原油価格の真実?

横井技術士事務所
技術士(応用理学) 横井和夫


昔からウクライナは農業国で、鉱物資源のことはあまり多くは語られなかった。私はそんなことはない、東部ドンパス地方のドネツ炭田地帯にはシェールガスがあるはずだ。他でも石油天然ガスはあるのじゃないか、旧ソ連はそれを知っていたが隠していただけだ、と思っていたら、突然飛び込んできたのがこの映像。
 黒海洋上の石油掘削リグである。元々ウクライナが開発したものをロシアが17年に奪った。それを昨日ウクライナ特殊部隊が取り返したもの。場所はドニプロ河河口沖の、比較的浅い海と思われる。他に考えられるウクライナ鉱物資源は、アゾフ海では石油・天然ガス。バフムト近郊のゾルダルでは岩塩とリチウム。ウクライナの未来は有望ですよ。戦争後、OPECプラスが牛耳っている国際石油市場にウクライナが殴りこんできたら、原油価格は何時までも天井高では居られなくなる。
(23/09/12)

   
 F-1  F-2

(F-1) これは中国タリム盆地での10000 m級ボーリング掘削設備。中国はこれを科学研究学術井としていますが、実態は天然ガス、特にシェールガス採掘採算性評価のための調査井。
 タリム盆地を含むタクラマカン砂漠は地球の陸上最後の天然ガス資源産地とされ、日本も1970〜80年代にかけて、当時の改革開放政策に載って投資した.。その後の中国の資源政策の変更で撤退を余儀なくされたが、権益は残っているのではないか?
(F-2)中国タリム盆地10000mボーリング掘削リグの内部。今は掘削ツールをホイストで釣り上げているところ。
(23/06/01)

 22年3月に最高値を付けた原油価格がその後下落を続け、昨日ニューヨークWTIでは70ドル割れ。ほぼウクライナ戦争が始まった水準まで戻っています。その後買い戻されてますが未だ予断はできない。
 価格下落の原因は幾つかの要因が考えられます。一つはロシア産原油価格の上限設定。一つは中国経済の回復に未だ不安要素があること。もう一つがアメリカFRBの利上げに伴うドル高。この結果原油市場に廻っていったマネーが金融市場に戻っていったこと。
 さてこの原油価格がこのまま下落を続けるのか、はたまた反発するのか?カギを握るのはウクライナの反攻が成功するかどうかに掛かってくるでしょう。
 先ずウクライナが大勝利を収め、ロシア占領下4州の内1、2州でも解放に成功すれば、ドル、ユーロは買われ、原油・金は下落する。上手くいけば円も買われるかもしれない。バイデン政権の支持率は上昇し、24年大統領選で民主党勝利が確実なものになる。
 今中国は・インドはロシアから割安価格で原油を輸入しているが、その差益はちじまり、欧米と対立してまでもロシアを支えるメリットはなくなる。特にインドは武器援助をロシアに頼っているが、それでなくても武器不足のロシアが何時までもインドに援助し続けるわけにはいかない。いずれ印・ロ関係も冷たくなる。
 逆に反攻が失敗や期待外れに終わった場合は、プーチンは次期大統領選勝利を確実にするだろう。ドルは売られ、原油は上昇する。バイデン政権はレイムダック化し、大統領選では共和党有利の展開となる。
(23/06/01)

 昨日来、ニューヨークWTI原油価格が急落しバーレル70ドルを割り込む。これにつれて北海プレントも下がり、75ドルを割り込む。アメリカ地方銀行破綻の影響でしょう。FRBはなお利上げ姿勢を崩していないから、この傾向は更に続くでしょう。
 さてここで大きな影響を受けるのが、ロシア経済。ロシア政府は今年から国営石油企業への課税方式を変更する。これまでは営業収益に課税されていたものが、欧ロ制裁基準のバーレル60ドルと北海プレント価格との価格差に対し課税される。ということは北海プレントが下がれば、税収は減るわけだ。
 今でも戦争によるロシア経済、特に税収悪化で経常収支が赤字になっている。ここに国際「原油価格が下がれば、更に税収は減り、経常収支の赤字が増える。一説によれば、ロシア政府資金は年内にも枯渇するといわれる。ここで国際原油価格が下がれば、更に税収が減少する。
 それでも戦争を続けたければ、増税か借金即ち国債発行である。来年三月には大統領選挙があるから増税は避けたい。従って選択肢は国債発行しかない。問題は国債の引き受け手だ。一つは国営企業、一つはプーチン派のオリガルヒ、更に中国・インド。しかしどれも素直に引き受けてくれるとは思えない。思い切った高金利を付けるか、何処かで大勝利を納めるかである。かつて日露戦争で日本がバルチック艦隊を撃破したときに、日本の戦時国債価格が跳ね上がったようにだ。さて思ったように行くでしょうか?
(23/05/05)

 ウクライナの天然ガス資源開発に関して、アメリカのハリバートン等の所謂国際メタコンが目をつけています。ウクライナのシェールガス資源に関しては、筆者は既に 昨年9/11に指摘しています。但し、この指摘は今ロシアに占領されている、東部ドネツ地方や南部アゾフ海沿岸地域をイメージしたもの。
 中央平原地域については筆者も全く情報を持っていないのでよく分からない。但し北西部のピリチャブ湿原は、氷河期に氷河によって地殻上部が圧縮された地帯とも見られるので、堆積物も相当厚い可能性はある。そうであれば天然ガスだけでなく、石油も有望だ。
 そこで疑問は、そうなら旧ソ連時代に、何故ソ連はウクライナの地下資源に手をつけなかったのか、である。ソ連はウクライナだけでなく、カザフスタンやキルギスタンなど周辺諸国にも地下資源の自主開発は認めてこなかった。もし彼らが自分達の土地に豊富な資源があると知れば、独立運動が発生することを恐れたためか。
 外国資本に目をつけられた以上、ウクライナ政府がまずやらなくてはならないのは、資源開発に関する法整備である。明治維新後、日本政府がまずやったのは、幕府が持っていた鉱山の資料整理と資源開発に関する諸権利の法整備である。これを日本は自前でやったから、その後も独立を維持できたといえる。それをやっていないと、将来アングロサクソンのハゲタカや中国人の食い物にされてしまう。天然ガスが出る出る、と浮かれている場合ではないのだ。
(23/04/28)

 これは中国と「ミャンマー国境近くにある、ミャンマー武装勢力支配地内の錫の鉱山。所有者は中国最大手の鉱山会社。武装勢力が、採掘を止めたので、途端に世界中の錫の価格が急騰。錫はハンダ付けの材料で、IT機器の最終製造工程に欠かせない。つまりこの鉱山は現在のハイテク産業の先端なのである。
 それにも拘わらず、この鉱山の前近代性には驚かされる。日本では江戸時代か明治大正期の、地方の中小鉱山のレベル。鉱山採掘は命懸けだった頃だ。この鉱山は、資源を消費する先進国と、供給する途上国・後進国の格差を象徴する。皆さんが使っているPCやスマホも、こういう危険と隣り合わせの底辺産業に支えられているのです。
 なお鉱床の母岩は、プレートが衝突する場で出来る、付加体中の砂岩・泥岩からなるスランプ(海底地すべり)堆積物。
(23/04/19)


 昨日から日本で中央アジア五か国外相会議が行われたかと思うと、これにあてつけるかのように、ロシアではCIS加盟国首脳会議が開かれる。中央アジア五か国はCISとも被っている。かと思うと、本日リシア南部エンゲリス空軍基地にウクライナからと見られるドローン攻撃。これはCIS首脳会議への牽制と見られる。
 この攻撃で一番肝を冷やしたのはベラルーシのルカシェンコではあるまいか。先日のサンクトペテルブルク演説で、プーチンはうっかり「この戦争を終わらせる・・・」と口を滑らした。つまり今のウクライナ紛争はロシアにとっても戦争だ、となると話が違ってくる。これまでロシアは「特別軍事作戦」という内政問題か局所紛争としてきたが、「戦争」となるとウクライナ側にロシア内部への攻撃を正当化する根拠を与えることになる。無論これはロシアの同盟国にも適用される。
 現在ロシアはベラルーシ国内に部隊や軍事兵器を配置しつつある。これは次のキーウ攻撃の準備といわれる。もしロシア軍がベラルーシを拠点にキーウ攻撃に踏み切れば、ウクライナはベラルーシ国内のロシア軍拠点を攻撃出来る根拠を得る。能力は既にある。場合によってはミンスクも標的だ。
 本音でいえばベラルーシ国民はみんな反ロだ。それをルカシェンコが力で押さえつけているだけだ。もしウクライナがベラルーシを攻撃すれば、忽ちベラルーシ国内の反ロ、反ルカシェンコ感情に火をつけかねない。ルカシェンコとしては、これだけは絶対に避けたい。もしNATO諸国の支援が期待できるなら、自身の亡命と引き換えにベラルーシのCIS離脱もあり得る。てな上手い話になるかどうか。
 さて話は冒頭の五カ国会議に戻る。主要議題は五か国で産出する地下資源(石油・天然ガスそしてウラン)を、ロシア経由ではなく西側諸国への輸出ルートの確保。これには東方ルート、南方ルートと西方ルートがある。
 東方ルートはどうしても中国を経由しなければならない。これは中国政府がどれだけ信頼できるかによる。南方ルートはアフガニスタン、パキスタン経由でインド洋に出る案。これにはタリバン支配のアフガニスタンそのものが不安定要素である。従って西方ルートしかない。これはカスピ海ーアゼルベイジャンージョージアを経由して黒海に出るか、そのままトルコを経由する案である。黒海はいわば「ロシアの海」だから海上ルートはやや不安。海底パイプラインかトルコ国内の陸上パイプラインの2案がある。ロシアの影響を警戒するなら後者のほうが安全だろう。
(22/12/26)

 サッカーワールドカップカタール大会で、日本が予選リーグ第一戦で、強豪ドイツを下したので世界中が大騒ぎ。ところがこのカタール大会、海外特にヨーロッパ諸国には至って評判が悪い。その理由は(1)金と腐敗にまみれた招致活動。もう一つが(2)カタールという国の人権・差別問題。これらの問題の根底を理解するには、カタールという国の成り立ちを知る必要がある。
 カタールは、いわゆる湾岸諸国の一国で、豊富な石油・天然ガスの産出を誇り、OPECの中でも影響力は小さくない。元々はイギリスの委任統治領で1971年に独立を果たしている。ではその前はどうだったかというと、第一次大戦終結まではオスマントルコ帝国の一部だった。といってもペルシャ湾沿岸など、アラビア砂漠と同じ不毛の地で、トルコ政府も真面目に統治する気はなかった。では誰が実質支配していたのかというと、ペルシャ湾の海賊達である。丁度アラビアの砂漠を実質支配していたのが、ベドウインの盗賊だったのと同じである。と考えればカタールが今回のワールドカップ招致で、湯水のように金を使ったのは当たり前といえば当たり前。海賊にモラルを要求しても意味はない。海賊の目的は、如何に獲物を捕らえるかだけである。
 第一次大戦でオスマントルコは敗北し、中東ーアラビアは英仏に分割された。大戦後の国連決議でイギリスが手に入れたのが、エジプト、パレスチナ、アラビア、ヨルダン、イラクそれとアラビア半島のペルシャ湾岸である。手に入れたのは良いが、そこの住民がみんなど大人しい連中ばかりではない。特にペルシャ湾は海賊が横行し、イギリスはそれの取り締まりに手を焼いた。そこでイギリス政府が打った手が、海賊のボスたちを王様にしてやryから大人しくしてろ、というものだった。
 今度のワールドカップで明らかになったのは、やれ酒は飲んではいけない、女性は顔を出してはいけない、勝ってに写真を撮ってはいけない・・・人の写真を取るのはコーランが禁じる偶像崇拝に繋がるからご法度・・・とか、LGBTなどとんでもない、とかイスラム法に基づく規制だらけ。だったらカタール人は大変信心深いと思うだろうがとんでもない。そもそも元が海賊だ。
 原因は1975年のイランイスラム革命。カタールにとって突然、海の向こうにイスラム原理主義国家ができた。ほおっておくと原理主義が海を越えてやってきて、民衆にひろまる。するとこれまでの様に、チャランポランでやっていたのではこっちまで革命が起こる。これはイカン、なんとかせねば、と飛びついたのがイランに負けないような原理主義を導入すること。毒をもって毒を制する、というわけだ。この時期似たようなことをするイスラム国家が続出した。例えばアジアではマレーシアやインドネシアである。どっちもイスラムだが、世俗主義で酒を飲んだり、女性がスカーフをかぶらないのは当たり前。それが突然酒は禁止、女性はスカーフを被れということになった。
 カタール大会でもう一つ西欧側が非難したのが(2)人権問題。LGBT差別だけでなく、施設建設で6700人に及ぶ外国人労働者の死亡と、低賃金・カ国労働が明らかになり、これが先進国の非難を呼ぶことになった。しかしこれもカタールがもともと海賊国家だったことを踏まえれば不思議ではない。アラブだけでなく、海賊の主要ビジネスに奴隷売買がある。奴隷の産地は主に赤道アフリカや東南アジア、インド、更にはロシアも対象だった。買い手は古代では主にエジプトやメソポタミア諸国、ローマ。中世ではアラブ王国やペルシア、ビザンツ帝国。近世ではトルコやペルシア。そして仲買をやっていたのが主にアラビア人だったのである。近世以降ではそれにオランダ人やポルトガル人といった白人キリスト教徒も加わる。儲かるからだ。
 カタール人にとって、外国からの出稼ぎ労働者は奴隷のようなもの。奴隷が何人死のうが問題ではない。文化・伝統の違いだ、と云ってはばからないだろう。そういえば、同じアラブであるISは奴隷制の復活を主張していた。アラビア人はユダヤ人に負けない人種差別主義者なのである。
(22/11/26)

シュルンベルジュと聞いても何のことかと最初は思っていたが、アメリカ石油開発サービス大手企業だ。我々地質屋にとってはシュランベルジャーと云ったほうが馴染みがある。元はフランスの企業で19世紀末にフランス南部で石油が発見されて、事業を始めだした。20世紀に入ると、テキサス油田の発見でアメリカが石油産業の中心になったので、拠点をアメリカに移したのだろう。
 営業種目は主に電気探査を中心とした物理探査、電気検層を中心とした滞油層評価。といっても、シュランベルジャーの報告書一つで石油メジャーの株価や原油価格が左右されるから馬鹿には出来ない。話に聞いただけで嘘か本当か分からないが、油井掘削が完了するとシュランベルジャーの社員がヘリで飛んできて、魚雷のような検層ゾンデを抗井に放り込んでデータ取り。それだけで1万ドル(当時の為替レートなら200ン万円)と聞いた。無論それだけではなく、あとから分厚いレポートと請求書が送られ、油井としての評価が下される。シュランベルジャーのレポートなら権威があるから、業界への信頼度も高い。トータルではン千万円位になるだろう。石油会社としてはそれ位支払う価値はあるのだ。
 そのシュランベルジャー社がこのほどロシア勤務のロシア人従業員に対し、徴兵逃れの出国を禁止する措置を取ったため、従業員ともめているらしい。ロシア人従業員だけで9000人いるという。同社がロシア人従業員の国外移住を禁止した背景には、ロシア政府との契約がありそれを守っているだけだ、とする。
 しかしロシア政府が欧米企業との契約を無視・破壊した例はいくらでもある。石油・ガス関連だけでもサハリン2とか、ノルドストリーム2の妨害がある。それにも関わらずロシア政府との契約を盾にとって、従業員を危険にさらすということは、同社がロシア政産複合体に深く関与していることの証拠になる。これを市場がどう受け止めるか、今後の同社の経営、中でも株価にどう影響するのか興味がある。
 なお9000人のロシア人従業員は、シュランベルジャー社全従業員の10%程度と云われるから、同社の規模が如何に大きいか、或いは石油産業に於けるロシア人比率が如何に大きいか、ということが分かる。
(22/10/17)

ロシアが途上国向けに、原油価格を国際価格の30%オフで長期契約を結ぶと発表。如何にも途上国向けパフォーマンスだがどれほどの効果があるのか?NY価格を基準に考えると、今のWTI価格はバーレル95ドル前後で推移しているから、30%オフならバーレル65ドル前後となる。一方中国やインドには既にそれより遥かに安い価格で契約している。これだと途上国に不満が残り、もっと負けろという声が大きくなる。
 仮に途上国と契約できても、どうやって供給するのか?途上国の多くは自前の大型タンカーなど持っていない。ロシアもそうだ。現在対ロシア制裁で、ロシア産原油の輸送には、西側金融機関は保険契約が出来ない。つまり途上国は、ロシアと幾ら契約をしても、無事に手に入れられる保障はない。それともタンカーにはロシア海軍が護衛につくのだろうか?今の戦況では到底無理だ。なんとなく画にかいた餅になりそうだ。
 そんなことは他人の責任で、どうでもよいのだが、興味深いのはロシアは長期契約を条件としていること。長期とはどの程度を指すか分からないが、一般には年単位、10年とか20年、短くても最低5年ぐらいだ。ということは、プーチンは対ウクライナ戦を、当初の短期決戦ではなく、年単位の長期戦を考えているということだ。果たして今の岸田内閣はこの戦争をどのように捉えているのか、それがさっぱり見えてこない。サハリン2を見るように、まさか相変わらずそのうち直ぐに終わると、高をくくっているのではあるまいか?とにかく危機感に乏しいオボッチャン内閣だから。
(22/08/26) 


サハリン2がロシアに強奪されましたが、果たしてこれでロシアは上手くやって行けるでしょうか?ロシア経済の難点は、産業投資が特定分野に偏っていることである。その結果、一部の分野では世界のトップクラスの技術を誇るが他分野はお粗末で、まるで競争力を有しない。
 重視される分野は航空宇宙産業とか軍事産業。逆に自動車や電化製品などの民生品産業は軽視される。つまり基幹技術は重視されるが、周辺技術は軽視される。そんなものに金をかける必要はない、というわけだ。
 資源エネルギー産業特に石油・天然ガス分野ではどうなるか?この分野は大きく次の4段階に分かれる。
1)探鉱
2)掘削
3)生産
4)送油施設整備、輸送
 1)から3)は最も基礎的な分野で、無論これはロシアでも自前でできる。特に掘削については世界トップクラスといってよいだろう。一般に深度8000m以上のボーリングを超深度ボーリングというが、旧ソ連以来、ロシアは最も多い施工実績を持っている。因みに日本は、陸上部では未だ一本もない。
 ロシアにとって最大の弱点は4)設備の整備、輸送である。原油も天然ガスも高温の可燃性流体で圧力は高く、輸送する場合も高圧を要する。安物のパイプやネジでは簡単にガス漏れ、油漏れを起こし、それに着火すれば大事故だ。その証拠に旧い衛星写真では、シベリアで油送管火災と見られる火点が多数見られた。
 ロシアは輸送管や輸送システム技術に弱く、旧ソ連時代でもガス漏れ、油漏れを起こし、その量は全体の30%近くに及んだと云われる。これでは幾ら石油を汲みだしても経済効果はない。ロシア時代になって、欧米資本を導入して設備を更新した。それでロシアの資源・エネルギー産業がもちなおしたのである。ノルドストリーム2でも、メインの輸送管敷設工事はシェル石油、輸送管は日本製。
 従って、ロシアがサハリン2を強奪したところで、その効果があるのは、せいぜい2、3年程度。其の後は設備ががたがたになり、10年もたてばボロボロになるだろう。それは西側資本を導入して開発してきた他のガス田、油田にも同じようになる。これが経済制裁効果だ。
(22/07/04)

 プーチンが日本が権益を持つサハリン2をロシア企業に無償譲渡させる大統領令に署名。本人曰く、国際法に反する行為をした国への報復だ。どっちが国際法に違反しているか、誰が見ても分かるが、プーチンはそんなものは無視する。
 さてこのサハリン2、日本側企業は三井物産と三菱商事。後押ししたのはアベ晋三と鈴木宗男。14年ウラジオストック国際経済フォーラムで、プーチンと晋三が意気投合し「何処までも手をつないでいこう!」とやった結果が日ロ経済協力で、その一つがサハリン2。裏で動いたのが鈴木宗男ら外務省ロシアスクールとその一味。その挙句がこの有様だ。
 プーチンのこのやり方は19世紀の帝国主義、アメリカ合衆国が先住民の土地を取り上げていったやり方とそっくりなのである。おそらく18、19世紀のロシア帝国も、同じようなやり方で周辺に領土を広げていったのだろう。
 このような無法を防ぐにはどうすればよいか?まず大事なことはロシアの将来を考えることである。取り合えずの対策としては次の2案がある。
1)サハリン2から撤退する。ここで出た損失は損金として処理する。日本企業からは政府の奨めで投資したから損害が出た。補償してくれというクレームが付き、最悪訴訟だ。しかしこれは三井・三菱2社とアベ、鈴木の間でやってくれればそれでよい。要するに国民に迷惑を懸けるな、と云うことだ。但しいいところはみんなロシアに持っていかれる。
2)ロシアの命令を国際法違反とし、国際司法裁判所に日本側権利の継続を訴える。。つまりあきらめないわけだ。プーチンはこの決定で、日本に喧嘩を売って来たわけだ。喧嘩とは互いに相手がいなくては成り立たない。日本のような民主主義国家では、トップは幾らでも変われる。岸田が駄目なら別なのをもってくればよいだけだ。
 しかしロシアのような専制独裁国家はそうはいかない。独裁者がいなくなると、後継者争いという不毛の抗争が続き、次の独裁者が生まれるが、それは前任者からガラリと方針を変える。プーチン独裁はすでに20年を超えている。これはフルシチョフを凌ぎブレジネフに次ぐものだ。そしてプーチンだって何時までも生きているわけではない。せいぜい後2、3年。ヘタすれば年内かもしれない。そのあとどうなるかわからないが、これまでの経験則から言うと、強硬独裁者の次は自由化、国際派となる。それがチャンスである。慌てずチャンスを待つこと。そのためには、しぶとく日本の権益を主張し続けることである。
(22/07/01)

 4月に入ってから、原油価格がじわじわと下落しています。NY-WTIは04/05にバーレル100ドルを切って、今はやや下げ止まっている感はあるが95ドル前後。下がりだしたのはアメリカが備蓄の大量放出を決めたこと。
 何故なかなか下がり切れないかというと、OPEC 内部でもイラン、ベネズエラなど反米親ロ派諸国が増産に反対していること、湾岸諸国が未だロシアの勝利を信じ、うっかりアメリカのいうことを聞いて増産に踏み切れば、その後のロシアの報復を恐れていることだ。例えば、ロシアが原油天然ガスの大量放出をする、てなことだ。
 このOPECの日和見を黙って見ているのがバイデン。この中途半端政策が世の中を混乱させているのも事実。ペルシャ湾に空母一隻を派遣すれば、湾岸諸国などたちまちへなへなだ。同じことは既にクーデター後1年以上を過ぎるミャンマー状勢についても言える。ミャンマー国軍・・・といっても欧米のような国民軍ではない。”国軍”と自称する軍閥だ・・・によるクーデター直後に、ベンガル湾に空母を一隻派遣しておけば、たちまち国軍クーデターを抑え込めることができた。そうすることによって、中国・ロシアのミャンマー進出を防げたのだ。
(22/04/12)

 インドが対ロシア経済制裁不参加と国連ロシア非難決議に賛同しなかった見返りに、ロシアからの原油優先供給に成功。その価格、なんとバーレル35ドル。筆者は以前、インド・中国との取引価格は最低でもバーレル5〜60ドル位だろうと思っていたが、それ以上の値引きだ。つまり石油はバーレル35ドルでも採算がとれるのである。
 当然中国もこれに倣って、ロシアに対しバーレル35ドルを要求するだろう。さて困るのが中東諸国。インド、中国両国の中東原油輸入量は、日欧に匹敵するかそれ以上。その上得意が輸入先をロシアに振り向ければ、当然中東からの輸入量は減少する。又ロシアにとっては、これまでの主要輸出国だった欧州がロシア産原油輸入停止を打ち出している。そこで余った分をインド、中国に回せば良いだけだから問題はない。余るのは中東産原油だけだ。
 モノが余れば需要と供給の関係で、価格は当然下落する。価格が下がれば、産油国は従来の経済を維持するためには増産に踏み切らざるを得ない。そうすると更に価格は下がる。最悪バーレル35ドルまでだ。早速ニューヨークでは、100ドル割れ現象が起こっている。そもそも石油なんかはバーレル25ドル位でも十分儲かる商品なのだ。
 それがいつの間にかバーレル90ドルとか100ドルに化ける。その間のン10ドルが誰かの利権に化けるのである。サウジやOPEC各国は、それを国際投機筋の仕業とし、知らぬ顔を決め込んでいるが、実は自分自身その一味なのだ。ロシアではそれがオルガルヒの利権に、さらにはプーチン自身と彼を中心とするシロビキや産軍官複合体の利権となり、今回のウクライナ侵攻の原資となっているのだ。インド、中国の自己中心のロシア援助で、OPEC各国が増産に踏み切れば、インド、中国もロシアに頼らなくてもよいから、ロシアは内部経済を維持できなくなり、結局は戦争は終結に向かうだろう。戦争を始めるのも、終わらされるのも石油次第という20世紀型経済の再現だ。21世紀に入って20年たっても人類は全く進歩せず、退化を繰り返すという証拠。
(22/04/03)

 昨日インド・中国がロシア産原油購入に乗り出せば、原油価格は下落するだろう、と書きましたが、その通りになっています。昨日インドがEUに代わってロシア産原油を引き受けると発表しました。但し価格はこちらの希望通りという注釈付き。
 ではどの程度の価格をインドは希望するでしょうか?戦争が始まった当初、メドベージェフは「バーレル200ドルだ!」と能天気振りを発揮していました。これは冷戦時代のアナクロ思考。一時は170ドル台まで行ったが、その後ロシアが攻めあぐねるとじりじりと値を下げ、三週間たった今やっと100ドル台、更に値を下げる見込み。
 私はアメリカのシェールオイル価格位まで下げると、やっとインドとの交渉が始まるのではないかと見ています。従来シェールオイルの採算価格はバーレル7、80ドルとされていました。これが一つの目安となるでしょう。
 しかしその後の技術改良で、今やバーレル5.、60ドルでも採算が合うようになってきたといわれる。インドとしてはこの辺りまで叩くでしょう。プーチンはそれでもなりふり構わず、売りに出る。何故ならプーチンの頭にあるのは旧ソ連の復活。採算に合おうがなかろうが、金にさえなればよい。採算に拘るのは堕落した西欧資本主義的発想。大ロシア復活の前には経済原則は無視すべきだ。そうなると困るのはサウジ始め湾岸諸国。たちまち始まるのが石油の安売り合戦。日本はこれをチャンスと捉え、輸入量を増やし、備蓄を拡大すべきである。
(22/03/16)

 世界的なガソリン価格の高騰で、アメリカ主導で備蓄原油放出が実施されようとしています。日本もこれに追随する模様。原油価格が不自然に値上がりした場合、備蓄原油を市場に放出して価格を安定化させるのは、筆者が以前から主張してきたことだ。やっとバイデンもそれに気が付いたようだ。原油価格は単に市場の需給だけで決まるものではない。産油国、輸入国だけでなく石油ブローカーや様々な思惑が入り乱れ複雑に変化する。これを市場だけに委ねておくと、価格は暴走し、最も被害を受けるのは輸入国の消費者である。備蓄原油放出は輸入国側が持つ自己防衛の一手段である。
 但し今回の原油価格上昇は単に産油国のいやがらせではなく、先進国特にアメリカの責任が大きいと云わざるを得ない。このところのNY原油価格の推移を見てみると、19年はバーレル60〜75ドル前後・・・これだけでも十分高い・・・だったが、コロナ禍の20年に入ると急落し20年5月には最高で20ドル、最低はなんとー4.5ドル、平均10ドル台になった。
 ところがその後反転し、たちまち40ドル台を回復、あれよあれよの間に21年には70ドル台に付けた。石油と並んで価格を上げたのが株である。果たしてこの間アメリカの景気は本当に回復したのか?20年春にバイデン政権はコロナ対策で、個人や企業向け現金支給という大型経済対策を打ち出した。ところが企業も店も閉まっているから、政府から現金をもらっても使い道がない。その結果余った資金が株や原油市場に流れ込んだだけなのだ。同じ現象は日本でも起こっている。
 それでも日米が協調して放出するという噂が報道されると、途端に価格は下げた。但し放出だけでは駄目なのだ。放出量に見合っただけ、輸入を減らさなければ効果はない。日本は今7カ月分の備蓄がある。仮に毎月20%づつ放出していけば空になるのは35カ月後。約三年掛かる。その間に代替エネルギーへの転換、水素エンジンの実用化などの技術開発を進めればよい。産油国だって自国の経済を考えれば、何年も減産を続けられるわけがない。一年も続けば音を上げる。その時には原油価格は十分下がっているから輸入を再開し、取り崩し分を補填しておけばよいだけの話である。
 日米が毎年20%輸入を減らせば、ショックは産油国のほうが大きい。原油価格はツルベのように下がる。最も被害が大きいのはロシア。原油価格がバーレル40ドルまでさがると、ロシア経済は危機的状態、30ドルを割れば破綻だ。プーチンはアウトである。もっともこの作戦の足を引っ張るのもいる。それは中国とヨーロッパ、中でもドイツだ。彼らがロシアに救援の手を差し伸べれば又プーチンとその亡霊達は復活する。このように原油というものは戦略的に使うものだ。そのためには、自国の資源防衛を確立しておかなければならない。
(21/11/21)

「金を抱いたままあの世に行く」というのは、ケチなユダヤ商人に対する西欧人あるいは因業な大家に対する長屋の貧乏住人のあてこすり。これは金の使い方を分からない小心者への皮肉。今当にそれをやっているのが今の日本自民党政権。
 昨今の天然ガス・原油価格高騰に危機感を抱いて・・当然衆院選に利用するため・・・政府に産油国へ原油増産を促すよう指示したという。しかしアメリカ大統領じゃあるまいし、日本のそれも政権基盤が十分とは云えない首相のお願いを、海千山千の産油国がはいそうですかと聞くとも思われない。
 ポイントは日本の資源エネルギー政策である。現在我が国では官民合わせて7カ月の石油備蓄があるはずだ。筆者はこれだけでは足りず、9カ月出来れば12カ月の備蓄をすべきと常々主張している。資源備蓄の要点は、単に溜めこんでいるだけでなくそれを如何に戦略的に用いるか、である。
 この備蓄を武器に産油国と渡り合えば、日本に有利な条件で増産を勝ち取ることができる。例えば増産に応じなければ、向う三カ月の原油天然ガスの購入を延期する。無論支払いもストップだとか、産油国側には高額の関税をかけるとかである。他にもいろいろ手はあるだろう。せっかく大事な武器を持っているのだから、それを最大限に使わなくてはならない。それを使わずに相手の言うままに金を出したり、首を吊ったりすることこそ、冒頭に挙げたケチなユダヤ人や長屋の因業大家である。
 一番みっともないのはヨーロッパである。彼らは自分達が持っている資産に見向きもせず、他人の財産ばっかりを当てにしている。それは19世紀、自国民の能力に気づかずアジア・アフリカへ安い労働力と資源を求めて植民地を広げたのとよく似ている。結局は現地人の反発を買い、おまけに採算が取れずに追い返されただけ。
 天然ガスが問題となっているが、これに代わる資源がシェールガスである。天然ガスと石油、シェールガスと石炭には奇妙な関係がある。天然ガスは石油との共存性が高いが、石炭が取れるところには産出しない。シェールガスは逆に石油地帯には産出しないが石炭地帯に産出する。最初にアメリカでシェールガスが開発されたのは、中西部の石炭地帯。石油地帯のテキサスでは開発されていない。
 これをヨーロッパに当てはめると、ドイツ、ポーランド、スペイン、ウエールズなどかつて石炭で栄えた地域はシェールガス埋蔵の可能性が高い。これを開発できれば、プーチンの脅しにペコペコする必要はないのだ。問題はこれらの地域で、プーチン以上に強い環境主義者達・・・「緑の党」・・・だ。
(21/10/18)

 オマーン沖で日本企業所有のタンカーが何者かに襲われ、乗員2名が死亡。船舶は国際法上治外法権で、船籍国又は所有国の領土の延長と見なされる。攻撃者が只の海賊なら、海賊として処罰すればよい。19世紀までなら、捕まれば即決で吊るし首だ。
 報道では犯人はイラン人とも云われる。これが革命防衛隊などの軍事組織であれば、他国領土への攻撃、侵略行為になる。このタンカーと日本との関係がデリケートだが、場合によってはイランと日本の外交問題、更には戦争に発展しかねない。
 実態はそんな深刻なものではなく、先般のイラン大統領選挙で強硬派大統領が誕生した。これに舞い上がった過激派・・・只の目立ちたがり屋・・・が、自分の存在価値を高めるため先走った感じはする。しかし日本としてもイラン制裁を強化せざるを得なくなる。
 なおこのような目立ちたがり屋が多いのが中国。今度決った駐国連大使もその一人の戦狼外交官。対米強硬派同士で、中国/イラン関係は深まるだろう。
(21/07/31)

 このほどエジプト政府がスエズ運河の拡幅改良を発表した。エヴァギブン号事件に懲りたのだろう。保険会社や船会社から相当文句が出たのに間違いない。おりしも北極海航路や第二パナマ運河などライバルも出現している。唯一の東西交易路だ、なんて呑気に構えている場合ではないのだ。
 計画では幅40m、深さ10mを拡張する。これぐらいあれば大型船二隻が離合可能になるので国際競争力は増す。さてこの工事をどの国が受注するかだが、中国が名乗りを出せば事はややこしくなる。日英仏でJVを組む方法もあるが、その時はエジプト政府に足元を見られ、相当叩かれることは覚悟しなければならない。
 さてこのような国際航路の安全性だが、よく登場するのがホルムズ海峡である。しかしこの海峡問題は相当インチキ性があるので、あまり信用できない。ホルムズ海峡と並んで現れてきたのが台湾海峡問題である。ある記事によれば、台湾海峡が有事になって海峡交通が妨げられ、バシー海峡経由になると日本までの運航距離が長くなってタンカーの燃料費が上がり、日本の石油価格が上がるという論法である。
 しかし少し地図を見れば分かるが、日本までの距離は台湾海峡経由とバシー海峡経由とでは、むしろバシー海峡経由の方が短い。更に中国海警法の施行により、台湾海峡経由では何時中国側に拿捕されるか分からない。日本船でこんな危ない航路を執る船はまずいない。もし取れば保険はバカ高くなるだけでなく、引き受ける会社もないだろう。やるとすれば韓国とか北朝鮮船だろう。
 むしろ危ないのは南シナ海である。南シナ海もうっかりすると中国海警に拿捕されるおそれがある。これを避けるならフィリピン東方からロンボク海峡経由が考えられる。これならマラッカ海峡の海賊も避けられる。距離は長くなるが燃費だけ考えれば、様々な技術開発でクリアー出来る。例えば貿易風を利用した風力船(帆船)の開発だ。そもそも風力発電そのものが中世オランダやスペインで発達した風車の応用。それと同じで中近世の帆船を現代に復活させれば環境対策にも大きく貢献する。
 ピンチはチャンスである。スエズ運河危機を利用して、海上交通テクノロジーの大幅パラダイム転換をめざすべきである。
(21/05/18)

 スエズ運河で立ち往生のエヴァギヴン号。この原因は何でしょうか?一般に事故原因には素因と誘因があります。誘因としては砂嵐や突風、操船ミスなどが挙げられていますが、そういうことがあっても素因が無ければ事故には発展しない。素因は何かと云うと、ズバリ運河の河積が運航船舶容積に対し不足していたことです。
 河積が十分あって、船底と河床との間に余裕があれば、仮に船首・船尾が運河両岸と衝突しても、タグボートで引くなり押すなりすれば、船体を元に戻せる。しかし河床が浅くなっていれば、船底が河床に引っかかって動かなくなる。極めて単純な理屈です。
 河積を左右する大きな要因は河床高です。スエズ運河は両岸が砂漠だから、砂嵐による砂の堆積は無視出来ない。しかも最近の気候変動=温暖化で砂嵐の発生は増加する。これが河床変動をもたらす。つまり運河の河床高は常時変動しており、何年か前の航路図など当てにならないと思うべきである。
 運河の河積維持は管理者であるエジプト政府の役割である。エジプト政府は常時運河の河床高を調査し、不足しておれば浚渫により河積を維持するとか、その情報を通行船舶に提示するとか、更に運航に支障が出そうな船には運航を規制するとかの対策が必要である。
又、効率一遍道で、航路事情を無視して巨大船舶の建造を進めるブローカーや造船会社の責任も素因を作る要因の一つとなる。なんとなく、今回の事故の原因は、これまでのエジプト政府と造船資本の無責任が、その素因となっているようだ。
 なお、昨日やっと積み荷降ろしが始まったらしいが、遅い!
(21/03/29)

 今スエズ運河で日本船籍コンテナー船が座礁し、にっちもさっちも行かなくなっている。原因は突風と砂嵐で航路を見失ったためらしい。問題はいかにしてこの船を離礁させるかだが方法はないらしい。この問題は1、如何にして船を離礁させるかと、2、今後の対策の二つに分けて考える必要がある。
1、如何にして船を離礁させるか;ネット報道を見ると、座礁した船の船尾部をバックホウで一所懸命掘っている映像があったが、こんなことをしても掘った分船体が沈むだけだから何にもならない。
 座礁船の離岸対策では、1)満潮を待つ、2)積み荷を減らして船体を浮かせる、というのが常道である。スエズ運河でも水位の干満はあるはずだが、未だに浮かないところを見ると1)は効果がなかったようだ。2)一番簡単な方法は積み荷のコンテナーを捨てることである。荷主から損害賠償を求められるがそれは保険で済ませればよい。燃料投棄は後々の環境対策が高くつくので止めた方が良い。問題はどうやって積み荷を捨てるかだ。この船にはデリックが付いていないので、単独では捨てられない。何処かからクレーン船でも回航しなくてはならない。
2、今後どうするか;衛星写真から見ると、座礁地点での運河幅は、現在運航している船舶の規模に対し狭すぎる感がある。また、両岸も護岸はなく、只の土手だ。つまりスエズはパナマのようなテクノロジーを駆使した構造物ではなく、只の素掘りの溝なのである。
 そもそもサハラからアラビア半島にかけての砂漠地帯は砂嵐は当たり前で、河床は常に変動する。従って運河管理者(=エジプト政府)は常に運河の現状を把握し、それを運航会社に伝えるべきである。
 方法は簡単で、気象衛星を見ていれば、どこで砂嵐が発生して、運河の何処に砂が溜まっているかは直ぐに分かる。河床変動の様子はエアガンを使ったサイスミックプロファイラーを使えば、河床断面がリアルタイムで画像化出来る。三次元画像にするのも今では簡単だ。その情報をリアルタイムで船舶に伝えればそれで済む。
 もう一つは運河の拡幅、護岸・河床構造の改修である。これには物凄い金が懸かるとエジプト政府は主張するだろう。そして各国に資金援助を申し出るに違いない。しかし実はそれ以上の金を各国の船会社から巻き上げているのだ。1年分の通行料だけで運河の拡幅位は出来るはずだ。もしが出来ないというなら、それこそ北極海航路やアフリカ周りを考えなくてはならない。つまり競争原理を持ちこまなくてはならない。
(21/03/26)

 トランプがノーベル平和賞狙いでイスラエルとアラブ諸国との関係改善に躍起。その心はノーベル賞で11月大統領選を有利に持っていこうというもの。もしノルウエー政府がこれを無視すれば、トランプはノーベル賞そのものに毒づくだろう。今トランプが取り組んでいるのはイスラエルと湾岸諸国との関係改善である。では湾岸諸国とはなにか?というと、元をただせばペルシャ湾を荒らしまわっていた海賊の子孫である。アラブの王様というのは実は海賊の親玉。シンドバッドもこの一人。
 第一次大戦でこの地域を委任統治したイギリスは、海賊の跳梁に手を焼いて、親玉を王様にしてやる代わりに大人しくしてくれと云っただけなのだ。序にサウジアラビア王家は砂漠の盗賊の親玉の子孫。「アラジンと40人の盗賊」の盗賊だ。それぞれムハンマドとの血のつながりを自慢するが、そんなもの嘘に決まっている。
 さてこの政策の結果どういうことが予測されるかというと、今まで平穏だった湾岸諸国がテロの温床になる可能性である。今のところパレスチナ人労働者の受け皿になっている湾岸諸国が、従来のイスラエルの要求に従って態度を変えれば、当然社会の不安定化をもたらす。中東世界では社会の不安定化はテロの発生源になる。
 更に・・・筆者はこれまでこんなもの夢物語と無視してきた・・・ホルムズ海峡問題が現実化する可能性がある。ホルムズ海峡問題が話題になりだしたのは1980年に始まったイラン/イラク戦争。アラビア半島とイランが狭い海峡で接するホルムズ海域でイランが海峡を封鎖すれば世界への中央原油供給がストップしてしまう。特に石油消費の大部分を湾岸地域の石油に依存している我が国にとって重大事。こんなことを言い出したのが誰かは知らないが、提灯もって膨らませたのが、関西では竹村健一という只の英語遣い。関東ではもの知らずで有名な田原総一郎という馬鹿のマスコミ芸者。こういう馬鹿二人が「ホルムズ海峡危機」というフェイクをまき散らしていたのである。
 実際は戦争開始から一時は原油価格は上がった・・第二次オイルショック・・・が、その内上りも下がりもせず、8年目か9年目には上がるどころか下がりだした。さて何故かと考えて筆者が出した結論は「イランとイラクが戦争している限り原油価格は下がっても上がることはない」というものである。翌年(開戦10年目)、テレビのインタビューでキッシンジャーが同じことを言っていた。事態はその通りで、戦争は有耶無耶の内に終わてしまった。
 この時日本でホルムズ海峡危機を煽った竹村健一の友人の一人に小池百合子の父親がいた。彼は石油ブローカーとして当然中東原油には深いかかわりを持って居たはずだ。危機を煽って原油価格が上がればぼろ儲け。随分稼いだのだろうなあ。娘が機を見るに敏なのは父親譲りだろう。
 湾岸諸国とイスラエルの接近はこの地域の不安定化をもたらし、今度こそ本物の石油危機が訪れるかもしれない。その時に備えて我が国が執るべき措置は原油備蓄の増大である。ではその石油を何処に備蓄するかという問題だが、筆者は東京湾とか伊勢湾の海底に備蓄用沈埋トンネルを作ることを考えたが、これは直ぐには間に合わない。ところが最近とんでもないところから有望地が見つかった。
 それは先日クレーン車が倒壊した横浜の旧米軍ガソリンタンクである。これがある場所は今は国有地だから用地買収や補償の必要はない。放置されて半世紀近くたっているから老朽化が激しく安定性に問題があるという人がいるだろうが、そんな人はトンネルを知らない。方式はNATMで、ロックボルトで壁面を補強し、防水シート漏水を防ぐ。貯油面を周囲の地下水面より下に保てば周囲に油が漏れることはない。二次覆工コンクリートは必要ではない。やってみますかあ?
(20/09/19)

