説もある。筆者はゴーンが国際マネロンに手を染めていないとは思っていないが、これは相手がいなくては出来ない。
 筆者は元々この事件はその線ではないかと思っていたのだが、蓋を開ければニッサン社内のゴミ事件ばかり。最初の逮捕から既に4カ月が経過している。本当にマネロンをやっていれば、その証拠はとっくの昔に何処かに消えている。やることが遅すぎる。ということはマネロンは逮捕理由の本命ではなく、何となく検察のメンツ、組織防衛のためのようなものに思えてしまう。おそらく11日に予定されているゴーン記者会見を阻止のための口封じだろう。
 検察は逮捕して100日以上かかってもゴーンを落とせなかった。大恥だ。それも国内だけでなく海外でも批判的に報道されたからメンツは丸つぶれ。このままいけば、ゴーンは無罪、特捜部長はクビ、特捜部は組織改編てなことになりかねない。それはいかん、ということで最後のバクチに出たのだろう。
 そもそもこの事件、ゴーンが仮に有罪となってもせいぜい禁固3~4年、罰金ン億円・・・罰金が付いても既に保釈金で担保されている・・・ということだろうが、そのために掛かった捜査費用を考えればコスパが悪すぎる。有罪の根拠はニッサンに与えた損害だが、今のところ100億円ぐらいで、そのうち半分は将来払いますよという約束に過ぎない。
 この間ゴーンでニッサンが稼いだ利益と比較すれば問題にならない。もし23年前日産自動車がルノーの支援を受けられず、ゴーンが来なかったら、日産は潰れていたのだ。西川他ニッサン経営陣はゴーンを非難するが、彼がこなければ自分たちは露頭に迷っていたのだ。こういう無能経営者がこれまでの日本の経済的劣化を作ってきたのである。無能日本人経営者こそ去れだ。
(19/04/04)

 アメリカ証券取引委員会が日産問題について調査に入った。無論現在国際的話題のゴーン闇給与問題が大きなテーマになるだろう。しかし問題はそれだけではない。
 そもそも証券取引委員会や取引所の役割は、投資家に安心して投資活動をする場を提供することである。要はゴーンの闇給与を10数年に渉って放置してきた日産に、ガバナンス始め投資適格性があるかどうかが問題なのである。今回の調査はその点を明らかにすることが目的だろう。その結果は当然投資格付けや株価に反映される、西川らこれまでの日産経営陣にとって、ハラハラドキドキする展開だろう。
(19/01/29)

 フランス政府がルノー、日産の経営統合(アライアンス)を要求していたことが分かった。これが今回のゴーン事件の本質です。この問題、ゴーンは元々これに反対していた。理由は自分の行動にフランス政府から一々注文を付けられるのを嫌ったのだろう。
 もし貴方がある企業のオーナーだったとして、(A)腹黒で裏で何をやっているか分からないところはあるが、能力はある。確実に儲けてくれる。(B)律儀で誠実そうに見え、口もうまい。しかし能力に欠ける。従業員、下請けの評価はイマイチ。という二人の人物の内、どちらに経営を任せますか?
(19/01/21) 

