ポランスキーのドラキュラ

  ロマン・ポランスキーはポーランド系アメリカ人で、60〜70年代を代表するアメリカの映画監督。代表作として「ローズマリーの赤ちゃん」などがあります。「ドラキュラ」はその中のひとつ。


 皆さん、ロマン・ポランスキーの「ドラキュラ」という映画をご存じですか。これを知っている方は相当の映画マニアです。何故ならこの映画は日本で劇場公開されたかどうか判らないからです。私が今からおおよそ30年程前、仙台にいた頃、日曜の正午から「仙台放送」というローカル局(8chの系列)で古い洋画劇場をやっていました。B級映画が主で、エロール・フリンの海賊映画のようなレア物をよくやっていたので、B級オタクである筆者は当然、毎週これを見ることになります。ポランスキーの「ドラキュラ」はその内の一作です。はっきり言ってこの映画はB級のドタバタ喜劇。しかし、何故か、筆者の記憶に強く残っているのです。さすがはポランスキーです。
 何故、今頃これを持ち出すかというと、イラクに於けるブッシュの対応が当に、この映画で予言されているからです。古い映画なので細かい点は忘れてしまいましたが、大体のストーリーを述べて見ましょう。
・・・・・ある時、ルーマニアはトランシルバニアのある村にドラキュラを研究している老教授と助手の青年(主人公)の二人ずれがやって来ました。いかにも怪しげな村で、背後にはドラキュラの居そうな古い城塞がそびえています。二人は村で唯一の旅館に宿を乞いますが、天井にはおびただしいニンニクの房が垂れ下がっています。旅館の主人に聞くと、今夜当たりドラキュラ伯爵がやってくるので、若い娘が居る家は皆こうするのだ、ということです。旅館にも一人の若い娘がいました。青年がその娘と出会うと、たちまち二人は一目惚れ。
 さてその夜。ドラキュラがやって来ます。ニンニクなどへの合羽。教授はたちまち打ちのめされ、娘はドラキュラにさらわれます。そこで怒ったのが主人公の青年。単身ドラキュラ城に乗り込みます。そこから始まるドタバタ騒ぎ。遂に青年はドラキュラをやっつけ、朝日の指す中、二人は結ばれます。メデタシ、メデタシ。なのですが。
 二人がいい気になって抱き合っているその時に、城の裏門から、ドラキュラとその眷属(皆さん、この字が読めますか? それと意味が判りますか?)が橇に乗って逃走します(ラストシーン)。背景にポランスキーのメッセージが流れます。
                     ”・・・かくて、善人の善意ある行為により、悪が全世界にばらまかれることになった・・・・”
 ・・・・・・


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