耐震ねつ造問題(マンション構造設計書偽造事件)いろいろ
 
さて、ここで取り上げるのは、今話題の構造計算書偽造事件。事件の顛末は、みなさんご存じのことと思いますので、詳しくは述べません。事件関係者は概ね次のような関係になっています。

発注者(事業主) 設計事務所(元請け) 審査機関
 ↑↑
構造設計事務所(下請け)

 事件を起こしたのは、下請けである構造設計事務所(姉歯と呼ぶ)である。一般に云えることは
1)下請けである構造設計事務所が、設計データをねつ造しても、メリットなんか何もない。手間がかかるだけ面倒なのである。
2)最も利益を得るのは、発注者である。
3)元請け設計事務所が、発注者と一体化しているケースはある。その場合は、元請け設計事務所も利益は得られる。
 従って、事件発覚当時(11/18時点)考えたのは、姉歯は只のダミーで、裏で糸ひいている悪が必ずいるはずだ。ところが姉歯はマスコミ取材に対し
1)あくまで自分の判断でやった
2)コストダウンのプレッシャーがあった(業界全体にそういう雰囲気があった)
と云うのみである。
更に、次のようにも述べている
3)こんなねつ造など、専門家なら誰でも判るはずだ
4)審査機関や、国にも責任があるはず
 その後、具体的なねつ造方法が判った(11/19)。
 @正規の初期データを与えて、構造計算を行う。
 A初期データを低減したデータを入力し、再計算する。
 B@で作成した計算書の後半を、Aで作ったデータに差し替える。
 これは大変手の込んだ作業である。@で正規の計算をするのは、大概の計算ソフトでは、出力の最初に計算諸条件を示すことになっているので、この計算は正規にやってますよ、という目くらまし。計算書の本体は、殆ど数字の羅列だから、専門家でない限り、なんのことやらさっぱり判らない。Aの再計算過程はもっとややこしい。姉歯は最終的な断面を、この辺りに収めようとして、データの低減率を設定していったのだろう。余り極端に落としてしまうとばれるから、ばれない程度に収めておかなければならない。ラーメンの地震応答解析だから、全てトライアルの収束計算。少なくとも、数回程度以上のトライアルを繰り返さないと、世間をだませるレベルのデータは、ねつ造出来ないのではないか。Bの計算書のすり替えも、結構難しい。しかし、何ケースかやってみると、コツは判ってくるものだ。後は簡単。
 ところで疑問なのは、「2)コストダウンのプレッシャーがあった」という言葉だ。コストとは何に対するコストなのか?設計コストか、建築コストか?データねつ造は、オーダーメードでやると、上で説明したとおり、大変手間がかかり、正規の計算より数倍のコストがかかる。もし、設計料が一定額なら、ねつ造分だけ自分の持ち出しになる。従ってコストダウンの対象は建築コストだろう。しかし、単純請負業務だったら、コストダウン分のいくらかのバックが無い限り、メリットなどはないのである。だから、唯一設計コストをかけず、建築コストを低減しようとするなら、ねつ造データのパターンを予め幾つか用意し、物件に応じてそれを差し替える。これならコピー代だけで済む。設計コストもかからず、発注者のコスト削減要求にも対応出来る。但し、これはねつ造ではなく、手抜きです。
 果たして、姉歯の業務受注には次のような特色があることが判った(11/20 時点)
 @発注者は数社に限られる
 A発注者の側から、姉歯に直接業務依頼があったり、元請け設計事務所に下請け指定があった。
 B発注者は姉歯を指定する理由に、「仕事が早い」という点を挙げている。
@Aから、姉歯と発注者(数社)とは、密接な関係があったことが伺える。但し、最初1社だけとの関係が、その後口コミで広がった可能性はある。その理由として、「B仕事が早い」、ということだが、上で述べたねつ造の問題点から、仕事が早くなるはずがない。それとも「(ねつ造)の仕事が早い」という意味だろうか?従って、口コミの内容が今後問題になる可能性はある。
 早速マスコミでは、(1)審査機関や(2)国の責任を問う意見が出ています。
(1)審査機関の責任
 これは結構難しい。ねつ造をオーダーメードでやられたら、発見は極めて困難だろう、ということは云えます。事件発覚後、イーホームズの社長が「極めて巧妙な手口を使っていたから・・・・」というのは、それなりに納得は出来る。しかし、仮にワンパターンの設計データを・・・それも同じ事業主や設計者から・・・提出されて、それに気がつかなかったのでは、言い訳は出来ない。まともな審査をやっていたのか?という疑いをかけられても仕方がない。私の思うところ、あの業界も競争が激しく、まともな審査をやっていたのじゃ、商売にならない。やすく早い(つまり手抜き審査)ところに、審査依頼が集中する事になるのだろう。ISO審査と同じだよ。
(2)国の責任
 これはもっと難しい。そもそも、建築確認は地方自治体の委任業務である。特殊な構造体については、国の直接審査領域もあるが、今回問題になった建物は、全て普通のものであり、国が介入すべき物件ではない。もし、この件に国の責任を言い立てたら、せいぜい中高層レベル(これは現在、県・市レベルの許認可物件)まで、国の許認可が必要になる。構造計算ソフトが国の認可だから、結果責任は国にある、という意見もあるようだが、これは幾らなんでも飛躍した議論だろう。ソフトは薬ではないんだから。薬でも間違った使い方をすれば、副作用で死んでしまうことがある。
 もしこの件が裁判になったら、私の勘では(1)は五分五分、(2)は免責になるでしょう。
 では、他に責任者はいないでしょうか?います。それは(3)元請けの設計事務所と、(4)自治体、そして(5)事業主です。
(3)元請け設計事務所
 犯人への業務依頼は(イ)事業主→姉歯 、(ロ)事業主→元請け設計事務所→姉歯の2ケースがあるようだ。(イ)の場合では、設計事務所は構造設計に無関係のように見える。しかし、都市計画法では、事業申請者は申請代理人を定め、これを通じて事業申請を行うよう定めている。この申請代理人が、元請け設計事務所で、事業者に成り代わって、事業計画全般を管理する義務がある。構造設計や構造審査はその一環である。従って、確認申請前に構造設計をチェックする義務があると見なされる可能性はある。(ロ)の場合では、事業主から構造設計は姉歯へと云う指示があったため、元請けも「自分は被害者」だと主張しているようだが、元請け責任により、成果をチェックする義務がある。従って、どの場合でも、元請け設計事務所が、責任の一端を負うことは免れないだろう。裁判になれば五分五分か?
(4)自治体
 民間審査機関を直接指導・監督するのは自治体である。建築業界というのは、狭い世界だから、「あの審査機関に頼むと、審査が早く済む」などと云う噂は直ぐ業界に伝わる。都が知らないわけはないでしょう。何故なら、業界には必ず都のOBがいる筈だから。都は任意に審査機関に立ち入り検査が出来ます。報道では、姉歯のねつ造物件は、都内だけで10数件に登っている。これだけあれば、誰かからのたれ込みが無くても、一寸おかしいと思うのが普通でしょう。それとも、イーホームズに都のOBが天下っていたのか?裁判所は役所に甘いから、自治体の責任追及は難しいだろうねえ。
(5)事業主
 今のところ、事業主は「自分も被害者」だという態度をとっていますが、俄に信じられるでしょうか?事業主と姉歯との関係は今後、司直の解明によることになるので、ここでは余り踏み込んだことは云いません。しかし、TVで見たヒューザーの社長の顔を見ると、これは相当の人間だなという感はする。少なくとも構造設計に対しては「やすくて良いと云われるものは使う」と云っていたから、姉歯を相当叩いたのではないか?

 今の状況では、国交省や都、業界は、今回の事件を、姉歯建築事務所個人に起因する特殊事件として、処理したがっていることは見え見えです。JR西日本尼崎事故でも、事故の原因を、運転士個人の問題に帰結させたがった意見・論評が多かった。それと同じ状況にあるように見える。

 この問題の本質は、規制緩和とグローバリズム、そして・・・資本論的に云えば・・・現代日本をはい回っている「新自由主義経済という妖怪」です。
(1)まず建築確認の民間委託だが、これこそ「大きい政府から小さい政府へ」のかけ声の本、90年代後半から、 一斉に始まった行政改革の一環です。但し、始まりはコイズミ改革ではなく、もとを辿れば中曽根行革、更にアメリカの強い要請が背景にあります(クリントン政権下での「対日年度改革要望書」。郵政民営化もこの一つ。この問題をどのマスコミも取り上げないのが、不思議千万)
(2)次に設計の、建築設計と構造設計の分離発注の問題がある。かつて一つの設計事務所でやっていた業務を、二つに分離したことに問題がある、とする人もいる。しかし、これは守旧派の意見。現代では、建築と構造の分離がグローバルスタンダードであって、APECもそれに倣っている。APECでは、建築士とは別に「構造士」という名称を与えることになっている(日本でそうなっているかどうかは、筆者は建築の門外漢だからよく知らない)。これは、構造設計を一般建築設計から分離独立させることにより、構造設計者の地位を向上させ、もって建築物の安全を担保するということが狙いである。今回の事件は、その狙いが裏目に出た、ということである。
(3)では、何故裏目に出たか、が問題なのだ。(1)(2)は制度的には、正しいところを狙っているのだが、それを邪魔するのが「新自由主義経済という妖怪」である。何故ならこの妖怪は、目に見えるところ、金になるところだけを食って成長する怪物だから、構造などという目に見えない部分は食い散らかすだけ。しかもこの妖怪は成長が早い。そこに妖怪に操られる小妖怪(姉歯やヒューザー、木村建設といったキワモノ業者)が発生する余地が生まれる。設計データねつ造は、一人姉歯だけか?という疑問が、既にあちこちから沸き起こっている。これにキチンと答えることは、我が国の技術的信頼性(これを取ったら、日本に何が残るのですか?)を維持する上で、大変大事なのだ。

姉歯はマスコミ取材に対し、年間受注10数件で、年間売り上げ2000万円程度といっている。すると設計料は、1件あたり200万円弱だ。一方、業界関係者は、まともにやれば年2〜3件が限界だ、と言う。であれば構造設計は、600〜700万円/件が適正価格になる。ヒューザーなどの事業主は、それを1/3以下の値段で買っていたのである。要求さえ満たされれば、やすければ良い、というのが新自由主義経済である。天罰覿面であろう。
 この背景には業界(設計業界だけではなく、マンション業界全体)の苛烈な競争があったはずである。東洋大の松原というタワケモノが、ある時、道路公団の談合問題で「競争が進めば質が低下するという業界が、理解出来ない」という意味のことを喋っていたが、ここに、その典型例が現れたのである。

 さて、この問題は次の命題を我々に与えてくれている。
1)小さい政府で大きい買い物をするのがよいか?
2)少々政府は大きくても、買い物は小さく済ませた方がよいのか?
 果たして、みなさんはどちらを選ぶでしょうか?今回の事件は、小さい政府を指向して、返って大きい買い物をしてしまった例になります。(05/11/22)

 さて、その後の展開で、国交省や各自治体は、事業主や元請け設計事務所に対する事情聴取を始めました。どうやら、私の最初の勘があたったようですね。なお、今話題になっている、ヒューザーや木村建設、シノケンなどは、最近急速に業績を伸ばしてきた会社。おそらく規制緩和の寵児ともてはやされたのではないでしょうか?しかし、このような業界で、新参者が業績をのばすには、大抵の場合、裏があります。何故なら、今回問題になったのは、建築確認申請の話しだけですが、その前に開発許可申請がある。新参者にはなかなか開発許可は下りない。まして、木村建設は熊本の業者だからなおさら。そのようなハンデを背負って業績を伸ばす(開発許可を取り続ける)には、裏に相当金が動いていると見るのが普通。
 (05/11/23) 

 なお、ヒューザーという会社のある物件が、ナントカ協会のナントカ賞というものを取ったらしいが、あんなものは金で買える。

 筆者はいささか審査機関に対して甘かったようだ。と言うのは、耐震設計のグレードを少し高めに考えていた(例えばラーメンの時刻歴応答をFEMで解くとか)ため。実際は、震度法や地震時保有水平耐力の照査のようなレベルだったのかもしれない。これなら確かに国交省が云う様に、基礎的な数値をチェックすれば、偽造は簡単に見抜けたでしょう。
 それより、吃驚したのは民間の審査機関(会社)が全国で122もあって、それも全国区で、審査業務が展開出来るということです。こんなに沢山あって、まともな要員を確保出来るのでしょうか?おそらく登録上の管理技術者らしき人はいても、そういう人は実質的に仕事はせず(或いはさせられず)、事務屋に毛の生えたような素人が、形式的な審査を行っているだけではなかろうか*1?(設計ソフトについて、国交省の認定証とメーカーの利用許可証を混同するようでは、話しにならない)。給料は今流行りの成果主義で、早く審査を下ろした者の給料が、早く上がるというシステムを取っているのではなかろうか?などと云う疑問が、直ぐに湧いてきます(なおこの種の疑問は、今流行りのISO審査会社に共通です)。更に、姉歯とコンビを組んでいた、イーホームズが愛知県の物件を審査していた。怪しい審査機関が全国区で営業すれば、これは当に鳥インフルエンザ。従来は自治体というバリアーで伝染を防げたが、今や野放し。
 建築確認申請の民間委託は、国交省規制緩和の、いわば目玉商品。それがこんなことになってしまって、これから先どうするんでしょうか?北側は「建築確認は公の仕事」だと云ってしまった。最早取り消せない。再び行政審査に戻せば、自治体からの反発は必至だし、コイズミ内閣の(小さい政府)方針と矛盾することになる。第一、今の自治体には、まともな審査が出来る能力が無くなってしまっているのだよ。
1;これは国交省の立ち入り検査で証明されました(11/25)

 この問題に対し、事業者や、元請けはひたすら姉歯個人の資質・人間性に原因を集約しようとしている。そういう面もあるだろうが、筆者は彼の人格形成史に興味を覚える。今後、心理学的な研究が必要である。
 姉歯は今年48才。つまり、昭和55年前後の卒業ということになる。昭和50年代半ばは、バブル崩壊時ほどではないが、いわゆる50年代不況と言って、建設業界の不況が深刻化した時期である。この頃、コンサルや設計事務所では、中堅どころのリストラが進み、技術力が著しく低下したのである。建築や土木設計では、特に構造屋が狙われた。姉歯が社会に出た(入社した)頃が、当にその時代。技術屋が成長するにおいて、上司・先輩(特に新入社員当時)の影響は非常に大きい。その時、経験ある技術者が退職してしまっていて、彼自身、まともな上司・先輩に恵まれなかったのではないだろうか?実はこれは、30才代の中堅がいない、JR西日本という会社(何かあると、直ぐ引き合いに出されて気の毒ですが、身から出た錆と思って諦めて下さい)、ベテランをひたすらリストラしてきた、ニッポン株式会社に共通する問題なのだ。他人事ではないのだよ。

先進国に於ける技術者の養成方法には二つの種類がある。選ばれた人間に対し、ある種の徒弟制度により、後継者教育を施すのは、英国・大陸ヨーロッパ及び日本である。これらの地域の共通点は、封建制が発達していたことである。一方、封建制が無かったアメリカでは、急速に産業社会を実現するため必然的にマニュアル主義となり、更に自由主義的資本主義の導入は、先輩・上司が後輩を育てるというより、ベテランと若手(と称するチンピラ)を競争させるのである。ハリウッド産刑事ドラマを見れば判るでしょう。この結果、企業内モラルというものが失われ、刑事訴追のようなハードな方法で、企業の信頼性を担保しなくてはならなくなる。アメリカ型自由主義社会は企業コストはかからないが、その分社会にコストを押しつけているので、結局トータルコストは封建制より高くなる。その風潮が日本を席巻しているのですよ。


 しかし、姉歯は現在の日本の建築業界・建築行政が持つ問題点、と言うか暗部を、白日に暴露するきっかけを作ったという点で、功績は大である。
(05/11/24)

 昨日、、国交省による姉歯の事情聴取が行われ、事件の一端があきらかになりました。今後おそらく、デベロッパーやその周辺を巻き込む刑事事件に発展する可能性があるので、余り踏み込んだことは云わないことにしておきます。
 これまで明らかになっている姉歯供述で主要な部分は次の通りです。
 @建設会社の支店長から鉄筋を減らすことを要求された。要求を拒否すると、設計事務所を変えると脅された。この建設会社とは?
 A月40〜50万円のリベートを要求された。これは架空請求により処理した。
 Bこの種のことを行ったのは3社である。(この3社はヒューザー、木村建設、シノケンであることが判明)
 無論、3社の首脳はこの発言を、真っ向から否定しています。それは当たり前で、社長自身は細かいことは知らなかったというでしょう。ここでは、上記@Aの点について吟味してみましょう。
@建設会社の支店長から鉄筋を減らすことを要求された。
 疑問な点は、支店長が何のために、鉄筋量を減らすことを、下請けの設計屋に要求したかです。こういう立場の人間が、自己の利益のために動くときは、設計は基準どおりか、水増ししておき(どっちみちトップは素人だから判らない)、下請け業者を叩いて、差額を自分のモノにするのが普通。例えば、昔、筆者が関係したことのある、兵庫県下での、某宗教団体大規模霊園造成工事では、中間にダミーの創造的な設計事務所が入り、ゼネコンに水増し請求をさせるのだが、支払い時にはゼネコンを叩く。差額は何処へ行ったのでしょうか?某政党の政治資金とか、宗教団体名誉会長のポケットへ、ソーカ、やっぱりと云う噂はありましたが、判りません。馬鹿を見たのは真面目な信者だけ。なお、筆者の業務(地質調査)は全く値切られなかった。従って、設計屋は、水増しの手伝いをさせられることはあっても、その逆はない。そこで考えられるのは、この建設会社は、例えば内装・外装・設備・躯体・基礎といった分野別に、コストダウン競争をさせ、その成果を昇進や給料に、反映させていたのではないか、ということです。内装・外装・設備といった目に見える分野は、一括購入やなにかで、比較的容易にコストダウンを計ることは可能ですが、躯体や基礎のような、目に見えない分野では、幾ら工夫をしても、直ぐにはコストダウンの成果は出てこない。そこで目を付けたのが、鉄筋と言うわけ。構造物のコストダウンはこれ以上無理ですよ、といっても、それが通る雰囲気の会社ではなかったのかもしれない。無論、社長は「鉄筋を減らせ」などとは云いませんよ。「工夫しなさい」というだけ。成果主義の場合、工夫の内容は問われない。なお、この建設会社は木村建設と、後ほど判明。
Aリベートの行方
 月40〜50万円のリベートだが、1年続けば5〜600万円である。年商2000万の姉歯にしてみれば、馬鹿にならない。で、問題は このリベートが何処に行ったかであるが、一般には次の3ルートがある。
 @支店長が自分の懐に入れる。
 A幹部に上納する。
 B表に出せない地元対策費として消える。
 現時点での情報では、これらのいずれとも判断出来ない。Bのケースでは、スキャンダルに発展する可能性がある。これらの裏金は、昔は工事予算から捻出されていたのだが、バブル崩壊後、工事会社への税務署や銀行の査定が厳しくなったので、最近は相対的に、経理がルーズな設計屋・地質屋にたかる傾向が強くなっている。筆者は以前関係した裁判で、被控訴人である、コンサルの設計・調査費の見積もりをチェックしたところ、とにかく単価が高い。地質調査費など、実勢価格の2〜3倍の金額である。おまけに安定計算を200万ぐらいで取っていたが、実際にやったのはテールアルメのメーカー。楽に2/3は儲けている。殆ど詐欺のような見積もりだったが、儲けが全部コンサルの取り分になったかというと、そうとも限らないだろう。おそらく儲けの半分は、発注者の幹部にキックバック*1されたのではあるまいか?そうでなければ裁判の過程で、あれほどコンサルを庇う訳がない。姉歯もリベートを支店長ではなく、トップに直接持っていけば良かったかもしれない*2

*1;さて、キックバックされた金は何処へ行ったのでしょうか?開発許可の関係で、県会議員かどっかのポケットに消えた、というのが常識的な見方でしょう。
*2;支店長へのリベートは、支店長の個人営業費として、支店長の個人口座に振り込まれた。金は会社から出ている(木村建設本社の説明)。何故、そんな面倒なことをするのでしょう。そもそも、個人営業費とは何で、それをわざわざ、下請け業者を迂回して払わなければならないのは何故でしょう?実は、私は直接ではありませんが、経験はあります。要するに領収書が採れない経費です。今は昔と違って、使途不明金処理が難しいのかもしれませんね。

 さて、@で述べた分野別競争に一番似ているのは、現コイズミ政権のカイカク競争です。何故かと言うと、とにかく思想も哲学もなしに、個々バラバラに、やたらカイカク(コストダウン)に奔ることです。そしてその原動力は、良いものを作ろう、という意欲よりも、トップに気に入られようとする欲望が勝っているのです。建築構造物というものは、基礎と躯体が一体となり、躯体も柱・梁・壁が一体となっている。どれかをいじれば、その影響はたちまち別の部分に現れる。これらの調和を計って安全な構造物を作るのが、設計者の役割です。国も同じで、どれかの政策を突出させれば、たちまち他の分野に歪みが現れる。ずばり云って、コイズミとコイズミ政権には、こういう複雑なシステムを扱う能力はない。今の日本は鉄筋を抜かれた欠陥マンション。誰が抜いたのでしょう。それはタケナカ売国大臣です。姉歯曰く「何か力が加われば、ぺちゃんこになるでしょう。挟まれますねえ」。

なお、ヒューザーがいきなり、立て替えには公的資金が必要だとか、免震を使った改修を言い出して、世間に揺さぶりをかけているのは、資産を移転するための、時間稼ぎの疑いがある。行政は、これら関連3社並びに、その経営者・経営幹部資産の移動・分散を防ぐ手段を講ずるべきである。
(05/11/25)

 11/26の報道では、伊藤元国土庁長官に、ヒューザーからかなりの献金(パーテイー券購入を含む)があったよし。ますます、私の勘が当たりますねえ。姉歯からのリベートが形を変えて、政治家に届く。よくあるパターンです。

 インチキ審査はイーホームズだけかと思ったら、行政の審査でも、検査もれが長野県他で発覚。今の行政に既に審査能力は無い、と言ったらそのとおりになりました。ところが、市長というのがモノを知らないアホで、「300pもの計算書を、3週間で審査するのには無理がある」などと言い訳をしていたが、これは狡賢い役人の口車に乗っただけ。何処の世界に「300pもの計算書」を、律儀に1頁ずつチェックする馬鹿がいますか?それとも長野県人は、そういう馬鹿げたことをするのでしょうか?ああいうものは、ポイントになる部分が幾つかあって、それを照査し、全体としてのストーリーに整合性があるかどうかをチェックするのだ。無論、それは素人では出来ない。又、ベテランでも三〜四日は要るだろう。更に、一種のセンスというか、勘が必要で、それらは永年の経験から培われるものなのだ。そういう人間が、日本全体に払底してきているのである。

 さて、本日の論説は、例のヒューザー小嶋社長の発言に関してです。この人は、関係3社の中で一番TV露出度が高いので、色々面白い話題を提供してくれています。ここで、筆者が取り上げたい、彼の発言とは「ぎりぎりの設計でコストダウンを実現し、100年持つマンションを作る」というものです。彼は、来週国会に、参考人招致が予定されています。ひょっとすると、国会で同じようなことを喋り、何も知らない、我が日本国国会議員が、みんなそれに騙されるおそれがあるので、ここでこの発言が如何にインチキであるかを証明し、善良なる読者諸君への警告としておきます。
 まず、ヒューザーの「ぎりぎりの設計で・・・・」というフレーズは、理念としては、現コイズミ政権のカイカク路線に合致するものです。現に、公共事業でも、今の流行りは、無差別自由競争です。要するに、安けりゃなんでも良い。しかし、ここには重大なインチキが隠されている。如何に格好いい理念でも、それが物理法則に反しておれば、それはインチキです。小嶋という人物は、建築業を営みながら、建築というものを全く理解していない。どうやら、彼は設計基準というものが、金科玉条・不磨の大典・触れてはならぬ憲法のようなものだと、勘違いしている可能性がある。建築基準法そのものが、戦後アメリカの指導で作られた法律で、戦後数回に渡って・・・特に大きな地震があるたびに・・・改正されている。この状況は、土木でも同じである。人間が自然のシステムを100%把握出来ていない以上、我々技術者は、これら設計基準というものは、基本的に暫定法という受け止め方をしている。そのため、設計においては、許容値に対し、20〜30%程度の余裕を見るのが常識。例えば、鉄筋許容応力を1400N/o2とした時、最大応力が1000〜1200N/o2前後の間に入るような設計をする。そうしておけば、将来設計基準が変わって、外力条件が厳しくなっても(設計基準改訂では、設計条件が厳しくなることはあっても、緩くなることはない。これは建築でも土木でも同じ)、その中に変更分が吸収出来るかも知れないし、パンクしても補強程度で済むかもしれないからだ。これを、当初設計からぎりぎりでやっておけば、少し設計基準が変わっただけで、たちまち応力はパンク。補強どころか、全面立て替えということになりかねない。こういう設計基準の変更は、何時来るかわからないのだ。だから、現行基準でぎりぎりの設計をしていても、10年後に基準の変更があれば、たちまちアウトになる。従って、100年持つマンションなどあり得ない。こう書くと、世間の人は、鉄筋でも2〜3割多く、柱も2〜3割太く、工事費も2〜3割多くかかるのではないかと、誤解する。応力に2〜3割余裕を持たせようと思うと、鉄筋を数本、柱や梁も数p程度太くすれば、不足分は吸収されてしまう。本体工事費も数%のアップですむのである。この程度のことが判らないようでは、建築業を営むべきではないだろう。

 今回の事件を取り巻く環境は、事業主も、元請け設計事務所も、施工業者も、設計審査機関も、審査機関を監督する行政も、みんな無責任な素人の集まりだったということだ。一人、姉歯だけが専門家だった。これが社会の空洞化(BSE化)現象というのですよ。
(05/11/26) 

 連日、マスコミはこの問題で持ちきり。ワイドショーなんかは関係者(と言っても、出てくるのはヒューザーの小嶋だけ)を呼び出して、説明させるのだが、殆ど〇〇解放同盟の糾弾集会みたいになっちゃって、中身のないこと夥しい。それというのも、日本のマスコミ関係者は、殆どが無知なる文科系出身で、建築はもちろん、背景にある都市開発の実際についての、知識が欠如しているから、話しが噛み合わないのである。

 姉歯は過去5年間に、194件の構造設計を請け負ったと云われる。年間約40件、月平均3〜4件、打ち合わせや何やらのロスを考えると、一件当たりせいぜい5〜7日だ。そんな曲芸のようなことが出来ると思いますか?
通常構造設計といえば
     〇構造比較設計
     〇構造詳細設計
     〇構造計算書作成
     〇構造一般図作成
     〇構造詳細図作成
     〇数量積算、概算工事費算定
という一連の作業を云う。こんな作業を5〜7日で出来る訳がない。一寸した建物なら、比較設計だけで数ヶ月ぐらい掛かってしまう。ということは、姉歯は構造設計をやっていないんだ、としか考えられない。無論、姉歯はこの中の構造計算書作成だけを請け負っただけで、その前後は元請け設計事務所とかゼネコンが引き受け、姉歯はその指示で動いただけかも知れない。その場合、元請けやゼネコンの責任の方が大きくなる。元請け設計事務所の一つの社長が自殺したが、その背景にはこういう事情があった可能性が考えられる。なお、こんな不自然な受注が可能になったのは、コイズミ内閣成立以後のこと。

 筆者の知り合いの技術士の話だが、ある時、ある建築士から安定計算を頼まれた。ところが、土質調査も何もやっていない。そこで、その点を問い糺すと建築士曰く、「今は時間が無い。土質のことなどどうでも良いから、全部推定でやってくれ」。技術士は依頼を断った。その建築士は大阪でも名うてだったらしい。

 さて、最近になって突如登場したのが、伊藤衆院議員(元国土庁長官)です。今のところ伊藤議員との関係が確認されているのは、ヒューザーとイーホームズだけですが、他2社だって判らない。但し確たる証拠がないので、前2社との関係だけを検討してみます。
 まず、ヒューザーという会社は1996年頃創業。ごく普通の不動産屋だったのでしょう。それが2000年頃から急成長を遂げます。これもコイズミ内閣成立以後。何故、急成長を遂げたかというと、大型物件を手がけだしたからでしょう。又、これら3社に共通しているのは、価格が従来物件に比べ、廉価である、募集から完成までの期間が短い、などがあげられます。何故、やすく出来るのか?世間は鉄筋を減らしたためと思っているでしょうが、鉄筋を少々減らしたところで、数千万から1億近くも工事費を節約することは出来ません。一番節約効果のあるのは時間です。開発事業者は、費用を全て銀行からの借り入れで賄います。 銀行からの借り入れには金利が掛かります。ましてヒューザーのような急成長会社には、金利は高く設定されるのが普通(担保物件を持っていないから)。だから、事業認可に時間が掛かれば掛かるほど、金利がコスト(販売価格)に跳ね返る。如何に事業認可までの時間を節約出来るか、が勝負。これに比べれれば、鉄筋など物の数ではない。今、世間の関心は建築物に集中していますが、これは都市(再)開発という大きな流れの一環に過ぎない。都市開発は、基本構想から始まって、用地取得、開発許認可申請、都計法協議等の複雑な流れを経て、施設の建設・販売で終了する事業です。この中で事業者側の意志と無関係に時間が掛かるのは、マンション業界では次の2点です。
    (1)開発・・・・・・開発許可申請
    (2)建築・・・・・・建築確認申請
(1)開発・・・・・・開発許可申請
 さて、ヒューザーのような新参者がこういう申請をしたとき、どういう目に遭うかと云うと、殆どイジメに近い、役所からの嫌がらせである。重箱の隅をつつくように、開発申請書の一字一句にけちを付ける。これだけなら未だまし、始めから申請書を受け付けないか、受け付けても都計審に挙げる順序を遅らせる。文句を云うと、「忘れてました」などと見え透いた嘘をつく。では、事業者としては、どう対抗するか?ここに善意の第三者による仲介が発生するのである。この仲介者がバッジを付けた、所謂センセーなら効果覿面。30人牛蒡抜きで都計審に挙げて貰えるのだ。
(2)建築・・・・・・建築確認申請
 ヒューザーはイーホームズとは全く面識は無かった(11/27サンプロ)と主張したが、伊藤議員とイーホームズとの間に、交流があったことが明らかになったので、 ヒューザーとイーホームズとの間にも関係があったことになる。イーホームズと伊藤議員のどちらが先に接近したのかは、今のところ判らない。お互いに利益を共有しうる関係であったことは、想像し得る。何故なら、議員は自民党土地住宅審議会会長だから、この線に乗れば、イーホームズも顧客拡大に繋がる。議員側もイーホームズを通じて、開発事業者に影響を及ぼし得る。双方で利益を共有しようと思えば、五月蠅いことは言わないのが大人の付き合い。要するに、イーホームズとしては、頭から姉歯作成の構造計算書など審査する気はなかった、と言うのがのが実状だろう。極端に云えば、構造計算書など確認申請書の付録のような扱い。だから姉歯も、計算書ねつ造を、何とも思わなくなった(どっちみち読んでもらえないなら、でっち上げでも構わない、という気になっても不思議ではない)。
 無論、以上は筆者の無責任な個人的想像であって、特定個人を指すモノではありません。
 こういうことは、高度成長期に、大手デベロッパーや大手ゼネコンで使い古された手です。オイルショックで一旦消えますが、80年代のバブル期に、中堅デベロッパーや中堅ゼネコンによって復活されます。この手で捻出された裏金は、政界に還流され、主に自民党総裁選や、野党対策に使われ、中には、北朝鮮に渡った金もあるかもしれませんよ。バブル崩壊で又一旦消えますが、マンションブームの再来とともに、ヒューザーのような新興デベロッパーによって復活されたのです。「雀百まで・・・」とか、「浜の真砂は尽きるとも・・・」と云った例えに似ていますが、大手→中堅→中小という流れは、むしろ、「歴史主体の上部階層から、下部階層への移行」、或いは「貴族革命からブルジョワ革命、ブルジョワ革命からプロレタリア革命への発展」と云う、史的唯物論の例証であり、興味深い。唯物弁証法は未だ生きている、というわけ。