 コロナ騒ぎで世界経済の先が見通せない中、実はWTI原油価格も、ニューヨークダウ平均も、そして日経平均もコロナ前・・・概ね三月中旬・・・レベルまでもどしています。但しこれが実体経済を反映していないことは顕か。幾ら原油価格が上昇しても、その裏付けとなる経済指標がさっぱりだからだ。これは各国政府の前例のないなりふり構わぬ経済政策で、市場には有り余る資金が溢れかえっている。これが将来どうなるか、というよりいずれ最後は政府が買い取ってくれるだろうという安心感で、コロナの所為で行き場をなくした資金が市場になだれ込んでいるのである。
 今世界では経済優先でコロナ規制を緩める傾向がつよくなっている。つまり気分が緩んできている。それと同じで、市場でも資金の流れがゆるんできている。
 ところがコロナ規制を緩めると途端に始まってきたのが第二次感染。これは中国や韓国で顕著になってきている。経済政策も同じで政府が大型対策をやると云えば、たちまち財布の紐が緩んでミニバブル状態だ。
 では今の経済政策が続けば将来の世界経済はどうなるでしょうか?一番懸念されるのはドルの信用です。トランプは大統領選を睨んで3兆ドルの経済対策を発表した。この結果、世界中にドルが溢れることになります。このドルを上手く吸収出来ればよいが、出来なければ何処かにバブルを作る。一旦できたバブルは必ず潰れる。その結果が第二のリーマンショックだ。それが何時何処でどういう形で起こるかは未だ分かりませんが、必ず来ることは間違いない。皆さん、それに備えて10万円をためておきましょう。
(20/06/04)

 ニューヨーク原油価格が急落を始めたのは今年一月13日。丁度中国での新型肺炎が噂されだしたころだ。タイミングとして今のコロナウイルスが直接の引き金になったとは考えられない。何故ならアメリカトランプ政権は3月になるまでコロナウイルスを無視し続けてきたのだから。
 株や金と違って、石油を始め、商品先物取引には一般人は直接参入できない。何故なら、例えば三カ月先物なら、買いを入れて三か月内に決済できなければ現物を引き取らなければならないからである。一般市民がそんな貯蔵施設を持っているわけがない。だからブローカーが間に入って現物取引を仲介する。
 これに黙っていなかったのが中国金融筋。原油売買権の小売りを始めた。三年来の米中貿易摩擦で中国には外貨が余っている。ドルを持った個人や中小投資家が一斉に石油市場に参入した。おまけにこれを中国四大国営銀行が保障していたのである。これまるっきりリーマンショックを作ったサブプライムローンとそっくり構図なのである。
 さて今年に入って原油価格が下がりだした。この原因は原油市場を独占しようというサウジの思惑・・・サウジはバーレル10ドルでも採算が合うと云われる・・・と、原油価格下落でイランを潰そうというトランプ/イスラエル思惑が一致して、アメリカは価格下落を黙認した。
 これに目を着けた国際プロ投機集団が空売りを仕掛けた。慌てた中国筋がそれにつられて売りに入る。おかげで原油価格は下がる一方。更にそれに追い打ちを掛けたのがコロナ騒動というわけで、ついにマイナス価格(20/04/21)となった。如何に人間は過去から何も学ばないかを示す好例。余った中国オイルマネーは何処へ行くか?当たり前だがゴールドに向かう。原油価格下落に反比例して金価格は上がる一方。
 それだけなら笑い話だが、話はそれだけでは済まない。通常NY-WTIは四カ月先物なので、1月オプションの決済は五月末までになる。それまで転売が済んでおればよいが、これまでの原油価格を見ていると、到底そうには見えない。ずばり、今月末原油決済を巡ってアメリカ発価格崩壊が始まる。これにコロナ禍が加わるから、世界経済は目を当てられない状態になる。そうなってはたまらんから、多分中国政府が原油価格維持に介入する可能性がある。そうなれば当にリーマンショックの再現だ。
(20/05/04)

 昨日NY-WTI原油価格が一時的にせよマイナスを記録。こんなことは前代未聞。要するに生産者が金を出すから原油を引き取ってくれ、というわけだ*。原因はアメリカ国内での原油貯蔵施設が満杯で、貯蔵する場所がなくなったからである。これは翻って考えると、市場がアメリカ政府=トランプ経済対策を信用していないということである。コロナ事件が始まって以来、トランプの発言が二転三転するため、市場がトランプを見放したと云えるかもしれない。無論これは秋の大統領選挙にも跳ね返る。トランプが逆転を狙ってトンデモ政策を出せば、支持者には請けても市場がどう反応するか分からない。今の原油価格を見れば誰でもわかることだ。
 一方日経平均も元気がない。アベ政権は空前の経済対策というが、市場の反応はさっぱり。理由は@立ち上がりが遅かったこと。A方針がふらふらし続けたこと。何よりもBアベ自身がよめのアッキーの行動を自粛させられなかったこと、である。
*今こそ日本も原油輸入を増大すべきだ、といたいところだが、我が国自身石油がだぶついて貯蔵できなってきている。その理由の一つに備蓄基地建設用地確保がある。現在日本には久慈、菊間、串木野三か所の陸上備蓄基地がある。そのどれも陸上に大断面トンネルを掘ってそれを備蓄タンクに転用するものである。
 そのどれも用地の確保、それと建設費が高くついて、こんなもの作れるわけがない。そこで筆者が提案するのが海底沈埋方式備蓄基地の建設である。概ね東京、伊勢、大阪湾の中心部に数ha位の規模で沈埋管を複数設置する。これなら用地費は要らない。漁業組合という海賊が現れるが、そんなも札束で追い散らす。どれも名弱地盤だが・・・軟弱地盤だからこそ沈埋方式をつかうのである・・・これは技術的には東京湾横断道路などで経験済み。何の問題もない。
(20/04/21)

 今は原油価格は低迷していますがコロナ騒ぎが済めば再び原油バブルがやってくるのは当然。そこで筆者が昔から云っている石油備蓄大幅アップ・・・・少なくとも12カ月以上・・・が重要かつ可能になってきました。しかし国内原油貯蔵施設は満タン状態。東電福島の汚染水タンクが空になれば有難いが、そんなの何時の事やらわからない。これまでも石油備蓄基地は作られていますが、従来の石油備蓄基地は海に隣接する山地に大断面空洞を掘って、その中に水封式で原油を貯蔵するものである。これだとまず工事費が大変で時間もかかる。なにより用地買収の手間が大きい。
 筆者のアイデアはこれを沈埋トンネル方式でやることだ。まず海底に沈埋管・・・管と云っても直径が20〜30mぐらい・・・を設置し、それを貯蔵タンクとする。これなら用地買収の手間は要らない。無論漁業組合という海賊がまとわりついてくるが、それは札束で追い払う。技術的課題は幾つかあるが、それらはこれまでの土木技術や石油掘削技術を使えば、全てクリアーできる。ノープロブレムである。候補地としては東京湾、伊勢湾、大阪湾のど真ん中あたり。やるなら原油価格が安い今の内だ。
(20/04/16)

 このところの原油安について財務大臣の麻生は「原油安は日本経済にとってプラスは当たりまえだ」と、大声を張り上げた。その前には国会での野党の森友学園関連質問に対し「・・もっとWTIとか大きい質問を持ってこい」などと的外れなことをいっている。WTIなど今やガタガタだ。こんなことだからあれの頭は小学生並みと笑われるのである。適度の原油安が有難いのは当たりまえ。そんなことは中学生でも分かる。しかしその恩恵に浴するのは電力業界とか、流通業界とか一部だけ。
 その業界もこれまでの赤字解消で原油安で得た利益を食いつぶすから、国内景気に与える影響は少なくなる。また過度の原油安は円高を招くから輸出産業へのマイナスが大きい。つまり麻生の頭は小学生レベルの一次方程式は分かるが、中学生レベルの二次方程式は分からないということなのだ。
 しかしこの程度の話は経済学者や経済評論家に任せておけばよい。政治家はこの現象を次のどの政策に生かすか、あるいは新しい政策を作るかを考えなくてはならないのである。
 筆者なら、この原油安時に産油国(主にサウジ)に現価格でオプションを掛け、これを石油備蓄に回す。この時東電福島第一の汚染水タンクが空になっておれば、これを備蓄タンクに使えるのだが、今更遅い*。しかし少なくとも、電力会社や石油会社に原油輸入を促進させることはできる。それが政治だ。そんなことも考えつかないから、麻生アホ太郎、所詮筑豊の炭坑屋クズレ呼ばわりされるのである。
*これを書いている途中で抜群の備蓄施設建設方法を思いついた。これはトリチウム保管にも」使えるかもしれない。
(20/03/27)

 ニューヨークでは原油安に加え株安が進行し、遂に昨日NYダウは24000ドル割れ。トランプもびくびくだ。これはコロナウイルス感染が北米でも確認されたことに加え、サウジが自分勝手に石油増産を始めて価格破壊を進めたこと、という外的要因があるが、一方三月は第一四半期の決算を控え、投資家が利益確定売りを進めて、それが株安に拍車を掛けたと考えられる。
 現在の投資活動はかつてのような個人投資家中心ではなく、ヘッジファンドのような機関投資家が大部分を占める。彼らは決算ごとに出資者に配当を出さなければならない。だからこういう経済危機の折には、所有株の過剰売りが発生するのである。いうならば、今回の異常株安はコロナや石油価格のような外的要因と、自由主義経済システムとの相互干渉で増幅されたと云える。
 さてこの現象、マルクス流に言えば、独占資本主義と大衆主義との相互矛盾となるだろう。これを現代経済学者はどう説明するだろうか?説明出来てもせいぜい数年後。その時には経済は別のパラダイムに入っている。結論は現代の説明経済学は何の役にも立たないということだ。
(20/03/10)

 グランドプリンセス号での新型ウイルス感染者発生で、とうとうニューヨーク原油価格は遂にバーレル30ドル割れ。こんなことは確かにリーマンショック以来だ。リーマンの時は犯人ははっきりわかっていたし、別に一般市民までが巻き添え食う心配もなかった。しかし今回は目に見えないウイルスが敵で、どうすれば退治できるか、それも分からない。
 この騒ぎで各国が入国規制に乗り出せば、クルーズビジネスだけでなくあらゆる流通に影響を及ぼす。これがますます原油価格下落に拍車を掛ける。ではどうすれ良いか?一つは戦争を仕掛けることです。リーマンの時は年末に向かってバーレル20ドルを割るかどうかだったのが、08/12/31いきなりイスラエルがガザを空爆。たちまちWTIは反転1月上旬には倍まで跳ね上がり、3月頃にはリーマン前の水準まで戻した。この背景に石油メジャーの思惑があるのは明らか。果たして今回もこんな手が使えるのか?使うとすれば何処が相手か?大統領選挙戦も近づいているので、とんでもない策がでてくるかもしれない。
 それはともかく今回の騒動のツケは誰が払うのか?それはやっぱり中国政府だろう、というのは普通の見方。しかしリーマン騒動の本当の責任者はアメリカ政府、中でもブッシュ大統領だ。しかしアメリカもブッシュも知らぬ顔で押し通した。今回中国はアメリカに倣って知らぬ顔の半兵衛を気取るだろう。
(20/03/09)

 本日ニューヨーク原油価格は前日よりバーレル4ドル安の41.0ドル。ダウも下がって21000ドル台。理由はカリフォルニア沖のグランドプリンセス号で、新型コロナウイルス感染者が見つかったこと。
 ダイヤモンドプリンセスと云い、プリンセスにはケチが付き物だ。問題はそれだけではない。おそらく今回の騒動で、大型クルーズビジネスそのものの先行きが不透明になる。現在でも世界には有り余るほどのマネーが蠢いている。クルーズビジネスがダメになったら、別の市場を求め、そこでまた新たなバブルを作るだろう。そこに新たなウイルスとか細菌が混じってこない保障はない。
(20/03/07)

 ニューヨークでの原油価格の推移を見ると、今年に入って三度の大きな値下がり時があります。まず最初が1/05〜06の62.9から59.6ドル、次に01/22から01./23にかけての60.96から56.04ドルへの下落、そして今回の02/21から02/27の53.3から45.61ドルへの下落です。最初の下落は中国から米国へ300回に渉る説明時期と一致する。二番目は武漢封鎖に伴うもの。そしてもっとも深刻なものは三番目です。下落幅も大きく時間も長い。このまま落ち着くかどうかも分からない。同時に株価も下落している。そしてこの原因として、国際市場から懸念されているものが日本、特にアベ政権の対応の遅さ、生ぬるさへの不信感・・・Too little Too late・・・です。
 ただし金は上がっている。いざというときの金、という伝説は未だ残っている。上がっているのは金とマスクだけだ。誰が買って知るのでしょうか?当たり前でしょうが中国人です。中国人の一部はしっかり儲けているのです。
 なお今の内に株や原油を買い占めておけばボロ儲けできる。早ければ5月始め、遅くとも7月だ。日本の電力会社も今の内原油を買っておけばよいのだ。そのためには普段から原油備蓄基地の確保と整備が必要なのは言うまでもない。今回日本政府が慌てて緊急対策会議を開き泥縄対策案を出しましたが、それはこういう市場の動きに尻を叩かれただけです。お粗末としかいいようがない。
(20/02/28)

 さてイランの対米報復、殆ど何にもなし。これを昨日某民放BS番組でMCが「カブキゲーム」じゃないですか、と云ったら、ゲストの評論家はいやそうじゃない、と否定。しかし我々無責任な野次馬の眼では、どう見ても八百長カブキゲームなのである。本人同士が「カブキ」をやろうが、こっちには知ったことではないが、その挙句がくだらない危機アオリ。
 中東で何か起こると必ず出てくるデマが、石油危機。日本の石油輸入は大部分を中東に頼っている・・90%だというデマをテレビで流す自民党の元大臣もいる。ホルムズ海峡が封鎖されると石油が日本にこなくなり、大変なことになるというのは、かつて80年代イランーイラク戦争の時に、竹村健一というアホ狼ロートルが流したデマだった。現実には石油価格は上がるどころか下がる一方だった。このメカイズムが分からないのが多い。皆さん分かりますかあ?
 イラク戦争の時に原油価格はべら棒な値上がりをした。しかしリーマンショックでこれまたべら棒な値下がりをした。これは前世紀のクリントン政権が大増産したドルが有り余って原油市場に流入したバブルに過ぎなかった。別に中東原油の輸入が減ったからではないのである。
 さて中東原油問題が始まったのは今からおおよそ45年前。45年も経てばいい加減根本的な解決策がってしかるべきだ。しかし何か事があるとわあわあ騒ぐのは、これまで何もしてこなかったか、騒ぎを起こして一儲けをたくらんでいるかのどっちかである。今回のアラビア海自衛艦派遣について、防衛大臣の河野太郎は、世界の資源供給の90%はこの海域に頼っていると、金切り声を出して叫んでいたが、自分の無知・アホさを暴露しただけであr。日本の場合はその両者がある。マスコミはその両方にだまされているだけだ。
 今回のイラン騒動でも原油価格値上がりを叫ぶアホも大勢いましたが現実はどうか?ソレイマニ暗殺までのNY-WTI価格は概ね57ドル/バーレルだった。イランによるミサイル攻撃後一時64ドル前後まで上昇したが、それから一日経てば60ドルまで下落、今は59ドル台前半だ。その内元のレートに戻るでしょう。
 それは何故か?これには二つの理由がある。一つは表向きの石油需給バランスである。これまでの中東石油輸入はアメリカ、EU、日本の三者が最大のお得意さんだった。しかしある時期からこの構図に変化が出始めた。一つはEUで、エネルギー転換が速い。最大はドイツで今やエネルギーの7割りを自然エネルギーで賄おうという勢い。そのきっかけが日本の福島原発事故だった。次はアメリカでオバマ時代にシェールガス・オイル開発に成功して今や中東原油など当てにしなくてもよくなった。つまり世界の全体経済から見れば、中東石油が持つ比重は昔に比べ遥かに低下している。これに律儀に付き合う必要はないのである。ところが一番ダメなのが日本で、未だに中東原油、中東原油とナントカの一つ覚えみたい叫ばなくてはならない。50年近くも何をやっていたんだ、といいたい
 もう一つ重要な要因は今年秋のアメリカ大統領選である。昨年の中東情勢を見ると、秋にペルシャ湾で日本のタンカーが襲撃された。その後サウジの石油施設攻撃があった。そして今回のイラン騒動である。。その度に原油価格は7ドル/バーレル前後あげ、そしてすぐに下がる。この過程でぼろ儲けしたのがいるはずだ。その儲けの大部分がトランプ選挙資金に化けていたとすれば、謎は解けるのである。
 現在公式には日本には7カ月分の石油備蓄があるはずだ。これは外部から石油は一滴も入ってこなくなっても、現在の石油消費量を7カ月は賄えるという数字である。これに日本人得意の省エネや”もったない精神”を生かせば、1.5〜2年ぐらいは持ちこたえられる。
 筆者が以前から何度も主張しているように、(1)石油備蓄量を今の7カ月から9〜12カ月まで増加する。(2)石油供給源の多角化を進める、(3)大体エネルギーの開発をすすSめる。
 これをやっておけば、中東原油など”一滴も入ってこなくても”大丈夫なのだ。そしてそれを実現するのが政治である。トランプペコペコだけが能ではない。
(20/01/11)

 イランがペルシャ湾北部で大規模油田を発見と発表。場所から見てそういう油田があっても不思議ではない地域である。しかし原油価格に大きな動きは見られずバーレル57ドル前後で推移。イランは欧米の経済制裁を受けているから石油を採掘しても輸出出来ない。だから市場価格には影響しない、というのは評論家的見方。きである。経済制裁だって何時まで続くか分からない。来年のアメリカ大統領選結果では制裁解除もないわけではない。それだけでなく、現在でもロシアや中国による闇取引がある。これは東シナ海での北朝鮮瀬取りよりはるかに大規模に行われていると考えるべきである。 
 石油始め商品価格は将来の目論見で動く。石油は世界の政治・経済情勢に敏感に反応する商品である。逆に政治・経済に大きな動きがあるにも拘わらず、価格が動かない場合は背景に変化があるということだ。
 現在世界の石油はむしろだぶつき気味である。その原因は第一に米中貿易戦争で中国景気が悪化していること、ヨーロッパでの再生エネルギーへの転換が進んでいることなどが挙げられるが、中でも中国経済減速の影響は大きい。専門家の見方では、中国GDPの伸びは今年の6%から更に5%台に落ち込むだろうと云われる。これでは原油価格が上がる見込みは当面ない。
 にもかかわらず、日本の経産省や関電は原油価格高騰を理由に原発を進める。関電は2000年頃に将来の原油価格高騰を睨んで、サウジと当時の価格で40年間の長期契約を結んだ。当時は確かバーレル70〜80ドルだったはずだ。それが今や6割りぐらいに下がった。アラビア人は大喜びだが、関電契約者である我々関西人は大迷惑。要するに関電がアラビア人に騙されただけだ。如何に関電経営者が愚かで無能であるかがよく分かる。こんなことだから高浜のエムさん如きにいい様に振り回されるのだ。所詮田舎会社ということ。 
 なお、このまま価格低迷が続けば世界同時不況の可能性もある。これを避けるには、まずアメリカが保護主義政策を改めること、中国が経済政策の透明化をはかることである。しかしそのどれも両国指導者が自分の権力維持を最優先に考えているため、簡単に実現は難しいだろう。
(19/11/12)

 紅海ジッダ沖でイラン籍タンカーが爆発事故(ミサイル攻撃とも云われるが真相は不明)を起こすと、とたんにニューヨークでは原油価格がバーレル1ドル強跳ね上がった。ドバイや北海ブレントでは数ドルレベルになる。値上がり率では大したことはないが、量が大きいと馬鹿にならない。多分これでぼろもうけしたのが随分いるはずだ。
 このように本来定常的であるべき商品価格が何らかの理由で大きく変動することがある。価格変動は資金移動を意味するから。これに目を着ければこれをチャンスにマネーを稼げることになる。無論それだけ損するのもいるわけだ。このような短期的価格変動に着目した経済学を微分経済学という。元々はアメリカのMITやプリンストン、イギリスのロンドン大学の秀才数学者が始めたもの。彼らは株価変動を使って株価の摩訶不思議な予測式を立てた。但し殆ど当たったためしはない。
 京都大学は来年の後期入試から、文系でも数Uレベルの数学を科すとした。これは従来型の思弁的経済学では現代経済学の世界レベルに追いついていけないと悟ったからだろう。それでも世界水準からは20年は遅れている。京大でこれだから他は推して知るべしだ。
(19/10/12)

 原油価格はワタクシが云った通り、既にバーレル58ドル台と通常価格に戻っています。事態がこのまま推移すれば更に下がり、今月末には50ドル台前半、更に来月にはそれも切り、年末には30ドル台を伺う展開も予想されます。原因は米中貿易戦争とブレグジットです。これに比べればイランなど小さな問題だ。
 さて、今回のサウジ石油施設攻撃について、韓国の文大統領がサウジ石油施設防空支援を表明した。つまり石油施設の防空システムを韓国が作ってあげましょう、ということだ。
 文の狙いはなにか?彼の狙いには二つあって、一つは南北の無条件統一、もう一つが韓国が米中に並ぶ世界強国になることだ。我々日本型常識人にとって、どれも誇大妄想の域を脱していないとしか思えないが、本人は至って真面目なのだろう。かつてイーミョンバクは韓国を世界の中心と云ったくらいだから、こういう考えも韓国では常識の範囲内に入るのかもしれない。
 それはどうでも良いが、そもそもサウジはアメリカの縄張り。そこにアメリカを差し置いて韓国が乗り込もうというのだから、トランプだって心穏やかではない。「ふざけるな!」というわけで、韓国からの米軍撤兵もありうる。一挙に極東軍事情勢は流動化する。これこそジョンウンの付け目。かくて南朝鮮は北朝鮮によって併合される。
 文の狙いは達成された。しかし韓国民や周辺諸国、中でも日本は大迷惑。そこで重要なのはやっぱり来年のアメリカ大統領選。それと来年四月の韓国総選挙も注目。この結果では、文政権は一挙にレイムダック化するが、今のところ野党に文に対抗できる人材が育っていない。人材育成をさぼってきたツケだ。
 日本にとって、お隣に勤勉で頭もよく、しかし反日で核も持っている7500万人の国家が出来るのである。
(19/09/20)

 一昨日BS-TBSの某時事トーク番組。テーマが中東イラン問題、特に15日にあったサウジ石油施設への無人攻撃機問題。ゲストスピーカーの一人が木村太郎というロートル。この人物、いわばジャパンネオコンで、現在はトランプ支持者。
 さてこの太郎さん、今回の事件で何を言うかと思えば「航空写真で見ると1/3位が破壊されている。原油価格はグウーンと上がるでしょう」。たかがNHK記者上がりの太郎さんが航空写真(正しくは衛星写真かもしれないが、とにかくそうしておく)の読み方を知っているのかどうか分からないが、筆者の見解では原油価格はグウーンとは上がらない、少々上がっても短期で終わる。実際今日のニューヨーク市場ではバーレル58ドル台と平常価格に戻ってしまった。それにはちゃんとした理由がある。それが分かれば簡単だが、分からない人は何時まで経っても木村太郎のような間違いをおかすのである。
 この太郎さんのように、中東情勢に何かあると、直ぐに原油価格高騰に結び付ける人達がいる。代表的なのが最近あの世に行った竹村健一という石油のシロート人間。木村太郎もこれと同類のシロートなのである。
 こういう人達の頭は1970年代のオイルショックのままで固まってしまい、80〜90年代にかけてのイラン/イラク戦争の顛末、90年代以降ソ連東欧崩壊、10年以降のシェールオイル開発などの、石油資源供給に関するパラダイム転換を理解できていないのである。だから私は言っておく。木村太郎のような認知症化石評論家のいうことは信用するな。これは石油だけでなく、安全保障関連についてもだ。
 さて既に化石化した現代三大認知症太郎と云えば、木村太郎に麻生太郎、それから石原慎太郎というところか。田原総一郎も相当のものだが、あれは一郎で太郎ではない。しかし太郎も一郎も意味は同じだ。
(19/09/19)

これが先日ドローン攻撃を受けたサウジアラムコの石油掘削施設。背景の黒煙が着弾地点。筆者が興味が持つのは、手前の掘削リグ。果たしてサウジではどんな設備で掘っているのか?
 このリグはいわゆるジャックナイフ型と云われるもの。掘削能力は2000m程度。日本でも温泉掘削に使われていることがある。ということで、取り立てて驚くものはありません。
(19/09/17)

 一昨日サウジの石油精製施設がドローン爆撃をうけたかと思うと、早速NY-WTIはバーレル60台まで上昇。昨日トランプが早速石油備蓄取り崩しを発表すると58ドル台まで低下。その間でボロ儲けした人はいるでしょうねえ。
 昨年の今頃ではニューヨーク原油バーレル75ドル台をつけていた。それが年末から徐々に値を下げとうとう45ドル台までなったが、これはブレグジットの所為。その後いったん持ち直し春には65ドル台まで回復したが長続きせず、夏には55ドル台まで低下。これは米中貿易戦争の所為で、市場がアメリカ経済の今後を悲観したため。まあどっちも身から出た錆だ。
 トランプにしてみればこのまま石油価格が低水準に留まれば来年の大統領選・・・石油業界からの献金が低下する・・・に影響する。ここでひとまず何かやって石油価格を上げて、選挙資金を確保しなくてはならない。
 ドローンが飛んできたのはイランの方向からだ、となんともいい加減な情報しか出てこない。だれが見てもこの事件、トランプとサウジ合作の田舎芝居。しかしフーシ派がこの事件について犯行声明を発表。しかし本当かね?という疑問は残る。
 どっちにしろ日本にとって重要なことは、地域紛争に巻き込まれず、エネルギー資源を確保することである。そのためには
1、現在の原油備蓄量を現行7カ月から12カ月まで増大する。
2、エネルギー資源および供給地の多様化に努める。
3、更に省エネ、非化石エネルギーの開発に努める。
 ということになるが、当然これにも副作用が付きまとう。日本が原油輸入を減らしたとする。輸入代金決済はドルでやってきたから、原油取引が減ればドルが余る。余ったドルは行き場を失って何処かにバブルを作る。結果は途方もない円高である。ではどこでバブルを作るか?多分インドかアフリカ。中国はそれを見越してアフリカに投資を進めているのか?
 なお今回のような石油関連騒ぎは、20世紀以来積み重ねられてきたエネルギーの石油依存体質の誤りを象徴するもの、更に進化論的に云えば既存環境に対して過度に適応した生物は、環境変化に適応できず滅亡する、という法則に通じる。
(19/09/16)

 このところNY-WTI原油価格、ダウ平均、日経平均が下落し円高が進んでいます。特にWTI原油価格はバーレル55ドル台と、6月20日以来の低価格。原因は昨日のトランプ対中国関税引き上げ対象拡大声明。つい前日にFRBが10年半ぶりに金利を下げたのに、その効果を大統領がぶっ潰す暴挙。これじゃFRB議長などやってられないとパウエルだって思うだろう。
 市場は数カ月先の景気を読んで相場を立てる。今回の原油価格、ダウ下落は今後数カ月ぐらいは景気の上昇はない、と市場が判断しているということだ。以前はトランプの知能は中三並みだという評価だったが、中三でも甘い。11才の小5並みだろう。筆者の孫は今中一だが、トランプよりはマシだと思う。
(19/08/03)

 最近テレビトーク番組等で中東問題を取り上げると、必ず出てくるのがホルムズ海峡。やれ日本で一番大事な石油の8割りがここを通るからアメリカに協力しなくてはならない、てな子供だましの与太話がまかり通っている。
 そんなにホルムズ海峡が危ないならそこを避ければよい。左図の破線は筆者が考えるペルシャ湾迂回パイプライン構想である。

延長はたったの1000数100q。ネットで数年もあれば作れる。全線地下埋設式にすれば他国の空爆やゲリラの襲撃にも安全。何故みんなこんな簡単なことに気が付かないのでしょうか?気が付いていないのではない、誰かが邪魔をしているのです。1000数100qのパイプライン建設となれば、日本にもいくらかビジネスチャンスが回ってくる。ではどういう場面がねらい目だろうか?
 こういう事業では大きくソフト(上流)とハード(下流)に分かれる。日本は従来は上流は苦手で下流オンリーでやってきた。かつてのように円が安い時はそれでよかったが、1ドル100円そこそこの為替レートでは、到底採算は取れない。だから発想の転換が必要だ。
 このパイプライン事業は上流から
1)設計・調査・管理等コンサルテイング業務
2)敷設路の造成
3)パイプの製造・設置、その他付帯工事
 からなる。このうち最も金目が張って、目立つのが2)だ。だからみんなこれを取りたがる。日本でも大手ゼネコンはこれに群れたがるだろう。しかしアラブ人相手にこの手の商売は禁物。ああでもないこうでもないと云われて工期を引き延ばされ、挙句の果ては巨額の延滞金だ。こういう低レベルの工事は中国や韓国・インドの業者にやらせておけばよい。
 従って筆者はやるなら日本しかできないこと、すなわち油送パイプの製造・供給である。
 ロシアは既に数万qに及ぶパイプライン実績があるが、使っている油送管がみんな粗悪品でガス漏れ油漏れが酷く、それだけで数%の損害に達すると云われる・・・他にも途中でネコババがあり、それがロシアマフィアの資金になっているという専らの噂・・・。実はプーチンが極東開発に日本を引きずり込みたい狙いはここにある。高性能の油送管は殆ど日本が独占している。これがチャンスだ。このチャンスを潰そうとしているのは誰だ?
(19/07/29)

 自称外交評論家の武村健一が死にました。これで大阪のアホが又一人減ったかと思うとセイセイだ。彼は元々関学の英語教師、ただの英語遣いに過ぎない。何故そんな素人が外交評論家になってしまったのかというと、当時・・・今でも変わらないが・・・関西マスコミに英語が使えて国際情勢が分かるものがいなかったからである。
 時期は第四次中東戦争を経て、丁度イラン/イラク戦争にかかるあたり。ホルムズ海峡に危機が迫る頃である。その時にパイプをくわえて「そもそもやねー」と英語交じりの解説を述べ立てる人間がテレビに登場した。当時英語をそのままテレビに持ち込めるタレント解説者などいなかったので、俄かに人気者になり、いつの間にか国際政治外交評論家になってしまった。言っておきますが、彼はあくまでただの英語教師、国際政治の専門家でも何でもない。
 この時彼が云わんとしたのは、イ/イ戦争でホルムズ海峡が封鎖されれば原油価格は暴騰し、日本だけでなく世界経済も大打撃を受けるというものだった。これはなにも武村だけでなく、当時の石油・中東専門家・・・と称するシロート・・・達が皆いっていたことである。これはこの戦争のおおよそ10年前に起こった第一次、第二次オイルショックの経験を受けたものだろう。
 この推論自身、別に間違っているとは言えない。当時筆者は課長という中間管理職だったから業務原価にもある程度気を使わなくてはならない。原油値上がりはガソリン値上がりにつながり、それは業務コストアップに繋がる。そこでガソリン価格にも注意を払ってみると、なんと驚いたことに、戦争が続くとガソリン価格は上がるどころか、逆に下がっているのだ。これは何故か?と考えるとハタと気が付いた。なるほどそういうことか!
 民族的には、イラクはセム系アラブ人。イランはインドヨーロッパ語族イランアーリア人。人種は異なるが同じイスラムで、元をただせば古代は騎馬遊牧民族。この種族はアジア、アフリカを股にかけて交易をするので商業民族化する。従って彼らは必要なものは他所から買うが自分で作ることはしない。それどころか、自分でモノを作ったりしない。その結果、モノづくり職人階層は社会的低位置に置かれる。これはインドでも同じ。だから工業というものが発生・発達しない。この点がモノづくりを重視するヨーロッパ人や日本人*と異なる点である。
 しかし戦争には道具=武器が必要だ。この武器をイラクは欧米から、イランはソ連、中国から購入した。買ったからには代金を支払わなければならない。この代金を両国は石油で決済したのである。つまり両方とも石油を売り続けなければ戦争を続けられない。従って、両国が戦争を続けている限り石油の値段はあがらない、というのが筆者の結論だった。なお、後でキッシンジャーが同じようなことを云っていた。その内戦争は有耶無耶でおわり、石油価格は再び上がりだしたのである。
 これから云えることは、武村健一らは、既に国際情勢のパラダイムが変わっているのに、10年も前の事例に拘って判断をあやまったのである。今回のホルムズ海峡問題も同じで、相も変わらず30年も前の石油本位主義にこだわって判断を誤っている。最も酷い間違いはアメリカのトランプその人である。
*俗に士農工商と云って、職人は商人の上に位置づけられるが、これは明治維新後の戊申戸籍で用いられた分類。それ以前は士農民だった。民を工商に分けたのは、富国強兵、殖産振興の明治政のテーゼに合わせるため、職人・職工の地位を上げる必要があったからだろう。しかし本当に工(=技術)が社会的に認知されているとはいいがたい。常に文=行政優位なのである。その証拠は原発や公害訴訟始めいくらでもある。
(19/07/12)

 ニューヨーク原油価格がおおよそ一か月振りにバーレル57ドル台を回復。今年に入ってからの原油価格はしばらくは昨年末からの低価格水準を脱し得なかったが、2月から回復に向かい、3、4月とうなぎ登りで、夏には70〜80ドル台を伺う勢いだった。ところが5月下旬頃から急減速。原因はこの頃から始まった米中貿易戦争。
 そこにいきなりのイラン制裁強化。これで原油価格が上がるかと思えば一向にそんな気配はない。アベがイランに居る時に輪和議を起こせば何とかなると思って、日本企業・・・これ本当に日本企業でしょうか?「国華産業」という社名から台湾資本の可能性もある・・・が運航するタンカーに怪しげな爆発物を仕掛けたが、これも不発・・・不発弾という意味ではありません・・・で、原油価格は一向に上がらずバーレル51ドル前後をウロウロ。やっと一昨日から上げ調子になりました。
 しかしこれイラン問題の影響でしょうか?タンカー襲撃事件から1週間も経って値動きするなど、通常では考えられない。筆者の思うところ、これはアメリカFRBが利下げに踏み切るのではないかという思惑の所為。来年大統領選に向けて仕組んだ、トランプの利下げ圧力にパウエルが屈したかのように見えます。しかし今のアメリカ景気は悪くないどころか空前の好景気。こんなところに利下げをすれば市場にマネーが余る。それが行き場を求めてバブルを作る。それがトランプの狙いだ。
 それはともかく、イラン問題がざわつくと、必ずマスコミや外交評論家とか経済評論家から出てくるのが、原油供給が明日にでもストップするのじゃないかという、脅しにも似た警告。しかし彼らは次のような事実は決して口にしない。
1、日本の原油需要の8割りは中東からだが、イランからは2割りに過ぎない。
2、中東からの原油輸入が全てストップしても、7カ月は大丈夫なだけの原油備蓄がある(はずだ)。
3、現在運航しているタンカーは全て二重鋼板構造で、下手な軍艦より頑丈に出来ている。氷山にぶつかっても大丈夫なのだ。
4、イランが持っている武器ではホルムズ海峡を封鎖できることはできないし、その意思もない。
(19/06/21)

 原油価格下落が留まるところを知りません。ニューヨークでは一昨日、いきなりバーレル2ドルも下がった。現在の石油需給は、サウジや湾岸諸国は渋々減産、イランン・ベネズエラはアメリカの圧力で事実上禁輸状態。しかもイラン問題で中東状勢の緊迫度が増す。ということは原油価格は高くなって当たり前で、下落することは考えられない。
 しかしながら事実は小説より奇なり。最大の理由は世界経済の先行き不安だ。この不安を作り出しているのがアメリカのトランプ。彼は対中輸入規制に続いて、メキシコにも関税障壁を掛けると脅した。更に昨日、インドにも最恵国待遇取り消しを通告。無論日本、EUにも関税をかけようとするだろう。ということは近い将来、東南アジアや太平洋諸国、中南米にも、同様の措置を執る可能性が高い、ということだ。
 これらから見るとトランプはアメリカの周りに全て・・・西部劇の騎兵隊の砦の様に・・・関税という壁を巡らしたいようだ。この場合外敵・・・・アメリカにものを売る国・・・の侵入は防げるかもしれないが、外部との連絡が途絶え次第に食料(資源、資産、人材)は枯渇する。こんな砦に将来はないと、若者は外へ逃亡するだろう。最後は落城だ。
 実はこれ1930年代、大恐慌の後にアメリカが執った政策とそっくりなのである。アメリカが国内企業を守るために高関税障壁を作った結果、アメリカという巨大市場を失った各国は、それぞれ独自の市場を求め始める。その結果がブロック経済という新植民主義だったり、ナチズムやファシズムを生み出して第二次世界大戦に突入した。1930 年の時も、今回も原因はアメリカのエゴイズムから始まっているのである。
 それは別にして、現在のトランプが採っている政策が続けば、原油だけでなく株価も下落し、資産は縮小する。つまり世界同時不況だ。それが何時かは断定できないが、早ければ今年7、8月頃か。トランプショックである。これをリーマンショック並みの景気激変と言い換えて消費税増税を先送りし、衆参同日選に持ち込む腹ではあるまいか。これがアベ/トランプ密約だ。
(19/06/02)

 先月上旬までのNY原油価格は、5月にはバーレル70ドル台を突破し、夏には100ドル越えを伺う勢いだったのに、最近は鳴りを潜め、60ドル前半をウロウロ。2、3日前から遂に60ドルを割り込む始末。アメリカ経済は堅調で、サウジは減産に応じ、イラン状勢が緊迫度を増す中、原油価格はウナギ上りに上がってもおかしくない。にも拘わらず原油価格は低迷。それどころか日経平均も下げ、為替は円高にシフトしている。
 原因はズバリ米中貿易摩擦(or戦争)の影響でしょう。トランプの対中攻撃は間違いなく今の中国経済に打撃を与えている。しかしこれは回りまわって、アメリカ経済にも影響を与える。但しこれには少し時間が掛かる。その理由は両者が持っている経済的資産が膨大だからだ。
 例えばガスレンジでお湯をあっためようとしたとき、大きい鍋の大量の水と小さい鍋の少しの水とで、沸騰するのにどれだけ時間が掛かるか、という問題だ。しかし幾ら大きい鍋の大量の水でも、ズーッとあっため続ければいずれ沸騰する。
 市場は正直だ。それを読んで先に動いているのだ。誰でも火傷はしたくない。更にほぼ確実と思われるイギリスのブレグジットも世界経済にとってマイナス要因。何故ならイギリスがEUからだけかではなく、地球から出て行ってくれれば有難いがそうではなく地球に残り続けるからだ。
(19/05/25)

 日本ではあまり報じられないが緊迫を加えているのがベネズエラ情勢。左派のマドロと右派のグワイドとの対立がアメリカやヨーロッパまで巻き込んでの大騒動。実はこの騒動、結構根が深く扱いを間違うととんでもないことになりかねない。
 グワイドは民主主義を掲げアメリカやEUの支持を取り付けているが、これだって怪しいもので、バックにアメリカ石油資本がいることは明らか。
 そもそもの始まりは1990年代チャベス左派勢力が政権を獲った時、チャベスが経済に無知なのに付け込んで中国が内政に干渉してきたのに始まる。
 中国の目的はベネズエラ石油利権の奪取。ベネズエラ経済を支配するため、それまでベネズエラに投資してきた西側資本を追い出し・・・この中には日本の松下電器も含まれる・・・毛沢東流農本主義を進めた。その結果発生したのが経済合理性を無視したバラマキポピュリズムである。これを可能にしたのがクリントン政権で行われたドル安政策。これであまったドル資金が石油市場に流れ込み、元々たいして市場価値のなかったベネズエラ原油も値上がりした。これがブッシュ政権下で更に拡大し、ベネズエラにいくらでもドルが流れ込んだ。これをいいことに左派政権はバラマキを更に進めた。その代わり、肝心の石油掘削や精製施設の更新はほったらかしにされた。風が変わったのが08年リーマンショック。これで原油価格が大幅に値s狩りした。
 更にソ連東欧崩壊を受けてアメリカのオバマは石油の戦略的備蓄を取り崩し、更にオイルシェール、シェールガス採掘を許可した。このためそれまで最大の輸入国だったアメリカ市場を失うことになった。(続く)

 アメリカが日本など8か国へのイラン原油禁輸措置猶予の延長を認めないと発表したら、いきなりNY原油価格がバーレル2ドル近い値上がり。この影響は大体夏ごろにガソリン・電気料金大幅値上げとなって跳ね返ってきます。どんな政策(会社の経営も営業も同じ)も、プラス面もあればマイナス面もある。要はそのどれにスタンスをおくか、バランスをとるかの違いだ。トランプのイラン制裁は明らかに次の大統領選で、ユダヤ系やキリスト教右派の票を取り込むため。中東の不安定化やアメリカや同盟国への影響は考慮しない。
 禁輸措置猶予の対象は日本・韓国などの西側先進国。これらの国がイラン産原油の輸入を停止すれば当然原油価格は上昇する。但しまともな先進国なら既に当面の備蓄や代替エネルギー確保に動いているだろうが、そうでない国は影響をまともに受ける。韓国など危ない。我が日本だってトップのアベがトランプペコペコだから、トランプのお情けにすがって何もしていない可能性もある。
 さて肝心のアメリカは大丈夫でしょうか?原油価格がバーレル70ドルぐらいまで上昇すれば国内のシェールオイルやシェールガスが増産に踏み切れるが、そのかわりガソリンや重油価格は高止まりする。これはトランプのコア支持層が多い中西部の工業地帯や農業地帯を直撃する。この効果は丁度来年の大統領選中に顕在化するだろう。
 さて日本はどうすべきか?筆者が常に主張しているのは、原油備蓄の積み増しと省エネの加速である。現在の義務的備蓄量は7カ月だがこれを9〜12カ月とする。そのためには思い切ったガソリン税の引き上げ、EVや水素エネルギーの開発普及が必要。フランス始めEUやロシアはこんな単純なことをやらないから、ガソリン税の引き上げ位でで大騒ぎになるのだ。なお原油価格が上がれば、トランプが目の敵にするベネズエラを助けることにもなる。そこに中国が介入してくるだろう。
(19/04/23)

