追加募金に関する横井の回答書(2003年7月)

以下は、同会役員に対する筆者の回答全文です。

「緑窓会館」建設募金について

兵庫県立伊丹高等学校他、創立100周年記念実行委員会

     会長   小西 新右ヱ門

     学校長   白井博之

     PTA会長  木之下行徳    

             殿

                   高校15回生  横井和夫

 先般、上記について連絡を承りましたが、結論は要請を拒否するということです。はっきり言うとあきれてものが云えない。このような無責任で杜撰な計画はこれまで見たことがない。これでは伊丹の人間がみんなアホと見られてしまう。理由は以下の通りです 

  1. 本計画が我々に報されたのはほんの数年程度前ではなかったと記憶している。その当時は既にバブルは崩壊し、政府が行う公共事業ですら、箱モノは世間の批判にさらされていたのである。それにも関わらず、箱モノを持ってくる実行委員会諸君の無神経、アナクロに正直あきれかえった。
  2. バブル崩壊後の2億円というのは決して小さな額ではない。数年前の時点では、政府は公式には認めていないが、生活実感・企業実感では既にデフレに入っていた。それが判らないようでは実行委員会会長(以下会長と呼ぶ)及び役員を務める資格はない。名前から推すと、会長は小西酒造の経営責任者であろう。そうであれば、当時の経済事情がどういうものであったか判っていたはずである。経済状況が判らなかったというのなら、経営者として無能であり、判った上で本事業を進めたなら、背景にある種の疑惑を感じざるを得ない。
  3. 同期の卒業生の氏名と寄付金額を示した資料が同封されていた。何故、このような無神経なことをするのか。氏名はまだしも金額は余計である。少額のものは「けち」と思われるし、高額のものは「何か腹に一物あるのか」などと余計な眼で見られることになる。この点にも役員の官僚的傲慢さが見受けられる。
  4. 最も重要な点は募金額が確定しないまま工事を発注してしまったことである。こんな無責任な話はない。これがバブル期ならまだしも、本事業はバブル崩壊後に企画されたのである。つまり、役員達は募金が確実に集まるという見込みがないにも関わらず、事業を見切り発車した。当に不良債権発生の典型的パターンである。更に問題なのは未払い金がこれだけだからその分を同窓会員の分担で補填して貰いたい、という甘ったれた感覚である。これは現実には財政破綻状態にあるにもかかわらず、何とかなると思っている日本各地の特殊法人及び磯村ノーナシ大阪市長と同じ感覚である。

 アホか!というのが当たり前だろう。というより、何故このように工事発注を急いだのか、というのが新たな疑問になるのである。新規募金を募る以上、役員はこの点について明確な説明を、同窓会員…特に既に募金に応じた会員…に対し行うべきだろう。

 以下は、本事業に関する筆者の率直な疑問である。なお、当方は永年伊丹とは別世界に住んでおり、伊丹や県高がどうなろうが利害関係は一切ないので、これに対する回答を要求はしない。ただし、伊丹在住の卒業生に対しては、真面目な説明をしなければならないでしょう。

  1.  誰が考えても、たかが一地方高校の同窓会組織で2億の募金が集まるはずがない。1億数千万が集まっただけでも上等なのだが、その時点で募金は頭打ちと見て、事業計画の変更をすべきであった。箱モノにこだわる必要はなかったのである。1億もあれば、例えばIT施設の充実とか、県高や伊丹の将来に貢献出来る事業はいくらでも出来た。何故、箱モノにこだわったのか、その点が不思議である。
  2. 仮に箱モノで行くにしても、何故2億にこだわるのか。募金状況を見ていけば、大体このあたりが頭打ちというのが判るはずである。1億前後がその限界値なのだろう。その時点で予算内に入るように設計変更すればよかったのである。施工者が竹中工務店であればその程度のことは出来ただろう。竹中が駄目というなら、業者を例えば大林組に換えれば済む話しである。何故、2億にこだわったのか。同窓会員に対し明確な説明をすべきだろう。
  3. 「緑窓会(=同窓会)」は法人認可を受けていないと思う。その場合、民法上「緑窓会」会長が債務保証人になるため、未払い工事代金の支払いは会長の責任になります。つまり、請負業者である竹中工務店から未払い工事代金請求訴訟を起こされた場合、被訴訟人は会長になります。私は会長が何処の何年卒かはしらないが…どうせ酒屋の小倅で、ろくな人間ではないだろう…彼は名前から見てこの程度のことは幾らなんでも知っているだろうと思う。これが世間の常識だからである。何故、その程度の用心もしなかったのか。ガードが甘すぎる。だから、余計な疑惑が湧いてくるのである。

