最近の科学の話題


 第四紀の時代指標の一つとなるはずのチバニアン指定が、俄かに怪しくなってきました。原因は模式地指定に異議を唱える団体が、模式地周辺の土地を買収し、審査委員の立ち入りを拒否したから。張本人は茨城大名誉教授の楡井 久。
 筆者は楡井の言い分が正しいかどうか評価する立場にないし、そもそも第四紀の細かい話には興味はない。但し以前、極地研ら研究グループは厄介なのを敵に回したといったことはある。それが的中したようだ。こうなることを研究グループは事前に予測できなかったのでしょうか?
 問題は楡井をプロジェクトから無視したことで、初めから、彼を研究グループに取り込んでおけば良かったのだ。「毒をもって毒を制する」である。かつて福田赳夫は政敵大平正芳を大蔵大臣に迎え、消費税問題を初めさせた。これぐらいの度量で接すれば楡井など簡単なものだ。地質屋など買収しようと思えば居酒屋の2、3軒で済む。赤坂のクラブなんぞに連れていけば、もう有頂天だ。
 ところが研究グループは楡井を外した理由は知らないが、あんなの中に入れたら面倒でたまらん、てなところではあるまいか。最近委員会などを仲間内同志で固めるケースが多い。典型が現在のアベ内閣である。閣僚・官邸をお友達・側近で固め、批判者は遠ざける。トップがこれだから、末端がそうなるのは仕方ないが、これこそが亡国の始まり。
(19/06/07)

 報道によれば、科学論文の引用回数が到頭、中国がアメリカに並び、日本はその1/3に留まるという結果が出た。それもここ数年習政権以来著しくなっている。中国の目的は一帯一路とそれにリンクする2025建設、更には1949中国解放100周年に向けて、世界支配を事実化することである。そのためには手段は択ばない。
 それに比べ日本の科学技術政策は目先だけで、目標も一貫性もないその場しのぎの成り行き任せ。あるのは文部官僚の天下り探しだけだ。
 論文数が少ないのは別に各研究者の研究能力が低下しているわけではない。問題は文部科学行政なのだ。
 ただでさえ年々減少する科学予算が「選択と集中」の名のもとに、特定の巨大科学に集中する結果、周辺の基礎研究に予算が回らなくなっている。これは必然的に研究者の層を薄くする。又、文部官僚は文系出身が多いせいかどうか知らないが、理系研究者の苦手な大量書類づくりを強制し、更にそれを複雑かつ難解にする。これではとてもじゃないが研究や論文を書く余裕がない、と某大阪市立大学名誉教授がぼやいていた。
 本当はマスコミがこういう研究の末端を取材し、問題点を取り上げるべきなのだが、アベの陰謀に囚われて、やれノーベル賞級だなどと綺麗ごとばかり取り上げる。これが最大の問題か。
(19/05/07)


 
  始めて火星で何らかの振動を観測したNASAの火星探査船。果たして地(火)震かという話になる。筆者は随分前、火星探査船キュリオシテイーの映像で、火星表面の岩石に規則的な割れ目があることから、果たして星にもプレートがあったのか?と思ったことがある。残念ながらその時の記事は・・・PC内の何処かにあると思うが・・・何処に行ったのかわからない。
 プレートはともかく地下で振動があるということは、未だ火星にも熱活動が残っているということで、表面深く水がある可能性が高い。将来の人類の火星移住も夢ではない。
 このプロジェクトで進んでいるのはアメリカだが、最近中国が乗り出してきた。それに比べ我が日本は?
(19/04/24)
   上はこの程島根県津和野で発見された25億年前の岩石。岩石は飛騨片麻岩によく似た花崗片麻岩。今のところ日本最古とされる。おそらくは飛騨片麻岩の一部と思われます。
 山陰地方では従来飛騨-隠岐テレーンの南限が曖昧だった。この岩石の発見で、その南限と南の地質体との関係がより明確になることが期待されます。
 下は筆者が持っている隠岐片麻岩。岩石は黒雲母片状ホルンフェルス。原岩は海洋プレートが大陸プレートに沈み込むところに出来る”オリストストローム”と呼ばれる泥岩や砂岩を主とする雑多な岩石の集合体。暗色部が泥岩で、白っぽい帯は砂岩が石英に変化した部分。それらが最初低温高圧変成作用を受け、更に熱変質を受けたと考えられます。又全体に鉱化作用を受けているので、おそらく中新世の火山活動の影響も受けていたかもしれません。体積は元の状態から数分の一ぐらいまで圧縮されている。年代は分かりませんが、少なくともン憶年はいくでしょう。上の片麻岩が見つかるまでは、これが日本最古と考えられていた。
(19/03/30) 
 

    JAXAが打ち上げた「はやぶさ2」が無事朱惑星「りゅうぐう」に着陸しました。これで世間は日本の宇宙技術の高さを証明できた、と大喜びでしょう。しかし宇宙技術の高さを証明するだけなら、わざわざ小惑星まで行く必要はない。ハヤブサ2の意義はそれだけではない。
 我々が住んでいる地球は外側から、地殻、マントル、核からなっていることは、中学校の理科でも習っているはずです。地殻は普段我々が住んでいる場所だから、それを作っている物質(=岩石)はみんなよく見えるしおなじみです。
 マントル物質は一般に地下数10㎞以下に分布するから、普段見ることはできません。しかしアルプスやヒマラヤ、そして日本などの変動帯では、その中のメランジという部分、あるいは地下深部からの貫入岩の中に橄欖岩とか蛇紋岩という形で見ることができます。
 筆者は今から10数年前、岡山は倉敷方面を旅行したおり、倉敷の観光街のなかにある岩石・鉱物専門土産物屋の店頭で、トルマリンなる岩石をみた。本当にトルマリンかどうかは分からないが、その重さ質感からこれはマントル物質に間違いないと確信した。つまり、マントル物質は意外に近いところ(例えば倉敷の土産物屋、あるいは谷川岳)でもみられるのである。
 しかし核の物質は、残念ながら直接見ることはできない。地震波その他からおそらくこうだろうという予測はついてるが、実態ではない。ハヤブサ2が持ち帰るであろう「りゅうぐう」の岩石は、その核の物質、いかえれば地球の根本物質と考えられるのだ。
 こえの分析が進めば、従来n地震波解析の精度が上がり、更に日本のような変動帯での地殻構造解析の精度があがる。ひいては従来不明確だった部分の解明にもつながる。
 ハヤブサ2の打ち上げは、単にロケットの話ではなく、我々の足元の話にもつながっているのだ。
(19/02/22)

  東海沖のフィリピン海プレートアスペリテイ掘削のため出港する深海探査船「ちきゅう」。残念ながら今回の掘削・・・予定は海面下7000m・・・は岩盤状況が悪く掘削不能となりました。
 地山の変化が複雑なことと、孔壁崩壊が甚だしかったことが原因に挙げられています。岩盤状態はいわゆるザク層で、破砕された蛇紋岩か蛇紋岩化した玄武岩又は橄欖岩ではないかと想像される。破砕帯が高角の場合、垂直ボーリングではコア落失が多くなるのでうまくいかない。筆者が昔作った三重管チューブを使うとか、思い切って斜めボーリングというのも手だ。但しジャミングを食らうリスクは高く、その場合上手くドリルパイプを回収できなければ、ン千万がパーだ。
(19/02/09)