新元号がどうのブレグジットがこうのと云っている間に、NY原油がバーレル60ドルを突破しました。昨年後半は下がり続け、暮れにはとうとう40ドル台まで下落しました。筆者はその時、年明け反転上昇もありうると云いましたがその通りです。
 現在の価格は昨年4月レベル。このまま上昇すると夏には少なくとも80ドル台、あるいは100ドル台もあり得ます。つまり資源株・・・例えば出光とかJXとか・・・は買い状況。今の内買っておきますかあ?
(19/04/02)

 俄かに起こったベネズエラでの反政府民主化デモ。筆者はこれの背景にCIAが絡んでいると見ています。似たような民主化デモは、70年代のフィリピン反マルコス独裁デモ、80年代のイラン反パーレビデモ(いわゆるバザール革命)が挙げられますが、いずれもCIAの画策によるもの。
 今度のベネズエラデモでも、トランプやそのシンパのボルセルオなどが、民主主義をまもれとか、独裁反対などと云っているが、これこそ怪しい。こいつらこそ反民主主義、独裁制を容認実行しているのだから。
(19/02/05)

 先月のアメリカ中間選挙の前からニューヨークの原価格の動向に注目していたが、ここにきてやや危機的状況が出てきた。それは原油だけでなく、株価(ニューヨークダウ)の下落が顕著になり、おまけに日経平均もそれに引きずられる始末。
 原油価格下落の原因は中間選挙の前のトランプ発言を受けてサウジが増産に踏み切ったことがきっかけと考えられるが、一方ロシアイランは減産を続けており、これだけでは辻褄が合わない。おそらく背景には米中貿易戦争があると考えられる。又、株価下落の原因はアメリカFRBの利上げにあるが、トランプがこれにケチをつけFRB議長の解任までほのめかすに至って、市場がトランプ政権に不信感をいだいたことが大きいと思われる。その証拠がこのところのドル売り円買いで、先週末、円はとうとう111円台前半まで上がてしまった。それが日経平均下落の原因である。ということは、アベノミクスも所詮はニューヨーク市場の動きによってどうにでもなるということだ。
 さてこのような急激な原油価格下落は過去にあったか?2008年リーマンショックで夏ごろからNYWTIは右肩下がりに下落を続け、バーレル140ドルが12月には40ドル割れ、年内には30ドルを割るかと思っていたら、12月31日、イスラエルが突然ガザを爆撃し、原油価格はあれよあれよという間に上昇し、1月には倍近い40ドル台を回復、夏には70ドル台まで上昇した。
 さてこの過程、果たして偶然と思えるでしょうか?この騒ぎの中濡れ手で泡のぼろもうけをしたのがいるはずです。誰でしょうか?テキサス石油資本のブッシュ財閥もそうだし、その協力者であるベクテルやハリバートンなどもそうだ。中でもゴールドマンサックスを始めとするウオール街のハゲタカ銀行屋はそうだ。今回の原油相場もそうならないとは限らない。
 突然のトランプのシリア撤兵宣言。誰でも思うのが中東での政治的混乱の再現。こういう騒ぎこそウオール街の稼ぎ時なのだ。今株を底値買いしておけば、来年初めにはぼろもうけできるでしょう。トランプからのクリスマスプレゼントです。
(18/12/24)

 先月来下がり続けていたNYWTI原油価格が先週末から57ドル台で落ち着いています。筆者はこのあたりが底と見ていますが、果たして今後反転上昇するでしょうか?
 アメリカで「CIAがカショギ暗殺の黒幕をサウジ皇太子と断定」という複数の報道が出て、トランプは必死でそれを否定しています。この件でアメリカとサウジとの関係が冷えれば、サウジは石油カードを切ると同時に、アメリカからの武器購入をキャンセルするかもしれない。これはいかん、というわけでトランプはムハンマド擁護を続けるでしょう。但しこれはイランなど敵対勢力にとって思う壺。一気にサウジ政局は混乱する。
 その時ムハンマドと組んだ孫正義とソフトバンクはどうなるでしょうか?他人事といえば他人事です。
(18/11/19)

サウジがトランプの要求に反して石油減産を決定。選挙期間中は協力してやったんだから、もういいだろうというわけか。とはいうものの今のところ、石油価格が反転高騰する雰囲気ではない。
 サウジが11月から50万バレル/日減産。更に100万バレル/日減産という報道。前者で全体供給量の.0.5%というから、100万バレル/日減産でも1%に過ぎない。これに他のOPEC核国が追随してもせいぜい2〜3%に過ぎない。OPEC内でもイランやカタールのように、アンチサウジ国もある。そういうことを考えれば、サウジ減産効果は下艇的なものに留まるだろう。
 現在サウジの石油政策を牛耳っているのは、例のカショギ事件で火中のムハンマド皇太子。もしそうなれば皇太子の求心力は一気に低下し、サウジ政局に混乱をもたらす可能性がある。
 値を下げているのは石油だけではない。金もNYダウもついでに日経平均もみんな下げている。さてこれは世界同時不況の前触れでしょうか?それともこれまでの好景気の調整局面でしょうか?もしそれなら、この価格低迷は長期化する恐れがある。筆者はそういう影響もあるかもしれないが、直接的にはトランプ経済の失敗、特に対中対イラン経済制裁が大きいと思う。
 それは別にして、我が日本は他国のことはほっといて、石油備蓄を積み増しすべきである(少なくとも9〜12カ月)。備蓄を十分持って居れば、対アメリカや対中国交渉でも有利に立てる。なお、今後のサウジ政局を睨めば、イランとのパイプは温存しておかなければならない。
(18/11/13)

 トランプのイラン制裁発言にも拘わらず、今週に入ってからニューヨークWTI原油価格は下がり続け。勿論北海プレントも同様に値を下げています。一体これはどういうことでしょう?トランプの脅しでサウジが増産しているのかもしれません。ということは、この値下がりも来週米中間選挙までで、その後一気に値上がりということもあり得ます。用心用心。
(18/11/02)

 現在値上がりを続けている原油価格。これをNYWTI価格で見たものが左のチャート。上がっている上がっているといっても未だ70ドル台を少し超えたレベル。年内100ドル超えなどと景気を煽る向きもあるが、そのような勢いは未だ見られない。これも中間選挙までだろう。
 仮に中間選挙で共和党が負ければ、トランプの求心力は急低下。アメリカの対イラン戦略が変化する。逆に共和党が勝てば、原油価格上昇は未だ続くので、ガソリン価格は上がり、更に対中貿易戦争で、輸入関税が上がれば、クリスマス商戦に影響して、アメリカ経済にはマイナス。おまけにFRBが利上げを発表。これでアメリカ市場を嫌ったマネーが日本に流入して、日経平均を挙げているのか?それはともかくアメリカのクリスマスプレゼント用玩具のほぼ全ては、中国製だということをお忘れなく。
(19.09/28)

アメリカのイラン核合意離脱を巡って、イランがホルムズ海峡封鎖を示唆。示唆したのが、強硬派ではなく、協調派のロウハニという点が重要。果たしてこれが何時ものバザール商法なのか、本気なのか未だ不明だ.。ホルムズ海峡が封鎖されると、他の湾岸諸国からの原油輸出もストップする。それで大打撃を受けるのが、日本・韓国は勿論だが、インド・南アフリカなどアジアやアフリカの新興国・発展途上国。これらは人口増加率も高く経済成長も著しい。現在の世界の経済成長はこれら途上国によって支えられていると云ってよい。
 もしホルムズ海峡封鎖が本気で長引けば、その経済的影響は途上国だけでなく、それらへのビジネスで成り立っている先進国経済も打撃を受ける。無論日本はその筆頭だろう。アメリカだって例外ではない。途上国経済ダウンで一番衝撃を受けるのは、トランプが自分の最大の味方と思っている自動車産業や武器産業。
 トランプのタダの思い付きに、いち早く「理解」を示した我が国首相は、そうなった場合の対案を持ってるはずだ。なお、そうなっても、日本は7カ月は大丈夫の石油備蓄があるはずだが、大丈夫だろうねえ。
(18/07/23)

 ガソリンが値上がりしているので石油備蓄を取り崩すとトランプ。ガソリンが値上がりしたのは誰の所為かというと、トランプ本人の所為。脈絡もなくイラン核合意w破棄し、イラン産原油の購入を禁止したから、それに慌てたメジャー始め石油マフィアが、自己防衛に奔っただけ。
 そもそも原油備蓄とは何か・・・こんなことも勉強嫌いのトランプは知らないだろうが・・・というと、1970年代第二次オイルショックの後を受けて、国際紛争やテロで産油国の産油設備や原油輸送ルートが打撃を受ける場合に備えて、各国衙石油を備蓄しようというところから始まったのである。今回のガソリン価格高騰の原因は国際紛争やテロではなく、政治的も枠から始まったのだから、本来備蓄取り崩しの対象にはならない。何となく秋の中間選挙に向けた選挙活動の感がする。
 この逆が日本である。昨年イランサウジとの緊張が高まると、俄かに海上自衛隊のホルムズ海峡派遣が話題になった。この時、自民党の高村がホルムズ海峡が封鎖されて石油が入ってこなくなれば、北海道で凍死者が出る」と語った。しかし石油備蓄は、こういう場合にこそ備えているのだ。現在の日本の備蓄量は7カ月。石油が一滴も入ってこなくても、7カ月は耐えられるはずである。一冬ぐらい十分だ。こんなことも知らないのが、自民党の副総裁をやっているのだ。
(18/07/15)

 今週に入って、ニューヨークの原油価格は異常な値上がり。これに平行してOPEC会合があり、サウジ主導で、原油増産が決定された。反対はイラン。OPECメンバーではないが、ロシアも反対。OPEC増産を陰で操っていたのは、トランプとイスラエル。サウジはその尻馬に乗っただけ。トランプの狙いはイラン核合意を果たしたオバマ政策をひっくり返し、秋の中間選挙で、ユダヤ系やキリスト教保守派、それと中西部シェールオイル業者の票集めが目的。つまり選挙運動を中東でやっているわけだ。
 OPECが増産するのに原油価格が上がるとは面妖だが、からくりは以下の通り。まずイラン経済制裁の一環として、石油を輸出できなくする。その不足分はサウジや湾岸諸国のような親米産油国が肩代わりする。EUやロシアなど、中立あるいは半米国家は反対するが、云うことをきかないと、アメリカとの取引はさせないと脅す。
 さてこのトランプ流恫喝外交で一番損を見るのは誰でしょうか?言うまでもなく、トランプのコアな支持者である中西部ラストベルトの低所得者層です。今回の石油禁輸措置は、未だ何もしないうちから、あっという間にバーレル5ドルほど値上がりした。この結果、ガソリン始め電気料金や農業コストなど、アメリカの基幹コストを押し上げる。それを補完するのが国産オイルシェールと云いたいだろうが、これの採算はバーレル70ドル前後とされるから、一旦上がった原油価格が下がることはない。それどころか、原油価格がバーレル70ドル超となれば、中東からの輸入の必要性もなくなる。馬鹿を見るのは、トランプの浅料簡に嵌まった、サウジや湾岸諸国だ。
 EUや日本がアメリカの圧力に屈して、イラン産原油の輸入をストップしても、中国が代わりに買ってくれる。無論安値に買いたたかれるが、ゼロよりはマシだ。ロシアはOPECメンバーではないが産油国である。無論ロシアも経済制裁を受けているから、EUや日本にあからさまに輸出は出来ないが、抜け道は幾らでもある。かくてトランプ流恫喝外交はあえなく失敗。但し本人は絶対に失敗を認めない(この点は日本のアベとそっくり)。又なにかあの手この手で、世間をひっくり返すようなことをやるだろう。
 なお、Tランプのアメリカファースト主義で、アメリカ消費者が迷惑を被るのは、なにもガソリンや電気料金だけではない。対中国関税強化で、まず玩具が値上がりする(アメリカの玩具の99%は中国製)。鉄鋼・アルミの関税強化がアメリカの自動車や航空宇宙産業に打撃を与えるのは既に指摘済み。トランプ政権は中国製携帯を追い出すために、コアの半導体輸出を禁止するが、携帯は半導体だけでは動かない。アップル製スマホの部品の6割りは日本が供給している。アメリカには、こんな部品を作る技術は絶滅している。無論、ラストベルトの化石のような労働者に作れるわけがない。
 アメリカで作れ、というだろうが、日本でも作っているのは人間でなくロボットだ。ロット込みで輸出するわけだから、アメリカの雇用拡大には何ら貢献しない。逆にコストアップという負の効果が出るだけだ。
 ここで言っているのはトランプが進める政策だけの批判ではない。すべからく、一国主義は鎖国主義に繋がり、それは経済的には何のメリットもなく、国民特に低所得者階層にしわ寄せが行くのである。かつてのソ連閉鎖経済が、最終的に行き詰まったように、トランプ主義もいずれ行き詰まるのは目に見えている。それが分らないのが、実は低所得者層で、トランプは彼らにフェイクの夢をばら撒いているだけだ。
(18/06/28)

 このところガソリンが値上がりしているようです。これを中東情勢の緊迫の所為とする人達がいますが、これは間違いです。そもそも現在原油価格はニューヨークでバーレル66〜67ドル前後。先月までのピーク価格70ドル強に比べれば、3〜47ドル程度下がっています。
 もし中東情勢の緊迫が原油価格影響するなら、これは逆になるはずです。ガソリン価格が原油価格に直接連動するなら、ガソリンは性って当然。しかし現実はその逆です。
 昨年末から国際原油価格派はじりじりと上昇し、先月には最高値をつけました。日本の原油の大部分は中東産です。ペルシャ湾から日本までは、大体2〜3か月掛かる。つまり現在のガソリン価格は2〜3か月ぐらい前の高い原油価格を反映したものです。
 先月末から原油価格は急落しました。更に関電の原発の一部が再稼働しました。この結果、市場には安い原油が供給され、ガソリン価格も低下するでしょう。但しその効果が出るのは2〜3か月後の八月か九月。それまでは高いガソリンで我慢してください。
(18/06/04)

 本日ニューヨークWTI原油価格はなんといきなりバーレル3ドル近く下げ、バーレル67.8ドル。一体何が起こったのでしょうか?但しダウやナスダックの値動きは小幅で、リーマンショック当時のようなパニック売りは見られない。今のところ、原油価格をこれほど下げるような要因は見当たらない。米朝関係のもつれや、アメリカのイラン核合意離脱、あるいはヨーロッパや日本車への関税アップは、どれも原油価格を押し上げる要因になっても、下げ要因にはならない。
 但し原油価格は他のファクター、例えば大豆などの商品価格、株などの金融商品、などとヘッジしているから、そのどれかの価格が下がれば、それによる損失穴埋めのために原油が売られることもある。リーマンショックはまさに、商品価格の負の連鎖が巻き起こしたものだ。今回はそういう流れとは異なる。つい最近までバーレル70ドル台まで上がったが、等々この辺りで息が切れたのか。要するにこれまでの急な値上がりは実態を反映したものでなく、原油消費量が減って、産油国は返って収入が減ってしまった。ここらで原油を放出し、現金に交換しなければ、国民の不満が高まることをおそれたのだろう。サウジやベネズエラが主導して原油を大量放出したのではあるまいか?
(18/05/26)

今朝、ネットで原油価格を見てみると、いきなり1ドル超高のバーレル66/82ドル(NYWTI)。何事か、と思えば原因はトランプのシリア空爆ツウイッター。このところ、ダウも原油価格も元気がないのと、中間選挙対策で思い切って戦争でもするか、といったところだろう。
 これは歴代低支持率政権が、支持率回復に使ってきた古臭い手である。どっちみちボルトンあたりの入知恵だろう。この手は一時的な支持率アップにつながるが、一歩間違えると、泥沼に踏み込んで取り返しがつかなくなる。かつて、ベトナムに深入りしたジョンソン、イラクに足を取られたブッシュの例がある。
(18/04/12)

 今WTI原油価格が反転上昇していますが、これは前から読まれていた状況です。先週6/21のバーレル42.53ドルが底値と考えられます。今後上昇を続けますが、せいぜい1週間か10日ぐらい。その後再び下落に転じるでしょう。上値は49ドルぐらい、50ドルには届かないでしょう。
(17/06/29)

 世間は森友・加計学園問題でもちきりですが、わたくしが注目しているのは原油価格の推移。14年夏に、NY-WTIIは最近での最高値バーレル100ドルを記録しましたが、その後下落を続け今年に入ってからは、概ね1,5カ月サイクルで山・谷を繰り返しています。山は50ドル強、谷は45ドル前後ですが、全体としては下降。昨日遂に44ドルを割りました。結論として言えるのは、現在原油は余っているということです。余っているから原油は投機的商品として扱われ、売った買ったの話になるのです。
 今年四月にOPECは減産で同意しましたが、何の効果もなかった。サウジ他スンニ派各国はカタールとの断交を発表しましたが、これも原油価格には何の影響も与えていない。今こそ日本は安い原油を底値買いして、備蓄量を増やすべきである。ところがこれに反対する勢力もある。それはアベ政権に連なる日本石油マフィア、ホルムズ海峡さえ言っておれば予算が付く防衛族といったところだ。彼らは、原油が高値キープするほど、利権が増えるのである。
(17/06/22)

 週が明けると多少とも原油価格は持ち直すか思っていたら、2週間目になっても、NYWTI原油価格はバーレル47ドル台のまま。先週から北米は猛烈な寒波。シェールオイル価格が技術革新で大幅に下がったなどという殆どフェイクと云ってよいニュースが流れるが、そんなものが市場に反映されるには1年以上は懸る。つまり石油需要が減る客観的要素はない。
 と云うことは、市場がもはやトランプ景気に見切りをつけたということか?あるいは、トランプが中西部サンクスベルト支持票を固めるために、石油より石炭にスタンスを移した所為か?つまり石油と石炭が喧嘩を始めたということだ。これはトランプ政権にとって由々しき問題。この所為でトランプ政権崩壊という読みも出来る。
(17/03/28)

 サウジの王様訪日の狙いはどうやら、アラムコの株を日本で持てと云うことらしい。アラムコと云う会社は元々、英米資本の石油メジャーだ。無論今は石油だけでなくガスや銅・非鉄・ウラン等様々な分野に手を出しているが、メインが石油・ガスと云うことは言うまでもない。
 戦後、サウジに固有化され、無論筆頭株主はサイード王家。従来、株は非公開だったが数年前、一部の株を公開している。それは主に欧米向けだったが、今回日本はじめアジアにも広げようということだろう。
 さてこの裏に何があるのか?勘ぐるのが世の中の常。ワタクシとしては、どうしてもこれと最近の原油価格下げを、関連付けたくなるのである。さてこういう状況下で、日本勢はアラムコ株を買うべきかどうか?ずばり慎重に、ということだ。
 アラムコ株の値上がりと、日本経済との間には、本質的矛盾がある。アラムコ株で儲けようと思えば、原油価格が上がった方が良い。しかし、それは日本経済の首を絞めることでもある。又、円高に振れれば石油や輸入製品価格は下がるので、消費者物価も下がり、アラムコの配当もドルベースなら増加するが、円安に振れればその逆だ。つまりこれはアベノミクスとも矛盾する。
 更に今回の急激な原油安を見ても、その背景にはメジャーやGSなどの、ハゲタカファンドが介在している可能性が高いので、アラムコから安定配当が望めるかは疑問だ。アラビア人の手練手管に乗せられないよう用心。要するに博打だ。サウジ国王の狙いは博打場を広げようということだ。いかにも盗賊の親玉が考えそうなこと。
(17/03/15)

 ここ数日来、筆者が注目しているのが、NY-WTI原油価格の動向です。先週末から急落しています。こんな下げは08年リーマンショック以来です早くもトランプ期待が終わりを告げたのか?。しかしニューヨークダウやナスダックは大きな変動をみせていない。金は若干下げている。サウジの動きに連動したのか?それより不思議なのは、何故世界のエコノミストはこれを無視するのか?
(17/03/14)

 先日本HPでNYWTI での原油価格下落を取り上げたら、突然のサウジ国王来日。この砂漠の盗賊の成れの果てが、一体日本にどんな用事があってきたのでしょうか?これまでなら、日本側が石油欲しさにペコペコアラブ詣でを繰り返してきた。しかし今回はサウジ側が石油後をにらんで、日本に接近してきたというのである。つまりサウジに石油がなくなったら、あるいは世界が石油を必要としなくなったらどうすべきか、という話だ。しかし今の日本、特にアベ内閣に石油後をにらんだエネルギー政策があるとも思えない(ワタクシにはあるが)。ないもの同士で会談したところで、何も生まれない。
 それはともかく、サウジ国王が本気で国家の将来を憂うなら、とりあえず海外訪問に1000人のお供とか、高級車とか特別のキャビンなどの、意味のない贅沢は止めた方が良い。そうでなければ、誰もサウジの心配を本気とは受け取らない。国王がこれでは国民には緊張感が産まれない。緊張感なきところイノベーションも生まれず、ただばらまきと惰眠をむさぼるのみだ。と、貧乏国家のケチケチ国民は思う。
 しかし、国王が贅沢を止めれば、国民は国王への信頼を失い、国家は混乱し滅亡する。これが騎馬民族国家の宿命だ。北朝鮮のジョンイルやジョンウンが贅沢を止められないのは、そういう理由があるからだ。この感覚は我々農耕民族には、到底理解出来ないでしょう。
(17/03/13)

 マスコミはあまり報道しないのだが、一昨日からこれまでバーレル53〜54ドル台をつけていたNYWTI原油価格が急落し、いまのところ50ドルを割り、昨日は45ドル台という展開。一体何があったのでしょうか?
 WTIは4カ月先物取引だ。アメリカも暖冬で、石油在庫が積みあがっているのでしょうか?それともモスル陥落で、ISが握っていたシリア原油が、市場に出回る目途が付いたからでしょうか?それにしても落差が大きすぎる。但し40ドルを割る展開は考えにくいので、今のうちに安い原油を買って、石油備蓄量を増やしておいた方がよい。今のところ、日本の備蓄量はおおよそ170日分あるが、これではいざと云う時に産油国に対し大きく出れない。ワタクシは常々備蓄量は9〜12カ月は必要と考えている。この際、備蓄量拡大に踏み込むべきだ。
(17/03/11)

 イランが日本に対しLNG輸出を停止すると通告。理由は言わない。対イラン経済制裁解除の結果、LNGを売ってくれという国がいくらでもあるとブラフを掛ける。これ金持ちとみると値段を吹っ掛ける、典型的ペルシアバザール商法。これ自体はどってことはないが、心配なのはこの吹っ掛けに驚いて、慌てて高い買い物をしてしまう、日本の経産省とか経団連企業の弱腰。そのツケは必ず国民負担に跳ね返る。
 ペルシア商人などほっといて、自前の資源確保に資金を投入すべきである。イラン石油やLNGに頼らなくても、日本近海にはメタンハイドレートや水素燃料資源がいくらでもある。その一つでも実用化すれば、ペルシアバザール商法など、一遍に吹っ飛んでしまうのだ。
(16/06/11)

 これはここ半年ばかりのNY-WTI価格の推移。原油価格は順調に上昇しており、アベの云うリーマンショック前には見えない。なお。今年2月以降の急上昇の原因は、カナダアルバータ州の森林火災でオイルサンドやオイルシェールの生産が停止したのが原因と言われる。それも鎮火し生産も再開されている。更にイラン原油が加われば、原油価格はまた下落する可能性があります。これを一基に崩すとすれば、それはタックスヘヴン退治だけです。それでもバーレル30〜35ドルが底値でしょう。
(16/05/28)

 ここ半月ばかりバーレル40ドル前後をつけていたNY原油が、先週末から下落に転じ、昨日は35.7ドルと急落。これまでの傾向から見ると、下落傾向は約半月続きその後上昇する。従って今月下旬には反転上昇する可能性が高い。問題は底値ですが、30ドルを割ることはまず考えられないので、下がっても32〜33ドルでしょう。
(16/04/05)

 先月の21日からNY原油はじりじりと上がりだし、昨日は37.9ドルと今年最高値を記録。1月の25日にサウジとロシアが原油生産量凍結で合意し、一時33ドル近くまで上昇したがその後急落、2/21には26.9ドルまで下がった。今回もその轍を踏むのか?それともこのまま持続的上昇を続けるのか?
 原油価格が上がれば、物価上昇にプラスになるのでアベノミクスにはプラス。一方エネルギーコストは上がるので国内消費は低下する。また、原油価格の上昇はドル安円高につながるから輸出産業にマイナス。やっぱりアベノミクスにはマイナス。
 では今回のいきなりの上昇の原因はなんでしょうか?その前の原油価格下落の原因とされたのは、サウジの過度な増産と、中国経済の減速です。サウジはこれ以上の増産はしないと言っている。但し減産するとも云っていない。中国は今回の全人大で初めて6.5%成長を打ち出した。事実上のマイナス成長容認である。何処をとってもいきなり原油が上がる要素はない。
 ひとつ考えられるのは、アメリカ国内での在庫不足。先月の急な上昇は、アメリカ東部を襲った寒波の所為です。それがひとまず落ち着いたから価格は元に戻った。ところが気がついてみると、原油タンクの中は空っぽ。これに驚いた石油会社や、GSなどの投機銀行が慌てて原油の買いだめに奔ったというのが筆者の見立てです。
 この見立てが正しければ、今やアメリカ国内で、石油関連企業の今夏へ向けての、シエアー争いが始まっているということです。この争いはしばしばバブルを作ります。その結果はリーマンショックの再来です。5月サミットの重要な課題になるでしょう。当分消費税増税は無理か?
(16/03/08) 

本日毎日新聞夕刊を見ると、なんと沖縄トラフの熱水鉱床から金銀などの金属採取に成功という報道。この付近にこの種の鉱床があるのはズーット昔から判っていたが、具体的に物質採取に成功したことが重要。
 現在金価格が上昇していることから、日本周辺近海海底から金を採取することの重要性は、筆者が二日前に指摘したばかり。しかしワタクシが考えているのはこれに留まらない。近海(沿岸とは違います)海洋資源開発は、単に経済成長だけでなく、中国やアメリカの脅しに屈することなく、日本の独立を守る必須アイテムなのです。これに成功すれば原発など必要ではない。為替変動に慌てる必要もない。それどころか、石油輸入で中東に遠慮することもない。当に一石4鳥だ。
,(16/02/27
)

 今のところ株価と原油価格ばかりが世間の話題になっていますが、今注目すべきは金価格。原油は先月末一時価格を持ち直したものの、二月に入って急落、バーレル30ドル前後をうろうろ。日経平均も先月末黒田サプライズで一時上昇したがその後16000円前後。その中で際立って値動きが大きいのが金。先月末から急上昇を始め、それまでより20%以上上がっている。なお円もじりじりと上昇。株も原油も下がっているから、行き場を失ったマネーが金と国債と円に向かっているのでしょうか?
 日本で稼動している金鉱山は鹿児島の菱刈だけ。住友金属株を買って置けばよかった。他に佐渡や青森恐山などにも金鉱床はあるが、動く気配はない。今後有望なのは琉球トラフとか小笠原沖などの海底熱水鉱床。昨年噴火した西ノ島新島の周りなどは注目。他に豊臣埋蔵金とか徳川埋蔵金というのもある。つまり日本も、結構金大国なのである。金採取をアベノミク第三弾成長戦略に組み込んでもよいのだが、アベとその廻りにはそういう発想が出来る人材が居ないと見える。
 現在世界最大の産金国は南アフリカ。それに続いてアンゴラやコンゴなどのアフリカ諸国とロシア。更にペルーやコロンビアなどのアンデス国家もある。問題はこれらの国は腐敗が酷く、正常な生産と市場のコントロールができていないことである。まあ、ギャングが仕切っている世界と思えばよい。そんなところでも、よっしゃやってみよか、と思いますか?面白いといえば、これほど面白い世界も他にはありません。
(16/02/25)

 サウジとロシアが原油増産凍結に合意したというニュース。その所為かNYWTIは若干上昇30ドル台を回復。しかし問題はこれが何時まで続くかと言うこと。本日ロイターは、サウジ/ロシア合意を穴だらけと評した。穴というのは、他の産油国の合意を取り付けていないからである。今年新たなプレーヤーとして登場したイランは減産に同意とは云っていない。又、減産を強く主張してきたベネズエラやナイジェリアなどの中小産油国は、大手が減産すれば増産に転じる可能性だってある。これが穴である。
 原油価格低落の原因は、@中国経済の減速、AアメリカFRBの利上げ観測による途上国経済の打撃である。この二つの要因は未だ解決していない。特にAは今年秋のアメリカ大統領選まで結論は出ないだろう。従って、原油価格の動向はまだまだ判らない。
(16/02/18)

 週明けNYWTIはバーレル30,34ドルと下落。その所為で日経平均も400円の下落。思った以上に高値が維持出来なかった。これは先週末の北米寒波で個人・企業が石油買いに走ったため過剰備蓄となり、その分買いが戻らなかったのでしょう。
 本来なら今頃バーレル25ドルを割って可笑しくないのに、一応30ドル台をキープしているのは、寒波影響がまだ続いているということです。今週後半にはアメリカ東部も天候が回復する見込みですから、原油価格は更に下がるでしょう。
(16/01/26)

 一昨日からNYWTIは何故か上昇を続けている。ECBの金融緩和情報の所為かと思ったが、どうもそれだけではないらしい。現在アメリカは、東部を中心に猛烈な寒波に襲われている(CNN)。20州に非常事態が宣言され、一部では生命の危険もあるという情報もある。このため一時的に石油購買量が増え、原油価格が上昇したと見たほうが良い。筆者は北米の気象を予測出来るだけの情報手段は持っていないが、この寒波が偏西風蛇行の影響とすれば、その周期は大体1週間。つまり今月一杯は寒波が続き、その間原油価格は高値をキープするが、その後また下落するでしょう。上値は35ドル前後ではないかと思います。
(16/01/23)

 NYWTIは昨日若干上がったので、これが暫く続くかと思っていたら、一日も持たず本日早くも30ドル割れ。これでは筆者の予想より一ヶ月早く、今月末にはバーレル20ドルに達しそうな勢い。この原因として筆者はこれまで中国要因、地政学的要因、気候(環境)的要因を挙げてきましたが、なんとなくこれにアメリカの国内要因を加えてみたくなりました。
 ご存知のとおり、アメリカ共和党最大支持団体は石油業界です。オバマは昨年来、石油業界の打撃になる政策を次々と打ち出しています。一つはイランとの関係改善。次がアメリカ産原油の輸出解禁です。これらによりイラン産やアメリカ産原油が大量に国際市場に供給される。その結果が原油価格の押し下げ要因になる。昨日の原油がチョット上がっただけでの大騒ぎは、この業界が相当焦っているという証拠。
 オバマの狙いはずばり今秋大統領選。石油価格を下げて石油業界をピンチに追い込み、共和党を兵糧攻めにしようという作戦。お陰でドル安円高株安が進み、アベノミクスは風前の灯。逆に通貨をドルにヘッジしている韓国には有利な展開になる。日韓関係改善に踏み込んだ朴クネは、原油価格の動向を見誤ったのか?それともオバマに何かささやかれたのか?
(16/01/16)

 今朝ネットを見ていると、NY株の上昇に釣られ日経平均も急騰。NY株上昇の原因はと見ると、NYWTI価格の急上昇とある。そこでどれぐらい上がったかと見ると、前日終わり値のバーレル30.48ドルが、31.2ドルに上がっただけ。
 昨年10月からのNYWTI価格の変化を見ると、20〜30日サイクルで山谷を繰り返している。1サイクルでの上昇幅は概ねバーレル3〜4ドル。これが何日も続かない。再び下降に転じると7〜8ドル位下落する。つまり山谷を繰り返しつつも、全体としては下降トレンドなのである。
 最近では01/13にバーレル30.44ドルがあり、これを短期底値とすると、来週前半にはバーレル33〜34ドル付近まで上昇が期待されます。しかしそれも長続きせず、後半以降にはバーレル27〜28ドル付近まで下落するでしょう。そしてこういうことを繰り返しながら、来月後半には20ドルまで下落する。これがゴールドマンサックスの予測です。
 何故こうまで下がるかと言うと、無論中国経済の減速とかOPEC内部の主導権争いとか色々ありますが、最大の原因は、最大の石油消費国であるアメリカで石油が売れないということです。何故か?日本もエルニーニョの影響で暖冬が続いていますが、北米も偏西風の蛇行で空前のポカポカ陽気。これが石油だぶつきの最大原因と考えてよいでしょう。
 ということは原油価格回復は、少なくとも今年冬、それも気温が例年通りに戻っての話だ。温暖化が」更に進めば、石油産業の破滅である。
(16/01/15)

 アメリカのシエールオイル業界最大手のコンチネンタル社のオーナーが、原油価格は今年末には倍の60ドルまで跳ね上がると発言。そうなるかも判らないし、ならないかもしれない。全く予測が付かないのがこの業界。当たり前だが現在マスコミで報道されているNYWTI価格は4ヶ月先物相場だから、現在価格を表しているわけではない。4ヶ月先にはどうなっているか判らないのである。つまりバクチだ。商品先物取引とはそういうものなのである。
 只このオーナーの言い分はおかしいところがある。彼は現在の原油価格下落の原因をサウジの増産と、アメリカの石油輸出解禁の所為だと主張している。それらは原因の主要な部分だが全てではない。この人物、世の中全てが石油の値段で廻っていると勘違いしているようだ。
 現在の原油価格下落の最大要因は、サウジアラビアのシェアー確保政策にあるのは誰も知っているが、もう一つ重要な点は中国の経済減速と、ロシアに対する経済制裁である。プーチンは先日国家予算の1割削減を指示した。原油価格下落はジワジワとロシア経済を脅かしている。ロシア/中国経済減速は、北朝鮮にどういう影響を及ぼすか?
 今価格が下がっているのはなにも石油だけではない。鉄鉱石や天然ガスなど地下資源は軒並みだ。中国では鉄鋼関連企業の4割が倒産に追い込まれている。最近住友商事がマダガスカルでのニッケル開発で770億円の損失計上を発表した。只上がっているのは金だが、金が世界経済に占める割合は極僅かなので、大きな期待は持てない。
 と言うことは、当面原油価格の回復に必要な要件は、中国経済の回復なのである。中国経済回復の足を引っ張っているのはなにか?それは国内経済の非効率、それと海外投資の赤字である。これらをまともな形にするには少なくとも10年懸かるといわれる。筆者はそれどころか倍は懸かると思っている。その間に中国に替る景気の牽引車が出れば別だが、今のところあまり期待できない。と言うわけで今後10〜20年は今のような状態が続くと思っておいた方がよい。但し原油価格は飽くまで商品先物でバクチ商品だから、思惑で上がったり下がったりする。そこを上手く売り抜けるのがプロだ。なお中国経済が回復すると、同時にロシアや北朝鮮などのややこしいヤンキー国家も元気を回復するので、あり難いような迷惑なような。
(16/01/14)

ジョンウンが核実験をやったり、サウジが幾らイランを挑発しても、ニューヨーク原油先物価格(NYWTI)は、ワタクシが云ったとおり下落を続け、昨日は遂にバーレル31.41ドルと30ドル割れ目前。
 しかしこの期に及んでまだ石油危機論にしがみつく愚か者がいる。昨日のロイターでは、ある評論家が最近の中東状勢を取り上げ、「今後石油は値上がりする、年内には100ドル超もあり得る。ホルムズ海峡問題がこれを支持する」と怪気炎。そうなるというより、この評論家がそうなって欲しいと思って居るだけだろう。こんな解説は40年前、イラン/イラク戦争が始まったときに出てきた。日本では武村健一という只の三流英語教師が、あたかも政治経済の専門家らしく週刊誌などにこういう駄法螺を吹きまくっていた。現実はその正反対だったのである。
 そうかと思えば昨日BSフジ「プライムニュース」。ゲストスピーカーはお馴染みの経済評論家だが、みんな最期にはホルムズリスクを上げる。これは多分自らの景気予測が外れたときの安全パイとしてホルムズ海峡を残しておきたかったのだろう。つまりホルムズ海峡は最早現実の地政学的実体ではなく、経済評論家の逃げ道になってしまったのである。
(16/01/12)

 ワタクシが云ったように、サウジとイランが断交してペルシア湾岸域の緊張が高まっても、原油価格は上がらない。それどころか、昨日は前日に比べバーレルで2ドルも下がっている。昨日何が起こったかと言うと、上海株の下落でサーキットブレーカーが発動され、それにつれてダウも下落した。なおロンドン金は若干上がっています。つまり原油価格は中東情勢より中国景気により敏感に反応するということだ。昨年日本政府与党が安保法案の根拠にした、ホルムズ海峡問題は何の意味もないと言うことである。
(16/01/07)

 イランで起こったサウジ大使館襲撃に対し、サウジは対イラン国交断絶、イラン外交官追放措置。普通なら宣戦布告一歩手前のようだが、そうはならない。何故なら両国とも直接国境を接していない。ペルシャ湾を挟んでの海戦や渡洋作戦があるかと言うと、両国ともそれを出来る海軍力を持っていない。おまけにペルシャ湾には、アメリカ第5艦隊が睨みを利かせているから何も出来ない。
 結局はアラブ商人とペルシャ商人が、バザールで云い会いをするだけのパフォーマンス。但しお互いが雇った刺客によるテロ騒ぎは増えるだろう。しかしこれも中世以来の伝統行事のようなもの。今に始まったわけじゃない。
 問題は原油価格の推移だが、基本的には変らないと考える。これはかつてのイラン/イラク戦争からの教訓である。無論ホルムズ海峡にもなんの動きもない。
 原油価格は投機筋の動きで若干の乱高下はあっても、長続きはしない。ベースラインは下降気味で安定。下手するとバーレル20ドル割れもあるかもしれない。何故なら、お互いが相手を苦しめようと、安売り競争に奔る可能性が高いからだ。但しこれが反転する可能性もある。それが何時かと言うと、アメリカ会計年度の中間決算にあたる4月頃、又は大統領候補者が決定する7〜8月頃か?
 なおこの見解を裏付けるものは、本日中国上海株の急落。この結果、原油価格は更に下がるでしょう。中国経済減速影響は両国の思惑を上回るものだからだ
(16/01/04)

 新年早々、サウジがいきなりシーア派始め反体制派47人を一斉処刑。これにイランが強く反発。さてこの結果は原油価格に反映されるのでしょうか?明日当たりいきなりバーレル45ドルなんて相場が出来るかもしれない。ということは、この儀式、なんとなく低迷を続ける原油価格相場吊り上げ狙いパフォーマンスの感もある。まさかこれをホルムズ海峡に持って行くのではないでしょうねええ。
(16/01/03)

 オバマがアメリカ産原油の輸出解禁を発表するとNYでは原油先物がジワリと上昇しています。オバマ発言につれてサウジ石油相の「原油は現実的な価格に落ち着くべきだ」などという発言に影響されたためでしょうか?
 只でさえ供給過剰と云われる石油市場にアメリカ産原油が加われば、もっと原油価格が下がるのではないか、というのが一般的観測だが、事実はその逆だ。但し値上がりしたのはテキサスの話。輸出解禁でテキサス産原油が輸出に廻るから、一時的に品薄になるという読みかもしれない。ではサウジ発言の真意は何でしょう?
(15/12/26)

 今週に入ってもNYWTI原油価格はバーレル40ドルを回復できない。ゴールドマンサックスのアナリストの読みによれば、年末から来年にかけて、バーレル20ドルまで落ちるらしい。これの理由にはOPEC内部の対立もあるが、全世界的な石油余り、それを作った中国経済の減速が考えられる。
 昨日ネットを見ていると、中国では鉄鋼業界で、鉄鉱石の投売りが始まっているらしい。特に造船・不動産などの過剰設備産業分野で、人民銀行の融資が抑えられたため、資金繰りに困った企業が資産の投売りを始めたからだ、と云われる。
 中国産業の過剰設備問題は昔から云われたこと。今頃何故こんな政策を取り出したのでしょうか?先月中国人民元のSDR資格が承認されました。これこそ中国政府が自国を一等国として国際的に認めさせる第一歩。実はこのときに、IMFから経済構造改革を強く要求されたのではあるまいか?IMFの狙いは中国過剰設備の整理・縮小だ。IMFを実質的に取り仕切っているのはアメリカ。中国のSDR申請を奇禍として、中国に強い構造改革を要求し、生産力を低下させ、あわよくばこれによって中国の国際的影響力を削減しようという手の込んだ、いかにもアングロサクソン流謀略。習近平もこれには勝てなかったわけだ。
 このように、世界的には原油価格は低下し、その結果生産設備の整理・縮小は世界的傾向。それにも拘わらず、企業に設備投資を要求する我国政府のアナクロ振りに驚かされる。当たり前だが幾ら生産規模を拡大したところで、市場が縮小していくのでは、日本が将来中国と同じように過剰設備で苦しむことになる。つまり、今の政府の狙いが何処にあるのか、さっぱり見えないことが問題なのである。
(15/12/09)

 昨日NYWTI原油価格は一気にバーレル2ドル下げ、37.7ドル前後。果たしてこのまま、ワタクシが云ったように奈落の底に落ちるのでしょうか?08年のリーマンショックの後は、NYWTIは12月に入ると40ドルを割り、年末には30ドルを割るかと見えたが、年末にイスラエルがガザに侵攻して、たちまち倍のバーレル40ドル回復だ。これなど、ブッシュとイスラエルとの間のヤラセ以外の何者でもないが、今のオバマとネタニヤフとの間には、ブッシュ時代のような協調性はない。むしろパレスチナ問題を巡って対立関係にある。従って08年のような奇跡は起こらない。あるとすれば、ロシアが一方的に減産に踏み切った場合だけだ。但しこれはプーチンのクビが懸かっているだけに簡単にはいかない。
(15/12/08)