 昨日保釈決定かと思われたが、今朝になるといきなり再逮捕。云わずとしれたゴーン事件。実のところ、検察は相当追い込まれているとみられる。再逮捕理由はこれまでの有価証券報告者虚偽記載ではなく、特別背任。リーマンショック時にゴーンが個人投資で被った損害を日産に付け替えたことが背任にあたるというわけだ。
 しかし真の背任はゴーンではなく、彼の強引要求をやすやすと受け入れた日産経営陣ではないか。この点に関し現日産経営陣は「個人に権力が集中した結果だ」とまるで他人事扱い。個人に権力を集中させたのは誰か?日産経営陣にはその反省が微塵も見えない。
 企業というものは常にあらゆるところからの要求にさらされる。中にはとんでもない不条理要求もある。筆者もかつて道路の計画・設計に数多く参加してきたが、中には田舎のオッちゃんが、家をどくのは嫌だと云って、それを担当の役人が説得できず、無理な計画を採用し、その結果施工後のり面が動き出して、対策にン億円以上かかったことがある。
 つまり周囲からの様々な要求をはねのけ、会社を守るのが経営者の役割である。日産経営陣はそれが出来ず、やらないことが日産の企業文化なのである。だから本来は企業内で防止しなければならないことを結局司直のてに委ねざるをえなくなったのである。
 それはともかく、何故検察はゴーン逮捕にこだわるのか?それは検察にとって、ゴーンに出られては困ることがあるからだろう。
1、検察のメンツ;この事件のキーワードに「司法取引」というものがある。これは今年6月に施行され、本件が2例目と云われる。1例目はあまり大した事件ではなかったのだろう。殆ど記憶に残っていない。それに比べ今回はおおものだ。これを立件できれば検察としては大手柄。これからもどんどんこの手を使える。しかし失敗すれば司法取引への信頼度が失われる。それではイカンなんとかせねば、というわけで意地でも勾留を伸ばす。
2、外部圧力;これ結構根強い見方である。ゴーン逮捕直後から囁かれていたクーデター説。原因はルノーによる日産吸収計画。これはフランス政府主導。ゴーンは従来これに反対していたが、最近になって一体化に前向きになった。これに危機感を感じた日産幹部が検察を巻き込んで行ったクーデターが本件の真実だというもの。一種の陰謀論に近いものがあるが、現在の日本政治の状況を見れば、あながちフェイクともいえない。
 推理小説解読のセオリーに「犯人はその事件で最も利益を売るもの」というのがある。本件をひとつの推理小説ネタと考えれば、一体誰が最も利益を得るのか?それは経産省官僚です。
 まずルノー/日産経営統合で自分の地位に危機感を感じた日産経営陣が、経産省に問題を持ち込む。いずれ日産を自分達の安定利権・・・つまり天下り先に・・・と思っていた経産官僚がこれを官邸に持ち込む。現在のアベ官邸の最大勢力は経産省である。等のアベ本人が神戸製鋼出身で、ジジイの岸信介以来、立派な経産族議員。ほかならぬ経産省の頼みであれば聞いてやらねばならぬ・・・ここが側近・身内に弱いアベの性癖・・・というわけで何とかしろと指示を出す。官邸の意向を忖度した法務省は検察に圧力をかけ、ゴーン逮捕の筋書きを作った。法務大臣は検事総長を指揮できる。逆の指揮権発動だ。従って簡単にゴーン保釈というわけには金井のである。筆者は別にゴーンの肩を持つわけでも、ゴーンが善人とも思っていないが、それに対する日産の提灯持ちをするマスコミ、検察があまりにもお粗末なのが目に余るのである。
 そもそも日産の西川という人物、如何にも正義の味方面しているが、実際は20数年前の日産危機の時には社長秘書室長。立派な戦犯である。それ以来ひたすらゴーンに忠誠を誓ってきた。それを自分の地位が危うくなるとみるやいきなりの裏切り。顔もそうだが、性格もまるっきり”イタチ”野郎だ。
 こんなことで、日産の経営が現在のボンクラ経営陣に握られ、おまけに経産省が口出ししてくるようになれば、23年前のチョンボの再演だ。そうなったら、誰も助けてくれないぞ。日産はバラバラに解体されて投げ売りだ。
(18/12/22)

 フランスのマクロンがアベに会見を申し込んだことで、ゴーン事件は妙な方向に動きだしそうです。筆者は当初この事件をゴーンを突破口にして国際マネーロンダリング疑惑を暴こうとしたのではないか、と思っていたのだが、事件発覚後2週間を経って、でてきたのはゴーンのごみのような金銭スキャンダルだけ。
 おまけにその間でてきたのが、ルノーと日産との合併話。要するにニッサンがルノーとの合併に反対し、現在のルノー/日産の不平等状態を是正することが目的だったというのだ。いくら日産が否定しても、これはまるっきりの社内クーデター、御家騒動だ。そんなものに検察と、なぜか朝日を巻き込むことに、なにか背景に不純なものを感じざるを得ない。
 ルノー/日産合併反対とか、持ち株比率の見直しというのはビジネスの問題だから、それは取締役会なり両者協議で議論すれば良い。ゴーンの金銭スキャンダルは別に刑事告発するなり、これを根拠にゴーン退陣を求めればそれでよい。何故ゴーンの帰国を待って、それも朝日だけに報せて、逮捕劇を演出したのか?ゴーンの逃亡を防ぐためというが、仮に逃亡しても容疑が確実なら、国際指名手配すればよいのである。何から何まで芝居がかっている。
 評論家の古賀茂明説によれば、背景に秋田のはげねずみ菅義偉の指示があったという。もしこれが真実なら、ゴーンどころか日産/日本政府スキャンダルになる。日仏関係は取り返しのつかないことになる。策士・・・菅本人は策士と自惚れているだろうが、あいつの策などお粗末でみんなお見通しだ・・・策に溺れる例である。
(18/11/30)

