緊急提言! 「大阪市再生計画」
 今、当に緊急の事態です。ワタクシ横井和夫が大阪市を救う緊急の提言を行います。


            緊急提言;大阪市再生計画
                      技術士 横井和夫
1、 始めに
 皆さんご存じのように、今大阪市の財政事情は破綻寸前であるらしい。"らしい"というのは大阪市当局が明確な財務諸表をオープンにしないため、はっきりした数字が誰も判らないからである。従って、一般市民や部外者としてはマスコミ報道によってその問題を知るしか方法がない。しかし、マスコミに騒ぎ立てられること自体、内部に問題を抱えていることの証拠である。特に問題とされるのは大阪ドームを始めとする三セクの大幅赤字である。これらの点から大阪市が赤字再建団体に転落するのは最早目前とされる。何故このような事態になったのか。
 要するに無能な人間が権力を握っていたからに他ならない。このような放漫大阪市財政を放置してきた責任は、第一にヘボ学者上がりの小役人である磯村隆文市長、その周りに群れる木っ端役人や市会議員にある。従って、先ず再生の要点としてはこれら悪党を追放し、更に無能・無責任という点で彼らと変わらない「大阪市立大学」という箸にも棒にもかからない「えせ」アカデミーの解体が必要である。これらの関係の分析は本来大阪市大経済学部の役割なのだが、主犯の磯村が市大経済出身なのだから、彼らの分析は信用できない。しかし、理学部と経済学部が喧嘩しても問題は解決しない。課題は如何にして大阪市の経済を再生するかということである。
 なお、大阪市財政の評価は市大商学部の責任である。一体これまで何をしておったのか。
2、 問題解決の着目点
 問題が複雑化した時、解決のためには「まず、原点に返れ」とよく言われる。大阪市財政状況悪化の第一の理由は税収不足にある。税収不足の理由は現在の不景気が大阪産業の基盤である中小企業を直撃していることだが、背景には優秀な人・企業が大阪から逃げて行き、よそからの人、企業も大阪を素通りすることにある。例えば、数年前、住友金属や松下電器のような大阪を代表する企業までが本社を東京に移してしまった。何故か、大阪に魅力が無いからである。魅力が無い理由の一つとして人が集まらないということが挙げられる。
 大阪市はこれまで人を追い出し、内部を空洞化する事だけに熱心だった。先ず、これを改めることから始めなければならない。
 第二に三セクを始めとする公営企業の大幅赤字である。この原因はバブル時代に有頂天になってつぎ込んだ過剰投資のつけである。
 第三に市会議員や市職員の高給、高額退職金がある。大阪市大教員の給料も発表論文数や内容に比べ高すぎるのではないか。民間並に成果主義を取り入れるべきである。
 ここで、第二、第三の問題はむしろ財政再建の問題である。無論、財政再建と都市再生は表裏一体だから同時に取り組まなければならないのは当然である。現在のコイズミ内閣のように構造改革と景気対策を分離するやり方の方が間違っている。しかし、財政再建は相当専門領域に入るので、筆者の能力に余る部分がある。従って、ここではテーマを第一の問題に絞って提言を行うものとする。
 どのような都市でも、先ず中心となるエリアがあり、そこが経済的に発展する事により、その余剰利益が周囲に拡散し、それにより都市地域が拡大していくという過程を辿るものである。いや、東京はそうじゃない、いくつもの副都心があってそれが相乗効果を発揮して発展しているのだ、という意見はあるだろう。しかし、東京が複数の副都心を必要としたのは、中心に皇居及び国会という絶対不可侵領域があるにも関わらず、周辺からの過剰人口流入があったに過ぎない(それと都市設計の思想がそもそも江戸と大阪とは大きく異なっている)。50年代以降の大阪市の都市計画は、どうも単純に東京の真似をしてきただけではないか。
 大阪の都市規模(人口、GDP)は東京の1/2以下である(この比率は江戸時代以来恐ろしい程変わらない)。つまり、東京ほど都市規模は大きくなく、また、中心に絶対不可領域があるわけではないので東京の真似をする必要もなく、伝統的な中心部活性化方式が使える筈である。
 大阪の中心とは何か。それは誰が考えても「御堂筋」だろう。つまり「御堂筋」が活性化すればその効果は次第に周辺に波及する。一方、現在大阪市財政再建の足を引っ張っている大阪ドームやATC等の三セク施設は大正区、港区といった僻地に偏っている。このような僻地に幾ら豪華な建物を造っても、もともと人口が少ないのだから経済効果がある訳がない。