 一昨日NYWTI原油価格は遂にバーレル39.94ドルと40ドルを割りました。昨日40ドル台を回復したものの、たいした動きではない。この背景には世界的原油余りと、OPEC内部の対立があるようです。減産に積極的なのはベネズエラ・イランなど反米諸国。これに対しサウジが反対する。反米諸国が減産に踏み切ったところで、サウジが増産すれば何にもならない。産油国にしてみれば、価格は下がるは生産量は減るは、のダブルピンチでやっていけなくなる。
 では何故世界的原油あまりが生じたのでしょうか?それはアメリカのシェールオイル、シェールガス開発です。これに脅威を感じたサウジが石油増産に転じた。これに追随した産油国も少なくないはず。
 ここで怪しいのがロシアの動き。ウクライナ騒動で西側の経済制裁に会い経済的に苦しい。それに対抗するために石油減産で西側に揺さぶりを掛けるのが常道だ。しかしロシアは減産に反対していると云われる。何故か、減産すれば石油産業に大打撃を与える。その結果大量の失業者を生み出しかねない。だから口では減産を、と云っているが本心では自分は減産する気はないのである。今中東情勢は不安定だ。実はこれこそロシアのチャンス。
 と言うことで、ISと中東情勢が不安定な限り、原油価格は低水準に留まるでしょう。なおこれは、かつてにイラン/イラク戦争から得られた教訓です。
(15/12/04)

 ロシアがシリアを空爆しようが、ISがテロをやろうが、一向に原油価格は上がらない。それどころか逆に下がって昨日などNYWTI1はバーレル40ドルギリギリ。この辺りが下値支え限度のようだ。仮に40ドルを割ると、あとは奈落の底。リーマンショックの二の舞だ。
 原因はやっぱり中国経済問題ではなかろうか?中国経済の減速は予想以上に大きく、中国人民銀行の為替操作だけでは回復できないレベルに達しているおそれがある。こんな状態で、人民元を国際通貨にするのは、やはり時期尚早。一段の国内構造改革を要求すべきである。
 それと人民元紙幣は、デザインも単純だし、印刷も粗雑。第一使っている色の数が少なすぎる。あんなもの、あっという間に偽札が作れる。これまで偽元札が出なかったのは、元が決済通貨じゃないから作っても意味がなかったからだけだ。元が国際通貨になると、たちまち偽元が世界に溢れて、世界経済は大混乱に陥るだろう。
(15/11/18)

 本日のNYWTI原油価格はバーレル40.76ドルまで下落。40ドル割れは目前です。そしてこれとほぼ同時に起こったISのパリテロ事件。果たしてこれ等の事件は無関係でしょうか?パリテロ事件で原油価格が変動するかどうかが問題です。
 ISがこのところテロに奔る・・・・シナイでのロシア機爆破・・・のは、最近の原油価格下落で原油密輸収入が減って、末端までの資金供給が滞り、焦っているのかもしれない、という見方は一定の説得力を持っています。と言うことは原油が下がれば、更にテロが過激化すると云うことだ。
 さてどうでしょうか、週明けの原油価格の動向に興味があります。
(15/11/15)

 前日に続いてNYWTI原油価格が続落。昨日終値はバーレル43.2ドル。WTIは8月末と10月初旬にそれぞれ49ドル台をつけた。前者は中国人民銀行の市場介入、後者はロシアのシリア空爆の影響とみられるが、どちらもその後下落。やっぱり中国経済減速懸念が強いのか。それともアメリカの南シナ海介入で、原油流通確保に安心感が生まれた所為か?
(15/10/28)

 一昨日以来の原油価格上昇。原因は何かと考えてみると、やはりロシアのシリア空爆ではあるまいかと思われます。この空爆で俄かに原油供給が影響される可能性は殆どないが、国際緊張の高まりは投資家心理を圧迫する。これが一時的な原油値上がりを誘っているのでしょう。あまり長続きするとは思えません。
 では何故ロシアはシリアを空爆したのでしょうか?表向きISやテロリストを撃滅するためと云っていますが、そんなこと信用する者など誰もいない。アサド政権を支援するためか?ロシアはそんなにアサド政権に恩恵を受けているわけではない。プーチンにとってアサドなど、ウクライナのヤヌコヴィッチと同じで、対欧米カードと使えるなら保護をするが、用が無くなればさっさと切り捨てるだけ。プーチンは義理とか恩義とか友情と云ったロマン的言葉には、一切興味を持たない人間なのである。そうでなければKGB将校は務まらない。
 プーチンがシリア空爆という対米強硬路線に踏み切ったのは、習近平の対米軟化があったからと思われる。9月の訪米で、習はオバマに横っ面を張られた。それ以来弱気になってしまった。これはイカン。ここで習の尻をはたいて中米対立を煽り、良くんば漁夫の利を狙う。そして習が狙っている米中二ヶ国世界分割に割ってはいろうという作戦。
 ロシアはイワン雷帝・ピョートル大帝以来、権謀術数大国だということを忘れてはならない。
(10/10/09)

 昨日何故か、いきなりニューヨーク石油価格が上昇。何故か判りませんがVW問題がアメリカ自動車産業にプラスに作用し、その結果ガソリン需要が増えるとでも思ったのでしょうか?しかし上値は重く2ドル27セント上がっただけ。又下がるでしょう。原因は中国市場です。中国経済減速にも拘わらず、金融機関や国営企業の改革が進まない。そのため日本始め海外企業の逃避・撤退が進んでいる。そして止めがインドネシア高速鉄道不透明入札事件。これでインドネシアへの海外投資が減り、インドネシアルピアは18%下落した。これでますますインドネシアへの投資は減速する。これが更に中国経済にマイナス影響をもたらす。その原因を作ったのは中国本人なのだから仕方がない。
 つまり世界経済は下手をすると、今後中国という厄介な病人を抱えていかざるを得ないのだ。ギリシアのような小さい病人なら安楽死を与えても、世界経済に大きな影響はない。しかし中国は桁が違う。中国に安楽死を進める勇気のある人がこの世にいるでしょうか?ギリシアごときであんなにうろたえた世界が、中国危機に上手く対処できるわけがない。
 なお中国経済危機の原因は、軍部・官僚・共産党に代表既得権益という寄生虫、それと外部からやってきた海外資本という感染バクテリアという病原体によって身体が蝕まれたことです。ではこれは我が日本に無関係でしょうか?日本にも多くの寄生虫や感染バクテリアがいます。例えば霞ヶ関ウイルスとか、自民ウジ虫とかアベノミクス線虫などです。この際大村先生が開発した微生物で、これらを除去できないでしょうか?出来ます!それは選挙の一票という微生物です。
(15/10/07)

 本日ロシアのエネギー副大臣が原油価格がバーレル40ドルを割れば、石油減産に踏み切ると言明。欧米の経済制裁がジワジワと効いてきたみたいだ。つまりプーチン強腰の限界がバーレル40ドルということ。しかしここでロシアが減産に踏み切ったところで他のOPEC諸国がそれに追随するかどうか判らない。ロシアが原油減産に踏み切れば、またこれで原油価格が上昇すれば、只でさえ見通しが立たない中国経済減速を加速することになりかねない。それは廻り回ってロシアに跳ね返ってくる。下手すると中ロ対立の再燃だ。
 もう少し詳しく解説すると、ウクライナ問題でヨーロッパ各国はロシアからの石油天然ガスの輸入を縮小し、資源輸入の多様化に踏み切った。そこに突然襲った原油安。ロシアはヨーロッパ以外の国に石油を売りまくらなければならない。最大の購買先は中国。他にインドやベトナムなど非産油の新興国・途上国、いわゆるBRICS諸国だ。これらの国はロシアからの安い原油でひとまず息をついた。ところが次にきたのが中国経済減速。ロシアを含めこれらの国の経済は中国に大きく依存している。もしロシアが石油減産に踏み切って原油価格が上昇すれば、中国だけでなく新興国・途上国経済も打撃を受けるから、これらの国の通貨が下落し、国際的金融不安を招く。そうすれば、新興国市場に懸けているロシア経済も打撃を受けるのである。
 ロシア人の中国に対する見方は、プーチンと一般国民とで、かなり温度差があるように感じる。一般ロシア人はプーチンほど中国を信用はしていない(プーチンだって本音はどうかわからない。対欧米カードに使っているだけだろう。無論習だって同じだ)。特に軍人には対中国警戒心が相当強いと見ておいたほうが良い。
 ワタクシ自身は来年はバーレル35ドル台がベースになるのではないかと思いますが、今回のように石油市場には、しばしば政治的思惑で揺さぶりを懸けてくる勢力があります。それらに対抗するには石油備蓄の拡充です。現在日本の備蓄量は1年分ですが、アメリカは3年分の備蓄量を確保している。これに比べ、日本の資源エネルギー政策は、大変不確かなものです。誰かが邪魔をしているのです。それは資源エネルギー庁の中の原子力政策局、所謂原子力ムラ。彼らにとって、原子力の比率を下げる政策は何が何でも防がなくてはならないのです。
(15/09/21)

 ゴールドマンサックス他の石油シンジケートやOPECの一部との話し合いで、原油価格は少なくとも現状維持。それどころか来年(16年)度の価格維持が話し合われた。
 WSJによると、OPECに価格向上の気は無い。おそらく来年はバーレル35ドル展開が予想されます。これは幾らなんでも無茶苦茶じゃないかと思うが、アベノミクスにも影響を及ぼします
(15/09/14)

  どうも週明けNYでも東京でも株価は下落し、おまけに原油先物も下落。先週のG20会合は何だったのでしょうか?アホが20人も集まって、うじうじ愚痴を並べても拉致はアカンという典型例だ。G20なんてやめてF20に改めたほうがよいだろう。Fは勿論フーリッシュのことです。
(15/09/07)

 先月末にはバーレル40ドルを割ったNYWTIも、中国人民銀行が市場介入すと途端に回復、8/31には49ドル台まで急進。それに伴って各経済指標も急進した。さてこの勢いが持続するかと見るとよく判らない。翌日の9/1には45ドル台まで下落、その後も45〜46ドル辺りをウロウロ。
 さて昨日G20財相会議があって、日本の麻生は今後も中国の構造改革の必要性を指摘したが、中国人民銀行側はそれを否定し、中国政府による相場安定政策に問題はないと反論。これに対し日本を除く19ヶ国が賛成したという。さて何故賛成したのでしょう?
 仮に日本が要求するように中国が構造改革を進めれば、国有企業を中心に莫大な失業者が発生する。それが元不安を煽り、返って自国通貨安に繋がることを恐れたのだろう。特に中国経済依存度の高い新興国ではその傾向が強くなる。かくして中国構造改革は遅れ、国有企業・不動産業の赤字体質は温存される。
 しかし市場は別のメカニズムで動く。このG20決定が市場にどういう影響を与えたかは、明日か明後日にならないと判らない。週明けの動きに注目。
 なお今回のG20決定は中国政府・金融当局に安心感を与えてしまう可能性が大。その結果再び放漫経済に陥れば、又もバブルを招き、世界経済を不安に落とし入れるだろう。
(15/09/06
)

 NYWTIはとうとうバーレル42ドル台で、30ドル台も間近。ホントにこのまま30ドル台に突入するのでしょうか?バーレル30ドル台と言うのはクリントン政権時代の価格。その前のレーガン政権時代は10ドル台だった。クリントンはドル安政策を進めて後半に20〜30ドル台まで持っていった。次のブッシュはイラク戦争を始めて、40〜50ドル台まで持っていった。石油成金のブッシュ財閥やオイルマフィアのハリバートンやベクテルはぼろもうけ。無論チェイニーやライスの懐にも、たんまりドルが入ったはず。
 その後の物価上昇を考えれば、今の原油価格はレーガン時代並みということだ。では昨年のバーレル110ドルというのは一体何だったのでしょうか?霧のように消えてしまった。これがバブルです。オイルバブルを作った原因の一つに、アメリカによる中東戦争とオイルガス・シェール誘導があります。みんなこれにひっかかったのです。中国もロシアもみんなひっかかった。一番馬鹿を見たのはロシアのプーチンだったかもしれない。
 皆さん、よおく世界の近年の歴史を思い起こしてください。1980年にイラン革命が起こり、続いてイラン/イラク戦争が起こったが、これによる原油価格上昇は・・・起こる起こると危機を煽った評論家は一杯いたが・・・起きていない。2001年にアメリカによるイラク戦争が起こった。これでたちまち原油価格は倍増した。さらに増えたのが、イスラム圏での政治的混乱。スーダンやナイジェリアでの混乱も、元を正せば原油価格だ。ソマリアやイエメンはそれに影響されただけ。
 つまり、原油価格の高騰はアラブイスラム世界の混乱がまねいたのではなく、その不安定性が混乱を招いたと云ってよい。ナイジェリアでの原油生産地域は欧米資本が支配するキリスト教地域。一方北部のイスラム地域はその恩恵に預かれない砂漠地帯。スーダンも同じ構図。そこに原油価格の高騰が加わった。その結果南北経済格差は広がるばかり。そこにアルカイダが付け込んで混乱を拡大した。いわば原油価格の不安定性がアラブイスラム地域の混乱を拡大したともいえる。
 しかしこれは戦後冷戦構造の中で生まれた対立理論。それを利用しているのがイスラエルで、うまうまとはまっているのがアベ晋三なのだが、誰もそういうことを云わない。
 そこに発生したのが、今度の原油安。これは果たしてアラブイスラム圏混乱を沈静化する原因になれるでしょうか?なるかもしれないし、返って混乱が複雑化する恐れもある。難しいですね。
 しかしホルムズ海峡妄想を除去する役割は果たせそうです。あんなものタダのアホの妄想か、インチキペテン師のペテン。
(15/08/15)

 まだまだ止まらぬ原油安。ニューヨークではバーレル40ドル割れも目前になりました。今から1年前にはバーレル110ドルだったのに、、天国から地獄だ。ここで日銀は大幅金融緩和持続を表明。原油が下がっているのに金融緩和とは腑に落ちない、逆ではないかというのが一般人。ところが黒田流異次元金融政策では逆発想になる。ワタクシには理解出来ません。
 要するに目標の物価上昇率2%が達成できない。これでは消費税増税の効果もない。その元凶が原油安と言うわけだ。しかし金利がゼロのままだし、原油も安ければ、市場には資金がジャブジャブ状態。これまでだったら余った資金でバブルを作れたが今まはそのネタもない。
 東京オリンピックはバブル作りの良いネタだったが、新国立騒ぎでそれもおじゃん。安保法案で防衛バブルでもつくるか。そのためには尖閣か南シナ海で騒ぎを作ることだ。しかし今の内閣支持率では無理。
(15/08/08

昨日NYWTI原油先物価格はとうとうバーレル45ドル割れ(44.66ドル)。今年三月の最安値43ドルに近づいてきました。この辺りを底値にして再び反転するでしょうか?今年は世界中で異常気象が相次いでいます。猛暑の年は極寒といわれまから、今の内冬に備えて石油を買いだめしておけば良い。
 我が日本国政府もそんなにホルムズ海峡が心配なら、原油が安い内に買いだめして、備蓄量を増やすべきだ。みんながそうすれば原油価格は持ち直すはずだが、一向に価格下落に歯止めがかからない。誰もそうしないからだ。と言うことはみんな寒冷化もホルムズ海峡危機もないと思っているのだ。
(15/08/07)

 プーチンがOPECに脅しをかけたにも拘わらず、原油価格は相変わらず下落をつづけています。昨日はNYでバーレル46ドル台。45ドル水準が目前に迫ってきました。この結果多くの石油ブローカーが破産しているはずです。
 同じように下がり続けるのが”金”。ロンドンでは年初より20%程度下落・・・石油よりマシだが。中国経済減速の影響は予想外の影響を持っているようです。
(15/08/04)

 NYWTI価格低下は止まらず、昨日遂にバーレル48ドル割れ。これと同じように上海株価指数下げも止まらない。どちらも政府を信用していないという点で同じだ。
 これに一番気をもんでいるのはプーチンか?原油が下がれば天然ガス価格も下がるから、外貨獲得はますます難しくなる。中国が天然ガスを引き受けてくれるはずだが、今の中国景気ではこれが何時まで続くか判らない。とうとう内務省役人11万人のリストラに踏み切ったが、彼等をどうやって食わしていくのか?かつてロシア帝国が採った手は周辺各地を植民地化し、そこに余剰人民を送り込むということだった。
 と言うことは、これらロシアリストラ人民をクリミアや東ウクライナに送り込む腹積もりか?
(15/07/28)

 昨日イランのナザルアリフ駐日大使が「我々だって石油を売りたい。そのイランが石油を売れなくするホルムズ海峡封鎖などするわけが無い」と発言。これは筆者が前から云ってきた「ホルムズ海峡危機妄想論」をイラン側が認めたようなものだ。
 そもそもイラン(ペルシャ)人は商人。千夜一夜物語でもペルシャ人はしばしば商人として登場する。商人と言うものは交渉をしたがる。交渉によって互いの妥協点を探り、値段の折り合いをつけるのだ。
 アメリカとイランとの関係が何故ここまで悪化したかと言うと、お互いにイスラムの坊主とか、キリスト教右派とかの宗教原理主義者がいて、それが実利的交渉を妨げてきたのである。更にややこしいのはこれにイスラエルと言う宗教団体が加わって、アメリカの保守派を自分の教義に洗脳したからである。
 さてここで我国。以上述べたことは普通の常識をわきまえた人間なら誰でも判る。しかし際立ってホルムズ海峡危機感を煽るのが、総理大臣であるアベ晋三とその側近達。中でも彼等を動かしているのが「日本会議」という右翼似非宗教団体。これも頭のおかしい坊主や神主やそれにたぶらかされた狂信徒の集まり。しかもこれを背後で操っているのが国際ユダヤ組織の疑いがある。
 大正末期に酒井勝軍という狂信者が唱えた「日猷同根説」というのがあった。古代イスラエルの民が日本にやってきた、そのリーダーが日本天皇だという与太話。意外にこれを信用するアホが多いのだ。その残党が他のアホ宗教とつるんで作ったのが「日本会議」。例の「武内文書」や「ツガル外三郡史」などがこれのプロパガンダとして利用されるが、これらは紛れも無い偽文書。
 今年春アベ晋三が第二次アベ内閣発足後最初に会った外国首脳が、イスラエルのネタニヤフ。対パレステナ最強硬派だ。その後カイロに飛んで、例の後藤さん殺害の引き金となったカイロ演説。これらの一連の行動の背後にイスラエル=ユダヤ国際組織によるアベ操作があるのは疑いはない。要するにアベの集団的自衛権根拠となるホルムズ海峡問題は実体は何にもなく、単にアベがユダヤ人に踊らされただけなのだ。
 本日のNYWTI価格を見ると、遂に一段と下げバーレル50ドル相場。40ドル台は目前だ。何故こんなに下げたのでしょうか?短期的には中国景気減速の影響を受け、キャタピラー始め建設機械株が売られ、ダウ平均が大幅に下げたことが挙げられます。この影響は無論日経平均にも及びます。しかし筆者はもっと背景に何かが動いているのではないか?という疑惑を持っています。それはプーチンの陰です。ウクライナ問題に発する米欧の経済制裁を逆手にとって、石油・天然ガスを安値で闇販売し、米欧石油資本を叩き潰そうという戦略か?石油でもバーレル40ドルを切ると、欧米系メジャーは苦しい。しかしお陰で世界の石油供給はジャブジャブだ。
(15/07/24)

 NYWTI原油先物価格はギリシアが一応EUの要求を呑んだので52〜53ドドル台まで低下。その後アメリカ/イラン核協議の進展でさらに50ドル前後まで下落したが、今のところ大きな値動きは無く膠着状態。市場は様子見と云ったところでしょう。
 ロシアがクリミアに爆撃機配置を発表したが。昔ならあっという間に原油価格が上がったが、今回は何の関係もない。世の中・・・アベの云う世界安保環境・・・は変わっているのである。
(15/07/23)

 ギリシアの緊縮策反対で急落した原油価格がその後一時持ち直した。その後米イ核協議の進展で更にNYWTIはバーレル1ドル程下がったが、その後ウロウロ。この協議が今どう進展するのか模様眺めと言うところでしょう。
(15/07/18 )

 日本の安保法案審議より重要なのは、アメリカ/イラン核協議。これに比べれば日本の自衛隊が何処へ行くかなど小さい話なのだ。これが昨日一応の妥結を見た。アメリカがイラン経済制裁の一部を解除する代わりに、イラン側は核濃縮を今のレベルで留めるということだ。無論イラン側がこれを遵守するかどうかは不確定要素があるが、少なくとも本日衆院委員会で可決した安保法案の理由説明の一角が崩れたのは間違いない。筆者が常々云っているのはホルムズ海峡問題と言うのはただの幻想・妄想・たわ言である。これに基づく日本安保法案もたわ言の集まりといわざるを得ない。
 さて今回の米イ合意について一番焦っているのは、他ならぬイスラエル。そもそも中東問題がここまでこじれてきたのは、双方にいる原理主義者達が原因である。元々イラン(ペルシャ)人は商人である。商人は戦争よりは交渉をしたがる。ところが原理主義者達はそれを道義的堕落とし、交渉を禁止する。こういう原理主義者は何処にでもいる。イランにも革命派を中心にいるし、アメリカにも共和党保守派がそれである。そしてこれを支援しているのがイスラエル保守派。そのトップがネタニヤフだが、今年始めアベはネタニヤフと会談し、直後の例のカイロ演説を行なった。そしてその後に起こったのがISによる邦人殺害事件である。
 ここから見えるのはアメリカとイスラエルとの対立があって、そこに日本がイスラエルと接近すれば日米関係が悪化しかねない、一方アメリカとイランが和解すれば石油輸入が有利となっるという、矛盾に満ちた構図である。
 全ては来年のアメリカ大統領選挙待ちになるが、米イ協議は日本の安保政策、ひいてはアベ自民政権の運命にも影響する。
(15/07/15)

 ギリシア緊縮策拒否決定で、原油価格が急落。NYWTIは5月以来バーレル60ドル前後をキープしていたが、昨日終値は52,58ドルと55ドルを割る展開。欧州だけでなく世界同時不況を見ているのか?これでショックを受けたのがロシアか?NYWTIは今年3月最安値の43ドルを付けたあと順調に回復し、4月末には60ドル近くに達し、その後多少の変動はあったもののバーレル60ドル前後で安定していた。これがロシア経済の回復に寄与し、最近のプーチンの強気の原動力になっていた。それが・・・予測はされていたものの・・・急速な価格変動に見舞われた。プーチンにとっては予定が狂った。問題は原油価格がこのまま下がるのか、いずれ回復するかの見極めである。ドッチもサウジの胸先三寸ではなかろうか?
(15/07/07)

 本日ネットを見ていると、元タンカー船長という人が、現在のホルムズ海峡問題を取り上げ、現実を見ないピンボケ論争と批判。元船長曰く「ホルムズ海峡の海底地形は複雑で大型船が通過できる範囲は限られている。過去に何度も触雷事故は発生している」としパイプライン説に対しては「各国・企業がバラバラでやっており、コストもまちまちだ。ガソリンの様な液体と違って原油はパイプでは輸送出来ない」と一刀両断。
 筆者はこの談話を読んでこいつはアホだと思った。まず海底地形が複雑なら、単純になるよう海峡地形を拡幅すればよい。そんなもの技術的にはとっくの昔に出来ている。むしろ日本企業の得意技だ。原油がパイプラインで運べないという説に至っては唖然とするしかない。元船長が挙げたガソリンこそパイうでは運べないのだ。シベリアでもアラスカでも、原油はみんなパイプ輸送だ。百歩譲ってパイプ輸送の効率が悪いとしよう。その場合は鉄道輸送という手段もある。
 ペルシア湾岸沿いに鉄道を敷設するなど簡単なこと。この程サウジの王子が3兆ン千億円だかを慈善事業に寄付すると発表した。その内何%かがISに流れる可能性もある。それを防ぐためにもペルシア湾鉄道などこの寄付金を使わせたほうが良い。と言うわけで、ホルムズ海峡機雷掃海はやっぱりアナクロなのである。
 この元船長は典型的専門馬鹿。この種の人物は、所詮職人で、自分がこれまで住んできた以外の世界が見えない。自衛官や警察官、教師に多い。海の男だから陸が見えないのである。パイプラインを否定するのは輸送技術の問題ではなく、要するにこのオッサンが陸が信用できないだけの話。本人自身がピンボケなのである。
(15/07/06)

 サウジアラビアが今世紀半ばには化石資源が限界に達するとして、再生可能エネルギーへの投資を強めると発表した(本日ロイター)。最大の化石資源生産国が、もう商品はいずれなくなると云っているのに、ただの消費国である東洋の某経済大国の指導者は、相変わらず原油安定輸入が国家存立の重大事と、いまだにホルムズ海峡神話にしがみつくアナクロナンセンス振りを発揮。幾らホルムズ海峡を守っても、肝心の石油がなくなれば何にもならない。
 これなど石油を教祖麻原に例えれば、未だそのマインドコントロールから抜け出せないオウム真理教信者のようなものだ。ホルムズ海峡だけでなく、中国が主導する「新海のシルクロード」は事実上インド洋海上通行路を中国が支配しようとするものである。事実、中国海軍の某幹部は、先月「この構想によって日本を孤立させることが出来る」と断言しているのである。つまりホルムズ海峡どころではないのだ。それどころか集団的自衛権すら無意味なものとなる。
 そのためにもエネルギー政策の大幅転換が必要なのだが、どうもアベや自民党はその点が鈍感である。
(15./05/22)

 実を云うと私もよく判らないのだが、サウジの国王がいきなり皇太子を廃して副皇太子を後継に指名。同時に40年に渉って皇太子を補佐してきた外務大臣も首(ロイター)。報道ではこれを世代交代と言うが、私から見ると副皇太子派による事実上のクーデター。現在ニューヨーク原油はじわじわと値を上げている。これが今回の政変と関係があるのでしょうか?なお今の価格上昇が続けば夏ごろにはバーレル70ドルレベルに達する可能性がある。そうなれば原油安が支えてきた今の日本景気も、腰折れ懸念が深まる。
 騎馬遊牧民族の権力交代ではこれは当たり前。いきなり政権が変わるのだ。これまでの付き合いが全てパーになる。だからこういう国と付き合うには、それなりの覚悟が必要なのだ。
(15/04/29)

 先週までバーレル50ドル前後をうろうろしていたニューヨーク原油価格が、今週に入ってジワリと上昇傾向。昨日遂に56ドル台に達する。この傾向をこのまま持続できるか、またまた腰折れかは未だ判らない。何故いきなり上昇を始めたのでしょうか?昨日イランが5%減産を発表しましたが、この程度では何の影響もない。既にOPECは原油生産量を規制することを止めてしまった。つまり各国自分で生産量を決めて構わないということだ。イランが減産すればサウジは増産するだろうから原油価格には影響しない。
 一つはアメリカFRBの態度だ。イエレンは現在の金融緩和策継続を認める気はないらしい。それがこのところのドル高を誘い、それにつれて原油価格も上昇傾向にあると見られる。FRBのドル高容認で日本は甘い汁を吸えた。
 浜田宏一のようなアベノミクス論者は、今の円安を日本の政策で作られたと思っているようだが、これもアメリカがそれを容認している間だけ。アメリカ産業界がこれで打撃を受けるとなれば、たちまち円高要求だ。浜田の論法に従えば、円安で日本はしっかり儲けたのだから、円高で損をしても仕方がないだろう、ということになる。
(15/04/16)

 昨年来から低迷を続けていた原油価格が先月初めからやや上昇に転じ、NYではバーレル50ドル前後をキープしていました。それが先週後半辺りから又下落に転じ、今や45ドル台。
 これは何故か?と思ってネットを見ていると、アメリカの某石油産業アナリストが、最早アメリカにはこれ以上の石油貯蔵施設はない、などというレポートを最近発表した。そんなことを云われれば、誰でも手持ちの石油を売りたがるし、余計な石油は買わなくなる。この結果、原油価格はますます下がる。それなら貯蔵施設を作ればよいじゃないか、と思うのは東洋のビンボーたれ国民。新自由主義経済のアメリカウオール街では、そんな固定資産を新たに作ることこそ罪悪なのである。
 さて、ここでいきなり集団的自衛権問題。政府が挙げた類型の中に、ホルムズ海峡の封鎖があります。そもそもホルムズ海峡の通行安全性は、サウジやUAEなど売る側が確保すべき問題のはずだ。何故お客さんである買う側がぺこぺこしなくちゃならないのか?その理由は日本の電力会社が以前の馬鹿高い価格で20年とか25年とかの長期契約を結んだからだろう。日本が契約を打ち切れば、途方もない違約金を請求されるのが怖いのだ。
 これはかつてのオイルショックのトラウマに過ぎない。ところが今のような石油だぶつき状態では、そんな脅しは通用しない。仮にイランがホルムズ海峡を封鎖したところで、国際原油市場には殆ど影響しないだろう。
 経産省や経団連は、いやそうではなく日本にペルシア湾からの原油が入ってこなくなれば、日本の死活問題だと言うだろう。だったらこれは日本の問題であって、集団的自衛権とは無関係だ。
 それよりペルシア湾から原油が入ってこなくなれば日本経済は死滅するという、根拠の無い迷信(或いはプロパガンダ)の方が問題なのである。現在では日本のエネルギー資源に対する湾岸の比重は、オイルショック時代に比べれば遥かに低下している。それでも不安なら法定備蓄量を1年分まで増やせばよい。貯蔵施設などいくらでも作れる。
 更に新エネルギーへの転換を図ることだ。これにはメタンハイドレートもあるが、水素の利用を図るべきである。水素を燃料に転換できれば、ペルシア湾などあっても無くてもどうでも良くなるのだ。チャイナレスだけでなくオイルレス(或いはペルシャレス)世界を作るべきである。
(15/03/16)

謹賀新年 
 NY原油価格の昨年最終価格はバーレル53.27ドルで終わりました。ギリギリになってイスラエルがなんの理由も意味も無くガザを空爆したり、プーチンがOPECに対し石油減産に協力するなど、いろいろブラフをかけましたが、市場は全く反応していない。これはどういうことでしょうか?かつての国際緊張が原油価格を決定するという、政治決定理論が意味を失ったということでしょう。その最大原因はアメリカ主導のシェール革命です。これによりOPECはかつてのような市場での優位性を保持できなくなった。もう一つ重要なことは・・・我国集団的自衛権理論の基礎となった・・・ホルムズ海峡問題が、もはやアナクロになったということです。
 軍事的緊張が原油価格形成に影響を及ぼさなくなったということは、これまで原油市場に投入されてきた投機的資金が何処かに移動しているということです。それが何処かがよく判らない。最近のNYダウの高騰や日経平均の上昇などを見れば、これら投機資金が株式市場に移ってきたとも見られますが、一方で慢性的になっているのが欧州不況。この現実を見るとこの説も俄かに信じがたい。
 投機資金が余れば、必ず何処かでバブルを作る。バブルは必ず潰れる。その後残るのは借金だけ、その結果が世界同時不況。今年がそれで無ければいいですがね。
 皆様のご幸運を祈ります。
(15/01/01)

 今日も止まらないNY原油安。ついでに下げ止まらないのがNYダウ。ついでにヨーロッパ株も下がっている。現在市場で懸念されているのが世界同時株安。普通だったら原油が安くなれば株は上がって当然だが、今回はそうはなっていないらしい。原因はヨーロッパと中国の不況。
 原油安でガソリンも下がりウハウハというのは大間違い。これで新興国経済も深刻な打撃を受けている。もし国際株式市場の何処か(例えばシンガポール)でパニックが起これば、アジア発世界同時不況になる。そのトバッチリを一番受けるのが日本の円だ。またまたトンデモ円高になる恐れがある。そうなればアベノミクスなど吹き飛んでしまう。だから、当面NY原油価格の動向には目が離せないのである。ワタクシの独断と偏見では、犯人はドイツ。この国が自国権益擁護のためだけに、ECBの金融緩和を拒否したからである。
(14/12/13)

本日とうとうNY原油はバーレル60ドル割れ。さてこのまま何処まで行くか?世間では40ドルまで下がるという向きもある。さてここで思い起こされるのが、6年前リーマンショックを誘った原油安。これはその二ヶ月前の洞爺湖サミットにともなうG8蔵相会合で、公的資金の投機的市場への投入を自粛するという声明が出されたことが原因である。その直後にシカゴで大豆価格下落が始まり、三日後にNYで原油が下がりだした。
 この時、一時バーレル140ドルまで上がった原油価格が、70ドル台まで下がったときにリーマンが破綻した。おそらくリーマンは顧客から集めた資金を自己勘定取引で、原油や大豆などの先物取引に使っていたのだろう。ところがこれらの価格が値下がりしたため、顧客に約束した配当が払えなくなり破綻したのである。現在のNY原油の値下がり状況は、原因は異なるが、なんとなく当時と似ているような気がする。
 一つは両方とも実態経済とはかけ離れた、投機筋の動きで価格が形成されていると見られることである。又一つはこの動きはは国際経済に対し深刻な打撃を与えた。更にもう一つは背後に政治的な動きが垣間見られることである。
 ではこの動きは何時まで続くでしょうか?08年12月始めにはNY-WTIはバーレル40ドルを切り、年内には30ドル割れもあるかと思われたが、年末に突如イスラエルがガザに侵攻。年が明けると原油価格はたちまち上昇。倍近くになってしまった。石油メジャーとイスラエル政府が手を組んだ、全く見え見えの出来レース。もっともこんなサル芝居に、世界中が騙されたわけだ。
 今回もそれと同じで、NY価格が・・・シェールオイルやガスの採算点とされる・・・バーレル50ドルを割り40ドル水準に近づくと、何か異変が起きるでしょう。例えばアルカイダのフリをしたサウジかアメリカの特殊部隊が、日本のタンカーを攻撃するとか、です。そうすると原油価格は元に戻る。と言うわけで買うなら今のうちだ。
(14/12/12)

 ロイターによると、世界の石油生産新規プロジェクトの約1/3が撤退。原油安がこのまま続きバーレル70ドル台になると1/2のプロジェクトが亡くなるということだ。その原因はサウジによる原油安誘導がある、とロイターは指摘している。
 つまり現在のアメリカのシェールオイルを含む石油増産が続けば、石油市場におけるサウジの絶対優位体制が揺らぐ。それを防ぐために原油安を演出し、アメリカオイルを叩き潰そうという思惑があるのだ。これで迷惑するのが周辺の産油国。これにはベネズエラとがブラジル・ロシアなど新興国が多い。原油安で彼らの収入が減り、経済成長が鈍化すれば、彼らの経済成長を当てにしていた先進国も経済的ショックを受ける。一番大きいのはアベノミクスの日本ではなかろうか?無論ドイツフランスもいたでは大きい。
 このようにグローバリズムの世界では、一国の経済が周辺諸国の動きによって大きく影響される。自分本位の政策ではいずれ墓穴を掘るだけだ。
(14/12/6)

 例のボーイング787火災騒ぎはバッテリーの熱暴走ということになった(アメリカ連邦運輸局)。しかしこれは当初から疑われていたことで、何故2年も経ってからこういう結論になったのでしょうか?なんとなく釈然としない感がします。こういう国が集団的自衛権のパートナーなのです。
 それはさておき、昨日の党首討論でも話題になったのが集団的自衛権に関するホルムズ海峡封鎖論。ここが機雷で封鎖されるとペルシャ湾からの石油供給がストップする。これは日本経済にとって大打撃だ。だから集団的自衛権を行使して掃海艇派遣が必要だ、というわけだ。しかしこれこそ原発安全神話と同じ、ありえない危機神話。妄想の産物である。
 今から30年以上前、イランとイラクが戦争を始めた。これを多くの評論家と称する・・・例えば武村健一のような・・・無知弁舌の徒が、これで戦火がホルムズ海峡に及べば、日本は石油輸入がストップするので大変んだあー!と叫んだ。私はまあそうかもしれないなと思いつつも、中間管理職だったから工事原価にも注意を払うべき立場。そうすると不思議なことに気がついた。戦争開始から10年近く経ってもガソリン価格は一向に上がらない、それどころか逆に低下している。さてこれは何故かと考えたところ、次のような結論に達した。イランとイラクが戦争を続けている限り、原油価格は下がっても上がることはない。実はその翌年、キッシンジャー博士も同じことを言っている。そしてこの戦争は、ウヤムヤのうちに終わってしまった。
 何故私が原油価格は上がらないと判断したのでしょうか?イラン(ペルシャ)人もイラク(アラブ)人も、もとを糾せば騎馬遊牧民族である。この社会ではモノは作らない。必要なものは買う(交易)か奪う(略奪)のどちらかである。だから商業が発達する。千夜一夜物語の登場人物の大部分は商人か盗賊である。複式簿記を発明したのはペルシャ人、シルクロードを抑えていたのはアラビア人なのだ。逆に製造業は発達しない。彼らの社会でモノ造りは、下層民あるいは被差別民の仕事である。
 一方戦争には武器が必要である。モノを作らないのだから、武器は外国から買わなくてはならない。その決済には外貨が必要である。外貨はずばりドル又は円かマルク。デイナールのような地域通貨など誰も相手にしない。ポンドも相手にはされないだろう。
 外貨を得るためにはモノを売らなければならない。モノを作らない両国にとって、売れるものは石油・天然ガスだけだ。だから戦争を続けていく限り両国は、石油・天然ガスを売り続けなければならない。だから幾らでもガソリン価格は下がり、先進国は儲かっていたのである。
 現在ホルムズ海峡を封鎖する可能性のある国はイランしかない。今のイランにとって、自国の石油天然ガス供給を遮断してまで、ホルムズ海峡を封鎖するリスクを犯す余裕はない。どうしても国内資源安全保障をホルムズ海峡論に寄りたければ、国内備蓄をもっと増やすべきである。半年か1年輸入を我慢すれば、イランのほうから降参してくる。これは筆者が昔から主張していることだが、歴代・・・特に自民党・・・政権は無視ばかりしている。
 集団的自衛権の必要性にホルムズ海峡などなんの関係もない。オバマ政権の議会対策に、日本の外務省が利用されただけなのだ。その原因はアメリカ議会での共和党優位状況。今回の中間選挙で更に共和党が強くなりました。議会共和党には元々日本の安保ただ乗り論が強く(現在の日米安保体制を強力に推し進めたのは実は共和党政権だったのだが)、オバマもこれには抵抗できなかったのだろう。
 だったらアベはホルムズ海峡などと姑息な言い訳をせずに、実はこれはアメリカの圧力でしたといえばよい。そうすれば国民の中にもっと真剣な安保議論がでてくるのだ。そもそも歴代の防衛担当閣僚にろくなのがいないのが問題なのだ。石破とか中谷など防衛官僚の言いなりロボットだ。中谷など何であんなに頭が悪いのだろうと、こちらが頭を傾げてしまう。何故か!哲学がないのである。それがテレビ番組を見てもこちらに伝わってしまう。同じ嘘をつくなら、もっと上手い嘘をつけ、といいたい。
(14/12/02)

サウジがOPECで石油減産を拒否したため、NYWTIは更に下落、とうとうバーレル70ドルを割り込んで66.15ドル。この背景には原油安を演出して、アメリカシェールガスやシェールオイルを叩き潰す思惑があるとも云われる。通常原油価格が下がればドルも下がるので、円高にシフトするはずだが、今回はそのような動きは見られない。実際の価格変動は需給関係ではなく、国際的なマネーの動き、それと政治的思惑だけで、動いているようだ。と言うことは、今後どのような動きがあるかわからない。ホルムズ海峡問題など、それに比べれば他愛無い話なのだ。
(14/11/29)

 来年1月から関電は電力料金をキロワット当たり15円値上げするといいだした。その理由は10月天然ガス料金の価格上昇という。とんでもない話だ。この期間国際LNG価格は下落はしても上昇はしていない。
 これは当たり前だが、アベノミクスの副作用です。当たり前だが、国際的に原油価格は大幅に下落している。アベノミクスによる円安誘導そのが効果をチャラにしていたのだ。
(1411/21)

 このところの原油安(昨日とうとうNYWTI価格はバーレル75ドル割れ)に対し、湾岸諸国やロシア・ベネズエラなど産油国は一斉に「これはアメリカとサウジの政治的陰謀だ」と非難。確かに今回の原油安はアメリカが国内産原油の取引自由化から始まったのは間違いない。サウジについてはシェールガス潰しだろうとも云われている。しかし産油国側の言い分にも無理がある。要するに蟻とキリギリスの関係だ。
 産油国はこれまでの原油高に胡坐をかいて、政治経済構造改革を怠り、バラまきとか対外冒険主義に奔って原油収入を食いつぶしてきた。ロシアがその典型である。つまりキリギリス状態。ロシアの場合、バーレル81ドル強が採算限界線といわれるから既にそれを突破している。原油安がこれ以上に進んでバーレル70ドルを切ることになれば、産油国は過去のつけが一気にきて、経済的破綻に追い込まれる。その筆頭がロシアとベネズエラである。スーダンやナイジェリア・ブラジルなど反米諸国もあぶない。破綻の結果は政治不安であり、暴動や革命だ。尤もプーチンや他の権力者とか財閥はとっくに資産を海外に移しているから大丈夫だろうが。
 さてオバマはここまでの展開を読んで国産原油自由化に踏み切ったのだろうか?それと中国はどうか?中国にとって原油安は歓迎だが、一方で産油国権力者とは深いつながりを作ってきた。それが一気に断ち切れるとなると大問題。日本やEUがその隙に入り込んでくるかもしれない。さてどうしよう、習近平の悩みは尽きない。
(14/11/14)

 NY-WTI価格が下げとまらず、現在はバーレル85ドル台。1年半振りの低価格。これまでが高過ぎたのだといえばそれまでだが、急激な価格低下はあちこちで歪を作るでしょう。このままで行くと今月中には80ドル割れ、来月」には70ドル割れもあるかもしれません。
 原因として色々言われています。@アメリカの石油取引自由化、Aヨーロッパ経済の先行き不安などです。筆者はこれにB中国経済の不透明化を挙げておきます。一つは6月中国貿易統計での前年度比7%ダウン。それと長期化しつつある香港学生デモです。特に後者は香港金融街中央部を占拠しており、香港経済に深刻なダメージを与えている。ジャッキーチェンがデモを非難したのはこの所為で、チェンも香港を基点に大陸とビジネスをやっていたのだろう。この結果資金が香港から逃げ出し、中国企業が減産に陥る。だから中国政府はなんとしても香港の学生デモを追い出さなくてはならない。今はその理屈を懸命に探しているはずだ。
(14/10/13)

 やっぱりと言うか、当然というか、とうとうNY-WTI価格が昨日バーレル90ドルを割りました。この間、原油価格に正確に反応しているのが円/ドルレート(例えばパラットチャート)。要するに円を売ってドルを買っているのだ。原油安効果は円安効果で相殺されてしまっているから、アベノミクスには何の貢献もしていない。11月にはアメリカ中間選挙があって、大方の読みは石油産業に近い共和党の勝利。だとすると、原油価格は上がって当然。FRBは金融緩和停止方針を変えていない。これも原油価格押し上げ要因になる。しかし事態は逆だ。ということは、世界的に石油は余っているとしか考えられない。
 何はともあれ、天然ガス価格は・・・タイムラグはあるが・・・概ね原油価格に連動する。この事態に一番やきもきしているのがロシアのプーチンだろう。特に対中国向け輸出では、EU価格より10万m310〜20ドル/安い350〜370ドルで契約している。これはロシアにとって採算割れぎりぎりの数字である。もし国際価格がこれより安くなれば、対中契約は空中分解。新たな中ロ対立の火種になりかねない。
(14/10/04)

先月のNY-WTI価格から見て、10月にはバーレル90ドル代割れもあるかと思っていたが、本当にそれに近い状況になってきました。今後この価格が反転するケースはあまり考えられない。イラクではISが北部の油田地帯を制圧したからこれが原油価格上昇に繋がるなどというアホも居るかもしれないが、現実はそうはなっていない。何故ならISの主要資金源は原油の密売である。売らなけりゃやっていけないから安値で幾らでも売る。だから密輸業者に買い叩かれてますます安くなる。
 これはかつてのイラン/イラク戦争と全く同じパターンである。あの時も武村健一のようなわけ知り顔のもの知らずが、ホルムズ海峡を取り上げて原油価格高騰を喋り捲って世間を混乱させたが、現実には原油は少しも上がらず、ガソリン価格は返って下がったくらいだ。何故ならイランもイラクも、自前で武器を作る能力がないから、原油を売らなければ戦争を続けていけないからである。
 と言うわけでイラクにISが頑張っている限り、原油価格は下がり続けます。ホルムズ海峡に集団的自衛権発動など、現実に対する無知・ナンセンスも甚だしい妄想です。
(14/10/03)

これはここ半年のNYWTI原油価格の推移です。これが意味するものは、中東原油=ホルムズ海峡生命線神話の崩壊です。これが理解できないのが、アベとその周辺の外務省・経産省とそのOBたち。特に酷いのが岡崎久彦というアナクロ。アベは完全にこれの傀儡になっている。
 さてこの図から何が読み取れるでしょうか?


