中国の問題インフラ


河南省高速道路崩壊事故

 中国河南省でトラックに積んでいた花火が爆発して、高速道路が80mに渉って崩壊(13/02/01)。ところがトラック(20tぐらいはある大型)は原型を留めている (写真はfnn/com)。

 写真をよく見てみましょう。高速道路橋は左右2列あり、左側は柱だけで桁が懸かっていないからまだ建設中なのでしょう。事故が起こったのは右側の橋。その内左半分が崩壊したと思われます。中国当局はしていますが原因はトラックの違法積載と発表していますが、メデイアでは早速橋の手抜きや違法工事を指摘しています。確かに花火の爆発で橋が壊れるのか?橋を壊すような爆発でトラックが形を残すか?など面妖な、と思うがあり得るのです。花火が爆発すると衝撃波が発生し、コンクリートの中に引っ張り応力が生ずる。橋桁の構造がRCなら簡単に破断してしまう。
 なお、下部工は柱を2本立て、横ゲタを渡しただけのパイルベント構造。それも1列に2本だけだから、竹馬のようなもの。桁はその上に載せただけ。こんな不安定な橋に大型車が通れば相当揺れる。耐震性は全くない。あんなのを高速道路と言うのだから、その度胸に恐れ入る。
 日本だけでなく、あの国も古いインフラ対策は大変だ。
(13/02/02)


ハルピンの高架橋倒壊事故

 中国黒竜江省ハルピンで、延長15qの高速道路高架橋の一部が倒壊する事故が発生しました。これについては既に多数のメデイアから報道されていますが、その中から比較的事故の状況をよく伝えられていると思われるCNN.JAPANの写真を使って、事故のメカニズムを探ることにします。

 当該高架橋は事故発生区間では8車線。中央に4車線、両側に2車線がある。これは側道ではないかと思われる。上部工は写真だけではよく分からないが、写真左手前の桁を見ても現場打ちコンクリートではない。おそらくPCプレテン橋だろう。他の写真を総合すると下部工構造は、中央4車線は門形ラーメン、両側側道部はT型橋脚と思われる。今回倒壊したのは側道2車線部である。橋脚をズバリ撮った写真は見つからなかったが、どうも橋脚自身が横方向に座掘した可能性が大。地震もないのに何故そんなことが起こるのか?考えられる原因は次の二つです。
1)橋脚の強度が不足していた。
2)過大な交通荷重が作用した。 

 報道によれば、この高架橋は3年の工期を18ヶ月で完成したらしい。どういう魔術を使えばそんなことが出来るのか不可解千万。中国やアジアの高速道路事業は、原則みんな民営。つまり建設から運営迄をみんな民間企業が請け負う。原資は政府が支出するが、道路会社がそれを担保に民間金融機関から融資を受け、それを使って道路を建設し、料金収入で借金を返済する。それなら、日本の道路公団方式と変わりないと思うだろうが、こちらとの決定的な違いは、こちらは利益を上げなくても良いが、あちらは利益を上げなくてはならないことである。しかも結構高利の金が入っているので目標利益も半端じゃない。日本の旧道路公団のような殿様商売ではやってられないのだ。
 こういう場合、工期短縮は莫大な利益を得る。最大のメリットは支払い金利の縮減である。そこで様々な手法が採られたのだろう。詳しくは写真だけでは判らない。鉄筋を減らす、コンクリート骨材を減らす、養生期間を減らす、てなところは初歩的手口で、それだけで工期を半分に出来るとは到底思えない。革命的*あっと驚く手口があったのだろう。それと、道路会社と監督する政府機関はほぼ一体化しているから、会社が得られた利益は政府機関並びにそれを統制する共産党幹部に環流される。従ってなんでもかんでもやりたい放題。良い世界だねえ。
 道路に働く過大荷重。これの原因は過積載です。過大荷重が作用すると、下部工に設計以上のモーメントが働く。特に本区間のようなT型橋脚では特に不利になる。今、中国企業のロシア極東部への進出が盛んになっている。その結果、中国車の過積載が発生する。これはロシア経済を活性化させているように見えるが、実際は中国によるロシア経済浸食である。現実は物価を上げ、ロシア人失業者を増やし、ロシア人社会を分断している。これに対し、メドベージェフやプーチンらロシア体制派は、中国からの裏金攻勢に負けて何もしない。過度な経済成長が過積載の横行を招くのは、我が国バブルでもお馴染み

 要するに、この道路事故は中国・ロシア両国支配層の腐敗の象徴である。なお、延長15qに及ぶ橋梁区間で、工期を半分に出来たと言うことは、手抜きは事故発生区間だけでなく、全区間に渉って組織的にやっていた証拠でもある。つまり、この種の事故は今後頻発するでしょう。更に新幹線でも発生するはずです。
 問題は手抜きが道路や新幹線だけで済めばよいのですが、最悪は原発に及ぶことです。中国は結構地震大国なのだ。

*革命的工期短縮法と言えば昔文化大革命当時、長江大橋が完成した。このときも、資本主義の常識では考えられないようなスピードだった。中国共産党は人民の創意による革命的工法で工期短縮に成功した、と発表した。しかし数年後にはあちこちガタが来て一時通行不能になってしまった。革命的工期短縮法とは、資本主義的表現では「手抜き」ということです。

(12/08/26)


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