海陽中学お受験希望の皆様へ

 ズバリ、この中学お受験は奨められません。まず三年間の授業料その他負担費が1500万円と異常に高額であること。それに対する対価の保証がないこと。殆ど豊田商事や悪質リフォームと変わらない詐欺的商法だということです。これだけなら、単なるへそ曲がりの言いがかりに過ぎないとお思いでしょうが、そうはいかない。豊田の奥田やチョンコ(張)ごとき何ほどのことやある。
 この学校の問題は大きく次の三点にある。
1)経営母体が企業立でそれも三者に分かれる。
2)経営者は教育には無経験の素人である。
3) 学校設立に関し、文部科学省の役人の出向を願った。

1)経営母体が企業立でそれも三社に分かれる。
 経営母体はトヨタ、中部電力、JR東海の三社である。理事会はこの三社の代表者で構成されるだろう。但し、三社とも経営者はサラリーマンでオーナーではない。要するに利益は要求するが、責任は持たない典型なのだ。この学校の経営形態は未だよく判らないが、おそらくは株式会社を志向しているのではないか、と思われる。問題は経営母体が三社に分かれるため、学校経営の経営方針が一定しない可能性が高い。今は各社(の経営者)とも一つの理念で一致しているに見えるが、時間が経てば判らない。名古屋という地域は、かつて織田・徳川・豊臣といった英雄を産んだ土地であるが、それは三者がバラバラの価値観を持っていたからである。上に挙げた三社はバラバラの価値観を持っているのでしょうか?もしそうなら救いはあります。海陽中学お受験の皆様は是非その点を経営者に確認すべきです。

2)経営者は教育には無経験の素人である。
 たかが自動車屋や鉄道屋・電気屋に教育の理念などあるはずがない。こういう連中が学校理事会を構成する。更に学校経営に直接タッチする事務スタッフは各社からの出向者で固められるだろう。彼等も又教育の素人である。素人が教育現場に口をだす。日本のプロ野球の最大の問題は、フロントが本社から野球に素人の出向者で支配されていることである。それでもプロ野球は親会社が一つだからまだましである。この学校の場合は頭が三つもあるから簡単ではない。早速起こるのが、親会社単位での派閥作りと権力争い。その内教師の方が嫌気をさして一抜けた、二抜けたで教師陣がガタガタになる。生徒も勉強どころではなくなる。
 この例を挙げておきましょう。先月大事故を起こしたJR西日本という会社の最高経営陣は設立以来、事務屋が占めてきていた。彼等は鉄道経営に関してはプロかもしれない(実際はこれも?でやっぱり素人だったのじゃないかと思われる)が、鉄道運営にはまるっきりの素人だった。でなければ余裕時分0という芸術的ダイヤを認める訳がない。今回のこの学校経営者は学校教育の経営も運営も素人である。一体どんな経営・運営を擦るのでしょうか?

3) 学校設立に関し、文部科学省の役人の出向を願った。
 これはズバリ八百長です。談合以上に酷い不公正である。これは例えば、あるデベロッパーがゴルフ場開発をやるときに、社長が県知事に話しを付けて、許認可を下ろす県の担当者をデベロッパーの社員にして、開発許可申請書を作らせるようなものだ。無論、普通のデベロッパーはこんなことはやっていないでしょう。又、これまで学校を設立した学校法人もこんなことはやっていないでしょう。私はこれまで多数の開発許可申請に関係したことがあるが、こんなことは聞いたことがない。当に前代未聞である。設立許可申請は、その筋のコンサルタントに委託することはあっても、原則として自分でやるものだ。それを自分で出来ないから、文部科学省から人員を派遣させたのだろう。要するに、この学校法人自身に学力がないのである。誰がこんなことを考えたのか?JR東海じゃないかと思われる。JR東海の前身は云うまでもなく国鉄。かつて国鉄と運輸省との間には人材交流があって、例えば新線の営業許可だけのために本省から担当者を派遣させていたという噂は聞いたことがある。要するにけじめが付いていないのである。経営者がこんないい加減な連中なら、教師だって皆右に倣えで、いい加減になる。生徒もいい加減になる。中高校生というのは人生の中で一番デリケートな時機。この時にいい加減さを学ぶと将来どうなるか?
 しかし、文部科学省は親切ですねえ。海のものとも山のものとも判らない学校の設立申請に現役官僚を派遣するのだから。何故でしょう。少子化の影響でバブル期に作られた学校の倒産が、最近相次いでいます。これは文部科学省とその系列役人の天下り先が段々と無くなっていくと云うことです。ところで、この海陽中学というのは久々のシンネタ。おまけにスポンサーは最近調子の良い中部三羽烏。ここで恩を売っておけば今後の天下り先確保に困らない、というのが真相でしょう。
 要するに、この学校の父兄というのは、文部科学省役人の退職金現金支払機ということです。しかし、そう安心ばかりして良いのでしょうか?スポンサーの三社はどれも名古屋商人です。都合が悪くなると責任を他人に押しつけてさっさと逃げ出す可能性は高いですよ。特にトヨタなんか。その後は自己責任という具合。 

 海陽中学はパワーエリートの養成を目的とするらしい。日本でもかつてパワーエリート養成校があった。それは海軍兵学校である。これは間違いなしのエリート養成校だった。海兵の教育方針はヨーロッパの伝統的エリート理念を日本に移入することである。ではヨーロッパの伝統的エリート理念とはどういうものか
1)危険に当たって自分を最も危険な場所に置く。例えば陸戦では最も目立つ先頭に立つ。海戦では敵弾が最も集中する場所を占位する。
2)待避に当たっては、兵を優先し、自分は最後とする。
3)勝利は兵の手柄とし、敗北は自分の責任とする。
4)戦死・負傷について政府・社会に補償を求めない。

 海陽中学を受験希望の皆様は以上述べたことを是非勘案して、受験するかどうかを決めてはどうでしょうか。(05/07/20、07/21加筆修正、07/22文章の一部に差別的表現があったのでその部分を削除)


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