 今回の事件で評判を落としたのは、マンション業界だけでなく、建築士、民間審査機関も同罪です。特に審査機関は非道い、と思ったでしょう。あの業界は、実は役人OBの天下り先だったことが明らかになりました。更に公的審査でも、計算書ねつ造を見抜けなかったことがあきらかとなり、官民問わず、建築行政に対する不信感が増すばかりです(これを煽っているのがマスコミで、自民党の武部が早速、「悪者探しは止めよう」などとマッチポンプをやっているが、マスコミを利用して、反対派叩きを煽ったの自分自身なのだがね)。ではどうすれば良いでしょうか。そこで、一案を述べておきます。
 まず、ヒューザーの小嶋が、住宅災害保険というものを全く知らなかった、と言うのが驚きですが、仮に保険に入っていても、今回のような場合、保険適用が可能だったかどうかは疑問。そこで、分譲マンションについては、行政から撤去・取り壊しを命ぜられたときの保険を作り(仮称アネハ保険)、それに強制加入とし、確認申請を保険会社に任せれば良い。この中に地震・火災等の建物に関する保険を組み込めば、二重負担ではなくなる。何故なら、地震で全半壊すれば、行政から撤去命令が出されるのである。これにより、民間審査機関のような社会のダニを一掃できる。保険会社もいざとなれば、自分がリスクを背負う訳だから、イーホームズのような、いい加減な審査はやっていられない。また、保険契約を早期に結ばないと儲けにならないから、行政審査のように時間は掛けていられない。というわけで、最も合理的な建築確認システムが出来るのである。では、今の保険会社に確認審査をやる能力があるか、というと無論ありません。その部分は、信頼出来る建築士に外部委託すればよいでしょう。同一物件を数社でチェックさせれば、どれが信用できるか、自ずから判ってくるはずです。なお、このアイデアは、今は無視されますが、何年か先に誰かさんにぱくられて、「新しいビジネスモデル」かなんかになっていると思います。日本では未だビジネスモデル特許というのがないし、あっても手続きが面倒なので、いくら新しいアイデアを考えても無意味なのですが。
(05/11/28)

 ヒューザーとイーホームズが泥試合を繰り返しています。ヒューザーはイーホームズを「あんないい加減な会社はない。社会の信頼を裏切った。刑事告発に値する。・・・」、と云い、イーホームズは「ヒューザーに騙された。ヒューザーは隠蔽しろ、とか、曲げて確認済み証を下ろせとか、金のことしか考えていない。正義感ぶって余計なことをするな、と脅された。・・・」等々、言いたい放題。この場合@どちらかが嘘をついている、A両方が嘘をついているか、のどちらかです。筆者は後者の可能性が高いと考えています。世間の目や、無知で馬鹿な国会議員(例えば民主党の三日月など)は、ヒューザーが悪者と捉えていますが、客観的にはイーホームズの分が悪い。まず、事件発覚から公表までの経緯を整理してみましょう。
(1)10月初旬 国交省に「イーホームズの文書管理がずさん」という匿名の投書があり、10/21事前通告付きで、イーホームズに第一回立ち入り検査。
(2)イーホームズは10/6内部監査室より、関係部署に内部監査を実施すると通知。定期内部監査(10/20)により、5件の計算書偽造を発見。内1件は日本ERIよりの警告によるもの。なお日本ERIに属する技術者から、姉歯物件に注意されたいという警告が一年前にあった。
(3)10/21、10/22、10/24 国交省のイーホームズ立ち入り検査
(4)10/25 関係各社協議。
(5)10/26 より、イーホームズが偽造物件を国交省に報告
(6)11/5 公明党山口参院議員、国交省を訪問
(7)11/15 自民党伊藤衆院議員、ヒューザー、東日本住宅とともに国交省を訪問
(8)11/17 事件公表

1)まず、最初の投書ですが、果たして、この程度のことで国交省が動くでしょうか?投書にはもっと際どいことが書いてあったはずです。何故かその内容を国交省は公表せず、マスコミも国会議員も追求しない。国交省ルートに繋がるスキャンダルでも書いてあったのでしょうか?
2)その後のイーホームズの行動は、非常に不自然です。まず、10/6に、10/20に定期内部監査を実施すると通知している。定期内部監査にしては時間があきすぎている。又、通知した日付が如何にも不自然である。おそらく、この間に国交省から、イーホームズに何らかの連絡があったのだろう。イーホームズの審査員は全員役所のOBらしいから、本省とつながりがあったとしても不思議ではない。更に投書から立ち入り検査まで、2週間も時間が経過している。第一回立ち入り検査の前日に、内部監査を行い、偽造計算書を発見している。偶然にしては出来過ぎている。
3)イーホームズは定期内部監査で発見したと云うが、こんな馬鹿な話しはない。国交省HPに掲載されている(11/25現在)、イーホームズが審査した姉歯物件は、全部で33件(今はもっと増えているはず)。その内、計算書ねつ造が確認されたものは27件。審査日の最も古いものは2002年9月、最も新しいものは2005年10月。おおよそ3年の間、気が付かなかったわけだ。それが、たった一日の内部監査、それも国交省立ち入り検査の前日、で5件も発覚したなど、信じられますか?それも外部情報提供によるもの。自分では発見出来なかったのだ。
4)建築確認の日程も、こんなことはあるのか?と疑問に思ってしまう。例えば、2003年末から2004年に掛けては、2003/12/10、12/12、2004/1/10、1/20。2004年春では、2004/3/31、4/1。夏では、6/21、6/22、6/24などと、1〜2日置きに申請を下ろしている。これが、申請受付(設計完了日)の順序を、そのまま反映しているわけではないが、次々と申請が出されてきたことに間違いはない。同一設計者からの申請が立て続けに来ることに、何も疑問を感じなかったのだろうか?この場合は設計者は、数件を同時並行でこなしているわけで、結構厳しい工程が予想される。しかし、腕の良い設計屋なら出来ない相談ではない。但しその場合は、本人チェックがおろそかになるので、確認申請審査ではより慎重にならなければならないだろう。
5)ヒューザーに曲げて、「確認済み証を下ろせ」と云われて、イーホームズはどうしたのでしょう?事件発覚直前まで、ヒューザーの確認申請審査を続けているから、曲げて下ろしたのではないでしょうか?ヒューザーを非難する資格は無いでしょう。

6)結論を云うと、姉歯が設計をやっていなかったのと同様、イーホームズも審査をやっていなかったのだ。むしろ、姉歯はイーホームズが審査をやらないことが判ったから、恒常的な設計書ねつ造に奔ったのではないだろうか。
7)想像するに、そもそもイーホームズとヒューザー他は、二人三脚でやってきたのではないか?それは、4)で述べた、確認日の推移から、容易に想像出来る。ところが、ある投書からイーホームズのいい加減さが、本省の知れるところとなった。下手をすれば、免許取消。この急場をしのぐために、姉歯とヒューザーを悪者に仕立て、自分は善意の被害者を装う。ところが、あちこちから審査方法がおかしい、というクレームが付いて、結局免許取消。
8)一方、ヒューザーとしては、これまで一緒にやってきたのに、自分だけ逃げ出すとは何事だ!怒るのは当たり前。但し小嶋の面相が悪漢面で、TV映りが悪いのが不運。
9)では、こういう関係が、どういう風にして出来たのでしょうか?これはなかなか複雑なようで、直ぐには明らかにならないでしょう。何せ、国会議員が少なくとも二人は関与しているようなので。更に裏フィクサーとして、某コンサルタントの名前が浮上してきています。但し、この関係は確認申請などというケチな話しからではなく、開発許可申請から始まり、それが確認申請に行き着いたと、と見るべき。
10)計算書ねつ造は一体誰が仕組んだのでしょうか?世間では、ヒューザー他2社が姉歯にねつ造を強要し、イーホームズにも圧力を掛けた、と思っている人もいるようですが、実態は少し違うと思う。何故なら、イーホームズはこれら3社以外の物件でも、ねつ造を見逃しているからです。イーホームズという審査の早い(ということは審査がルーズ)審査機関があることを、誰か(おそらく木村建設)が聞きつけて来て、それを取引のあるヒューザーやシノケンに紹介した、というのが真相でしょう。姉歯はもともと木村建設と関係があったので、その線で設計を引き受けた。この時、何らかの理由で、ねつ造計算書を作成して、イーホームズに持っていったところ、それが通ってしまった。これが姉歯の不幸だったのである。この時、イーホームズがキチンとした対応をとっておれば、姉歯もこのような事件を起こさなかったかもしれない。
11)イーホームズの罪は
 @ルーズな審査で、我が国建築行政の信頼感を失わせた。
 A最初に対応を誤ったため、一人の技術者の人生を潰してしまった。
ことである。

 それにしても、個人の力は凄い。姉歯のように、自分の人生を捨ててしまえば、国家の基盤を揺るがすことが出来るのだから。
(05/11/29)

―――前日の続き―――
 前日の国会特別委員会のTV中継を、全部では無いが、偶々、民主党質問部分(これも全部ではない)を見た印象。何も新しい物はなく、既にマスコミやネットで報道されていた事実を、表面からなぞっていただけ。参考人も予め、回答を用意しており、国会議員をおちょくっている。時間の無駄使い。中でも非道いのは、三日月タイゾー議員の質問。始めからヒューザーを悪者と決めつけ、他の要素に着目しないものだから、焦点が狂ってしまっている。又、その後の報道でも、同議員質問を中心にした、意味のない捉え方が多い。その幾つかを列挙する。
1)ヒューザーは姉歯に対して圧力ををかけた。
 事業主であれば、設計者に圧力を加えるのは当然で、株主(公共事業の場合は国民)に対する義務でもある。公共事業で、最も強く設計者に圧力を加えるのは、会計検査院である。設計者や工事業者は、この圧力をバネにして仕事に取り組むのである。圧力を加えない事業者など、屁のようなもので、ろくな仕事は出来ない。私など、若い頃、道路公団に散々圧力を加えられたから、技術士を取れたようなものだ。
2)ヒューザーはイーホームズに対して圧力をかけた
 三日月議員は次の2点を指摘している。
(1)事件発覚後、「国の登録機関であるイーホームズさん」を会社に呼びつけた。これは圧力である。
 当初、計算書ねつ造に気が付いたイーホームズが、ヒューザーに来社を求めたところ、逆にヒューザー側に呼びつけられたことが、圧力となるらしい。三日月議員はよっぽど、官尊民卑思想の持ち主なのだろう。国の登録機関というのは、それほど権威のあるものなんでしょうか?三日月議員は、イーホームズに対する、次の事実を見逃している。@ヒューザーはイーホームズの依頼主である。Aまともな審査を行って来なかったのは、顕かである。B事件後、登録を取り消されてしまった。要するに、ろくでもない会社なのだ。
 問題の発端は、構造計算書のねつ造を、イーホームズが気が付かなかったことであって、その説明であれば、イーホームズが、ヒューザーのもとに赴くのが当然である。自分の非を認めず、民を呼びつけるなどというのは、イーホームズに官尊思想が蔓延している証拠である。イーホームズ審査員は全員、役所のOBらしいから、そういう発想になるのだろう。だからねつ造を見抜けなかったのだ。
(2)10/25打ち合わせで、「イーホームズを叩く。・・・叩く、叩く」と繰り返し、公表に圧力をかけた
 誰だって、自分の物件がパーになることが判って、それも経過説明も何もなく、いきなり公表する、と云われりゃ、頭に来て、叩きたくなるのは当然。それにこんなものは衝動的発言で、圧力の内には入らない。圧力の物理的定義は止めておくが、要するに気が付かない内に、行動を拘束するのが圧力だ。それが証拠に、その後イーホームズは事件を公表している。結果的に圧力になっていないのである。
 本来、国会議員が国会の場で質問するなら、こんな枝葉末節のことではなく、もっと制度的な矛盾とか、行政と審査機関との癒着問題とか、イーホームズの初期行動の不自然さとか、突っつくところは幾らでもある。三日月議員の質問は、マスコミ向けに小嶋を挑発しているだけ。あれでは何も出てこない。作戦として拙劣極まりない。これでは、何時まで経っても、自民党に勝てないのも当然。タイゾーというのは、自民も民主も、馬鹿に共通する名前か。
3)民間審査に問題がある。
 一部の法律関係者や評論家から、こういう声が挙がっており、中には元通り行政審査に戻すべし、という意見もある。現状のような民間審査機関による審査に限界があり、弊害が発生することは、既に、筆者が主張するとおりである。しかし、かつての行政審査に戻すことも、非生産的であり、且つ非現実的であるから、反対である。何故なら、今の行政には最早、技術審査をやる能力が残っていない。今更、行政審査に戻しても、無理に無駄をかさねるだけ。これは、中曽根行革以来の公務員、特に技術官僚減らしのツケである。技術屋嫌いの田中知事傘下の長野県で、ねつ造見逃しが発生していることが興味深い。他の府県で、ねつ造が見つかっていないのは、何もその県が、しっかりしているということではありませんよ。偶々、姉歯が設計し、イーホームズが審査した物件が無かっただけ。

 何故、イーホームズのような会社に、審査依頼が来るのか、世間の人は(例えば鳥越俊太郎のような、現代日本を代表するインテリでも)理解出来ていないないらしい。鳥越の質問に対し、業界評論家曰く「それは審査機関が株式会社だからですよ。株式会社だから儲けなくちゃならない。五月蠅いことを云うとお客さんが逃げちゃう。反対に五月蠅くない、早く検査済み証を出してくれる会社に殺到する。市場主義社会なら当然ですよ」。東洋大学の塩川さんとか、松原さん、それにタケナカウジ虫大臣はどう答えますか?
 
 ではどうすればよいか?一つの解決法は、筆者が云う様に、マンションやホテル等特定建造物は、特定保険に強制加入とし、保険会社自身が構造審査を行うか、こういういい加減な物件に融資した、金融機関に連帯で債務を負わせることです。要するに民民でリスクを負担しあうこと。

 今や、ヒューザー小嶋は、マスコミにより、日本を代表する悪党に祭り上げられてしまった。しかし、関係者を一覧していると、小嶋が一番真面目で、正直で、人間らしいのである。少なくとも、彼はあらゆるマスコミ取材に対し、逃げ隠れしていない。発言にぶれが大きいが、こんな状態に置かれたら、人間誰しも慌てるのが当たり前。逆に落ち着いている人間の方が怪しい。何故なら、それは始めから事態がこうなるのを予測して行動するからである。その典型が、イーホームズ藤田である。国会喚問でも、小嶋と対照的に妙に冷静で、そのくせ何処かに、相手や他者を刺す発言を絡ませる。その例が日本ERIの隠蔽発言である。次第次第に廻りを悪党に仕立てて、自分を被害者に装う。実に陰険で、卑劣なやり方である。問題は、日本中のマスコミ(どころか、国会議員や一般国民も)が、この目くらましにかかっていることです。

(全体の構図)
 確たる証拠は無いものの、漠然と次のような全体構図が浮かび上がってきます。

       ――――(善意の仲介者)―――――イーホームズ――――――木村建設―――――――――
      |                                                           |
       ―――――――――――――――   総合経営研究所   ―――――――――――――――
  善意の仲介者とは誰でしょう?みなさんは概ね想像はついていると思いますが、名誉毀損で訴えられるおそれがあるので、止めておきます。
このリンクの中で、開発が行われてきた。ヒューザーや姉歯、シノケンは、その輪に引っかかっただけ(或いは覚悟を決めて、自ら飛び込んだか?・・・その場合は言い訳出来ない)。一番のポイントは、ヒューザー他がねつ造を知っていたかどうかです。木村建設は多分知っていたでしょう(木村建設は早々に倒産したので、何か被害者的扱いを受けています。しかし、そうでしょうか?最初に姉歯を使ったのは木村建設。ヒューザーに姉歯を紹介したのも木村建設。ヒューザーをイーホームズに紹介したのも木村建設。木村建設が知らないわけないよねえ)。但し、木村建設だって自社物件だけで、他のことは無関係。ヒューザー小嶋はひょっとすると、ねつ造を知らなかったかも知れない。根拠はないが、そんな気がする。そうすれば、最初のきっかけを作ったのは、木村建設かもしれないが、後は自分で云っているとおり、姉歯個人の仕業の可能性もあります。そうなると、この事件の解明は、むしろ姉歯の心理学的分析が必要になります。私が一番心配しているのは、規制緩和のかけ声の中で、技術者に過剰なストレスがかかり、アネハ状態になっているのではないか、ということです。もしそうなら、大変な問題になります。現在我が国技術世界の根本的問題を、この事件が反映しているとも考えられます。決して特殊な問題として片づけてはならない。今のコイズミ政権は複雑な問題は不得意らしいので、上手く解決できるでしょうか? さあ、どうでしょう?

 本日朝、広島女児殺害容疑者が拘束され、逮捕されました。ペルー人出稼ぎ人です。これも非常に複雑な背景を含んでいます。今のコイズミ単細胞内閣では理解を超えているでしょう。
(05/11/30)

 またまた、慎太郎が妙なことを云っています。「5カラットのダイヤは、100万以下では無いんだから・・・」これは誰に対して云ったのでしょうか?マンション購入者に対してか?姉歯を買ったデベロッパーに対してか?まさか、ヒューザー、シノケンに対して、ではないでしょう。そうなら、マンション購入者でしょう。こんな無責任なことを云う人間を、知事に選んだ東京都民の頭の中身を疑う。猿同然だろう。建築確認審査以前に、都市計画法に基づく開発事前協議(32条協議)があり、そこでは事業収支計画も、審査の対象になる(マンションの開発なら、一般宅地開発と違って、収支計画はそれほど難しくはない。小嶋のレベルで出来るんだから)。あまりにやすい販売価格なら、少しは疑って見るのが、当然だろう。それとも、当時の都には、都権拡大を狙う知事のもと、新規開発を疑う雰囲気が無かったのか?直接の窓口は区であっても、最終的な認可は都に来るわけで、東京都がヒューザー他の問題物件に、無関係であるはずがない。しかも、ヒューザーの事業が急速に拡大したのは、2000年前後からで、既に慎太郎は都知事になっている。開発許可、並びに建築確認の、直接の許認可権は自治体にある。ヒューザーの開発許可証には、「石原慎太郎」の判子が押してあるはず。ひょっとすると、区長名かも知れないが、書類は最終的には、都に上がってくるはずなので、都が判らないはずがない。都・区の行政区分はあっても、重要事項に関しては、上位官庁は下位官庁に介入出来る。それが証拠に、慎太郎知事は都知事権限を越えて、国政にチョッカイを出しているではないか。だったら、区に対して介入してもおかしくはない。むしろ早期に介入すべきだったのである。要するに、慎太郎には刑法に云う「不作為の過失」の容疑がある(AIDSと同じ)。早速、慎太郎は国による救済を主張している。自分は知らん顔を決め込む積もりらしい。それに対し、安部も国による援助を表明。随分親切だねえ。次の選挙狙いだろうが、腹の中は見え見え。阪神の地震の時は、被災者には見舞金100万でお仕舞いにしたんだよ。随分開きがあるではないか?現政権の「小さい政府」理論は何処に行ったのか?


敢えて差別表現を使います。この問題の解明をややこしくしている元凶には、三人のメクラと一人のワルがいます。一人はマスコミ、一人は政治家、特に野党民主党、もう一人は法律家・評論家。ワルは銀行他の金融機関。

1)マスコミについて
 自民党が妙なことを云っています。マンション購入者に対し、国が救済する。救済の中身が不明なので、一慨に云えないが、このような制度が出来れば、怪しい会社が、いい加減な建物をを作って、その後計画倒産すれば、後始末は国に持っていける。究極のポピュリズム、国家的モラルハザードになりかねない。安部・武部としては、コイズミ支持率に不安を感じたので、急遽このようなことを言い出したのだろう。しかし、一般納税者としては、一寸待ってくれよ、なのだ。地震や台風のような自然災害に対しては、これは不可抗力であり(犯人は自然現象だから責任追及は出来ない)、被災事実が確認出来る。しかし、今回は刑法上の実行犯は特定出来ないかも知れないが、民法上の過失責任は明らかなのである。なおかつ、具体的な被害は出ていない。これらの点を曖昧にしたままの、救済策を与党が持ち出すのは、甚だ不謹慎と云わざるを得ない。まず、関連責任者としては、次の5者がある。@デベロッパー、A施工業者、B元請け設計事務所、C確認審査機関、そしてこのようないい加減な物件に、安易な融資を行ったD金融機関である。特にDの責任は大きいのだが、それに対してマスコミも政治家も何も云わないのは何故か?要するに頭が悪いだけなのか、それとも両方とも、銀行に鼻薬をかがされているからか?バブル当時、マスコミは銀行や不動産屋の提灯持ちをやって、日本を破滅に追いやった。戦争中に東条の妾になったのと同じだよ。今又、マスコミは銀行・権力(与党・官庁)の走狗となって、国民に責任を転嫁せんとするか!ヒューザー小嶋など、木っ端に過ぎない。その背後にある巨悪を追求するのが、マスコミの使命ではないのか!。
2)民主党
 この党の馬鹿さ加減にはあきれ果てる。具体的には既に述べた通り。その気になれば、自民・公明を追求出来るネタは幾らでもあったのだ。それがあの程度じゃ話しにならない。前にも云ったが、これでは何時まで経っても自民党には勝てない。
3)法律家・評論家
 TVに出てきて、それらしい解説をする人達だが、どれも核心をついた話しが出来ていない。共通しているのは、視野が狭く、焦点が浅い解説が多いことである。つまり、ピンぼけということ。後ほど触れるが、彼等が被害者救済を強調するあまり、性急な世論となって行政への圧力となり、責任の所在のピントがぼけ、結局現実を踏まえた冷静な判断が出来ず、将来に禍根を残すことになりかねない。何時か来た道なのだ。
4)金融機関
 今は誰も云わないから、銀行は、黙って嵐が通り過ぎるのを待っているのだろうが、先に述べたように、金融機関の責任も甚だ大きいのである。この点を解決すれば、被害者救済はもっと簡単になる。その点を民主党が突いて行かねばならないのだが、党首がマツシタ政経塾だから、こういう実務問題が解らないんだろう。所詮マツシタなど大したことはない。幸之助如き、田舎者が国政にチョッカイを出すべきではない。金融機関の責任分担は後述。
(05/12/01)

 少し、主張で留守をしている間に、事態はかなり進展しているのではないかと思ったが、現実は実にお粗末。騒いでいる割には進歩がない。
1)まず被害者救済。
 本日(12/04)朝のNHK日曜TV討論、テレ朝サンプロを見る。幾つかのテーマに分かれて議論されていたが、その中の共通項に、被害者救済がある。私も、被害者救済に反対では無く、それはそれなりに必要だと思うが、救済にあたっては、将来への影響を考えて、論理的・筋の通った物でなくてはならない。この点について、現在行われている議論には、やはり混乱があると云わざるを得ない。北側他は早速、公的支援を打ち出しているが、内容がさっぱり見えない。支援には次の3通りが考えられる 。
  (1)ヒューザー他のデベロッパーに公的支援を行い、その中で購入者救済を行う。
  (2)デベロッパーへの支援と、購入者への支援を分けて考える。
  (3)デベロッパーは勝手にやって貰う。購入者のみ支援を行う。
(1)はヒューザー小嶋が言い出したことで、早速あちこちからブーイングが飛び出し、殆ど実現性の見込みがない。(3)は一見かっこ良いように見えるが、実は筋が通らない。そもそも、債務というものは、事業者と購入者とが連帯して支払う物であって、どういう理由があっても、一方だけが債務をを免れるようなことがあってはならない。従って、最も合理的な方法は(2)と考えられる。問題は、それぞれの支援を具体的にに、誰がどうやってやるか、の技術的問題だけである。
(イ)購入者への支援
 まず、購入者が負担しなければならない問題だが、早速挙がっているのは、仮住居は自治体が用意するとしても、再建までの家賃とローンの二重負担である。しかし、これは大した問題ではない。あるマンションを解体、再建に要する期間は、建物規模によるが、ヒューザー物件の10F建てを仮定しても、2年少しぐらい。小さい物件なら1年位で片が付く。設計は、解体をやっている内に済ませればよい。設計も内・外装は従来設計をそのまま踏襲し、骨組みだけを変えれば良いのだから、大して時間は掛からない。その間、銀行他金融機関が、ローンの決済を繰り延べればよいだけの話しである。これで銀行が文句を云ってくれば、その時こそ政治力を使うべきである。これまで、銀行は国民に払うべき利子をネコババしてきたんだから、少しぐらい吐き出させても何の問題もない。
 NHKの日曜討論。議論が行政責任に差し掛かってくると、すかさず建設省OBが「責任追求ばかりやっていると、何時まで経っても終わらない。今必要なのは、被害者救済だ」。これは議論が自分(を含む政官複合体)の近くに迫ってくると、方向をはぐらかし、議論を別方向に持っていく、典型的官僚テクニック。建前論を出されれば、誰も反対できないからね。それにまんまと引っ掛かるのだから、評論家も弁護士も大したことはない。まず、責任の所在を明らかにしておかなければ、その後の救済にしても、範囲が際限なく広がり、収集がつかなくなる。
(ロ)デベロッパーへの支援
 さて、再建するにしても原資が必要である。これはデベロッパーが、負担すべきなのは当然なのだが、現に木村建設は倒産し、更にヒューザーも危ない。放っておけば、建物の再建は出来ず、(イ)の構図も画に描いた餅になりかねない。だからといって、再建費用を公費で賄うのは筋が通らない。これも、これら物件に融資してきた、金融機関が連帯して補償すべきではないかと考える。つまり、これまでこのようないい加減な物件・・・というか、いい加減なデベロッパー・・・に安易な融資を行ってきた、金融屋にも責任を負わすべきだ*1、ということである。要するに、このような不祥事を起こした、デベロッパーへの支援は、各金融機関の責任とする。少なくとも、デベロッパー、金融機関で「重畳的に」債務を弁済する。そういう法律を作れば良いだけの話しである。国会というものは、そのために存在する。このようなことは、かってのバブル時代に、散々懲りた筈なのだが、未だそんなことが解っておらんドアホが、生き残っているということです。そういう連中を徹底的に追放しなければ、将来、又似たような事件が起こる。それがBSE国家なのだ。
*1;耐震性能に不足する建築物は、そもそも担保能力がない。担保能力の無い物件への融資は、違法融資の疑いがある。株主代表訴訟の対象になりうる。なお、マスコミがこのような乱脈融資を行った、金融機関の名前を公表しないのが不思議。
2)審査システム
 弁護士とか、建築評論家は、審査の民間委託が問題の元凶とする。それに対し建設省OBは、そんなことはない、運用の問題だと逃げる。北側はどちらかというと、建設省OBを信用していない模様。おそらく今後、国交省内部での、官僚の巻き返しが始まるだろう。何故なら民間審査が無くなれば、彼等の天下り先が無くなる訳で、生活がかかっているから、彼等も必死だよ。ただ、本日NHKで、北側が保険会社による審査について、可能性を言及した。少し進歩したかと思うが、未だ徹底性が足りない。
3)誰が犯人か?
 本日、毎日新聞朝刊に、姉歯関係者の証言記事。それによると@最初にねつ造を持ちかけてきたのは、木村建設(東京支店長)、Aその後殆どは木村建設物件、B後は惰性。殆ど、筆者が11/30に書いたとおりになりました。それならそうと、早く喋っておけば、こんなにややこしい話しにならずに済んだのだ。只、総合経営研究所とか、イーホームズ、国会議員(場合によっては、許認可に直接関係する自治体職員)との関係は未だ残っています。尤も、これは姉歯には無関係の話し。そこを突いていくのが、マスコミとか野党の責任。
(05/12/04)

 筆者は既に11/29に、イーホームズと木村建設との関係、11/30には、イーホームズ―木村建設―総合経営研究所を結ぶ線が事件の核心で、ヒューザー・姉歯は、それに引っ掛かっただけ、と云うモデルを示しましたが、マスコミ特にTVマスコミ(NHKは除く)は、いまだにヒューザー犯人説に拘っているようだ。何故なら、本件関連のTVニュースでは、常にヒューザー小嶋の写真が背景に大写しされたり、事件構図の解説版では、ヒューザーを中心にした画が描かれているからである。おまけに警察まで、このような俗論に惑わされている。TV局としては、小嶋の悪漢面が画になる、ということだろうが、そんなことで犯人を仕立てていけば、日本は18世紀サレム並の未開野蛮地域。もう一度云っておきます。ヒューザーはねつ造を知らなかった可能性が高い。知ったとしても、建築確認が通ってから。もう手の打ちようがないから、一蓮托生になってしまった、ということではないかな。

 早速、北側が公的全面支援を打ち出しています。コイズミ内閣が主張する「小さい政府」の理念は、何処へ行ったのでしょう。それとも、コイズミインチキ内閣では、理念や公約といった、抽象的価値はどうでもよいのでしょうか?それ以上に公的全面支援は筋が通らない。そもそもは、民民の係争であって、それに国家が介入すること自身、民主主義や資本主義の原則に反する。従って、何か裏に思惑があるのか?などと疑われてしまうのである。例えば、被害者の中に学会員がいて、それが学会本部に泣きついて、公明党から北側に圧力が掛かった、とか(ネットでは、ヒューザー自身が、学会会社で、それで公明北側が、公費を使ったヒューザー救済に動いている、という噂がもっぱらです。そういえば、11/7に山口参院議員が、本件で国交省を訪問しています。この人、何しに行ったのでしょうか?この人もダイサクルートからの「善意の仲介者」なのでしょうか?12/06加筆)。
 建て替えに必要な費用は、当初ヒューザーが、国交省に対し、150億円の低利融資を要求した。物件数はこの時より増えているので、費用もこれでは済まないだろうが、それでも数100億の単位である。この程度なら、銀行に呑ませてもそう腹は痛まない。何せ、銀行業界は今期空前の利益を上げているのだから。それより、ミキタニとかホリエとか、資産ン千億とかいう、IT長者が、「それぐらいの金、僕が払わさせてもらいますよ」と出てこないのかね。外国、特にアラブでは金持ちが、困った人に施しをするのが、当たり前。かつてのオスマントルコ帝国なら、こんな金、スルタンがポーンと出す。すると、人々のスルタンや帝国への感謝と忠誠心が、いや増すというわけ。そのかわり、関係者への処罰は峻烈を極める。犯人だけでなく、犯罪を見逃した役人(本件でいえば、イーホームズのような審査機関、許認可に携わった公務員、名前が挙がった国会議員・・・ああいう国では、名前が挙がっただけで、首が刎ねられる)、金貸し(これは大抵非イスラムのユダヤ人)も、地位・財産は没収され、家族もろとも逮捕され、バザールの真ん中で、斬首。死体は埋葬を許されず、荒野にうち捨てられて、ジャッカルの餌になる。日本でもこれぐらいやってみるか。トルコに比べ、日本の金持ちというのは、本当にケチだねえ。所詮はビンボーニンの小倅だから、仕方がないか。
(05/12/05)

----コイズミ内閣、ついに馬脚を現す-----馬脚と言っても、国語力の乏しい若い世代は意味が判らないでしょう。上手く着飾って、周囲を騙していても、ちょっとしたことから、嘘がばれる例えです。
 政府の救済策の大綱が決定?(多分これから色々あるので、これで決まるかどうか判らない)。それにしても判りにくい。誰が一番得をするかというと、ヒューザー他のデベロッパーなのだ。次に得をするのが、住民。仮に4000万円で購入したマンションを、耐震性を考慮した建物に建て替えた価格が6000万とすると、住民は公費で2000万の補助を得たことになる。つまり、4000万で6000万のマンションが買えたことになる。という問題は別にしても、どうもこの救済案は不良品である。
@第一に筋が悪い。何故筋が悪いか、というと如何にも場当たり的で、将来を見据えた視点がない。妙な前例を作ると、間違いなく将来に禍根を残すだろう。そういうと、直ぐに、政治家や役人は、「時間が無い。被害者救済を優先すべきだ」と反論し、争点をうやむやにして誤魔化してしまう。そうだろうか?国会も終わっているし、こんな問題など大したことはない。検討する時間は、十分あったはずである。
A債務弁済の保証がない。公的救済の後、所要経費は事業者(例えばヒューザー)に請求すると云っているが、ヒューザーが倒産すれば、結局債務は国に持ち込まれる(つまり、国民負担)。それとも、国がヒューザーの債務保証をするというのだろうか?
 こんな救済策なら、当初ヒューザーが申し出た、150億の低利融資の方が、まだましだ。これなら、債務をヒューザーに限定出来るので、住民の二重ローンの問題は発生しない。政府案では、債権者が、国・自治体に分散し、上手く行かなければ、結局役人同士の責任の押し付け合いになって、うやむやで終わってしまいかねない。借金というか負債というのは、決して分散してはならない。これは土木工事でも同じで、問題点(負債)は分散させず、一カ所に集中させて、そこで一気に解決する。これが工事計画の要点。それが出来ていない点で政府案は落第。
 このように、争点・責任を曖昧にして、最後は国民に尻を持っていくやり方は、かつての自民党族政治にそっくりなのだ。コイズミ内閣は口では、カイカク、カイカクと怒鳴っているが、実のところは旧自民党の体質を、そのまま残している。武部のマッチポンプ発言なんかは、一寸選挙で勝っていい気になって、つい本音が出たということか。これを「馬脚を現す」と云う。
 この救済策は、形だけの・・・つまり哲学の無い、無思想・無節操の・・・小さい政府が結局、大きな買い物をしてしまった、という天下の愚策の一例として、永く伝えられるべきである。
(05/12/06) 