では、どういう疑惑かを説明しておきましょう。

1)2億円という金額がどこから出てきたのか。云っておきますが「事業実行委員会」が独自に設計を建築事務所に委託していない限り、ゼネコンの見積もりというのは当てにならない。筆者が、既に出来上がった建物をまともな建築屋と本当に2億円の価値があるかどうか見直してもよいのだが、さて委員会役員さんはどうしますかねー。

2)請負業者がなぜ、竹中工務店になったのか。第三者機関の管理による入札が行われたのか。合い見積もりなど談合以外の何者でもない。その点についてキチンと情報公開が行われているのか。通常、2億円の工事であれば一般には相当シビアな審査が行われ、その結果は公開されるのが当たり前である。随契などあり得ない。

 阪神大震災の時に、三宮あたりのビルがたくさん倒壊した。その大部分が竹中工務店施工であったのは業界では有名な話しである…なお、これは大林組や熊谷組の人間から直接聞いているので故意に竹中工務店をおとしめるものではない…その結果、竹中工務店は深刻な経営不振に陥った。一方、100周年記念事業実行委員会会長である、小西新右ヱ門氏は、その名から「鰹ャ西酒造」の経営者かその一族に関連する人物と推察される。小西酒造は従来、その施設整備・新設を竹中工務店に全て任せてきた。小西会長が営業不振に陥った竹中から、何とかしてくれ泣きつかれたら、では「緑窓会館」に、というストーリーは十分に考えられるのである。

 「緑窓会館」建設に伴う不自然さを考えるとこうなってしまうのである。別に、会長が以上の疑問に対しキチンと説明出来れば、同窓会内部ではなんの問題もありません。しかし、世の中はそれでは済みません

 今後どうすればよいかについて、一応高校OBの立場から意見を申し述べておきましょう。

  1.  実行委員会役員(但し工事の契約書又は注文書に署名・押印した人とその保証人)は未払い工事代金についてゼネコンから請求訴訟に持ち込まれるケースが大と覚悟しておいてください。
  2.  竹中だって慈善団体じゃないから、無担保で2億もの工事を請け負う訳はない。必ず担保を取っている筈です(一般には建築物件)。もし支払い不能になれば会館が差し押さえられます。恥さらしもいいところですな。
  3.  会館建設が本当に卒業生の総意であったと言えるのか。裁判になった場合を考えて見ましょう。緑窓会が法人格を持っていた場合は、事業は役員会の総意のみで決定出来ますが、任意団体の場合は構成員一人一人の意志を確認しなくてはならないのです。これは実行委員会役員の仕事になります。
  4.  会館建設が卒業生にとって有益であるか。筆者のように伊丹を離れて久しく、伊丹からなんの恩恵も受け取っていない人間にとっては、同窓会館などどうでもよい。要するに「会館建設」は伊丹に住み、伊丹に何らかの利権をもっている人間にのみ有益なのだろう。従って、欠損分は役員が自己責任で…つまり私有財産をはたいて…弁済してください。法的処理では、とりあえず小西会長が6800万円を支払わなければならないでしょう。これが世間の常識です。それの分担は小西会長とその他の役員との民事裁判になります。
  5.  なお、交渉によっては竹中側が6800万円を債権放棄するケースはあり得ます。だからといって役員は安心してはなりません。もし、竹中が債権放棄をすれば、始めからそれで出来たんじゃないかと、役員が…追加募金に応じた…同窓会員から訴えられることになります。
  6.  役員は以上の措置を行った上で伊丹から出ていくべきでしょう。但し、高槻には来ないで貰いたい。汚らわしい。

