アジア・太平洋の将来

技術士   横井和夫


 ミャンマークーデター事件について一言。本日(21/02/06)朝、関西系ローカルテレビ番組(土曜朝10時6ch)で・・・あまり真面目に見てはおらず、隣室の音を聞いていただけ・・・聞き捨てならないことを言うアホがいた。
1、ミャンマーと海外との仲介をするのが日本の役割だ。……某評論家
,2、例え軍事政権でも、ミャンマー国民が幸せになるのが一番だ。・・・・・最近勲章も貰った大阪の某漫才師
1、について;今欧米諸国とミャンマー軍事政権との間に軋轢が生じている。これが進行すると対立となり、ミャンマー経済に悪影響を与える。それを防ぐためには日本が仲介役をかって出るべきだ。一見まともに見えるが、その本音は今ミャンマーに投資している日本企業を救済するため、というせこい発想。
 これは一時的な効果・・・と云っても日本のそれもミャンマーに投資している僅かな企業・・・の権益を短期的に守るだけの効果しかない。しかもミャンマーの軍事政権の存続を認めることになって、欧米・・・特にアメリカ・・・との関係長期的に見ればマイナス効果しかない。
 日本が欧米と足並みをそろえてミャンマー経済制裁に踏み切った時、ミャンマー進出日本企業が不利益を被るのではないか、というのが”某評論家”達の意見だが、そういう企業が海外進出をやっているのはミャンマーだけではない。ミャンマー工場が潰れても会社自体が潰れるわけではない。おまけに今は海外進出をやる時は、必ず海外損失保険に入ることが義務付けられている。これは1980年のイラン/イラク戦争以来だ。それよりうっかりミャンマー軍事政権にすり寄って、他国の顰蹙をかって不買運動をやられるリスクの方が国益を棄損する。
 1990年中国天安門事件の時、欧米各国は対中経済制裁に奔ったが、日本だけ「これでは中国を孤立化させる」と云って、制裁に同調しなかった。この時の内閣は竹下政権。この政権下で日本外務省は対中ODAをやっていた。これを陰で取り仕切っていたのが伊藤忠という商社。その会長が瀬島龍三だった。欧米と足並みをそろえて対中制裁に踏み切れば、伊藤忠は大損害。自民ー竹下利権も失われる。結果として残ったのは、日本の孤立と中国の覇権国家化。
2、について;これこそ最悪のコメント。当に「奴隷の幸福」、「乞食の満足」の典型だ。人はパンのみで活きるものにあらず、と云ったのはナザレのイエスだが、中国にも「渇しても当選の水は呑まず」という言葉もある。要するに、目先の富貴・利益ばかりを追求して、人間としてのプライドまで捨てるな、ということだ。
 上で云ったように、この番組でミャンマー状勢について語った”某評論家”達に欠けるのは”恥”の意識である。彼らは一度東京で、反軍政デモをやっている在日ミャンマー人の前で、同じ言葉を発すればよい。
(21/02/07)

 アウンサンスー・チー女史の最大のミスは、昨年のアメリカ大統領選直後、あるいは今年のアメリカ大統領就任式直後にバイデンに電話を入れなかったことだ。この電話でバイデンからから支持の言質が得られれば、軍部もクーデターを諦めたかもしれない。無論スーチーの電話は盗聴されているだろうが、それこそ幸。スーチー政権とアメリカバイデン政権が密接に結びついていることをダイレクトに伝えられるのだから。
 それにしても不安なのは、アメリカの情報能力・・つまりCIA・・・の低下だ。昔なら軍部クーデターの情報を事前に掴んでいたはずだ。ことの始まりは90年代クリントン政権下でのCIA改革。これによってCIA予算が大幅に削られてしまった。この状態は続くブッシュ、オバマ政権下でも改善されず、更にトランプ政権下ズタズタにされた。
 自分の勘とFOXニュースしか信用しないトランプは、CIAの報告なんか相手にせず、ジョンウンは良い奴だと思い込んでいた。その挙句がポンペイオのようなゴマすりしか能のない人間をCIA長官にして更に国務長官にまでしてしまった。これではまともな国際情報は入ってこず、冷静な分析もできない。その裏で中国やロシアはやりたい放題だった。はたしてバイデンはこの負の遺産を清算できるでしょうか?
 
(21/02/06)