 公的支援の対象が、ヒューザー物件の分譲マンションのみに留まることについて、アホなマスコミが、早速疑念を呈しています。彼等は新聞を読まないのか?それともインターネットもみないのか?情報オンチも甚だしい。だから、ホリエやミキタニのような、ゴロツキ風情になめられるのだ。
 まず、姉歯物件は、大きく(1)ヒューザーがらみの分譲マンション及び個人住宅、(2)シノケンのような賃貸マンション、(3)ホテルに分類されます。
(1)ヒューザーがらみの分譲マンション及び個人住宅
 唯一、個人財産権が侵害され得るケースです。どうして侵害されるかというと、銀行が再建期間中のローンの繰り延べを認めなかった場合や、再建工事費の負担を、個人が分担しなければならなくなった時です。既存ローン以外の債務負担が増えるので、将来の財産形成権が侵される。だからといって、これを公費支援するには問題がある。阪神震災の時、国は公費支援は、国が個人の財産形成を支援することになる、と言って支援をしなかった。それとも、被災者が関西人の時は支援せず、東京だから支援する、というのか?天保飢饉の時、東北では30万人、大阪でも餓死者が出たというのに、幕府は江戸で、布施米をばらまき(天領から米をかき集めたので、かえって地方天領の農村貧窮化が進み、治安が悪化して、博徒・侠客といった犯罪者集団を生み、これが、倒幕運動の引き金の一つとなる・・・「天保水滸伝」などは、この風潮を下敷きにした反政府講談)、大食い競争が行われたという。こんなことをしていたから、大阪では「大塩平八郎の乱」が起こり、これをきっかけに、各地で倒幕運動が起こり、結局幕府は崩壊したのである。
 筆者は、基本的に、個人に対する公的支援には反対である。事業者と金融機関並びに関係機関(審査機関、施工業者等)が、連帯して補償すべきである。ただ、話しがまとまるまでに、時間が掛かるようであれば、その間の資金を、公で立て替えることまでは反対しない。
(2)シノケンのような賃貸マンション
 敷金を返し、引っ越し費用をシノケンが負担すれば、個人負担は生じない。解体費用は事業者負担。後をどうするか、事業者の勝手。従って、公的支援が出てくる余地がない。負担費用は、事業者と金融機関との間で、解決すべき問題です。
(3)ホテル
 これは云うまでもなく、事業者負担です。これには、例の総合経営研究所(以下、「総研」と呼ぶ)が絡んでくる。結論を云うと、自業自得で公的支援の必要はありません。これも事業者と金融機関との間で解決すべき問題です。総研とは、既にマスコミ等で報道されているので、ご存じと思います。ホテル経営のコンサルタントですが、所長の内河健という人物が、ホテル経営の指南をするサークル(SG会)を作っています。これの外郭に木村建設がいるわけです。このサークルの中で、内河とはどんな存在だったのでしょうか?ホテル経営のカリスマとも云われます。むしろ、カルトの教祖のような存在ではなかったでしょうか?こういうサークルで、信者(ホテル経営者)からの成功例が発表されると、新参者は皆そんな気になってしまう。カルトに多い、集団催眠です。
 一例を挙げます。一昨日、大阪のビジネスホテルで、耐震設計ねつ造が行われていたことが、明らかになりました。建築主はJR西日本の子会社の、「JR西日本デイリーサービスネット」。元請けは大林組、下請けが木村建設、構造設計は姉歯設計。当初、大林が総研と組んで、建築主に売り込んだのではないか、と思っていたが、そうでも無いらしい。大林側の説明では、木村建設の下請けは、建築主の指定だったという。そうすると、次のような構図が浮かび上がります。
 「JR西日本デイリーサービスネット」という会社は、そもそもホテル経営の素人。そこを親会社のJR西日本から、業績を上げろ、と圧力がかかる。こういう場合、素人は世間の噂を調べます(これがインターネット社会の落とし穴)。そこで引っ掛かったのが、総研という組織。そこへ頼めば何とかなるそうだ。というわけで、JR西日本デイリーサービスネットは、内河サークルに接触を試みる。ところが、相手の方が役者が数段上だから(JR西日本関連会社など、所詮は旧国鉄のゾンビみたいなもの。世間的能力はない)、結局はからめ取られ、信者になってしまった。
 新大阪のある場所で、開発プロジェクトが立ち上がり、元請けゼネコンは大林組に決定する(これは旧国鉄と大林の関係もあり、大林としてはJRターミナル関係工事は、意地でも手放すわけには行かなかったのだろう)が、大林に任しておっては、コストダウンは計れない。そこで、大林を値切るために、(JR西日本デイリーサービスネッのトップが)木村建設を下請けに押しつけた。木村がやってくれば、平成設計・姉歯がくっついてくるのは当たり前。それにしても、JR西日本と云う会社の体質には、救い難いものがありますねえ。
 他の物件でも、殆どこのようなケースではないかと思われます。つまり、事業主自身が、総研―木村建設(平成設計、姉歯)の線に引っ掛かって、不良債権を作ってしまった。これは自業自得であって、公的支援の対象にはならない。

 北側が、「建築基準法の罰則強化」、などというタワゴトを喋っています。罰則を強化して不祥事が無くなれば、こんな楽なことはない。神戸のAS事件の後、少年法が改正され、少年犯罪の罰則が強化されましたが、それで少年犯罪は減ったでしょうか?少年犯罪は、主に衝動的行為に基づくものですが、この種の犯罪は、もっと根が深いものです。そもそもは、現代日本の建設行政の矛盾に起因するものですから。北側の主張は、その矛盾を拡大するのみで、なんの解決にもなりません。
 ではどうすれば良いでしょう。一つの解決法は、構造屋を一般建築から切り離して、独立資格を与え、なおかつ業務独占権を与えることです。これなら、独占権に対応する責任、つまり罰則強化は受け入れられます。只でさえ、構造力学というのは難しい。だから、建築でも土木でも、学生で構造に進むのが少ない。おまけに、意匠屋に比べ、給料が安い。更に、権限は従来のままで、罰則強化だけでは、構造をやろうとする人間がいなくなる。技術の継承が途絶えるわけで、これによる弊害は、たかがマンションの10や20の比ではない。日本人の構造屋がいなくなれば、必然的に外国人任せということになる。外国人差別と非難されることを覚悟して、敢えて云います。設計を、外国人に任せれば、今回を遙かに上回る、設計ねつ造が蔓延するでしょう。
 但し、このアイデアは、一般建築士から猛反発を受けます。なぜなら、一般設計事務所にとって、構造屋を下請けにして、中間をピンハネするうまみがなくなるからです。
 この問題は、我々技術士にも共通します。戦後、技術士制度が導入されたとき、導入に最も積極的だったのは建設省。最も消極的だったのは通産省。技術士業務独占権に、前向きだったのは建設省。断固反対したのが、通産省だったのです。建設省は、技術士を建築士同等と扱おうとしたのに、通産省は、技術をあくまで企業の付属物としか見なかったのです(その背景には、企業側の猛反発があったのです。何故、反発したか!技術者が技術士として独立してしまえば、技術者の得られるべき給料をピンハネするうまみが無くなるからです。そのあげくが、今、あちこちで、退職技術者による、知的所有権訴訟となって跳ね返っているのです)。結果として、技術士の業務独占権は見送られ、今のような中途半端な状態になってしまった。しかし、今、APEC各国は、技術士資格を踏み台にして(技術士取得のハードルを低くするよう、日本に要求して)、日本の技術市場に切り込もうとしています。今のまま、グローバルスタンダードに基づいて、問題を放置しておけば、様々な場面で、同様の不祥事が発生することが、予想されます*1。建築構造だけでなく、技術一般について、技術士業務独占権の確立が必要です。そもそもの原因は、ニッポンの政治家・官僚・マスコミ・一般国民と云う裸の王様が、技術というものを、なめて掛かってきたから、こうなったのである。それが証拠に姉歯という、吹けば跳ぶような一建築屋に、日本国中が振り回されているではないか。

*1;日本人の技術者がいなくなれば、外国人を雇えばよい、というのがグローバリズム。外国人がやってきても、彼等は出稼ぎだから、労働ビザの関係もあって、せいぜい5年ぐらい経てば、本国へ帰る。その間稼げるだけ、稼げば良い。仕事をチェック出来る日本人がいないのだから、やりたい放題。今回のねつ造など、問題にならない事件が、発生する可能性がある。原発の構造計算書ををねつ造されたら、どうしますか?早急に、技術者の地位・待遇・を改善し、権限を強化する施策が必要なのである。

 今、話題になっているのは、建物の耐震性能だけですが、基礎は大丈夫でしょうか?建物の鉄筋を抜くぐらいだから、基礎に手を出していないとは限らない。第一、一棟でン千万抜こうと思えば、柱や梁を触るより、クイの方がよっぽど手取り早い。例えば、クイが支持層に入っていないとか、1クラス小さいクイを使うとか、場所打ちクイの場合は鉄筋を抜くとか。こんなもの、ボーリング柱状図を、一寸細工すれば、幾らでも偽造出来る。逆にそれが出来れば、姉歯の技術力は大したものだ、とも云える。尤も、ボーリング柱状図がねつ造かどうか、は専門家が一瞥すれば、直ぐに判る。
(05/12/07)

 12/07衆院特別委員会。イーホームズの藤田は、またまたしらっとした顔をして、嘘をついています。それに気がつかないんだから、国会議員というのは、駄目なのだ。なお、この委員会は成果が全くなく、論評に値せず。只、世間の関心は、総研−木村建設という、事件の核心に近づきつつあります。今後は、その背後にある、金融機関とか、国会議員や某政党(世間では、色々噂に上っています・・・皆さんは判っていると思いますが)との関係とか、に切り込んでいくことを期待します。何度も云いますが、姉歯など枝葉末節の木っ端。しかし政治家(某政党関連)や国交省は、なんとかこの線で、事件をうやむや・・・姉歯を犯人にして幕引き・・・にしたがっているのは、見え見え。

 総研内河のやり方を分析してみましょう。当初は、独特の方法でホテル経営を成功させる、ということでしたが、その後の情報で、何のことはない、とんでもないインチキ商法であることが判りました。ホテルを年利12%で運用する。そのためには、建設原価をやすくする。資材からなにから、ゼネコンを通さずに自己調達する。建築士に設計させると高くつくから、設備から何から全て総研が指導する。特殊な工事になるので、一般の業者では無理と言って、施工は木村建設、設計は平成設計(姉歯)を使う。何処をやすくするかと言うと、構造を節約する。どういうことかと言うと、12%の利回りで運用するための建築原価を出す。そこから、用地、設備費等目に見える部分の経費を差し引く。残りに収まるように、基礎・構造を決める。コンクリート量、鉄筋量はこれから逆算され、柱や梁の寸法もこれから決定される。つまり、構造部分は経済原理からのみで決める。安全性は考慮外。要するに、柱や壁は見かけ上、あればよいというだけ。こんなデタラメな理屈に大の大人が騙されてきたのだよ。(05/12/08)
 なお、この中に電力会社や鉄道会社がいるらしい。彼等は、電力事業法や、鉄道事業法で地域独占権を認められた、極めて公共性の高い企業である。又、その中には施設を管理するための建築部門もある。全くの素人ではない。にもかかわらず、こんなインチキ商法に引っ掛かるとは言語同断。株主は、代表訴訟を準備して、経営責任を追及すべきである。(05/12/11)


 実は、先週、島根県は出雲市に出張してきました。駅の周辺には、新しいホテルが沢山立ち並んでいます。その横を通っていると、何となく、これも姉歯物件ではあるまいか、という気になりました。当時は未だ話題がマンションに集中し、ホテルはそれほどでもなかった。ところがその後の展開を見ると、むしろホテルの方が多い。出雲市とか、島根県でも出てくるかも判りませんねえ。
 総研がこれまで、経営指導したホテルの数は、約200件に及ぶという。一方、姉歯が関わった物件は194件と云われる。数はほぼ一致しています。と言うことは、総研が関わったホテルの殆どは、姉歯が関係しており、構造計算書がねつ造されている可能性が高い、と云えます。逆に、木村建設−姉歯の線が見つかったから、総研の事業が急成長したのか。更に、木村建設−イーホームズという関係も、大いに好都合だった。総研に指導を頼んだ覚えのあるホテル経営者は、覚悟を決めて置いた方が良いでしょう。いや、諦めて下さい、と云った方がよいか。
(05/12/09)

 こういう問題が起こると、TVなんぞに色々不愉快な人間が現れる。その一つに、「業界評論家」というか、「その道専門家」と称される訳知りがいます。今時、訳知り顔で云うなら、もっと先に喋れ、という気持ちにになりますが、それは置いといて、私も一つ同じように、悪のりをしてみたいと思います。
 バブル崩壊直後、あるゼネコンが、本社の指令で、組織的に鉄筋を間引いている、という噂を聞いたことがあります。これは飽くまで噂です。そのゼネコンとは何処か?名前を聞けば誰でも知っている。建築よりは、土木が強い。バブルで痛手を蒙った会社。この話しを聞いたとき、「なるほど、やりかねんなあ」と思いました。何故でしょう。その理由は次の二つです。
 (1)銀行の不良債権処理
 (2)バブル崩壊後の価格競争
 これらの理由について、改めて解説する必要はないでしょう。何が何でも、利益を出さなければならない。そのためには、背に腹は代えられない、という訳。銀行は不良債権処理を建前に、国民に払うべき金利をネコババし、ゼネコンは企業体質改善・競争力強化と称して、安全性をネコババした。ネコババの一番おいしいところを吸い取ったのが、今をときめくIT産業。それに乗っかろうとしているのが、今のコイズミ政権。要するに、日本はバブル崩壊後、官民挙げてのネコババ国家になったのである。
(05/12/10)

 今週、国会で証人喚問が行われ、その後、強制捜査に入る。証人喚問では、殆ど成果は期待出来ないでしょう。偽証罪はあるが、それこそ証人が証言を拒否する可能性の方が高い。曰く「記憶にありません」、曰く「仮定の質問には、答えられません」、曰く「捜査に影響を与えるので、答えられません」等々の連発。唯一、期待されるのは姉歯が、トンでも発言をする可能性のみ。元々は、技術屋だから、こういう場面での、駆け引きになれていないと考えられるため。

 証人喚問に予定されているのは、姉歯・総研内河・ヒューザー他数社。大体いつものメンバーである。総研ルートでは、ヒューザー・シノケン・京王電鉄が予定されている。これだけでいいのでしょうか?又、捜査当局は、強制捜査をこれらだけに絞っているらしい。
 総研関与の物件は200件に及ぶ、と云われる。これらの内、上記3社の物件は、合計10数件に過ぎない。氷山の一角である。内河サークルに参加した企業は、おそらく数10社、或いは100社以上に及ぶ可能性がある。これらの会社には、責任はないのでしょうか?彼等は何を目的として、内河サークルに参加したか。それはヒューザー他と同じか、せいぜい五十歩百歩です。彼等の中にも、ヒューザー他と同じように、欲の皮が突っ張って、道を誤った会社があるはずです。例えば某電力会社とか、某鉄道会社のように。彼等の責任を問わないのなら、ヒューザー他にも責任を問うべきではない。ヒューザー他の責任を問うなら、その他のホテル業者も、全て強制捜査の対象にしなければならない。これが「法の下の平等」というものです。又、それをやらなければ、総研・木村建設・ヒューザー他をキーにした、本当の金の動きは掴めないでしょう。それとも、それをしたくないから、捜査対象を、始めから絞っているのでしょうか?何処かの団体からの圧力でもあるのでしょうか?ソーカ!なるほど。

 木村建設社長が、倒産後社員に当てた手紙で、「誠心誠意やってきた、・・・・・マスコミは真実を伝えず・・・」と訴えていた(12./11 4ch 「報道特集」)。当たり前ですが、マスコミは真実なんか伝えません。真実が判らないからです。真実は伝えないが、報道には断片的な事実は含まれている。それらをつなぎ合わせると、ある程度真実に迫ることは出来る。
  1、過去10年近くに渉って、我が国建築基準に照らして、違法になる建築物を作り続けた。
  2、木村建設と、平成設計・姉歯とは、事実上一体であった。
 少なくとも、これらは紛れもない事実である。他に総研との関わりが指摘されるが、これは未だ、推測に過ぎない部分もある。木村建設が、姉歯による計算書ねつ造に、どの程度関わってきたか、は今後の捜査によるとしても、少なくとも上記1、だけで、結果責任を取らなければならない。これが常識である。只、疑問なのは、ヒューザーもシノケンも、なんだかんだ云われながらも、未だ持ちこたえているのに対し、木村建設があっさり倒産した件である。木村建設だって相当稼いだはずだ。それが、一回の手形が、不渡りになっただけで倒産というのは、いささか腑に落ちない。銀行と共謀しての計画倒産か、或いは経営者一族の、これまでの資産隠しが疑われる。熊本県警や九州財務局は、何らかの行動を採るべきだろう。特捜が動けば面白くなりますがね。
(05/12/11) 

 証人喚問を翌々日に控えた12/12、平成設計が実に都合よく倒産しました。これで木村(李)一族の資産隠匿も完成か?

 朝、ちょいと6chモニを視る。例の耐震騒ぎ。確認申請審査について、弁護士と女評論家が意見開陳。
弁護士「審査を官から民に移したのが最大の問題。制度改革の時、既にこういうことが起きることが、懸念されていた。審査を民から官へ移すべき」。
女評論家「官から民へは大きな流れ。審査を官でやると、やすいが時間がかかる。民だと高いが早く済む。審査の問題は、運用で改善出来る。第一、審査を官へ戻すと、又、審査に時間が掛かってしまう」。
 事件発覚後、既に3週間が経過しているのに、未だにこのような低レベルで、不毛の議論しか出来ないのである。両方とも肝心な部分を見逃している。そのため論点がピンぼけになり、将来への展望が見えなくなっているのだ。特に女評論家は、安全審査を家計簿のレベルでしか視ていない。女というのは、どうしようもない生物だね、と感心してしまう。
 上記の議論で、見逃されているのは次の3点である。

    1)官の審査能力
    2)審査機関のリスク負担能力
    3)そもそも、民間審査機関とは何か?

 それぞれについては、既に個別に解説を述べてあるが、もう一度再説しておこう。

1)官の審査能力
 弁護士を始め、一般の方は、官のやることなら安心、といった官無謬信仰があるように思われる。しかし、これは大間違い。現に今回の騒ぎでも、自治体が計算書ねつ造を見逃している事実が、数多く報告されている。これは、官の技術レベルが低下して、民に追いつけていないことを表している。これには次のような理由がある。
(1)「新耐震」以降、耐震設計の手順が複雑になって、古いタイプの建築屋では、付いていけなくなった。このタイプは特に官に多い。
(2)設計審査というのは、一種職人芸的な部分がある。これは、先輩から後輩へと、順次受け継がれて行くものである。ところが、99年の制度改正により、技術の継承が途絶えた。
 99年の制度改正は、そもそも中曽根行革の延長である。行財政カイカクの旗印のもと、半ば強引に民営化が行われた。それが国の方針なら、自治体も従わなくてはならない。そこで、審査を民間に移す。すると、審査部門の要員は無駄では無いか、という声が市民や議会あたり(ときにはマスコミ)から、あがってくる。すると、要員を減らさなくてはならない。ベテランはリストラされ、経験未熟な若手ばかりになる(技術の空洞化)。その結果、更に審査能力が低下する。JR西日本的状況が、全国に蔓延したのである。
(3)建築確認審査というのは、技術官僚としてエリートポストではない。
 だから、エリートはやりたがらず、ノンキャリの天下(墓場)になる。業者との癒着が発生しても不思議ではない。そういう世界に慣れ親しんできた人間が、民間審査機関に天下ってくる。
 つまり、官といえど審査能力は最早当てにならない、ということを・・・弁護士も・・・認識しなければならない。

2)審査機関のリスク負担能力
 元々欠陥設計で、更に審査に手落ちがあって、欠陥建築物が出来たとしよう。この場合は、建築主と審査機関が連帯して、損害を補償しなくてはならない。審査機関が役所の場合、役所はその土地から逃げることが出来ないから、何とか補償に応じることも考えられる(簡単では無いですよ。裁判に何年も掛かって、取り戻せる金は、せいぜい実損の数分の一)。しかし、民間審査機関の場合、そもそもが弱小資本だから、リスク負担能力に問題がある。訴訟を起こしても、倒産して逃げ出してしまえば、どうすることもできない。やられ損になってしまう。
 女評論家は世の中を、甘く見過ぎているようだ。民間に審査させるなら、リスク負担能力のある企業でなければ意味はない。制度を今のままで、運用を手直しする程度では、将来同じ失敗を繰り返すのは必至。

3)そもそも、民間審査機関とは何か?
 建築確認審査を民間に委ねることは、役人の権限を縮小することだから、役人の方が猛反対するはずである。ところが、反対したのは、共産党とか日弁連のような、どちらかというと反官僚的団体。何故でしょう。民営化しても、民間審査機関に登録するためには、様々な規制が仕掛けられていて、自由化とは真っ赤な嘘。役人の天下り先確保が真の目的だったのだ。かつての道路公団民営化を見てみましょう。民営化前の国交省指定ポストは、総裁と経理担当理事の二つぐらい。ところが、民営化で国交省は、少なくとも8ポストを手に入れた。郵政民営化でも同じ。郵政公社時代なら、総務省はせいぜい2ポストだが、民営化で8ポストを手に入れられた。99年の制度改正でも、同じ構造がみえるのである。
 バブル崩壊前では、役所の建築行政担当職員は、退職後は地場ゼネコンへ天下るのが普通。ところが、バブル崩壊で、地場ゼネコンの倒産やリストラが進んで、天下り先ポストが無くなってしまった。そこで考え出されたのが、確認審査の民間委託だったのである。
@民間審査機関設立の条件を厳しくして、誰でも設立することが、出来なくしてしまう。そのため、実績を設立要件の一つにする。役人OBがいることが、実績になる。イーホームズの(何もやらなかった)審査員が、全員役人OBだったことが、何よりの証拠。これはAにも関連。
AOBにより、監督官庁への接点があることが、建築主へのウリになる。官民癒着の可能性はありますねえ。
B形だけでも民営化だから、世の中の流れに逆らっていない。だから、女評論家とか、民主党とか自民党カイカク派と称するタワケモノ、東洋大の松原・塩川といったノータリンをだますことは簡単。
 要するに、世の中全体が、役人の狡知にだまされただけ。但し、政治家はどうだったか?騙されたふりをして、しっかり甘い汁を吸っていた可能性はあります。例えば、イーホームズと伊藤元国土庁長官との関係。他の審査機関も、みんな叩けば埃の出る体ではないでしょうか。

 私はどうすれば良いか、という方策は持っていますよ(11/28)。しかし、採用される可能性は、極めて低いでしょう。何故なら、横井案は、役人の既得利権を取り上げるものだからです。
                          −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 いよいよ明日は国会証人喚問です。これにより、真相が顕かになるのではないか、とマスコミのボルテージは上がるばかり。しかし、強制捜査を翌日に控えているのだから、関係者が自分に都合の悪いことを、喋るわけないじゃないですか。と言うわけで、ここで筆者が自分なりに考えた、本事件の構図を纏め、ひょっとすると明日証人喚問で、出てくるかもしれない事実との、比較のネタにしたいと思います。
1、遠因と発端
 これは、やはり、総研内河モデルが、最大の遠因と考えられる。これさえなければ、姉歯も引っ掛からず、事件もこのような広がりに発展しなかったかもしれない。これの詳細は既にマスコミ等により、報道されているし、本HPでも12/08に解説を加えているので、詳細は避けます。只、内河モデルで重要なことは、建築設計で、いわば「聖域」とされた、構造設計に足を踏み込んだことです。普通の人は、建物のレイアウトや設備は理解できるが、構造はさっぱり判らない。そこで専門家にお任せ、ということになる。これが「聖域」である。内河はこの垣根を取っ払ってしまった。ではどういうことになるか、と言うと、そもそも安全という、人間の意志ではコントロール出来ない部分が、自分の意志でコントロール出来るという錯覚を、人間に与えてしまったのである。特に、内河の云った「構造というのは、構造屋さんによって大きく異なりますから・・・」という一言は、安全という、絶対的基準を、事業者の欲望によって、相対化することを、可能にしてしまったのです。これこそ、グローバリズムの神髄、コイズミ内閣の「聖域なきカイカク」の実践です。内河が、このようなモデルを思いついた発端は、バブル崩壊後の日本の経済情勢、特に新自由主義経済に、触発されることが大きかったと考えられます。
2、広がり 
 内河モデルの広がりは、次の三つの要因が重なり合うことが必要でした。
  1)必要条件;シンパ(SG会と称する内河サークル)の存在・・・建築主
  2)十分条件;内河モデルを実践する設計・施工業者の存在
  3)これらを拡大させる経済環境
 何故、両者の共存が必要だったか、と言うと、そもそも内河モデルが、不完全だったからです。内河モデルは、構造を経済原理でコントロールする。従って、安全性という面では、不完全な建築物しかできない。古いタイプの、つまり昔から開発を手がけている伝統的な不動産業者は、懐疑的になって手を出さない。だから、ビジネスとして一般化出来ないので、特別なシンパサークルを作る必要が生じる。要するに、業者をこのサークルの中に閉じこめて、情報をコントロールしてしまうのである。これがSG会である。
 さて、シンパサークルを立ち上げても、モデルを実践する業者がいなくては、画に描いた餅。そこに現れたのが、木村建設。おまけにこの会社は、平成設計という設計会社と、姉歯という構造屋を引き連れていたから、鬼に金棒。更に、木村建設は、アメリカ渡りと称する特殊工法を所有し、国内展開を計っていた。ところが、これも、日本ではおおよそ認められない、インチキ工法の可能性が大きく、他では使えない。そこへ、ひょんなことから、内河と知り合いになり、両方とも安値受注で、業績を上げようと云う思惑は一致しているから、たちまち意気投合、協業体制成立。1)、2)の必要十分条件は満足され、どれか一つの事業が成功すると、それはサークル内外の評判となり、更にサークル参加者が増え、事業が拡大するというサイクルが出来上がるのである。
 このようなサイクルが拡大するには、当時の日本の、特殊な経済情勢が、重要な役割を果たす。バブル崩壊後、日本の銀行は不良債権処理に奔り、どの企業もやたら利益第一主義、成果主義に陥ってしまった。目前の利益を確保する最も手取早い手段は、人件費の削減である。その結果、どの会社もベテランは追放され、残ったのは若手と称する、チンピラばかり。この手の若手の最大の欠点は、法律知識に欠けることである。バブル崩壊後流行ったサービス残業や、企業による様々な脱法行為は、主に若い企業経営者や管理職の、法律知識欠如によるものである。しかも、当時の政府やマスコミが、こういった傾向を是認したり、後押しすらしていたのである。これは、当時から浸透してきた、アメリカ流新自由主義の影響であり、これのイデオローグが、悪辣極まりないタケナカ平蔵とか、塩川・松原とかいう、国民の敵。コイズミチルドレンとは、これら悪党の野合によって形成されたウイルス。
 サークル参加者は企業経営者(又は経営担当者)で、建築担当者ではない。そもそも、建築基準法の知識がなかったのだろう。だから、簡単に引っ掛かってしまったのだ。これも又目前の利益追求主義・安易な成果主義の結果。
 総研とか、木村建設、ヒューザー他のやり方は、当に現代の新自由主義経済の流れに沿うものであり、コイズミ内閣の方針を忠実に再現している。彼等こそ、規制緩和の寵児、価格破壊の実践者だったのだ。だからこそ、総研内河は、ホテル業界紙に取り上げられ、ヒューザーの某物件はナントカ賞を貰えたのである。
3、姉歯、ヒューザー他との関わり
 姉歯は元々、木村と取引があった。その関係で、内河サークルに引き込まれる。そして、あのデタラメな、内河モデルに付き合わされることになった。おそらく姉歯も当初は、構造を予算に合わせるなどという、逆転設計は断ったと思う。ところが、木村の東京支店長に「何とかしろ、そうでなければ今後仕事を出さないぞ」と脅されて、苦し紛れに思いついたのが、構造計算書のねつ造ではなかったか。ここで重要なのは、姉歯が計算書のねつ造を、木村や総研に了承させたかどうか、なのである。彼は性格が、あまり強くなさそうなので、自分の中にしまい込んでしまった可能性が高い。そうすると、この事件は見かけ上、姉歯の単独犯行になってしまう。筆者は現役時代、発注者から、何か課題を突きつけられた時、解決法を必ず計画書や検討書の形で、文書で提出し、相手の了承を取り付けるようにし、部下にもそう指導した。これは何故かと云うと、そうしないと、こちらの判断だけでやってしまって、その後問題が起これば、100%こちらの責任になる。一方、文書という証拠を残しておけば、起こったことは、相手の責任になるからである。「陰謀をうち明けたとき、うち明けられたものは共犯者となる」と言ったのは、マキャベッリだったか。
 更に姉歯にとって、運が悪かったのが、ねつ造計算書が、イーホームズの審査を通ってしまったことである。以後は、最早惰性となり、手当たり次第、頼まれていない物件まで、ねつ造を繰り返すことになる。電車のキセルも、一度味をしめると、やらないと電車に乗った気がしないのと同じ。もし、イーホームズがクレームを付けてくれば、姉歯にとっても、内河サークルを説得する材料になったかもしれない。
 ところで、総研はホテル中心に展開してきた。一方、ヒューザー、シノケンはマンション屋だから業界が違う。第一、彼等と総研の事業展開時期に数年のずれがある。ヒューザー、シノケンも首都圏での、低価格マンションの展開を考えていた。そこへ現れたのが、木村建設である。ホテルでの成功例を聞かされると、小嶋は一も二もなく内河モデルに飛びつく。小嶋も又構造の知識が無いから、これは仕方ない。ここでまた問題なのは、ヒューザー、シノケンが、姉歯による計算書ねつ造を、最初から知っていたかどうかである。彼等は、どちらかというと、内河サークルの中では新参者である。彼等がねつ造を知っていたとすると、他(全員とは云わないが)にも、知っていたメンバーがいたはずである。何故、マスコミも政党も国交省も警察も、彼等以外の事情聴取を行わないのだろうか?それ故に、この事件の背後に、もっと深い闇が潜んでいる、と考えられるのである。

 以上が、筆者の作った全体構図です。これが明日、明らかにされるであろう事実と、どれぐらい差があるか、楽しみですねえ。

(05/12/13)

 最近になって、イーホームズ藤田が盛んにTVに現れ、通常の審査では、ねつ造は絶対見破れなかった、と言い張っています。しかし、幾ら言い張っても、事件発覚直後の、姉歯の一言「こんなねつ造など、専門家なら誰でも判るはずだ*」、には勝てません。もし、判らないと云うなら、イーホームズは専門家ではなかった、ということ。素人が審査をやっていたことを、自ら告白宣伝しているようなもの。素人の審査で金を取るというのは、詐欺ですよ。誰に対する詐欺かというと、単に依頼主という小さな話しではなく、安全というものを担保にしている以上、それは国家・国民に対するものです。更に、藤田は、事件が明るみに出たのは、イーホームズが公表したからだ、と言い張っています。そうでしょうか?そもそもの発端は、10月始めの、国交省への謎の投書です。これがきっかけになって、国交省の立ち入り検査になった。これがなければ、イーホームズは相変わらず、手抜き審査をやっていますよ。
*これは、今日の姉歯証言で証明されました。
(05/12/14)

 最近目に付くのが、マツシタの温風暖房機回収広告。ある日の朝8ch「トクダネ」。小倉キャスター曰く「10何年も前から使われてきたんだから、よっぽど性能良いんでしょうね。200億の広告料というけれど、世界のマツシタのブランドがあるから、踏み切ったんでしょうね。さすがですねえ」などと媚びへつらいのオンパレード。画面では、正義漢面しているが、実態は強いものに弱い、茶坊主の典型。温風暖房機不完全燃焼で、既に10数人の死者が出ている。しかも、その内数人は、修理マニュアルの不備によるものと断定されている。立派な業務上過失致死罪である。なお、PL法の関係で、マツシタに回収責任はない、とする見方をする人もあるようだが、死者が出た以上、これは刑法の問題である。刑法とPL法は何ら関係がない。
 さて、ヒューザーマンションでは、未だ死者は出ていない。しかし、世間では「殺人マンション」と呼ばれる。一方のマツシタは、自社製品から死者がでているから、立派な殺人会社である。同じような殺人会社としては、三菱自動車がある。これらに対する世間(というより主にTVマスコミ)の評価は、ヒューザー、三菱は悪漢殺人企業、マツシタは殺人の事実は覆い隠され、対応のみが美談化される、というように分かれる。何故でしょう?これはTVに対する、普段からのスポンサーシップの差なのです。要するに、TVの製作現場(プロデーサーとかニュースキャスターとか)と、企業宣伝部との癒着が、如何に進んでいるかによって、対応が違って来るのです。ヒューザーも普段から、TV局に金をばらまいておくべきだった。小嶋も、若いバカギャルタレとばかり飲まず、そこにTV局幹部やミノモンタなんかを一緒に巻き込み、盛り上がったところで、みんな一緒に記念写真でも、撮っておけばよかった。なお、写真は必ず日付入りとすること。場所が何処か特定出来るように、背景を工夫しておけば、効果は更に上がる。

