'25年大阪万博とIRの真実

技術士(応用理学) 横井和夫


 

これがこのほど発表された大阪IR完成予想図。この手の絵は構想が発表されてから何度も描き変わっているので、どれが本当やら分からない。本当にこの通りになるのか?そもそもIRが無事誘致出来るのか?出来ても長続きするのか?何にも分からない。しかし仮にこれで国に認可されると、今後何があろうと、この通りに作らなければならない。勝手な変更は出来ない。
 例えば建物の基礎クイが70mも80mも必要だと分かって、事業者が腰を抜かして、建物を低くしようとしてもそれは通らない。工事費が当初予算をオーバーした場合、差額をだれが負担するのか、もめるでしょうねえ。松井、吉村がそこまで考えているか、それも全く分からない。かくて維新暗闇の中を大阪府・市は突っ走るしかない。
(22/05/08)

 昨日朝刊を見てみると、一面の端に何やら妖怪めいた画が載っている。大きな塊に目玉が幾つもくっついて、笑っているような口。水木茂の妖怪はそれなりにユーモアが感じられたが、この画にはそれも感じられない。
 この不気味な怪物は何者かと説明を読むと、25年大阪万博公式キャラクターらしい。家族に聞いてみると同じような答え。はっきり言って「気色悪い」。筆者のようなごく平凡な家庭でそうなんだから、大阪府市民の大部分はそう思うだろう。
 これから3年余り、大阪中にあの不気味な画が蔓延するかと思うと、ぞっとする。新型コロナ以上の脅威だ。
(22/03/24)

 これまで黒塗りだった大阪IRの事業計画の一部が公開されました。まあびっくりするほかはない。まず施設整備だが、全体計画は10ha。そのうち開業時での施設はたったの2ha、それから15年後に6ha、最終的に全部出来るのが35年後というのだ。
 こんなの事業計画といえるのか?只の予算消化計画、維新が最も嫌うはずの公共事業そのものだ。まずIRを構成するものは、カジノとMICEである。どちらも人が入らなくては話にならない。そのためにはキャパシティーが必要だ。それが当初計画の1/5なら集まる人も1/5。入ってくる金も1/5。
 35年先どころか15年先でも施設は老朽化し、内部コンテンツも陳腐化する。また耐震設計基準も今のままとは限らない。一般に設計基準は厳しくなることはあっても、緩和されることはない。要するに金は始めだけでなく後から後から掛かってくる。それに対するには、できるだけ早めに人を集めて資金を回収することがコツだ。そういうビジネスの初歩が分かっていない。
 なおこれを質問した自民市議は「なるべく追加予算が生じないようにやってもらいたい」と甘々。裏で維新と出来ているのではないか。当然自民も自民支持業界もIR利権を狙っているのは間違いない。表では維新vs自民の対決構図を作りながらも、裏で利権の分捕り合戦やっている。十分ありうることである。これも白土三平の弁証法。
(22/02/08)

