'25年大阪万博とIRの真実
技術士(応用理学) 横井和夫
東京五輪招致に裏金が動いていたかどうか?石川県知事の馳浩が身内の集会で、当時のアベ総理から「カネは幾らでもある。何が何でも云々」と云われたのをばらしたら、それがメデイアにリーク。忽ち「事実誤認」ですと前言取り消し宣言。果たして、この馳の言い訳を信じる人がどれだけいるか?
そもそも東京五輪招致活動については、その前から色々噂があった。元世界陸連会長親子とか、その間を取り持つコンサルタントとか、怪しい連中の名前が出ては消え、消えては又出てくる。極めつけが、当時JOC会長だった竹田恒和が、記者会見をいきなり打ち切って退席し、直後に辞任。誰だって話できない何かがあるだろうと思ってしまう。
今回、馳は発言がメデイアで取り上げられた途端、「あれは事実誤認です」と、全責任が自分にあるかのように平謝り。誰に向かって謝っているのか?通常こういう場合政治家は「あの発言は真意ではない。マスコミが都合の良いところだけ切り取って流したんだ」と居直るものだが、今回は違う。何処か強い力が作用したようだ。その力の元は何処か?当たり前だが、これは森喜朗。森にしてみれば「この野郎、余計なことをいいおって」というところだろう。
さて場面は変わって大阪万博。松井がアベのところに行ったとき、アベに「大阪万博、いいねえ。カネはいくらでもある。ドンドンやってくれ」と発破をかけられた、と松井自身が何処かで漏らしている。万博招致が決まったとき、松井は「ヨッシャ!」と家わんばかりのニンマリ顔。これはテレビにちゃんと残っている。東京オリンピックと大阪万博。この二つのビッグプロジェクトの背後に共通するのは、アベ晋三を中心とする産官複合体、中でも経産利権構造でる。この経産利権を引き継ぐのがアベ派では西村康稔。閣内でも万博推進最右翼だ
(23/11/20)
訳の分からない減税と、相次ぐ副大臣や政務官の不祥事が響いて支持率爆下がり。おまけに党内からの圧力で解散権を封じられ、進むに進めず退くに退けない末期症状の岸田内閣。それと同じ末期段階なのが大阪・関西万博。このほど「日本万博」と呼び名を変えて、失敗責任を全国民に押し付けようとする魂胆が見え見えの大阪吉村と維新。
会場整備費の上昇は、岸田に泣きついて政府・財界分はなんとかなったが、大阪府・市負担分は未だ闇の中。たちまち起こったのが万博不用論。万博不用派は全国で60%を越え、大阪府でも不用(中止)論が高まってきている。又ここにきてパビリオンも自主建設から撤退する国が相次ぐ。そのうち万博そのものから撤退する国が出てくるだろう。
プロ野球阪神・オリックス優勝に便乗して、御堂筋パレードを計画。これにかこつけて万博をくっつけた。万博とプロ野球とは何の関係もない。それをくっつけようとするところに大阪府・市(=維新)のセコサが見え見え。ところが表向いてカネが出せないので、CFに頼った処、未だ予定の1割にも満たない。そこで大阪府教職員に寄付を校長を通じてお願い。これ形は任意だが、職制を通じれば事実上業務命令となり、本来業務無我業務の強制又は強要となる。そこまでしなくてはならないというのが、末期症状の末期症状たる所以である。
そもそも当初参加国が153という数字も怪しい。招致活動を行ったのは大阪府の外郭団体だが、実態は関電からの出向で占められている。外国大使館に出向いてプレゼンをする。相手国は外交上の礼儀もあるから、無下にNOとは言えない。あの頃の日本は未だ円が高かったから、招致に応じてしてもよいと思ったのかもしれない。そこでとりあえずYESと答えておく。関電の最大株主は大阪市。旦那に悪い報告は出来ない。そこで曖昧な返事でも無理やりOKとして、参加国に含めてしまったのであるまいか?相当の水増しがあったと考えて良い。
無論相手国側でも、日本からの経済援助はウエルカムだから、形だけは色よい返事をする。あの当時、アベの命令で途上国を飛び回り、バラマキを約束していたのが、誰あろう当時の外相だった岸田。その因縁もあるから、維新の頼みなら断るわけにはいかない。どんな無理な理屈でも付けて”走れ”ということだ。350億円の日よけ・雨除けもその延長だろう。
(23/11/10)
大阪府が作成し公開中の生成AI「大ちゃん」に、「大阪万博は中止ですか?」と入力すると「・・・残念ですが中止です」と返ってくる、のがネット上で話題になっている。大阪府は「大ちゃんは10才程度の知能レベルを想定」と言い訳するが、人間で10才から11才という年齢は、その人の知性がほぼ完成する時期。これまでの脳の形成がピークに達する。そして社会経験は未だ十分ではないから、思ったことを忖度なしに正直に表現する。これがもっと年を取ると、力の強い人間に忖度したり、周囲の空気に流される。
つまり「大ちゃん」の言うことは、物事の真実を直感的に捉え、それを正直に表現しているということだ。なお、この記事今ネット上で飛び交っている。世の中には「瓢箪からコマ」という言葉もある。言葉が一人歩きしてしまって、それが事実化する危険があることに注意。
(23/10/18)
最近やっと出てきたのが、25大阪万博批判報道である。但しこれは関東メデイアに偏っており、関西のメデイアはダンマリだ。批判の的は膨れ上がる建設費である。しかし中には的外れなものもある。それの典型がテレ朝の玉川徹である。筆者は朝のワイドショーは見ないので、彼の言い分を直接聞いたわけではないが、ネット記事を見ると相当勘違いしている。