 昨日の衆院国交特別委員会。ウーン!タイゾーというのは、なんで自民も民主も、ああ馬鹿なんでしょう!民主党三日月タイゾーの、姉歯への要求
(1)これまでの業務経歴を全て提出しなさい。・・・・・こんなもの、事件の解明になんの意味もない。
(2)これまでの、木村建設との金銭取引の資料を全て、提出しなさい。・・・・姉歯は個人事業主(おそらく只の青色申告業者)だから、法人とは立場が異なり、帳簿作成義務も、保管義務もない。散逸しているものもある。整理するには、大変時間がかかる。姉歯が困惑するのは当然。私だって、いきなりこんなこと云われたら「一寸待って!」となり、更に「馬鹿なことをいうな!」と怒鳴りつけるかもしれない。
  いきなり、何の関係もないことに話題を変えて、こちらを混乱させようとしたり、無駄な資料を何でもかんでも作成させて、後は知らん顔。自分が如何に、お前達民間とは違う権力をもっているか、を見せつけたがる不逞役人に、こういう手合いがよくいる。。

 第一、三日月は自分じゃ、なにも新しい事実を発見していない。マスコミネタを、なぞっているだけである。議員の政務調査費は、何のためにあるかを、よく考えよ。もっとも、これは他の議員、特に自民・公明に云えること。

 4人の証人の内、三人はまあ、あんなものかという印象。総研内河は予想通りしぶといし、木村建設社長は都合が悪くなると、急に耳が遠くなって、トンチンカン答弁で時間稼ぎをする。篠塚は「知らぬ存ぜぬ、記憶にない」で押し通す。姉歯が一番まともな答弁をしていた。なお、内河の離婚は、資産隠しのための偽装離婚。木村建設の倒産は、同じく資産隠しのための計画倒産、が世間のもっぱらの噂。但し巷の美容院レベル。
そこで、姉歯答弁を軸に、新たな問題点及び、 前々日筆者が示した事件の構図との違いなどを、検討してみたいと思います。
1)建築確認審査のいい加減さ
 これは、明確に姉歯証言で裏付けられました。彼はインチキかどうかは、一目視れば判ると言っている*。これにより、偽造を見抜けなかった、民間審査機関や、公的機関の言い分は、全て嘘だということが、証明されました(これは筆者が、ずーット主張していたこと)。なお、当日朝刊で、大阪市が確認審査した、大阪市内の姉歯物件で偽装が発覚。設計計算で考慮されていた壁が、図面上には存在しなかった。大阪市側の説明「数字の羅列で実態が判らなかった」。これも嘘。第一、壁があるか、ないかは数字で判るわけがない。図面で照査しなければならない。姉歯証言は、未だに、共産党や自民党の一部でくすぶっている、審査の公営化が、如何にナンセンスであるかを証明するもの。
 いい加減な審査は、なにも姉歯物件だけであるはずがありません。他の物件に対しても、いい加減審査は平等に行われていたはずです。姉歯以外に、誤魔化し設計は、必ずあったはずです。しかし、それを追求しだすと、とんでもないことになる。県知事や市町村長の2/3は、首になるのではないか?だから、国交省や自民党は、この問題を総研−木村建設−姉歯の線で収めたいのだろう。本来、その点を厳しく追及しなくてはならないのが、民主党なのだが、三日月みたいな、トンチンカンの馬鹿を、委員に指名するという点に、あの政党の限界が見えるのである。最早、第三与党だ。
*なお、これまで姉歯が国会の喚問に応じなかったのは、彼に国会でこういう証言をされると、非常に困る連中(民間審査機関・・・要するに役人OB、役所)がいて、その連中から、口止め・足止めを食っていたのではなかろうか、と疑ってしまうのである。結局、警察が強制捜査に乗り出すということで、彼等も諦め、 姉歯も、お陰で国会証言が出来るようになった、ということではないか?
2)基礎の問題
 これまでの騒ぎ(マスコミ、国会)では、建物ばかりに焦点をあて、基礎について全く無頓着なのが、不思議千万だった。果たして、基礎に手抜きがあったかどうかだが、姉歯は基礎は在来で行い、建物だけ低減を行った、と証言した。と言うことは、基礎は少なくとも支持層には付いている、ということだ。但し、そのまま使えるとは限らない。建て直し後の外力条件が、変わってくるから、基礎に加わる外力も、当然変わってくる。これを考慮した基礎の安定度照査が必要。無論、こんなことは云わなくても判っているよねえ。なお、外力は大きくなることはあっても、小さくなることはない。グランドステージ住吉のような、軟弱地盤上の建物は、当たり前だがクイ基礎。まともに地震時外力を加えると、水平力は持たないだろう。軸力もどうか判らない。水平力に対しては、免震での対応となろう。支持力が軸力に不足した場合は少し厄介で、一戸あたりの面積を小さくして、階数を減らすとか、柱と基礎の間に、軽量緩衝材(例えばEPS)を入れるなどの工夫が必要になるも知れない。建て替え費用は、思っていたより、高くなりますよ。
3)ねつ造の始まり
 この事件はマンションルートとホテルルートがある。筆者は、ホテルルートが先行し、それがマンションルートに伝染したと思っていたが、事実は逆で、マンションルートが先だったのだ(姉歯証言)。ねつ造の発端は、98年のグランドステージ池上。この時に、木村建設篠塚から、鉄筋減らしを強要される。但し、篠塚は頑強に否定しているから、姉歯は計算書ねつ造を、自分で思い付いたが、篠塚の了承はとらなかったのだろう。この辺りは、タイミングにずれはあるが、概ね筆者の予想通り。ホテルの最初は、国交省資料によると、99年の長野県ホテルセンピアと福岡のダイナコートエスタデオ。なお、姉歯の性格が弱いのも、筆者の読みどおり。
 グランドステージ池上の設計で、姉歯は当初、鉄筋減らしを拒否するが、篠塚から木村建設内での標準鉄筋表(通常の設計なら80〜100s/uとなる鉄筋量が、ここでは60〜70s/uとなっていた、という例の表)を示され、それに従うことを要求された。問題は、その標準鉄筋表だが、それが何を根拠に、誰が作成したのか、が全く明らかになっていない。作成者が明らかになれば、本事件の背景を明らかに出来る、有力な手がかりになるのだが、その点を追求する議員が、与野党ともに一人もいなかったのは、どういう訳でしょう。筆者は、作成者は多分総研の誰か、おそらく四か所という人物だろうと睨んでいる。時期は判らないが、四か所から平成設計へ、具体的に構造変更を求めるメモが見つかっている。以前からこの種の指導が、木村や平成設計に対し行われており、それが両者への無言のプレッシャーになっていたことは、容易に想像出来る。
4)ヒューザーとシノケンの関わり
 姉歯によれば、シノケンは木村建設の云うままに動いていただけ。従って、シノケンはシロ。難しいのはヒューザーである。姉歯は「ヒューザーから直接指示を受けたことはない」、と証言した。では、ヒューザーから、木村に指示があったのだろうか?一般にデベロッパーから、ゼネコンに対し、「鉄筋を減らせ」といった、具体的な指示があることは考えがたい。ゼネコンにしても、「鉄筋を減らせば、これぐらいやすくなりますよ」といった、細かい話しをするだろうか?仮に云ったとしても、法律を侵す、と言ったやばい話しをするか、と言う点に、疑問が残るのである。せいぜい、「ウチの基準では、鉄筋はこうなりますよ」といって、標準鉄筋表を見せる。ヒューザーはそれを見て、「ウンウン、それでやってくれ」、てなところで終わったのではなかろうか。グランドステージ池上の話し合いでも、姉歯は蚊帳の外(室外に出されている)。ヒューザーと木村との間で、どういう話し合いが持たれたか、不明なのだが、一般には、総事業費の話し。ヒューザー側から、木村に対し、「もっと建築費をなんとかならんか」という要求があり、木村は単に「頑張ります」で終わりだ。まして、姉歯は木村に、構造計算書ねつ造の了解を取っていない、と考えられるので、木村がヒューザーに、構造ねつ造のような、話しをするとは考えられない。従って、ヒューザーもシロになる可能性の方が高い。要するに「頑張り」の中身だけを、姉歯が押しつけられたのである。
5)総研の役割
 木村建設社長と、総研内河とは30年来の付き合いで、おまけに知り合って数年後から、内河は木村の経営指南をやっていた。つまり、総研との付き合いは、社長の御声掛かりであり、木村社員や平成設計にとって、総研は特別な存在であった。逆らうなんてとんでもない。だから、総研から、「この程度の建物なら、コンクリートはこれぐらいで、鉄筋はこれぐらい」などという表を渡されたら、それは絶対的指標となってしまう。幾ら、姉歯が「これ以上無理ですよ」と云っても、そんなもの、通用する雰囲気ではなかったのだろう。内河が姉歯を知らない、といってもそれは当然。総研を元請けとすると、木村は下請け、平成設計は孫請け、姉歯は曾孫受けに過ぎない。この辺りも、国会議員は、よく理解できていないみたいで、その為無駄な時間が浪費されている。
 木村が金科玉条にしていた、標準鉄筋表が何ら裏付けがなく、構造上の安全基準をクリアーしておらず、なおかつ設計や施工を拘束するものであれば、作成したり、その使用を強制したものは、少なくとも建築基準法や、建築士法違反に問われるでしょう。総研は、限りなくこの線に近いのだが、旨々と逃げられてしまっている。後は、強制捜査で、平成設計へ渡したメモをを手がかりに、総研の関与を明らかに出来るか、どうかである。
6)結論
 これまでの事実のみから考えると、この事件は姉歯元建築士の単独犯、罰金50万円で落着する可能性が高い。泰山鳴動ネズミ一匹である。国交省や与党にとっては、こういう形での終結が最も望ましいのである。但し、次のような余波が発生する。
(1)建築士法、建築基準法の改正
 罰則が強化される。そのかわり、構造技術者の地位向上とか、報酬増が実現されればよいが、一般には、やらずぶったくりがこの国の習性だから、権利は今までどおり、義務だけ増大になりかねない。その場合、又同じような事件が発生します。
(2)民間審査制度の見直し
 私は民間審査制度など廃止し、特定建造物は特定保険に強制加入とし、保険会社が安全審査をするのが、一番合理的と考える。公的機関から撤去・解体を命令されれば、理由の如何を問わず、保険会社が撤去・再建までを負担する。確認申請者以外の構造技術者が、保険会社の委託で審査すればよい。数人で別個にやれば、本当に安全かどうか、自ずから判ってくるし、構造屋にとっても、仕事が増えるので有り難い。
 (05/12/15)

         (前日の続き)
(3)関係者の運命
@シノケン
 事件関与はシロと考えられるので、金融機関の支援を得て再建可能でしょう。
Aヒューザー
 姉歯証言から見て、限りなくシロに近い灰色と思っているが、何分世間の評判は最悪である。マスコミには、未だにヒューザーが主役と思っているのがいるらしい。商売を再開するのは、当分無理でしょう。従って、このままでは最悪倒産の可能性もある。但し、政府はヒューザーを潰さないのではないか、という気がする。一つは公的支援の返済窓口が必要だし、住民から何かあったとき、ヒューザーをサンドバッグにして、批判を政府からそらせる役割に利用出来る。
B木村建設、総研
 木村建設は倒産したし、近く総研も同じ運命を辿るでしょう。更に、総研は建築基準法他違反で告発される。容疑は、無資格で設計・施工監理業務を行ったこと。総研には5人の建築士が居るではないか、という疑問もあるでしょうが、上記業務を行うには、建築士が居るだけでは不足で、一級建築士事務所登録をしなければならない。それを怠っていたこと。但し、罰金50万円で終わり。それより、木村・内河一族の資産隠匿疑惑の方が、世間の注目を集めるでしょう。既に海外に渡っているという噂がもっぱらです。税務・検察当局には、頑張って貰わないと困る。一族はしばらく、眠れぬ夜を過ごすことになるでしょう。
C姉歯
 彼は仕事は出来るから、当面はどこかの構造屋の下請けで、潜って仕事が出来るでしょう。仮に、筆者が考えているように、保険会社が審査ををやるようになれば、インチキ設計を見破るコンサルタントとして、保険会社の顧問になっているかもしれない。また、本事件を契機に、建築士法や建築基準法が見直され、構造屋の地位向上に繋がれば、その功績は大なので、その内、姉歯大明神なんかに祭り上げられて、何処かの神社に鎮座ましましているかもしれない。
Dその他
 一番のパーは、総研の旨い話しに乗った、ホテル経営者達です。特に、大企業系列のそれは、大馬鹿者と云ってよい。家族でやっているような、零細ホテル経営者は、地元の金融機関が支援に乗り出さない限り、気の毒だが倒産は免れないでしょう。大手のホテルチェーンや、大企業が事業主になっている場合はどうでしょう。上場企業の場合は、株主代表訴訟は覚悟すべき。早速、責任のなすり合いが始まります。大体、総合監理(新聞ではこうなっているが、総研はゼネコンの上位にいるから、管理になるはず)などと云う、法令にも社会通念にもない、曖昧なものに、設計から施工監理まで任せる、という点に、世間知らずの甘さがある。おかしいと思わんかね。担当者だけでなく、経営トップも責任を負うべきである。(05/12/16)

 姉歯について、幾ら木村建設に強要されても、技術者のプライドがあれば拒否すべきだった、といった三文お涙頂戴精神論をぶつバカタレ(例えば、6ch小島)や、他に仕事先を見つけておけば、木村に遠慮する事、なかったんじゃないか、などとノー天気なことを宣う、一般ピープルも居ます。姉歯を弁護する訳じゃないけれど(イヤ、実際は弁護しているのだが)、彼がねつ造に手を染めた、90年代末期の社会経済情勢を見なければ、後からの批判など、なんの意味もない。
 バブル崩壊後の90年代になると、銀行はみんな不良債権回収に乗り出し、特に90年代後半、建築業界は深刻な不景気に陥った。姉歯が最初のねつ造に手を染めたのは98年。建築最不況期である(土木はそれより数年遅れ、未だ展望は見えない)。特に打撃を受けたのが、構造屋だ。意匠と違って、構造は計画が実施に向けて動き出さなければ、仕事にならない。勘違いしてはいけないのは、意匠屋は依頼によって、幾らでも画を描くが、実施に向かうのは、ほんの数分の1。つまり、意匠屋が手がけている物件の内、構造屋に回るのは、ほんの数分の1に過ぎないと云うこと。そもそも建築需要が低迷しているから、更に構造の仕事は少なくなる。少ない仕事を、大手が取り合いするものだから、姉歯のような個人零細業者は、その煽りで、全く仕事がなくなってしまう。余所から仕事を採ればいいじゃん、などという気楽な世界ではないのだ。そこに木村建設のように、コンスタントに仕事を出してくれる会社が現れれば、その云うことをきかなければならない、という気になって当然。おまけに、木村篠塚は、頬に傷が入っている(通常、建築工事で、頬に傷が入るような事故は、考えがたい)。あの面相で「何とかしろ」と迫られれば、大抵の人間は、ナントカしてしまうんじゃないですか?あの面相で、目の前に迫られて、対抗出来る人がいれば、是非本hp「掲示板」へどうぞ。プライドだけじゃ家族は養えない。他にまとも仕事があれば、何もこんなヤバイ仕事をしなくても済む。
(05/12/17)

12/16に、姉歯以外にも欠陥建築があるのではないか、という報道がありました。但し、この報道では、「鉄筋量が60〜70s/uにすぎないので、故に欠陥の疑いがある」、という程度。いささか腑に落ちなかったが、まあ、そういう可能性もあるかもしれない。この建築が設計されたのが、96年。すると、姉歯の前の話しなので、篠塚の「他にも設計屋はいる」という言葉は、単なるブラフではないことになる。
 ところが、本日8ch「トクダネ」で、当該建物の耐震強度が、全て1.0以上あることが判明。マスコミの早合点であることが、判りました。おまけに、ある設計屋から「テレビの報道は、まことに愚劣極まる。60〜70s/uという数字は、あくまで目安であって、地震時の安定性は、耐震強度によってのみ決まる。設計上の工夫で、この鉄筋量でも、安全性をクリアー可能云々」というFAXが読まれた。すると、出演者一同シーン、未だ割り切れない様子。投稿者の云うことは、まことに当たり前なのだが、高校の時、物理をやっていない人達には、理解出来ないことなのだろう。例えば、単純バリの場合、梁のスパンを5%小さくするだけで、モーメントはおおよそ1割小さくなるし、柱や梁の断面を1割大きくすれば、曲げ応力はおおよそ3割小さくなる。必要鉄筋量は、曲げ応力に比例するので、鉄筋量もおおよそ3割少なくなる。当該建物の大部分は、ラーメンだから、部材の節約効率はもっと、大きくなるはずだ。但し、使い勝手は悪くなりますよ、と言うこと。更に、鉄筋は減っても、コンクリートが増えるので、どっちが得かは一慨には云えない。
 それと、この問題について、よく云われるのが、下層階と上層階とで、段落としをやっていないのはおかしいという指摘である。阪神・淡路大震災で、崩壊した建物の中に、段落とし部分で鉄筋が剥がれ、上層階が落下したケースが、数多く見られた(代表的なのが、神戸市役所旧庁舎)。その後、段落としはやらない、と言うことになったと思ったが、筆者の記憶違いだろうか?但し、姉歯の設計は、元々不足している鉄筋を、上から下まで通しているから、話しにならない。
 さて、上で述べたように、部材断面にほんの少し余裕を見るだけで、鉄筋量を減らすことが出来るのだから、何故、わざわざ設計をねつ造しなければならなかったのか、が疑問なのである。二つの仮説を挙げておきます。
1)型枠規制説
 木村建設の型枠で、梁や柱のスパンが決まる。限られた用地内に、全設備を収用しなくてはならないから、柱を細くしなくてはならなくなった。
2)天の声説
 天の声とは、即ち総研内河の声です。12/18サンプロで、田原総一郎のつっこみに対し、総研四か所は「これは経験に基づく数字である」と答弁。こんなこと云って大丈夫かな、と思ったが、云ってしまったから仕方がない。では、一体、誰の何に基づく経験でしょうか?明らかに、内河の金儲け哲学による経験です。要するに、このホテルなら鉄筋量が60〜70s/u以下なら儲かる、以上なら儲からない、という単純な話し。但し、この程度の内容でも、カリスマを通すと、天の声になってしまうのである。コイズミの一言で、予算や税制が変わるのも、レベルは同じ。

12/18サンプロで、田原総一郎の「証人再喚問をするのかどうか」というつっこみに対し、自民党は「確実な証拠が見つかるまで、十分時間を掛けて調査し、その上で・・・・」などと、訳の分からない答弁。要するに、「証拠を隠滅出来るまで、十分時間を掛けて」ということ。誰を助けたいのでしょうか?無論、11/30に筆者が指摘した「善意の仲介者」達です。いよいよ、事件は自民・公明ルートに入っていくのか(自民党の場合、森派が当面のターゲット)、それともこの辺りで、指揮権発動になるのでしょうか?
(05/12/19)

 本日、警視庁ヤラセ・ガス抜き強制捜査開始。何故、ヤラセか?まず目的がさっぱり判らない。強制捜査の対象物件が、恣意的に選ばれており、客観性が感じられない。今日、捜査が始まったのは、12/18サンプロ発言を考慮すると、重要な証拠隠しが完了したので、これで構わない、と自民・公明が了承したのではないか、と疑ってしまうのである。何故なら、先週は確か、国会承認喚問翌日に、強制捜査と言う話しではなかったか?5日も遅れている。と言うわけで、事件の結末は姉歯・総研に対する建築基準法違反、罰金50万円で終わり。木村、内河他には所得税法違反とか、外為法違反などの摘要も考えられるが、今の時点では、只の推測のみ。ヒューザーに至っては、何で立件するのか、さっぱり判らない。宅建法違反という声もあるが、これの適用は難しいと思う。具体的には、グランドステージ藤沢の引き渡しに際し、前々日にイーホームズから、ねつ造を開示されたにも関わらず、これを握り潰した、ということが容疑になる。仮に、この容疑で、起訴したところで、裁判になれば、そもそも、イーホームズという会社が、いい加減な審査をやっていたことが原因なので、ねつ造云々という話しも信用出来ない。確認するまでの時間が必要だった、と主張すれば出来ますよ。もし、これを適用するなら、日本の不動産屋の殆どは、すねに傷持つ身ではないだろうか。
 なお、本日までの報道により、総研内河に複数ルートからの、入金があったことが判った。問題はこれの流出ルート。「善意の仲介者」は当然、疑われます。しかし、所詮はトカゲの尻尾切り。その内、うやむやになります。何故なら、伊藤は森派、伊藤を経由して、森派のプリンス、安部晋三の資金源になってたりして。てなことで、ヒューザーを無理には叩けない。既に後始末路線は出来ている。ヒューザー、改めナントカ支援法人だ。云った通り(12/16)になったでしょ。

 この事件で、よく聞くのが、現場を知らない一級建築士とか、建築評論家とか、ナントカGメンの、「コンクリートが少ないとか、鉄筋が少ないとかは、現場の職人が見ていれば、経験的に判る」、という無責任な発言。おまけに、不勉強マスコミがこれに悪のりするから、余計始末が悪い。そんなことを言い出せば、建築士など不要で、全部現場の職人に任せればよい、というような極端な議論になりかねない。発言は慎重に行うこと。建築は、土木と違って、どんな小さい工事でも、20数工種に細分され(土木はせいぜい5〜6工種)、それぞれが下請け化される。逆に、この重層下請け構造が、建築単価の安定を維持しているんだ、という人もいる。
 建築工事の特徴は、縦構造があって、工種間の横のつながりが無いことだ。これが、土木と違うところ。例えば、鉄筋工は、現場で”図面通り”、鉄筋を加工し、組立工に渡すだけ。仕事が終われば、はいさいならで、次の現場に行く。型枠工は、型枠工で”図面通り”型枠を組むだけ。鉄骨に至っては、工場で、”図面”通り、鉄骨を作るだけだ。余計なことに首は突っ込まない。仮に、鉄筋が少ないと思っても、完全な縦割り構造だから、それを伝達する手段がない。第一、たかが鉄筋工が、なにか云ったところで、その根拠は何か、と突っ込まれたら、答えようがない。だから、「現場の経験で云々」のような、根拠の無い妄想は軽々しく、喋るべきではない。(05/12/20)

補足;この件について、ある読者から、早速反論の書き込みがありました。直接反論してもよいのだが、その場合は1:1のやりとりになってしまって、普遍化出来ない。他の読者の間にも、誤解されている可能性があるので、改めて、この問題について、補足説明をしておきたい。
 まず、マスコミに登場する建築家(これを社会派建築家と呼んでおこう)は、鉄筋が不足しているか、どうかは現場の経験、就中(「なかんずく」と読みます。「なかんずく」の意味は判りますねえ)職人の勘で判るはずだ、と主張する。これはかつての70年代公害問題に於ける、反科学主義者の言い分と、そっくりなのである(今も変わらんがね)。これまでの技術の蓄積を否定し、自分勝手な感性のみで全てを判断する、かつての極左環境主義者の流れなのである。それにマスコミが引っ掛かるのも、滑稽千万。
 この種主張の最大の難点は、その先、どうすべきか、何が出来るか、と言った現実的対応が、整理されていないことである。職人の勘で、鉄筋が多いか、少ないかは判断出来るでしょう。しかし、それを設計なり施工に生かせるかどうかは、全く別次元の問題なのだ。仮に、ある職人が、これは鉄筋が足りない、と思ってゼネコンの現場事務所に行ったとしよう。良くて工事主任から「ウチが貰っている図面はこうなんだから、この通りやってくれ」と云われるのが、関の山。大概は「余計なことは言うな」で終わり。もし、ゼネコンもおかしいと思って、何とかしようと思えば、現場から本社にお伺いを立て、行政を通じて、建築審査会に建築確認の再審査を、要請しなくてはならない。窓口になる行政が、はいそうですか、と素直に受け取ると思いますか?当たり前だが、公(民間審査機関でも、それは公の延長。将来の自分たちの天下り先)の審査を通った確認を、変更するのだから、行政だってメンツがある。これをひっくり返すのだから、大変な作業だ。その間の費用はゼネコン持ち。下手すりゃ契約解除だよ。会社が潰れるかもしれない。誰がそんなヤバイ橋を渡ると思うかね。これでも、設計と施工が、完全分離されているケースの話しである。まして、木村建設では、設計施工が、事実上一体化されている。つまり、社会派建築家の云っていることは、なんら現実性を持たない妄想に過ぎない。
 そもそも、昔は社会派建築家の云う様に、施工(現場)がその経験に基づいて、勝手にやっていた。建物が出来上がって見ると、設計と全く違っていた、という話しが横行していたのである。これは非道いということで、現在のような、厳密な設計適合性が要求されるようになった。その結果、現場では、何も考えずに、図面通り施工するようになったのだ(主に90年代以降か?これは土木も同じ)。これは、主に設計側からの要請だったはずだ。もし、社会派建築家が云う様に、職人が、自分の経験に基づいて、鉄筋の数を増やしたところへ、中間検査がやってきたとする。図面と違うから、撤去だ。それに従わなければ、建築基準法違反で、罰金50万円。今後、法律が変わるから、下手すると、その職人は刑務所行き。
 こういう仕組みを作ったのは誰ですか?といえば、他ならぬ建築屋自身なのだ。現場・職人の判断能力を奪っておきながら、自分の都合が悪くなると、立場の弱いものの所為にする。自己撞着も甚だしい。当に役人の手口と同じである。この問題を作ったのは、建築屋なのだ。将来を含めた、問題解決の責任は建築屋自身にある。(05/12/15)


 もう一つ、似たような例。この事件が話題になってから、よくTVに登場するのが、姉歯成と、再計算による配筋図の比較である。東京の建築家は、図面を一目見ただけで、「明らかに、鉄筋が足りないですねえ」と、宣う。反力も、モーメントも、部材も判らないのにだ。一番まともだったのが、関西ローカルのある情報番組に出演した、名もない大阪の構造屋。司会の質問に対し、「通常図面に書かれている、図面名称や、部材の名称が判れば、建物の規模が判っているので、鉄筋が多いか少ないか、ぐらいは判る。そのどれも書いてないので、何にも判りません」。司会者、コメンテーター、いささか不快の様。おそらく、ゲストに「・・・これは明らかに鉄筋が足りませんねえ。一目で分かりますよ・・・・」と、東京キー局のように、立て板に水を流すごとく、喋って欲しかったのだろうが、あてが外れて残念。この大阪構造屋の云うことが、まともなのである。日本のマスコミの最も悪い癖は、何も知らないスタッフが、生半可な知識で、勝手にストーリーを作り、専門家と称する、素人に毛の生えたような評論家に、ストーリーに合う話を喋らせることである。これが行きすぎるとヤラセという、報道ねつ造になる。篠塚は姉歯に対し、何度も「ナントカならんか!」と迫り、これがプレッシャーとなった、とされる。同じことは、TV局の製作現場で、プロデーサーから、下請け会社に対し、行われているのではないでしょうか?。果たして、日本のマスコミに、篠塚や姉歯を批判する資格があるでしょうか?
 ついでに、もう一つ、東京の人間が世間を知らない例。12/21、6chスパモニをちょいと視る。ゲストはTVでおなじみの、丸顔の弁護士。弁護士曰く「木村建設は倒産して、従業員は全員解雇された。だから、資料はそっくり手つかずで残っている。又、元従業員も、木村建設とは関係がなくなるので、警察の聴取に対し、遠慮せず、何でも喋る」。これを聞いて、正直、東京の弁護士というのは、楽な仕事をしているなあ、と思ってしまったのである。東京の外資系やIT系の会社なら、その通りかもしれない。ところが、木村建設の本拠は九州、それも熊本。東京とは比べものにならないくらい、地縁・血縁の強いところ。県知事や県警まで、丸め込まれている可能性だってある。更に、木村一族は、在日(ネット情報だから当てにならないが)という説もある。それなら、尚更結束は強い。解雇は偽装で、再起を狙っている可能性もある。事務所・自宅も、裁判所により封鎖されていない限り、残務整理という形で出入りは自由。重要書類はとっくの昔に、何処かに行ってるよ。それに、木村ルートでは、総研・平成設計・姉歯ルートは、他からも出てくるので、大したものは期待できない。唯一、面白いなあと思うのは、政界ルートだが、そんなものが残っているはずがないし、あったとしても表には出ない。その為に、強制捜査を、5日も遅らせたんじゃないですか。

 木村建設について一言。木村のウリは、工期の短縮である。工期短縮の目玉の一つに、通常2週間掛かる床のコンクリート打ちを、四日で済ます、というものがある。これは、総研がドイツから輸入して、木村が体得したものだ、と云われる。姉歯問題のあおりで、これすらもインチキ工法呼ばわりされている。実は筆者もそう思っていた。しかし、よく考えると出来ない相談ではない。総研のビデオを見ていないので、はっきりしたことは言えないが、例えば、4フロアーぐらいの床コンクリートを、同時に打ってしまえば、工期は大幅に短縮出来る。ポイントは型枠の支保方式。必ずしもインチキ工法とは云えない。

 そうなんですねえ、今、実に巧みな世論操作が行われています。誰が操っているか?それは判りません。しかし、その手先になっているのは、マスコミ、特にTV及び新聞。何が、世論操作と言うと、全ての関心が、鉄筋に集まっています。ヒューザーのグランドステージ住吉を例に取ります。通常の販売価格なら、6000万円クラスと云われる部屋が、ここでは4000万円台で販売されている。一戸当たり2000万円の価格差。幾ら鉄筋を減らしたところで、こんなコストダウンが出来るわけがない。無論、壁や柱を薄くして、コンクリートを節約したのは当然でしょう。それでも、こんなコストダウンにはならない。筆者が既に(11/28)に指摘しているように、開発許可申請に関する、何者かが動いているはずです。それをどのマスコミも指摘しないし、関心も持っていない。世論を鉄筋にのみ、集中させる。それが目的なんですよ。
(05/12/21)