(14/09/27)

 6月下旬にはNYWTI価格は、一時バーレル107ドルと、ここ一年の最高値に達したものの、その後急落を続け8月には90ドル台半ば、今や92〜3ドル台をうろうろ。今後下落を続けるのか、反転するのか判りませんが、後者の可能性はあまりないと言ってよいでしょう。
 ではなぜこうなったのでしょうか?実は7月中旬のWSJーネット日本語版に面白い記事が載っていました。これまでアメリカは戦略備蓄と称して、石油の海外輸出を禁止してきました。そこに腕の良い弁護士が現れて、法律の抜け穴を調べ、特定の揮発性物質さえ抜き取れば、海外輸出は可能になることを見つけ出しました。この結果アメリカ各地で石油が増産され、石油取引価格が低下したと見られます。石油禁輸措置を採ったのは、メジャーと繋がっていた共和党政権。今回の措置の裏には、オバマ政権が暗躍したことは容易に想像できます。
 アメリカの石油自給体制が整いそれにシェールガスが加われば、幾らプーチンが天然ガス輸出を規制しても、ISがイラクの油田を制圧しても意味はない。ましてホルムズ海峡などどうでも良いのだ。つまりアベの言う集団的自衛権の必要性は意味をなくしてしまった。
 ホルムズ海峡など19世紀のアナクロ地政学的の妄想に過ぎない。それより海洋底に眠る莫大な微生物エネルギーに着目した方が良い。日本にとっては無尽蔵の資源だ。
(14/09/16)


 NYWTI価格は7/16にバーレル100ドル割れを生じましたが、その後反転し、今や104ドル台。このまま行けば、ワタクシが云った通り、8月110ドルもあり得ます。やりますか?いきなり大幅下げもあり得ますから・・・ウクライナ状勢とか、航空産業の今後とか・・・十分考えた方がよいでしょう。
(14/07/22)

 先日に続いてNYWTIは更に下げ、とうとうバーレル100ドル割れとなりました。それにも拘わらずアベは、相変わらず集団的自衛権根拠事例としてホルムズ海峡封鎖を挙げる。アメリカから脅されて苦し紛れに出した屁理屈だろう。中東原油の日本エネルギー全体に占める割合は、かつての90%から、今や35%位まで低下している。つまり日本の資源エネルギー政策にとって、ホルムズ海峡の重要度はそれだけ低下しているのである。
 日本の今後の資源エネルギー政策の基本は1)供給源の多様化と、2)持続性の確保である。これは国際政治だけでなく、地震などの自然災害に対する対策でもある。
1)今後原子力利用の拡大が大きく望めない以上、アメリカからのシェールガス輸入、日本近海でのメタンハイドレートの開発によって中東石油依存度を低下させる。
2)現在の石油備蓄量3ヶ月を6ヶ月或いは1年程度まで引き上げる。
3)ホルムズ海峡問題については、ペルシア湾沿いにアラビア半島南端までパイプラインを敷設する。そうすれば海峡の掃海など必要ではなくなる。
 これらの施策によってホルムズ海峡問題は解決する。憲法の解釈を見直す様なレベルの問題ではないのだ。
 何故こんなことが出来ないのか?1)ホルムズ海峡に危機が訪れる度に儲ける輩がいる。それは国際石油資本だけでなく、ゴールドマンサックスのような投資銀行も同様である。2)タンカーが入ってこなければ湾岸諸国は係船料などで稼げなくなる。3)アベの背後にホルムズオタクとでも云うべき側近がいて、それがあれこれアベに指図する。例えば、岡崎久彦のようなアナクロである。あいつの話を聞く度に、こいつは一体全体何時の時代の生き物か、白色シーラカンスではないか、と思ってしまうのである。石原シンタローも同じだが。
(14/07/16)

本日のNYWTIはいきなりバーレル1ドル近い下げ(100.83ドル)で開始。今年始まって以来の下げ幅。さて何事が起こったのでしょうか?これまでの高騰の反動でしょうか?大損した投機屋も大勢いるでしょう。
(14/07/14)

 このところのNYWTI価格は概ね1〜1.5ヶ月サイクルで山谷を繰り返している。但し底値はジリジリと上げ調子。先月下旬にバーレル106〜107ドル台で本年最高値を付けたが、数日前から103 ドル台まで急落。これを今回の底値と考えると、今後反騰し8月始めにはバーレル110ドルぐらいまでの上昇が期待できます。
 仮に今1万バーレルほど買えば8月には7万ドルの儲けになります。やりますか?但しこれをやるには最低取引量があって、これが馬鹿にならない。2割位の保証金が必要で、もし期限内に売れなければ全量を買い取らねばならないから、そのための石油タンクも必要。株と違ってシロウトが入れる場所ではない。
 テキサスガルベストンの石油基地には、ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーなどの投資銀行保有の石油タンクが林立。今後温暖化が進みメキシコ湾ハリケーンが巨大化し、テキサスを襲ってこういう石油基地に被害を与えれば、世界中のガソリン価格が上がり、アメリカ経済にも打撃を与えかねない。だからアメリカはエネルギー戦略を、石油から内陸のシェールガスにシフトしている。しかし内陸には竜巻リスクがある。この辺りに日本企業がつけ込む隙がある。
 ハリケーンや竜巻がドル価格や株価に影響を与える時代になってIいるのだ。
(14/07/11)

 ISILの進撃で、このところ原油価格が上り調子。何処が一体儲けているのかというと、メジャーやゴールドマンサックスのような投資銀行は勿論、サウジやカタールなど湾岸産油国。同じスンニ派だから、ひょっとしたらサウジが資金提供しているのじゃないかと思っていたら、案の定ISILにサウジが秘密資金を提供しているという情報が出てきた。
 さて困ったのがオバマとアメリカ。サウジを採ればペルシア湾北部はスンニ派過激派が支配し、シーア派イラン・シリアと際限のない宗教戦争になる。シーア派マリキを採れば、サウジや湾岸諸国からの石油・天然ガスの供給が途絶える。さてどうすべきか?ワタシならマリキを採って、サウジや湾岸諸国を捨てる事が有利と判断する。
 何故なら、サウジ・湾岸諸国の武器は石油天然ガスしかない。しかしアメリカはシェールガスという新たな武器を手に入れた。更にロシア/ウクライナ問題で西側諸国にも資源エネルギーに対する危機感が芽生えた。又、この問題を契機にイランとの関係を改善出来れば更に有利で、サウジ・湾岸諸国に遠慮することがなくなった。それだけでなく、彼等は石油高騰を背景に、最近生意気である。一つ懲らしめた方が良い。アラジンには、もう一度バスラで物乞いをさせる必要がある

(14/06/23)

 ここ2・3日前から、やたらNY原油価格があわただしくなってきたな、と思っていたら、どうやらこれはイラクで、ISILというイスラム過激派がテイクリートを制圧し、首都バクダッドに迫る勢いが原因らしい。お陰でこれまでバーレル102ドル前後にあったWTI価格が、ジリジリ値を上げ、一昨日には106ドルを突破。この先もっと上がるでしょう。バーレル120ドル台も視野に入れておかねばなりません。
 これはイカンとアメリカが武力干渉に向かえば、アベ集団的自衛権の最初の発動になります。その結果当たり前だが、日本もイスラム過激派の標的になります。そうなると只でさえ貿易赤字拡大で国際競争が弱まっているから、国債金利は上昇し、株価下落。せっかくの消費税もチャラになってしまう。又集団的自衛権に基づいて派遣された自衛隊員に犠牲者が出れば、内閣支持率は激減。政権交替もあり得る。さてどうする、という話しです。
 集団的自衛権で重要な点は、それを発動するときの大義名分と、引き際のタイミングです。これを誤ったのが第一次大戦末期のシベリア出兵。日英同盟という集団的自衛権に基づいて、シベリア東部に出兵した者の、引き際を誤ったため、大損害を出し、時の寺内内閣は総辞職に追い込まれてしまった。
(14/06/14)

 カタールの王族が、FIFAの理事を買収したのがばれて、4年後のカタールW杯開催がオジャン。そのお陰で、8年後に日本に舞い込んでくる可能性が出てきた。そもそもカタール始め湾岸諸国の王様は、ペルシャ湾を根城にした海賊の親分。それをイギリスが王様に仕立てて、ペルシャ湾支配権を得ようとしただけ。サウジアラビアの王様も元を糺せば、砂漠の盗賊。所詮ろくな連中ではない、要するに金ですぐ転ぶ野蛮人なのだ。海賊や盗賊にモラルを求めても無理である。海賊は縛り首、盗賊は斬首に処し、アラビアやペルシャ湾岸地域もう一度文明国の植民地に戻した方が良いだろう。
(14/06/09)

 ナイジェリアで女子中学生が過激派に拉致され、過激派が「彼女らを奴隷に売り飛ばす」と宣言したものだから、文明国の紳士淑女はみんな吃驚。しかし、古くからあの地域では奴隷売買はビジネスであり伝統でもあった。
 ナイジェリア南部やマリの黒人王国が周辺の黒人を捕らえ奴隷に売り飛ばす。チャドやコンゴ北部迄侵攻することもある。仲買人はアラブの奴隷商人で、売り渡し先はエジプトやペルシア、ローマ。近代以降はそれがアメリカやブラジルに替わり、仲買人もフランス人やポルトガル人に変わっただけである。
 フランスの植民地になって以後は表向き奴隷売買は禁止されたが、独立後復活しイスラム革命後に公然化したと考えられる。
 さてここで興味があるのが、彼等が云う奴隷売買市場である。売り手があれば買い手がある。これが市場経済原理である。では買い手は誰でしょうか?筆者が思うに、サウジや湾岸諸国の王族・富裕層は当然だが、近年はそれに中国・インド・シンガポール・ロシアなど新興国富裕層が加わってきた可能性がある。アメリカだって例外ではない。最近になって、いきなりイスラム法厳格適用を宣言したブルネイなども怪しい。奴隷購入のカモフラージュではあるまいか?先進文明国はこれら新興国奴隷市場を調査すべきである。
(14/05/11)

 4月中旬には高値を維持していNYWTI原油価格がここに来て下落。5月に入ってからはバーレル100ドル割れ。これまでの高値が冬の北米寒気の所為だっただけで、やっと本来の価格に戻っただけ。夏頃のは90ドル台まで下落するでしょう。ウクライナ問題など何の関係もありません。アメリカの対ロ経済制裁が続けば、天然ガスも、もっと下がるでしょう。
(14/05/02)

 NY-WTI価格は、ロシアのクリミア併合方針が明らかになった3/5のバーレル105ドルをピークに、その後低下を続け、昨日は遂に100ドル割れ。ワタシが云った通りでしょう。クリミアを併合したときのロシアの負担は、当初年60〜70億ドル、その後も年20〜30億ドルが発生と、ロシアのエコノミストが試算。ロシアはこれを賄うために原油・天然ガスを増産する。更にアメリカがシェールガスを市場に投入する。この結果原油・ガス価格は更に下がり、夏頃までにはバーレル90ドル付近まで下がるでしょう。さすがにそれ以下は好ましくないので、生産調整が行われるでしょう。
(14/03/13)

 パナマ運河拡張工事と言う事業が現在進行中である。発注者はパナマ運河公社(PCI)。受注したのはスペインやイタリア中心のヨーロッパ系企業連合。受注額は52.5億ドルで、一般見積もりより10億ドルほどの安値受注。処が工事が始まると、工費が膨らんで、今や70億ドルまでになっている(予定通りではないのか?)。工事費拡大を理由に、PCIが支払いを拒否すると、企業体は工事中止を仄めかす。そのためPCIは仕方なく金を支払い、工事は再開。このやり方は、まるっきりヤクザそのものだ。つまり、この南欧系企業体は、日本の山口組と殆ど変わらない。
 要するにこの工事をと狙っていた会社が安値受注して、ライバル(多分日韓等アジア系企業)を蹴落とし、受注後あれこれ難癖付けて工事費を釣り上げる算段。これ昔、日本でもよくあった闇談合の典型的パターン。さすがに今の日本では、概ね姿を消したが、南欧系ではまだまだ残っていると云うことだ。今回の事件は当に国際闇談合。南欧ラテン系社会は、やっぱりマフィアというか、山口組が支配する世界なのである。処が、本来それをチェックすべき国際銀行団もどうやら、マフィアに汚染されている気配が濃厚なのである。
(14/02/21) 

 スペイン列車事故で判ったのは、あの国は運転士がいまだに二人乗務という事実。よっぽど労働組合が強いと見える。これがあの国の経済危機の原因だろう。
 実態は、この二人の運転士が互いに運転操作をチェックせず、グルになってスピード違反どころか、鉄道F1レースを繰り返していたのだ。それもこの二人だけじゃなく、スペイン国鉄全体に蔓延している疑いが濃い。仕事より遊びが大事なのだ。これは何もスペインだけじゃなく、イタリアもギリシアも皆同じ。
 これじゃ、ドイツが南欧圏への経済支援を拒否したり、イギリスがEU脱退国民投票をしようか、という理由がよく判る。ローマ帝国の悪しき遺産だ。
(13/07/27)

 エジプトの軍部クーデターを、欧米各国はみんな懸念とか、支持できないとか、否定的見方をしている。日本でもマスコミは概ねそれに同調している。政府見解は出ていないが、そんなところに落ち着くのではあるまいか?しかし何故みんなこの政変を懸念するのでしょうか?一体何を危惧しているのでしょうか?具体的には何も説明していない。旧モルシ政権が選挙で選ばれたこと、政変の主役が選挙で選ばれていない軍部であることなど、単なる形式に囚われているだけなのです。要するに軍が関与していることがNOなのだ。
 皆さんの危惧の原因を幾つか並べてみましょう。
1)この政変で産まれた政権は民主主義のプロセスを踏んでいないから、国際的承認を得られない。
2)軍部支持派とモルシ支持派との抗争が高まり、内戦の危機がある。
3)スエズ運河通行危機が発生し、日本にも影響が及ぶ。
 てなところでしょうか?特に3)は全く意味はありません。
1)について
 確かに暫定政権は選挙で選ばれた訳ではないから、正統性に欠けると云われればその通りだが、その前に軍部が各政党・勢力に根回しした上での政変である。その中にはモルシ派の公正中立党も含まれる。その前の反ムバラク革命も、そういう意味では正統性に欠ける。反ムバラク革命に最終判断を下したのは軍である。そして欧米社会はこぞってこれを支持した。前は非正統性政変を支持し、今回はためらうのは、首尾が一貫しない矛盾そのもの。ただし、いざとなると矛盾する言動を採るのは、白人の特徴。
 政権とは既成事実である。正統性はそのための理屈の積み重ねに過ぎない。暫定政権が一定期間維持出来れば、国際世論も暫定政権支持に廻る。そんなこと、オバマのアホ面、メリケルのずるがしこさを見れば当たり前だろう。その既成事実を作るのに必要なのは、民衆の支持である。モルシはそれに失敗した。暫定政権が成功するかどうかは判らない。当面軍部が支持しているから、政局は安定するだろう。これには国際社会の理解が必要である。オバマが馬鹿な事をやらなければ、問題はない。プーチンはことが落ち着くまで知らん顔をしている。
2)について
 暫定政権支持派とはエジプトの民主化支持者である。彼等は欧米文化に染まり、今更アラブイスラム世界に戻る気はない。彼等は国民のおおよそ50%強を占めている。これがあるから、軍がクーデターに踏み切ったのである。一方モルシ支持派はイスラム回帰派である。だから両派の対立が深まれば、内戦の危機がある、という説である。エジプト6000年の歴史で、国内を二分した内戦の例は無い。考えられるのは両派の対立につけ込んだ、イスラム過激派の流入である。しかし過激派はエジプト国民の支持を得られるだろうか?エジプトでは、過激派はムバラク前政権で徹底的に弾圧された。現在でもモルシ支持のイスラム同胞団は反原理主義、暫定政権派と軍部は無論反過激派である。暫定政権が権力を握っている限り、内戦はあり得ない。
3)について
 本日(07/05)某テレビWSで、ある経済評論家(第一生命研)がこんなことを云っていた。
(1)エジプトの政権危機は中東の危機を誘い、日本への原油価格の上昇を誘う。
(2)スエズ運河の通行権が規制され、ヨーロッパとの通行が制限され、ヨーロッパからものが入ってこなくなる。
(3)従って、日本の消費者物価が上昇する。
 さて、本当にこんなことがあるでしょうか?確かに中東に何かが起こると、原油価格が上がるのは事実である。これは世界の原油価格がNYWTIを参考にしているからで、NYWTI自身思惑買いの投機市場になっているためである。騒ぎが静まると直ぐに下がる。だから(1)はあまり意味を持たない。(2)(3)のポイントはスエズ運河の通行規制があるかどうかである。誰が通行を規制するのでしょうか?暫定政権側もモルシ派も通行を制限しなければならない理由はない。むしろモルシ政権が長続きすると、その中に次第にアラブ民族主義者やイスラム原理主義者の力が強くなり、これが将来的にスエズ通行権規制強化(要するに通行料の大幅値上げ)に踏み切る可能性が高い。(2)についてだが、今の日本の対ヨーロッパ貿易でスエズ運河がどれほどのウエイトを占めているのだろうか?そもそも日本はヨーロッパから何を買っているのか?一部の高級車とか高級ブランド品だけだ。こんなもの入ってこなくても、誰も困らない。今のところ日本がヨーロッパに依存しなければならないのは、消費済み核燃料の再処理だけである。しかし、再処理関連物質は全てアフリカ南端迂回航路を使うから、スエズ運河は無関係である。消費者物価に大きく寄与するのは、原油・ガス等の資源、小麦・大豆等の穀物である。日本はこれらのどれもヨーロッパには依存していない。もしあるとすれば、国際投機筋が危機を演出して、原油や穀物値段を釣り上げようとする動きだけなのである。こういう動きは、各国政府や消費者が賢明な行動を採れば、未然に防げるのである。
(13/07/06)

 落第作「第三の矢(成長戦略)」の一環として、アベがやたらアフリカを飛び回っている。この原因は、対アフリカ投資・貿易で中韓に大きく水を空けられたから。何故日本の対アフリカ投資が遅れたかという点について、マスコミは日本企業のリスク回避姿勢や、政府の突っ込み不足を挙げる。ではリスクとは何か、ということを吟味しなくてはならない。普通の企業営業でも、相手がワンマン会社の場合、リスクもあるが儲けも大きい、それと同じである。相手を民主主義国か独裁国家か、で区別すると、独裁国家の方が話しが早くて手間が掛からない。但しリスクも大きい。ではどんなリスクがあるでしょうか?
 @政変リスク
 A治安リスク
 B腐敗リスク
 Cアメリカリスク
@政変リスク
 独裁国家で商売をしたければ、独裁者にべったりくっつかなくてはならない。そのための投資が必要である。一方独裁者には必ず政敵が居る。この独裁者がいきなり執務室でピストルで撃たれたり、反独裁者派がクーデターを起こせば、これまでの投資が全部パーになる。
A治安リスク
 独裁国家は一般に、独裁者とその周辺が富と利権を独占するので、貧富の格差が大きい。その結果が治安の悪化に繋がるが、逆に政府が犯罪者を弾圧するので、却って犯罪に対するリスクは低いと云える。しかし、周辺にスパイが張り付いていたり、電話やネットが全部盗聴されていたりして、こちらの企業活動が相手に筒抜けになる。そういう意味での治安リスクは大きいのである。
B腐敗リスク
 独裁国家ビジネスで最大のリスクは汚職、つまり賄賂である。権力トップの独裁者は公然・非公然に拘わらず賄賂を要求する。賄賂はトップにだけ渡せばそれで済むというものではない。独裁国家はトップの権力者を頂点とした、ピラミッド型の官僚機構を作る。その周辺には、これらと利権を分かち合う部族や集団が存在する。これら各段階も賄賂を要求する。それだけでなく、援助国の政治家までこれに一口乗ったりするのである。例えば日本が東南アジアのある国にODA援助をやるとする。これにその国の官僚・政治家・有力者が群がってくるが、その前に自民党がしっかりピンハネしているという訳だ。
 
 さて、これらのリスクの内どれが一番ビジネスにとって効果的かというと、それはB腐敗リスクを獲ることです。ところが今、日本はこの手を使うことが出来ない。一方中国や韓国はこの手を使ってODAを大幅に延ばし、アフリカでは中国は日本の三倍まで売り上げを伸ばしている。日本がアフリカで出遅れているのは、単に円高や、@政変リスク・A治安リスクだけではなく、B腐敗リスクを獲ることが出来ないからです。
 では何故日本はB腐敗リスクを獲ることが出来ないのでしょうか?日本の商社が真面目で、遵法精神に富んでいるからでしょうか?とんでもない。1960〜70年代にかけて、日本商社は東南アジア各国(殆どが独裁国家)に金をばらまいて、とうとう東南アジアの経済を支配するまでになった。このとき日本は空前の高度成長期。日本は内需と外需の両輪で経済成長を遂げていたのである。又、これを始めたのが、アベの祖父と叔父である岸・佐藤兄弟であることを忘れないように*1。ところがこれに反発したのがアメリカ。インドネシアやマレーシア・フィリピンで日本が経済的覇権を握ると、必ず起こるのが民主化革命か反日デモ。例えば1966年インドネシアクーデター(これで親日のスカルノが失脚)、1986年フィリピン民主化革命(親日のマルコスが追放)。これらの背後に米CIAの動きがあるのは顕か。これがCアメリカリスクである。1945/8で日米物理戦争は終わったが、経済戦争は未だ続いていたのだ。これがその後、アメリカの要求で、OECD加盟国は海外援助の会計をオープンにしなければならなくなった。これに伴い日本も外為法を改正し、賄賂は送ってももらっても有罪になることになった。これで日本企業は表向きは外国援助に関してはクリーンになった*2。しかし中韓はそんなことは関係はない。第一中国はOECDに加盟していないし、韓国だって輸出企業はみんな大統領支援企業だから、仮に賄賂で有罪になったところで、直ぐ恩赦だ。だからやりたい放題。
 そこで疑問は、アベが力を入れようとしている・・・マスコミも応援する・・・アフリカビジネス対象国は、殆どが独裁国家である。これらを対象に短期的に目に見えた成果を得ようとすれば、何よりB腐敗リスクを獲らなければならない。しかし、東南アジアの経験から云うと、これをやりすぎると、逆にCアメリカリスクに遭遇することになりかねない。アベ晋三はそこまで見通した上で、対策も講じた上でアフリカビジネスをやろうとしているのでしょうか?
 
*1;海外投資に手を出したがるのは、岸一族の伝統でしょうか?なおこのときのインドネシア賠償(何で日本がインドネシアに賠償しなければならないのでしょうか?日本がインドネシアで行った戦闘は対オランダ軍戦だけ)で、日本が出したウルトラ手段が、当時赤坂ミカドのNO1ホステスだった根本○○子。現在なおテレビで活躍中の○ビ夫人。
*2;見かけはクリーンでも、本音はダーテイな部分は必ず発生する。相手国有力者に金を送るとき、銀行等金融機関を経由すると必ず足がつく(金融機関の帳簿に電子記録が残る)。そこで現金を直接手荷物で運ぶ様になった。それでも情報が漏れることがある。かつてあったPCI顧問や西松元社長の外為法違反事件などはこのケース。  

(13/06/11)

 40カ国が参加するホルムズ海峡演習。イラン対策と言うが、何で何時までもこんな馬鹿げたことをやっているのでしょうか?世界石油業界・政治家の知能指数を疑いたい。
 イランが問題ならアラビア海岸までパイプラインを引けば良い(本文12/02/25)。建設費や維持コストは産油国からは石油・ガス積み出し税、消費国からは同じく積み込み税を取れば、あっという間に片づく。問題はその金を誰が集めて、どう使うかの監視だ。アラブに任せておけばたちまち、アリババならぬネコババされる。
(13/05/13)

 G7蔵相・銀行会合で1ドル100円相場にも、アベノミックスにも何の質問も無かったと、麻生は自信満々。そりゃそうでしょう。G7の連中自身がみんな尻に火がついているのだから、日本に文句を言える筋合いはない。逆に言うと、日本なんてどうなっても知った事じゃない。我が道を行く。要するにこれで各国とも通貨切り下げ競争に入る、と宣言したようなものだ。と言うことは、円は相対的に上昇することになる。そうなれば、アベノミックスは開始僅か4ヶ月でその効果を失うことになる。喜んでいる場合じゃないのではないか?麻生君!
(13/05/12)

 連日の円安株高。これ為替と株のキャッチボール相場。要するに、政府(アベ)と日銀(黒田)が組んだヤラセ八百長。まずアベがデフレ脱却を宣言し、円安雰囲気を作る。それに呼応して日銀が金融緩和を示唆する。市場は政府が云っているのだからウソは無いだろうとと思う。実際円が大量供給されると、円は値下がりする。そこで投資家は急いで円を売る。売ったは良いが、なにを買えばよいか?とりあえず値上がりしそうな株を買う。この雰囲気が廻り廻って、今の円安株高をつくっているのです。一種の空中戦のようなもの。
 さて、その取引の殆どは、短期利益を狙う外人投資家。だから値動きは大きいが、長続きするかどうか判らない。だから日銀も政府も、次々と景気刺激策を出して行かなくてはならない。今求められているのは第四の矢。それが何か、未だ決まっていない。このネタが尽きたとき、下手な漫才と同じで、舞台から降りなくてはならない。小屋は潰れるかもしれない。
(13/05/11)

 以前高槻市中央図書館で「第四の十字軍、コンスタンチノポリスの陥落」という本を見つけて読んでみた。AD1202〜1204年の第四回十字軍のコンスタンチノポリス略奪、ラテン帝国の成立と滅亡の顛末を描いた歴史ノンフィクションである。歴史学者の書いたノンフィクションだから、十字軍オタクの塩野七生ならどういうか知らないが・・・七生のローマもの、中世ものはフィクションだからあれを史実と思ってはいけない。日本なら司馬遼太郎ものがそれである・・・十字軍に対し結構辛辣である。これを読んで思ったのは、白人(ヨーロッパ人)のとてつもない強欲さである。ヨーロッパ人の強欲さはしばしばキリスト教会により規制されているが、それは同じ白人に対してのものであり、異人種・異文化に対しては容認された。それどころかキリスト教会は、カトリックであれ、プロテスタントであれ、正教であれ、みんな非ヨーロッパ人からの土地・財産・権利の簒奪を容認・奨励したりしたのである。これは何も過去の話しではない。
 現代に於けるヨーロッパ人による非ヨーロッパ人への収奪・搾取が明らかになったのが、数日前バングラデシュで起こった工場ビル崩壊事故である。これの顛末は既に他のネットやメデイアで報道されているので詳細は避けるが、要するにバングラ人の工場主が不法建築の縫製工場に、大勢の低賃金労働者を詰め込み、その重み*でビルが倒壊し、600人以上の死者、2000人以上の負傷者を出したたものである。その賃金レベルは年340ドル。OECDの最貧国基準所得が年1000ドルだから、その又1/3だ。当に奴隷(的)労働である。そして、商品の発注者は主にヨーロッパの有名ブランドメーカー。彼等はアジアの低賃金を利用して製造コストを下げ、それに自分のブランドを付けて法外な値段で、欧米・日・中の富裕層と称するアホに売りつけていたのである**。中世十字軍顔負けの強欲振りである***。
 こういう商売は実はユーラシア騎馬遊牧民族商法である。値段はあってない。相手の顔を見て、払えそうだと思うと思い切りふっかける。商品を仕入れるときは徹底的に叩く。その間にルールはない。全て自分の才覚と商売テクニックである。海賊商法と云ってよいでしょう。これだと、同じ商品でも、買い手の身分や収入によって価格が変わることになる****。日本も江戸時代のある時期まではそうだった。ところが三井越後屋が、原価積み上げ方式による定価販売を始めた(おそらく大阪では既にそうなっていたのだろう)。この結果従来の商習慣ががらりと変わり、価格体系がオープンになった。現代では当たり前の、誰が買っても同じ値段なら、消費が拡大するのは当たり前。これが明治になってからの日本の近代化に大きく貢献したのである。では全ての価格が同じでしょうか?実はそうではない。しかしそれは秘密。
 ところが、ヨーロッパ(や中東)では、相変わらず中世以来の店頭顔見せ商法がまかり通っている。これがヨーロッパでのバブル発生、中東社会近代化遅れの原因になっているのだろう。
 さて、アメリカ合衆国憲法の第何条かに、奴隷労働による商品の輸入禁止という項目がある。さてアメリカセレブ達は胸に手をあてて考えて見た方が良いだろう。

*ミシンや発電器の振動という説もある。この方が正しいでしょう。
**時々テレビのバラエテイなんかで、激安商品として中古ブランド商品が紹介されている。ここでの価格はなんと店頭価格の1/3、それどころか1/10なんてのもある。これでも採算が採れるのだから、原価は途方もなく安い筈だ。そのからくりが今回のバングラビル倒壊事故で明らかになりました。
***日本のユニクロもバングラで商品を製造している。但しユニクロ製品は安値販売だから、ヨーロッパメーカーほどのあくどさはない。但し賃金水準・労働環境によってはゴッチャにされるおそれがあるので、改善すべき点があればさっさとしておくのが身のためだ。
****近所に武具屋があったので、参考までに江戸時代での日本刀の値段を聞いてみた。聞くと、日本刀と云っても一種類ではない。普段武士が腰に差している刀は化粧刀と云って実戦向きではない。それでも現在価格に直すと20〜30万円から、100万円ぐらいする。実戦に使う戦場刀は値段は付けられない。普通は注文主の年収分くらい。つまり、刀匠は相手の顔と身分を考えて刀の値段を付けるのである。但し、日本の刀匠は強欲なヨーロッパ人と違って、金額に見合った鍛え方をする。だから価格と品質は釣り合っているのである。
(13/05/06) 

 本日東証日経平均はいきなり12500円近くを付けて前日終値から260円超のアップ。これでボロも受けしたのが大勢いる。自民筋はもとより、アベや石破もその一人か?

 キプロス危機でEUが預金課税を要求。外国が一独立国の金融政策に口出しするなど前代未聞(IMFは別)だ。キプロスは所謂タックスヘブン。EUは、キプロスに本来本国で納税しなくてはならないマネーが逃げ込んでいると踏んでいるのではあるまいか?これを掴まえられたらキプロスも大変。只今国家・国民挙げて猛反対の最中。ロシアがキプロス支援を表明しているから、プーチン資金も隠れているかもしれない。他にジョンウン資金とか、習資金なんかがぞろぞろ出てくると面白いですねえ。
(13/03/19)

 本日東証日経平均はいきなりの340円安。何故でしょうか?理由なんかありません。投資家と称する国際仕手屋が余った金で買い込んだ株を一度に売りに出し、株価が下がったところで買い戻して釣り上げ、高くなったところで売り抜けようという算段。アベノミックスを玩具にしているわけだ。
 同じ様な状態はここ2年間の原油価格変動にも見られます。NYWTIではバーレル75〜100ドル前後で、一定周期で上がったり下がったりしている。これも仕手筋が原油価格を裏で操作している証拠。

こういうことが行われるのは過度の金融緩和への期待感。要するに、市場にマネーが余りすぎて実体経済に向かわないからである。
(13/03/18)

 NYダウは連日最高値を更新し昨日は14400ドルでリーマン前に戻している。アメリカ経済は今や絶好調だ。何故か?一つは原油価格NYWTIは今年2月から下がりだし、今はバーレル90ドル前後。おまけに景気拡大にも拘わらず石油在庫は増えている。石油価格はまだ下がるだろう*。その理由はシェールガス効果だろう。この所為でアメリカはこの先一層のドル安余裕を得た。
 但し、このモデルが日本に直接適用出来るわけではない。世界的な原油安は円安で帳消し。原発再開が遅れれば遅れるほど貿易赤字は累積する。
*それではイカンとイスラエルとシリアが又何かやり出す可能性は残っている。
(13/03/09)

 本日朝11000円まで行った日経平均が、その後ドンドン値を下げ、終値は10800円そこそこ。200円も下がってしまった。これで大損した人も多いでしょう。多分まだまだ乱高下は続きます。
 麻生がこのところの欧州からの円安批判に対し、これは行き過ぎた円高局面の是正だ、と反論。それは正論なのだが、それならリーマンショックの円高を、何故口先介入しなかったのか?あれは与謝野馨が「市場に任せるべきだ」と、馬鹿の一つ憶えみたいなことを云ったからだ。麻生は総理大臣だったのだから、あの時与謝野を斬って、麻生が直接金融を取り仕切ることにすれば、市場の反応は相当違ったものになっただろう。今のデフレも無かったかもしれない。あれは、そうしても良い場面だったのだ。
 なお、急激な円安も問題である。急激な円高は原油・天然ガスのような資源だけでなく、食料品のような生活物資価格をも直撃する。景気がよくなる前に物価が上がれば、相対的に所得の減少・格差拡大をもたらす。ひいては与党支持率の低下に繋がる。
(13/01/28)

 このところの急激な円安について、ドイツ連銀他ヨーロパ勢やNY投資家達は、これを周辺国窮乏化政策だ、と非難囂々。さて彼等に日本を非難する権利があるでしょうか?ワタクシはアベノミックスやそれに釣られた円安行動を支持するつもりはないが、欧米金融筋の対日非難も受け入れる訳にはいかない。今世紀に入って起きた3度の金融危機は、いずれも欧米金融機関の無作為、投資家の投機的動きによるもので、日本には関係ない。彼等は自分の失敗と無能を棚に上げ、全てを日本に・・・急激な円高と云う形で・・・押しつけ、何事もなかった様に振る舞っている。
 リーマンショック以来日本は25%以上も円が上がった。しかし今回の円安では未だ10%程度しか下がっていない。たったそれだけで悲鳴を上げるのだから、ヨーロッパもNYも(韓国)も大したものではない、ということだ。
 今、対ユーロで一番安はドル、次が円というところか?通貨戦争の日米同盟vsヨーロッパ(+中韓)連合。
(13/01/22)

 今年の念頭教書でオバマが確実に取り上げると考えられる言葉が「シェール革命」。さて本当にシェール革命が起こったら世界はどうなるでしょうか?オバマは「これにより世界の資源配分だけでなく、地政学的状況が変化するだろう」と述べています。
1、資源配分が変わるとは何でしょう?
 資源配分が変わるということは、世界の金融配分・マネーの流れが変わるということです。中東地域には現在、世界最大規模の石油天然ガスが埋蔵されていると考えられている。この資源の配分を巡って、世界の金融が動いている。シェール革命とは、この構図が変わるということです。石油天然ガス価格を決めるのは、最早中東アラブではなく、北米シカゴとなる。当たり前だが、中近東産石油天然ガス価格が下落する。この変化に伴って、マネーの動きも変わる。中近東産石油天然ガス価格が下落すれば、当然アラブマネーは減少するので、湾岸バブルが崩壊する。バブルが崩壊すると何処かで連鎖倒産が発生する。さてはそれは何処か、ということだが、アジアではさしずめ韓国とシンガポールだろう。韓国などカタール原発輸出始め、対アラブには出血投資が目白押し。この債権を回収する前にこうなれば、結果は目も当てられない。日中韓スワップをやめておいて良かったと思うでしょう。中国だって相当の損害を蒙るはずである。それとNYの投資銀行だって影響は切実です。アラブ投資が不良債権化するのを防ぐために、投資先を変えるでしょう。それが円に向かえば大迷惑。アベの僅かな円安誘導効果など、あっという間に吹っ飛びます。
2、地政学的変化とは何でしょうか?
 現在の地政学上の中心地は云うまでもなく、アラブ中近東地域です。この理由はやはりこの地域が資源の中心地だからです。そもそも地政学という言葉は、19世紀帝国主義華やかな時代に、資源の採取・移動ルートを確保するために造られたものです。資源配分が変われば地政学的状況の変化が産まれるのは当然。それはアラブ特にサウジや湾岸諸国の、地政学的地位の低下を意味します。現在アメリカが、最大規模の軍事力を展開しているのがこの地域。アメリカにとって地政学的価値が乏しくなった地域に、大規模兵力を展開するのは問題ではないか、というような議論が米議会から出てくる可能性があります。かといってアメリカが手を引くと、イランが手を伸ばしてくるのではないか、という見方まる。しかし、イランも原油価格低下の被害を受けるから、湾岸地域まで侵攻する余力はないかも判らない。又、問題はイスラエルですが、何故アメリカがイスラエルを支援し続けるかというと、これ又石油資源確保のため。この価値が無くなれば、アメリカはイスラエル支援から手を引くかもしれない。そして世界はどうなるか?これはなってみるまでわからないのです。
(13/01/19)

【ウクライナという国】
 ミナサン、ウクライナという国にどんなイメージをもっているでしょうか?古くは「隊長ブーリバ」とか「大尉の娘」の様な小説やプガチョフの反乱でイメージされるコザックの国、或いは広い大地とコルホーズに代表される大規模農業国家。どれも正しいのですが、今やウクライナはそういうイメージと異なり、世界有数の武器製造・輸出国、それも国際ルールを無視した非合法取引によるものが多い。
1、数年前アフリカのソマリア沖で、ウクライナ船籍の貨物船が海賊に乗っ取られた。数ヶ月漂流した後、ケニアに向かった。積み荷は戦車だった。本当は行く先はスーダン。実はウクライナは世界有数の戦車生産国。ハリコフには世界最大の戦車製造工場がある。
2、現在東アジア軍事バランスに影響を与えるものとして注目されているのが、中国の空母「遼寧」。これが元々ウクライナで建造されたものであることは、よく知られている。ところがソ連・東欧崩壊で、注文主だったソ連がなくなり、後継のロシアもカネがなくなったので、工事はキャンセルされた。それに目を付けた香港の実業家が、カジノ名目で購入しようとした。これに待ったをかけたのがアメリカ。交渉の結果、エンジンを抜き、空のままなら良いだろうと売却を許可した。ところがこの実業家、この鉄屑を中国に売り渡してしまった。それだけなら良いが、中国がこれを空母に改造してしまった。このとき空母の設計図が、密かにウクライナから中国に渡ったとされる。あった誰が設計図を中国に売り渡したのか?誰が考えても、この裏にはウクライナ政府高官の介在、そして背後に中国による金品贈与が在ったとしか思えない。つまり、目の前に人参をぶら下げられると、何をするか判らないところがある。
 最近、「遼寧」が艦載機の発着艦訓練に成功したと云われる。これに必要なのは着艦用ロープで、これを作れるのはアメリカとロシアだけだったとされた。しかし、思ったより遙かに早い期間で、中国はこれの製造に成功している。ここにもウクライナが何らかの役割を果たしていたのではないか、と疑われる。
3、つい最近、ウクライナが北朝鮮に対し、何らかの武器供与を行ったという報道があった。どのような武器かは判らない。核兵器かミサイル技術か?無論ウクライナは核やミサイルは持っていないが、永年のソ連との付き合いで、それの関連知識を持った人材とか資料は豊富なはずである。これだって十分武器になる。ここにも北朝鮮によるウクライナ当局への買収工作が考えられる。
 以上挙げた例では、ウクライナ武器供与国は全て反欧米国である。元々ウクライナの武器販売先は旧ソ連圏諸国だった。ところがソ連東欧崩壊で、東ヨーロッパ諸国の多くは西側に入り、中にはNATOに加盟するものまで出てきた。その結果、そういう国は武器仕様をNATO仕様に替える。ウクライナ製武器は売れなくなる。そこで新たな販路となったのが、アジア・アフリカの新興国。この中には反欧米国が多い。親欧米国には欧米が武器供与を行うから、営業は入っていけない。従って、ウクライナ製武器は勢い、ややこしい反欧米国に流れることになったのである。もう一つは永年のソ連圏生活で、国際ルールがどういうものか、学ばなかった。その結果、自分がやった結果がどうなるかを考えることもせず、目先の利益に飛びついてしまうのである。従って、ウクライナはその結果が国際紛争の種になることも考えずに、当分せっせと武器を作り、周辺に売りまくるだろう。
 だからといって、ウクライナが軍事大国になるわけではない。もしそんなそぶりを少しでも見せれば、ロシアが黙っていない。天然ガスパイプラインの栓を閉めて、干上がらせてしまうのである。これは北朝鮮と中国との関係に似ているが、違うのは中国が北朝鮮のエネルギーを握っているわけではなく、中国自身がエネルギー資源を輸入しなくてはならないことである。
(12/12/03) 

