ゴーンというひびき

 


 フランスのマクロンがアベに会見を申し込んだことで、ゴーン事件は妙な方向に動きだしそうです。筆者は当初この事件をゴーンを突破口にして国際マネーロンダリング疑惑を暴こうとしたのではないか、と思っていたのだが、事件発覚後2週間を経って、でてきたのはゴーンのごみのような金銭スキャンダルだけ。
 おまけにその間でてきたのが、ルノーと日産との合併話。要するにニッサンがルノーとの合併に反対し、現在のルノー/日産の不平等状態を是正することが目的だったというのだ。いくら日産が否定しても、これはまるっきりの社内クーデター、御家騒動だ。そんなものに検察と、なぜか朝日を巻き込むことに、なにか背景に不純なものを感じざるを得ない。
 ルノー/日産合併反対とか、持ち株比率の見直しというのはビジネスの問題だから、それは取締役会なり両者協議で議論すれば良い。ゴーンの金銭スキャンダルは別に刑事告発するなり、これを根拠にゴーン退陣を求めればそれでよい。何故ゴーンの帰国を待って、それも朝日だけに報せて、逮捕劇を演出したのか?ゴーンの逃亡を防ぐためというが、仮に逃亡しても容疑が確実なら、国際指名手配すればよいのである。何から何まで芝居がかっている。
 評論家の古賀茂明説によれば、背景に秋田のはげねずみ菅義偉の指示があったという。もしこれが真実なら、ゴーンどころか日産/日本政府スキャンダルになる。日仏関係は取り返しのつかないことになる。策士・・・菅本人は策士と自惚れているだろうが、あいつの策などお粗末でみんなお見通しだ・・・策に溺れる例である。
(18/11/30)

 ゴーン失脚でとうとう出てきた西川後継会長案。最悪の選定だ。西川は経産省のロボットだ。今後のニッサンの経営は事実上経産省の言いなり。但しルノーは持ち株を手放さないから現実には経営は行き詰まる。悪夢の再現だ。さてニッサン株の動きはどうか?
 もしニッサンがルノーから独立したければ、ルノー持ち株を買い戻すか、ルノー比率を25%以下になるよう、第三者割当増資をするか、である。現在のルノー比率は43%だから、これを25%以下にしようとすると、資本金を今の1.8倍ぐらいにしなければならない。相当の巨額だ。楽にン千億になる。これを誰が引き受けるかが課題。政府が引き受ければ、ニッサンは国営企業だ。経産官僚にとっては、安定天下り先が確保出来るので美味しい話だが。
(18/11/27)

 連日のゴーン報道で、マスコミを賑わせているのがゴーンの公私混同とされる日産資産の私的流用。世界各地の豪邸の購入に始まって、家族旅行費用や姉へのアドバイザー料、果ては日産GTーRの無償供与まで、この先何が出てくるのか分からない。しかしこれらの情報、全てニッサンか検察からの垂れ流し。メデイアが独自で調査したり、裏を執ったものは一つもない。
 これらの物件が全てゴーンからの要求であればゴーンの背任となるが、そうではなくニッサン側から・・・例えばゴーンの覚えをめでたくするために・・・の供与であれば話は違ってくる。仮にゴーンの要求であっても、それに唯々諾々と従ったのでは、ニッサン側も同罪に問われる。つまり共謀である。
 世間では司法取引したのだからニッサン善玉、ゴーン悪玉と勘違いしているのがいるみたいだが、それは大間違い。司法取引をするということは、自分も犯罪に手を染めていたということを認めていることなのだ。単に先に犯罪を吐いたから、多少は大目に見てやろうということで、これで罪が消えたわけではない。
 司法取引の対象は刑事犯だけで民事は別だ。ニッサン経営者もゴーンの資産流用を永年に渡って見逃し、ニッサンに損害を与えた罪は同じである。当然株主代表訴訟となり、経営者・管理者責任を問われることになる。西川他経営陣は潔く表から去ってけじめをつけるべきである。ほおっておくと、ニッサンの経営に経産省が干渉してくる可能性がある。
 なお、この事件の背景のルノー/ニッサン経営統合を防ぐために、国(経産省や政治家)が関与したという説がある。もしそうだとすると、これは単なるビジネスや企業ガバナンスの問題に留まらず、日仏外交問題に発展しかねない。まともな政治家なら、そんなやばい橋は渡らないだろう。ところが今の政治家は何も考えずに、そういうことをやるのがいる。
 さてニッサン/ルノーの今後の関係だが、フランス政府は現状維持を望んでいる。一方ニッサンや日本側にはルノーからの独立を望む声がある。この声は多分今後大きくなるだろう。しかし気持ちは分からないではないが、もしニッサンがルノーから離れれば、ニッサンは経産省の食い物としてOBの天下り先になり、かつての経営破綻を又繰り返すだろう。少なくともルノー傘下にいればその恐れはない。つまり現状維持がベターである。後継者は役人の天下りでさえなければ誰でもよい。
(18/11/26)