 筆者は、以前から、この種の事件や、それに伴う被害を防ぐには、保険によるカバーが、最も合理的と主張している。しかし、それに対し、ある読者から、「保険の適用は、保険会社が明治安田の様に、特約を設けて保険料を払わないのが出てくるから、信用できない。単に購入価格を高くするだけで、問題の解決にはならない。PL法を適用して、製造者に最終責任を支払わせるべきだ」という意味の意見が出されました。それに対する、筆者の考えも述べています(「掲示板、相談箱」参照)。但し、ネットを通じてのやりとりだから、真意が十分通じていない可能性もあるので、ここで改めて、筆者の考えを整理してみたいと思います。
 この種の事件又は、災害が生じたとき、まず、考えなくてはならないのは、1)救済と、2)防止です。日本人の悪い癖は、立場によって、そのどちらかに偏ってしまって、バランスが取れなくなることです。バランスの良い方法を考えなくてはなりません。その次に3) 方法を考えるのが、順序です。
1)救済
 誰がどういう被害を受けるか、を整理すると、次のようになります。
      (1)二重ローン(住民)
      (2)主にネット経由による、非難・中傷(住民)
      (3)公的支援負担(国民)
(1)は云うまでもありません。阪神・淡路大震災でも、これは大問題になりました。但し、これは、政府の大甘の援助にたかり、国民に支払うべき金利をネコババしている、悪徳泥棒銀行が、少し悪事を改心すれば、簡単に解決する事です。
(2)は、昨年の新潟中越地震直後でも、ネット掲示板には、「援助長者」とか、「援助で大金」などという、誹謗・中傷書き込みが溢れました。自然災害ですら、これですから、人為災害による今回など、大変なことになったのです。これは、(3)公的支援負担と連動しているのは、云うまでもありません。
(3)については、政府は公的支援は、事業者から返済して貰う、などとノー天気なことを言っておるが、そんなこと信用する、お人好しがいると思うのだろうか?本件で云えば、ヒューザーの小嶋自身が、今後ヒューザーブランドで、新規展開することは不可能だ、と云っている。更に、12/20には、住民がヒューザーの破産申し立てを行う、旨の報道があった。つまり、ヒューザーは、今後新たに、金を稼ぐ手だてを失うわけだ。金を稼げない人間から、どうやって返済を得るのでしょうか?政府の対策は、画に描いた餅に過ぎないのである。
 2)、3)の点から、公的支援が、根本的解決にならないのは顕かです。
2)防止
 本事件が、ここまで拡大した原因の一つに、民間審査機関の、いい加減審査があったことは、云うまでもありません。イーホームズ藤田は、未だ何か云いたいようだが、審査をやっていなかったものが、何を云っても無意味である。では、公的審査なら大丈夫か?というと、とんでもない。自治体が審査した物件で、ねつ造見逃しが横行している。本日、東京都大田区が、ヒューザー物件(グランドステージ池上)の実態調査に乗り出したが、これは、大田区が一旦確認審査を下ろしたものが、ねつ造が発覚したもので、その言い訳を作るための調査。見苦しいとしか云いようがない。もし、実態が、ねつ造資料と一致していた場合、調査そのものが無駄なので、大田区民は、この調査に要した経費が妥当であるか、綿密な監視が必要(注;大田区の調査は部分抜き取り調査。実際の構造物の地震時挙動は、地盤、鉄・コンクリートが連成した複雑なもの。部分的なコンクリート強度や鉄筋だけで評価など出来ない。おそらく、役所は、都合の良い部分は公表し、悪い部分は隠すでしょう。大田区民は、その点に注目することを、お勧めいたします)。
 つまり、官民ともに審査など当てにならない、ことになる。何故、当てにならない審査になるか、と言うと、審査担当者(機関)が、審査結果のリスクを背負わないからである。つまり、審査結果がどうであれ、それによって自分の生活が影響されない、というシステムが出来上がっている。例えば、公的審査の場合、責任を負うのは自治体であり、審査担当者の身分は、公務員法により保護されている。一方、民間審査機関は、実は役所の延長に過ぎない。イーホームズでは、審査員全員が役人OBだった。役人OBは、そもそも勤務先に対する忠誠心などない。退職金と、公務員共済年金で、生活を保障されているから、今の仕事の結果など、どうでも良い。というわけで、仕事は楽な方がよいから、手間の掛かる真面目審査などしない。返って真面目審査などやれば、廻りに迷惑だ。本件で、イーホームズも、日本ERIも、登録を取り消されるでしょう。しかし、役人OBにとっては、そんなこと、どうでも良いことなんです。クビになっても、OB互助会を頼って、又別の審査機関に再就職出来る。そして、いい加減審査の再生産だ。
 というわけで、現在のような建築確認制度は、本質的には官(公)審査の拡大再生産に過ぎず、最早形骸化しており、要求される機能を果たしていない、という結論にしかならない。
3)方法
 以上述べたことから、救済、防止のどの場面においても、公的権力は当てにならず、これを頼ってはならない。どうすればよいか?官(公)が駄目なら、民しかない。しかし、コイズミのようないい加減な、民間指向は百害あって一利なし。民間資本を導入するには、次の3方式が挙げられる。
    (1)PL法に基づき、一切の責任を事業者に負わせる。
    (2)銀行から、儲けを巻き上げる。
    (3)住民相互扶助に基づく、保険制度を導入する。
(1)は、投稿者の意見です。確かに筋論です。しかし、温風暖房機や自動車のような消費財なら、まだしも、住宅となると、現行のPL法でカバーしている消費財といえるか、どうか疑問だし、第一、メーカー(本件の場合、ヒューザーのような事業者)が、倒産してしまえば終わりだ。従って、普遍化出来ないのが難点。政府の公的支援案と、実現性において大差はない。
(2)は非常に魅力的な案ですが、実現のためには、強力な立法と、実行力が必要です。現在のコイズミ内閣の様に、強きを助け、弱きを挫く政府では殆ど不可能でしょう。特に、コイズミ、竹中、安部、武部などは、金を持っている連中にペコペコ、へなへな。おまけに、ノーナシマスコミもへろへろだから、どうにもならんでしょう。
(3)は、投稿者の説によれば、実効不可能ということだが、本当だろうか?平成何年だかに制度改正で、瑕疵担保期間が10年に延長された(それまでは2年だった)。建築に於ける瑕疵担保というのは、建物に何らかの瑕疵が発生した場合、理由の如何に関わらず、施工者が損害を補償する、という制度です。この期間が10年に延びたのだから、その為の保険(住宅損害保険)は出来ていたわけで、施工者或いは事業者は、当然それに、加入していなければならない。どうも、ヒューザーは、これに加入していなかったらしい。無論、これにも、色々抜け道はあるだろう。だから、要は、その抜け道を塞げばよいだけの話しである。
 そして、この方式で、最も重要なことは、こうすることによって、保険契約に当たって、保険会社自身が、保険契約の前提として、建築確認審査を、行わなければならなくなることです。なにせ、一切のリスクは、保険会社が負担することになるから、これまでのような、無責任・いい加減審査がなくなる(審査担当者のクビが掛かってくる)。従って、これによって、何が起こっても、二重ローンも、公的支援の必要もなくなる。実際の審査は、申請者以外の構造建築士数名に委託すれば、本当にこの設計は妥当かどうか、判断出来るはずです。無論審査料は、イーホームズの様に、1件15万円などという、馬鹿な値段では済みません。一桁違ってきます。それでも、ン億という保険料に比べればやすいもの。
 無論この方式、銀行・保険屋の両方に、分担させてもよいのですよ。銀行には融資の前提として、構造の審査を義務付ける、というように。
(05/12/22)

 来年1月に、ヒューザー小嶋を国会に承認喚問して、イーホームズ藤田と直接対決させる由。野党の要求と言うが、実態はテレビマスコミの要求でしょう。何故なら、年末・年始を通じて、今のところ、面白いネタがない。その点、小嶋の特異なキャラクターを前面に出せば、確実に視聴率が稼げるから。最近、これほどの個性あるタレントは、少なかったのじゃないか。それはそうと、次の国会喚問では、殆ど新しい事実は出ず、目立った展開は期待出来ないでしょう。それは、証人の口が固いからではなく、質問に当たる、国会議員の能力の所為です。自民党は、例の手抜きの渡辺倶(トモニナカ)能(ヨシ)とか、吉田ろく(でなし)左右衛門。民主党は、これ又、あの馬鹿のタイゾーだったりすれば、証人になめられるだけ。時間の無駄遣い。それより、イーホームズ元審査員のB氏(姉歯物件を最も多く審査している)を、証人喚問し、姉歯と直接対決させる方が、よっぽど面白い。目的は、民間審査制度が、民営化に名を借りた、官の利権拡張であり、その実態は、只の月給泥棒だった(現役の時は、税金を泥棒し、天下ってからは、月給を泥棒する。役人なんて、こんなもんよ。私の知ってる中にも、いましたなあ・・・そして、その無責任の果てが、莫大な国費の無駄遣いになった・・・と言う事実を、国民の前に明らかにすることです。
(05/12/24)

 大体、この事件の結論が見えてきたので、これに付き合うのも、段々飽きてきました。そこで、この事件を作った背景についての結論を述べて、とりあえずお仕舞いにしたいと思います。但し、何か意外な展開があれば、別項で取り上げたいと思います。

 12/07筆者は、総研内河は、カルトの教祖のような存在ではなかったか、と推測しています。カルトとは、そもそも何でしょう。カルトに似た言葉に、セクトがあります。しかし、カルトとセクトは全く概念が異なります。セクトとは、元々一つだった政治・学問・宗教等の団体に、意見の相違が発生し、それらが分裂したものを指します。天動説に対する地動説派や、自民党の派閥もセクトです。セクトも極端になると、危険化します。古くは、キリスト教とか、近くは赤軍派、或いはアルカイダのような過激団体になる。しかし、セクトはいくら過激になっても、それは伝統的な理論・教義の延長に過ぎず、何れは、伝統社会と調和する運命にある。カルトとは、これまでの伝統社会を否定し、独自社会を作ろう・・・それも伝統社会では、受け入れられない手段を使って・・・とする集団です。
 カルトには2種類がある。一つは、終末論を宣伝し、この教義を信じなければ地獄に堕ちるなどと、信者に恐怖感を与え、救いの対価として、金品を巻き上げるタイプ。この典型がオウム真理教。最後は惨めな境遇に陥るので、デフレカルトとでも云っておきましょう。
 もう一つは、将来には無限の可能性がある。それを手に入れられないのは、貴方がこの教義を信じないからだ。この教義さえ信じれば、素晴らしい人生を手に入れられる、と言って金品を巻き上げるタイプ。細木カズコと称する、インチキババアがその典型。これをインフレカルトと呼びましょう。内河が主宰していた、SG会というのが、後者であることは云うまでもありません。では、何故、このようなカルトが、発生したのでしょうか?実は、このインフレカルトは、SG会だけでは、ありません。現在の資本主義国家は殆ど全て、インフレカルトに汚染されている、と云ってよいのです。
 このカルトの真の教祖は、1930〜90年代のアメリカにいた、アイン・ランドという、旧ソ連生まれの女性作家です(既に死亡。アメリカ有数のシンクタンク、ランド研究所は、彼女の名前を採ったもの。但し、ランド研の提言の多くは、反共保守に偏り、アメリカの政策を誤まらせたケースが多い。例えば、ベトナム戦争で、北爆を始めとする、多くの誤作戦を提案したのは、ランド研。現在のアメリカネオコンの多くは、ここの出身。なお、アメリカネオコンは現在、米日韓印同盟による、中国封じ込め政策を模索しているらしい。かつて、対ソ・中・ベトナム対策で失敗したのに、懲りない連中だねえ)。彼女はアメリカ亡命後、映画のシナリオ作家となったが、50年代以降、「客観主義研究会」と云う、独特のサークルを作り、その後のアメリカの、指導的立場にいる人間に、影響を与えてきた(浜田和幸「グリーンスパンを操るカルト女流作家」文芸春秋78-4平成12年三月) 。彼女の思想は、それほど複雑ではない。マルクスに比べれば、取るに足らない、・・・小学生程度の・・・レベルである。しかし、判りやすいことと、当時不況に苦しんでいたアメリカにとって、藁をも掴むものであったのだ。要するに、人間の持つ欲望、つまり食べ物・セックス・暴力、を最高度に高めることによって、人間の能力を最高度に引き出せるというもの(何となく後期密教を思わせます)。こういわれると、90年代以降のアメリカ映画が、如何にランド主義に影響されているか、判るでしょう。それが、経済活動を活性化させ、資本主義の共産主義に対する優位性を保てる、と主張する。この時の資本主義は、最早かつての、社民主義的なものであってはならず、共産主義に対し戦闘的でなければならない(ラデイカル資本主義)。そして最も重要なことは、共産主義に勝利するためには、社会・経済活動の全てに、客観的尺度を当てはめ、それにより、資本主義にとって、有益か無益かを判断すべき、と主張するのである。勝ち組・負け組の区分は、ここに始まる。更に、ここで採用されるべき客観的尺度が、経済合理性、つまり企業であれば株価であり、産業であれば収益性である。マンションであれば、安さと広さだ。このランド主義と呼ばれる経済ニヒリズムが、現在の資本主義国家の、殆ど全ての経済政策を主導している。これにかぶれた人間が、アメリカでは、レーガン・ブッシュ・チェイニー他ネオコン、日本ではコイズミ・タケナカ他の軽薄コイズミチルドレンや民主党の一部、死に損ないの塩川、東洋大の松原、トヨタの奥田・チ〇ンコの宮内などのロクデナシ、ホリエ・村上・ミキタニなどの経済ゴロツキなのである。つまり、これが現代のグローバリズム・市場経済主義というカルトの正体なのだ。このカルトの特徴は、過去及び未来への想像力に欠けるか、無関心だということです。我が国に於ける、このカルトの信奉者である、ヒルズ族は、インターナショナルが世界最初に歌われた場所が、モスクワではなく、アメリカシカゴだったと云うことを、知らないだろうし、何故そうなったか、ということを想像することも出来ないだろう。アメリカブッシュ大統領は、就任早々京都議定書離脱に関し、「200年先のことなど知らないし、第一誰も生きていない」と述べたのである。この恐るべき、歴史に対する無関心・ニヒリズムが、全ての問題の発端なのです。
 さて、内河が主宰していた、SG会なるもの、そしてそれを主導していた総研なる組織の理念は、次に述べる理由により、グローバリズム・自由主義経済によることは、顕かである。
(1)内装他の資材を、海外から直接調達する。これは、80〜90年代のアメリカ企業が、グローバリズムの名の下に、大々的に取り入れた手法。これを日本に持ち込んだのが、竹中平蔵他の、所謂カイカク派と称する市場主義経済学者。お陰で、アメリカには、まともな製造業がなくなってしまった。残ったのは、株屋・金融屋ばっかり。
(2)国内産業に、外国の手法を単純に当てはめようとする。つまり、木に竹を接ぐことに、疑問を抱かない。
(3)メリットのみを強調し、デメリットを無視して(或いは抽象的表現のみに留めて、問題を曖昧化し)、大衆の欲望を極大化する。例えば、SG会員のホテル業者に対し、総研の工法を取り入れれば、工期を半年短縮出来、利潤を極大化出来ると宣伝する。その替わり、鉄筋を減らすと、どういうことになるかの説明は省略する。
(4)従って、企業目的として、規制緩和を要求し、結果として、価格破壊(低価格商品の供給)を実現する。ここに見られるのは、建築物を単なる商品と見なし、将来を想像しないニヒリズムのみである。
 これに乗ったのが、木村建設であり、ヒューザーだったのだ。総研始め、関連企業が業績を延ばし出したのは、バブル崩壊後の90年代。ヒューザーに至っては99年以降だろう。その頃の日本経済を支配していたのが、グローバリズム、市場経済主義だったのだ。従って、今回問題となった各企業は、かつて規制緩和・価格破壊の寵児であり、コイズミ改革の先兵として、もてはやされたはずである。しかし、この事件が起こって以来、内閣を始め、カイカク派政治家・官僚・学者は、事件に関して、何も発言していない。コイズミや竹中のコメントを、これまで聞いたことがありますか?黙って、嵐が通り過ぎるのを待っているのである。何故でしょう。無論、伊藤元国土庁長官とか、山口公明党議員という、直接現在自公体制に傷を付ける要素が、介在しているのは云うまでもありません。伊藤はおまけに森派だからねえ。

今朝、少し、6chスパモニを覗いて見ると、鳥越俊太郎他レギュラー陣の対談。伊藤公助衆議院議員の関与疑惑。筆者の判断では、伊藤議員は、少なくとも「耐震設計ねつ造問題」についてはシロです。仮に、伊藤がヒューザーから献金を得ていたとしても、いやしくも、国会議員が、耐震設計だの、鉄筋の手抜きだのといった、せこい話しで国交省まで出かける訳がない。伊藤はもっと深い部分で、ヒューザーと繋がっていたはずです。それが何かと言うと、筆者が既に昨年の11/28に指摘しているように、開発許認可申請手続きに於ける、行政への口利き以外に考えられません。無論、伊藤が繋がっていた業者が、ヒューザーだけとは限らない。しかし、ヒューザーでブロックの一画を崩されれば、後はボロボロ。次から次へと、何かが出てくる。出てこられちゃ困るから、伊藤も必死にならなけりゃいけない。自民党が、伊藤の証人喚問を拒否したのは、伊藤から更に、自民党の業界利権が暴露されるのを恐れたのだろう。誰が、拒否したのか?武部か?中川か?それともコイズミか?これがコイズミ自民党の云う、カイカクの実態か?
 判っていますか?鳥越さん。民主党はどうですかねえ。考え方がコイズミと同じ、前原が党首じゃ、自民党追求も腰砕け。馬淵など、その内民主党から追い出されるのじゃないの。鳥越やレギュラーの弁護士、野党は、裏の伊藤コネクションを追求しなければならないのに、耐震ねつ造レベルで終わってしまっている。鉄筋ボケだよ。裏で「野党もマスコミも、アホだ」とコイズミがほくそ笑んでるのが、見え見え。この程度のことが判らなくて、何がジャーナリズムかね。ジャーナリズムと野党(特に民主党)の発想の愚劣さと、想像力のなさに驚きあきれる。
(06/01/16)

 皆さん期待の衆議院国土交通特別委員会(小嶋証人喚問)。期待通り何も出ず、世の中は小嶋(じゃなくて、後ろにいた補佐人)におちょくられた、顛末になりました。あの補佐人は何者だろう。小嶋の弁護士に間違いはないのだが、にこにこ笑いながら、しらばっくれて、委員会を自分のペースに持っていくやり方は、見習う必要がある。そもそも委員長(自民党 林 幹夫)があかん。あれじゃまるっきり、小嶋の護衛隊長。補佐人が小嶋にごちゃごちゃ入れ知恵しているのに、注意はおざなりで、観客(他の委員)からブーイングを食う始末。おまけに自民党委員ときた日には、まるっきり小嶋弁護団。典型が先頭の衛藤征志郎。続く早川も、どうでも良い質問を繰り返して、時間稼ぎするだけ。公明もそうだったな。「・・・・の可能性がありますので、証言は差し控えさせて頂きます」と言うのは、これからの流行語になるかも知れない。ひょっとすると、小嶋に、官邸か与党筋から脅迫が入っているのかもしれない。
 なお、公明最後の質問で、「民主の誰かが『阪神大震災で、神戸長田の住民が、火付けして回った』という、住民感情を逆撫でするような発言を行っている」、という委員会目的と無関係な、不規則発言を行ったのは遺憾である。但し事実かどうかは別として、地震直後、長田の火災について、そのような噂が流れたのは、事実である。やっぱりソーカ。
 少し、面白くなったのは、民主党馬淵議員の質問から。小嶋ルートが、伊藤公介だけでなく、森派全体(清和建設研究会)から、安部まで行ったのはよいが、決め手に欠ける。只、事件発覚後、北側による異常に早かった、国による支援策の発表が、伊藤ー安部ー北側ラインによるもの(無論、コイズミの了承済み)で、そこに、伊藤(自民)、山口(公明)が介在していない訳がない、というのが実感である。何かと、評判の悪い国家支援策であるが、そこに安部・コイズミが関与していた、ということ。しかし、果たして国民が、これをどう受け止めるのか?甚だ疑問なのが問題。
(06/01/17)

 本日、伊藤公介衆院議員が、昨年11月に小嶋と一緒に国交省に行った件につき、緊急記者会見。「耐震偽造ねつ造隠蔽などにつき、一切関わり合いは無い」と明言。そりゃそうでしょうねえ。天下の国会議員が、たかが民間マンションの、鉄筋がどうのこうのという問題に、関わり合う筈がない。何度も云いますが、もし伊藤とヒューザー(或いは木村建設)が、利害を共有する関係になるとすれば、マンション開発事業認可に関する介入だけです(世間では口利きとも云う)。
(06/01/19)

 何かと、収穫の無かった衆院証人喚問と参考人質問です。ただ、問題が国会に移ってからも、どの政党も何故か、触れないことがあります。それは事件発覚の引き金となった、昨年10月初め、国土交通省に届いた匿名投書の内容と、10月末国交省立ち入り検査の間に、何が行われ、どういう決定が下されたか?と言う点です。
 10/20某民放ワイドショーで、この点の質問に対し、自民党早川は「あれは書類が揃っていない、ということでして・・・」などと、誤魔化そうとしたが、民主党長妻に「そんなことはないでしょう。電話を受けた係長の証言もあるんですよ」と云われると、早川「ムム・・・・」。つまり、自民党は隠している、ということになる。
 さて、この間の経緯は、筆者が既に05/11/29に纏めていますが、要旨だけを繰り返しておきます。

(1)10月初旬 国交省に「イーホームズの文書管理がずさん」という匿名の投書があり、10/21事前通告付きで、イーホームズに第一回立ち入り検査。
(2)イーホームズは10/6内部監査室より、関係部署に内部監査を実施すると通知。定期内部監査(10/20)により、5件の計算書偽造を発見。内1件は日本ERIよりの警告によるもの。なお日本ERIに属する技術者から、姉歯物件に注意されたいという警告が一年前にあった。
(3)10/21、10/22、10/24 国交省のイーホームズ立ち入り検査
(4)10/25 関係各社協議。
(5)10/26 より、イーホームズが偽造物件を国交省に報告

 この辺りの、本当に詳しい経緯が、明らかになっていないのです。だから、自民早川が慌てたのでしょう。筆者が考えるところ、実態は次のようなものではなかったでしょうか?一部は05/11/29論説と重なりますが、仕方がないので我慢して読んで下さい。
1)まず、最初の投書ですが、果たして、この程度のことで国交省が動くでしょうか?投書にはもっと際どいことが書いてあったはずです。
2)驚いた国交省はイーホームズに連絡を入れる。イーホームズは国指定の審査機関。事実を調査せよ、その上で対策を講じ、報告せよ。期間は2週間。
3)イーホームズは、慌てて資料をチェックする。その結果、恐るべき事実が明らかになった。皆さん、真っ青になったでしょうねえ。
4)10/21〜10/24まで計3回の検査が行われていますが、書類不備だけで、こんな手の込んだ検査をする訳がない。@10/20の時点で、ねつ造が明らかになったのは 1件だけで、後の検査で他の4件が見つかった。A或いは、国交省は、当初ねつ造があっても大したことはなく、「単純な計算ミスで、安全性には大きな問題はない」という線で収束を計りたかったのだが、蓋を開けてみると、とんでもない話しで、前後の始末をどう付けるかに、手間取った、の2ケースが考えられます。
5)ではどうするか、なのだが二昔前なら、知らん顔して、闇から闇へ、ということもあったでしょうが、今のような情報化社会では、隠し仰せるわけがない。おまけに部外に情報提供者がいる。これから、マスコミにリークされたら、国交省の立場がなくなる。この際、マスコミの機先を制する意味で、公表に踏み切った方が都合が良い。おまけに公共事業じゃなくて、民間だから、スケープゴートは幾らでもいる。先手必勝。
6)と言うわけで、イーホームズに、公表を強要する。
 てなところではないでしょうか?このストーリーでは、伊藤元長官が介入してくる余地は、あまりないのですがね。それに、国会議員というものは、こんなややこしい話しには乗ってこない。もっと儲かる話しを持ってこい、と言うわけ。だから、伊藤を証人喚問したところで、本件に関しては、何も出てこないと思う。視点を変えれば、話しは別だが。
 ヒューザーの鉄筋ねつ造に関しては、姉歯と、イーホームズの審査員(特に姉歯物件を多く審査しているBさん)を証人喚問した方が、ずっと面白いと思う。
(06/01/21)

 最近すっかり影が薄くなったのが、耐震ねつ造問題。ライブドア強制捜査、それに続くホリエ逮捕は、この問題を覆い隠すための目くらまし、という説が当初、飛び交いましたが、あながちそれも嘘ではないような気がします。それでも、たまにはこの問題が、マスコミを賑わすことがあります。只、従来と違うのは、総研や木村建設を忘れて、ヒューザー小嶋叩きに特化していることです。
 筆者は、昨年11/29に、本事件の中核は、イーホームズ―木村建設―総合経営研究所ー(善意の仲介者)を結ぶリングで、ヒューザー・姉歯は、それに引っ掛かっただけ、と云うモデルを示しました。イーホームズが何故、中核になりうるか?それはイーホームズが国指定審査機関で、自治体の監督を受けない、という特権的立場を持っているからです。もちろん、有力な天下り先です。これに木村・総研が目を付けた。善意の仲介者とは、無論伊藤衆院議員です(公明山口もその仲間に入るか?)。但し、衆院特別委員会でも、このリングに迫り切れていない。何故、そういうことを無視して、マスコミは小嶋叩きに奔るのか?ライブドアの野口殺害事件に繋がる、闇の部分があるのか?その辺りは、現在までの情報では何とも云えません。民主党馬淵議員は、身辺に注意した方が良いかも知れません。
 只、この問題で馬鹿が二人いて、これが問題をややこしくしている。その馬鹿の一人とは、ヒューザーマンションの住民団体です。この団体は一体全体、何をしたいのでしょうか?本来訴えるのなら、相手はヒューザーではなく、木村建設です。実際、昨年の衆院特別委員会で、明らかになったように、姉歯に設計縮小を要求したのは、実質的に木村建設なのだから。裁判で、ヒューザーから、「この件は当社に関係ありません」と云われれば、それで終わり。ヒューザーの破産を申請したが、ヒューザーが倒産すれば、ヒューザーの資産は債権者がみんな持っていく。住民団体に残るものはなんにもない。それどころか、ヒューザーの借金が、全部住民に掛かってくるかもしれないのだ。誰がこんな事を考えたのか?住民側にも、弁護士が付いているとは思うが、弁護士の頭が悪いか、それともその弁護士が、ヒューザーか銀行の回し者か?そもそも、事件発覚当時、ヒューザーは自己資金70数億といっていたが、住民はこれをみんな現金と錯覚したのではないか?資産とは、債権・債務の合計を云う。これは大人なら常識なのだ。債務とは借金のことで、必ず返済しなければならない義務である。普通、不動産業というものは、全資産の内、自己資金を10%程度に押さえて、資金を回転させる商売である。資産が70数億なら、自己資金は5〜7億程度と見積もらなくてはならない。それが倒産すると、破産法上、上位の債権者から順番に債権を押さえていくので、住民に回る金などあるわけがない。住民団体は、その程度のことが判らないのか?だから馬鹿といわれるのだ。ヒューザーは潰さず、政府からの資金援助の窓口に残しておくのが、利口なやり方なのだ。
 もう一人は?もちろんマスコミです。
(06/02/02)

 ヒューザー、ヒューザーといっている間に、東横インの問題が、次第に大きくなってきています。東横イン西田は、事件を大きくしないために、ひたすらTVで泣きまくりの毎日ですが、それでは済まないでしょう。今週日曜(02/05)朝、4ch(どういう番組だか忘れましたが)で放映された、西田の豪邸。土地だけで時価1億8000万。建物・内装を含めれば、時価3億は下らないでしょう。例え、オーナー社長でも、まともに税金を払っていれば、そんな豪邸を直ぐに建てられる訳がない。そこで浮上してきたのが、東横インのハートビル法違反。これを使った脱税が疑われる。つまり、ハートビル法を利用して、所得税・事業税を減免し、浮いた金を豪邸建設に利用した。無論、これは所得税法違反に問われます。
 もう一つ考えられるのは、豪邸は東横インの社員用施設で、西田はそれを賃貸しているだけというやり方。これは使い古された手で、今では通用しません。西武堤は、この手で、都内に数カ所の邸宅を構え、それを私的利用していた。中には愛人を住まわせたハウスもある。しかし、これは、事実上私的施設と認定され、課税対象となり、西武鉄道からも告発されたはずである。
 今、西田は国税の監視対象になっていると考えられます。事が悪質な場合、これに検察が加わるケースもある。今や、西田の運命は風前の灯火。ホテルのデザイン・管理を女性に任せる、というアイデアは良かったんだが、最初に儲けすぎたことが、運の尽きか。東横インだってSG会の会員じゃなかったのか?
(06/02/07)

 九州で非姉歯物件発覚。設計したサムシングという会社はねつ造を否定しているが、施工が木村建設だから非常に怪しい。建物に亀裂が入ったり、床が傾いているのは、ウチは設計だけで、施工は設計の後だから、ウチとは関係がない、と主張する。それに国交省住宅局長も同じようなことを云うから、余計怪しまれる。
 まず、床が4〜5p傾いている件だが、これが建物全体なら、大変なことで、基礎の設計及び施工そのものが怪しいことになる。
1)基礎設計の前提になる、ボーリングデータそのものを誤魔化した。ボーリングそのものは正しく行われていたとしても、設計段階で誤魔化す可能性がある。ボーリングデータは柱状図ソフトがあれば、誰でも簡単にねつ造出来る。昔、「設計に合わんから、ボーリングのN値を書き直してやった」と自慢そうに話す構造屋を知っている。構造屋なんて、この程度のモンですよ。
2)ボーリングは正しかったが、基礎工法の選定や設計を誤った、或いは誤魔化した。この点で気になるのは、最近流行の性能主義設計である。国交省認定の特定工法を採用すると、地盤のN値が決まれば、基礎の規模がみんな決まってしまう、というやり方。実に便利で、アホでも設計ができるという忍術。この結果、基礎と地盤との関係とか、地盤の地域的な特性とか、長期的な安定性だとかいう複雑な問題は、何処かの片隅に追いやられてしまった。その結果出てきたのは、設計の単純流れ作業化である。ところが、この国交省認定(実際に認定するのは国土交通技術センターという民間審査機関。無論、国交省OBの天下り先)にデータねつ造があったと云う噂があります。なにをか云わんや、である。この場合は、採用した基礎工法そのものに問題があることになるから、一つの疑獄事件に発展しかねない。
3)ボーリングも基礎設計も正しかったが、基礎工事を誤魔化した。例えば、設計ではクイの長さが30mだったが、28mにした。その結果、支持力不足を生じ、不同沈下を生じた。これはBSEみたいなもので、建物立ち上がり後、直ぐには判らないが、永年たってじわじわ効いてくる性質のものである。
 なお、基礎の問題は耐震設計以前の問題です。
 床の傾斜が始まったのが、玄海地震以前か以後かで、話しは多少変わってきますが、傾斜が特定の部屋や、階層に特化している場合は、施工時の鉄筋の手抜きの可能性が、一番高いと考えられます。床と梁、梁と柱の鉄筋が繋がっていない可能性です。設計よりも施工の杜撰さが問題にされるべきでしょう。何故なら、姉歯物件の場合、耐震強度は著しく低かったにもかかわらず、床の傾斜のような現象は見られていない。一方、サムシング物件の場合、耐震強度は許容値を僅か下回る程度である、それにも拘わらず、床の著しい傾斜を招いたことは、相当非道い施工の手抜きがあったとしか、考えられない。木村建設は以前の国会証人喚問で明らかになったように、基礎を誤魔化せるほどの、高度な技術力を持った会社ではない。従って、九州サムシング物件では、基礎は余り関係なく、鉄筋の誤魔化し程度でしょう。
(06/02/08)

 熊本県の木村建設物件で、県に無断で「ねつ造」と発表された建築士が県に猛抗議。「レベルの低い連中のやったことなど信用出来ない」。それはそうかも知れない。建築の構造計算ソフトがどうなっているか知らないが、我々の世界でも、数値の中身を考えずに、単にコンピューターに数値を放り込めば、計算してくれるから、それで自分も解析が出来ると勘違いしているのが、結構いる。「コンピューターを使って計算が出来る」のと、「解析が出来る」のとでは、見かけは似ているが、実態は天と地ほどの差があるのだ。
 昔の経験。岡山県で、某コンサルが、砂礫を使った盛土の安定計算で、UU試験で砂礫の強度を求め、φu=0法で安定計算を行った。おまけに盛土内に浸潤線を引っ張り、そこからの間隙水圧を考慮して、有効応力法で安定計算をやっている。論理性も何もない、滅茶苦茶な計算です。それで、盛土が持たない、持たない、といって騒いでいるのだ。岡山県のレベルなどこの程度ですよ。尤も、兵庫県も大差はありませんが。もちろん、土質試験からなにから、全部始めからやり直して、なんとか必要安全率クリアーまで待っていきましたがね。今でも思いますが、岡山県の建築士協会による設計基準というのは、滅茶苦茶ですね。宅造法を無視するんだから。県民性でしょうか?
(06/02/11)

 熊本県が耐震強度不足と発表した物件で、再チェック計算時の入力ミスが発覚。設計者に「これが入力ミスじゃなかったら、偽造だ」と記者会見で指摘される始末。私は「今の行政に構造計算をチェック出来る能力なんか無い」、と云ってきましたが、その通りになりました(はっきり云って、熊本県の建築指導課長など、今の構造計算を理解出来る顔をしていない)。嬉しいやら、空恐ろしいやら、複雑な気持ちです。これというのも、自治体が国の云うがままに、無定見に「小さい政府」を目指してきたから、こうなったのです。誰のせいでもない、自分のせいです。なお、建築指導が出来ない建築指導課など無駄だから、いっそのこと廃止し、土木と一緒になって、開発指導に特化した方がよい。つまり、「小さい政府」と言いながら、やることが中途半端で、役人の利権だけが残るシステムになっている。これがコイズミ流構造改革の実態なのです。
(02/02/14)

 本日、やっと国交省が新築物件の売り主に対し、構造欠陥賠償保険制度法案を提出。少し前進ですが、未だ足らない。それどころか、新たな問題を発生する可能性もあります。何が足らないかというと、住宅欠陥の最終責任を、誰が負うかという点が曖昧だからです。ワタクシは、ローンを実施した金融機関が負うべきと考えている。その為の担保が保険であって、ローン実施にあたっては、、保険会社や金融機関自らが、新築建物の建築確認審査を行うべきである。保険会社や金融機関にこれを義務付けることによって、金融機関も融資にもっと真剣になり、ヒューザーのようないい加減なデベロッパーや、イーホームズのようなろくでもない民間審査機関を追放出来るのです。しかし、いい加減なデベロッパーが政治家の財布であり続けたり、民間審査機関が役人OBの天下り先である以上、それはやらないでしょう。それに、この程度なら、現在の住宅損害保険制度を手直しする程度で済む。抜本的解決にはならない。儲けるのは保険屋だけか?
(06/02/21)

 欠陥建物対策の政府案が概ね出そろいました。概ね、こんなところ。
 1、欠陥住宅保険を新設し、それで手当する。
 2、構造審査を単一機関ではなく、二重・三重のチェックを行う。
 3、事業者、設計者への罰則を強化する。
 これのどれか、と言うことらしいですが、こんなもので問題が解決すると思えるでしょうか?この程度なら、小学生でも出来る。まず、3案ですが、これは対処療法以外の何者でもない。他の案と組み合わせなければ、効果は出ない。1案は既に、保険業界から、「不正な方法での設計なら駄目」等と、クレームが付いている。そもそも、この種保険は「不正な設計があり得る」という性悪説を前提としているのである。考え方によっては、大きなビジネスチャンスになるのだが、それを始めから、性善説を持ち出されたのでは話しにならない。この業界のウスノロぶりがよく判る。下手をすると、外資系保険会社が、これをやり始めるかも知れませんよ。
2案に至っては、一体誰が、どういう権限で、何処に委託するのか、さっぱり判らない。一見、合理的に見えるが、無責任も良いところである。意地悪く見れば、複数の民間審査機関に業務委託をせよ、という風にも見える。役人OBで審査料の山分けだ。しかし、如何に民間審査機関が、無責任で無能であったかは、イーホムズや日本ERIを見れば明らか。所詮、役人の失業対策会社に、まともな能力は無いのだ。
 一番良い方法は、上の1から3を1セットとして組み合わせることなのだ。それが、筆者が以前から主張していることである。最も重要なことは、官・民のどれが責任を持つか?それを明確にすることである。問題は、それをバラバラにするものだから、何処にも責任が行かなくなる。というより、誰も責任を取りたがらないから、こんな案が出てきたのでしょう。今、はっきりしていることは、官には安全を審査する能力が無い、ということである。熊本県の会見を見れば、判るでしょう。そうなら、民がその責任で解決しなければならない。では、民の内の誰ですか?ということになるが、それは、当然ながら金融機関でしょう。維新以来140年。日本に近代資本主義が入ってから、既に1世紀半近く経っている。いい加減に、銀行も保険屋も、自己責任で商売出来るようになりなさい。何時までも子供じゃないんだから。
(06/03/08)

