辺野古地質調査のポイント

横井技術士事務所
技術士 横井和夫


 沖縄辺野古地点でボーリング調査が始まりましたが、業界的には設計はパシコンか日本工営。調査は国際航業で、子会社の興亜開発が下請け、てなところは直ぐに読み取れれる。実を言うと私を基準に考えると、国際航業の地質判定能力は大したことはない。つまり技術力は相当劣るということだ。所詮は測量屋の成り上がり。問題は辺野古沖のコーラルを如何に評価しうるかどうか、問題点を認識しているかどうかう、と言うことだ。
15/0312)

 辺野古埋め立て工事で、沖縄県知事が境界明示用ポストの設置で珊瑚が破壊されたとクレーム。と言うことはこの辺野古沖合地盤は、筆者が以前指摘したとおりコーラルで出来ているということだ。コーラルと言うのは石灰岩で、沖縄では島嶼の周囲に広く分布する。1〜2万年前に陸化し、その過程で空洞(鍾乳洞)が形成された。これは現在でも沖縄での地盤問題になっている。つまり辺野古埋め立て海域にも地盤に空洞がある可能性がある。
 さてこんなところに埋め立てをやればどういうことになるか?近い将来、滑走路がいきなり陥没を起こすという事だ。そもそもアメリカでは・・・州によって異なるが・・・石灰岩地帯では建物を建ててはならなというい法律がある。今後地質調査が進んだ段階で、もし空洞が見つかった場合、日本政府はアメリカ側にどう説明するのか?日本政府の下請けをやっているパシコンや国際航業のような金儲け主義骨なし会社なら、誤魔化したりウヤムヤにするのは得意だろうが、実際基地が共用された後、滑走路がいきなり陥没したりすれば、言い訳は通用しない。場合によっては日米の信頼関係に関わる。その点をアベや菅のはげネズミはよく考えておくべきだ。
(15/02/15)

 防衛省が辺野古埋め立てに関し、現地の海底地質調査を実施すると発表しました。何故地質調査をするのか?というと、何処の県でも、開発指導要綱に「開発行為に当たっては地質調査をやりなさい」と書いてあるからである。だから協議のために何も考えずに、やたらボーリングだけをやる、形式満足数量合わせ目的地質調査がしばしば見受けられる。これは特に原発とか、電力関係に多い。何故こういう事になるかというと、事業者が事業の将来像を考えずに、とりあえず今の問題をクリアーしとけばよい、という短期利益至上主義発想に囚われるからである。その典型が今の福島第一原発汚染水処理問題である。その結果がどんなことになったかは、皆さんよく判っているはずだ。それを避けるには、やはり現状を冷静に見つめ、将来の問題を今の内に考えておかねばならない。

 一般に埋め立て地の地質調査は、大きく次の二つの目的で行われる。
1)外周護岸の基礎地盤調査
 埋め立て地外周には、必ず護岸構造物が発生する。これの設計のためには、護岸沿いの地盤データが必要である。
2)護岸内の低質調査
 護岸内の低質が軟弱地盤だった場合、その処理に莫大な経費を要することがある。それを見積もるためにも、護岸内低質調査が必要になる。

 さて、辺野古沖ではどういうケースが考えられるでしょうか?まず1)外周護岸構造物基礎地盤調査はどんなケースでも必要なので、これはやらなくてはならない。次ぎに低質であるが、これが問題になるのは埋め立て地内に大量の未固結泥土(粘土、シルト」)が堆積している場合である。この様な現象が発生するには、後背の陸地に大量の泥土を供給する大きな河川がなくてなならない。処が辺野古地点ではそのような河川は見あたらない。無論僅かでも無いとは云えないが、沖縄本島は太平洋に直接面しているため、その様な細粒物質は潮流によって直ぐに流されてしまう。だから大量の泥土は堆積しないのである。
 さてこんな処での海底地質調査は、何をターゲットにすれば良いのでしょうか? 

 辺野古岬は頭ー1に示すように、本島の山から海に突き出た三角形形状を示しています。これは波浪浸食で出来た海蝕台です。岬の周辺に白い帯が連なっていますが、これはコーラル(珊瑚)です。岬の周囲には比較的浅い海底が続いています。これはラグーンで、珊瑚礁の延長になります。岬の東に二つの島があります。ここでも白色部が見られ、やはりコーラルが生息していることが伺えられます。


図-1

 これをもう少し大きな目で眺めてみましょう。図-2は視野をもう少し広げた図です。岬の南部には、意外と広くラグーンが広がっていることが判ります。このラグーンは、おそらく0.8〜1万年位前に生じた、海水面上昇の一時停止によって出来た海蝕台の跡でしょう。と言うことは、この浅海部はかつて陸化したことがあると言うことになります。そしてこの浅海部を作っているものは、周辺から類推すれば、新しい石灰岩と言うことになります。
 石灰岩が陸化すれば何が起こるか?鍾乳洞(つまり空洞)の形成です。要するに、地盤に穴が空いているわけだ。


図-2

 ではこの様な処に盛土をすればどうなるか、というと、最も危惧されるのは将来の滑走路の陥没である。陥没のメカニズムについては、ここで詳しく述べないが、どのような施工をしても、そのリスクはゼロではない。従って、石灰岩層は掘削除去して、氏素性の知れたまともな土で盛土を行うべきである。そのために、石灰岩層の分布厚さを調べるのであれば、地質調査の意味はある。

 図ー1、2を見て判るように、辺野古岬の北にやや深い湾が伸びています。これを俯瞰したのが下の図-3です。


図-3

 この湾の伸張方向を陸地に延ばすと、沖縄本島をNW-SE方向に横切るリニアメントに接続します。筆者はこれを・・・原子力規制委員会じゃあるまいし・・・断層だ、と言い切る気はありません。しかし、琉球列島の方向、沖縄トラフや南海トラフの配列からみて、この方向の構造が存在する可能性は大いにあります。しかし、あったところで、滑走路を造るのに直接関係するわけではない。南海トラフで大地震があったときに、海底地すべりが起こって、滑走路ごと持っていかれないように、護岸構造をしっかりしときなさい、としか云いようがない。