 それと今駄目なのは中央区を中心とするいわゆる「御堂筋」(概ね淀屋橋から心斎橋にかけて)で、新御堂筋に沿った新大阪・江坂・千里中央といった地域は結構元気だ。何故かというと、大阪を南北に縦貫する大動脈としての新・旧御堂筋が持つ絶対利便性には、他の筋や通りはとてもかなわないからである。従って、御堂筋の活性化が大阪の経済再生に繋がる根拠となるのである。
3、 御堂筋の現状と問題点
 「御堂筋」とは、大阪市中心部を南北に縦貫する歩道併設の「4種国道」で、流行歌にも歌われた大阪を代表する道路である。中世に北御堂、南御堂があったためこの名が付いた。江戸時代はそう大きな筋(大阪に於ける南北方向の道路の名称)ではなかった。大正末期、当時の名市長と言われた、関市長が「御堂筋」の拡幅と地下鉄の建設を始めた。これは当時としても大変な事業で関市長は山師呼ばわれされ、市議会からも猛反対されたのだが、関市長はそれをやり遂げてしまった。
 関市長は御堂筋のモデルをパリの「シャンゼリゼー通り」とし、それにならって御堂筋に隣接する建物の高さを30mに制限したと云われる。いわゆる「御堂筋条例」である。ここで少し考えて見よう。関市長が御堂筋拡幅を計画した大正末期から昭和初期にかけて、大阪で30mを超える建物は大阪城と通天閣を除けば殆どなかった。日本中でも、それに近いものとしては東京の銀座通りしかない。在りもしない物に規制を掛けるなど通常考えられない。ということは、関市長の意図は御堂筋の両側に、我が国でも前例のない30m級のビル群を誘致し…逆に言えば30m級のビルでなければ建築を許可しない…、それによってハイカラでモダンな街造りを行って大阪の近代化の象徴としたかったと考えられる。
 それから幾星霜、ハイカラでモダンな街造りという当初の理念は忘れ去られ、高さ制限という全く意味の無い規制のみが残ってしまった。
 では御堂筋の現状はどうなのか。御堂筋界隈はかつて日本一のビジネス街であった。今は日本一ではなくなったが、その性格は変わっていない。平日の日中は大勢の人間がせわしなく歩いている。しかし、土曜、日曜、平日の午後6時過ぎに御堂筋に立ってみると、殆ど人通りはなく閑散としていることが判る。都市として最も活力を持つべき時間帯に「御堂筋」は死んでいる。モデルにした「シャンゼリゼー通り」は今でも世界中から観光客が集まって来るが、御堂筋には誰もやって来ない。何故、このようなことになったのか。
 御堂筋の両側には同じようなビルが、あたかも近衛兵の様に屹立し、面白くも何ともない。通りというものは、両側に立ち並ぶ建物と一体になって個性を作るものである。御堂筋の場合、建物に個性が無いから、通りそのものも個性が無くなり、只の道路になってしまっている。この原因の第一は「御堂筋」条例による高さ制限である。又、この規制はデフレ経済下では地価下落の原因となり、結果として大阪市財政悪化の元凶にもなっている。それに、御堂筋沿いは妙なプライドがあって、地価は下がっていると云っても、周辺の堺筋や四つ橋筋に比べて高いのである。
 まず、高さ制限があって地価が相対的に他所より高い地域に、都市再開発意欲を持つデベロッパーが魅力を感じるだろうか。高さ制限があれば、開発床面積には自ずから限界が出来るから、投資に対する回収率が悪くなる。だから、デベロッパーは制限が無く、相対的に地価の低い新御堂筋沿いに向かう。結果として御堂筋沿いの開発需要は乏しくなり、地価の下落は止まらず、空洞化がますます進む。それと御堂筋沿いの企業には銀行・生保・ゼネコン・商社といった日本の景気回復の足を引っ張っている駄目業界が多い。再生のためには、この連中を追い出して元気の良い企業を引っ張ってこなければならない。そのためには、旧来の慣習に囚われない思い切った施策を行って都市需要を創出し、拡大することが急務である。
4、大阪市再生の方策
 ここでは、以下の3点にテーマを絞って、筆者の大阪再生計画案を述べる。
1) 御堂筋の活性化
2) 船場島之内の活性化
3) 運河の利用
4.1)御堂筋の活性化
 このために必要な施策は次の3点が最低必要と考えている。
(1) 御堂筋条例を廃止して高さ制限を撤廃する
(2) 御堂筋の拡幅
(3) 拡幅部の非課税自由使用
(1)御堂筋条例を廃止して高さ制限を撤廃する
御堂筋が現在のような死に体状態になった最大の理由は「御堂筋条例」にある。従って、天下の悪法である「御堂筋条例」をまず撤廃しなければならない。これにより、御堂筋周辺の資産価値は向上し、地価は上昇に転じ、税収はアップするのである。
(2)御堂筋の拡幅
 高さ制限の撤廃だけでは人は集まらない。同時に御堂筋を拡幅する。拡幅対象は歩道とし、現状の2〜2.5培にする。つまり、両側の地権者には高さ制限を撤廃する変わりに、それに見合った土地を提供していただいて歩道部を拡幅する。要するに区画整理に伴う等価交換方式を適用する。これなら、大阪市は用地買収に要する経費負担が実質的に無くなる。