 今、ヒューザー物件と並行して、もう一つの取り壊し工事が進められている。それは大阪府住宅供給公社の某団地である。これはクーラー設置工事で、ダクト引き込み穴を壁に削孔したところ、業者が誤って建物の主鉄筋を切断した。その結果、建物構造上のバランスが、崩れたためである。事が発覚したのは、住民の中に建築士がいて、彼が工事がおかしいと思って、調べたところ、主鉄筋の切断が判ったのである。業者は電気設備屋。おそらく、建築の図面を見る能力もなく、主鉄筋と補助鉄筋の違いも判らなかったのだろう。昔なら、この種の工事は、ゼネコンが元請けで、設備屋はその下請けに入るのが普通だった。この場合、ゼネコンの経費が上乗せされて、発注額が高くなったり、ゼネコンが管理経費を取ってしまうから、設備屋の儲けが無くなる。そういう訳で、ゼネコンを外して、設備屋に直接発注することになった。その方がやすくなると思ったのである。これもカイカクの一環。ところが、現実は主鉄筋を切断するという初歩的ミスで、建物全部を取り壊し、建て替えるという大出費になってしまった。ゼネコンを元請けにしておけば、あり得ない事故である。無論、古い建築だから、耐震性が不足する。従って、建て替えは必要だ、という議論はある。しかし、これは如何にも筋が通らない。おまけに、賃貸住宅なんだから、補強程度で済んだかもしれないのだ。これも目先の僅かな利益を追いかけたばかりに、結果として大きな買い物をしてしまった例である。
(06/03/13)

 欠陥住宅対策に対する、国交省案出そろう。骨子は
1)耐震強度不足の建物を設計すると、設計者に3年以下の懲役、又は300万 円以下の罰金。
2)一定規模以上の建築物については、構造計算を指定検査機関外の第三者機関でチェック。
3)事業者の免許取消。
 欠陥建築への保険制度は、業界の反対が強くて、見送り。果たして、こんな制度改正で、問題が解決されるでしょうか?妙なことが多すぎる。
1、1)の問題には、次の二つの問題が考えられる。まず、第一に、耐震強度不足を何で判定するか?である。日本の設計基準というものは、結構いい加減(よく言うと裁量の幅が広い)で、しかもしょっちゅう変更される。つまり、耐震強度算定法自体、絶対的なものではなく、時代によって変化する。具体的には、大きな地震が来るたびに変更される。このようなあやふやな基準に対し、違法性が問われれば、現場の技術者は、何をしてよいか判らなくなる。結局は極端な安全設計(ヒューザー小嶋の云う不経済設計)に逃げ込むか、権利を護るための訴訟に訴えるしかないだろう。国は、際限のない訴訟の波に巻き込まれるだろう。
 第二に設計者への罰則が強すぎて、他のバランスが悪い。例えば、粉飾を見逃して、株主や社会に多大の迷惑をかけた公認会計士(誰のことか判るでしょう。近くはライブドアの監査法人、古くは長銀を監査した「法人青山」)は、法人免許を取り消されるだけで、実際に監査をした会計士は野放しだ。手術ミスで患者を殺した医者は、「済みません」でオワリ。建築士にこれだけの罰則を科するなら、他の資格保有者にも同等の責を取らせるべきである。
こんな制度が出来るなら、今後、日本で建築構造をやろうという人間はいなくなる。従って、全国の大学・高専・工業高校から建築構造の講座・授業・教師をみんな廃止又はクビにしなくては論理の辻褄が合わない。
2、このやり方では、指定検査機関とは何ですか?ということになりかねない。 実際、今の盲腸のような指定検査機関は、廃止した方が世の中のためになるのだが、これでは指定検査機関は手つかず。何の改革にもならない。コイズミのカイカクとは、所詮この程度のこけおどし、役人の利権を守ることしか、考えていないということなのだ。第一、第三者機関を、一体誰がどういう手続きで決定するのか?この点を明確にしておかないと、第三者機関そのものが、第二の指定検査機関になってしまうのである。その結果、発生するのは、不信の相乗だけ。つまりは、日本の法制度は、国民からも相手にされなくなり、更には外国からも信用されなくなる。ニッポン沈没だ。
3、本当に出来ますか?事業者がヒューザーのような、ちっぽけな会社ならそれも出来るだろうが、例えば、相手が三菱地所や住友不動産だったらどうでしょうか?たちまち、政界の裏に金が動き、事件は有耶無耶。それをもみ消すのが、政治家や役人の仕事だから、この項目は、むしろ裏金や天下り先造りの根拠造りに見える。確かに、保険で解決されたら、自民党に回る金はなくなるからねえ。デベへの国交省天下りが増えるんじゃないですか?
(06/03/18)

 ヒューザー物件の墨田区マンションの構造を再度チェックしたところ、当初発表の耐震強度0.31が、05以上あったことが判った。当初の計算は誰がやったのでしょうか?墨田区か?耐震強度0.5以上ということで、建て替えではなく、補強工の可能性が出てきたらしい。役所のメンツは丸つぶれ。但しいずれにしても、耐震強度が1.0を下回っているのは間違いないので、国交省案では、設計者は懲役3年になります。処で、もし当初の耐震強度が0.9で、それをチェックしたところ、1.1になったとしたら、この事件はどうなるのでしょう。これはえん罪になります。耐震強度という、ある意味であやふやな、一つの人間同志の約束事に、僅か下回るか否かで、刑務所に入るかどうかが決まると言うのは、如何にも理不尽です。こういう下らないことの認定に、貴重な知的資源や時間が、空費されたり、えん罪が発生する危険が、非常に大きくなってきています。公明北側のような、馬鹿で邪(ヨコシマと読みます)な人間が、大臣をやっているからそうなるのですがね。
 以前、関係したことのある民事裁判で、相手側の弁護士が、斜面の安定計算で「安全率1.0を少しでも下回れば不安定で、少しでも上回れば安全なのだ」という主張書面を作ってきたのに驚いたことがある。更に、裁判所がこれを必ずしも否定しなかったことに、二重の驚きを感じたのである。文系人間というのは、数字の持つ権威に弱いのだ。だから、逆に数字を乱用して、問題の本質をすり替えてしまうおそれが大きい。従って、国交省案は、将来極めて危険性の高い法改正になりかねない。マスコミの挑発に惑わされることなく、もう一度頭を冷やして、役所や学会だけでなく、実務に携わる建築士(構造士)も含めて、再度改正案を吟味し直すべきである。
(06/03/19)

 最近のマンション事情。首都圏でマンションを買う時の着目点を調べると、以前は価格、便利性、広さが最重要項目で、安全性は下から数えた方が早かった。ところが最近では、何と”耐震強度”が、堂々トップランクに位置するようになりました。これも皆姉歯のおかげです。関係者は「姉歯大明神」でも作って、お参りしなけりゃならない。さて、朝の某TVワイドショー。最近のマンション販売では、構造計算書を公開する業者が出てきている。ところが、シロートが構造計算書を見ても判る訳がない。そこで、専門家(おそらく一級建築士)に、構造計算書を見るポイントを訊いてみました。専門家曰く、構造計算書の後ろの方の、地震時RC保有耐力表を見て、「これが1.0以上あるかどうか、に着目して下さい」。
 おっと、それは違うんじゃないでしょうか?最も大事なのは、入力諸元です。例えば、コンクリートの単位体積重量、コンクリートや鉄筋の許容応力度、更に基準震度とか、動的応答倍率などです。これらは、設計基準や、自治体が明示しているはず。基準を外れた値を入力しておれば、結果としての耐震強度は意味を持たない。事実、姉歯もこの点を誤魔化した物件が多々あったし、九州で発覚した、非姉歯物件でも、荷重を誤魔化していたと云われる。つまり、結果より最初が重要なのだが、今の日本人はそれを忘れ、無意味な結果のみを追い求めるようになっている。それが、ライブドアだとか、東横インだとか、構造ねつ造問題に繋がっているのだ。これもコイズミカイカクの結果。コイズミ自身がねつ造政治家だからね。
 ワタクシなりのコツをお教えします。
(1)景気のいいときのマンションは買うな。
 景気がいいときは、金はあるが、時間と人が足らない。だから手抜きをする。
(2)景気の悪い時のマンションは買うな。
 不景気だと、人と時間は余っているが、金が足りない。だから手抜きをする。
 だから、安心出来るマンションは、未だ買い時とは云えません。
(06/03/25)

 建築基準法改正の政府原案まとまる。
◆建築関連法案の改正ポイント◆
(1)一定の建築物については、第三者機関が構造計算書をダブルチェック。中間検査も義務付け
(2)指定確認検査機関に自治体が立ち入りできるなどの監督強化
(3)建築士に対する罰則強化
(4)住宅販売時の情報開示の徹底
 果たしてこれで、根本的解決になるだろうか?と早くも悲観的観測が出ています。ワタクシの第一印象は、この法律改正は、役人の利権は護り、責任は末端に押しつけるだけのものに過ぎない。
 今回の耐震設計ねつ造事件の発生は、大きく次の4点が複合したものです。
@背景に業者間の異常な価格競争があり、これが施工業者、設計者に過度のプレッシャーを与えた。
A(役人OBの天下り先確保のための)安易な民営化により、民間審査機関が乱立した。その結果、無責任且つ形式だけの構造審査が横行した。
B行政の能力が低下し、ねつ造計算書が行政の審査をすり抜けてしまう。或いは再計算するにも、今の行政にはその能力もない。
C更に、このような状況があるにも拘わらず、金融機関が、安易に融資を続けた。
 この結果、次のような問題を生じた。
D欠陥住宅の解体・再建に、本来必要の無いはずの公的資金を拠出せざるを得なくなった。
E居住者に、二重ローンという重い負担を強いることになった。
Fねつ造に関与していない、善意の事業者にも解体・再建という重い負担、及び風評被害を与えることになった。
 今回の政府案は、このような問題に対応出来ているでしょうか?

(1)一定の建築物については、第三者機関が構造計算書をダブルチェック。中間検査も義務付け
 一定の建築物というとどの程度か、というと、高さ20m以上ということである。高さ20mというのは大体8F位。このクラスの建物は、申請の数がもの凄く多く、その結果、イーホームズのような、いい加減な審査機関がはびこる原因になった。混乱の発生が予想されます。結果として、6〜7F建てマンションに殺到するのだが、これでは、都市部では全く採算に合わない。将来、規制の骨抜きが画策されるでしょう。第三者機関とは何者で、どういう権限を持ち、誰が選定し、その費用は誰が負担するのか?この点を、地方任せにせず、法律で明確に規定しておかないと、とんでもない利権の巣窟になりかねない。アメリカの保安官制度に習って、建築保安官というような制度を作って、住民の公選で任命するのが良いだろう。
(2)指定確認検査機関に自治体が立ち入りできるなどの監督強化
 これまで、立ち入り検査が出来なかったと言う事か?つまり、これまでの審査機関は治外法権だったということである。これは、法治主義、法の下の平等を謳った憲法違反ではないか。とんでもない話しだね。しかし、今回の法改正でも、イーホームズのような無責任審査機関は未だ残るのだ。同じやるなら、指定確認検査機関への、役人の天下りを禁止する、位のことでなければ効果はない・・・。それが無くて、只の立ち入り検査だから、暗になあなあを認めるということ。どうしても、天下り先は残すということか?それより、国指定の審査機関なら、全国何処の物件でも審査が出来る、という無茶苦茶な制度を廃止する事の方が大事である。愛知県の姉歯物件を、イーホームズが審査していたため、愛知県はねつ造に全く気が付かなかった、という事例がある。
(3)建築士に対する罰則強化
 幾ら、罰則を強化しても、やる奴はやる。刑事犯だから、告発されれば当然裁判で受けて立つ。問題は告発根拠となる、設計基準や計算ソフトが、結構いい加減というか、幅があり、考え方を変えれば答えも変わるという性質。果たしてこれで、刑事裁判が維持出来るでしょうか?おまけに、これからは裁判員制度が導入される。一般市民が、ややこしい構造力学のもめ事を審査するのだ。裁判が長期化し、不毛の神学論争が延々と続く事になりかねません。問題は、仮に告発されても、裁判が続いている限り、工事は継続出来る、ということです。その間に、そのマンションを買って、後で、やっぱり欠陥建築だったりしたら、どうなるのか。逆に告発されたため、マンションは売れず会社は倒産し、建築士も失業してしまった。ところが、告発根拠計算に誤りがあった、となれば倒産業者や、失業建築士の権利はどうなるのか?昭和30、40年代には、あちこちでマンションや宅地開発を巡って、住民訴訟が相次ぎました。当時の某ゼネコン所長曰く。「裁判やってくれといた方がええ。やってる間、工事は続けていられる」。結局バカを見るのは消費者、納税者ということになるだろう。
(4)住宅販売時の情報開示の徹底
 こんなものは当たり前で、わざわざ政府が、改めて義務付ける性質のものか? という感である。業者によっては既に、施工現場や構造計算書を、購入希望者に公開している。民意より行政が、1ステップも2ステップも遅れている、という証拠である。それより行政がやらなくてはいけないのは、@業者に対しては、公開すべき情報の内容と、その説明の明示(内容説明が不正確、又は不十分な場合は、罰則を適用)の指導、A国民・市民に対しては、正しい知識の普及である。例えば、業者が公開している資料の見方、数値の意味、行政が規制している設計基準の内容とその意味などである。こういうことを手抜きしておっては、幾らきれい事を並べても何にもならない。これを監視するための、市民オンブズマンも必要かも判りませんねえ。

 どうも、この法案作成に当たった人間(おそらく国交大臣諮問機関のナントカ委員会)は、世間のことに疎い、高天原の住民では無かったか、という疑問が感じられる。例えば、指定確認検査機関も廃止したかったのだが、「それでは天下り先がなくなる」と国交省あたりからねじ込まれて、第三者機関とか、立ち入り検査程度でお茶を濁した、のではあるまいか?第三者機関によるダブルチェックに至っては、何ら実効性を伴わない、学者のタワゴトにしか聞こえない。最終責任は誰が持つのか?上の改正案ではさっぱり見えてこない。まさか、第三者機関に責任を、被せるつもりじゃないでしょうねえ。
 と言うわけで、皆さん!我が国民は今後も、欠陥建築物との共存を余儀なくされたのです。自分の身は自分で守らなくてならない。ホリエモンじゃないが、ますます利口にならなくてはならないのです。

 なお、消費者保護のための損害保険制度の新設は、保険業界から拒否されて、先送りになりました。一体全体、国交省は保険業界に、どんな説明をしたのでしょうか?結局、「法改正で偽造が防げるかどうか、判らないのに、責任だけ押しつけられても困る」、と言うことだ。保険業界の言い分も、判らないわけではないが、問題はある。問題は官民の区分けを曖昧にしたまま・・・つまり、建築確認権限を手放さないまま・・・、保険業界に尻を持っていったから、業界がカチンときたのではないか?国交省や行政が、完全に建築審査から手を引き、すべてを民間に任せる、という様にすれば、話しは違っていたかもしれない。
 保険業界の言い分をそのまま受け取ると、法改正で偽造が完全に防げるのなら、保険を引き受けますよ、ということだ。だったら、保険とは何でしょうか?法律で事故が防げるのなら、誰も保険などに入りませんよ。我が家を新築したときに、保険屋が地震保険を勧めてきた。良く読むと、震度6超の地震には適用されない。チョット待ってくれ。81年建築基準法改正以後の建物は、震度6以上の地震にも耐えられる様になっている筈だ。だったら、どういう地震に適用されるのでしょう。殆ど詐欺のような商法だ。だから、地震保険は断った。保険とは、法律とか規則で、予測・規制出来ない事故に対して、適用されるものである。それを、法律で担保せよ、というなら保険制度そのものが、成立しなくなる。
 問題はこういう偽造物件がどういう確率で発生するか?である。事件拡大時点での世論の関心は、これが姉歯一人のものか?他にも偽造物件があるのではないか?という点もあった。かくいう筆者もその一人だった。果たして、年が明けてから、九州地方を中心に、非姉歯物件でも偽造の疑いのある物件が、マスコミによって報じられた。しかしその後の調査で、耐震偽造物件は計99件。その内姉歯関与は98件、他1件は単なる記載ミスということが判った(国交省hp参照)。つまり、今回の事件は、姉歯単独による特異犯ということになる。無論、将来姉歯的人間が現れないとは限らない。市場経済主義が続く限り、我々はそのリスクから逃れる事は出来ない。しかし、その確率は極めて低いと言うことだ。多分BSE感染より低いだろう。だったら、保険業界として、十分採算がとれる分野になるはずだ。何故、それを断るのでしょう?それが判らない。
(06/04/02)

 何故、このような事件が発生したのか?背景に理念も何もない、只緩和のためだけの規制緩和・・・逆に言うと、規制緩和という名の規制、規制緩和ファッショ・・・があったのです。それを主導したのが、コイズミ財政諮問会議。それを主導してきたのが、オリックス会長の宮内義彦という、下劣な〇タ野郎です。自分さえ儲かれば、国家・国民はどうなっても良い、という卑劣・身勝手人間。金貸しの分際で政府に取り入り、やりたい放題をやっておる。人間以下の下郎である。この世から追放すべきである。
(06/04/03)

大阪府大東市の建物解体工事で、アスベスト不良撤去工事が見つかる。元請けゼネコンは、作業服から判断すると、大林組。この会社は、色々話題を作ってくれますねえ。解体は丸投げか?ヒューザー物件にもアスベスト材は使われているんでしょうか?
(06/04/05)

 先日の九州地方でのマンション火災で、総研工法の一端が暴露されました。型枠を外さないで、どうやってコンクリートを打つのかと思っていたら、発泡スチロールを断熱材兼用の型枠に使い、その中にコンクリートを流し込むというもの。確かにこれなら、型枠撤去の手間が省けて、工期短縮に繋がる。しかし、その結果、コンクリートを打設すると、その重量で型枠が撓み・・・発泡スチロールのような剛性の小さい材料を型枠に使えば当たり前・・・、骨材が下に流入し、上部はスカスカの穴だらけ。これが炎の通り道になったらしい。発泡スチロールを型枠に使うのは、カナダの地下工事からヒントを得たと云われる。元々、カナダやノルウェーはEPS発祥の地だが、土に関係する処にしか使っていない。EPSは、火と水に近い処には使ってはならないのが鉄則。発泡スチロール外面には、タイルを貼る事になっているが、発泡スチロールの引火点は低いので、タイルなど当てにはならない。天ぷら油が発火して、その温度で、タイルの裏の油性断熱材が発火し、大火事に発展した例が、多数報告されている。使い道を間違ったとしかいいようがない。問題は、このようないい加減な工法を、簡単に認可してしまったことにある。誰が認可してしまったのでしょう。
 本日サンプロで、改正建築基準法について、北側とコメンテーターとの討論。コメンテーター側は、各設計法の位置づけの違いが判っていない。それに対する北側の回答がお粗末で、議論はすれ違い。あれでは誤解を上塗りするだけ。このHPの読者の皆さんは、違いを判っておられると思いますので、敢えて説明はいたしません。今回の法改正は、設計にスタンスを置いている様だが、上記のようないい加減工法がまかり通るようでは、何にもならない。確認審査には、工法も含めなければならない。なお、こんな事件を起こしたにも拘わらず、今なお規制緩和だ、民営だ、とタワケタことを宣う松原という、緩和乞食が健在なのが問題。民間審査制度は、真の民営化ではない。似非官営事業だ。そして、退職役人が、国民の生命・財産を、合法的に食いつぶす詐欺システムなのだ。これに一番似ているのが、ISOという商法。
(続き) なお、聞いていて、北側はサンプロ出演前に、役人から相当レクチュアーを受けていたことは顕か。ところが、レクチュアーの内容がお粗末で、おまけに北側がそれを理解出来ていないから、全く答えになっていないことがしばしば。例えば、時刻歴応答法を「大変時間や経費がかかるから・・・」といった説明がその典型。その他、民間審査機関の問題について、「年間75万件の申請を全部、役所でやることは出来ない」とか、「設計者を選ぶのは事業者で、役所ではない」とか、トンチンカン回答の連続。これらは、まず国交省に質問内容を出させ、役人からこの質問にはこう答えろ、と指示されたことを鵜呑みにしているだけ。上手い大臣ならそこの処を判らないように喋るのだが、北側は下手だから、みんな見え見え。政治家としても三流だなあ。修行が足らん。
(06/04/09)

 先週、警視庁が、姉歯、木村建設、ヒューザーに強制捜査着手。姉歯と木村建設は概ね、犯罪事実が確定しているので構わないが、ヒューザーについてはよく判らない。警察は「詐欺で立件を目指す」と云っている位だから、余り自信はなさそう。私自身も立件しても、公判が維持出来るか?有罪が勝ち取れるか?、という点に疑問を感じる。木村建設−姉歯物件の発注者は、ヒューザーだけではないのだが、マスコミでは相変わらず、ヒューザーだけが事業者のような報道を続けている。
1、まず、詐欺容疑である。ねつ造が発覚したのは、昨年10月25日。それ以後も、ヒューザーは欠陥マンションの販売を続けた。これは重要事項説明を義務付けた宅建法違反で、これを隠蔽して販売したのは詐欺である。この問題については、当該 マンション販売開始時期に、ヒューザーが構造欠陥を認識していたか否か、が争われる。又、詐欺罪が成立するには、計画性の立証が不可欠である。前後の事情を勘案すると、ヒューザーが計画性を持って、欠陥マンションを販売しようとしていたとは考えられない。
2、仮に詐欺罪が成立したとして、その直接の原因は、イーホームズからの、設計ねつ造の口答通告である。しかし、ヒューザーは既に、イーホームズから当該物件に関する「検査済み証」を受け取っている。「検査済み証」は、通告時も取り消されていないから、販売時には「検査済み証」は有効である。「検査済み証」内容を無効化するなら、何らかの法的手続きが必要だが、現行建築基準法には、その旨の規定がない。法律そのものに不備がある。従って、口答通告そのものに、法的拘束力はない。
3、文書による「検査済み証」の内容が無効であれば、「検査済み証」そのものが虚偽となる。従って、まず虚偽文書を発行した、審査機関乃至審査員が処罰されなければならない。これを怠って、事業者のみを罰するのは、法の下の平等の原則に著しく反する。
4、国土交通省は遅くとも10月24日には事態を把握していた。それにも関わらず、事件が発覚する11月18日まで、被害拡大を防止する措置を執らず、事態を放置し、処理を業者サイドに委ねようとした。重大な行政上の不作為である。少なくとも、この時国交省が明確な態度をとって居れば、小嶋もGS藤沢の販売を諦めたかもしれないのである。
5、ヒューザーに過ちがあったとするとそれは、イーホームズから通告を受けた時に、例え一時的にでも物件引き渡し・入金を遅らせることを、ためらったことにある。しかし、この過ちは、事件全体から見れば一断片にすぎない。事件の背景にある、重要問題が裁かれなければならない。
 てな処で争いますか。

(注)
4について;国交省は伊藤公介が恐くて何も出来なかったのでしょうか?伊藤は国交省には一言も云っていない、と云っている。国交省は自分の判断で、何もしなかったのでしょう。
5について;これには、1)政治・官僚ルートと、2)民間・業界ルートの2種類があり、これらが複合したのが、今回の事件の本質である。
1)政治・官僚ルート
 @イーホムズの様な無責任・無能審査機関を作った、安易な規制緩和、民営化。
 A無定見な行革による、行政官庁の能力劣化。
2)民間・業界ルート
 @業者間の過度な価格競争。
 Aそれを、安易にもてはやしたり、煽る風潮。特に業界、マスコミ、政治家、金融界。
 そして、その両方を支配しているのが、理念なき小さな政府を標榜する、コイズミカイカクそのものであることは、云うまでもない。ヒューザー小嶋などという小物を裁くのではなく、日本の社会不安定化させ、破壊し、国ごとアメリカに売り渡そうとする、コイズミ、竹中、現代の弾左右衛門オリックス宮内らを、断罪しなければならないのだ。
(06/04/17 04/18に一部修正・追加)

 よく判らないのが北海道での鹿島物件ねつ造事件。設計したのは浅沼二級建築士。RC造建築の設計は二級建築士は出来ない。設計計算は、誰がやっても構わないが、必ず一級建築士の指導・監督下でなくてはならない。従って、浅沼の上に、必ず元請けの一級建築士が居るはずなのだが、その名前が出てこない。何故でしょう。鹿島が設計協議からなにから、全部引き受けて、浅沼を下請けに使っただけなのでしょうか?それなら、鹿島は、浅沼を庇わなくてはならない。それとも、罪を浅沼になすりつけて、自分は逃げようとしたのだろうか?やりかねませんね。冷血動物鹿島の面目躍如。今、ゼネコン業界も昔と違って、全体に冷血化しているのだろう。なお、浅沼は設計はねつ造ではなく、自分の信念に基づいてやった、と主張している。自分が信念を持つのは構わないが、法律で禁止されていることをやってはいけない。信念に基づいた設計をやりたければ、まず一級を取得することだ。世の中に、技術士をバカににするようなことを云うアホがいるが、悔しければ、まず技術士を取りなさい。

注;昭和40 年代までは、建設事故でマスコミに出るのは、下請け会社とその作業員だけ。元請けのゼネコンは、「あれは下請けがやったこと」、発注者も、「あれは業者がやったこと」で知らん顔だった。ところが、40年代末のある裁判で、裁判所が元請け責任を認めてから、話しが変わってきたのである。50年代には、元請け業者、発注者の名前も新聞、TVに登場するようになった。つまり、元請けが表に出るようになったのである。その結果、安全管理がやたら煩くなった。本件の場合、浅沼建築士は二級だから、必ず上に一級建築士が居るはずである。何故、その名前が出ないのかが不思議なのだ。元請け設計屋は「意匠が専門だから、構造は判りません」、と逃げているのだろうか?しかし、それは当人同士の勝手であって、元請け責任が消えるわけではない。マスコミが、こういう事実経過を知らないで、元請け設計屋を見逃しているとすれば、これは大きな認識不足である。(06/04/21に加筆)


 先週になって、何故いきなり警察が、関係者強制捜査に乗り出したのでしょう。よく考えると、今週から後半国会が始まっています。先週、小沢民主党新代表が誕生しました。これに危機感を抱いたコイズミが、マスコミの関心を、何が何でも小沢から引き離せ、として考え出されたのが、今回の強制捜査なのです。木村、姉歯は予定通りだから仕方はないが、ヒューザーは容疑はどうでも良い、マスコミ向けスケープゴートという処だろう。
(06/04/19)
 
 本日になって、イーホームズの架空増資疑惑が発覚。要するに、審査出来る資格が無い物件まで、審査をしていたのです。これは北海道の浅沼二級建築士と同じパターン。つまり、これまでイーホームズがやっていた審査は、みんなねつ造ということ。イーホームズが受注していた物件は、姉歯物件だけではありません。むしろ、姉歯物件はイーホームズ受注物件全体の極一部です。姉歯物件以外で、イーホームズに審査を委託した人達はどうするんでしょう?どうもしないか。全ては藪の中。有耶無耶で済まそう、というところでしょう。某TVワイドショーで、アホなタレントキャスターが、「イーホムズの藤田さんは、好い人だと思っていたんですがねえ」とタワケタ発言。見る目が無いのにも程がある。世の中に「人は見かけで決まる」という本も出ているが、この著者は、「人を見かけで判断するより、人を見る目を養え」というべき。私は、一貫して、イーホームズ藤田はインチキだ、と言い続けていますよ。木村建設の社長がタヌキなら、藤田はイタチといったところ。その中で、一番可愛げがあるのが、小嶋だ。
 何故藤田がインチキだと判ったか、という点を説明しておきましょう。
1、目つき。最初、TVで「設計にねつ造があった、と判った」と言う記者会見の時の表情。言葉はしっかりしていたが、何か、目が泳いでいたなあ。何となく感じたのである。
2、その記者会見で、藤田曰く、「実に巧妙なねつ造で、見抜くことは不可能だった」。ところが、その後姉歯が、「あんなもの専門家なら直ぐに判りますよ」と発言。どちらが正しいか?藤田はシロートの営業屋(最近では起業家というらしい)、一方の姉歯はプロの構造屋。どちらが本当か、顕か。つまり、藤田は自分の手抜きを糊塗するために、嘘をついていた。尤も、相手のマスコミは藤田以上の素人だから、藤田のイケメンに騙されたのである。要するに、マスコミがアホなだけ。
3、その後のTVインタビューや、国会参考人招致でも、ヒューザー小嶋に脅されたとか、責任を他人になすりつける発言ばかり。少しでも、自分の非を認める発言をすれば、未だ救いようがあったのだが。ヒューザーは、少なくとも依頼人なのだから、藤田は小嶋に対し「ねつ造を見抜けなかったのは、当社の落ち度です。まことに申し訳ありません」と一言でも謝れば、小嶋だって少しは発言を控えたかもしれない。それを、自分の責任をさておいて、ヒューザーに責任を転嫁するような言い方をしたから、小嶋も切れたのではないか?まあ、藤田なんてのは、ろくでもない人間であることは間違いない、ことが証明されたのである。
(06/04/20)

 今週、警視庁は木村と姉歯他を逮捕する方針。今のところ、小嶋は逮捕者リストには入っていない模様。入っておれば、マスコミがイの一番に報道するでしょう。先週の報道では、ヒューザーからの押収資料からは、詐欺を立件出来る証拠は見つからなかった。云ったとおりでしょ。しかし、週明けのマスコミ報道、特にTVワイドショーでは、「何故、小嶋が逮捕」されないんだ!」と言った発言が飛び交うでしょう。今、例の小嶋の弁護士は、各社の報道姿勢を見て、何処から名誉毀損で訴えてやろうか、と手ぐすね引いているのではあるまいか?などと想像してしまうのである。
 何度も云いますがね、イーホームズという審査機関が、もう少ししっかりしておれば、木村も姉歯も、あそこまで非道いことは、しなかったはずなのだ。そういう意味で、イーホームズと、その審査員は共同正犯である。イーホームズなどという、いい加減な審査機関が産まれたのは、国交省による拙速と言うべき、建築基準法の改正である。そして、その背景にあるのは、コイズミ内閣による、アメリカの要求だけを受け入れる、無定見な規制緩和と、天下り先確保を狙う、国交省とその系列団体(県や自治体)役人の私利私欲。
(06/04/23)

 先週、姉歯の建築士名義貸しがばれて、本日サン中央ホームという住宅販売業者が、姉歯から聴取したテープを公開。この会社、何を考えているんでしょう。
1、姉歯が名義を貸したのは、もちろん違法です。しかし、借りた側も違法なんですよ。何故、これまで借りた側の名前が、出てこないのでしょうか?
2、通常は、 名義を借りた業者がメインの設計屋で、これが、意匠設計や、設計協議を行った、と考えられます。だったら、サン中央ホームが、この設計屋が資格を持っていなかったことを、知らなかったとは考えられません。それとも、間にまだ別口がいて、それが姉歯の名義を借りたのでしょうか?
3、もし、名義借り人による設計であれば、設計そのものが違法であり、サン中央ホームも、共同正犯の可能性があります。
4、それならそれで、サン中央ホームも、姉歯だけを呼び出すのではなくて、関係者全員の名前を明らかにして、事の真相を明確にすべきでしょう。
5、名義借り人及び、それに業務委託した、住宅販売会社も、姉歯と同様の強制捜査対象になるはずです。
6、姉歯は、「設計プログラムが、ドンドン変更されて、まともな設計をすると、鉄筋がべらぼうな量になって設計不能になる」と言い訳しています。TVなんかでは、訳が判らないとか、いい加減な報道がされていますが、前半はともかく、後半は理解できます。販売・意匠の要求から、柱・梁・壁の寸法が小さく抑えられ、まともな設計が出来なくなった、ということです。例えば、同じ床面積なら、少しでも広く見せようと、壁や柱の寸法を削る。同じ敷地面積なら、壁や柱の寸法を削って、一区画でも増やそうとする。その結果が、構造に過度な負担となって、被さって来るわけです。ある建築屋が、ネットでの、私の悪口に怒って、「建築はいい加減な土木と違って、ぎりぎりをやっているんだ」と、某掲示板にカキコミしてましたが、要するに建築屋の頭が、ぎりぎり程度なんでしょう。いい加減と、余裕とは全く違った概念ですがね。
(06/04/24)