昨年明らかになったIR関連地盤改良費約790億円増に加え、大阪万博用地地盤改良費にやはり788億円が加わり、合計1600億円近い経費増が明らかになった。これに対し自民市議が昨日の大阪市議会で質問すると、大阪市港湾局長は「万博関連施設は軽いので液状化対策費は通常の半分とした。なお追加費用が出ても港湾事業会計で処理するので、一般会計には影響しない」と回答。
 あきれたでたらめ回答だ。まず液状化対策費だが、液状化するかどうか、その規模は地震動と地盤の関係から決まるもので、施設の荷重は無関係。荷重が大きかろうと小さかろうと、液状化するときはするのだ。おまけに軽いから通常の半分にするということは全く科学的根拠はなく、只結論に合わせたエイヤーの気合に過ぎない。今後対策費はもっと増え、最大790億円が積み増しされることは十分考えられる。半分にした一方でこれは最大限を想定しているという。全く矛盾しているのである。まともな技術屋のいうことではない。旦那にヨイショする太鼓持ちのセリフだ。つまり地盤対策費についてはまず結論があって、液状化対策やその他各論ははそれに合わせただけに過ぎない。
 港湾事業収入についても同様のことが言える。地盤対策費は増額分だけで1700億だが、液状化対策費790億円はヤマカンで半分にしているから、まともにやると更に790億増える。つまり最大2500億位に膨れ上がることになる。これは今後3年の間に出て行く。問題はこれらの支出が何年で回収できるかが示されていないことだ。
 港湾事業収入は主に繋船料だが、ここでは夢洲の売却益などを挙げている。夢洲売却益などは早くても事業完成後からだ。その間は大阪市や金融機関からの借入でまかなうことになる。これらは原則、有利子負債である。しかもその額は、その時々の景気に左右されるので一定しない。つまり何時までに完済出来るかわからない。今後数10年に渉って借金を払い続けなければならない。払えなくなれば倒産だ。中国資本にでも身売りしなくてはならないか。
 つまりIR、万博用地の地盤対策費は、なんら科学的根拠を持たない楽観論に基づくものに過ぎない。その元を作ったのは松井、吉村に代表される維新の強引な政策指導にある。そしてその失敗の後始末は、必ず大阪府・市民に押しかぶさってくる。これが「失敗の本質」だ。
(22/02/04)

 夢洲IR用地地盤改良に伴う800億円負担に続いて、今度は地下鉄の夢洲延伸に伴う地下駅での軟弱地盤対策その他で129億円の追加支出。大阪市は軟弱地盤とか、異物の混入など後から分かったなどと聞いた風な言い訳をしているが、そんなことはない。
 そもそも夢洲を造成したのは大阪市港湾局。港湾屋は軟弱地盤対策は本業中の本業。埋め立て土の中身やその下の地盤がどういうものか、知り尽くしている。大阪市だけでなく、大阪の基礎や地下工事、地盤調査に携わった経験のあるものなら、あのあたりが超の付く軟弱地盤地帯ということは、誰でも知っている。それを”今分かった”風に言い訳するのは、事実を隠していただけ。何故隠していたのか?当たり前だが本当のことを言うと、議会や市民やマスコミから反発を食らうからだ。
 ところがありがたいことに、今や議会は維新が占領している。おまけに昨年の衆院選はi維新は大阪で全勝。最早怖いものなしだ。そこでそろそろ本当のことを明かし、大阪府・市民を「しゃーないなあ」と思わせる洗脳作戦に転じた。ここで重要なことはマスコミを如何にだまらせるか、である。
 先日読売新聞と政策協定を結んだ・・・読売OBの大谷昭宏はカンカンに怒っていたが。要するに読売は、維新が不利になるような報道はしません、その代わり大阪府・市は読売には他社に先駆けてネタを提供しますよということだ。これは正式協定だが、読売テレビやフジ・産経・関テレは以前から維新ヨイショ路線だ。つまり「マスコミも抑えて」しまっている。
 本日ヤフーニュースを見ていると、この記事を出しているのは関テレと読売だけ。両者とも、「工費が129億円増えますよ」と、淡々と伝えるのみ。批判も何もない。だから後から後から追加支出をしても、誰も批判しなくなる。みんな「松井はん、吉村君がやってんやから、しゃーないなあ」で、府・市民を馴らし、終わらせてしまうのである。うっかり声を出せば、それこそ「お前、大阪から出ていけ」と呼ばれるのだ。これは維新のオリジナルではなく、昔から自民党がよくやっていた手だ。
 ズバリ言えば、関西万博関連事業費というのは、大阪府・市行政と大阪府・市議会(=大阪維新の会)とゼネコンとの三角八百長のようなものだ。これにイッチョカミしているのが、読売・関テレといった関西メデイア。
(22/01/12)