 ヨーロッパ格付け会社のフイッチが、パナソニックやソニーの投資格付けを2ランクを落として、マイナス3B(投機的水準)に。これにアメリカのムーデーズやS&Pも追随。大はしゃぎするのが韓国メデイア、逆に大慌てなのが日本の自民党や財界等の保守派。彼等の感覚は25年以上遅れている。財界が慌てる原因は、これまで日本経済を引っ張ってきた軽薄短小産業・・・その代表がパナソニックなどの軽電気産業・・・が国際競争力を失ってしまったが、その後をどのようにして埋めて良いか判らないこと。こうなった原因を円高に求め、自民党になんとかして貰おうと泣きついた。そこで出てきたのが無制限の為替介入とか、日銀による国債買い取りと言った乱暴な禁じ手。今回の日本電気産業の凋落は、日本産業のパラダイム転換を意味している。これをチャンスと捉えるか、どうかで日本の将来が決まってしまうだろう。
 自民党始め日本保守派の慌て振りは、現在が国際経済のパラダイム転換期と理解出来ず、相変わらず20世紀型管理経済が続いてると錯覚しているところにある。25年頃前には円高が進行し。鉄鋼・造船などの重厚長大産業が凋落し、取って代わったのが電子・自動車などの軽薄短小産業。これは政府の支援もあって90〜00年代には日本経済を引っ張った。トヨタの奥田やキャノンのトイレがフォーチューンの表紙を飾った時期でもある。しかし、いい気になって構造改革を怠り、新商品・・・・特に新興国・途上国向け・・・の開発を怠った結果が今日の体たらくを招いたのである。
 しかし歴史は繰り返す。かつて栄えた日本の軽薄短小産業は、最早落日産業。これに金融緩和や輸出奨励金などで援助を与える必要はない。これら企業は一刻も早いリストラを行い、経営体質の健全化を図るべきである。幸いにこれらの生産地は殆どが海外である。だからパナソニックが10000人リストラと云っても、国内の失業者が10000人増える訳ではない。大部分は生産拠点を置いている途上国である。それを勘違いする人間が多い。自民党などはこれを逆手に採って、あたかも日本国内で失業者が増えるかのようなプロパガンダを流し、選挙を自派に有利に持っていこうという算段。しかし、これはウソである。その証拠がシャープが国内で2000人早期退職を求めたところ、3000人が応募してきた。この3000人はシャープを辞めてもやっていける、という自信のある人達である。経済はとっくの昔にグローバル化が進んでいる。日本企業が海外リストラを進めれば、海外での失業者が増えるか、というとそうではなく、中国・韓国系企業が引き取ってくれる。但し給与待遇が日本企業とはダンチなので、却って日本回帰が発生するかもしれない。また、新興国・途上国で所得水準が上がれば、中・韓製のような安物の玩具ではなく、日本製高級品需要が復活するだろう(カメラの歴史を学べば良い)。それまでにどのくらい時間が懸かるかだが、おそらく10年以内だろう。その時までジッと我慢し、なおかつ10年後にどのような商品が売れるかをリサーチし、研究開発すべきなのである。そうすれば再び日本製品が世界を席巻する時代がくる。
 その間の10年をどの産業が受け持つか。当たり前だが、かつて邪魔者扱いされた重厚長大産業である。しかし今の重厚長大産業は、かつてのそれではない。一つは、重厚技術をベースにしても、そこにITや様々な短小技術を糾合した統合(インテグラル)技術がある。例えば日立製作所がイギリスから丸ごと受注した新幹線技術である。もう一つは東京スカイツリーに見られる巨大高精度技術である。更に潜水艦建造技術を応用した大型観光用潜水船とか、スピードと効率性だけを追求してきたこれまでの航空機とは異なる大型遊覧飛行機とか幾らでもアイデアは出てくる。これらの技術は、裾野が広くその影響は日本全体に及ぶ。これをニュー重厚長大産業と呼ぼう。これを今後の日本産業の中核に据えるべきである。要するにサル真似しかできない中国・韓国を置いてきぼりに出来る技術・産業の開発が今求められているのだ。それは、自民党や財界が求めるような安易なものではない。
(12/11/23)

 「京」が世界のスパコンランキングで3位に転落。さぞかし蓮ホウは満足だろう。但し、ランキング基準は計算速度だけ。キャパシテイーの大きさとか使い勝手の好さ、アプリとの対応性など、ユーザー目線は評価の対象になっていない。企業価値を保有資産時価評価とか、株価とか、物事を一次元的に見てしまう新自由主義経済理論と同じレベル。
 株価変動の数学モデルと言うのがある。実はワタクシも少しかじったことがあるのだが、単純な線形代数の世界。中学・高校生の数学とたいしてレベルが変わらないので辞めてしまった。はっきり言えば占いを数式で表現しているだけ。あんなのを有り難がる人・・・例えば竹中平蔵とか・・・の、頭の中が判らない。カラッポだから判らないのが当たり前か?
 しかし「京」の三位転落は事実。これぞレンホーの呪いか?
(12/11/13)

 今、ドイツ政府がアメリカ連邦中銀に預けてある3千数100tの金塊の、本国移送を検討しているそうだ。理由はアメリカに預けておくと、勝手に何をされるか判らない(例えば鉛を混ぜて重量を誤魔化し、金をくすねているのではないか)からだそうだ。それとユーロ不安がある。
 さて我が日本国ではどうか?日本もドイツに負けない金塊を持ってるが、これも国内にはない。みんなアメリカに預けてある。では、ドイツと同じように金塊を日本に移送すべきか?シンタローや維新など単細胞は、すべきだというだろう。しかしワタクシのような複雑系の人間は、好き嫌いに拘わらずアメリカに預けておいた方が未だ安心な様な気がする。イギリスやオーストラリアのようなアングロサクソン系の方が、もっと信用出来ない。ミナサン、我が国の信用の基になっている金塊が何処にあるか、どうなるか知っていますか?
(12/11/08)

 オバマ当選でとりあえず日本政府はホットという感じだろう。ロムニーだったらどうか?かつて共和党政権はブッシュもレーガンも親日だった。反対に民主党は反日だった。しかしそれは中国という巨大市場をどうするかの違いだけ。
 ロムニーは選挙期間中は中国批判を繰り返してきたが、それが本音かどうかわからない。いきなり裏切る可能性もある。なにせ実利優先のモルモン教徒だから。共和党支持の大企業には、未だに日米安保より中国市場重視派が多い。そのバックボーンがキッシンジャーだ。
(12/11/07)

 本日はアメリカ合衆国大統領選挙の日。みんな注目していますが、どちらが勝っても僅差。ということは、どの政権も「弱い政権」であることに変わりはない。仮にどっちが勝っても、2年後の中間選挙で体制がひっくり返る可能性もあるのだ。つまりねじれである。
 弱い政権ほど外交では強硬化する傾向がある。12年前のブッシュがそう。対中国政策で新政権がどう出るかが、我が国にとって注目の的だけ。
(12/11/06)


 つい最近、石油資源が秋田でシェールオイル抽出に成功しました。この頃不思議に思うのは、マスコミがやたらシェールオイルやメタンハイドレートをもてはやすこと。これで原発がなくても、日本のエネルギー問題は解決だと云わんばかり。処が採掘コストや流通面で問題が多く、とても実用レベルには達していない。最大の問題は環境負荷である。シェールオイルもシェールガスもメタンハイドレートも、どれも温室効果ガスを排出する。最近までの反温暖化キャンペーンは何処へいったのか?この調子では、今の反原発キャンペーンも、いずれ何処かへ行ってしまうだろう。
(12/10/07)

 ウラジオAPECで聞き捨てならぬ決議が行われた。イラン原油危機を背景に、APEC加盟諸国で原油備蓄を取り崩し融通し合うというものだ。これは一見地域経済の安定化を図る上で必要な政策に見える。しかし、使いようによってはとんでもない毒薬にもなりかねない。これに似た政策が金融スワップである。昨年ヨーロッパ経済危機の煽りで、韓国経済が大きくダメージを受けた。韓国経済が破綻すると日中まで悪影響が及ぶ恐れがあるとして、日本主導で行われたのが日中韓金融スワップである。これで最も利益を得たのが韓国。ウオンの破綻を防げ、ドルにペッグして漁夫の利を稼いだ。その後韓国が国内経済改革をやったでしょうか?何もせず相変わらずの浪費生活である(電気が足りない、足りないと騒ぐ割には、スーパーやデパート・ホテルは相変わらず、ドアは開けっ放し室温25゜Cで営業)。
 ウラジオAPECでの備蓄原油融通は、原油スワップと言ってよい政策である。この結果域内国家の中には、どうせ何処かの国が面倒見てくれるのだから、と相変わらず浪費に奔る輩も出てくる。その代表が韓国である。従って、我が国政府はIEA及び参加各国に対し、今回の決定により原油融通を受けようとする国は、少なくとも日本並みの省資源対策を義務づけるよう要求すべきである。即ち
1)ビルの冷房はドアを閉めた状態で28゜C以上とすること。
2)夏期では公務員は半袖服着用を義務づけること。
3)ガソリンや電力価格への国庫補助を停止すること。
4)公共施設でのエレベーター・エスカレーターの使用制限を行うこと。
5)原油横流しを防ぐための国際監視機構を設立すること。
(12/09/05)

 シャープが5000億円の赤字で、台湾鴻海に支援を求めたところ、鴻海はこのところの円高と、シャープの業績下方修正と株価下落で、支援条件の見直しを要求。当たり前と言えば当たり前の話し。シャープ側の見通しが甘かったと云わざるを得ない。今の経営者は何を考えてきたのかね?と云わざるを得ないのである。
 今から30年近く前の1984フランスプラザサミットで、蔵相宮沢喜一がウッカリ円高容認発言したばっかりに、あっという間に25%もの円高。これから空前の資産バブルが始まったのだが、この当時云われたのが、鉄鋼・造船・自動車など輸出型重厚長大産業の敗北。これからは隙間産業だ、軽薄短小産業が主役で、旧来の重厚長大産業は国外に出るか、思い切ったリストラが必要だ、という意見があまたの経済学者や評論家から出され、マスコミもそれに同調してきた。建設業界などその典型で、諸悪の典型のように見られて来た。そこで主役に躍り出たのが、半導体やIT、或いは液晶などの軽薄短小産業。当時の政権(橋本、コイズミら)の支援もあって、一時はこれらが日本経済の牽引車と見なされるようになった。ところがここ数年、その風が変わってきている。その典型はシャープやソニー・パナソニックなど、日本経済を引っ張っていたはずの軽薄短小産業の大幅減益。その陰で儲けていたのがサムスンなどの韓中企業。安値販売で日本企業の販売圏を食い荒らしてきた。もっとも哀れなのはシャープで、国際液晶価格の下落で、とうとう台湾メーカー(鴻海)の支援を仰ぐ始末。この会社、元々は日本メーカーの下請けをやっていたのだ。何故ここまで、日本の軽薄短小産業が落ちぶれたのか?購買者構造の変化を見抜けず、過当競争と間違った選択と集中に奔ったからである。
 それに引き替え今元気がいいのは、かつて老朽産業とバカにされてきた重厚長大産業である。最近では日立製作所が英国に新幹線のシステム輸出に成功し、アメリカの航空会社が三菱重工のMRJ100機発注を発表した。更にヒッグス粒子発見で有名になったCERNの大型加速器や、検出器アトラスの中核部分は、みな日本製である。この分野で日本に追随出来る国はないのである。その他、日本が技術的に優位を保たれる分野としては、加速度産業・航空宇宙産業・原子力産業がある。皆重厚長大産業である。20数年経って重・軽逆転現象が起こっているのだ。ところがそれに気がついていない経済学者や評論家・政治家が多すぎるのではないか?
(12/08/06)

 今信用されていないのがLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)。これとは別にTIBOR(東京)というのがある。これはロンドンと違ってインチキはやっていないらしい。また、今売り出してきたのがAIBOR(オーストラリア)。しかし、アングロサクソンというのは、金融に関しては信用しない方がよい。何故か?元を糺せば海賊だからな。
(12/07/18)

英国重大不正捜査局(SFO)はロンドン銀行間金利取引(LIBOR)の不正疑惑捜査を開始。これ、最近話題になった、野村証券や米系ファンドによるインサイダー疑惑の関連でしょう。
(12/07/07
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 6月には8500円台まで落ちた日経平均が、7月に入ってから9000円台を回復。今朝はなんと9140円。何事でしょう。消費増税案成立の見通しがついたからか、小沢一郎が与党離脱して政局が落ち着くと見たか、それとも大飯原発再稼働が好感されたか?株価というものは、(マスコミに誘導された)世論とは、しばしば逆方向に動くものです。
 太平洋戦争が始まった日、政府は大見得を切り、マスコミ世論は「東亜新秩序の始まり」など雄叫びを上げる。しかし株価はドーンと下がってしまった。
(12/07/04)

 増税法案成立の見通しはたたず、日経平均は続落。唯一買い材料は大飯原発再稼働容認のみ。にも拘わらず国際資金は円と日本国債に集中、長期金利は低下。どういう訳じゃ?よっぽど他が駄目なんだ。
 日本国債格付けを下げた、ナントカ云う格付け会社は、投資家から訴えられるだろう。格付けとは、仲間内の背比べに過ぎない。
(12/06/02)

 これがホルムズ海峡。封鎖が嫌なら図の矢印の様に、パイプラインを敷けばよい。しかし、誰もそんなことは云いません。何故ならそんなことをすれば、原油価格が下がってしまうからです。だから何年かごとに、海峡封鎖騒ぎが起こって貰わなくてはならない人達がいる。従って、ホルムズ海峡封鎖などあり得ません。あれはバザールに於ける只の余興です。問題はあれを余興と見るかどうかです。世の中には、余興と本気の区別が出来ず、大騒ぎを起こす手合いが多い。


(12/02/25)

 トルコが原発建設で、韓国と日本を天秤に掛けて足下を見る。元もと、日本が先行していたのを韓国が横槍をいれてきた。一旦日本が巻き返したものの、福島原発事故で日本がウロウロしている間に、またまたイーミョンバクが支持率回復のためにかき回しにきたものである。
 
これに対する日本側の対応があまりにもお粗末。政府が何にもしていない。どうしても受注したいなら、トップが出刃って話しを付けなくてはならないし、そうでないならこちらから交渉をうち切っても構わない。慌てるのはトルコだ。その点を中途半端にしているから、相手に足下を見られるのである
 
福島事故以来原発輸出に反対するアホ集団が現れた(こういうアホはゲットーにでも放り込めば良い)。 野田民主は次の選挙を睨んで、この勢力に遠慮しているのか、それとも野田の有力支持団体である韓国居留民団に遠慮しているのか!
(12/02/07)

連日ホルムズ海峡問題の報道が続きますが、あんなもの、バザールでペルシャの商人が値段を釣り上げているようなもの。現実には起こり得ないでしょう。イスラエルが報復をちらつかせていますが、これもユダヤ商人がペルシャ商人を値切っているだけ。
 
問題は、日本で評論家と称するエセ背専門家達が海峡を封鎖すると、たちまち日本の石油・天然ガスがなくなってしまうような、いい加減な解説を繰り返すこと。日本では石油・天然ガスは、オイルショック以来三ヶ月の民間備蓄が法的に義務づけられていること、それに政府備蓄を加えると、大体半年ぐらいの備蓄はある。だから、仮に海峡が封鎖されたところで、直ちにガソリンが無くなるなんてことはない。その点を政府がキチンと説明しないことが問題なのだ。
 
だからと云って安心していいわけではない。リーマンショック以来、我が国の資源確保環境は不安定性を増している。私は、以前から1年間の備蓄が必要と云っている。政府も国民も目を覚ますべきだ。
(12/02/06)


本日日経平均。午前11時頃に急上昇し、8820円台だったのが一時8880円強。ところが13時頃に急落し元に戻る。裏で誰かが株価操作をしています。
(12/01/27)

 
ここ2・3日いやに日経平均が上がっています。昨日・今日と8700円台。一体何が起こったのでしょうか?欧州危機でヨーロッパから逃げ出した資金が、割安感のある日本市場に逃避したのでしょうか?どうやらこれはアメリカ一般家庭の住宅ローン負債の償還がほぼ終わり、これまで借金の返済でマイナス続きだった家計が、プラスに転じる可能性が出てきたかららしい。今の日米の株高はそれを先読みしたものでしょう。昨年の年頭予測では、昨年中にアメリカの景気が回復するとしていましたが、これはものの見事に外れた。しかし、1年のズレで予測があたりそう。
(12/01/23)
キューバ、ハバナ沖で始まった石油掘削。今のキューバにこんなことを出来る技術も資金もない。何処かの国が援助をしているはず。さてそれは何処でしょう?可能性があるのはロシアか中国。しかしロシアは既に石油輸出国。ライバルの出現を喜ぶはずがない。ではやっぱり中国か?又しかし、キューバは元来ソ連ーロシアの友好国。アンゴラではソ連に味方して義勇兵を送り、中国軍と闘った中。マネーの前では、それも有耶無耶か。
(12/01/20)

 これは筆者が何度も指摘しているとおりだが、アメリカ民主党の基本姿勢は、中国重視で日本は興味の外。今回のTPP騒動でも、アメリカ(民主党)の最終的な狙いは中国で、日本はそのための足がかりであることは顕か。つまり、日本に法外な要求を突きつけ、日本を屈服させた上で中国市場を狙うのは、19世紀以来民主党の常套手段。要求のキーワードは市場の開放・自由化であり、関税撤廃である。TPPとは、アメリカ民主党のDNAなのだ。これは、戦前のルーズベルト政権、最近のクリントン政権と何の代わりもない。更に彼等の政策の背景には、今回と同じアメリカ国内の深刻な不況がある。何故、こういう政策を採るかと云うと、そもそも民主党は下層大衆階層をベースに出来た政党。下層階層には自己責任思想は浸透しない。何か、不味いことが起きると、それは我々の責任ではなく、誰かの責任だ、ということになる。その槍玉に挙がるのが、アメリカの困難にも関わらず、資産を貯め込んでいたり、経済成長著しい国である。その典型が我が日本。おまけに日本はいくら叩いても反論しないから、叩き甲斐がある。その点中国は未だヤバイ。
 この対極にあるのが共和党。共和党の原点は「茶会」主義で見られる様に自己責任理論。アメリカがこんな事になったのも、みんなが働かなくなったからだ、と大変判りやすい。実際そうなのだから仕方がない。これは日本人の原点と共通しているのである。ただ、ブッシュが自分勝手に使ったから、評判が悪くなっただけなのだ。今民主党のオバマは大変評判が悪い。何故なら、自分に支持率や中間選挙を意識して、GMやメガバンクの救済に国費を投入したからである。リーマンショック以来、ドルの価値は対円で20%以上下落している。そこまでやって、未だに景気が回復しないと云うことは、従来の民主党経済政策・・・つまり、政策的ドル安を演出し、輸出を伸ばして雇用を増やす・・・理論が破綻していることを意味する。つまり、アメリカが従来の経済理論に依拠している限り、アメリカ経済の回復はあり得ない。だから、従来の経済理論を金科玉条にしている民主党を追放して、共和党が政権を取れば、何とかなるかもしれない。その理由は、民主党が伝統的に対外発展主義(ドル安主義)なのに対し、共和党は孤立主義、つまり内需拡大主義(ドル高主義)だからだ。特にこれは我が日本にとって有利である。
 アメリカで共和党政権が誕生すれば、TPPそのものが消えてしまう可能性がある。ところが、問題は共和党自身、来年大統領候補を決めかねている。これじゃ、オバマの一人勝ち。日本でも自民党に次の総理候補が出てこないというのと同じだ。
(11/11/15)


 EU金融不安はヨーロッパだけの問題ではない。これまでEUに過剰投資してきたアラブや中国、ロシアにも降りかかる。その行き着く先はアメリカ。尤も、この騒ぎの原因を作ったのもアメリカだから仕方がない。さてアメリカはどうでるか?TPPでこの危機が乗り越えられないのは当たり前。それともTAPでもやるか。全員から拒否されてアメリカは孤立するのみ。
(11/11/16)

 ギリシアの様な、域内GDPのたった3%しか稼がない国のために、EUは崩壊の危機に瀕している。つまり国家連合のあやふやさの象徴だ。これを見ても、鳩山の云う東アジア共同体なるものが、如何にナンセンスなものかがよく判る。時代は変わった。多くの国が連合して、更に大きな力になるというのは、19〜20世紀にかけての帝国主義思想。その延長がグローバル経済である。しかし、これも最早破綻に瀕している。今や21世紀である。むしろ個々の国家・共同体の自立の方が重要になるだろう。
(11/11/05)

 今、世界最大の関心事はギリシア経済破綻。これに比べれば、福島問題など全く無視されている。ギリシア首相が言い出した、ギリシア支援策国民投票などやれば、”反対”が圧倒的になるのは判っているので、これを人質にEUから追加支援を取ろうという自爆テロ。ギリシアが破綻すれば一気にユーロは暴落し、世界恐慌の始まりになる。これを避けようとすれば、加盟国にギリシア救済の負担を求めなくてはならない。それを嫌がって、おそらく旧東欧圏諸国を中心に、EUを脱退する国が出てくるだろう。そこで舌なめずりするのがロシア。原油・ガス・金高(実はロシアは世界有数の金産出国)をバックに、旧東欧圏諸国をロシア経済圏に取り込もうとする算段。旧ソ連圏の復活とEUの崩壊である。これの直接の原因はギリシアの無責任経済だが、それを助長したのは欧米市場主義経済。そして市場主義経済を世界に振りまいたのはアメリカ、特にブッシュとその一味、ハーバードやプリンストン・イエールなどの東部エリート大学に在住するアホ学者達。もっとアホは、ブッシュの口車に乗って財政を破綻させた国々。これを見ると、ギリシアは正教、イタリア・スペイン・ポルトガル・アイルランドはカトリック。つまりアンチプロテスタント国家ばかり。日本は江戸時代初期から、ヨーロッパとのつきあいを、カトリック国家からプロテスタント国家に切り替えた。それが幸いして、少なくとも外国には借金はない。
 さてアジアでこんな危機は発生するでしょうか?勿論あり得ます。その発信源は云うまでもなく韓国です。こんな国にスワップ枠を5倍に拡大するアホ国家がある。それは何処か、というと我が日本です。東アジア共同体など只の幻想。日本は中韓のような乞食国家は無視して、独自の道を歩むべきだ。
(11/11/02)

 シリア国連制裁で早速中国・ロシアは拒否権発動。すわ、「敵の敵は味方」という冷戦論理の復活か?それともイスラエルの敵シリア擁護に廻って、パレスチナの味方・・・即ち反先進国・途上国の味方・・・を演出する戦術か?そうではないでしょう。この2カ国とも、これまでシリアには相当投資しているはずだ。それとシリアには南東部に油田がある。もし、欧米のいうとおり、シリア制裁が実施されれば、これまでの債権が焦げ付くおそれがある。更にこれでアサド政権が倒れば、最悪シリア利権は欧米先進国のものになる。既に中ロはリビア市場から追い出されることになった。これはイカン、リビアの二の舞だけは避けなくては。何としてもシリア制裁だけは防がねばならぬ、という資本主義的・帝国主義的発想。
 さて、本日久しぶりにNY-WTI価格を見てみました。今バーレル80ドルを割って、大体1年前ぐらいの水準。3年前のリーマンショックで、08年末には30ドル割れ寸前までいったが、イスラエルのガザ侵攻で50ドル台劇的回復。この出来レースにあきれて、その後原油価格には興味をなくした。しかし、その後原油価格は高騰を続け、70〜100ドル前後を推移。更に金も銀も大豆もみな上がる。明らかにバブルである。この原因は、リーマンショックにうろたえたアメリカオバマ政権の、経済対策と称するドル乱発 である。一体全体世界中にどれだけのドルが出回っているのか、正確に把握している人ははいないのじゃないか。このドルは、リーマンショックで不景気になった先進国を避けて、新興国市場に流れ込む。その最大の流入先は中国である。そしてこのマネーは中国を経由して、新興国と称する発展途上国に流れ込む。しかし、もともと小さい胃袋に、大量のマネーを注入しても、消化出来るわけがない。ここで発生するのが、マネーがマネーを呼ぶバブル。しかし、バブルはいつかは破裂する。さてこのバブルを如何に収縮させるかが問題。
 先ほどのG20でも結論は出ずに先送り。当たり前だが、参加国の2/3がバブルリスクを抱えている。うっかりしたことを云って、それが引き金になって自国経済を破滅させるわけには行かない。なんとなく、世界中がロシアンルーレットに巻き込まれている感じだ。さて、日本は如何にして、この危険なルーレットから抜け出すか?抜け出せるか?この問題に対して、答えを出す教育をするのが、小沢政治塾とか松下政経塾。ところが両方とも全く役に立っていない。松下は国内問題に重点を置きすぎ、小沢は永田町の力関係に重点を置きすぎているからだ。
 なお、ロシアと言えばプーチン。来年大統領選で復活を目指す。ところで、プーチンの資金源、つまりスポンサーはガスプロムなどの石油・ガス資本。ガスプロムの経営実態は判っているのでしょうか?海外からの投資を相当受け入れ、且つ自分も海外投資をしているはず。このところのユーロ安や原油安で、海外投資家が資金を引き上げたり、その煽りで海外投資分が影響を受ければ、廻り廻ってプーチンも影響を受ける。これも又、ロシアンルーレットの片割れ。
(11/10/06)

 あのヨーロッパ一の道楽息子ギリシアに、EU切ってのシビアな番頭ドイツが支援を表明。さてこれがどうなるか?日本の近松モノでは、この道楽息子はろくでもない遊女といい仲になって、心中未遂。遂に磔獄門。お家は潰され他人手に渡る。さしずめ、イタリアかスペインが心中相手。お家を乗っ取った他人とは中国か?
(11/09/28)

 このところの欧米金融不安で起こったのが、ドルとユーロ安。永年ドル安を利用して売り上げを伸ばして来たのが中国と韓国。此奴らは大丈夫か?と思っていたが、とうとう韓国が音を上げた(08/22中央日報)らしい。チョットヨーロッパ市場に食い込みすぎた。ドル建てでやってきた海外進出が、目下のドル安で破綻寸前。相当焦げ付きが発生するだろう。
 所詮鶴橋焼き肉屋上がりの二流商社マンの、「とりあえず売り上げ主義」の失敗。かつては、韓国こそ世界の中心、最優秀民族とほざいていたが、一転して自ら周辺国に格下げ。チョーセン人など、せいぜいその程度のレベル。今度は、日本に(円高を期待して)、援助を要求してくるだろう。それにどう答えるかが、次期政権の課題。チョーセン半島など潰してしまえばよいのだ。
(11/08/23)

 

 最近の日経平均の短期値動きを見ていると、午前中は前日比10円マイナスだったのが、午後いきなり値上がりしたり、その逆に市場明け直後は高値だったのが、その直後急落すると言うように、不規則な動きが目立つ。アメリカ景気不透明を反映した投機筋の動きでしょう。
(11/06/16)

 ベネズエラのチャベスが原油価格はバーレル100ドルが当然と発言。なんと馬鹿な、と世間知らずの日本人は思うでしょうが、数字の妥当性はともかく意外に理が通っているのである。今のバーレル100ドル近い原油価格は、原油が高くなっているからではなく、ドルが弱くなっているからです。レーガン時代の前は2〜3ドルしかなかった原油価格はクリントン時代にはバーレル10ドルとなり、末期には20〜30ドルになった。イラク戦争が始まると一気に40〜50ドルに上がり、更に上昇を続け、08年のは遂に140ドルまで上がってリーマンショック。一旦急落するが、10年には次第に上昇、現在に至っている。

 
この間、アメリカ政府は何をやっていたかと云うと、国内景気対策と戦費調達の為に、せっせとドルを刷り続けていた。殆ど紙切れ同然のドルが今や世界に溢れているのだ。そのドルを一番せっせと貯め込んでいるのが中国。このドルがホンモノの紙切れに変わった時、世界がどうなるか?皆さん想像したことがありますか!
(11/06/13)

リビア騒動で原油価格が上がっていますが、この原因はワタクシはズバリ、人の不幸はこれ幸いとワルノリする投機マネーの仕業です。食糧高騰も同じ。リビア騒ぎが落ち着けば急落するでしょう。しかし、それでは困る人達がいるので、又どこかで騒ぎを作るはずです。さて何処か?イランかサウジあたりか?
(11/03/10)

本年で一番期待したいのが、ウイキリークスによるアメリカ大手銀行のスキャンダル暴露。これには共和党前政権や欧州金融機関も関与しているはず。これに比べりゃ、日本大使館公電など平和なもの。
(11/01/04)

 
中国が金利を0.25%引き上げたのに続いて、インドも0.27%金利引き上げ。たった0.25や0.27じゃ焼け石に水のような気もするが、トータルとしては相当な額になるだろう。どちらもインフレ・バブル懸念と云われるが、何故こうなったかというと、昨年来のアメリカの追加金融緩和。これで莫大なドルが市場に出回ったが、肝心のアメリカにそれを吸収出来る経済体力がない。だから余ったドルが海外に流れ、投機資金となって原油や円や金に、そして新興国のバブル懸念に結びついたのである。そして、再び何故アメリカ経済がここまで体力低下に陥ったかというと、新興国が自国通貨を弱いドルにペッグしてやりたい放題の荒稼ぎをしたからだ。その最大の元凶は中国と韓国。反米新興国でもドルペッグをやっているのだから何をか況わんやだ。アメリカ経済が本当に崩壊すれば、彼等の経済も崩壊する。それぐらいのこと、誰でも判りそうだが。
(10/12/26)
 

以前アメリカの某誌に、「今年世界で最も影響のある人物」のトップとして中国の胡錦濤が挙げられていた。ワタクシはマサカと思いましたがね。それどころか、胡・温体制はとっくにレームダック状態と指摘しています(11/05)。それが証明されたのが今回の延坪島砲撃事件。北朝鮮は中国の云うことなんか無視してやりたい放題。恥をかかされたのは胡だ。胡は尖閣酒乱船長の暴走を留められず、ジョンイル親子の暴走も留められず、これで二回続けて国際的に大恥をかいた。おそらく、ジョンイル親子は胡・温体制を最早レームダック(尖閣問題で結局日本人・・・日本政府ではありません・・・に食いつかれた)状態と見なし、当面は独自路線を既製事実化し、次に習近平ら保守派にすり寄っていく作戦だろう。
 習派の中国では、胡・温派に連なる改革派は追放され、軍部に近い保守・民族派が力を持つようになる。東アジアの緊張は高まり、チャイナリスクも高くなる。東アジア共同体などとんでもない絵空事。つまり、米紙の評価とは逆に、胡錦濤は「現代世界で最も影響力を失った人物」である。しかし、なおチャイナドリームを追う会社もある。元会長を駐中大使に差し出した伊藤忠(なにか、チューだらけだね)などその典型か?ライバルの双日(旧ニッショー)が豪州メーカーからレアアース権益を取得して脱チャイナに一歩先んじたのに、イトチューは相変わらず?
(10/11/26)

本日、日経平均がいきなり100円近く下げ。理由は中国当局による不動産取引規制観測を見越した上海株下落に引きずられたもの(らしい)。思えば2年前のリーマンショックも、その一月前に起こった商品相場の下落が原因。そのきっかけを作ったのは、アメリカ議会の公的資金のリスク市場への投資規制勧告。何となく似ているような気がします。しばらくは上海株に注目が必要。今の中国人に愛国心は無い(愛金心は人一倍強い)から、逃げ出したら早いでしょう。
(10/11/12)


 「国家の品格」という言葉」がある。「国家の品格」とは何で決まるのでしょうか?筆者は、これは通貨に対する国家関与のあり方で決まると考えている
。これには2種類がある。(1)一つは、資本主義の原則に則って原則として政府は為替介入はしない。但し、廻りから攻撃されて急激に通貨が上昇し、緊急避難的に為替介入に踏み切ることは、ある意味八無を得ぬ措置である。(2)もう一つは、自国利益を追求するために、意図的・持続的に介入する例である。ここには市場原理などは無視され、自国の利己主義のみが優先される。このケースでは、その反動として他国に不利益をもたらす。
 
さて、どちらが「国家の品格」を持っているでしょうか?(1)が先進国、(2)が後進国に該当するのはあきらかです。そして具体的には日本は(1)に、(2)の典型が中国・韓国です。両方とも後進国の典型なのだ。イーミョンバクなど鶴橋焼き肉屋亭主が大統領になるような愚劣国家だから当たり前だが。
 
そして、今やアメリカもヨーロッパも品格をかなぐり捨てて、通貨安競争。中韓並み後進国の仲間入りをしようとしています。文明の終わりです。
(10/11/10)

 世銀のゼーリック総裁が8日の英字誌に、「・・今後はドル、ユーロ、ポンド、円、人民元による協調通貨体制を構築する事が重要」と寄稿。この論文の解釈はなかなか難しい。人民元などという特殊な通貨を基準通貨にしてよいのか?という疑問は沸く。しかし、この際、元を国際通貨の枠内に閉じこめ、暴走を防ぐという狙いも感じられる。果たして、中国はどう出てくるか?通貨安の悪性ウイルスと言えば韓国ウオンもそうだ。これを駆除するワクチンの開発を日米で急がなくてはならない。
(10/11/09)

中国がレアアースの日米欧向け輸出禁止措置を中止したと報ぜられる。一見国際関係による外圧の結果のようだが、実態は鉱山会社からの内圧によるものではないでしょうか?
 更に中国は世界最速のスパコンの開発に成功したらしい。これにより、中国の安全保障能力は格段に進歩したと云われる。しかしチップはインテルなどの米国メーカーが供給したもの。ソフトだって判らない。これはココム違反ではないだろうか?このアメリカによる対中協力はブッシュ政権時代に遡るはず。アメリカ議会で問題になると同時に、共和党の失点にもなる。米中間選挙の行方に影響するだろう。
(10/10/29)


 最近話題になっているのが、シェールガス。これにより天然ガスの需給関係が逆転する。今のところ、これの最大の埋蔵量を誇るのはアメリカ。現在天然ガス最大の産出国ロシアやイランは相対的に地位を下げ、将来的には天然ガス価格の大幅下落が予想されている。残念ながら日本には産出しない。日本が今後のエネルギー政策ですぐにもやらなくてはならないのは、@日本海溝でのガスハイドレートの開発、A三陸沖や東海沖等の大陸棚での天然ガス開発の研究。これらの目処がつけば、東シナ海などどうでも良くなる。但し、これらは戦略的備蓄として、陸上天然ガスが枯渇するまで開発を待っておくのも手。

 中国が環境・資源保護を理由に、今度は欧米向けにもレアアース輸出を停止。ノーベル賞の腹いせか。しかし中国の言い分も判らぬではない。まず、レアアースの原石の採取だが、僅かに出てくる映像から見ると、(おそらく中華大陸縁辺の山岳地帯を形成する)先カンブリア系片麻岩の露天堀掘削と思われる。この種の岩石はレアアース材料鉱物の含有量は極僅かなので、採掘は日本では想像も出来ないほどの大規模なものだろう。この段階で、広範囲の森林伐採や土砂掘削が行われる為、下流では洪水が頻発したり河川の水質が劣化する。又、精錬過程では、一次精錬での浮遊選鉱で汚濁物質が発生し、これも河川の水質劣化の原因になる。更に二次選鉱での重液分離では、水銀や濃硫酸、硝酸などの化学物質が使われ、更に有害物質も産出するので、これも環境汚染を引き起こす。そこで起こるのは、上流の鉱山民と下流の農民との対立である。現在の中国政府首脳を見ると、胡錦濤も温家宝も理系で、おまけに胡の専門は確か冶金、温は地質屋で石炭が専門。胡政権になってからの中国資源政策の積極性は、この二人の専門分野と無関係ではないはず。これまでは温の資源重視政策が優先され、農民の不満は抑えられてきた。しかし、農民は胡・温体制に批判的な保守派の支持基盤の一つでもある。今中共17全中総が開かれている。このタイミングを狙って、保守派が現指導部に揺さぶりを掛けるために、レアアース問題を持ち出したきたためとも考えられる。要するに、中国という国では、あらゆることが権力闘争のネタに・・・他人の迷惑は考えずに・・・使われるのである。その傾向はトウ小平死後に特に強くなっている傾向がある。しかもこれは過去2000年以上に渉って変わらない。従って、将来も変わらないだろう。こんな国と、まともに付き合えますか?
 従って、先進国としては、中国政府が変化するなどという甘い期待は抱かずに、@レアアース産出地域の探索と調達地域の分散化、Aレアアース備蓄の推進、Bリサイクル技術の確立、C代替物質の開発に努めるべきである。特に、日本はBCについてリードオフマンの役割を果たせるから、この分野への政府投資が是非とも必要である。しかし、今の民主党政権に、そこまでの危機感とか想像力があるでしょうか?
 (追記)そもそも、レアアースを含む岩石は、古代超大陸パンゲアに起源を有する花崗岩〜片麻岩類。この手の岩石は何も中国だけにあるのではない。グリーンランドやカナダ、ノルウェー、ブラジル辺りも候補地だ。又、アジアではヒマラヤから西に連なるカラコルム・ヒンズークシ山系も大いに期待される。しかしこれらの地域の内、前者は環境問題が立ちはだかる。又、後者は、パキスタン北西からアフガニスタンにまたがる地域。現在世界で最も危険な地域である(ここは資源の宝庫なのだが、タリバンの所為で手が着けられない)。だから、各国鉱山会社は開発をためらっていた。それに対し、中国は共産党一党独裁体制で、おまけにトップが資源重視政策を採るから、産出地域の農民を追い出し、それを鉱山業者に売り渡す。環境問題など、文句を云う奴が居れば、とっつかまえて労働改造所(という名の強制収容所)に送って完全無視。これで価格を安くして日米欧に売っていたわけだ。そしてその利益は、国際ブローカーを通じてロンダリングされ、胡・温派共産党幹部にバックされる。これに対し、次の最高指導者とされる習近平は「中国産の安いレアアースを使って、先進国は高いハイテク製品を中国に売りつけている」と発言。古いマルクス主義や毛思想の亡霊が蘇ったようだ。感覚としては中学生か鶴橋の八百屋のオッサンの感覚。自由主義市場経済下では、全ての商品は需給の関係だけできまり、国家権力の介入を許さない。しかし、現在及び次の中国政権は、市場への国家権力介入を容認するどころか、市場を国家が支配しようとしている。こんなことが世間に通用するわけがない。従って、中国はいずれ近い将来滅亡する以外の選択肢はないだろう。
(10/10/20)


 今度はエクアドルの金鉱山で落盤事故(同日中国炭坑でガス爆発、これは珍しくも何ともない)。今、金も銅も値が上がっているから、掘り急ぎたい気持ちは判らんでもない。中国の内陸開発で銅需要が膨らんでいる。20年ほど前、銅の闇カルテルで住友商事の部長が捕まったが、これは将来の中国市場の取り合いで、国際銅マフィアが、日本と住商部長の行動を苦々しく思い、アメリカ政府を使って罠にはめただけ。
 今後、と言うより既に値が上がっているのが、亜鉛と鉛。亜鉛はリチウムイオン電池の陽極に使う。鉛は原子炉の最終遮蔽材。今、原発ビジネスは世界的だからねえ。レアアースばっかりに気を取られていると、とんでもないところで足をすくわれますよ。
(10/10/16)

中国はユーロに対し元は05年以来23%上がっている、同じくドルに対し00年以来40%上がっていると主張。しかし年平均ではどれも4%に過ぎない。これでは上がった内に入らない。この間中国経済は年平均10%を遂げている。これでは誰でも、中国経済の発展は元レートの安さににあると思って当たり前。6%儲けすぎだ。
(10/10/09)

中国がギリシア国債購入の意志を表明。ギリシア国債などいわゆるジャンク債で、まともな投資家は誰も相手にしない。それを敢えて引き受けようと云うのだから、そこには何か狙いがあるのは当然。筆者の感じでは、ここでEUに恩を売って置いて、20年前の天安門事件以来制裁の対象になっていた、軍事技術輸出の禁止解除に向けて、EUに圧力を掛けようと云う作戦ではあるまいか。
 最新兵器の中核部品が日本製で、その材料に中国産レアアースが使われていたりしたらどうするんでしょう?
(10/10/06)

 急に冷え込みました。今年は日本海の水温が相当上がっているので、冬には北陸、東北、北海道を中心に大雪が予想されます。記録的豪雪となるかも。
 日本と同じように猛暑に見舞われたロシアも大雪になるでしょう。その結果ロシアが石油・天然ガスの輸出を削減するので、これらの価格上昇が予想されます。ヨーロッパはこれらの大部分をロシアに頼っているので、パニックになるかも知れません。中国にレアアースを留めると云われただけでビビッテしまった日本と同じ。ヨーロッパもエネルギー、戦略物資、食糧の調達は多方面に分散しておくことが賢明。
(10/09/30)

 突然のアメリカFRB金融緩和でドルが売られ円高/株安。何故こんなことがまかり通るのか?ポイントは秋の米中間選挙です。折からの失業率高止まりで、オバマ支持率は40%台まで下落。下手するとレームダック状態になる。これを避けるためには小手先の金融緩和しかない。そこで狙われたのが円。これに何も出来ず唯々諾々と従うしかないのが、今の菅民主党内閣。もう少しマシかと思いましたがねえ。
(10/08/12)