彼の言い分は「どうせ潰すものに、2300億円も掛けるのはおかしい。横浜のレインボーブリッジは1280億円で、未だ使っている」。彼は建設費をパビリオン建設費と混同しているようだ。パビリオンは確かに閉幕後は撤去されるが、建設費はAタイプは原則出展国負担。Cタイプだけが協会負担になる。大鉄傘は無論撤去対象である。他の建設費は夢洲のかさ上げ費用、地盤改良、アクセスルート、城内の上下水道等インフラなど土木構造物はそのまま残る。
但し吉村がどの範囲までを建設費と云っているのか、それが曖昧だから批判を浴びるのである。実際、彼は建設費が2300億円まで膨れ上がった次点で、「建設費という意味でこれが終わりだ」と曖昧表現で誤魔化している。これは仮に工事関連で更に費用が膨らんだ場合でも、他の名目にすり替えることをほのめかしている。これは東京オリンピックでも散々使われた手だ。またまた見え透いた嘘を突こうとしている。
そして面妖なのは、この点に関して関西メデイア、特にNHKも含めたテレビマスコミが、この点を批判的に伝えず、只淡々と伝えるのみ。まるっきりジャニーズにおもねって、事件に蓋をした芸能マスコミそっくりだ。とにかく関西メデイアと維新との癒着は目を覆うばかりである。これがいずれ関西の地盤沈下を誘うだろう。
(23/10/04)
大阪万博協会が万博会場の液状化対策費を、約85億円ほど減らしたと発表。どうやってかというと、従来は地下25m程までをSCPか何かで締め固めるのを、地下3~5m程をケミコライザーか何かで混合改良するというもの。こんなもの液状化対策にはならない。そもそも液状化現象とは、地下の液状化層に地震動などの繰り返し荷重が加わることによって生じる過剰間隙水圧が、消散せずに内部に蓄積し、間隙水圧と等しくなるか、オーバーすることによって剪断強度が消滅する現象である。
液状化層とは地下水位以下で粒径が揃った、N値が15~25以下の砂層とされる。無論ケースによって、この条件に当てはまらなくても液状化することもある。液状化を防ぐには大きく、(1)なにがしかの材料を添加して粒径を改善する。(2)締め固めて密度を改善する。(3)液状化層の中に排水層を設けて、地震時過剰間隙水圧の蓄積を防止する、の3工法がある。さてこの点から見て万博協会の液状化対策案を見てみよう.
1まず改良範囲だが、万博協会は地下下3~5m程を土質改良をすると云うが、この深さは丁度海水面までの深さ。つまり改良範囲は、地下水位の上だということだ。これでは液状化対策にはならない。
2、もしこの方法を使うなら、地下25m程までグラベルドレーンのような縦排水層を設置しなくてはならない。
3、何故こんな意味のない表層改良を、液状化対策だ、などとふれまわるのか?液状化現象といえば、テレビなどでは地表にクラックが入り、砂が噴き出す様子が映し出される。万博協会の連中は、地表への噴砂がなければ、液状化は起こっていないと勘違いしているのではないか?表層改良で地表を固めれば噴砂は起こらない、従って液状化も起こらないと思っているのか?これこそ本質をわきまえず「臭いものに蓋」の場当たり主義の典型。当に維新的である。
3、いくら表層を固めても、地下では間隙水圧の蓄積は発生する。その結果、液状化層の体積は膨張するので、表層は浮き上がり、遂にはクラックが入る。それを伝って表面に噴砂が発生する。むしろ表層を不透水層で固めると、返って間隙水圧は蓄積しやすくなる。即ち、万博協会の工法は、液状化対策どころか、液状化促進工法である。こんな馬鹿げたことをするのも、何かといえばカネ、カネの維新が大阪を牛耳っているからだ。維新を丸ごと夢洲のゴミの山に放り込み、「人柱」にしたほうが、よっぽど液状化対策になる。
(23/09/22)
万博パビリオン建設工事の契約遅れについて、「日本維新の会」の実質オーナーであり、25’大阪万博誘致を決めた橋下が、「万博なんてエー加減なもんや、70年の時は始まってからも工事をやってた」と、大阪府・市、万博協会の間抜けぶり援護射撃。ここに「他者に厳しく身内に甘い」維新の本質が露呈した
これを敷衍すると、大阪の建設業者に「大阪府・市発注工事はエー加減でええのか?」という誤ったシグナルを送ることになる。一私人ととはいえ、未だにメデイアやネットに一定の発信力を持つ人間は、自分の発言が世間にどう影響するかを考えるべきである。最早50を過ぎたのだから。。又冒頭で挙げた橋下発言は大阪の建設業者に対する、とんでもない侮辱発言である。みんな万博に合わせるために必死で頑張っていた。会期中にも工事をやっていたのはどの工事か、具体的に物件名を挙げるべきだ。
さて大阪府・市、万博協会にとって頭が痛いのが、万博の工期と採算である。おそらく協会の試算では、殆ど絶望的数字・・・つまりこのままではアウト・・・が出たのではあるまいか?そんなことを公表できるわけがない。そこで考え出したのが大阪万博の国家事業へのすり替え作戦。過日、吉村ら大阪府・市幹部と協会、維新幹部らが岸田を訪問し、万博の国からの支援と国家事業への格上げ陳情。上に挙げた橋下の援護射撃もその一環で、維新と万博協会のお粗末振りを誤魔化すため。
これに対し岸田は「国が先頭に立って進める」と回答。さて本心はどうか?只のリップサービスかもしれない。大阪万博は元々アベ・菅物件。岸田や他派閥どころか、アベ派議員にとっても無関係。まして自民党議員は地方では維新と血みどろの戦いをやっている。維新に選挙区を食い荒らされた議員は大勢いる。大阪がその典型だ。なんで維新に協力しなけりゃならないんだ、と思う議員も少なくないはず。そもそも万博のスケジュールや金策が予定通りなら、なにもわざわざ官邸に出向いて支援をお願いする必要はない。それが出来ないから最後の大芝居として打ったのが、今回の官邸訪問だ。維新の全面敗北である。