 昨日テレビで、ベイルートのゴーン屋敷が紹介されていた。説明によると、まず7億円が仲介者に支払われ、次いで改装に数億円を要したたという。ところが、この家、以前は廃墟同然だったという。又、改装後の内装も数億もかけたようには見えない。廃墟同然の家を買うのに10億も払う馬鹿がどこにいるでしょうか?この家の価値はせいぜい1億。残りは誰かのポケットに入ったと考えるのが当たり前。フランス人だってその程度のことは分かるでしょう。
 なお別サイトにブラジル物件の写真がありましたが、見たところただの中古ビル。これも10億出して買ったんでしょうか?これも1億しない物件だ。だからマスコミが取り上げるゴーン豪邸自身怪しいもので、これがマネーロンダリングに使われた可能性がある。また、その金を日産が負担していたとすれば、特別背任横領ということになる。
(18/11/25)

ー訳知り解説者の訳の分からない解説ー
 今回のゴーン逮捕劇でさっそく出てきたのがクーデター説。これは事件発覚後1、2日後何処かのネットに誰かが投降したのが、たちまち拡散し、今やヨーロッパ中に広まってしまった。それだけではなく、最近では「陰謀説」まで出てきた。何故こうなるかというと、クーデター論者はビジネスとガバナンスを取り違えているかゴッチャにしているからだ。クーデター説の論拠は、ルノー、日産の経営統合計画で、これはフランス政府が推し進め、ゴーンも当初は否定していたが最近は態度を明らかにしなくなり、それに危機感を感じたニッサン側役員がゴーン追い落としを諮ったというものである。
 経営統合が是か非かはビジネスの問題である。これが両者にとって有益なものなら推進すればよいし、どちらかが一方的不利益を強制されるのなら、法的手段に訴えればよい。ルノーのバックにフランス政府がついているのなら、日産側には日本政府が対応すればよい。独禁法でも何でも使って阻止できるだろう。それが駄目なら外交問題だ。いずれにしても検察がタッチすべき事案ではない。
 現在検察が捜査しているのは、日産の有価証券取引法違反容疑とゴーンによる日産資産の私的流用である。これは企業ガバナンスの問題であって、経営統合というビジネス問題とは分けて考えなくてはならない。なお所得隠しは所得税法違反だが、これは個人問題。50億とも80億との云われる闇給与について、あるフランス紙が、「こんなことを問題にするようでは、日本は今後才能ある人物を手にいれられない」と報じたが、さてゴーンにどんな才能があったのか?単に強引で欲張りだっただけではないか?という感がある。彼がやったのは強引なコストカット。要するに下請け単価を叩き、従業員の首を切っただけだ。これだけなら誰でも出来る。
 ゴーン以前は日産経営陣が酷すぎたのである。経営者は勲章狙いで経営より財界活動にい精を出し、そのためろうづ組合やファミリー企業、下請け会社と癒着し、これらが一緒になって寄ってたかって日産を食い物にしてきたのである*。
 ゴーンが報酬の公開を10億前後に抑えたのは、誰かが日本では10億円以上の報酬だと社会的批判を受けると囁いたからと云われる。囁いたのが誰か分からないが、テレビその他のメデイアの報道では、「こんな巨額の給料をもらっておいて」とか「日本人の感覚には合わない」なんてコメントが現れる。こんなことを言う人間の感覚がわからない。こういう人達は、いまだにニッサンが日本企業と思っているのだ。
 現在のニッサンの最大株主はルノーで43%の株式を所有している。その他の外人投資家分を含めると、おそらくニッサン株主の6割超は外人ということだ。つまりニッサンはいまや日本企業ではなくグローバル企業なのである。実際テレビによく出るニッサン本社の壁には、GLOBAL HEADQUATERとある。グローバル企業のトップなら、年俸20億、30億でも構わない。但しグローバル企業だからこそ報酬はじめ金の流れは透明でなければならない。これが企業ガバナンスなのである。高級住宅購入他の公私混同などは、21世紀のグローバル企業というより、昭和の田舎会社のやることだ。
 ゴーンは初めからか、ある時からか分からないが、自らこのガバナンスを踏み外してしまった。トップの報酬が不明であれば、投資家は他にも誤魔化しがあるのではないかと疑ってしまう。それは株価の下落やひいては企業スキャンダルに繋がり、企業価値を棄損してしまうのである。ゴーンの罪はまさにここにある。
*これの最大の例が旧国鉄である。国鉄の場合、労働組合やファミリー企業だけでなく運輸族議員や運輸官僚まで加わっていたのだから、余計性質が悪い。
(18/11/23)