 タンカーM.スター号の破損個所をよく見ると船の右舷側だ。同船は確か石油を積んで南下中の筈。とすると犯人はイラン側からではなく、半島側から接近攻撃したと考えられる。そうなら、犯人はイラン革命防衛隊ではなく、アラビア半島に拠点を築いたアルカイダ系と考えて不思議ではない。ホルムズ海峡の南側は北イエメン。北は従来は治安良好と云われていたが、隣の南イエメンは数年前からアルカイダが進出してきている。北イエメンにもアルカイダが浸透している証拠か。
(10/08/10)

 アメリカアナダルコに続いて、三井石油開発も、BP事故の補償支払いを拒否。当然。トヨタリコール事件も、ブレーキ事故の殆どが運転操作ミスと言うことが判ってきた。アメリカ堕落資本主義のタカリ体質も、そろそろ終わりになるか?
(10/07/23)



満州大連で起こった原油流出事故。中国政府は流出量は1500Kl、汚染範囲は数100平方qに及ぶと発表。汚染範囲は人工衛星でみんな見えるから嘘はつけない。しかし流出量はどうにでもなる。たった1500Klの流出で数100平方qが汚染されると思いますか?何となく嘘臭い。流出量のケタが二つくらい大きいと思われます。
(10/07/20)

 三井石油開発がやっとBP事故補償を拒否。次いで、アメリカ運輸省が、トヨタ車事故の大部分が運転ミスと認定。若干の日本追い風。しかし、相変わらずオイルピーク論などという嘘を信じるアホも多い。
(10/07/14)

アメリカ議会によるBP共同出資会社への損害賠償請求に対し、共同出資社のアナダルコは賠償を拒否。当たり前だ。それに対し、日本の三井石油開発(三井物産の系列)は態度を決めきれずウロウロ。何故こうなってきたのか?それは戦後日本の歴代政権がもめ事を何でも金で解決してきたからだ。だから、海外企業活動でも相手の理不尽な要求に反駁もせず、唯々諾々と云うことを聞くのみ。原因は経団連と自民党の事なかれ主義。
 もう一つ、戦後教育で、日本はケンカを禁止した。だから、日本人は正しいケンカの仕方を学ばず、単に暴力の発揮がケンカと思いこんでしまった。正しいケンカとは、相手の不当要求に屈せず、自己の主張と理非曲直を明らかにすることである。
(10/07/11)

 BPルイジアナ事故でアメリカ議会で俄に高まる対日補償要求。BPも共同出資者に請求書を廻すつもり。これぞアングロサクソンの恥知らず強欲の極み。
 そもそも、今回事故の直接原因はBPにあるにしても、安易に掘削許可を出した、アメリカ政府にも責任の半分はある。アメリカ鉱山局の担当者は、BPの接待漬けになっていたらしい。日本では30年前の風景である。つまり、アメリカでは、永年の二大政党制の下、資本主義も国家権力も堕落していたのだ。その結果が今回の原油流出事故なのである。日本政府はこのような理不尽な要求にどう対応するのか?
(10/07/04)

トロントでのサミットが終わったと思ったら、突然の株安と円高。先進国の景気見通し不明が理由らしい。しかし、G20というのは新興国の経済発展を確認したのではなかったのか?その肝心の新興国が、先進国不景気に脅えてビビッテいるのだ。こんなの頼りにして大丈夫か?G8やG20とは無関係に市場は動いている。
 新興国、つまり中国、韓国・朝鮮、インド、アフリカ、中南米など、今まで通り、先進国の奴隷としてこき使えばよいのだ。特に韓国・朝鮮人は最下級奴隷とした方がよい。
(10/06/30)

このところ、NY-WTI原油価格はジワジワと上げています。今は79ドル台。何故か?中国の元切り上げが影響しているでしょう。元を切り上げても、中国は海外の原油開発を緩める気配はない。だから原油価格が上がるのです。
(10/06/27)

 知らない間に円高がズルズル進んで、今や89円台。理由の一つと考えられるのが中国人民元の切り上げ問題。元が上がればドルやユーロが下がるので、相対的に円高になる。ドルやユーロがシッカリしていれば、円に向かう分を吸収出来るだろうが、両方とも信用出来ないので投機資金が円に向かっている。てなところですか?
 果たして、菅はカナダサミットで、円高問題について何らかの発言をするか、それともしらんふりして通り抜けるか、その点に注目。
(10/06/24)

 BPルイジアナ事故で、すっかり悪者はBP。それは仕方ないにしても。メキシコ湾油田まで悪者扱い。しかし、よく考えて見よう。今回の事故で判ったのは、メキシコ湾原油が非常に質の良い軽質油だったこと。ベネズエラのような重質油だったら、とてもあんな某噴や大爆発は起こさなかっただろう。要するに、堀方を間違えただけ。
 斯くして、アメリカはメキシコ湾原油という宝の山をみすみす見逃してしまうのである。
(10/06/16)

 これはここ三ヶ月あまりのNY-WTI価格の変化です。ルイジアナでのBP爆発事故が起こったのが4月20日。この前後のニューヨーク原油価格は概ねバーレル84〜85ドルで殆ど変化はありません。それどころか、BP事故で生産量が低下し値上がりするのかと思っていたら、原油被害が深刻化し出した5月に入ると、逆に値下がりを始めます。これはギリシアショックで、ユーロが下がり、それに釣られてドルも下がったから、金融損害の拡大を防ぐために、原油市場に投入されていた資金が一斉にひきあげたからです。石油よりはマネーの方が大事なのだ。原油価格は実際の需給関係で決まるのではなく、市場の思惑で上下するだけと云う証拠です。現実には、現在は石油は余っています。メジャーと産油国、それに連なる一部のSWFが自己利益拡大のために価格を釣り上げているだけです。つまり、オイルピーク論というのは、メジャーが創り出した神話なのです。そしてこれに引っかかる人間が、今も昔も実に多い。どういう人間が引っかかるかと言うと、環境系、ジャーナリス、環境系市民運動家などどちらかというと左翼進歩系正直良心派。要するに信心深い善人が騙されやすいということです。
(10/06/14)

 BPルイジアナ事故の損害補償額は、今のところ30〜60億ドルにのぼる見通し。一般にこの手の数字は最終的には2〜3倍に膨れ上がるもの。そうすると、最終損害は100億ドルぐらいになるだろう。しかし、この程度はBPが持っている総資産(幾らか知らないが)に比べれば大したことは無いはずだ。中国がBP買収に色気を見せたらしいが、いささか甘いのではないか?石油メジャーの世界は単なる経済合理性だけでは動かない。
 今の原油価格は、一時に比べ随分下がり、バーレル70〜75ドルでウロウロ。これがBPにとって苦しいところ。ここに、英米が協調して、何処かで騒ぎを起こせば・・・例えばイスラエルを唆してイランを空爆させるとか・・・100〜110ドルぐらいには直ぐ上がる。これでBPの損害はチャラ。オバマとキャメロンの電話会談で何が相談されたのでしょう?
 詰まるところ、BPのチョンボは世界中の消費者・・・自動車を乗る人も乗らない人も、子供も老人も関わりなく・・・が、いずれ肩代わりするのです。これがグローバル経済。究極の共産主義です。Googleが目指すのもこれ。
(10/06/12)


 
ギリシアについでハンガリーでも金融不安の噂。またもユーロは売られ、廻り廻って円高になる。何故、こういうことになったかというと、そもそも経済基盤の弱い東欧南欧諸国がユーロ導入によって、外資獲得に奔ったこと。要するにドイツやオランダなど強い西欧北欧諸国にたかろうとしたのである。そのためには財政を健全水準に保たなければならないが、出来なかったから粉飾した。それがばれたのである。EUもユーロも壮大なペテンだったということだ。
 経済基盤の異なる諸国を経済的に統合しようとすると必ずこういう問題が起きる。従って、東アジア共同体などナンセンス。もしやりたければ、元もウオンもドルペッグを止めて、円と同一水準まで通貨切り上げを行った後、つまりよりクリーンになった段階である。
(10/06/06)


 BPルイジアナ事故の顛末を報道で見ていると、三年前の渋谷シエスパメタン爆発事故にそっくりということが判ります。どちらも事業主は金の工面だけで、
工事のことは業者にマル投げ。その業者も、掘削の専門家ではない。シエスパは大成建設、BPはトランスオーシャン(名前から見ると、石油掘削会社ではなくマリコンではないか)。これも掘削工事は別会社に委託。シエスパは鉱研工業、BPはハリバートン。実際の掘削工事は更にその下請けに分割発注(こういう重層分割構造を今ではカッコ良くリスクヘッジと云います)。その結果、事故が起こった時発生したのが、リスクの分散どころか拡大とその再生産。そして、それぞれの責任なすりつけあい。子供のケンカだよ。アングロサクソン型効率主義経営の限界。大学院ぐらいしか出ていないお利口モノが、現場のことを変えず、頭の中だけで思い描いたアサハカ経済学の末路。
(10/06/02)

ユーロやダウが上がると、原油価格も上がります。理由はよく判りません。昨日欧州金融危機脱出の情報を受けて、早速ユーロが回復。それと同時に、一時は65ドルまで下がったNY-WTI原油価格も、75ドル台に値を上げています。ついでに投機資金が円から逃げてくれれば有り難いのですが。
 (10/05/28)


 原油価格の動向がどうなるか、気にはなっていたのですが、本日NY-WTI価格はズルズルと下落、68ドル台。持ち直す気配はあまりない。やっぱりユーロ問題が影響している。この中、株も金も値を下げているのに、円だけが独歩高。世界最悪と云われる財政赤字にも拘わらず、円が買われるのは何故か?逆に言うと、日本より財政がシッカリしている(あのギリシアでさえ財政赤字は日本の数十分の一)国の通貨が売られるのは何故か?日本より経済回復が進んだ韓国のウオンが売られるのは何故か?
 要するに、円以外の通貨は通貨の躰をなしていないのだ。ウオンだけじゃない、元もルピーも、あんなものは通貨じゃないということだ。
 じゃ何かと言うと、ウオール街的には、バクチの札に過ぎない。バクチの札を信用する人間など、何処にもいない。
(10/05/25)


NY-WTI原油は先週と変わらず、70ドル前後で始まり。
(10/05/24)

 NY-WTI原油価格は、昨日一時65ドルまで下げましたが、その後戻して今は70ドル前後でもみ合い。ユーロが揉めているから、これが落ち着くまで、資金は原油には戻ってこない。しかし、ユーロが落ち着くかどうかは判らない。今やEUはバラバラ状態。従って、更に一段下げもあり得ます。
 先輩のEUがこれだから、東アジア共同体など夢の又夢。妄想だよ。
(10/05/22)

 先日、水ビジネスはリスキーだからSWF等で公的資金を注入してはならない、と云いました。ところで、総務大臣の原口が某テレビ番組で、郵政資金はこれからの成長分野に投資する、と明言した。成長分野とは何か?誰がどういう基準でそれを決めるのか、といったことが全く明らかになっていない。つまり政治主導という、曖昧で根拠不明、一部政治家の意向が左右する、いい加減な基準が横行するおそれがあるのだ。成長分野とは、言い換えればハイリスク分野。2年前、アメリカ議会は、公的資金のハイリスク分野への投資を控えるよう勧告を行った。幾ら日本は成長分野と思っていても、それがアメリカの国益とぶつかれば、潰されてしまうだろう。原口のようなお利口ぶったマヌケには、そこのところが理解出来ていない。
(10/05/19)

 昨日に引き続き、NY-WTI原油は70ドル前後でもみ合っています。これというのも、ドイツとフランスの不仲のせい。EUのような均質世界でこれだから、東アジア共同体など幻想の世界。
(10/05/18)

 昨日、NY-WTI原油は一時バーレル70ドルを割り込み、今70ドル前後でもみ合い。ホントはあと2、30ドルは下がらなくてはならない。ところがこのまま原油価格が下がり続けると、アラブ系SWFが資金を引き上げるから、ユーロは更に下落し、円高が進む。欧州に無関係な日本にとって大迷惑。但し、円が高い内に、北米トヨタ訴訟にケリを付けるのも手ですな。
(10/05/17)

バーレル75ドル前後でウロウロしていたNY-WTIが昨日71ドル台まで下落。70ドル割れも目前。IMFの勧告で、ギリシアだけでなくスペイン、ポルトガルも財政赤字削減に乗り出すことを表明したので、投機資金が原油からマネーに移ったのでしょうか?それでも原油バブル前、04年頃の30ドル前後に比べれば倍以上。オイルピーク論もあるが、これはメジャー発のプロパガンダ。騙されているだけだよ。第一、原油価格が上がりだした04年から今まで、石油消費量が倍以上になったわけではない。
(10/05/15)


 NY-WTI価格はこのところバーレル75〜76ドル辺りをウロウロ。何となく嵐の前の静けさを感じさせます。
(10/05/13)


 
産業革新機構というファンドと三菱商事が組んで、オーストラリアで水ビジネスに進出するらしい。彼等が純粋に自己資金で、自己責任でやるなら別に問題はない。しかし産業ナントカというのは日本版SWFではあるまいか。ということは国民資金(おそらくは郵政資金)がつぎ込まれている筈。少なくとも政府保障がついているだろう。
 ところで、水ビジネスというのは、今や石油以上にリスキーなのだ。ビジネスとは契約。安定した水供給が契約条件になる。水供給の安定性は環境変化に影響されやすい。温暖化か寒冷化(筆者は後者支持)は別にして、現在の地球水供給システムが不安定化しているのは間違いない。特にオーストラリアのような大陸は、ほんの僅かな気温変化だけで、大きな影響を受ける。こんなリスキーなビジネスにSWFを供給して大丈夫か?誰が認可したか知らないが(直嶋か、原口か、前原か、裏に亀井か)、キチンと状況を把握しているのでしょうか?
(10/05/11)


 ギリシア以外でユーロ圏財政危機候補生と挙げられているのは、イタリア、スペイン、ポルトガル、アイルランド。ギリシアは正教国だが、後はみんなカトリック。一応財政健全とされるのは、みんなプロテスタント。フランスは表面はカトリックだが、実はユグノー教徒がいたり、資本主義を取り入れたり、離婚は自由と、実質はプロテスタントと変わりがない。ポーランドやハンガリーも一応はカトリックだが、民族や国家を重要視するなど実質はプロテスタント。ギリシア支援に猛反対したドイツはルター派プロテスタントの本家本元。ルターに云わせれば、ギリシア人のようないい加減人種は、イエスキリストの名に於いて地獄に送るべきだ、と。
 さて我が日本国。江戸時代の日本人は、実はギリシア人に負けるとも劣らない、いい加減民族。そもそも時間の観念が無いのだから仕方がない。しかし、明治維新で取り入れたのが、英米流のプロテスタント哲学。だから、今でも何とかやっていけているのだ。そこで重要なことは、国民資産(その代表が郵政資金)を如何に保持するか、だ。竹中平蔵流のやり方で行けば、ギリシアの二の舞になるかもしれないし、逆に亀井流ならせっかくの資産を死蔵する事になりかねない。参院選の争点にしても良いだろう。
(10/05/11)

  ギリシア経済危機を受けて、次の懸念材料とされるのが、スペインとポルトガル。スペインと言えば、かつてBricsの一員で、自由主義経済の優等生とされた国。数年前のサバテイーニも自信満々だったなあ。
 と言うことは、Brics各国も、みんな似たような問題を抱えているのではあるまいか、とつい疑ってしまうのである。
 一番危ないのはブラジル、次がインド、中国・ロシアといったところか。
(10/05/10)

 NYWTIがユーロ不安を受けて今のところバーレル75ドル台まで下落。一昨年8月以来の下落幅です。しかし、実勢(40ドル位)よりはまだまだ高く、原油価格には余裕はある。なぜならルイジアナ事故でもWTIは上がっていない。
 今、外貨としてユーロを一番多く持っているのは中国。中国がここでユーロを手放せば、もう世界的パニック。上海万博の最中に、そんなことするはずがありません。万博終了後にどう出るでしょうか?
(10/05/09)

 ギリシア財政危機に発するユーロの不安がNYに飛び火し、ダウが急落。その後の調査で、誰かがP&G株の売りを誤入力し、そのため、他社のコンピューターもリスクヘッジプログラムが自動的に作動し、過大な売り注文を出したという疑いが濃厚。その原因はなんでもコンピューターに頼るアルゴリズム売買にあると、関係者は主張する。しかし、問題の発端は誤入力であって、アルゴリズムとは関係ない。むしろリスクヘッジプログラムが作動したと云うことは、プログラムのアルゴリズムは正しかった云える。
 なお、この手の金融危機が発生すると、必ずドルが売られ、円が買われる。世間の評判では、日本の財政はギリシアやアメリカ以上に悪い。これ以上財政赤字が増えれば、日本国債は売られ長期金利が上昇し、日本経済は破綻するはず。これはもう10何年も前から云われていたこと。それなら、今度のギリシア危機でも円が売られる筈だが、実態はその逆。経済学者はこの矛盾を説明すべきでしょう。
(10/05/07)

一時81ドルまで下がったNY-WTIが28日頃からジリジリ上がりだし、今86ドル台。下がると上がるの繰り返し。ルイジアナ沖原油流出事故の影響でしょうか?
 原油が下がり過ぎると思うと何か起こります。08年末には40ドル割れ寸前まで行ったのに、イスラエルのガザ侵攻。09年3月にも50ドルまで下がったと思ったらドバイショック。
 今度の事故もメジャー陰謀の疑いあり。
(10/05/01)

 ギリシャ国債がジャンク債に引き下げられましたが、それこそ今が買い時という見方も出来ます。 なにせギリシャ人はヨーロッパ一の商売上手。

 今世間にはびこるのが核廃絶キャンペーン。これを一番歓迎するのが、従来型軍需産業。核兵器というのは、商品として運用利回りがもの凄く悪い。消耗しないからだ。一番良いのはライフルとか迫撃砲などの軽兵器。戦後一番売れた武器はAKだ。
 オバマが核廃絶を主張する本音は、戦後アメリカ軍需産業の主流だった共和党好みの重兵器路線を止めて、軽兵器路線に転換し雇用を確保しようという算段だろう。それに引き替え、我が鳩山は核廃絶を念仏のように唱えるだけで、戦略と言うモノが全くない。
(10/04/28)

GS(ゴールドマンサックス)の社外取締役であるナントカグプタと云うのが、インサイダー取引でSECから起訴されました。名前からするとインド人でしょう。これだけじゃなくて、GSという会社は常日頃からこういう怪しい噂に事欠かない。例えば、ある会社の決算報告を受け取ると、決算発表直前に高速コンピューターで顧客に流す。顧客が受け取るのは発表0.1秒後になるから、違法ではないが限りなくそれに近い。
 今の金融工学のベースを作っているのが数学。数学という学問が、これほど堕落したことはかつて無かっただろう。ノーベルがノーベル賞から数学を排除したのは正しかった。
(10/04/25)

 ゴールドマンのやり方を単純化すると、営業が談合で仕事を取ってくれば、その何割かを営業がボーナスで受け取って、あとは下請けにマル投げ。そこで赤字を出しても、誰も責任を採らないというシステム。奈良県の某田舎ゼネコンと変わりません。

 ゴールドマンサックス訴追事件を受けて、ダウも日経平均も下がりっぱなし。おまけに第一生命も下がっている。では原油はどうかと思ってNY市場を覗いて見ると、やっぱり下がっています。しかし、これがこのまま続くとは限らない。ゴールドマンからよっぽどの悪材料が出ない限り、明日か明後日にも再び戻すでしょう。
(10/04/19)

ハイチ支援に53億ドルだかの国際支援。日本も何10億円かを追加支援。しかし、そもそもあんな国、支援する価値があるのでしょうか?支援したところで、その金は政治家や政府の上の方に吸い上げられるだけ。アフガンと同じ、ドブに水を撒くようなもの。思い切って、支援せず、自分の力でナントカしろ、と言ってやったた方が、彼等の身のためだ。

 オバマが大西洋側での石油開発再開を表明。原油高と産油国の身勝手に、我慢出来なくなったのだろう。環境公約違反だと騒ぐアホがいるが、あんなものほっとけばよい。
(10/04/01

ダウがリーマンショック後最高値を更新した由。そりゃそうだ、自分の借金を全部国家、つまり国民に押しつけ、帳面ジリの数字を操る銀行。インチキ自動車事故をでっち上げ、トヨタから顧客を奪う自動車メーカー。銀行と結託して実勢の三倍以上の価格を押しつける石油メジャー。こんなのが集まれば、簡単に株価など操作出来る。何にも知らず、コツコツ貯めた自分の財産を、銀行にむしり取られているアメリカ中産階層こそ哀れ。いや、いずれ我が身かと思うと、次の参院選ではシビアに行くしかない。
(10/03/26)

 最近のアメリカメデイアを見ていると、相変わらずのウオール街の強欲と、中産階級の経済的破綻報道。これが繰り返し報道されると、当然政局に影響する。中産階層の目減りと、大企業経営者の高所得は、かつてアメリカ人がレーガンと同時に選んだ、市場主義経済の拠ってくる論理的必然である。従って、負け組アメリカ人に、同情など無用である。このまま社会分裂が進めば、アメリカ自身が分裂するだろう。それがチャンス。アメリカなど4か5の国に分割した方がよい。中国もそうだが。
 かつて古代エジプト王国末期では、2%の人間が富の90%を所有していた。そして滅亡した。アメリカが歩んでいる道はエジプトと同じ。カエサルはクレオパトラに同情して、命を失った。さて、日本人よ、カエサルと同じ道を歩むか否か?
(10/03/18)

 休み明けNY原油は80.0ドル台とやや値を下げています。これまでの価格変動パターンでみると、これがこのまま続けば、向こう2〜3週間で70ドル前後まで値を下げ、その後反騰するはずです。つまり、2〜3週間後、値が下がった点で買いを入れれば、その一ヶ月後にはボロもうけ出来る筈です。
 さて、そう美味くいくでしょうか?
(10/03/15)

今週後半、つまり水曜か木曜辺りから動きがあるかと思っていたNY-WTI原油。ところが火曜から突如動き出し、あっという間に78ドル目前。一々こんなのに目くじら立てていたら身が持たない。その内、また下がります。
(10/02/17)

NY-WTI原油価格は今のところ、バーレル74ドル前後で推移。この辺りが、産油国が一番居心地が良いのだろう。但し、これは嵐の前の静けさ。今週後半には再び動きがあるでしょう。
 最近噂されているのが、中南米左翼国家の保守回帰。特にベネズエラ・ブラジル・ボリヴィアあたりが怪しい。これらの国は、いずれも石油天然ガス生産国。保守化すれば、これらの国の石油生産は、再びアメリカの思うとおり。但し、それで原油価格が下がるかどうかは別問題。
(10/02/16)

 これまでの原油価格の推移から見ると、当面は下値70ドル、上値78ドル、最大で80ドル前後。この範囲内で3〜4日サイクルで変動します。細かく稼ぐなら、この範囲内で。
(10/02/14))

週が「明けてもなかなか上がらないのが内閣支持率とNY原油価格。先週後半から下落傾向が続いています。イカルイトG7の影響でしょうか? ドルは下がり、更にユーロも弱含みなので、中国の保有外貨はかなり減っているはず。だから、中国は今後、外貨準備に金シフトを強める。金準備が十分になった段階で、元切り上げに同意するか?
(10/02/09)

  NY-WTIはここ1・2日ほど大幅下落し、昨日は一時70ドル割れ。その後72ドル前後まで回復し取引終了。ドバイショックのあおりで、ギリシャが経済不安、それがスペインに飛び火し、ユーロが軟調。ドルもあてにならないし、急速な円買いは日本の為替介入を招く恐れあり(財務相が変わったからね)、というわけで行き場を失った投機資金がウロウロしているだけでしょう。しかし、それにつけても憂えざるを得ないのは、我が日本の資源政策のお粗末さ。特に小泉の馬鹿以来、日本の資源政策はデタラメになった。鳩山も同じ。
(10/02/06)

週明けNY原油価格。72ドル台を推移して大きな動きはありません。やや下降気味。70ドル台もあり得るか?と思っていたら、途端に75ドルまで上昇。やっぱりね。これまでの経験で言うと、下落傾向の週明けには反騰する傾向が強い。理由は判りません。
(10/02/02)

 NY-WTIは先週終わり値でバーレル72.4ドル。一時に比べ、かなり値を下げています。さて週明けにどうなるか?70ドルを切る展開があれば、おそらく何処かの国が介入を仕掛けてくるでしょう。
(10/01/31)

今のところ、NY-WTIはバーレル74ドル前後で推移。何かを睨んで模様眺めの様子。急落の可能性もあるが、下がっても71ドル台で踏みとどまって、反騰するでしょう。
(10/01/27)

 
オバマの新金融規制案(ボルカールール)で、米銀株が下落するのに対し、俄に注目されているのが、ローリスクの日本株。ご同慶の至りと云いたいが、買い進んでいるのは主にヘッジファンド。再びハゲタカファンドの餌食にならないよう、用心怠りなく。
(10/01/25)

オバマの金融規制法案で、株価だけでなくNY原油も昨日にはバーレル74ドルと大幅下落。ゴールドマンサックスなど、自前で大規模な石油タンクを持って、石油先物をやっている。これは石油だけでなく、穀物も同じ。リーマンも金融で集めた資金を、ハイリスク商品で動かしていたから潰れたのだ。日本じゃ考えられない多角経営。
 オバマ案にヨーロッパは反対しているが、ヨーロッパの投資銀行は、ウオール街におんぶにだっこで、アラブマネーを吸い取っているから、オバマにOKするわけがない。アラブの王様がNYから資金を引き上げたら、ロンドンもパーだから。
(10/01/23)


 ベネズエラでは通貨切り下げに伴う混乱防止のために、軍隊まで出動させるらしい。これは混乱を一時的に防止出来るように見えるが、返って混乱を助長する措置。インフレは進行し、闇ドルが横行する。その結果、政権は強権独裁制を強め、反発と抑圧の負の連鎖に落ち込む。チャベスはオリノコ先住民の風習に従って、首を切られ、村の入り口にさらされるだろう。
 なお、ミャンマーでは北朝鮮を呼んで、軍事政権の脱出用トンネルを掘削させたそうな。何処に逃げるトンネルでしょうか?小沢一郎も、民主新人議員を盾にしての、脱出用トンネルを考えているのでしょう。
(10/01/11)

 本日いきなり、ベネズエラが通貨BF(ボリビアフィエラ)の対ドルレートを1/2に切り下げ発表。ということは、ベネズエラ原油はドルベースで半値に下がること。永年のバラマキが祟って金がなくなったのだろう。輸入に対してはレートを現状維持と言うから、ベネズエラは今後インフレが進行し、経済は混乱するだろう。チャベスはいずれクーデターで追放される。これはその内、イラン・ボリヴィア・スーダンなどの左翼国家にも転移するだろう。
(10/01/10)

 昨年末からNYWTIはじわじわ値を上げ、年明けには80ドル突破。何が起こったのでしょうか?勿論、産油国SWFの意を受けたGSやMSの暗躍は疑われますが、何故彼等が石油買いに奔ったのかも、吟味する必要があると思います。筆者はその原因の一つにCOP15の失敗を挙げたい。経緯を云うと、昨年9月頃からじわじわと下げていた、NYWTIは12月上旬には一時70ドルを割る局面を見せていた。それが、12日頃から急に反転しだし、特にCOP15以降値上がりが甚だしくなった。
 COP15の失敗は何を意味するのか?炭素生産の無政府状態の再現です。基本的には京都議定書の枠組み延長ですが、先進国にとっては従来通り、新興国・途上国にとっては無制限の排出量を半ば認めたに過ぎません。つまり石油需要は増えることはあっても、減ることはないという見通しです。お陰で、ヨーロッパでの炭素取引市場では、炭素価格が下がってしまった。当たり前の話だが、COP 15を睨んでこの市場に向かっていた投機資金が一斉に引き上げる。一方アメリカは相変わらずの超低金利の継続。失業率は高く、イマイチドル買いに奔れない。余った投機資金が、原油市場に戻ってきただけの話しだろう。大事なことは、温室効果ガス管理が、完全に国際投機市場に組み込まれてしまったことです。
(10/01/08)

英紙ロイターが、09年での原油値上がり率は過去最高だった、という報道をしています。確かに年初は50ドルそこそこだったのが、今は80ドル近いのだからそうなります。しかし、この論法では08年の原油価格の変動は、マイナスだったことになります。年初で70ドルそこそこだったのが、半年後には140ドルを突破したというのにですよ。確かに年末には40ドル台に下落しましたが。将来の経済学者は空前の石油バブルを産んだ2008年を、むしろ原油価格が下がった年だと云うかもしれません。石油バブルは無かった、リーマンの破綻は只の錯覚です、とね。なお、08年末に、09年後半日本の景気は劇的に回復すると予測したトンマがいます。ゴールドマンサックスというアメリカの銀行です。
(10/01/01)


 ベネズエラのチャベスが、トヨタがいうことを聞かんので、出て行け、代わりに中国を呼んでくると息巻いているそうな。ココロはもっと賄賂をよこせ、と言うことなんだろう。あのトヨタに賄賂を要求しても、そりゃ無理だ。中国人なら幾らでも賄賂を出す。その代わり、骨の髄まで搾り取られる。さて日本政府よどうする?トヨタをチャベスのような野蛮人の生け贄にするのか。そもそもオリノコ川先住民にはクビ刈り・食人の風習があった。チャベスなど、どう見てもオリノコ先住民の末裔だがね。
(09/12/25)

 OPECが現在の原油価格を好感して原油生産量を据え置いたためか、NY-WTIはバーレル75ドル前後にアップしています。つまり、今の原油価格は、需給バランスやオイルピークなどの妄説とは無関係に、産油国の財政状態とメジャーやGSなど欧米投資銀行の思惑で決められていることが判ります。この単純な原理が理解出来ないのが元慶応の金子とか、左翼環境原理主義者、それに鳩山や管などのアホ集団。
(09/12/23)

 休み明けNY-WTIは少し戻して、バーレル73ドル前後。しかし10月来の価格低下傾向は変わりません。これまでのデータからは、今の高値は数日続いてその後下落する筈です。年末まで、に再び70ドル割れがあるかもしれません。
(09/12/21)

12/11には遂に70ドルを割っています。ドバイショックの影響でしょうか?
(09/12/12)

 NY-WTIが12月に入ってから急速に下落し、今やバーレル70ドル台。年内60ドル台もあるかもしれません。以前、あるサイトの「今年中に60ドル台はあるか?」というネット投票でYESに投票しましたが、本当になりそうです。金も下げているので、投機資金はドルに向かっている可能性があります。
(09/12/10)


  週明けNY原油がどうなっているかと思って覗いてみると、下がっています。大体は週明けでは前週と逆の展開になるケースが多いのですが、今回は逆です。本格的な原油下げの始まりでしょうか?年内70ドル割れを予測する人が80%以上に登っています。
(09/12/14)


 前(11/26)に云った通り、NY-WTIは上がったり下がったりしてますが、じわじわ下げ調子。逆に、NY金がいきなり下げ、その代わり円が下がり、日経平均が上がっています。原油や金に向かっていた投機資金がドルに向かっているのでしょう。おそらく、商品相場を煽ったGSやMSやその下請けをやった某投資家はボロ儲けしているはず。チェンジと言っても何も変わっていないのですよ。
 さてこのいきなりの株高ドル高。云うまでもなく中国バブルのお陰です。もし、これが潰れたら、相手は13億人の人口を抱えている。想像するだに恐ろしいでしょう。
(09/12/07)

 昨年リーマンショックの後出てきたのが機軸通貨多元論。要するにドルは当てにならないから、別の基軸通貨を作ろうと云うわけ。その第一候補がユーロだったのだが、今度のドバイショックで、ユーロもドルに対して弱含み。元はどうかというと、ドルに対してはこまめに切り上げているが、一気に為替変動制には持っていかず、相変わらずドルにくっついたまま。第一、元など全く信用できない。と言うわけで、円だけがリスクヘッジで独歩高。別に円が強い訳じゃない。他が弱すぎるか、信用されないだけの話し。これがグローバル経済の実態。新古典派経済学者はこれをどう説明し、世界的デフレ脱却のシナリオをどう描くのでしょうか?
(09/11/29)

 
相変わらず円高が止まらない。原因は財務大臣の円高容認発言と何もしない財務省・危機感なしの日銀。どういうつもりなんでしょうか?何もしない間に日本の中小企業はバタバタ潰れ、国の資産は食いつぶされていく。さあこれからと言うときには、何も残っていないことになりかねない。
 判りました。オバマのドル安政策を側面で支援しているのです。これが日米対等外交の実態です。対米従属は何にも変わっていない。ああ麗しい友愛外交だ。
 現在の状況は98年の橋本デフレとそっくりなのだ。将来の経済学者はこれを鳩山デフレと呼ぶでしょう。
(09/11/27)

 NY原油価格は、相変わらず75ドルから77ドルの間を行ったりきたりしていますが、全体の傾向としてはじわじわと下げ傾向。投機資金が石油から金とか穀物に逃避しているのでしょうか?
 為替も相変わらずのドル安円高基調。藤井や鳩山の愚かな発言の所為か?二人とも国賊だ。ついでに仙谷も人民法廷に引きずり出して、三人もろとも宮城前広場で逆さハリツケにしたほうが良いだろう。それをテレビ中継する。
(09/11/26)

 ここ6週間ほど、新興国が投機資金流入を規制。これに欧米の超低金利とドル安が、有り余ったドルを商品市場に誘導する。原油高もその一つだが、去年のリーマンショックを受けて、今のところバーレル80ドルが天井相場。その代わりバブル牽引車の役割を果たしているのが”金”。金は、3年位前から一本調子で上がってきたが、来年の春頃大暴落するのではないでしょうか?
(09/11/23)

 鳩山/オバマ会談でいろんなことが約束されましたが、中身のあることは何にもない。特に、今のドル安についての対策が全く無視されているのはどういうわけだ。単に鳩山が経済に弱く、ドル安の意味を理解出来ないだけのことか?ドル安=円高の原因はアメリカ政府の財政赤字にあり、これが形を変えて原油高や穀物高となり、ウオール街の莫大な利益と高額ボーナスに変身しているのである。この結果が、アメリカのアジアに於ける最も忠実な同盟国の懐を直撃している。鳩山はアメリカとイコールの関係を目指すなら、このアメリカ発のいびつな経済状勢の是正を要求すべきである。それが出来ないのなら、鳩山も又対米従属政権に過ぎない。
(09/11/14)


 
ドルは相変わらずアジア通貨に対し強い。ということは元やバーツ・ウオンなど紙屑みたいなもの。世界中でドルに対し強い通貨は実は円とユーロのみなのだ。では、金で行くかというと、金相場は既に高くなりすぎている。
 これから先は、持ち玉を使ってせこく行くしかないでしょう。なお、中国人民元の取り扱いは非常に難しい。火薬庫でダイナマイトを触っているようなものだ。
(09/11/12)
左のチャートは今年7月から今日までのNY-WTI価格の推移です。7月上旬に一旦60ドル前後まで下げますが、その後値を戻し、概ね2〜3週間サイクルで上下を繰り返しています。山谷の間でせこく儲けている連中の顔が見えます。注目すべきは10月上旬から一気に上昇しています。一種のミニバブルの現れと思われます。丁度、この頃に、アメリカの某著名投資家が、国債より商品の方に興味があると発言。奇妙に一致しています。但し、FRBは全く関心がない模様。
 アメリカ経済の本格的復調が未だ見られないことと、日米欧の超低金利政策が未だ続いているので、余ったドルが株と商品市場に向かっているためと思われます。それに一部投資家のドル売り発言が輪をかけているのでしょう。今は少し下げていますが、これは短期の利益確定売りの結果と考えられます。今後年末から年始にかけて上昇し、バーレル100ドル超もあり得ます。
 なお、ここ二日ほどのローソクの立ち上がりが激しいですが、これは一日当たりの売り買いの激しさを物語ります。完全な思惑売買だから、シロートは手を出さないように。
(09/11/01)


今のWTI価格はバーレル2ドルほど下げて77ドル前後で推移。5月頃からズーットこの繰り返しです。これは株でいう空売り、逆玉の原油版。2社が組んで一社が売りを仕掛けて価格が下がると、底値のところでもう一社が買いに出る。ピークに達したところで売り抜ける。これを数社が組んでやるともう判らない。株には証券取引監視委員会があるが、商品特に石油には権限が及ばないのだろう。ズバリ、一部の石油資本や金融資本による価格操作です。来月から日本でも電気・ガス料金が値上げされますが、それが周り廻って、アメリカの財政赤字補填に使われるわけです。
(09/10/31)

現在の世界経済復調の原因はイギリスだ、という説があります。イギリスが画期的なリストラに成功したとか、ケンブリッジがハーバードやプリンストンに勝るビジネスモデルの構築に成功したという話しは聞いたことがない。誰かのご託宣で高騰したオイルマネーや穀物マネーが、ロンドンに環流しただけでしょうか?いやそれ以上に排出権取引市場の過熱が挙げられます。その中心がロンドン。その内ロンドン発金融崩壊があるかもしれませんよ。
(09/10/29)

 ワタクシのカミサンの友達の亭主が、FXをやっていて昨年来のドル安でン100万円損したらしい。彼は元高校の数学教師。おまけに藤井の円高(ドル安)容認発言で更にダメージ。
 このところ、金だけではなくNY原油も急上昇。昨日でバーレル79ドルに近い。何日か前、アメリカのある投資家が国債バブルはいずれ弾ける。これからは原油や商品相場の方が妙味があると発言。おそらくこれに圧された相場だろうが、オッサンの背後にいるのが、ゴールドマンとかモルガンといったウオール街のハゲタカ達。オッサンはハゲタカの意向を代弁しただけ。哀れ日本庶民の僅かな貯えは、日本政治家の不用意発言でハゲタカにかすめ取られたのだ。このハゲタカの跳梁を黙認しているのが、意図的ドル安政策をとり続けるオバマとガイトナー。
 かつて、コイズミは規制緩和の名の下に、ブッシュの望むまま日本人資産をアメリカに売り渡した。今、鳩山(藤井)は「友愛」の名で同じ事をやろうとしている。鳩は所詮タカの餌食。
(09/10/16)

 IMFが21日のGFSRで1)世界の景気回復には複雑な証券化市場の回復が必要、2)そのためには証券化市場への規制強化は無意味で無益である、3)しかし、05〜07年にかけて見られた複雑な証券化取引の再現は好ましくなく、又すべきでもない、と発表。一体どうすれば良いんでしょう?IMFは事実上NYの投資銀行の集まり。NYの頭のいい人には判っているのでしょう。またもやバブルの発生か?
(09/09/22)


 今問題視されているのが、アメリカに於けるハイリターンを求めるハイリスク経済の復活。FRBがわざとドル安政策を採るモノだから、ドル安が進み、金や石油のような商品市場に資金が流れ込み、商品価格の高騰を呼んでいます。一方で、アメリカの地方銀行の破綻が進んでいる。なんだか、リーマンショック前の状況に似てきています。
(09/09/21)


 今NY-WTIがやや下げ気味。週明けにはバーレル60ドル台があるかもしれない。ドル安(円高)が進んでいるので、更なる原油高が進んでも良いはずだが、75ドルぐらいがアメリカ政府の許容範囲ということか?なおこのところの原油価格の上下は、ゴールドマンサックスの価格操作ということは顕か。だから又上がります。反米チャベスも、アフマデイネジャドもチャッカリGSに乗っているのだから、裏でアメリカとこっそり手を結んでいるのだろう。
(09/09/18)



 
8年前の今頃、ズーットテレビを見ていましたねえ。WTCが崩壊する状況とか、人々が大慌てで逃げる様など。場所が場所だけに、何となくザマア見ろという気がしたのはワタシだけでしょうか?
NYWTIが又下落していますが、これは数週間単位で繰り返される山谷の谷の部分。来週には又、反転するでしょう。
(09/09/12)

このままWTIが下がり続けるのかと思っていたら、今度はいきなりの3ドル高。昨日はバーレル66ドルまで値を上げています。売りと買いとのせめぎ合いで、実態経済を反映していないのは誰でも判ります。これというのも、NYWTIが世界取引高のたった2%しか反映していないからです。つまり少々の資金があれば、原油価格を幾らでも操作出来る。但しそれに変わる市場が形成されていない。あるにはあるが、みんなNYを見て、それに引きずられている。それが一番の問題でしょう。
(09/07/31)

 前日にはバーレル69ドル近くを付けていたWTIが昨日いきなり63ドルまで下落。前日にCFTC(アメリカ商品先物取引委員会)が08年度報告書結論を、原油・穀物の高騰を投機筋の価格誘導によるものと訂正。同時に先物商品の持ち高制限に関する公聴会設置案を表明。これを見て、逃げ足の早い投機筋が資金を避難させたと思われます。商品持ち高規制は、かつて日本がバブルを崩壊させた不動産総量規制と同じもの。副作用もあります。
(09/07/30)

 東電柏崎原発再稼働が続く。この結果東電だけでなく日本全体の石油・天然ガス輸入が減少するので、これが原油価格にどう響くか?注目してみたい。効果が出てくるのは半年ぐらい先かもしれませんが。
 さて、今後の経済を占う点で注意すべきことを幾つか。
1、まず、7月13日の週から石油も上がっているがダウも上がっている。この二つ、このところ兄弟のように仲がいい。ということは、一方が下がれば片方も下がるという理屈。ダウが上がる理由は、GMの処理が上手く行った(実際は破綻だが、金融機関への影響は避けられた)ことや、AIGやバンカメ・モルガンスタンレーなどの金融機関の第2四半期業績が過去最高益を記録している、などである。
2、これだけなら万々歳だが、一方これに水を差す動きもある。その一つはアメリカ失業率が相変わらず10%近い高水準であること、第二にFRBが景気底打ち感を出したものの、本格回復には未だほど遠いと警告を出していること(公的資金の返済を急がずに留保するよう要請している)、第三にオバマがウオール街を「未だ反省していない」と異例の非難を行ったことである。
 これらは全て関連していると考えられる。最近判った事だが、上に挙げた金融機関の高利益の8割は、実は証券売買や不採算子会社売却による一時的利益であって、本来の産業投資によるものではないということだ。これと例の大甘ストレステスト効果を除くと、アメリカの投資銀行は軒並み赤字決算になる、という。それにも係わらず、見かけの好決算に踊って、公的資金返済に奔り、高額ボーナスを支給する金融機関 が出てきている(シテイやAIG)。これは殆ど犯罪である。これがオバマの非難に繋がっているのだ。
 金融機関が注入された公的資金や、殆ど世界史上例のない日米欧超低金利政策で溢れている資金を、実態経済でなくバーチャル経済に注入し、一時的利益を追求すれば、何時まで経っても実態経済には火がつかない。これが高失業率の原因である、とともにカリフォルニア州*の財政破綻を産んでいる。又、この結果有り余った資金が、再び証券市場や商品市場に環流する。これが現在(4月以降)の株高、原油高の原因である。要するにバブルなのである。これは自由主義経済に於ける病気みたいなものだ。
*カリフォルニアが財政破綻して民事再生法(アメリカでは連邦破産法)の適用を受ければ、日本がカリフォルニアを買収するのも手だが。ついでにハワイも買ってしまえばよい。
(09/07/23)
 