 大阪市が誘致を進めているのが夢洲へのIR。その土質改良費(地盤改良ではない)に800億円かかり、全額大阪府負担となった。理由は地盤からヒ素が見つかったので、土質改良が必要だということだ。しかしそんなこと初めから分かっていたことだ。分かっていたが後戻り出来なくなるまで隠して、ギリギリになって実はこうですといって、うやむやにしてしまう。かって青函トンネル始め公共事業でよく使われた。それどころか、日米もし戦わば日本必敗予測シミュレーションは太平洋戦開戦間際まで隠蔽されていた。
 夢洲の汚染物質はヒ素だけではない。そもそも産廃処理場だから、あらゆる物質が集まってくる。その中に有害物質が混じっていても当然。アスベストやダイオキシン混じりのゴミなどだ。但しアスベストはコンクリートで固結されているからまだましだが、IR施設工事で破損される恐れはある。大阪IRや万博にどんな問題があるでしょうか?
1、IRの基礎;IRは恒久建造物だから当然杭基礎になる。現在の建築基準法では、重要施設・・・この場合不特定多数の人間が大勢立ち入ることを前提とした施設と思えばよい・・・の基礎に摩擦クイは認めていないので、当然支持クイになる。
 クイの支持層は夢洲のあたりでは大体地下70m位になるが、層厚も小さくあまり当てにならない。40mあたりに中間支持層があるが、これも頼りにならない。70m級のクイになると一本当たり、1000万円位になる。そういうことを大阪市は事業希望者に説明しているのでしょうか?これは重要事項の説明に該当し、もし事後に分かったとすれば、大阪市は事業者から損害賠償責任を訴えられることになる。もしなっても大阪市が”認諾”すれば、賠償金は大阪市民に降りかかることになる。
2、パビリオン基礎;IRが恒久施設ならパビリオンは一時的施設である。また建物荷重はIRに比べはるかに小さい。といっても半年間は安全に維持されなければならない。荷重が小さく短期間使用だから仮設構造物として扱っていいのじゃないかという意見もあるだろうが、国ごとに基準が異なるので大阪市単独では決められない。例えばイギリスでは仮設構造物も本設と同様の 安全性を求められる。
 たかが半年しか使わずそれもプレハブに毛が生えたような建物の基礎に、40mも70mも杭を打つ気になれるでしょうか?おまけに周りの地盤はヒ素混じりのゴミの山だ。国によっては「じゃヤメタ」なんてのも出てくるかもしれない。
 そこで筆者が考えるのは、動圧密による地盤の締固めである。これは重さ数tの重錘を地上10数mから落下させ、地盤を締め固める・・・タンピング・・・という工法。工法そのものは単純だが、問題は重錘とそれを扱う重機の運搬費。一回当たりン100万から1000万ぐらいかかる。場合によっては全体工費の大部分を占めることがある。パビリオン一つ一つでこんなことをやってられない。しかし幾つかのパビリオンが共同でこれを発注すれば、運搬費を分散出来るので、1パビリオンあたりの負担は小さくて済む。
 タンピングの跡には深さ1m、直径2mほどの穴が開く。これが土が締め固められた証拠になる。そこでこれを整地しネットを敷き、砕石を詰めて上にコンクリートの基礎を打つ。ネットは地震時に於ける基礎の側方変位を拘束するためである。これなら軽量のパビリオンに対しても深い基礎は必要はなく、浅い基礎でもそこそこの支持力を与えることはできる。
3、その他の問題;IRの最大の問題は本当に誘致できるのか?開業しても採算が取れるのか?長期的持続性は担保出来るのか?などがある。これらはみんな経済学の問題で地質学の関知するところではない。
 問題は万博で、莫大なインフラ投資を行って実施出来たとしても、そのあと地上設備は皆取り壊しだ。これらは新しいゴミを作る。夢洲は元々ゴミ捨て場。土質改良やなんかでゴミを捨てても、またまた新しいごみが出来るのだから、何をやっているか分からない。その中に何か有害物質が混じっているかも分からないのだ。
(21/12/25)