 警視庁は明日にでも、耐震ねつ造関係者逮捕に踏み切る。しかし、今のところ、その中にヒューザー小嶋の名前はない。一部マスコミの観測では、関係者の供述から小嶋の詐欺容疑を明らかにし、逮捕に踏み切る、という事らしい。と言うことは、今のところ、詐欺を立証出来る物的証拠は無い、ということ。関係者証言のみの立件は、裁判所からえん罪とされる可能性が高く、検察もどう動くか判らない。つまり、起訴に持ち込めるかどうかも判らないし、起訴しても公判が維持出来るかどうかも判らない、という状況なのだ。筆者は、仮に小嶋が逮捕・送検されても、証拠不十分で釈放される可能性の方が、高いと考えている。逆に、小嶋が起訴されて、公判で今の国交省の建築行政のデタラメ振りや、金融機関の強欲・無責任振りを、明らかにした方が世のためになる。ああ、そうか!それがあるから、国交省は小嶋の告発に踏み切れないわけだ。警察だって同じ穴の狢。
(06/04/25)

 本日、関係者等逮捕。次の目標は、総研ルートとヒューザー小嶋。総研ルートは、当然考えられます。該当犯罪としては、次のようなものが挙げられます。
1)建築士法違反
 総研には、建築士はいるが、建築事務所登録をしていない。ホテルルートでは、四か所メモからも顕かなように、ホテルの構造とか、鉄筋量の指定とか、建築士でしかしてはならない指導を、業者に具体的に行っている。これが建築士法違反に問われる可能性がある。
2)公正取引法違反
 施工業者に対し、総研経由からの材料しか使わせなかったりして、不当利益を得た疑いがある。これは、公正取引法違反の可能性がある。
3)所得税法違反
 木村建設は粉飾したが、総研は有限会社だから、粉飾する必要はない。むしろ疑われるのは、脱税である。内河は、国会証人喚問の直前に離婚している。これなど、資産隠しが見え見え。国税が手ぐすね引いて待っているでしょう。
 以上は、他の証言が無くても、くくれるのに、何故しないのでしょう?
 小嶋について、マスコミ・・・具体的に挙げると、6chの小島など・・・は、「具体的な詐欺事実が無くても、販売者責任があるだろう」と主張する。道義的にはそのとおりである。しかし、販売者責任を問うなら、既に指摘を受けながらも、欠陥車を売り続けた三菱自動車、欠陥石油ファンヒーターを売り続けた松下電器産業、何回死傷事故を起こしても懲りなかったJR西日本という会社。これらの会社が起こした事故は、全て死者が出ている。当に殺人企業というべきである。特にJR西日本の垣内なんかは、未必の故意の殺人罪で起訴されておかしくない。従って、これらの企業にも、販売者責任がある。ヒューザー小嶋の販売責任を問うなら、これら殺人企業の経営者も、逮捕して責任を追及すべきである。ところが、警察はこれら殺人企業経営者には、何ら行動をおこしていない。それどころが、松下に対しては、マスコミも含め、媚びへつらいの連続。日本人の最も醜い様を、あからさまににしたのだ(8chの小倉が代表)。何故か?これは前にも触れたが、要するにスポンサーシップの違いなのだ。要するに、マスコミは、松下や三菱自工(浦和レッズのスポンサー)をうっかり批判して、スポンサー契約を降りられるのが恐いのである。それに比べ、小嶋にはそのしがらみがない。だから、云いたい放題、叩き放題。何処に、マスコミが掲げる正義がありますか?要するに、強いものにはおもね、弱いものを叩くという、日本人特有の卑怯な処世が、正義漢面して大手を振っているだけなのです。小嶋頑張れ!マスコミの不正・弾圧に負けるな!正義は勝つ!
 なお、この件について、鳥越俊太郎なんかは、問題の原因を、「安易な規制緩和にある、もう一度規制のある社会に戻せ」と主張する。前半はそのとおりだろうが、後半は未だに問題が判っていない証拠。今更公的審査に戻しても、行政に審査する技術能力が失われてしまっているのだから、無意味なのだ。日本の技術は、知らない間に、そこまで劣化しているのだ。筆者が何度も云うように、根本的解決は、民と言っても、実態は官の延長(役人の天下り先)を保障するに過ぎない民間審査制度を廃止して、保険会社か、ローンを実施する金融機関に審査を義務付けることである。なお、国交省はいまだに、第三者機関による客観評価などと云っていますが、第三者機関が、これ又役人の天下り先だったりすれば、問題の拡大再生産に過ぎません。
(06/04/26)

 昨日、イーホームズが、建築審査機関の廃業を発表。審査機関を廃業しても、会社は残る。廃業発表が、藤田逮捕の直前だったのが気に掛かる。何かの思惑があってのことだろう。イーホームズの株は、事件発覚後SBIが取得し、強制捜査着手前後に、SBIからオーナーの北尾に、全株が渡っている。北尾は元野村証券、孫の下で会社の売買をやっていた。今のところ、奴が何を考えているか、判りません。もう少し様子を見る必要があります。住宅分野への進出を狙っているというマスコミ筋の観測もありますが、それは少し甘いと思います。
 なお、警察とマスコミとの関係について、若干附言しておきます。世間で注目された、ある事件が発生します。なかなか犯人が捕まらない。数ヶ月或いは数年を経て、容疑者が逮捕される。その時、マスコミはどう報道してきたでしょうか?容疑者を犯人と決めつけ、その出生から、若年期に掛けての噂を、あること無いこと膨らませて報道する。世間の人間は、これを本当だと思ってしまうのだ。そして、裁判。世間の人は、事件のことをすっかり忘れている。そして、わき上がったのがえん罪疑惑。途端に、かつて被告を極悪人と決めつけていた、マスコミが打って変わって、この人は実はいい人なんだ、と援護射撃に打って出て、かつて蜜月状態にあった、警察や検察を叩きまくるのである。これぐらい、世間の評判は変化する。皆さんにとって、何が大事かというと、3年後には裁判員制度が発足します。その時、何を基準に考えるべきかを、この事件は先行的に示しているのですよ。まず、大事なことは、警察・検察による供述調書、マスコミ報道は一切信用してはならない。証拠採用してもならない。採用すべきは物的証拠を始めとする、客観的事実のみである、ということを皆さん、肝に銘じて置いて下さい。
(06/04/27)

 詐欺での立件を夢見て、容疑者を大量に逮捕したものの、捜査は行き詰まりの様相。そりゃそうだ。容疑者の顔を見れば、巨大詐欺事件を共同謀議出来るほど、頭の良さそうなのはいない。とは云っても、ここで小嶋を見逃したのでは、警察のメンツがたたない。第一、アホマスコミが許してくれない。だから、証拠、例えば供述調書をねつ造してでも、立件するでしょう。耐震ねつ造に対するに、ねつ造捜査。これじゃまるっきり、日本はねつ造国家だよ。
(06/04/28)

自民桝添が、昨日のTVバラエテー番組で、マンション建築許可について、「保険加入を強制とし、金融機関が全責任を負う、と言うように法律を改める事を検討している」と発言。これは、昨年既に筆者が主張していたことの丸写し。色々批判されましたがね。自民党もやっと私に追いついてきたか?しかし、民間審査機関の廃止、新たな審査制度について明言しないのでは未だダメだ。
 なお、この時日歯連1億円献金問題の後始末について、桝添はむにゃむにゃ。これの問題は、入り口は解決した(村岡の無罪判決)が、出口が藪の中というところにある。コイズミが何故、出口追求を有耶無耶にしているのか?1億円を貰った直接の当事者は、橋本、野中、青木。この三人を見れば判るでしょう。その時の野党対策。そして、その野党は、今の自民党連立政権のパートナーです。その一番おいしい処を頂いているのが、今のコイズミ政権というわけ。何処が自民党をぶっつぶした、と言えるのか?自民党の最も古い部分を餌にしているだけなのだ。
(06/05/02)
 
 久々に総研内河登場(6chサンプロ)。弁護士帯同で現れる。もうヤバイと観念しているのだろうか?田原総一郎の質問に対して「腸が煮えくり返る思いだ」。田原「誰に対してですか?」。内河「姉歯だ。」までは良かったが、続けて「姉歯を後ろで動かしている奴がいる。更にそいつ等を動かしている奴がいる」とやって、自ら墓穴を掘った。この爺さん、問題を姉歯の個人犯罪に絞り込ませたいのだろうが、「後ろで動かしている奴」は余計。爺さんの云う「後ろで動かしている奴」とは、一体誰でしょう?姉歯は木村建設や平成設計だと云い、木村や平成は、総研の意向には逆らえなかったと云っている。総研は内河のワンマン会社で、内河の意向に逆らえる人間は誰もいないはず。「後ろで動かしている奴」とは自分だと、自ら告白しているようなもの。隣に座っていた弁護士は、何のためにいたのでしょう?木村が下請け業者に押しつけた四か所メモがある。しかし、これ自身も技術的な根拠はなく、内河が主唱する、経済鉄筋量に無理矢理合わせたもの。もし、この事件が、なにがしかの中心があって、そこから発生したモノとすれば、それは内河鉄筋量しかないのです。ところが、鉄筋に手錠をかけることは出来ない。廻り廻って、犯人は、内河爺さん本人になってしまうのです。それとも他に、別のフィクサーがいるのでしょうか?結局は、 内河のいい加減な話しに載った人達が、連帯して責任を取らなければならないでしょう。
 なお、塩川呆け老人がマイクを向けられると、「問題は建設関係についての法整備が不十分だからだ。自治体の建築主事の数が1800人しかいない。これではまともな審査は出来ない」などと、責任がコイズミ政権に来ないように逃げまくり発言。しかし、「官から民へ」のかけ声の下、法整備をさぼったり、自治体の技術系吏員のリストラを押し進めたのは、コイズミ政権そのものである。塩川爺さんも責任は逃れられない。
 ズバリ云えば、今回の事件は老人が起こした犯罪、呆けの犯罪だ。
(06/05/07)

 いささか古いニュースですが、今月六日(05/06)、警視庁は、ヒューザー小嶋に対し、次の容疑で強制捜査に乗り出す方針を固めたそうな(05/07サンケイ新聞ニュース)。ところが一向に、小嶋逮捕のニュースが流れない。既に10日近くが経過している。流石の警視庁も小嶋逮捕は無理だと諦めたのでしょうか?それとも未だ証拠固めに手間取っているのでしょうか?事件は単純で、証拠書類も揃っている。そんなに捜査に手間が掛かるとは思われない。何故、こんなに手間が掛かるのでしょうか?これまで報道されている立件根拠は次の2点
(1)GS藤沢の販売について、検査済み証があっても本来行うべき義務を怠って、財物を得た場合「不作為による詐欺」が成立する刑法解釈がある。
(2)同じくGS藤沢の販売について、耐震強度0.5以下は重要な説明事項であって、それを開示しないのは宅建法違反である。
 何れも取って付けたような無理矢理解釈です。
まず(1)について。これは、未だ刑法解釈であって、判例にもなっていない。似た言葉に「不作為の過失」がある。これが有名になったのは、例のAIDS事件である。これは、既に死亡例やその他の薬害事例があったにも関わらず、非加熱製剤の投与を禁止しなかったことが、「不作為の過失」に問われた。なぜ、禁止しなかったか、というとそれは当時の医薬行政を仕切っていたミドリ十字と、それに結託した厚生省幹部との癒着があったからです。しかし、これで起訴されたのは安部武被告だけ。本当の犯人は厚生省なのだが、誰も起訴されていない。
 JR西日本の尼崎脱線事故もそうだが、既にあの区間では、列車の延着は頻発し、運転手から事故の危険性を指摘されてきた。事故地点と尼崎駅の中間、つまり福知山線が東海道本線をオーバーパスする区間にトラスの鉄橋がある。あの鉄橋を渡るとき、電車がキリキリキリという音を立てるのだ。なんでこんな音を立てるか、と言うと軌道(一般的にはレール)の曲率が小さ過ぎて、車輪の回転がそれに追随出来ず、レールとの摩擦が大きくなって、あのような摩擦音を発生するのである。この結果がどういう事態を招くか、と言うと
@車輪の摩耗が大きくなって、つねに切削を繰り返さざるを得ず、車輪の耐用年数が低下する。コストアップ。
Aレールの損耗も大きくなる。レールの損耗が大きくなると、車輪とレールとの摩擦係数が低下し、走行速度を一定にすれば、列車の安定性が悪くなり、安定性を維持しようとすれば、走行性を犠牲にしなくてはならない。つまりダイヤを遅らせることが必要だが、JRはこれを無視した。
 つまり、線形そのものに、まともな列車運行上の無理があった。この程度は誰だって判る。ところがJRと言うより旧国鉄は、しゃにむにあのような急曲線鉄道を造ってしまった。これは「不作為の過失」ではないか?
 数年前の明石歩道橋事故。この原因は、当時の兵庫県明石警察署長が、部下の提言を無視して、歩道橋警備の人員を減らしたこと。顕かな「不作為の過失」である。それにも関わらず、検察はこの極悪署長の立件・起訴を見送っている。
 これらの事故は、現実に死者が発生している。それにも関わらず、「不作為の過失」により。財物・利益を得た人物が逮捕・起訴された例を我々はしらないのである。これに限らず、産業界には「不作為の過失」が一杯ある。コンピューター犯罪が発生するのを承知で、新しいソフトを売りまくるマイクロソフトとその追随者。こういう連中も一緒にくくってはどうか?
 上記の事例は、事件発覚前の数年以上に渉って、過失の前兆と見られる現象が発生している例です。それにも関わらず、実際の事業責任者である、厚生大臣やJR西日本経営者の誰もが捕まっていない。GS藤沢事件は、ヒューザーにとっては、降って湧いたような事件である。これを「不作為の詐欺」で立件・起訴するのは、上記事例に照らして、著しく法律上の公平さを欠く。
 次に(2)である。耐震強度が0.5以下が重要事項で通告義務があるというなら、0.5から1.0の間だったらどうなんだ。こういう馬鹿げたことを云う点に、今の警察のノータリン振りが伺える。そもそも、重要事項とは、建築基準法のような法規で知り得ない事項・・・電波障害とか、校区、法規制・・・の通知であって、構造上の安定性はそれ以前の問題である。耐震強度1.0以下の建築物に対しては、建築許可を出してはならない。このような建築物に対し、建築許可を出した方に責任がある。誰が出したのか?GS藤沢の場合は、藤沢市である。何故、このような無責任ボンクラ役所の責任が問われないのか?それでも、販売者には販売責任がある、とアホな評論家やニュースキャスターは云うだろう。それなら、マンション販売業者が自分で構造設計をしなくてはならない。今の日本のデベロッパーに、自分で構造設計が出来る業者などいない。それどころか、近代建築士法の基本原理は、販売と設計を分離することから始まっている。つまり、設計を外部委託することから、現代建築産業は成り立っているのだ。それを、販売業者に設計・施工責任があるとする言い方は、近代建築産業の歴史を無視するアナクロ議論である。
 なお、警察は昨年10/25打ち合わせ以後に、小嶋やヒューザー関係者が、姉歯から聞いた耐震強度をメモしていたことを、彼等が強度不足を認識していた、と見ているようである。この程度の頭の持ち主だから、今の日本警察捜査には、えん罪疑惑が絶えず世界から信用されないのである。誰だって、何か重要な報告があると聞けば、そこでもたらされる情報をメモするのは当たり前。メモしたからと云って、その意味を理解しているかどうかは判らない。とりあえず何でもメモしておこうというのが普通の人間。耐震強度が不足しているのは承知したが、その後の耐震補強で担保出来ると思った、と主張されたらどうするのか?
 つまり、この事件は、立件出来ないか、立件しても公判維持が可能かどうか、極めて疑わしいのである。
 結論を云います。この事件は、外形的事実だけから判断すると、姉歯元建築士による単独犯行で、罪刑は建築士法違反、罰金50万円。それで終わりです。他は全て派生事件。木村建設の粉飾など、事件の本質と何の関係もない。木村の篠塚に至っては、なんで逮捕されたのかよく判らない。だからといって、事件関係者が全て善人だと云っている訳ではありません。関係者は全て大なり小なり悪党です。しかし大した悪党ではない。世の中の、ある種の流れに乗って踊っただけの小悪党です。小悪党は、実は善人と背中合わせ。彼等が何かを間違えて、こういう結果を招いてしまったのです。本当の悪党はこういう小悪党=善人を操って暴利をむさぼる連中です。誰だか判るでしょう。それは銀行であったり、保険屋であったり、更に投資家と称する金持ちだったりします。更に、それを後ろで煽っているのが、民営化委員会に救う、オリックス宮内とか、松原とか、竹中平蔵とかといったろくでもない連中と、それを支えるコイズミなのです。
(06/05/16)

 どうも、マスコミを始め皆さんは、建築士という制度がどのようにして始まったのかをよく知っていないため、様々な混乱を招いていると考えられます。日本での建築士制度の始まりは、戦後GHQの指導によるものです。それまでは、日本には建築士という制度はなく、一般の戸建て住宅は大工の棟梁、少し大きくなると、請負業者(今で云うゼネコン)に任せる。もっと重要な国家的建築物は、例えば東大の先生が設計して、内務省や地方政府が金を出して建築するという制度だったのです。では、建築士という制度は何処から始まったかというと、それは19世紀後半のフランスです。その当時、フランスは第二次産業革命の真っ盛り。産業革命でどういうことが起こるかというと、農村部での失業者の増大です。失業者の増大は社会不安を招き、国家存立の基盤を揺るがします。そこでフランス政府は農村失業者を吸収するために植民地拡大政策を採ります。それでも間に合わない失業者は、何か仕事があるだろうとパリに集まってくる。当然、住宅不足になる。ここに悪徳業者が現れ、安普請の高層住宅に彼等を押し込めて家賃を稼ぐ。元々安普請だから、詰め込みすぎて床が抜けると言う惨事が頻発した。ここで皇帝ナポレオン三世は、住民保護のために住宅建築の規制を打ち出しました。そのため、建築士という資格を作り、建築士による設計でなければ建築してはならないという制度を作ったのです。つまり、建築士とは、国家の負託によりその業務を行うもので、その判断・指導には、何人も口を挟んではならない性質のものだということです。
 もし、日本の建築士制度が、この理念通りで且つ今回の事件関係者も、これに従っておれば、販売者責任はあり得ません。つまり、構造不足については、ヒューザーも木村もシロです。但し、総研は具体的に構造の詳細を指示しているから、クロと認定される可能性が高いし、私個人としてもそうすべきと考えています。
 ところが、日本では制度発足時に、この点を甚だ曖昧にしてしまった。まだまだ官尊民卑思想の強かった(今でも対して変わりませんが)時代のことだから、建築許可に当たって、官の関与余地を残すために、建築確認審査という制度を作ってしまったのである。この結果、建築士の立場は極めて曖昧且つ中途半端なものになってしまった。依頼者からは、全面的な負託を受ける。ところが官に対してはペコペコ(せざるを得ない)という鵺状態が発生する。つまり、幾ら建築士が自己の判断を強調しても、建築確認の段階で、行政裁量権というものを持ち出されたら、太刀打ち出来ないのである。どうなるかと言うと、技術よりは建築確認を上手く取れる、言い換えれば行政に顔が利く建築士の方に仕事が廻るようになってしまう。つまり、役所のOBを大勢抱え、役所に顔が効く設計事務所・・・例えば日建設計のような・・・が大きい顔をする世界が出来上がったのです。今回の事件は当に、日本の建築士制度の矛盾が一気に吹き出したもので、・・政府特に国土交通省はそうしたがっているでしょうが・・・単なる設計のねつ造問題に転換してはならないのです。まして、姉歯や小嶋の個人的責任に転嫁してはならない。重要なことは、技術の、販売やデザインと言った見かけの価値からの独立を保障することです。その為には、官にペコペコせざるを得ない民間審査制度を廃止して、独自の審査制度を作ることが必要なのです。

 本日、ヒューザー小嶋が逮捕されました。面白くなってきましたねえ。警視庁、大丈夫ですか?何が面白いかというと、、次の2点です。
   (1)伊藤公介の将来
   (2)公判での暴露合戦
(1)伊藤公介の将来
 代議士の役割と言うのは、後援者が危機に陥ったときに、官つまり警察を抑えてしまうこと。これまでの献金もそのため。ところが伊藤は何もせずに、みすみす小嶋逮捕を見逃してしまった。これを他の後援者が見ていれば、どう思うでしょうか?伊藤というのは、いざという時に頼りにならん奴や、チョット付き合いを考え直そうか、ということになる。今後、小嶋の保釈や何かで動けば少しはましになるが、このままほったらかしにしておくと、献金は集まらず、資金不足に陥って、次の選挙で落選ということになる。それを防ぐには、ひたすら公明・学会頼りになるのだが、次の選挙に自民・公明連立が残っているかどうか、誰も保障できない。
(2)公判での暴露合戦
 これが一番面白い。特に私が期待しているのは
@事件発覚の発端となった、昨年10月始めに国交省に郵送されたと云われる手紙の内容。それとその処置。誰が受け取り、どういう経緯を辿り、国交省がどう判断をしたか、の詳細。一部は報道されていますが、十分ではない。
A昨年10/21以後の検査で耐震設計のねつ造が明らかになった。この時の国交省の判断の詳細。一説によると、イーホームズからの問い合わせに対し、国交省は、業者サイドで解決せよ、と回答したらしい。これが本当かどうか?本当なら誰がそういう判断をしたのか?当時の住宅局長、建築課長の証言を是非聞いて見たい(余り意味ないか)。
B耐震設計ねつ造が判ってから、国交省公表までおおよそ3週間が経過している。この間国交省は何をしていたのか?その気になれば、ヒューザーに対し、販売停止命令を出せたはずなのだが、何故しなかったのか?この間、伊藤公介との接触はなかったのか?
Cそれと非常に重要な事なのだが、「検査済み証」という文書の内容を、口答で変更・取り消しが可能なのか?口答での通告がどの程度の法的拘束力を持つのか、その有効性の範囲。これは地裁レベルではなくて、最高裁まで行って争わなくてはならないだろうが。
 何故こういうことに拘るかと云うと、昭和30〜40年代、つまり高度成長期の公共事業では、発注者の口答指示により、幾らでも設計変更が出来た。この中にいい加減な工事が一杯あって、これが会計検査に引っかかり、昭和50年代以降、あらゆる事について指示書、打ち合わせ簿を取り交わさなければならなくなったのである。つまり、文書の根拠が無くして、事業を進めてはならないという原則である。そしてこれは海外事業では常識である。従って、検査済み証という文書の効果取り消しは、口答ではなく文書で無くてはならない。それも被交付側が十分な反論を準備出来る余裕を持ってである。イーホームズのような、口答による一方的通告は、国際的(と言うより、契約社会)にはあり得ない。日本経済は今グローバル化を目指している(私は必ずしもこれに賛成していないが)。グローバル化とは、日本も又ユダヤ式契約社会になるということです。一方で契約社会を目指し、一方でそれを否定する。一体これはどういうことか?日本全体が、今や精神分裂状態に陥っているのである。
 個人的には小嶋弁護団に加わりたい気持ちです。
(06/05/17)

 本日朝刊各紙は、小嶋逮捕を「いよいよ本丸に迫る」と報道しています。どうして小嶋が本丸になるのでしょうか?新聞の何処を見ても、その疑問に対して明確な回答は書いてありません。そもそも、本丸とは、城郭の中心に位置し、全体を統御する権力者(司令官)が占位し、そこから周辺へあらゆる指示が発せられる施設である。この事件全体を通して、ヒューザー小嶋が、その様な地位・権力を有していたでしょうか?小嶋が本当に本丸なら、彼の供述により当該事件」の全容が全て明らかになるはずです。そんなこと、期待出来るでしょうか?本音で云えば、そんなこと誰も期待していないのですよ。昨日(05/17)のNHK娯楽番組の乗りでいえば、マンション耐震ねつ造は、これにより 日本人の大脳扁桃体に危険信号が発生し、その結果、日本人全体が判断能力を失い、異常行動を発生するに至った。それを鎮めるために、小嶋逮捕が必要だったからにすぎないのです。これはヨーロッパ近世初期の魔女裁判や、日本でも、古代・中世に於ける鎮魂信仰や、近世初期に於ける差別の固定化、太平洋戦争前の皇国主義行動に非常によく似ています。将来、ドイツナチズムと同様の社会心理学の研究対象になるでしょう。
 さて、実際の事件を実行したのは、姉歯一級建築士です。小嶋が本丸なら、姉歯はその出先に過ぎない。つまり、昔なら侍大将といったところ。であれば、姉歯と小嶋の間に密接な利益共有関係があったはずです。ところが、事件発覚後、姉歯は「全て自分の判断で行った」と述べ、更に国会証言でも同様の説明を繰り返している。何れもヒューザーのヒの字も出していない。つまり、両者の間に特別な利益共有関係は見いだせない。仮にヒューザーから姉歯に対し、直接振り込みがあったとしても、その額が100万のオーダーなら、単なる報酬に過ぎない。事実関係は既に顕かなのだ。GS池上の件で、木村建設篠塚と一緒に小嶋と会っているが、大した話しはしていない。国土交通省HPに、05/12までの姉歯(偽造)物件一覧が公表されている。それを見ると次のようなことが判る。
1、国交省が掌握している姉歯偽造物件は全部で98件。その内、ヒューザー関連は30件(潟nウジング時代を含める)。全体として約1/3を占め、ダントツである。しかし、上記の本丸の定義に従えば、他の2/3の会社も、ヒューザーに何らかの影響を受けたと考えなければならない。しかし、それらの会社にヒューザーと資本・人的関係があると考えられる会社は全くない。つまり、姉歯関連会社の大部分は、ヒューザーとは無関係に姉歯(と言うより、総研や木村建設)に工事を委託していたのである。何故、ヒューザーが本丸になるのでしょうか?
2、事業者の意図と実際の構造物の間を結ぶものは、設計者(建築士)である。事業者が資本の論理を駆使して、設計者に圧力を加えるケースである。ヒューザー物件の設計者を見ると、姉歯は一件もない。最も多いのは「下河辺建築事務所」。下河辺は結構大手ではなかったかと記憶していたが、私の勘違いか?無論、これらは意匠設計で、構造設計はヒューザーから指定された、或いはヒューザーが独自に発注した、という可能性も高い。しかし、それは内々の話しであって、表に出る場合はこれら元請け設計事務所が関与しなければならないのは当たり前である。少なくとも、建築士法は、元請け設計事務所の免責を定めていないはずである。事業者と設計者との間に何の関係もない。なぜ、事業者であるヒューザーを本丸と呼べるのか?
3、姉歯物件を確認審査した審査機関の内、最も多かった民間審査機関がイーホームズで、合計39件全体の約40%。その内、ヒューザー物件は13件。つまり、イーホームズは、全体の2/3をヒューザー以外の物件で賄っていたわけだ。但し、これは姉歯物件だけの数値であって、それ以外を加えると、ヒューザー依存率は更に低下する。簡単な計算をしてみよう。イーホームズは一件当たり10〜15万円で審査を請け負ったらしい。一方、審査員が全体で13人、審査補助員その他事務職員を含めると、常時最低30人の職員がいたはずである。人件費を年間一人平均300万円とすると、年9000万円、それに事務所経費その他を含めると、年間売り上げは約1億5000万円は無くてはならない(これは相当低めに見積もった数字です。実際はこれの倍はあったはず)。一件当たり15万円とすると、年間1000件をこなさなくてはならない。実際そうしたのでしょう。しかし、イーホームズ審査物件の内、ヒューザー物件が最初に現れたのが、2001年で1件、その後年平均4〜5件に過ぎない。ゴミみたいな数字です。つまり、イーホームズにとって、ヒューザーは取引上、特別の配慮を払うべき存在ではない。ヒューザーが本丸とするなら、審査機関もその影響下にあった、と考えざるを得ない。しかし、実際明らかになった数字は、とてもその関係を裏付けるものでは無いのである。
4、警察は、GS藤沢の件に付き、小嶋が約4億円を搾取したとする。搾取とは人の財物を計画的にだまし取って、自分の懐に隠し持つ行為と解せられるが、その4億円は今どこにあるのでしょうか?又、その計画は何時、どういう意図を持って造られたのでしょうか?4億円は、ヒューザー社員の退職金や銀行への借り入れ金返済に消えているのです。小嶋が計画性を持って、搾取に及んだかは極めて疑問で、公判でもこれを中心に事実関係が争われるでしょう。なお、警察が、計画性の根拠とするメモは、既に述べている(05/16)ように、何の意味も持ちません。
 結局、この事件で、一番損をしなかった(逆に言うと儲かった)のは、国交省と銀行です。国交省は天下り先保存に成功したし、銀行は建て替え工事費に国や自治体の税金投入に成功し、ローン取りはぐれをかわせた。国交省の無責任体質と銀行の暴利体質・・・銀行は二重ローンで倍儲けとるよ・・・を問題に挙げず、たかが小嶋如きをやり玉に挙げて満足している、この国の国民 の愚かさ、民族の知的レベルが問われるのです。最低はマスコミだがね。
(06/05/18)

 世間一般ピープルには、今回の事件を通じて、ヒューザーマンションの安値販売は、姉歯による構造設計の偽装、即ち鉄筋の間引きが原因と思っている人達がいるかも知れない。ひょっとしたら、警察もそう思っているのではないか、と思われるのである。もしそうだとしたら、今回の強制捜査は、歴史に残る誤認捜査になるだろう。
 まず第一に、マンションの販売価格は何で決まるでしょうか?最も大きいものは土地取得料です。次に躯体費用、その次に内装・外装費。馬鹿に出来ないのが、借入金の金利。今は金利は只みたいな様なモノじゃないか、と思われるでしょうが、只同然は預金金利。借り入れ金利はしっかり取るのです。又、バブル崩壊後、土地価格が下落したとき、底値で買っておけば、景気回復後は低コストで商品開発が出来、事業者は大きな利益を得られる。ヒューザー小嶋はバブル時期から東京で不動産屋を始め、90年代後半からデベロッパーに転向した。問題になった物件の大部分は1998年以後。首都圏では土地価格が回復し出した頃である。だから、他より低価格での販売は不可能とは云えない。
 さて、この中で、鉄筋はどの程度のウエイトを持つでしょうか?ゴミのようなものです。ある報道番組で、設計の専門家が、「この程度鉄筋を抜いてもせいぜい1000万円程度」と言うと、司会者が「それは一戸あたりですか?」。専門家「とんでもない、全体でですよ」。例えば、100戸のマンションなら、1000万円分抜いても、一戸当たりのコストダウン効果は10万円程度にしか過ぎない。これでは、ヒューザーの売りの安値販売(ライバル商品の半分近い価格)に貢献する事は出来ない。しかし、請負業者である木村建設にとっては、1000万のコストダウンは非常に大きな意味がある。特に、現場のコスト管理を任されていた篠塚にとっては、500万でも1000万でも甘い顔は出来ないのである。
 マンションの販売価格に大きな影響を与える要素に、金利がある。ここで注目されるのは、総研がカナダから導入し、木村建設が習得したと云われる急速施工法である。筆者はこれを、どうせアメリカ渡りのインチキ工法だろうと指摘した(02/13)が、当に最近、某障害者福祉施設火災事故で、そのインチキ性が暴露されたのです。しかし、インチキであっても、工期が半減すれば、事業者にとっては無視出来ない。金利負担に大きな影響を与えるからである。つまり、在来工法で1年掛かる工事が、総研工法で半年で済めば、金利負担は半分で済む。つまり、販売価格を大幅に低減出来る。これが、ヒューザーが急速に売り上げを伸ばした最大の原因ではないか、と考えられるのである。無論、姉歯設計で鉄筋が省略化されれば、鉄筋工事の手間が大幅に省略出来るので、これも工期短縮に貢献する。しかし、やっぱり、一番大きな要素はコンクリート工事だろう。つまり、みんなが・・・おそらく警察も・・・持っている、ヒューザーの安値販売戦略と姉歯の設計ねつ造が関係しているという予想は、殆ど根拠を持たない。最も大きく影響しているのは、総研流型枠工法である。なお、この工法は、闇工法ではなく、おそらく国土開発技術センター(これは国土交通省の天下り受け皿。実態は国土交通省そのもの)の認可を受けているはずである。何故なら、建築工法はとっくの昔に性能評価に移っているから。この工法に認定証を出した責任はどうなるのでしょう?