 ゴーン失脚でとうとう出てきた西川後継会長案。最悪の選定だ。西川は経産省のロボットだ。今後のニッサンの経営は事実上経産省の言いなり。但しルノーは持ち株を手放さないから現実には経営は行き詰まる。悪夢の再現だ。さてニッサン株の動きはどうか?
 もしニッサンがルノーから独立したければ、ルノー持ち株を買い戻すか、ルノー比率を25%以下になるよう、第三者割当増資をするか、である。現在のルノー比率は43%だから、これを25%以下にしようとすると、資本金を今の1.8倍ぐらいにしなければならない。相当の巨額だ。楽にン千億になる。これを誰が引き受けるかが課題。政府が引き受ければ、ニッサンは国営企業だ。経産官僚にとっては、安定天下り先が確保出来るので美味しい話だが。
(18/11/27)

 連日のゴーン報道で、マスコミを賑わせているのがゴーンの公私混同とされる日産資産の私的流用。世界各地の豪邸の購入に始まって、家族旅行費用や姉へのアドバイザー料、果ては日産GTーRの無償供与まで、この先何が出てくるのか分からない。しかしこれらの情報、全てニッサンか検察からの垂れ流し。メデイアが独自で調査したり、裏を執ったものは一つもない。
 これらの物件が全てゴーンからの要求であればゴーンの背任となるが、そうではなくニッサン側から・・・例えばゴーンの覚えをめでたくするために・・・の供与であれば話は違ってくる。仮にゴーンの要求であっても、それに唯々諾々と従ったのでは、ニッサン側も同罪に問われる。つまり共謀である。
 世間では司法取引したのだからニッサン善玉、ゴーン悪玉と勘違いしているのがいるみたいだが、それは大間違い。司法取引をするということは、自分も犯罪に手を染めていたということを認めていることなのだ。単に先に犯罪を吐いたから、多少は大目に見てやろうということで、これで罪が消えたわけではない。
 司法取引の対象は刑事犯だけで民事は別だ。ニッサン経営者もゴーンの資産流用を永年に渡って見逃し、ニッサンに損害を与えた罪は同じである。当然株主代表訴訟となり、経営者・管理者責任を問われることになる。西川他経営陣は潔く表から去ってけじめをつけるべきである。ほおっておくと、ニッサンの経営に経産省が干渉してくる可能性がある。
 なお、この事件の背景のルノー/ニッサン経営統合を防ぐために、国(経産省や政治家)が関与したという説がある。もしそうだとすると、これは単なるビジネスや企業ガバナンスの問題に留まらず、日仏外交問題に発展しかねない。まともな政治家なら、そんなやばい橋は渡らないだろう。ところが今の政治家は何も考えずに、そういうことをやるのがいる。
 さてニッサン/ルノーの今後の関係だが、フランス政府は現状維持を望んでいる。一方ニッサンや日本側にはルノーからの独立を望む声がある。この声は多分今後大きくなるだろう。しかし気持ちは分からないではないが、もしニッサンがルノーから離れれば、ニッサンは経産省の食い物としてOBの天下り先になり、かつての経営破綻を又繰り返すだろう。少なくともルノー傘下にいればその恐れはない。つまり現状維持がベターである。後継者は役人の天下りでさえなければ誰でもよい。
(18/11/26)

 昨日テレビで、ベイルートのゴーン屋敷が紹介されていた。説明によると、まず7億円が仲介者に支払われ、次いで改装に数億円を要したたという。ところが、この家、以前は廃墟同然だったという。又、改装後の内装も数億もかけたようには見えない。廃墟同然の家を買うのに10億も払う馬鹿がどこにいるでしょうか?この家の価値はせいぜい1億。残りは誰かのポケットに入ったと考えるのが当たり前。フランス人だってその程度のことは分かるでしょう。
 なお別サイトにブラジル物件の写真がありましたが、見たところただの中古ビル。これも10億出して買ったんでしょうか?これも1億しない物件だ。だからマスコミが取り上げるゴーン豪邸自身怪しいもので、これがマネーロンダリングに使われた可能性がある。また、その金を日産が負担していたとすれば、特別背任横領ということになる。
(18/11/25)