(23/09/07)
今のところAプランに1か国、奥の手だったはずのXプラン応募はたったの5カ国。25’大阪万博参加表明国の内、パビリオン建設契約が成立した件数です。Aプランについては13カ国が業者が決定したが契約できているかは未だ分からない。契約ができない理由として短い工期、高騰する人件費・資材費・複雑な設計等が挙げられていますが、それ以外にもう一つ重大な欠陥があるようだ。
それは各パビリオンの基礎である。本来基礎地業は建物の規模・用途、地盤の強弱等、技術的な面から最適な工法が選ばれるものである。しかし大阪万博においてはパビリオンについて50mのクイを打ち、更に万博終了後撤去するものとした。誰がこんなことを決めたのか?現場の実情を知らないお上品な建築屋の戯言だろう。こんなことを要求すればどんな業者でも尻込みしてしまう。
大阪港臨海地帯の地盤構成は、大雑把に云えばこうなっている。1、最上部に埋め立て土。2、軟弱な海成粘土を経て、地下40~50m程に厚さ数mの砂・砂礫層がある。3、その下は主に陸成の粘土・シルト・砂からなる地層が続き、4、地下70~80mに再び砂・砂礫層が現れる。その下は主に海成粘土と陸成層とが5、600m位まで繰り返す。更にその下は氷河期の地層が約2000mまで続くが、その下が何かは分からない。
さて問題のクイの支持層だが、万博協会は2、地下40~50mの砂・砂礫層までクイを打てと要求している。さてこの地層どういうものかというと、N値は30前後で厚さは2、3m程度。支持クイの支持層としてはいささか頼りない。筆者は昔関電南港火力擁壁基礎のクイ載荷試験(Φ700 l=40m PHCクイ。設計許容支持力150t/本)をやったことがある。クイの支持層は、万博協会推奨の地層と同じ地層である。試験をするとクイが潰れる前に地盤が破壊してしまった。
更に舞洲の地盤が圧密進行中ということを考えれば、クイに負(下向き)の摩擦力(NF)が働く。これはクイが長くなればなるほど大きくなる。遂にはこのNFによってクイの先端地盤が沈下もしくは破壊し、建物の7不等沈下をまねくことがある。実際に以前、北港の埋立地の工場で、そういう事故が発生したことがある。この工場では支持クイを打った工場棟で不等沈下が発生したが、摩擦クイで処理した事務棟にはなんら被害は発生していない。つまりクイを長くしても大して頼りにはならず、かえって弊害が生じることになる。更に50mの杭の撤去だが、これは誰でも簡単に出来るものではない。CD工法のようなかなり特殊な工法が必要になる。
たかがパビリオンのようなバラック・・・・いくら凝ったデザインでも、使用期間たった半年の仮設構造物。バラックに変わりはない・・・に、こんな高価な工法を使う理由がわからない。それでも建築屋は会期中に地震が来たときの安全性確保のため、といった屁理屈を云うだろうが、それは会場を舞洲のような軟弱地盤に設定したことが過ちなので、理由にはならない。そんなに地震が怖ければ、会場をもっと安定した地盤に設定すれば良いだけの話である。
筆者なら民間や外国パビリオン地区を万博協会の費用で、地下10mか15m位までをコンポーザーか動圧密による地盤改良をするか、EPSなどの軽量盛土で置き換える。各パビリオンの地業はべた基礎や摩擦クイ基礎も認める。そうすれば基礎工事費も安く、基礎工事に要する時間も短縮できる。
そしてもっと良い点は、このほうが維持管理上は有利なのである。舞洲は未だ圧密の途上にあり、地盤沈下は更に進む。これに伴い道路下のライフラインも沈下する。支持クイとすれば、建物の沈下は抑えられるので、建物と周辺地盤との間に不等沈下を生じ、ライフラインとの接合部に段差や破損等の破損が生じる。下手をすれば、水道や下水道から漏水が生じ、使用停止に追い込まれかねない。筆者の案なら、建物も地盤も同時に沈下するのでライフラインに与える影響もない。維持管理上はズーッと楽だ。
(23/09/02)
万博政府テーマ館の八番目の工事が予算を3億円超の12.6億円で、隈研司・大成建設が三回目で落札。なんとなくこのコンビ、怪しい臭いがする。それは新国立競技場の件である。これは東京オリンピックがらみで有名になったが、元々は10’東北太平洋沖地震で一部被害が出たこと、新築時から46年経過し、耐用年数を過ぎ、更に現在の耐震設計基準に適合しないことから、民主党政権時に新築のための調査費が計上された。その時中心になったのは安藤忠雄、隈はそのライバルだ。その後東京オリンピック用の設計コンペが行われ、大成建設・梓設計で再設計をおこなったところ、施工費が元の見積もりの倍以上になり大問題。
そこで設計コンペが行われ、そこに登場したのが、隈研司・大成建設。まんまと工事をかっさらっていった。外から見ていると、まるっきり出来レース。無論裏で画策しているのが大成建設。そして大成は人も知るアベ印ゼネコン。今度の万博八番館工事でも、何か裏で画策しているのではあるまいか、という疑いが残る。
関西には「三方みんなよし」という商道徳に関する言葉がある。これは作り手ー売り手ー買い手の三方がみんな利益を得られるよう心がけることが、商売の奥義ということを意味している。さて今回の政府テーマ館工事、果たしてこの原則に当てはまるでしょうか?