 なお、歩道拡幅部を利用して現在の地下鉄御堂筋線を複々線化する。既存軌道は従来通り大阪市交通局が使用し、増設部は阪急・南海・JRの使用とする。次に述べる歩道部自由使用が軌道に載って、御堂筋に人が集まり出せばこれは絶対に必要なのである。いや、堺筋線や四つ橋があるから必要ないじゃないかという意見はあるだろう。これこそが木っ端役人の屁理屈である。平行路線が出来て一体何年経っているというのか。昼間にこの路線に乗って見ればよく判る。がらがらなのだ。イラチの大阪人気質を理解していない理屈である。
(3)拡幅部の非課税自由使用
 次に歩道拡幅部分はフリーゾーンとして、原則自由使用を認める。具体的には各種パフォーマンス、フリーマーケット、カフェテリア、ポスターセッション、自由演説会場などが考えられる。難波高島屋の前とか、御堂筋とは離れるが隣の靫公園当たりにロンドントラファルガー広場並の自由演説会場を設けるのも面白い。目的は人集め・話題づくりなのだからいわゆる公序良俗を著しく乱さない限り何でもOKとする。使用料も原則無料が良いだろう。木っ端役人ほど、公的空間を私的に利用するのだから使用料は必要だと主張するだろう。これも又、屁理屈なのだ。自由使用を認めない場合の徴税コストと実質徴税可能税収を比較すると、計算するまでもなく無料にした方が得になる。
 しかし、御堂筋の拡幅や地下鉄の線増には莫大な経費が必要である。これを一体誰が供給し負担するのかという問題が残る。以前であれば国の公共事業に乗っけるのが最善とされていた。今はそういう時代ではない。基本的には自前で賄わなければならない。当面考えられるのは高さ制限撤廃に伴う都市計画税の導入である。つまり、拡幅と高層化によって人が集まって来るようになれば、街路に面しているビルとその所有者は利益を蒙ることになるのだから、応分の税負担は当然と考えられる。それでも足らなければ江戸時代に帰って間口税を導入しても良い。
4.2)船場島之内の活性化
 以上は表通りの話である。これの裏側、つまり北は土佐堀川、南は道頓堀川、東西を東西横堀川に囲まれた一画を船場島之内といい、かつての大阪の中心であった。表通りと同時にこの地域の活性化も計らなくては片手落ちである。現在の船場の問題は概ね次の3点が挙げられる。
(1) 中小企業が多く、時代を経た古いビルが多い。
(2) 5、10払いに代表される古い商習慣が残っている。
(3) 不法駐車の名所である。
  一方で、一片約2qという手頃な地域にビジネス上のあらゆる情報が集まっているのは商売にとって極めて便利でもある。だから既得権を持っている中小企業や駄目企業がなかなか出ていかない。
 (2)(3)も都市問題の解決には重要だが、いささか枝葉に類するので、ここでは(1)に着目して活性化方策を述べる。この地域の最新の組織的近代化は昭和40年代前半の万博時代である。それから既に35年近くが経っている。現代のオフィスでは社員一人に対しパソコン1台というのは当たり前で、人によっては一人で2台も3台も動かしているのがいる。更に周辺機器を考えると社員一人当たりの占有面積は昔に比べ遙かに大きくなっている。経営者によっては、この実態を十分理解出来ていないケースはあるだろう。つまり、船場が提供出来る設備は最早時代遅れである。おまけにうんざりするような不法駐車の列である。
 このような場所を台湾やシンガポールのビジネスマンが見た時、魅力を感じるだろうか。彼らの投資対象が東京にシフトするのは当然なのだ。代わりにAPCやWTCがありますよ、といったところで現実にこれらの施設への入居者がないんだから全く説得力がない。
 船場島之内の問題は、ビジネスの便利さという点で魅力があるにも関わらず、それをホローするインフラ整備が先送りされて来たために「宝の持ち腐れ」になっている点である。これも又思い切った施策が必要で、島之内全体を容積地区に指定して高層化を計るのは最低必要手段である。
4.3)運河の利用
 かつて大阪は水の都と呼ばれていたが、実態は逆で大阪ほど水と川を虐待してきた街はない。大阪南を象徴する河川は道頓堀川である。この川の実態をよく見てみよう。両サイドの道頓堀通りや宗右衛門町の店はみんな道頓堀川に背を向けていることがわかる。大阪の人間は川と共存する方式を選択せず、単に下水として利用してきたのである。その結果、今になって水質改善に莫大な費用支出を強制されている。では、京都をみてみよう。京都を代表する川は賀茂川である。四条から三条にかけての賀茂川右岸を見てみると、どの店も川側にも顔を持っている。だから夏になると「床」という別のビジネスが産まれるのである。