ー訳知り解説者の訳の分からない解説ー
 今回のゴーン逮捕劇でさっそく出てきたのがクーデター説。これは事件発覚後1、2日後何処かのネットに誰かが投降したのが、たちまち拡散し、今やヨーロッパ中に広まってしまった。それだけではなく、最近では「陰謀説」まで出てきた。何故こうなるかというと、クーデター論者はビジネスとガバナンスを取り違えているかゴッチャにしているからだ。クーデター説の論拠は、ルノー、日産の経営統合計画で、これはフランス政府が推し進め、ゴーンも当初は否定していたが最近は態度を明らかにしなくなり、それに危機感を感じたニッサン側役員がゴーン追い落としを諮ったというものである。
 経営統合が是か非かはビジネスの問題である。これが両者にとって有益なものなら推進すればよいし、どちらかが一方的不利益を強制されるのなら、法的手段に訴えればよい。ルノーのバックにフランス政府がついているのなら、日産側には日本政府が対応すればよい。独禁法でも何でも使って阻止できるだろう。それが駄目なら外交問題だ。いずれにしても検察がタッチすべき事案ではない。
 現在検察が捜査しているのは、日産の有価証券取引法違反容疑とゴーンによる日産資産の私的流用である。これは企業ガバナンスの問題であって、経営統合というビジネス問題とは分けて考えなくてはならない。なお所得隠しは所得税法違反だが、これは個人問題。50億とも80億との云われる闇給与について、あるフランス紙が、「こんなことを問題にするようでは、日本は今後才能ある人物を手にいれられない」と報じたが、さてゴーンにどんな才能があったのか?単に強引で欲張りだっただけではないか?という感がある。彼がやったのは強引なコストカット。要するに下請け単価を叩き、従業員の首を切っただけだ。これだけなら誰でも出来る。
 ゴーン以前は日産経営陣が酷すぎたのである。経営者は勲章狙いで経営より財界活動にい精を出し、そのためろうづ組合やファミリー企業、下請け会社と癒着し、これらが一緒になって寄ってたかって日産を食い物にしてきたのである*。
 ゴーンが報酬の公開を10億前後に抑えたのは、誰かが日本では10億円以上の報酬だと社会的批判を受けると囁いたからと云われる。囁いたのが誰か分からないが、テレビその他のメデイアの報道では、「こんな巨額の給料をもらっておいて」とか「日本人の感覚には合わない」なんてコメントが現れる。こんなことを言う人間の感覚がわからない。こういう人達は、いまだにニッサンが日本企業と思っているのだ。
 現在のニッサンの最大株主はルノーで43%の株式を所有している。その他の外人投資家分を含めると、おそらくニッサン株主の6割超は外人ということだ。つまりニッサンはいまや日本企業ではなくグローバル企業なのである。実際テレビによく出るニッサン本社の壁には、GLOBAL HEADQUATERとある。グローバル企業のトップなら、年俸20億、30億でも構わない。但しグローバル企業だからこそ報酬はじめ金の流れは透明でなければならない。これが企業ガバナンスなのである。高級住宅購入他の公私混同などは、21世紀のグローバル企業というより、昭和の田舎会社のやることだ。
 ゴーンは初めからか、ある時からか分からないが、自らこのガバナンスを踏み外してしまった。トップの報酬が不明であれば、投資家は他にも誤魔化しがあるのではないかと疑ってしまう。それは株価の下落やひいては企業スキャンダルに繋がり、企業価値を棄損してしまうのである。ゴーンの罪はまさにここにある。
*これの最大の例が旧国鉄である。国鉄の場合、労働組合やファミリー企業だけでなく運輸族議員や運輸官僚まで加わっていたのだから、余計性質が悪い。
(18/11/23)

 ゴーン事件の最大の謎は、50億・・・今では80億という説も出てきている・・・の闇給与の行方です。テレビのワイドショーでは、これが海外豪邸の購入資金に充てられた、などという話が流れていますが、これだから貧乏人はは困る。芸人というのは、サラリーマン生活をやったことのない零細自営業者の集まりだから、世の中の仕組みが分かっていないのだろう。
 海外住宅購入にゴーンはびた一文払っていない。みんなニッサンかその関連会社が費用を負担している。問題はこれらの住宅の登記が誰のものになっているかだ。例えばニッサン(もしくはその関連会社)が購入しておれば、それはその会社の資産となる。しかしそれを転売転売を繰り返せば、ゴーンのものになっているかもしれない。
 では闇給与はどういう形で支払われたのか?これにはいくつかの方法がある。一番単純なものは、下請け会社に水増し請求をさせ、差額を何処かに隠すという手である。これは使い古された方法であまり面白くない。
 モウチョットと複雑になると、関連会社の未公開株を第三者経由で譲渡するというものである。これはかつてリクルート事件で使われた。
 現在では海外法人やタックスヘイヴンを使ってもっと複雑にやるだろう。例えば海外法人(営業拠点や生産拠点)に裏金を作らせ、ケイマン諸島あたりに秘密口座を作って振り込ませる。日産ともなれば海外法人も多数に上る。これらを使ってマネーロンダリングをやれば、金の流れは分からなくなる。ゴーンの相棒、グレッグ・ケリーはそのために雇われたのだろう。つまりこの事件、ゴンとケリーの二人三脚で企められたものだ。
(18/11/21)