三回も入札を繰り返してやっとだから、落札価格はめいっぱい下げてるから大成も思った程儲からない。万博協会も予算オーバーだからどっかから持って来なくてはならない。それは設備や構造だけでなく中のコンテンツも含まれる。結果として中身はチープになる。肝心の観客は、高い金を払って、チープな内容を見せられるのだからがっかりだ。「三方みんなよし」どころか、「三方丸損」という結果に終わりかねない。
(23//08/10)
なんともトンチンカンなのが、25'大阪万博への各界の対応。これには1、招致する側の懸念と、2施設建設、つまり作る側からの懸念の2種類がある。
1は外国館(A)の仮設構造物設置申請が未だ一件もないことから、本当にみんなやってくるのか、撤退する国もあるのではないかという、主に関経連始め経済界からの懸念。この懸念が的中すると、万博そのものが薄味になってしまい、リピーターも減るから、入場者数も減る。万博の採算性そのものに疑問がわく。下手すると、追加の支援を求められ・・・要するにもっと金を出せ・・・・るのではないか、という懸念。それが高じると早めにやめた方が良いんじゃないか、という声になる。
2、は申請が遅れるとその分工期が短くなり工程が過密になる.。特に24年より建設分野でも残業規制が厳しくなるので資材費・人件費の高騰に繋がる。これは主に全建協のような業界団体の懸念。
これに対し大阪府の吉村や万博協会は1、については各国に自国工事に拘らぬよう要望する.。また資金不足については国に支援を要請する。2については万博工事については、特例として、残業規制の適用除外を国(厚労省)に要請する。大変な勘違いがあるようだ。吉村も万博協会も、参加表明国が全員参加する、中でも参加(A)の国は、みんな自国で建設する意思をもっていると思い込んでいる。誰も申請に来ないのは、日本の業者と交渉ができないのでなく、参加するかどうか躊躇しているだけなのではあるまいか。物価も高く、ロシアの所為で世の中も不安定だ。そんな時に呑気に万博など、という気分が各国の中に芽生えても不思議ではない。
建設業界の懸念も、参加表明国全部が一斉にやってくれば、今の体制では消化できない。しかし参加国が半分になれば、その懸念はなくなる。但しその代わり、経済界が抱く1の懸念が顕在化する。そう考えれば、今みんなが万博に抱いている懸念や心配は、根拠があって無いようなものとも云える。もし本当に53カ国全部が一斉にやってきたらどうなるか。無論これに加え、参加(B)、(C)対応の施設も必要だし、万博関連施設はパビリオンだけではない。ガス、水道、上下水道、道路整備など関連施設工事も同時並行だ。これらの工事が後1.5~2年の間に集中するのである。
1)、工事契約が結べても、作業員確保が大丈夫か?全建協は人件費高騰を心配するが、それ以前に作業員そのものを確保出きるかどうかを心配したほうがよい。
2)、仮に確保できたとしても宿泊施設はどうするのか?コロナ後の観光復活で、関西の宿泊施設は既に満杯状態。これに加え大量・・・おそらく数1000人規模・・・の作業員を何処に宿泊させるのか?舞洲に宿泊施設(所謂ハコバン)を作ってもよいが、ダムやトンネルの様な山の中の工事と違って、都会の直ぐそばでそんなこと出来ますか?無理やりやれば、それこそタコ部屋だ。
3)、それよりもっとやばいのは、万博協会や建設業界が要請している労働時間延長の特例措置である。岸田内閣の「働き方改革」第一弾として登場したのが、労働時間の上限規制である。これにさっそく頭を悩ましているのが流通・建設業界。労働時間の制約・・・・・・つまり残業時間の規制を真面目に守っていれば、とてもじゃないが万博工事など出来ない、だからこの規制に特例を認めてくれ、というわけだ。
どんな法律でも施行後数年間は試行期間で、その間の状況で修正されるのはよくある。しかし施行の初年度から特例など聞いたことがない。仮に認めたとしても、実行可能かどうかは別物だ。万博労働というのは、何もない離れ島でタコ部屋まがいの宿舎に泊り、長時間残業を前提とする突貫工事だ、ということだ。幾ら万博協会や建設業界が政府に働きかけて規制を緩和させたところで、上にあげたような問題を抱えた工事に、果たして人が集まるか?