 本事業ははっきり言って失敗である。小西会長は潔く私財を投げ出して罪を償うべきである。そうすれば、ひょっとすると会館の前に小西会長の銅像が建つかもしれませんよ(日本の各地に何とか会館という建物があり、その前に貢献者の銅像が建っているケースがよくある。これも今回と同じで借金のカタに財産を取り上げられた結果と思うと結構面白い)。白井は行政職公務員である。本来なら公務員としての客観的立場から事業の妥当性・合理性をチェックしなければならない役割の筈である。しかるに、このような杜撰な計画に荷担した。公務員としての能力・矜持に欠ける。兵庫県知事がことの顛末を知ったら、どう反応するか楽しみである。木之下はどの程度関与していたか判らない。ただのアホと思われるので無視してもよい。

以上


 個人的には、出来るだけ早めに民事調停に持ち込むのが被害を最小限で済ます方法と思う。但し、いきなり調停に持ち込んでも裁判所は相手にしてくれない。事前にゼネコン側に対し値切り交渉をしておかなければならない(最低3回以上)。値切りの根拠も押さえておかなければならない。つまり、バブル崩壊後は・・・特に建築では・・・材料費・人件費に低下が著しい。それを楯に取って工事費を精査し、見積もり時と施工時との価格差から最低価格を押さえた上で交渉に臨むのである。そうしておかなければ、調停も訴訟も話にならない。そうした上で裁判所に、これ以上支払う余力は御座いません、と泣きつけばゼロにはならないまでも3000万位はまけてもらえる可能性はある。但し、これも裁判所がゼネコンに対し、その経験から建築事業に関し素人である「緑窓会」に対し適切なアドバイスを怠った事実がある、と認定した場合の話である。
 なお、募金要請状の文面を見る限り、会長・役員が値切り交渉を行ったという形跡は認められない。現実に資金が不足していることと、単価切り下げで工事費は安くなっているにも拘わらず業者に対し、値切り交渉も行わず当初契約額を支払うというのは竹中工務店に対する不当利益供与と見なされても矢無を得ない。これは会員に対する重大な背信行為であり、企業では特別背任に相当する。なお、役員は皆素人でその様な商取引に関する駆け引きの知識は無かったという言い訳は通用しません。小西会長はその名前から見て企業経営者一族であり、商取引に関する知識はあったと(裁判所に)認定されます。


この件に付き1)会館が業者によって差し押さえられる可能性がある、2)校長の責任の2点について兵庫県に問い合わせたところ、7/16に兵庫県県民政策室長名で次のような主旨の回答がありました。
  1)会館は県が教育財産として寄付をうけており、業者に差し押さえられることはない。
  2)校長が同窓会の事業を応援することは何ら問題はない。
1)について知り合いの弁護士に問い合わしたところ、「寄付したところで業者の請求権には関係はない」という回答がありました。つまり、差し押さえられる可能性はあるということです。ひょっとすると業者だけじゃなくて国税からも差し押さえられるかもしれない。
2)は当に官僚的無責任答弁です。全体事業費の1/3が焦げ付いている。普通の会社じゃ破綻です。10年近くかかって1.2億しか集まらなかったものが半年で6800万集まる等考えられない。出来もしない事業を進めることは、現在の商法では禁止されており役員は背任に問われます。校長は公務員なのだから公務員法に抵触する可能性は大です。寄付に応じた会員は今の内から刑事告発の準備をしておいてはどうでしょう。


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