川崎重工事件と日本の技術


 大林組の某部長が就職面談に来た女子大生に手を出して、それが週刊誌に暴露。ダメなのは勿論女子大生に手を出したアホ部長だが、輪をかけてアホなのが本社の人事部長とその部下の課長。元々、大林という会社で女性トラブルなんて聞いたことがなかった。それはこの会社が真面目だったからではなく、若い女性にもてるほどいい男がいなかっただけである。その代わり80年代位前までは、下請けをイジメて・・・誰とは名前は言いませんが・・・裏金を作らせて、家を建てた悪党所長の噂は結構聞いたことがある。
 そういうのも、昔大林で実権を握っていた某重役が、関空談合疑惑で退社してからいなくなって、まともな会社になったと思っていた。ところがまたもやかつての古い遺伝子が復活したようだ。どういう遺伝子かというと、中身は大したことはないのに、大林の名前をちらつかせれば、誰でもいうことを聞くという思い上がり遺伝子である。
 人事部のやり方は週刊文春では、あたかも女子大生側に非があったような言い方だ。これは昨年世間を騒がせた、財務省の福田と同じパターンである。これは社会的イメージが物凄く悪い。本人達は会社を守ったつもりだろうが結果は逆効果。こういうことはよくある。
 この所為で今年から大林への応募者はいなくなるだろう。ただでさえ人手不足だ。それに対し自ら追い打ちを掛けているようなものである。何故そうなるかというと、上で挙げたとおり、社内に会社ファースト主義が蔓延しているからである。この会社ファースト主義は回りまわって自分の首を絞めることになりかねない。経営者はこの点をよく考えて社員教育をすべきだ。
(19/03/14)

 カヤバ製作所製の免振ダンパーに検査結果ねつ造が発覚しました。会社は必死にこれを現場サイドの仕業と、責任転嫁や問題の矮小化にこれ務めるが、そうではあるまい。
1)まず全出荷量の7割にねつ造があったというから、これはとても現場サイドだけの判断で出来るとは思えない。
2)データ改ざんは口伝てで伝えられたという。公にできない理由があったのだろう。又改竄が一部のセクションだけなら、その部署に転勤なり配置換えがあれば、途中で改竄は終わるか、別の伝達方法があったはずだがそうではなく、20年以上も工場全体でおこなわれていた。
3)記者会見で「ダンパーを初めから組み立てなおすと3~5時間かかる・・・・」といかにも作業員が手抜きをしたような発言をしたが、これは大ウソである。確かに3時間も5時間もかかる作業をやり直すのは面倒だが、それは個人の問題である。上に挙げた長期間のデータ改ざんを口頭だけで伝える必要はない。第一エンドユーザーは納品が3~5時間遅れたところで文句は言わない。ああいう工事の工期は短くて日単位、せいぜい週単位で考えるものだからである。
 ずばり、何故カヤバがデータ改ざんに奔ったのかというと、その目的は残業カットである。マスコミによく出てくるのは「納期」の制約である。しかし免震ダンパーなど、メーカーも少なく殆ど競争のないズバリ談合業界である。そういう業界ではメーカー4の立場の方が強いから、納期はメーカーの方で決められる。つまり社内納期である。
 受注が増えれば増えるほど製造工程の計画はより複雑になる。何処かで不適合品が見つかってそれを修理すると、当然操業時間は長くなる。それを回収するには、その時点で残業してでもやり直すか、翌日に後送りする。前者では製造コストが高くなり、利益が圧迫される。後者では工程の遅れがどんどん積み重なり、これも結果的にはコストアップに繋がる。
 そこで誰か知恵者がいて、あるアイデアを出した。それがデータの改ざん・ねつ造である。これなら残業も発生せず、納期も守れる。会社にとって万々歳だ。このアイデアがどの段階まで了承されていたか分からないが、相当以前から行われていたこと、その間不可思議なことも気づかれていあにようだから、経営トップまで伝わっていた可能性は高い。
 何故こんな禁じ手を使ったのか?それはバブル崩壊後の外資系ファンドの進出が無視できない。萱場製作所は昔から仕手株として有名だった。会社法の改正で総会屋は追放されたが、代わりに入ってきたのが、物言う株主。例の村上ファンドもカヤバに目をつけていたという噂もある。ここで経営上の弱点を見せれば、これらハゲタカファンドに狙われる。そこで見かけ上経営実績を良く見せるために残業カットを行った。
 一方現場としても残業して不適合品を手直ししても、残業が払われないのなら、やらないほうがマシだ。データ改ざんは両者の要求を満足させる最も簡単な方法だったのである。
 そこで滑稽だったのは国土交通省。事件発覚後云ったことが「直ちに倒壊崩壊の恐れはありません」。一体何を言いたのでしょうか?何もしなくても構いません、そのまま安心して暮らしてくださいということか?
(18/10/20)

 新幹線「のぞみ」の台車の亀裂が、台車製造時の外枠の整形に失敗して、外面を削って辻褄合わせをしたことが分かった。いかにも神戸的発想だ。何年か前、神戸の長田の住民から、ちょっと我が家を見てくれと頼まれ、見に行ったことがある。家の横に里道があり、それは周辺住民の生活路として使われている。里道との境界は神戸市所有の古い擁壁。これがお粗末でひびだらけ。一目で使いものにならないことが分かる。おまけに家の方に前傾している。依頼者はこの擁壁に隣接してアパートを所有している。消費税アップの前にアパートを増築しようとしたのだが、傾いた擁壁が邪魔になって施工が出来ない。そこで神戸市に擁壁を何とかしろと掛け合ったが、言を左右して応じない。おまけに、擁壁の前を削ったらどうかなどというナンセンスなことを言い出したらしい。 川重事件を見て思わずこの件を思い出した。
 要するに中身はともかく、とにかく外面をきれいにして、辻褄を合わせればそれでよいという文化である。戦後神戸市が造成した土地はみんなこの文化でやっているから、後になって陥没は起こすは家は傾くはで、危なくて仕方がない。この神戸市文化がいつの間にか、民間企業にも伝染していったのだろう。
(18/03/01)

 新幹線「のぞみ」の台車ひび割れ事故。筆者は車軸と軸受けのトラブルではないかと思う。軸受けが歪んだり偏芯したりすると軸受けに摩擦が発生し、うなり音を立てたり、摩擦熱で潤滑油が発熱発煙をだすことがある。軸受けの偏芯の原因としてはベアリングの摩耗があげられる。台車の亀裂は車軸の偏芯によって、台車に剪断力が発生したものと考えられる。結局は使い過ぎか?事故車両は共用開始から10年、走行距離60数万㎞と云われる。これが多いか少ないか筆者にはわからないが、その間の整備状況の確認がポイントになるだろう。書類の改竄、データの捏造も当然頭に入れておかねばならない。神戸製鋼製だったりして。
(18/02/16)