が問題だ。これは単に賃金の問題ではない。今の時代、カネのためなら命を張って、などという人間はいない。
参加国が予定通りなら開催には間に合わず、かといって参加国が減れば工事は楽になるが、採算は取れずビジネスとしては失敗作。吉村も25年関西に拘らず、思い切って1年先延ばしにするのが上策だろう。
その中で、本日建築申請第一号が現れました。それは韓国です。数日前、松井・吉村らが官邸に赴き、岸田に直談判。そこで岸田が韓国ヨン大統領に一言。その結果がこれだろう。では維新は岸田にどんなお返しをするのだろうか?例えば次の衆院選で自民に1議席渡すとか。
(23/07/29)
たかがバラックに77億円?!これは25年大阪万博日本政府館の建設工事費です。バラックというのは、これがいずれゴミになってしまうからです。この額もとりあえず今の時点での話で、これで済むかどうか分からない。もっとやばいのは、これはあくまで仮設構造物だから、用事が済めば解体撤去しなくてはならない、この費用や出てくる廃材の処分先、処分方法とその経費が77億円に含まれているかどうかです。
日本政府や大阪府は、自分のメンツがあるから何が何でもやるだろうが、それとは無関係の参加国ではそうはいかない。今のところ工事契約が出来たのは政府館一件のみ。契約が遅れたり不成立になったりする理由として上げられるのが、資材高騰と人員不足。それだけでなく、奇をてらった設計が多く、施工法が定まらないケースもある。万博協会や大阪府の吉村は、年内に契約できれば25年開催には間に合うと主張するが、肝心の全建連会長が無理だとコメント。関係者間にも開催延期や規模縮小の声が出始めている。特に全建連会長の発言は、政治家や役人と違って実務を反映するだけに、重みが違う。
参加国の立場ではどうか?先進国は参加経験も豊富でノウハウもあるが、途上国特にグローバルサウスという国々ではどうか。これらの国々の中には独立して未だ数10年しか立っておらず、国家基盤も不安定な国が多い。そういった国では、バラックでも費用負担は重荷だ。参加そのものを見合わせる国もでかねない。
当初万博協会は153カ国の参加が見込まれるとしたが、これは橋下・松井・吉村に頼み込まれたアベが、外務省の尻を叩いて無理やり作り出した数字の疑いが濃い。当時の外務大臣は岸田文雄。相手国も日本の経済援助を当て込んで、イエスとリップサービスをしただけで、本音は鼻から参加する意思は無かったかもしれない。
申請国が無いのに慌てた吉村らは官邸に直談判に及ぶ。岸田は当時の外務大臣だから、無下に断るわけにはいかない。その点を立民の泉につつかれると、橋下はいきり立って立民攻撃を始める。江戸の敵を長崎で、てな処だが、決着は早ければ今年の10月(仮設構想物設置申請の締め切り)、遅くとも年末(万博協会による着工開始限度)に付くだろう。
(23/07/23)
6月末が限度とされる25’大阪万博外国パビリオンの建築申請が、未だ一件も出ず。参加表明国は確か153カ国に上った筈だ。その一国も申請に来ないのは、誰もやる気がない、ということだ。理由は幾つか考えられるが、やはり最大の要因は中国経済の低迷。ついでウクライナ情勢の行方。日本は明快にロシア、ベラルーシ制裁をやっているから、この二か国並びに同調するシリア、イラン、ベネズエラ等の参加は見込めない。その他、建築屋が奇をてらったデザインをするので工事費がかさみ、それで参加国が尻込みする案件もあるという。
大阪市・・・といっても実態は維新・・・は万博協会協賛会社に、一社あたり数億、全体として100数10億の負担を強制するつもりらしい。それでも1000億位はかかるといわれる運営費や施設整備費には到底追いつかない。仮に参加国が数10カ国しかなく、それも工期と予算を切り詰めたパビリオンしかなければ、7500円という入場料、往復交通費を考えれば、大阪市民でも10000円仕事を考えれば果たしてどれだけの人が集まるか?大阪府・市はとんでもない借金を抱え込むことになる。
そういえば、東京オリンピックの収支決算は未だに公表されていない。電通関連の汚職は摘発されているが、これは民民の問題。氷山の一角だ。もっと重要なのは、政・官、官・民の癒着と金の流れである。大阪万博も結構怪しい噂がある。このほど、橋下と松井が共同で官民の間を取り持つコンサル会社を設立することになった。この会社、真の目的はなにか?大阪万博の闇資金のう回路では無いでしょうねえ。維新の売りは、「身を切るカイカク」だったが、結局身を斬らされるのは、一般の大阪府・市民になりかねない。
(23/07/08)