 道頓堀川を始め東西横堀川は現在まで残っている貴重な都市運河である。その重要性は大阪直下地震時の防災空間になるだけではなく、都市の温暖化防止や観光資源に活用出来る。問題はこれを今後如何に活用するかである。それほど難しいとは思えない。運河条例を作って、運河に面している建物の増改築に当たっては、河川への出入りを確保出来る通路や施設の設置を義務付け、代わりに河川利用権を与えればよい。河川が利用出来るのなら、川の水質改善にももっと真剣になるだろう。
5、戦略 
 以上述べてきたことは、人によっては…特に経済屋からは…素人が考えた小手先の解決策だ、根本的な解決にはならない、世の中はそんな簡単な物じゃないんだよ、といった批判が出てくるのは目に見えている。しかし、問題はその様な簡単な施策すら出来なかった大阪市当局の無能さにある。
 どのような巧妙な解決策でも、それを成功させるには全体を見通す戦略、それを担保する思想・哲学が必要である。残念ながら、現在の大阪市当局にはそのいずれも欠けている。筆者が磯村市長の早期退陣を求める理由はその点にある。
 2~3年前に大阪市は2008年度オリンピック誘致のための大規模なキャンペーンを繰り広げた。事前審査のためにIOC委員が大阪までやって来た。その時点で北京が最高得点を取っており、次期開催場は北京が本命で、大阪は対抗にすらなり得ていなかった。にも拘わらず磯村市長はわざわざモスクワまで行って国際的に大恥をかいてきたのである。
 この時に、毎日新聞に面白い投書があった。それは「大阪は事前審査で負けたのだから、本選では北京の応援団に徹せよ」という物であった。これは実に興味のある指摘である。
 中国人は一体何を動機として行動するかというと、それは「義」である。三国志演義や水滸伝を読めば如何に中国人が「義」を重視しているかが判る。これは中国人のDNAのようなものだから政治体制では変化しない。もし、大阪が北京を応援しておれば、中国は大阪に「義」を感じ、結果として、大阪がその後の中国資本の対日投資の中心になったかもしれないのである。特に中国は共産党主導だから、党中央の指示・指導には誰も逆らえない。このメカニズムを利用すれば、今のような不景気は免れただろう。磯村市長は北京をライバルとしたため、返って中国の反感を買ってしまい、結局は現在のような大阪のじり貧を招いたのである。その点で磯村隆文の罪は万死に値するだろう。
                                      以上


本日(03/8/18)夕、磯村大阪市長の引退(次期市長選辞退)が報道されました。やっと大阪再生計画に灯がともりそうです。メデタシメデタシ。なお、自民党市議の誰かが「次期市長行政・財政手腕の優れた人が望ましい・・・」と云うようなことを云っておったが、これは次期市長の間違いでしょう。


以上はおおよそ2年前の話しです。その後、磯村は退陣し、関市長が誕生した。その後、湧いて出たのは、大阪市職員過剰福祉問題。関も問題はここまで大きくなるとは思っていなかったかも知れない。
 大阪市職員問題は今までの(05/05)の報道では
 (1)過剰福祉
 (2闇給与
 (3)闇専従
 があげられています。一見これらは別問題のように見えますが、裏では全て一つに繋がっている。それは同和です。おそらく大阪市職員の1/3から1/4は同和関係者。環境局は90%同和と見てよい。当然、市職労の幹部は同和で占められる。市議会議員の構成も似たようなものだろう。これでは、一般市職員のまともな意見は上に伝わる訳がない。おまけに市長が選挙で同和と組合におんぶにだっこでは、どうにもならない。従って、大阪市問題は永久に解決されず、その内うやむやになるでしょう。廃止された闇給与も、何れ復活するかもしれないのですよ。


 筆者が「諸悪の根元は磯村前市長にあり」と指摘したのは2年前である。そして漸く、前市長に対する退職金返還や闇給与返還訴訟.。更に筆頭助役、市長室長などの、大阪市中心部に巣くう癌の摘出が始まりだした。筆者はもともと関現市長には全く期待していなかったが、さすがに糖尿病専門の医者だけあって、根本治療が必要と考え出したのだろう。とりあえず良い方向に動きだしているとは思うが、これから最大・最強の敵に立ち向かわなくてはならない。それは、市職員組合や、市議会とその周辺を支配している同和団体である。だからといって、大阪市改革を、中央政府や、ましてコイズミに頼ることは、断固反対である。自前の改革案を作り、自分の手で実行することが重要。(05/09/25)