(06/05/19)

 昨日、ヒューザーが姉歯から得たと云う、メモの一部がマスコミに公開されました。この事件・・・だけではなく、例の偽メール問題でもそうですが・・・情報が小出しに出てくる。実はこれは、政府が世論操作するときに使う常套手段なのです。何故かと言うと、全く関係の無い情報を、マスコミを通じて小出しに出す。そうすると、国民はそれらの関係を勝手に想像し、自分達で納得出来るストーリーを造る。更に情報を与える。またまた勝手に想像するので、次第にストーリーは強化され、国民意識は政府が考えた方向に収束していくのです。実はこれはオレオレ詐欺で使われる方法(オウム真理教も似たようなモノ)。被害者に不安感を与え、大脳扁桃葉を刺激して、被害者の行動を操作するテクニックです。なお、公共事業や法改正でよく使われる、ナントカ委員会やカントカ審議会もこれと似たようなもので、特に専門性の高い委員会ほど、その傾向が強い。
 今、警察が立件しようとしているのは、(1)GS藤沢販売に於ける詐欺容疑です。(2)更にこれを手がかりに、事件全体・・・つまり姉歯による設計ねつ造・・・の背後を構成するする巨大詐欺事件の摘発、という巨大なストーリーを考えているらしい。(1)はともかく(これもかなり怪しいのだが)、(2)なんて本当にあると思いますか?無論、これに群がった小悪党は沢山いるのだが、とてもかつてあったような、巨大詐欺事件に発展するとは思えない。
 とりあえず、GS藤沢詐欺事件の、本日までの事実関係だけを整理してみましょう。 
1)昨年10/25午後に、イーホームズから構造計算書のねつ造があった旨の報告があった。
2)同日夜に、ヒューザーの設計担当役員が姉歯事務所を訪れ、計算結果の一部をメモして帰る。
3)10/27午前中に小嶋に報告。10/28GS藤沢の販売を行う。
 これに基づき警察は
(1)2)のメモが、ヒューザーが事前に耐震強度不足を認識していた証拠である。
(2)強度不足を認識していたにも関わらず、マンションを販売したのは「不作為の詐欺」及び「宅建法違反」にあたる。
という論法で立件を目指す。
 一方弁護側は、メモを見ても小嶋にはそれを理解出来なかった、と反論する。なお、このメモを造ったヒューザー役員は設計担当ということで、構造設計も理解していただろう、と思われるかもしれないが、担当は飽くまで担当であって、その専門家とは限らない。ヒューザーという会社の性質から見て、これが設計の専門家、特に構造を理解出来ている人間とは思えない。
(続く)
(06/05/21)

 まず、このメモたるモノがさっぱり判らない。
(1)TVのニュースなんかでチラッと見える事があるが、あまりに短時間なので中身を吟味する余裕がない。
(2)インターネットや新聞でメモが公開されているが、映像が小さすぎて、中に書いてある文字が解読できない。
(3)そもそも、メモの内容に関する説明が一切ない。これでは評価のしようがない。
 一例を挙げる。TV画面で辛うじて、一部が読みとれたものがある(GS藤沢のX=0.4、Y=0.6という文字)。あたかもGS藤沢の耐震強度(RC保有水平耐力)の様に思ってしまう。本当にそうなのか?しかし、その説明がない。
 ヒューザー設計担当役員は、25日夜、姉歯事務所でPC画面から数値を写し取ったということだが、その時のデータは全てねつ造後、つまり耐震強度1.0以上に対応するものではなかったのか?だとすると、この数値は何の意味もない。もし、正規のデータだとしたら、姉歯はねつ造前のデータを律儀に保管していたと云うことになる。普通、そんなこと考えられますかね?何れにせよ、このメモの意味・内容の解釈は、公判での大きな争点になるでしょう。
 このメモに対する小嶋の理解は、次の3段階で検証する必要がある。
(1)数値の意味を理解していたかどうか?この事件で、多くの人が耐震強度という言葉を知った。しかし、それはその言葉を知っただけで、意味・内容を理解しているでしょうか?まず第一に、耐震強度(RC保有水平耐力)がどのようにして算定されるか?これを求めるために必要なパラメーターがどれほど必要か?それを求めるにはどうすればよいか?知っている人がどれほどいるでしょうか。小嶋もたかが不動産屋上がり、知的レベルはワイドショーを見ている主婦と変わらない。いやしくも、住宅産業の経営者なら、耐震強度の何たるかを知っておくべくだ!と叫ぶ原理主義者もいるだろうが、もしそうなら、今の日本の住宅産業経営者の99%は首だよ。警察の狙いは、メモの中身を、耐震強度に直結させたいのだろうが、そう上手くいくでしょうか?
(2)仮に、メモが耐震強度に直結していたとして、それが、即ち居住禁止・撤去という、強制措置に結びつくと認識出来たかどうか?なにせ前例の無い事件だから、判断が混乱しても矢無を得ない。
(3)実態が判った時、小嶋は「会社が潰れる」と叫んで、木村建設に耐震補強法の検討を指示した。事件発覚後も、大成建設に免震による対応の検討を依頼している。おまけにイーホームズによる「検査済み証」もある。
 通常の詐欺では、詐欺犯は金品を奪取した後、姿をくらますものである。しかしながら、小嶋は姿をくらますこと無く(いささか露出過剰気味だったが)、対応法を考えている。残念ながら、すべて失敗。但し、国交省査定も問題で、もっと真面目にやれば、解体ではなく補強で済んだ物件もあったのではないか、むしろマスコミ主導で補強案を潰されたのでは無いか?という疑いもある。この点も公判で、専門家によるきちんとした鑑定が求められる場面である。少なくとも、小嶋が金品奪取を意図的に行ったとは云えない。
 少なくとも、以上3点がクリアーされない限り、「不作為の詐欺」の立証は困難と思われる。更に、ややこしいのはイーホームズによる「検査済み証」の存在である。これの効力を警察(検察)はどの様にして消そうとするのか、興味津々です。駐車違反摘発の民間委託だって、似たような問題はあるはずだ。民間建築確認審査機関が、国交省住宅局系役人OBの天下り先確保であったと同様に、この制度の本音が、実は警察OBの天下り先確保にあるのは、ミーンナ判っていることです。こういうのは、「不作為の詐欺」に当たらないのでしょうか?
(06/05/22)

  W杯ドイツ大会観戦ツアー付きチケットで、入手不能事件が発生。事件の概要は、東京都内の業者が、中国政府系企業にチケットの手配を依頼したところ、こんな値段では入手出来ないと断られ、既にチケット料金を払い込んだ購入希望者に、販売出来なくなったというもの。これだけ見ると、如何に中国企業がいい加減であるか、のように見えるが、どうもそうでも無いらしい。販売業者と中国企業の間に、訳の判らないブローカーが二人ほど介在していて、その間の金の流れがさっぱり判らない。販売業者は、本当にチケットが入手出来るかどうか判らないのに金を集めてしまった。払った金が、購入希望者に全額戻れば良い(これも相当甘い場合。契約違反は倍返しが普通)が、そういうことは事は殆どない。結局は購入希望者が泣きをを見るのである。
 これなど、今回の耐震ねつ造事件非常によく似ています。まず、金を集めた業者が、本当に契約を履行出来るかどうか確認せずに物品の販売を行っている。中間業者も、現実には義務を誠実に履行していない。何よりも、購入者が目先の利益に飛びついて、何にも考えずに業者の口車に乗ってしまったことである。W杯で云えば、今頃まともなルートでチケットが手に入る筈がない。もう少し落ち着いて、頭に登った血を収めて居れば、被害に遭わなくて済んだかも判らないのである。
(06/06/06)・・・・何と06が三つ並びました。これは100年に一回しかありません。トリプル6は悪魔の数字、不吉の象徴です。

 警視庁、総研を奈良のホテル販売での詐欺立件を見送る。これで総研は無罪放免を勝ち取った事になるでしょうが、だからといって、総研が今回の耐震ねつ造問題に無関係であったとは云えない。警察が見送ったのは、飽くまで奈良での詐欺である。ヒューザーが立件されたのがGS藤沢販売だけに留まるのと同じである。筆者はこれを逆えん罪ではないか、と考える。つまり、犯罪事実があるのに、捜査当局がそれを立証しないケースである。ひき逃げ事件に多く見られるケースである。総研の犯した犯罪としては、筆者は既に指摘してある(06/04/26)。何故、内河立件見送りになったかというと、警察が奈良のホテル詐欺立件という小さい事件に囚われて、視野狭窄症に陥ったからである。小嶋は悪党だが、ただの小悪党。しかし、内河こそが腹黒い本物の悪党なのである。しかし、村上と同じで、内河も、もうこの世界で生きていくことは出来ないだろう。
(06/06/08)

 姉歯の偽証で、捜査は振り出しに戻ったようですね。警察は事件の背後に、巨大詐欺構造がある、と睨んでいたそうだが、私がかつて云った様(05/16)にそんなものはなく、姉歯の単独犯で終わりそうです。
(06/06/23)

本末転倒の建築士法改正案

 耐震強度ねつ造事件を受けて、国土交通省試案が発表された。要旨は概ね次のとおりか?
1、 現建築士に再試験を行う。合・不合格により、別名称か降格等の処置を取る。
2、 建築士受験資格を4年生大卒のみに限る。
3、 構造・設備に関しては独自の資格を与え、分離発注を原則とするが、建築士の責任において業務委託も可能とする。
 こんな表面だけの制度改正で問題解決が図れるだろうか?この改正案(案とも云えない)は、事件の本質を覆い隠し、責任を建築士という最も弱い末端に押しつけるに過ぎない。更に笑止なのは、3に見られる様に、構造・設備の意匠からの独立を認めながら(別資格の付与)、意匠設計からの業務委託も認めている点である。これでは何にもならない。裏発注の横行は目に見えている。今回の事件の最大要因は、民間審査機関がまともな審査もせずに、ねつ造資料を右から左に回し、行政も何にも考えずにメクラ判を押していたことである。その遠因は、国土交通省が民間審査制度の手続き・審査機関の権利義務を曖昧なままに、審査の民営化を拙速・強引に進めたことにある。その理由は、橋本行革によって発生する行政のリストラ、それに対応するための天下り先確保にあったことは云うまでもない。これまで、国交省は幾つか制度改正案を出しているが、共通しているのは、民間審査制度に全く手を付けていないことである。何故か?役人の天下り先確保が絶対使命だからである。この点を曖昧にしたままの制度改正など百害あって一利なし。こんな案など間違い無く、建築士会や高専・短大業界から猛反発を受けて木っ端微塵だろう。
 これも又、コイズミカイカクの一環であろう。だとすれば、コイズミ改革とは、本質的には役人の役人による役人のための制度改革に過ぎないのである。
(06/06/27)

 近頃
良く目にするのが、シンドラー製エレベーターの閉じこめ事故。シンドラー製EVは、みんなマスコミに監視されているような状態。殆どイジメだね。例の港区高層住宅
事故の後、2chを見ていると「シンドラーは平和を愛するスイス人の会社だから、こんな非道いことするはずがない」とか「シンドラーはISO9000を取得しているので、品質には問題はない。被害者の誤操作だ」などと、訳の判らない、明らかにシンドラー社員からと考えられるカキコミが横行していた。ここで面白いのは シンドラーがISOを防波堤に使っていることである。ISO がその製品の性能・信頼性を保障するものではない、ということは知っている人は知っています。何故なら、ISOが製品の性能・信頼性を保障するものなら、今頃ISOは世界中から訴訟の嵐に巻き込まれ、とっくの昔に潰れているはずです。しかしそうはなっていない。ISOなんかを相手に訴訟を起こしても仕方がない、ということをみんな知っているからです。ということは、ISOなど、まともな世界からは全く問題にされていないということに他なりません。しかし、全く無いわけではない。ISO9001では、その要求事項の中に、設計の妥当性検証を義務付けています(ISO9001、4.4.6、4.4.7、4.4.8)。これだけ事故が発生していると云うことは、設計に何らかの欠陥が有るのではないか、と考えるのが当然でしょう。シンドラーを担当していたISO審査会社や、審査員は何をしていたのでしょう?何か建築確認の民間審査と通じるものが感じられます。確か、三菱自工事件の時、自工のISO審査を担当した会社が、審査資格を取り上げられたことがあったと記憶している。今回もそうなるのでしょうか?その内、ISOも消えて無くなるでしょうから、どっちでも良いといえば良いのですが。
(06/07/02)


 云ったとおり、建築士資格制度改正国交省案は、建築士会の猛反発で、まず、1、現行建築士再試験が吹っ飛びました。しかし、未だ2、学歴規定や、3、資格規定が残っています。2、ついては高専・短大側からの反発が予想されるし、3、も今の国交省案では百害あって一利なし。意匠屋の優位と、構造・設備屋の下請け化を追認するだけのもの。意匠・構造・設備を完全分離しなければならない。それをしないから、シンドラーEV事件のようないかがわしい問題が起こるのである。
(06/07/31)

 木村建設篠塚が、昨日保釈。篠塚を幾ら絞っても、何も出てこなかったということでしょう。05/16に筆者が指摘したとおり、篠塚は耐震偽装と関わりがなかったということ。ズバリ警察の見込み捜査の失敗です。しかし、篠塚が全く潔白であるとは云えない。篠塚の誤りは、東京支店長という地位を過度に意識し、限度を超えた下請け叩きに奔ったということです。例えば、姉歯がもっと丁寧に構造のことを篠塚に説明し、篠塚もそれを受け入れる能力・度量があれば、ひょっとすると、木村建設ルートではこのような事件は起こらなかったかもしれない。しかしそれが出来なかったというのは、もっと強い力が彼に働いていたと云うことです。それは
  (1)木村建設の業績不振。それを支えるのが東京支店、というプレッシャー。
  (2)総研の「標準鉄筋量」というプレッシャー。特に内河が社長の懇意であるという事実は、かなり重い。
 この種のプレッシャーなど、サラリーマンをやった人間なら誰でも経験しています。そこを上手く誤魔化すのがプロサラリーマン。例えば、業績不振の責任を、他の誰かにすり替えるとか。おそらく篠塚は、真面目な人間で、上から云われたことを、何も考えずにそのまま実行してしまったのだろう。南九州に多いタイプ。姉歯とは、出身もタイプも違うので、お互いがお互いを誤解して、そのまま行ってしまった可能性もある。
 (06/08/08)

姉歯に対する公判が始まりました。検事調書によれば、@全ては自分の金欲しさのために自分一人の判断でやった、A地震のことは考えなかった、B国会証言で行った木村建設からの圧力はよく覚えていない。
 これだけ見ると、この天下を騒がした大騒動も、このままで行けば、かつて(06/05/16)私が云ったように、「姉歯元建築士の単独犯行」で終わります。しかし、何か上手くいきすぎているような気がします。姉歯単独犯の場合、誰が一番得をするのでしょうか?それは勿論、国土交通省であり、建築許可を出した各行政や、民間審査機関です。無論、あの代議士のセンセイも例外ではありません。姉歯の場合、一人で全部を被っても、建築士法違反では罰金50万円。議会証言法違反があって、これが懲役2〜3年位。初犯で、冒頭から犯罪事実を争う様子もないから、執行猶予がつく可能性もある。この際、争わない方が得だ、という弁護士の入れ知恵が無かったなんて、誰も思わない。かくして、全ては有耶無耶の闇の中に消えるのです。そして残るのは、被害者の借金と役人の利権と無責任体質のみ。
 この後残るは、ヒューザー小嶋ルートです。国会参考人質問で見せたような、国交省の責任を衝く、あっと驚く爆弾発言が出てくれば面白いのですが、果たしてどうでしょう。一応期待だけはしておきましょう。
(06/09/07)

 オウム麻原の死刑が確定しました。その理由が、弁護側の上告手続きの不備と言う、何とも低レベルの形式的判断。始めから、麻原を死刑にするつもりが司法側にあったとしか考えられない。これにより、オウム事件は検察側、即ち国側が描いた筋書きどおりで決着する事になります。つまり、今後世間一般には、この大事件は麻原彰晃こと松本千津夫とその側近の、頭のおかしい連中が犯した単純刑事事件で処理されてしまうのです。これで一体誰が利益を得るのでしょうか?
 オウム事件には判らないことが一杯あります。そもそも、オウムが貯め込んだ資産は本当の処幾ら(村井によると数1000億)で、それが信者の寄進と教団の集金活動だけで説明出来るのか?その資金の行き先は全て明らかになっているのか?最大のキーマン村井を襲ったのは誰か?その背景はだれか?国松についてもしかり。警察は捜査すらやっていない。第一、オウムのような訳の判らない団体が、上九一色村にあれだけの用地を入手出来たのは何故か?しかも違法建築をやりまくっている。山梨県が建築基準法違反で教団施設を手入れをしたのは、強制捜査の一年以上経ってからだ。教団用地取得について、山梨県、熊本県の政治家・官僚に、オウム側から金が動いたのは間違いはない。それも麻原死刑で有耶無耶だ。一審死刑判決後、麻原は「こんなはずじゃなかった」と叫んだと云われるが、どんな「はず」だったのでしょう。
 戦後、こういう問題が起こるたびに、キーマンと呼ばれる人間の死亡事件(大概は自殺と判定され、警察はそれ以上の捜査をしない)が多発する。古くは岸内閣当時のグラマン・ロッキード事件に関する防衛庁技官の自殺。長銀事件での新井議員の自殺、リクルート事件での青木(竹下総理)秘書の自殺。オウムでの村井の刺殺しかり。最近では、ライブドア事件での野口の自殺(?)。それに耐震ねつ造事件に於ける森田建築事務所所長の自殺である。みんな捜査は有耶無耶で終わり、事件そのものも有耶無耶で終わっている。麻原の場合は自殺しなかったから、公権力を使って抹殺 してしまおうと云うことか。
 耐震ねつ造事件も姉歯一人に罪をオッ被せて終わり。後に残るのは、建築士という弱い末端に対する規制・罰則強化・・・殆ど官による民に対するイジメ・・・と国土交通省の利権拡大のみ。「民間に出来ることは民間に」というのは、単なるかけ声で、役人の力は返って強くなってしまったのである。
(06/09/16)


 ヒューザー小嶋初公判。小嶋は無罪を主張。まあ、当然でしょう。10月21〜22日には国土交通省は事件の全容を把握していたはずです。何故、行政命令を出さなかったのか?この点の謎が裁判で明らかになるのが期待されますが、多分有耶無耶。
 小嶋側は、行政による検査済み証の有効性を争うでしょう。それに対し、国側は、虚偽の事実に基づく決定は無効である、と反論するでしょう。問題は何をもって虚偽と判定するか?その責任・権限の所在は何処にあるか?です。もし、イーホームズや藤沢市による検査済み証が無効とされれば、これは我が国の行政に対する信頼感を、大きく揺るがせることになります。
 何故か、安部内閣で、北側に替わって冬柴が国土交通相。公明(創価)は、国交相ポストを手放さない。何故でしょう?ヒューザー裁判シフトか?それとも池田がらみでなにか巨大開発を企てているのか?学会関係開発で、地元自治体ともめ事が発生した場合、国交省を握っておれば、そこから圧力を掛けられる。
注;25年ほど昔の長崎豪雨で、50ha以上の開発は大臣認定になってしまった。それがいつの間にか100ha以上に変更になった。誰が圧力を掛けたのか?想像して下さい。仮に100ha以上の開発案件を持っている団体の関係者が国土交通大臣だったら、許認可は非常に有利に進みます。
(06/10/06)

この問題が始まって以来、ずーっと引っ掛かっていた事柄が一つあります。それは、何故姉歯がRCに拘っていたか、です。事件の顛末を見ていると、姉歯が関与した物件は全てRC造です。しかし、関西では大体10〜12F前後の、いわゆる中高層建築は殆ど柱と梁に鉄骨を入れたSRC構造です。それは、耐震設計を考えると、RCでは柱や梁が太くなりすぎ、使い勝手が悪く、商品価値が低い。鉄骨を入れた方が柱を細く出来るので、有効面積当たり単価では返って安くなることがあるのです。
 姉歯は第一回公判で、「100回以上計算を繰り返したが、答えが収束しないので、計算書の偽造に走った」と供述した。100回もトライアルして収束しないと云うことは、最早入力パラメーターの問題ではなく、構造モデルの問題と考えなくてはならない。それどころか、普通なら2〜30回もトライアルして収束しなければ、コリャアカンと思うのが普通。思わないのは、姉歯が福島だか茨城だかの出身に関係しているような気がする。イラチの関西人なら、直ぐに別の構造を考えるだろう。RCを放棄してSRCとすれば、問題無く解決したのではないか。それが出来なかったのは、姉歯はRCが専門で、鋼構造がよく判らなかったのかもしれない。或いは関係者がRCに拘ったのかもしれないが。筆者自身はRCには疑問は持っていたが、建築は専門ではないし、土木でも関東、関西でやり方が違うことはしばしばである。東京では特別な基準があって、10FでもRCでやるのか、と思ってしまったのである。
(06/10/16)

改正建築基準法施行される。末端の建築士にはエライ過酷な義務を負わせ、肝心の無責任国交省や役立たずの盲腸行政、悪質無能民間審査機関にはおとがめなし。これが安部流「美しい国」の実態だ。マンション販売業者にも保険加入を義務付ける。これは事件発覚後、一ヶ月ぐらいで筆者が提案した方法。これに色々難癖付けて来たアホもいましたがね。保険加入を義務付けるなら、全ての安全審査を保険会社に任せればよい。又、そうするのが保険会社の義務である。そうすれば、中間の行政審査や民間審査の手間が省けるから、時間もコストも節約出来る。それが筋だし、審査も一本化出来るので問題もない。何故そうしないのでしょう。それが出来ないところに、日本の国家体制の未熟さがあるのだ。いまだに資本主義を自分のものに出来ていない。
(06/12/29)

関テレ「何でもあるある大辞典」納豆ダイエットデータねつ造事件。これを見て何となく、根は姉歯事件と同一という感がしました。番組製作を請け負った「日本テレワーク」社は、過去にもねつ造前科があったらしい。他にもあったのではないか?実はねつ造の常習犯の可能性も考えられる。局側が何か企画を考え出す。そこには何らかの制作意図があり、それは番組プロデーサーの意図を反映したものである。下請け会社はそれの制作を請け負う。ところがなかなかうまくデータが取れない。例えば権威者のインタビューとか、意図にあった実験データなどがそれである。それを確実に取ろうとすれば、予算・工期をはみ出してしまう。局やプロデーサーがOKするわけがない。そこで、生煮えデータを上手く加工して制作意図に沿った番組を造れば、プロデーサーも喜び視聴率も確保出来る。万事メデタシメデタシである。消費者の事なんか知った事じゃない。どっちみち嘘か本当か判らない話しなのだから。
 姉歯も最初は真面目に構造計算をやりだした。ところが施主側の要求水準に合わそうと思うと、とてもじゃないが無理だということが判った。無理だと言うと仕事が無くなる。そこで考えたのが設計計算書の改竄。どっちみち相手はシロートだから判るわけがない。問題は建築確認申請だが、これがなんと通ってしまった。施主、つまりヒューザーなんかは大喜び。姉歯さん、これからも宜しくお願いしまっせ、というわけ。審査したのはイーホームズという会社。ここならやれる、というわけで後は、設計ねつ造の大量生産。
(07/01/21)

 京都で耐震偽装ホテルが発覚。耐震強度は07〜0.79。設計者は意図的な偽装を否定。しかし京都市はホテルの使用を禁止。いささか、あつものに懲りてなますを吹く感。この程度なら少し補強すれば直ぐにクリアー出来る。何時地震が起きるか判らないから、というのが理屈だろうが、では新耐震以前の古い建物はどうなのだ。これには耐震強度不足の建物が幾らでもいる。地震は建物の古い新しいを区別しない。新築ホテルを使用禁止にするなら、古いホテルも同時に使用禁止にしなければならない。この問題を放置して、新築のみをやり玉に挙げるのは論理矛盾も甚だしい。
(07/01/31)

 関テレ「あるある大事典」ねつ造事件は言った通り、他にも続々ねつ造が発覚。それに対し社長は知らぬ顔の権兵衛を決めたっきり。ヒューザーの小嶋でも表に出て釈明していたぞ。この社長は何者なんでしょう?報道の出身らしいが、それにしては対応が鈍い。「あるある」は見たことは無いが、「モーレツ怒りの相談室」はよく見ている。この番組は投書内容の裏もとっており、報道姿勢は結構真面目なのである。但しゲストコメンテーターの質に問題はある。だから同じ会社とは思えなかった。しかし、よく見ると「あるある」は関テレでも東京支社制作なのだ。同じ会社でも東京と大阪とでは相当空気が違う。大阪は本音重視だが、東京はストーリー重視に流れる傾向がある。そして例え大阪本社でも、東京は大阪を見下す傾向がある。東京は独自路線を突き進むのだ。事実、この事件に拘わったスタッフは、関テレもその下請けも、みんな東京の人間なのだ。千草がこの問題に鈍感になるのはそれが原因ではないだろうか?
(07/02/16) 

面白いデータがあります。例のアルアル大事典の取り分の内訳。制作予算平均3200万円の内、関西TV50万円、一次下請けの日本テレワーク(NTW)3150万円(関西TV報告書)。実に外注費3150/3200=0.9844=98.4%。色々話題の官製談合落札率より高い。普通の会社でそんな外注費が考えられますか?これじゃ丸投げを通り越して、詐欺横領の世界だ。放送事業のようなサービス業では、・・・かつてサラリーマン時代、原価計算や実行予算を散々作ってきた経験から云うと・・・業務原価(社内経費+外注費)は70%以下に抑えるのが常識。それを越えれば赤字だ。従って外注費は50〜55%程度に抑えなくてはならない。70%で下請けに全部やらせ、元請けは何もしないのを丸投げという。非道い会社では50%で全部やらせるのもいる。ところが、ここでは本来関テレに廻らなくてはならない45〜50%の金が、そっくりNTWに廻っている。これではまるっきり関テレは、スポンサー契約料をそっくりNTWに流すためのトンネルに過ぎない。いや、実際そうだったのでしょう。こういう場合、一旦NTWに入った金は関テレトップ、おそらく出馬現会長、千草前社長にキャッシュバックされたと考えるのが世間の常識ではないでしょうか?勿論、関テレ東京プロデーサーへのキックバックの可能性も十分ある。そういえば思い当たることが幾つかあります。アルアルは出馬が関テレに天下ったときから始まった番組。関テレ制作とはいうものの、実際は関テレ東京支社制作、制作プロダクションはみんな東京の会社。キャストもみんな東京タレント。全く関西らしくない。そういえば、いつぞやの毎日新聞に面白い記事があった。関テレのプロデーサー曰く、「東京の下請け(NTW)プロデーサーに『・・・要するに情報バラエテー番組なんですよ・・・』とまくし立てられたら何も云えなくなった」。何も云えなくなったのは、単に相手の弁が立っただけでしょうか?要するにアルアルは出馬の、出馬による、出馬のための番組だったのだ。それを大阪本社で支えたのが千草。ワタクシの小学校同級生である片岡クンは、〇〇〇さじきにおかれて口出し出来なかった。だから返り血を浴びなくて済んだのである。その替わり、社長というややこしい責任を押しつけられてしまった。おそらく、アルアル関連の制作会社やタレントは、フジ時代からの繋がりで出馬が連れてきたのだろう。「お前ら、関西の田舎モンは黙っとれ」とういう訳だ。上に挙げた関テレのプロデーサーがNTWの背後に見たものは、出馬であり、千草の陰だったのである。片岡新社長は就任会見で、「・・・制作現場に詳しい千草取締役の協力を得て・・・」と云う意味の発言をしたが、「制作現場に詳しい」とはどういう意味か?要するに下請けの制作プロダクションに顔が効くという意味だろう。おそらく、千草と制作会社の間には、以前からややこしい関係があったのではなかろうか?。
 筆者は関テレの検証番組などは見ていないが、翌日のワイドショーなんかの解説図によると、やたら危機感の不足とか、チェックが甘かったなどとそれらしい言葉が出ていた。予算の98.4%も下請けに持って行かれて、危機感もチェック意識もないものだ。危機感、チェック意識を誰が盗んだのか。それは出馬と千草をおいて他にはない。おまけに本来関テレにもたらされるべき利益までネコババしておる。この二人並びに、このようなデタラメな外注費を見逃していた役員連中の行為は、当に背任並びに業務上横領である。その一部はフジテレビ幹部に廻っている可能性だってある。その内、東京地検が興味を持つかもしれない。つまり、あの検証番組は、責任をラインにすり替え、自分達は頬被りするためのヤラセ番組だったのである。懲りないねえ。関テレ委託の調査委員会報告書は、コトの表面ばかりをなぞっていて面白くない。問題の本質は以下のとおりです。
1、関西テレビに大阪本社と東京支社という二重構造があった。
2、東京支社は誰かの恣意で動かされ、本社のコントロールが効かなくなった。
3、そこを電通と日本テレワークにつけ込まれた。
4、後は無責任と堕落の連鎖。

 片岡クン並びに関西テレビに忠告しておこう。
1、一刻も早く出馬、千草及びそれに連なる側近を追放し、片岡体制を作ること。
2、東京支社は縮小し、制作権を取り上げること。
3、関西ローカル放送局に徹し、いたずらに東京の真似をしないこと。
 そうしておかないと(つまり出馬、千草体制のDNAを残しておくと)、いずれほとぼりが冷めた頃に又同じ事をやる。その時は放送法が変わっているから、ペナルテーは総務大臣に頭を下げただけでは済まなくなる。
 それにしても不思議なのは関テレの株主と社員だ。白昼堂々と莫大な利益の中抜き(もっと悪く云えばネコババ)が行われているのに、誰も文句を云わないのだから。

(07/04/07)

 どうもワタクシは勘違いしていたみたいだ。
1、冒頭に挙げた制作予算は一回毎ではなく一年間らしい(関テレ報告書でもキチンと単位を書かないからこういう間違いをする)こと。
2、制作予算はスポンサー契約料ではなく、関テレ局内予算らしいこと。これも報告書に説明されていない。
 放送局の売り上げとは要するに時間単価×放映時間以上にはならない。3200万を一回毎とすると、一年間の予算はべらぼうなものになり、実態を表さない。又、3200万を年間スポンサー契約料とすると、午後7時代というゴールデンタイムの全国バージョンにしては安すぎる。常識的に見て、スポンサー年間契約料はその3倍、つまりざっと1億というところだろう。と言うことは、関テレが7000万抜いたということか?しかし実態はそうでもないらしい。と言うのは、関テレ報告書でもこの番組では関テレは儲かっていないという泣き言ばかり。誰が抜いたのか?やっぱり電通か?電通が半分くらい抜いて、後は下請けに丸投げ、と言うことか?これなら何処にも関テレが口出し出来る隙間がない。それが誰であれ、現場の危機感、チェック機能を誰かが盗んでいたのには間違いはない。それを永年に渡って見逃してきたという点でも、出馬、千草並びに関テレ役員の責任が逃れられるものではない。それと、スポンサーも自分が金を出している番組がどう作られているか、よくチェックすべきだ。そうでないと、今度は広告代理店からスポンサートップにキャッシュバックがあるのではないか、などといらぬ疑いを掛けられますよ。
(07/04/10)

衆院予算委員会で冬柴が、新建築基準法対応ソフトについて「・・・・各社から案を取り寄せてみたが、NTTデータのものが最も優れておりこれを現在試行中でございます。これは基準外の数値が入力されると、それをはねのける機能を持った大変精巧なものでございまして・・・・」と答弁。どっちみち国交省大臣官房の、誰か課長補佐あたりが書いた答弁案を丸読みしているだけの意味のない答弁。疑問はまず@建築設計計算ソフトを、建築にはまるっきり素人のNTTデータというソフト屋に任せて置いて大丈夫なのか?それとも国交省にはコンピューターが判る技術屋がいないのか?A基準外数値をはねのける機能のどこが難しいのか?既存ソフトのI/O部分を書き直せばそれで済むのである。それともNTTデータは建築基準法を1から勉強しながら、PGMを作っているのだろうか?それなら時間が懸かるはずだ。BNTTデータという会社は、社保庁の例の欠陥ソフトを作った会社である。そんな前科のある会社の製品が信用出来るのか?Cソフト発注の入札は間違いなく行われているのか?水増し積算はなかったか?まさか国交省とNTTデータの間に金の動きがあったなどと云うことはないだろうな!
 そこまで国交省は疑われているのだ。なお、この冬柴という男、暫定税率問題で、ガソリン税から国交省職員宿舎建築やバットやグローブまで購入されていたことに関し、「適正な支出と考える」と答弁し、世間のヒンシュクを買っている。完全に国交省役人の自家薬籠にはまりこみ、只のロボットと化しているのだ。こんなのを何時までも大臣にしておいては国家的損害である。空気の無駄遣いだ。
(08/01/28)

 新建築基準法対応ソフト試行版がやっと出来て、それを試験的に使い出すらしいが、作った会社がNTTデータ。例の社保庁の間違いだらけろくでなしソフトを作った会社です。あんな検索ソフトなど、本当はものすごく簡単なのだ。それが間違いだらけになる。だからNTTと社保庁が裏で手を組んで、わざと間違いが出やすいソフトを作ったのではないか、と疑われてしまうのである。こんな悪党というか、素人が作ったようなソフトが果たして信用出来るでしょうか?国交省なんかに任せず、建築学会が責任を持って作成すべきではないか?実施段階では民間設計事務所による厳密なチェックが望まれる。
 役所が作った設計基準が常に正しい訳ではない。昔、道路公団が補強斜面の設計基準を作った時、その設計基準案というものを手に入れて眺めて見たが、間違いだらけで話にならない。こんな設計基準など使い物にならん、と思っていたら1年ほど経ったら、すっかり書き直して決定版が出てきました。これはまあ使い物になる基準。おそらくあちこちからクレームが付いたのでしょう。こういう訳で、設計基準一つを作ろうと思うと、色々試行錯誤が必要なんですよ。それを役人は一発で決めようとするから混乱が生まれるのだ。おそらく新ソフトを公開しても、三年ぐらいはトラブルが続くでしょう。
(08/01/09)

(続きはTOPへ)



   「現代の正論」へ        一覧へ