最初は5000円で始まった25'大阪万博入場料金。それが施設費の高騰やなんかで6000円になったが、それでも収まらず、一時は9000円説もあったが、間を取ってこのほど7500円で落着。名古屋万博の4000円に比べべらぼうに高い。こんなので人が来るかと思うが、そこは日本人の同調圧力で、隣の人が行っているから私も、とか会社の同僚もいっているから私も、ということになって何とか最低限は確保出来るかもしれない。問題はリピーターである。
70年大阪万博の時は、累計1億数1000万人の来場があったが、これの2/3以上はリピーター。一人で何度も入ったのが多かった。それができたのは、料金がリーゾナブルだったのもあるが、会場が大阪市近郊の吹田市千里丘で、地下鉄や阪急なら梅田や新大阪から30分程度という便利な立地条件があったこと。しかし25’大阪万博は料金もさることながら、会場が市内から遠く離れた舞洲という僻地。交通費だけで往復2000円は掛かる。つまり一回行けばざっと1万円だ。それに見合うコンテンツがなければ、リピーター収入は宛てにならなくなる。
もう一つ、おそらくこれが最大課題になると思うが、会場建設の問題である。開催を25年夏とすれば、会場施設の設計は遅くとも23年後半に始め、24年夏には工事を始めなくてはなくてはならない。問題はそれに要する人材と資材確保である。短期決戦だからどの会社も人材資材の取り合いだ。当然人件費・資材費は高騰する。高騰するだけなら借金してでもなんとかなるが、現実の人手不足・材料不足はどうにもならない。そこで考え出されるのが外国人労働者の受け入れだが、慌てて受け入れても、付けけ焼刃ではどうにならない。間違いないのは闇労働者の増加だ。
もう一つの不安材料は、万博までにウクライナ戦争が片付いているか?、中国経済が回復しているか?台湾海峡問題はどうなっているか?などの流動的な国際情勢である。「大阪万博」といっても国際情勢とむかんけいではない。何せ正しくは「大阪国際博覧会」なのだ。
(23/06/15)
IRの政府認証を受けていよいよ本格化しなければならないのが、「25’大阪万博」。筆者は大阪万博どころか、「万国博覧会」というイベントそのものにも興味がないのでどうでもよい。そもそも万博というイベントは1866年パリ万博が最初で、これには日本も参加している。当時は帝国主義華やかりし頃で、欧州列強はアジア・アフリカに植民地を拡大し続けていた。そこでヨーロッパ人はそれまで知らなかった様々な文物に遭遇し、手に入れた。万博はそれらを集めた御国自慢の場であった。
というわけで、万博というものは、始めは帝国主義の産物だったのである。その後この側面は消え、なんとなく国際お祭りイベントに姿を変えた。さて問題の「25’大阪万博」だが、果たして上手くいくか?ずばり云えば経済効果が思った通りに上がるか?これをナニワ流に言うと「儲かる」か、である。イベントが儲かるかどうかは、一にどれだけ人を呼べるかに掛かる。 「25’大阪万博」の成否を決める要因には次の三つがある。
1)中国経済が来年中に回復しているかどうか
2)今のウクライナ戦争が終結しているかどうか
3)台湾海峡が平穏かどうかである。
1)中国経済の回復;万博が成功するかfどうかは、参加国数の大小が目安となる。現在150カ国位がエントリーしているが、その大部分・・・おそらく6割り以上・・は発展途上国。そしてその多くがグローバルサウス国家群である。そしてこの多くの経済は中国経済に依存していると同時に、対中国債務を抱えている。
もし中国経済が回復しなければどうなるか。仮に参加各国が独自にパビリオンを建設するとなれば、ヒトや資材の取り合いとなって、建設費は高騰し、万博どころではなくなる。物品ではなく、パンフレットだけの参加、なんてこともあり得る。万博協会はそういうことも考えて、途上国向けに共有展示場を作って、中をブースで仕切って展示場を提供するという手も考えなければならない。但しそれだけなら、既にインテックスがあるのだから、これを利用すればよいだけだ。
2)今のウクライナ戦争が終結しているか;今の世界最大の不安定要素はウクライナ戦争である。来年中に戦争が終結していなければ、ロシア・ベラルーシの参加は無理だ。何故ならどの国も25年になれば、準備を本格化させる。その時にまだ戦争が続いていれば、万博どころではない、という国も出てくる。更にイラン、シリアなどロシア寄りの国も怪しい。
仮に何とか停戦にこぎつけたとしても、双方の恨みが消えたわけではない。ここで気を付けなくてならないのは、テロである。ロシア館にはウクライナの、ウクライナ館にはロシアからのテロが加えられる恐れがある。他にも内に問題を抱えている国はおおい。例えばミャンマーとか、イスラエルとかである。果たしてナニワの万博協会にテロを抑え込めるだけの能力があるでしょうか?