 ゴーン事件の最大の謎は、50億・・・今では80億という説も出てきている・・・の闇給与の行方です。テレビのワイドショーでは、これが海外豪邸の購入資金に充てられた、などという話が流れていますが、これだから貧乏人はは困る。芸人というのは、サラリーマン生活をやったことのない零細自営業者の集まりだから、世の中の仕組みが分かっていないのだろう。
 海外住宅購入にゴーンはびた一文払っていない。みんなニッサンかその関連会社が費用を負担している。問題はこれらの住宅の登記が誰のものになっているかだ。例えばニッサン(もしくはその関連会社)が購入しておれば、それはその会社の資産となる。しかしそれを転売転売を繰り返せば、ゴーンのものになっているかもしれない。
 では闇給与はどういう形で支払われたのか?これにはいくつかの方法がある。一番単純なものは、下請け会社に水増し請求をさせ、差額を何処かに隠すという手である。これは使い古された方法であまり面白くない。
 モウチョットと複雑になると、関連会社の未公開株を第三者経由で譲渡するというものである。これはかつてリクルート事件で使われた。
 現在では海外法人やタックスヘイヴンを使ってもっと複雑にやるだろう。例えば海外法人(営業拠点や生産拠点)に裏金を作らせ、ケイマン諸島あたりに秘密口座を作って振り込ませる。日産ともなれば海外法人も多数に上る。これらを使ってマネーロンダリングをやれば、金の流れは分からなくなる。ゴーンの相棒、グレッグ・ケリーはそのために雇われたのだろう。つまりこの事件、ゴンとケリーの二人三脚で企められたものだ。
(18/11/21)

 驚天動地のカルロスゴーン逮捕だが、容疑と照らし合わせると色々不可解な点がある。果たして検察の真の狙いは何であったのだろうか?今のところ明らかな事実は1)実質100億円の役員報酬を50億円とした有価証券取引法違反(有価証券報告書虚偽記載)、2)所得税法違反(脱税)だが、その他ニッサン本体から3)重大な不正行為(日産資産の不正流用等)が挙げられている。ここで通常1)は金融庁又は証券取引所の調査、2は)国税庁の調査を経て、事が悪質と認められる場合に初めて検察に告発する性質のものである。3)はむしろ警察ではないか?
 ところが今回はこれら中間を飛び越えて、いきなり検察に告発し、検察もゴーン逮捕に踏み切った。しかも逮捕の様子は、ゴーンが帰国するのを待ち伏せしたかのように逃げられないよう仕組み、且つニッサン本社・ゴーン自宅を同時に一斉捜査に入っている。上で挙げた事犯は、云ってみれば形式犯で、昔なら追徴課税とか、罰金程度で済んだ。最近厳しくなったとはいえ、検察官・職員が数10人懸かりでやるようなものではない。
 そして興味があるのが今回のゴーン逮捕には、ニッサン内部からの内部通報で、しかも通報者と検察との間には司法取引があったというのである。この制度は本年6月から導入されたものだが、本来の主旨は、国際金融犯罪をあぶりだすことが目的なのである。
 以上のことを考えると、今回のゴーン逮捕は単純な虚偽記載とか脱税あるいはニッサン資産(世界各地にある高級住宅)の私的流用などという些末なものではなく、もっと大きな犯罪摘発をターゲットにしたものと考えられる。
 今回の事件で最大の疑問は、誤魔化した金は何処へ行ったのか?である。ゴーンが誤魔化したとされるのはたったの50億・・・数1000億に上るニッサンの業務純利益に比べれば・・・だが、これは5年間だけのもので、不明のものを含めるともっと巨額に上ると考えて当然である。この金がどこへ行ったのか?その鍵を握る人物が、ゴーンと同時に逮捕されたグレッグ・ケリーというアメリカ人代表取締役である。
 彼は元々弁護士で、20年ぐらい前にニッサン北米に入社し、ゴーンに認められて現職についた。ずばり言えば、自動車の作り方はシロートだが、脱税とマネーロンダリングのプロだ。行方不明になった50億円は、彼の手によって例えばケイマン諸島などのタックスヘイヴンや仮想通過市場を通じてロンダリングされ、闇の金融市場に流れていったと考えれば、検察がこれだけの捜査態勢を敷いた理由はよく分かる。
 なお、逮捕劇の背景をニッサン内部のゴーン追い落としの陰謀とか、経産省の要求という向きもあるが、馬鹿げている。
 ニッサンのゴーン追い落とし陰謀などニッサン内部のお家騒動で、そんなものに検察が手を貸すわけがない。経産省の陰謀も同じで、いくら経産省があれこれ言っても、検察庁は法務省の管轄。経産省のいうことをハイハイ聞くわけがない。
 つまり、今回の逮捕劇、検察にとってゴーンはただの囮で、彼を突破口として内外富裕層の不正・・・例えば莫大な収入があるにも関わらず税金を殆ど払っていない孫正義とか、ドナルドトランプもその一人だ・・・を暴こうとしているのではないか。そうされて困るのは国内外に大勢いる。今回の逮捕劇を、クーデターだとかゴーン追い落としの陰謀だとかと、ゴーン擁護意見がでてくるのはその所為だろう。マクロンが慌てて声明を出したのも、それがあるのではないか?
(18/11/20)