 驚天動地のカルロスゴーン逮捕だが、容疑と照らし合わせると色々不可解な点がある。果たして検察の真の狙いは何であったのだろうか?今のところ明らかな事実は1)実質100億円の役員報酬を50億円とした有価証券取引法違反(有価証券報告書虚偽記載)、2)所得税法違反(脱税)だが、その他ニッサン本体から3)重大な不正行為(日産資産の不正流用等)が挙げられている。ここで通常1)は金融庁又は証券取引所の調査、2は)国税庁の調査を経て、事が悪質と認められる場合に初めて検察に告発する性質のものである。3)はむしろ警察ではないか?
 ところが今回はこれら中間を飛び越えて、いきなり検察に告発し、検察もゴーン逮捕に踏み切った。しかも逮捕の様子は、ゴーンが帰国するのを待ち伏せしたかのように逃げられないよう仕組み、且つニッサン本社・ゴーン自宅を同時に一斉捜査に入っている。上で挙げた事犯は、云ってみれば形式犯で、昔なら追徴課税とか、罰金程度で済んだ。最近厳しくなったとはいえ、検察官・職員が数10人懸かりでやるようなものではない。
 そして興味があるのが今回のゴーン逮捕には、ニッサン内部からの内部通報で、しかも通報者と検察との間には司法取引があったというのである。この制度は本年6月から導入されたものだが、本来の主旨は、国際金融犯罪をあぶりだすことが目的なのである。
 以上のことを考えると、今回のゴーン逮捕は単純な虚偽記載とか脱税あるいはニッサン資産(世界各地にある高級住宅)の私的流用などという些末なものではなく、もっと大きな犯罪摘発をターゲットにしたものと考えられる。
 今回の事件で最大の疑問は、誤魔化した金は何処へ行ったのか?である。ゴーンが誤魔化したとされるのはたったの50億・・・数1000億に上るニッサンの業務純利益に比べれば・・・だが、これは5年間だけのもので、不明のものを含めるともっと巨額に上ると考えて当然である。この金がどこへ行ったのか?その鍵を握る人物が、ゴーンと同時に逮捕されたグレッグ・ケリーというアメリカ人代表取締役である。
 彼は元々弁護士で、20年ぐらい前にニッサン北米に入社し、ゴーンに認められて現職についた。ずばり言えば、自動車の作り方はシロートだが、脱税とマネーロンダリングのプロだ。行方不明になった50億円は、彼の手によって例えばケイマン諸島などのタックスヘイヴンや仮想通過市場を通じてロンダリングされ、闇の金融市場に流れていったと考えれば、検察がこれだけの捜査態勢を敷いた理由はよく分かる。
 なお、逮捕劇の背景をニッサン内部のゴーン追い落としの陰謀とか、経産省の要求という向きもあるが、馬鹿げている。ニッサンのゴーン追い落とし陰謀などニッサン内部のお家騒動で、そんなものに検察が手を貸すわけがない。経産省の陰謀も同じで、いくら経産省があれこれ言っても、検察庁は法務省の管轄。経産省のいうことをハイハイ聞くわけがない。
 つまり、今回の逮捕劇、検察にとってゴーンはただの囮で、彼を突破口として内外富裕層の不正・・・例えば莫大な収入があるにも関わらず税金を殆ど払っていない孫正義とか、ドナルドトランプもその一人だ・・・を暴こうとしているのではないか。そうされて困るのは国内外に大勢いる。今回の逮捕劇を、クーデターだとかゴーン追い落としの陰謀だとかと、ゴーン擁護意見がでてくるのはその所為だろう。マクロンが慌てて声明を出したのも、それがあるのではないか?
(18/11/20)