3)台湾有事;もし万博会期中か前に、中国が台湾に武力侵攻すれば、日本にとっては万博どころではなくなるのは当然。しかし日本人は、西南戦争という国家分裂を誘う内戦下でも、内国博覧会をやった位だから、意外に何も考えずにやってしまうかもしれない。但し、会場はガラガラだが。
現代の万国博というものは、オリンピックと同じで、途上国が先進国に仲間入りするための通過儀礼のようなものだ。通過儀礼には必ず神への供養が必要だ。それがオリンピック利権であり、万博利権でもある。つまり既に儀礼を済ませた先進国にとっては無用の長物。従って単なる付き合い程度に留めておくのが大人の対応。それを維新や死んだアベ晋三などは別次元へのステップアップチャンスと捉えたのである。
(23/04/14)
これがこのほど発表された大阪IR完成予想図。この手の絵は構想が発表されてから何度も描き変わっているので、どれが本当やら分からない。本当にこの通りになるのか?そもそもIRが無事誘致出来るのか?出来ても長続きするのか?何にも分からない。しかし仮にこれで国に認可されると、今後何があろうと、この通りに作らなければならない。勝手な変更は出来ない。
例えば建物の基礎クイが70mも80mも必要だと分かって、事業者が腰を抜かして、建物を低くしようとしてもそれは通らない。工事費が当初予算をオーバーした場合、差額をだれが負担するのか、もめるでしょうねえ。松井、吉村がそこまで考えているか、それも全く分からない。かくて維新暗闇の中を大阪府・市は突っ走るしかない。
(22/05/08)
昨日朝刊を見てみると、一面の端に何やら妖怪めいた画が載っている。大きな塊に目玉が幾つもくっついて、笑っているような口。水木茂の妖怪はそれなりにユーモアが感じられたが、この画にはそれも感じられない。
この不気味な怪物は何者かと説明を読むと、25年大阪万博公式キャラクターらしい。家族に聞いてみると同じような答え。はっきり言って「気色悪い」。筆者のようなごく平凡な家庭でそうなんだから、大阪府市民の大部分はそう思うだろう。
これから3年余り、大阪中にあの不気味な画が蔓延するかと思うと、ぞっとする。新型コロナ以上の脅威だ。
(22/03/24)
これまで黒塗りだった大阪IRの事業計画の一部が公開されました。まあびっくりするほかはない。まず施設整備だが、全体計画は10ha。そのうち開業時での施設はたったの2ha、それから15年後に6ha、最終的に全部出来るのが35年後というのだ。
こんなの事業計画といえるのか?只の予算消化計画、維新が最も嫌うはずの公共事業そのものだ。まずIRを構成するものは、カジノとMICEである。どちらも人が入らなくては話にならない。そのためにはキャパシティーが必要だ。それが当初計画の1/5なら集まる人も1/5。入ってくる金も1/5。
35年先どころか15年先でも施設は老朽化し、内部コンテンツも陳腐化する。また耐震設計基準も今のままとは限らない。一般に設計基準は厳しくなることはあっても、緩和されることはない。要するに金は始めだけでなく後から後から掛かってくる。それに対するには、できるだけ早めに人を集めて資金を回収することがコツだ。そういうビジネスの初歩が分かっていない。
なおこれを質問した自民市議は「なるべく追加予算が生じないようにやってもらいたい」と甘々。裏で維新と出来ているのではないか。当然自民も自民支持業界もIR利権を狙っているのは間違いない。表では維新vs自民の対決構図を作りながらも、裏で利権の分捕り合戦やっている。十分ありうることである。これも白土三平の弁証法。
(22/02/08)
昨年明らかになったIR関連地盤改良費約790億円増に加え、大阪万博用地地盤改良費にやはり788億円が加わり、合計1600億円近い経費増が明らかになった。これに対し自民市議が昨日の大阪市議会で質問すると、大阪市港湾局長は「万博関連施設は軽いので液状化対策費は通常の半分とした。なお追加費用が出ても港湾事業会計で処理するので、一般会計には影響しない」と回答。
あきれたでたらめ回答だ。まず液状化対策費だが、液状化するかどうか、その規模は地震動と地盤の関係から決まるもので、施設の荷重は無関係。荷重が大きかろうと小さかろうと、液状化するときはするのだ。おまけに軽いから通常の半分にするということは全く科学的根拠はなく、只結論に合わせたエイヤーの気合に過ぎない。今後対策費はもっと増え、最大790億円が積み増しされることは十分考えられる。半分にした一方でこれは最大限を想定しているという。全く矛盾しているのである。まともな技術屋のいうことではない。旦那にヨイショする太鼓持ちのセリフだ。つまり地盤対策費についてはまず結論があって、液状化対策やその他各論ははそれに合わせただけに過ぎない。
港湾事業収入についても同様のことが言える。地盤対策費は増額分だけで1700億だが、液状化対策費790億円はヤマカンで半分にしているから、まともにやると更に790億増える。つまり最大2500億位に膨れ上がることになる。これは今後3年の間に出て行く。問題はこれらの支出が何年で回収できるかが示されていないことだ。
港湾事業収入は主に繋船料だが、ここでは夢洲の売却益などを挙げている。夢洲売却益などは早くても事業完成後からだ。その間は大阪市や金融機関からの借入でまかなうことになる。これらは原則、有利子負債である。しかもその額は、その時々の景気に左右されるので一定しない。つまり何時までに完済出来るかわからない。今後数10年に渉って借金を払い続けなければならない。払えなくなれば倒産だ。中国資本にでも身売りしなくてはならないか。
つまりIR、万博用地の地盤対策費は、なんら科学的根拠を持たない楽観論に基づくものに過ぎない。その元を作ったのは松井、吉村に代表される維新の強引な政策指導にある。そしてその失敗の後始末は、必ず大阪府・市民に押しかぶさってくる。これが「失敗の本質」だ。
(22/02/04)
夢洲IR用地地盤改良に伴う800億円負担に続いて、今度は地下鉄の夢洲延伸に伴う地下駅での軟弱地盤対策その他で129億円の追加支出。大阪市は軟弱地盤とか、異物の混入など後から分かったなどと聞いた風な言い訳をしているが、そんなことはない。
そもそも夢洲を造成したのは大阪市港湾局。港湾屋は軟弱地盤対策は本業中の本業。埋め立て土の中身やその下の地盤がどういうものか、知り尽くしている。大阪市だけでなく、大阪の基礎や地下工事、地盤調査に携わった経験のあるものなら、あのあたりが超の付く軟弱地盤地帯ということは、誰でも知っている。それを”今分かった”風に言い訳するのは、事実を隠していただけ。何故隠していたのか?当たり前だが本当のことを言うと、議会や市民やマスコミから反発を食らうからだ。
ところがありがたいことに、今や議会は維新が占領している。おまけに昨年の衆院選はi維新は大阪で全勝。最早怖いものなしだ。そこでそろそろ本当のことを明かし、大阪府・市民を「しゃーないなあ」と思わせる洗脳作戦に転じた。ここで重要なことはマスコミを如何にだまらせるか、である。
先日読売新聞と政策協定を結んだ・・・読売OBの大谷昭宏はカンカンに怒っていたが。要するに読売は、維新が不利になるような報道はしません、その代わり大阪府・市は読売には他社に先駆けてネタを提供しますよということだ。これは正式協定だが、読売テレビやフジ・産経・関テレは以前から維新ヨイショ路線だ。つまり「マスコミも抑えて」しまっている。
本日ヤフーニュースを見ていると、この記事を出しているのは関テレと読売だけ。両者とも、「工費が129億円増えますよ」と、淡々と伝えるのみ。批判も何もない。だから後から後から追加支出をしても、誰も批判しなくなる。みんな「松井はん、吉村君がやってんやから、しゃーないなあ」で、府・市民を馴らし、終わらせてしまうのである。うっかり声を出せば、それこそ「お前、大阪から出ていけ」と呼ばれるのだ。これは維新のオリジナルではなく、昔から自民党がよくやっていた手だ。
ズバリ言えば、関西万博関連事業費というのは、大阪府・市行政と大阪府・市議会(=大阪維新の会)とゼネコンとの三角八百長のようなものだ。これにイッチョカミしているのが、読売・関テレといった関西メデイア。
(22/01/12)
大阪市が誘致を進めているのが夢洲へのIR。その土質改良費(地盤改良ではない)に800億円かかり、全額大阪府負担となった。理由は地盤からヒ素が見つかったので、土質改良が必要だということだ。しかしそんなこと初めから分かっていたことだ。分かっていたが後戻り出来なくなるまで隠して、ギリギリになって実はこうですといって、うやむやにしてしまう。かって青函トンネル始め公共事業でよく使われた。それどころか、日米もし戦わば日本必敗予測シミュレーションは太平洋戦開戦間際まで隠蔽されていた。
夢洲の汚染物質はヒ素だけではない。そもそも産廃処理場だから、あらゆる物質が集まってくる。その中に有害物質が混じっていても当然。アスベストやダイオキシン混じりのゴミなどだ。但しアスベストはコンクリートで固結されているからまだましだが、IR施設工事で破損される恐れはある。大阪IRや万博にどんな問題があるでしょうか?
1、IRの基礎;IRは恒久建造物だから当然杭基礎になる。現在の建築基準法では、重要施設・・・この場合不特定多数の人間が大勢立ち入ることを前提とした施設と思えばよい・・・の基礎に摩擦クイは認めていないので、当然支持クイになる。
クイの支持層は夢洲のあたりでは大体地下70m位になるが、層厚も小さくあまり当てにならない。40mあたりに中間支持層があるが、これも頼りにならない。70m級のクイになると一本当たり、1000万円位になる。そういうことを大阪市は事業希望者に説明しているのでしょうか?これは重要事項の説明に該当し、もし事後に分かったとすれば、大阪市は事業者から損害賠償責任を訴えられることになる。もしなっても大阪市が”認諾”すれば、賠償金は大阪市民に降りかかることになる。
2、パビリオン基礎;IRが恒久施設ならパビリオンは一時的施設である。また建物荷重はIRに比べはるかに小さい。といっても半年間は安全に維持されなければならない。荷重が小さく短期間使用だから仮設構造物として扱っていいのじゃないかという意見もあるだろうが、国ごとに基準が異なるので大阪市単独では決められない。例えばイギリスでは仮設構造物も本設と同様の 安全性を求められる。
たかが半年しか使わずそれもプレハブに毛が生えたような建物の基礎に、40mも70mも杭を打つ気になれるでしょうか?おまけに周りの地盤はヒ素混じりのゴミの山だ。国によっては「じゃヤメタ」なんてのも出てくるかもしれない。
そこで筆者が考えるのは、動圧密による地盤の締固めである。これは重さ数tの重錘を地上10数mから落下させ、地盤を締め固める・・・タンピング・・・という工法。工法そのものは単純だが、問題は重錘とそれを扱う重機の運搬費。一回当たりン100万から1000万ぐらいかかる。場合によっては全体工費の大部分を占めることがある。パビリオン一つ一つでこんなことをやってられない。しかし幾つかのパビリオンが共同でこれを発注すれば、運搬費を分散出来るので、1パビリオンあたりの負担は小さくて済む。
タンピングの跡には深さ1m、直径2mほどの穴が開く。これが土が締め固められた証拠になる。そこでこれを整地しネットを敷き、砕石を詰めて上にコンクリートの基礎を打つ。ネットは地震時に於ける基礎の側方変位を拘束するためである。これなら軽量のパビリオンに対しても深い基礎は必要はなく、浅い基礎でもそこそこの支持力を与えることはできる。
3、その他の問題;IRの最大の問題は本当に誘致できるのか?開業しても採算が取れるのか?長期的持続性は担保出来るのか?などがある。これらはみんな経済学の問題で地質学の関知するところではない。
問題は万博で、莫大なインフラ投資を行って実施出来たとしても、そのあと地上設備は皆取り壊しだ。これらは新しいゴミを作る。夢洲は元々ゴミ捨て場。土質改良やなんかでゴミを捨てても、またまた新しいごみが出来るのだから、何をやっているか分からない。その中に何か有害物質が混じっているかも分からないのだ。
(21/12/25)