 休み明けNY原油は一時64ドルを回復。但し、未だ不安定。最近最高値の73ドルには未だ大分差がある。アメリカの失業率上昇、FRBの警告を見れば、これで一本調子に値上がりする可能性は少ない。それよりダウも平行して上がっています。ミニバブルの徴候でしょう。インド・中国のバブル、排出権取引に代表されるエコバブルの発生が懸念されます。過大なCO2削減目標が、より大きいバブルを作る危険性があります。
(09/07/20)

休み明けNY原油価格の変遷。一時58ドル台に下がりましたが、その後59ドル台に反騰。しかしこれも長続きせず、いずれ反落するでしょう。


休み明け、NY原油は当初若干戻して60ドル台をキープしますが、その後下落して本日59ドルを割り込み。この調子では今週中、50ドル台割れだってあり得る。要はアメリカ失業率の問題。それとオバマ政権の狙い。オバマは20ドル台を狙っているかもしれない。全く判っていないのが竹中平蔵。相変わらず金融資本主義一遍道で、資源についてはメクラ同然。意外に的を突いているのは財部か?
(09/07/13)


(竹中平蔵の嘘)
 本日サンプロ、竹平が久しぶりの出演で、アメリカ経済の現状分析。ここで又彼一流の嘘がつかれたのだが、他の出演者が全く気づいていないのが問題。アメリカ経済の現状について、田原総一郎が「アメリカは製造業を切り捨てて金融に走ったから、今回のような金融不安に陥ったのだ」と突っ込んだところ、竹平は「そうじゃない、アメリカ産業の4割は製造業だ」と云って、コカコーラを例として挙げたのには思わず笑ってしまったが。4割という数字が大きいのか小さいのか?アメリカという先進工業国で製造業4割というのは、如何にも少なすぎる感がする。又、この4割が実際のものを作っているのか、モノ造りに投資しているのか?という疑問もある。世界最大のPCメーカーはアメリカのDELLだが、この会社の製品の大部分は中国かベトナム製。IBMやマイクロソフトのソフトも実際はインド製なのだ。こういうことをやっているから、アメリカにはモノ造りのノウハウが消えてしまって、今回のような事態では全く国際競争力を亡くしてしまったのである。
 次に話題は今後の日本経済見通しに移る。みんな云っていることはバラバラなのだが、現状を特にの4・5月株高から景気底入れと認識していることは一致している。しかし本当でしょうか?筆者は6月末からのダウ安・円高・原油安から、今の底上げ感はミニバブルの可能性があると、ズット前から指摘している。出席者の中でその可能性をを指摘したのは財部だけ。
 その内、今後の日本産業に話題が移る。ここで出てきたのが電気自動車。これこそ日本産業を救う切り札とばかり、やれこれからは電気だ電池だ持ち上げに必死。その電気をどこでどうやって作り、それにどれだけコストが掛かるかと云う議論抜きでだ。まるっきり、エコバブル、電気・電池バブルを煽る気勢集会みたいなものになってしまった。
 皆さん、こういう悪党の云うことをまともに聞いてはいけません。しかし、何処かに本音が出てくる・・・馬鹿だから。そういえば、出演者の誰かが、いずれ電気・電池バブルが起こると云っていた。これが答えですよ。
(09/07/12)

 NY原油の今週終値はバーレル60ドルを割って59.66ドル。昨日は一時的でも59ドルを切っています(58.8ドル)。その他の商品相場を見ていると、大体にたようなもので、5〜6月の高値に比べ若干値を下げています。しかし、それでも金は相変わらずの高値水準。それにつけても、原油価格をチェックする度に感じるのは、この国・・・政治家、経済人、一般ピープル・・・の資源エネルギー問題に関する鈍感さナイーブさ。やっと今度の補正予算でレアメタル関連調査費がついたが、中国に比べれば20年は遅れをとっている。筆者は昨年の原油高騰の折り、石油の法定備蓄量を現行の三ヶ月から一年に強化せよと主張したが、その後の原油価格下落で、みんな喉元過ぎれば暑さを忘れてしまった。二次補正予算でも、国営マンガ喫茶には予算は付けるが、資源備蓄関連は全く無視されている。こんな事では国防も安保もあったものではない。この点では与党も野党も竹中平蔵も田母神も皆同罪。明治の先人は何者にも先駆けて鉱山法を作り、資源確保に知恵を注いだにも係わらず、150年後には揃ってこんなボンクラになってしまった。
(09/07/11)

昨日、一時的ながら60ドルを切りました。
(09/07/10)

その後、若干戻して本日終値は61ドル台。やはり60ドルが一つの山場。これを支えきれるかどうかが一つの山場。60ドルを切れば後は一気に50ドルを切るでしょう。


 
60ドルまで余裕がないなあと思っていたら、途端に60ドルに来てしまいました(昨日WTI価格)。このままでは50ドル台は目前。但し、バーレル50ドル60ドル台は、高くなりすぎた原油価格の調整局面という見方もあります。その場合は間もなく、遅くとも今月後半には反騰の可能性があります。そうでなければ、4月以降のミニバブル崩壊になるので、最悪パニック的価格下落、8月頃には40 ドルを切って30ドル台もあり得る。そもそも、バーレル30ドル以上は実勢を無視した政策・投機価格。アラブの投機資金や、FRBの大甘ストレステストで下駄を履かせて貰った銀行余剰資金が市場に流入して、一時的な高値を作っただけ。石油の実力など、せいぜいバーレル20〜30ドルが良いところ。そろそろ化けの皮が剥がれてきただけでしょう。
(09/07/09)

 NY原油があっという間にバーレル62ドル。60ドルまであまり余裕がない。これは原油が高かった時の積み増し放出の影響という見方もありますが、ついでにダウも下がっているのでそれだけでは説明出来ない。なお、昨日ダウ終値は8150ドルで、これは昨年のリーマンショック後とほぼ同水準。但し、このことを日本のメデイアが全く採り上げていないのが不思議。
(09/07/08)


 NY原油に元気がありません。昨日とうとうバーレル65ドルを割り込み。この調子でいくと今週中には60ドルを割る可能性もある。
(09/07/07)

 休み明けには反騰するのが通例のNY原油。意外や続落です。今バーレル65ドルギリギリの状態。これが反騰するか、続落するか、ここしばらく注目!
(09/07/06)

 このところバーレル70ドル前後でもみ合っていたNY原油。一時73ドルまで上がったが一昨日70ドルを割り込み、ン?と思っていると昨日65ドルに下落。一体何があったのでしょう?これがこのまま続くか、反騰するか注目が必要。この前国際エネルギー機構が09年の石油需要予測を、08年比5%減と発表しています。これまでの原油高騰はやっぱりバブルだったのか?
(09/07/04)

 昨日はバーレル72ドルまで上がったのにまたまた68ドル前後。1年前は今頃 100〜110ドルまで行っていたのだが今一元気がなく、なかなか70ドルの壁を越えられない。これが何時まで持続出来るか、が今後の景気を占う点で重要。それより、諸般の事情により、サウジあたりが8月頃に増産に踏み切る可能性がある。諸般の事情とは何か?と言うとズバリイラン情勢。アフマデイネジャド再選に伴うイラン情勢の混迷が、OPECの分裂方針変更を余儀無くさせる可能性あり。
(09/06/29)

 
一時はバーレル72ドル前後を付けていたNY-WTIが、このところ値を下げ65〜68ドル前後。それにつれてダウも9000ドルを割っています。筆者は現在の景気回復を一種のミニバブルと指摘しています(05/10)。金融過熱のコントロールを誤れば、今年の夏か秋には再び景気後退か崩壊のおそれがあります。
(09/06/24)

 GM破綻で、アメリカ製造業は航空宇宙産業を残すのみ。この業界もローン漬け。軍用機は政府保障がつくからローンの焦げ付きはないだろうが(これもどうだか怪しい、資本主義に絶対と言うモノはない)、民間機市場は判らない。GMが潰れたのも、販売戦略に無理なローンをくっつけたから。住宅ローンの破綻が自動車ローンに及んだのですよ。
(09/06/01)

 来週GM破綻。ざまあ見ろと笑っている場合ではありません。これで世界最大の国営自動車会社誕生。アメリカの総力を挙げて自動車産業になぐり込みをかけてきたら、日本メーカーは太刀打ち出来るでしょうか?おそらくオバマは省エネカーの開発に全力を投入するでしょう。お陰で石油消費量が減って、原油価格が下落するメリットは感じられます。しかしメジャーと産油国の利益が減るので、オバマの暗殺リスクが高くなる。いや、今のメジャーにそんな力はありませんよ?(09/05/30)

 バーナンキが金融機関ストレステストの舞台裏を暴露した。即ち
1)一部の民間査定機関は、銀行の資産査定を厳格な時価評価か精算時価格で評価した。
2)FRBは保有資産収入を基に資産査定を行った。
 保有資産収入とはなにかと言うと、今持っている資産がこれから稼ぐであろうという見込みである。こんな物本当に思った通りに行くかどうか判らない。なんて事はない、FRBは資産査定に下駄を履かせていたのだ。その額はバンカメに関しては実に6倍とされる(民間査定会社による不良資産査定額が、FRB査定の6倍に及ぶと言うこと)。このFRB査定は、金融機関にとっては大変有り難い話し。又、これによって各金融機関が企業向け融資を活発化させれば、実体経済の活性化・アメリカ経済の再生に繋がり、メデタシメデタシになる筈である。しかし、実態はどうかと言うと、金融機関は俄な株高を利用して、企業融資より公的資金返還に動いている。つまり、ウオール街はアメリカ経済の再生よりは、自分の利権の再生・回復に熱心なのだ。普通、誰でもこれで大丈夫か?と思うでしょう。
 問題は日本企業の対応である。例えば、三菱UFJのように過度にアメリカ金融界にのめり込むと、この先どうなるか判らない。むしろFRBの甘い査定は、海外特に日本の個人資産狙いの呼び水ではあるまいか、と疑われるのである。このまま麻生政権の居直りを延ばすと、日本は再びアメリカハゲタカの食い物になるだけだ。

 金と言えば数週間前に日本の経済産業省が、携帯1tから金300グラムを抜き取るプロジェクトを発表。含有量で云うと0.003%。これは世界最優等と云われる鹿児島菱刈鉱山に匹敵する値。これはなかなかいけると言うのが一般ピープル。ケータイから金を抜き取って、その後をどうするのか、そのコストが考慮されていない。菱刈は金を抜き取った後のズリをそのまま何処かの埋め立てに使えば良いが、ケータイはそうはいかない。何処かの廃棄物処分場に捨てなくてはならない。ただでさえゴミ処分場が足りない状態で、何処に捨てれば良いんでしょうか?
 そもそも経産省という役所は、昔の通産省以来、やれば得、やりっぱなしで後は他の省庁にマル投げ無責任体質が抜けていない。その典型が水俣病であったり、ダイオキシン・アスベスト騒ぎ。今回もその延長に過ぎない。金は抜き取ったが、その後に何が待っているか判らない。経産省の思惑を厳しく問いたださなくては、うっかりハイといえないのである。
(09/05/12)

 今世間は、やれダウが9000ドルだ、日経平均は10000円目前だと騒いでいますが、こんなのピーク時の半分以下、せいぜい4割にしか過ぎない。今、何が値上がりしているかご存じですか?それは金です。下の図はこれまでの東京金価格の推移です。

 昨年9月頃に一時的に下落していますが、これはいきなりの株価下落で驚いた金保有者(中国人とかアラブのSWF、欧州の銀行)が慌てて売りに出した所為。ところがその後回復し、今やグラム3000円と最高値に迫る勢い。株や石油より堅実な投資先であることは顕か。通常、ドルと金とは逆比例の関係にある(最近はそうでもないが)。ドルが今後劇的に回復するとは考えられない。と言うことは、今後とも金の上昇が期待されると云うことだ。年内グラム5000円も夢ではないか?但し、チャートの動きから見ると、まもなくデッドクロスが現れ、一時的に価格が下落する可能性があります。それが買い時。
 今世界で一番金を買いまくっている国は中国。現在の中国外貨準備政策は、ドル・ユーロ・金を1/3ずつとすること。実はこれは今から日本でバブル崩壊が起こり、BIS規制で日本の銀行が世界中から追い払われた時に、ワタクシが考えた戦略。その当時の日本外貨準備はドルに偏り過ぎていた。だから円高になったらどうしようもなくなる。その後、アメリカ通貨政策で日本の外貨準備はガタガタ。何事においてもバランスが重要。中国がワタクシの真似をするとは、いささか複雑な感じがしますがね。
(09/05/11)

 ダウは8500ドル、日経平均は9000円を回復。世の中にはこれで世界経済回復か、と喜んでいる人もいるでしょうが、本当にそうなのか冷静に検討する必要があると思います。これまで何度も、この値上がりは信用出来ない、いずれバブル破綻となると主張しています。ここではこの問題を、もう少し整理して検討してみましょう。
 株価と同時並行的に上昇しているのが原油価格です。本日NY-WTIは58ドル水準に達し60ドルを間近にしています。しかし、アメリカの失業率は8.9%と相変わらずの高水準。クライスラーは破綻し、GMの運命も決まったと同じ。株価や原油価格が実体経済を反映しているとは思えない。商品価格と実体経済との乖離、これがバブルである。今のアメリカは第二のバブル状況(ミニバブル)にあると見るべきである。何故、このようなバブルが生じたかと言うと、1)一つはアメリカ政府の公的資金注入と、日米欧の協調介入で、低金利の資金が金融機関にジャブジャブとつぎ込まれてきた。2)一方、実体経済の回復が遅れているので資金需要に乏しく、資金は市場に廻らず金融機関に滞留することになった。3)更にアメリカ政府のストレステスト対応で、見かけの経営体質を改善するために、内部滞留資金を何処かで消化する必要に迫られた。それが原油や他の商品市場に環流していった疑いがある。これが株や原油価格を押し上げた原因と考えられる。4)更に産油国側の減産体制が価格押し上げをした支えした。つまり今の株・原油高は実体経済を反映した者ではなく、投機筋の思惑によるものは明らかなのである。
 さて、昨年7月始めから始まった原油価格下落(穀物は6月終わりから値下がりを始めている)は、サミット後アメリカ連邦議会による「公的基金の投機市場への資金流入を自粛するよう」という勧告から始まっている。つまり、昨年サミット(或いはG8)で、原油・穀物の高騰を防ぐ何らかの対策が話し合われたのは顕かである。この結果、アメリカ公務員年金基金や退役軍人年金基金などが市場から引き上げられた。無論、日本の厚生年金や公務員共済も例外ではない。そして、その結果は原油を始めとする商品価格や、それに連動する株価の急速な下落となり、リーマンBやクライスラーの破綻に繋がったのである。そして、この勧告は今も生きていると考えられる。
 このまま原油高が続けばどうなるか?急速な原油価格高騰はアメリカ実体経済の復活を妨げる要因であり、オバマ政権として容認出来る者ではない。50ドル台は許容範囲だが、60ドル台となると話は違ってくる。アメリカ政府は何らかの政策を採らなくてはならなくなる。筆者は昨年の経験から、それをバーレル70ドルと見ている。即ち、原油価格が70ドルに接近したり、越えたりすると、FRBは金融引き締めに動く可能性が考えられる。第二のバブル崩壊である。このときばかりは、オバマもウオール街や石油メジャー、アラブ産油国に甘い顔はしていられない。アメリカの19ある銀行は半分以下になるだろうし、アメリカ第5艦隊の矛先はアフガンではなく、サウジや湾岸諸国になっているかもしれない。
 問題はそれがいつ頃か?だが、筆者はほんの数日前まではそれを8月か11月頃かと思っていた(05/06の記事参照)。しかし事態はそれよりも急速に展開している。

09/05/10時点でのNY-WTI原油価格の推移。のままで行くと、5月中にバーレル70ドルを突破する勢い。価格上昇曲線はかつての原油高騰時に似てきている。完全なバブルである。MACDのデッドクロスは間近い。オバマはバブルの発生を許容しないだろう。

 上の図は最近のNY原油価格の推移だが、これを見ると、70ドル突破は5月中にもあり得る。これをオバマがどう乗り切るかが問題だろう。そういう意味で、原油価格の推移は、今後見逃すことが出来ない指標なのである。
(09/05/10)

バーナンキが、景気底入れを示唆。住宅価格の堅調が根拠。果たしてそう上手く行くでしょうか?問題は誰が住宅を買っているか?だが、どうも中国人らしい。日本でもバブル崩壊後の土地暴落狙いで、アメリカ人に買いたたかれた。その後東京を中心に、都心部で土地バブルが発生したのである。どうもこれのアメリカ版の気がする。気が付いてみたら、アメリカ中の土地所有者が中国人だらけだったりして。
 そもそもアメリカ実態経済指標の中で、NY原油と住宅価格以外景気回復を示すものは何にもない。失業率は相変わらずだし、貿易赤字も増える一方。NY-WTI価格も、3月以降、バーレル 50ドル水準だが、 誰が見たって投機資金か、産油国側からの価格安定資金流入は顕か。ロシアやベネズエラなどの新興産油国にとっては、バーレル40ドルを維持する事が絶対命題。30ドル台なんてとんでもない。だから、これまでの儲けをはたいてまでも価格釣り上げに奔る。それにアラブ系産油国が協力しているだけの話し。価格が上がれば、産油国だけでなくメジャーもお互い有り難い。しかし、産油国の価格介入は、産油国の財政を圧迫するだけ。いずれその矛盾は露呈する。そうなれば、再び原油価格は暴落し、再起しかけたアメリカ経済もここで破綻か?筆者はそれを、早ければ今年の夏(8月頃)か秋(11月頃)、遅くとも2〜3年内と見ている。
 それを回避する手段は唯一中国経済。今はアメリカだけでなく、全世界が中国頼みなのだ。但し、ここで注意しなければならないのは、世界の景気牽引車国家には必ずバブルが発生することである。将来中国にもバブルが発生するだろう。必要以上の中国のめり込みこそが用心、用心。
(09/05/06)
 
 クライスラーが破綻。GMも時間の問題。アメリカ自動車産業の大掃除。当面国営自動車会社で存続させ、その内何処かに転売だろうが、クライスラーは準軍事企業。外国企業傘下に入ると、国防上の問題が発生する。米軍主要戦車・装甲車は100%クライスラー製。ロシアや中国系が手を挙げてきたらどうするのでしょう?北朝鮮が買えるまで買いたたかれると、一大事。この次必要なの、はウオール街の大掃除だ。
(09/05/01)

クライスラーの破綻が回避されたと云っていたら(04/28)、途端に破綻必至となる(04/30)。一体どっちが本当なんでしょうか?日本の経験で云えば、何時までもダラダラやるより、出来るだけ早く債務を処理した方が良い。つまり、アメリカの将来を思えば、クライスラーやGMは破綻処理した方がベターである。同じ事は日本にも云える。金融不安対策で出来た、産業再生法で政府融資を行うより、潰した方が良いケースもあり得る。日立やトヨタだって例外ではない。
(09/04/30)


 アイスランド総選挙で、保守派が敗北。民主社会同盟が勝利。新自由主義に乗っかった借金経済への批判。これは効くぞ。アイスランドの日本版がコイズミカイカク。

 G7で、年内の景気回復宣言。本当でしょうか?いささか政治寄り発言が強すぎる感がします。問題はこれに調子に乗って第二のバブルが発生することです。その予兆はあります。
(09/04/26)

 GMに続いてクライスラーも破綻準備。ワタクシはイラク・アフガン戦争は、クライスラー救済のために始めたとばかり思っていました。何故なら、アメリカ軍用車両の8割はクライスラー製だからです。ところが、あまり効果は無かったようですね。おそらく車両の消耗が、思ったほどではなかったからでしょう。それはその筈で、現代のような非対称型戦争では、アメリカ製重装甲車両はなかなか潰れない。だから期待したほど売り上げが伸びなかったのだ。おまけに、オバマはイラクからの早期撤退を明言するし、アフガン増派は云うモノの、どの程度本気か判らない。というわけで、クライスラーの将来に期待出来る者は何にもない、ということでしょう。
(09/04/24)

 ご存じの通りこの処、原油価格だけでなくアメリカ銀行株価も上昇を続けています。これだけ見れば、アメリカ経済回復でメデタシ々の筈だが、本当でしょうか?ワタクシのような疑い深い人間にとっては、とても信用出来ません。アメリカの経済指標に、少しも良い処はありません。それでも何故株価が上昇したのでしょうか?それもウオール街の銀行だけ。ワタクシは、当初政府が投入した公的資金が、投機資金に化けたのではないか、と思いました。処がそうではなく、どうもアメリカの会計基準の緩和が原因らしい。時価会計に基づく厳密な会計基準は、アメリカが主導し、グローバルに押しつけた匕首のようなもの。この会計基準の目的は、企業の業績透明度を高めると云われていたが、実際は(アメリカの)投資家のための情報提供手段に過ぎなかった。その匕首が自分の喉元に迫ってきたので、慌てて矛先を外に向けようという算段に過ぎません。その結果、不良債権の所在は曖昧となり、債権処理は先送りされ、債権は何処か見えないところに溜まるだけ。なんて事はない、官民共同の八百長相場というわけ。従って、いずれ、破綻に追い込まれるでしょう。その時期は、おそらく今年の夏か秋。今度こそは立ち直れないでしょう。
(09/04/20)

 ここ一ヶ月ほどWTIがじわじわと値を上げて、今やバーレル50ドル台。このところのWTI変動には特徴的なパターンがある。数日間値動きが殆どないと思うと、いきなり値が動き(大きいときはバーレル数ドル単位)で跳ね上がり、その後殆ど値動きせず又いきなり値下がりする。これが続くと又いきなり値上がりする。これを繰り返してじわじわと値を上げています。昨年も、似たような動きが見られたが、それでも安定時の値動きの幅はもっと大きかった。昨年はある程度、一般のオイルデイーラーが参加していたように見えるが、今年は殆どそういう様子は見られない。明らかに一部の投資家(というより投機筋)による価格操作と思われる。ではその投機資金はどこから来たのでしょうか?政府により投入された公的資金が、肝心の企業資産の安定化やリストラに廻らず、投機資金に流れ込んでいる可能性が考えられます。このところ、アメリカ経済指標は好調傾向にあります。しかし、そんなに簡単に景気が回復するでしょうか?失業者は相変わらず過去最悪レベル。政府財政赤字も最悪。第二のバブルを当て込んで、資金が投機に流れているとすれば、今年の夏か秋頃に再び大暴落。今度こそは立ち直れないほどの傷になるでしょう。
(09/03/27)

 連日TV海外ニュースでは、米議会のAIG非難が報道されています。しかし、なんとなくヤラセの感がする。ズバリこれは、選挙を睨んだパフォーマンスに過ぎない。だからアメリカ民主主義は何時まで経っても同じ失敗を繰り返す。なお、日本でも某ニュース番組なんかではキャスターは「本当に「腹が立ちますねえ」なんて云ってるが、余所の国のことに、一々口出しすることはない。それより、自分の国で同じ事が起きたらどうするか、を考えた方が良い。
(09/03/19)

 AIGの高額ボーナス問題の続き。共和党はこの決定が何時なされたのかとオバマ政権を追求しているが、これはやぶ蛇。AIGの破綻が表に出たのはリーマン破綻直後の昨年9月。その後公的資金注入に抵抗して問題をこじらせたのは、ブッシュとウオール街。その後ポールソンとの協議でやっと資金注入受け入れを了承したが、ポールソンとどういう話しをしたのか、その内容は明らかになっていない。経営責任は問わないという約束がされた、という噂はある。全てブッシュの了解済みと考えるのが常識だろう。どれもオバマが大統領選を制する前の話しである。
(09/03/18)

 AIGの高額ボーナス問題。支給先は経営者と思っていたら、投資専門のトレーダーだった。これでは取り戻すのは難しいでしょう。契約社員だから、AIGとの契約がどうなっていたかで話がややこしくなる。本来はAIGがこいつ等に損害賠償請求しなくてはならないのだが、どうもAIGの経営者もこいつ等の一味の可能性が考えられる。そこで一案。このトレーダー達を兵役に採って、アフガニスタンの最前線に送ればよい。兵役志願書など幾らでも偽造出来る(そのためにCIAがある)。400人全員でなくて良い。10人か20人の棺桶を見せしめにすれば、後はみんな云うことを聞くだろう。
(09/03/17)

日本自動車産業に未来はあるか?
 アメリカの金融崩壊、それに続く自動車産業崩壊の煽りを食ったのが、日本の輸出関連産業。その中でも自動車産業のダメージは大きい。これが連日、派遣切りと抱き合わせで報道されるものだから、自動車産業悪玉論が世論になってしまった。ではこの状況は一過性のものだろうか?
誰だってそうあって欲しいと思うのは当然。ところがなかなかそうはいかない。日本自動車産業はいずれ構造不況業種になる、いや既にそうなっているかもしれない。構造不況業種とは、その産業を維持するために、税金を投入しなくてはならなくなった産業である。自動車産業がそうなる徴候として、次の3点が挙げられる。
1)コイズミ政権以来行われてきた、円安誘導の終了。
 これはブッシューコイズミの個人的関係の下に容認されてきた政策に過ぎない。コイズミは引退し、ブッシュも過去の人物となった。オバマやヒラリーがこれに縛られる筈がない。アメリカ次期政権は今の円高をチャンスと捉え、更なる円高と日本の内需拡大を要求するだろう。
2)同じく、輸出優遇税制の終了。
 輸出産業はこれを隠れ蓑に実質上消費税を払って来なかった。昨年、アメリカは中国製油送用鋼管に対し相殺関税を課すとともに、今後輸入品に関し相殺関税や反ダンピング課税の適用を厳格化すると発表した。中国も日本と同じ事をやっていたのである。この政策はオバマ政権でも持続されるだろう。
3)国際競争力強化の名目の下に進められてきた派遣労働の規制強化。
 これについては説明するまでもない。

 つまり、現在の日本自動車産業を取り巻く環境は、かつてのコイズミーブッシュ時代とは全く様変わりし、これまでのような甘い状況は期待出来ない。更に日本メーカーが得意とする大衆車生産は、今後間違いなく中国・インド・ブラジルに取って代わられる。これら新興国とまともに張り合って勝てるわけがない。身を削ってついて行くだけが精一杯。これが、今後日本自動車産業が構造不況業種となるであろうという予測の根拠である。ではどうすればよいか?
 これまで、日本には幾つも構造不況業種が出ては消え、消えては現れた。主な物を挙げると、紡績・造船・鉱山(炭坑、金属)・鉄鋼などである。かつて紡績業界は日本を代表する産業だった。今では、昔ながらの機を織っている会社など一つもない。みんなハイテク産業になってしまった。例えば、東洋紡と云う会社は世界最大の紡績会社だったが、化繊化の波に乗り遅れ、一位の座を滑り落ちると業績は低迷。リストラと生産拠点の縮小だ。そして30年、今何を作っているかというと、宇宙服・防弾チョッキ・耐熱服等特殊衣料の素材、形状記憶繊維、海水淡水化皮膜等ハイテク素材である。紡績屋など止めちゃったのである。しかし、ベースにあるのは機織りの技術。鉱山でもそうで、国内外で石炭・鉱石を掘っている会社などない。みんなメタコン商社になってしまった。
 ということで、自動車産業も何時までも、自動車だけ作って売っていれば良い時代ではなくなった。電気自動車などにシフトするというが、これは一過性のブームに過ぎない。直ぐに韓国や中国に追いつかれて価格競争の波に呑まれ、元の木阿弥になるのは目に見えている。第一、業者の数が多すぎる。日本にこんなに沢山の自動車会社が必要でしょうか?従って、自動車業界も先輩構造不況業種のひそみを倣って、思い切った業態改革を計らなくてはならない。この改革は、コイズミ竹中流の、数字だけを追いかける浅薄カイカクではない。技術の本筋を問う改革である。今はそういうパラダイム転換の時期である。
(09/01/07)

年明け、特にオバマ就任後のNYWTI価格の変動には決まったパターンがあります。価格が下がる時期が2〜3日続くと、思い出したように戻り、高値が暫く続くと又下がる、の繰り返しです。底値は2月にに入ってからはバーレル33〜34ドル、高値は最近では38〜39ドル前後。なかなか40ドルの大台は回復しません。これが大体2〜3週間サイクルで繰り返すわけです。新聞なんかに「原油価格一時的に33ドル台を記録」などという記事が出ますが、これは当に一時的な現象。直ぐに高値に戻します。しかし、高くなってもこれも一時的なものだから、直ぐに又元に戻る。これの繰り返しです。だから、価格が下がったと思うと直ぐに買いを入れる、上がったと思うと直ぐに売る、そうすればそこそこ儲かる。おそらく世界中の投機屋が同じ事をやっているのでしょう。ただし、山がじわじわと下がる傾向が見られます。これが何時崩壊するのか、或いは噴火するのか?三月にはある程度の結果が出てくると思いますが、どうでしょう。
(09/02/25)

 1週間ほど前からWTIはバーレル40ドルを切り、ここ2・3日は35〜6ドル台を低迷(一昨日には33〜34ドル、昨日から38ドル台に戻す)。やや危機的状態を感じさせます。ワタクシは昨年11月には年末30〜40ドル台、但しバーレル40ドルは産油国として譲れない一線だから、厳しい攻防があるだろうとした訳です。ところが、12月に入って直ぐに40ドルを割ると、そのままするすると36ドルまで下がってしまった。そこで年明け20ドル、場合によっては15ドルもあり得るとしたわけです。そこへ年末のイスラエルのガザ空爆、それに続くガザ侵攻。これにブッシュが承認を与えた物だから、WTIはいきなり反転。それに追い打ちを駆けたのが、1月中旬のOPEC追加減産表明。この所為で、WTIは混乱、乱高下。予定が一ヶ月ほど狂った感じです。このところの価格下落が大体予定通りでしょうか?三月にはGMの二次破綻が懸念されます。更なる原油安が予想されます。
(09/02/14)

 ここ暫くNYWTIはバーレル41から45・6ドル辺りを上下していましたが、昨日あたりから40.0ドル台で落ち着いてきた模様です。OPECの大幅減産効果もこの辺りで息切れでしょうか?但し産油国にとって、バーレル40ドルは譲れない一線だからもう一波乱あるかもしれません。3月にはGMの二次破綻が顕在化してくるでしょう。この辺りで30ドル台陥落の可能性が大きい。
 しかし、世間には今年中に原油価格100ドル突破という説が流布しています。今の経済環境ではとても信用出来る話しではありませんが、唯一可能性はバブルの再来です。現在アメリカは8000億ドルの財政支出を予定しています。これが上手く実体経済に廻れば不況脱出の可能性は大きくなり、オバマはルーズベルト以来の名大統領という名声を得られるでしょう。しかし、これが中間で停滞してしまえば・・・例えば金融機関に幾ら資金を注入しても、それを受け入れられる産業が回復していなければ・・・資金は国債や株、商品、更に円買いに奔る事になるので、一時的にバブルが発生する可能性がある。つまり行き場を失った大量の資金が原油市場に舞い戻れば、再び原油は高騰する可能性があります。アメリカ金融業界は、間違いなくバブルの再来を願い、狙っていると考えられます。このままで行くと、更に円高が一層進むことにもなりかねない。日本としてはいささか頭の痛い話しになりかねません。今年6〜8月の動向に注目する必要があるでしょう。
(09/02/05)

世間ではオバマ、オバマと期待一杯ですが、就任演説を読む限り、私には彼はそれほど頭が良い人間には思えません(頭の良さではヒラリーの方がズット上でしょう)でした。オバマに対する懸念は、世界史特にヨーロッパ・アジア・アフリカ相互の複雑な関係を理解出来ているか、と言う点に不安を感じるからです。
(09/01/26)


 オバマが就任してからWTIは急に反騰してバーレル40ドル台を回復し、一時49ドルに迫る勢いでしたが、その後乱高下を繰り返し、今は43ドル台。やっぱりいつものパターンでしょうか?このところドバイが40ドル台を付けているので、それに合わせようという動きかもしれません。ドバイはスポット売りだから安定した市場ではない。これに引きずられるようでは、NYとドバイの立場が逆転したことを意味します。最早アメリカは石油の世界でもリーダーではなく、これからは、石油市場の動向はNYだけ見ておればでそれで済むのではなく、ドバイや他の市場も睨む必要があるということです。ま、当たり前と言えば当たり前ですが。
(09/01/23)

 本日のNYWTIは大体バーレル33ドル、一時は31ドル台まで下がった。来週は20ドル台突入でしょう。しかし、これをオバマ政策不信と見るべきではない。これまでが酷かったのだ。一方ドバイ卸しは44ドル台で、NYより7〜8ドルぐらい高い。ロシアや湾岸のスポット価格は、実はよく判らない。要するにアメリカ市場は、世界から信用されていないと言うことなのだ。オバマがやらなければならないのは、レーガンーブッシュ路線で出鱈目にしたアメリカの信用回復である。諸悪の根元はレーガンにあり。
(09/01/20)


 昨年11月頃から、筆者は年明けNY原油バーレル20ドル台を予想しています。イスラエルのガザ侵攻で予定が三週間ほどずれましたが、今のところ35ドル台だから概ね予想通りの展開と考えられます。今月下旬には20ドル台突入も考えられます。その後(おそらく今月末か来月明け)一旦反騰し、30ドル台に戻しますが、その後更に下落すると予想します。最安値は三月頃。ビッグスリー特にGMの再破綻が明確になる頃です。一時的の15ドルのケースもあると考えます。
(09/01/17)

 WTIは一昨日辺りから40ドル前半をウロウロしていましたが、昨日とうとうバーレル37ドル。云ったとおりになりました。 30ドル台が定着したものと見て良いでしょう。これまでの経験から云うと、今後1週間ぐらいの間に次のステップ・・・つまり20ドル台・・・に接近し、その後再び乱高下を繰り返すパターンです。注目されるのは20日のオバマ演説。今週末か来週明けに、再びWTIは上昇する可能性があります。但し、これも一時的なカンフル剤に過ぎません。オバマがGM救済にスタンスを置いて保護主義政策を採れば、ダウは下がり、原油価格も更に下がるでしょう。日本はこの原油低価格を利用して石油備蓄を増強すべきである。最低、現在の三ヶ月を一年にすべきである。
(09/01/13)

 イスラエルが停戦に向けて同意したという報道が出た途端に、NYWTIは49ドルから42ドルに急落。戦争目的の投機筋が、いまだに徘徊していることがよく判ります。モラルも何も無くなった腐敗地域がNYウオール街。それにまとわりつくのが、ペルシャ湾岸に巣くう、海賊山賊上がりの強突張りアラブ石油王。今月後半にはバーレル40ドルを割り、元の水準に戻るでしょう。働かず他人の懐を狙う不信心者は、バザールの真ん中で打ち首だ。
(09/01/08)

グリーンスパンは今回の金融危機を100年に一度の「TUNAMI」と呼んだ。巨大津波には素因と誘因がある。素因は深い海溝、誘因は巨大地震である。では、海溝が何で、地震は何だったのでしょうか?それを明らかにしなくては、金融危機は何時までも起こります。イスラエルのガザ侵攻で、株も原油も値上がりしています。この背景にまだ、バブル再来を期待する投機屋の存在が懸念されます。アメリカはもう一度地獄を見るでしょう。
(09/01/05)


 最近よく判らないのが、ブッシュ政権による立て続けの経済安定化政策。殆ど共産主義と変わらない。これが次期オバマ政権との協議によるものか、ブッシュの逃げ込みによるものかどちらでしょう?
 ブッシュ政権の経済政策失敗は、ブッシュの思いこみとグリーンスパンの判断ミスによるものは明らかなので、いずれ両人による自己批判が出てくることを期待します。まだいる、馬鹿のポールソンとバーナンキをどうしましょうか。
(09/01/04)

 アメリカのゼロ金利政策に乗って、GMがゼロ金利ローンで販売攻勢を仕掛ける。これじゃまるっきり国営自動車会社だ。これまで散々共産主義をあげつらってきた国が、事実上共産主義化したのである。さて、竹中、コイズミよ、これをどう説明するのかね?
(09/01/03)

新年早々のNYWTIは、中東情勢の緊迫を受けて40ドル台に回復しています。昨年のグルジア紛争の時は、110ドル台だったWTIが一気に130ドル台に高騰しています。バーレル20ドルの回復です。それに比べ今回は、37ドル台が40ドルそこそこ、バーレル2〜3ドルの回復に過ぎません。単純計算では投機資金が一時の1/10まで減少したということです。無論、今回の原油反騰には、OPECの減産や産油国の買いオペ効果も含まれている筈です。この点を考えると、投機資金は最盛期の1/20オーダー以下まで減少していると推察されます。あちこちで投資ファンドの撤退が報じられ、かつて無敵を誇った投資ファンドにも昔日の勢いはありません。これがその証拠でしょう。
(09/01/01)

 昨日前に居た会社のOB会で、これも前に勤務していた建設企画コンサルタントという会社の倒産を聞き、今日それをインターネットで確認しました。普通、土木のコンサルという業種は、人間以外の資産をもたないから、まともにやっていれば倒産などするわけがありません。業績が悪くなると、社員のクビを切ればそれで済むからです。それが倒産すると云うことは本業以外のことに資金をつぎ込み、景気の変動で資金がショートしたとき位です。私が思うに、この会社の倒産原因は、元経理部長で社長・会長まで上り詰めたYの営業拡大路線(この人物の頭の悪さには恐れ入るのだが)、その後を継いだ元海外部長Hの海外戦略の失敗でしょう。元々粉飾体質のある会社だったが、私など逆粉飾をやっていた。つまり、今期売り上げを来期に繰り延べして、売り上げを調整するのだ。正直に売り上げを計上してると、来期のノルマが上積みされるからである。シベリアの捕虜収容所みたいなものだ。来年の事など誰も判らない。それを判れ、と云うのだから、まあ虚構で積み上げられた会社だな。私は上記二人のやり方を疑問に感じていたが、創業者がこの二人に入れ込んでいたから、末端の一管理職など何もできない。トヨタも日産もGMも、似たようなものではないですか?(08/12/31)

 2008年のキーワードは何か、というとやはり「原油価格」に尽きると思います。来年も原油価格にとって、良い年になりそうにありません。この過去五年間に渉る原油価格の推移を見ると、ここにG.W.ブッシュが深く関わっていたことが判ります。ブッシュの妄想とそれにつけ込んで、更に妄想を煽ったチェイニイー他のネオコンや石油メジャー、ベクテルのような公共事業マフイアが共犯者として挙げられます。G.W.ブッシュとはそもそもどういう人物でしょうか?彼を一言で評するなら「未熟な原理主義者」が妥当でしょう。イランのアフマデイネジャドも同様です。

 イスラエルのガザ空爆と同時にNYWTIが40ドルに跳ね上がりました。産油国にとってもメジャーにとっても40ドルは絶対死守防衛線。何でもありというところだろうが、長続きしない。年明け前後で又元に戻る。要するに8月のグルジアの二の舞。このときも、一時は130ドルまで反騰したが、その後は落ちる一方。

 オバマ次期政権で、イスラエルも日本も厳しい立場に立たされるだろう。ブッシュ時代、アメリカはこの二カ国に対しては特別の優遇措置を執っていた。日本に対しては長期間の円安ドル高を容認してきた。日本自動車業界のなりふり構わぬアメリカ進出も、コイズミへの友情で容認してきたのである。イスラエルには際限の無い軍事援助を与え、周辺アラブ諸国に対する圧倒的軍事的優位性を保障してきた。イラク戦争だって、イスラエルの要求にブッシュが従った結果とも云える。つまり、現在アメリカが抱えている莫大な負債は、この二カ国の所為だ・・・とオバマの周辺(と支持層)は理解するだろう。日本に対しては、当たり前だが内需拡大要求。その次には当然さらなる円高が待っている。ではイスラエルに対してはどうだろうか?一般にはアメリカはユダヤ社会が強力で、アメリカ政府はイスラエルの言いなりだ、と思われる傾向が強いかもしれない。しかし、そうでしょうか?
1)従来アメリカユダヤ社会は民主党支持だったが、ここ暫く一貫して共和党=ブッシュ支持を鮮明にしてきた。一方、かつて共和党を強く支持してきた宗教保守派は最近、政治への関心を薄めているようである。
2)アメリカユダヤ社会の持つ三つの武器、(1)金融、(2)石油、(3)マスコミの内(1)(2)は最早壊滅状態、(3)マスコミも危ない。ユダヤロビーにかつてのような力はない。
3)夫のビルが苦労して作ったオスロ合意をブッシュは紙屑のように捨て去った。ヒラリーがこのことを忘れている筈がない。
 ということで、現在のアメリカにとって、イスラエルはこれまでほどの重要性を持たない。今後アメリカ/イスラエル同盟がどうなるかは予断を許さない。今回のガザ空爆はアメリカの離反を牽制するための動きだろう。だからといって、イスラエルを直ぐに切り捨てるほど、オバマは単細胞ではない。イスラエルに何らかの譲歩を求め、それを担保にイランと交渉に入ると思われる。
(08/12/30)

トヨタ後継者の副社長の記者会見が昨日あったが、記者団の質問に全くピント外れの回答。これじゃ駄目だ。トヨタの将来に希望はない。第一この男、海外戦略・営業の統括責任者だったのにビッグスリーの経営状況を把握出来ていなかったのだから、それだけでも落第である。
(08/12/26)


 (財)日本エネルギー経済研究所というシンクタンクが、来年の原油価格を、今年の平均価格をバーレル100ドルとしてその半分、バーレル45〜50ドル(WTIベース)と予測。大丈夫かね?この会社、予測が甘すぎる。既にバーレル35ドルですよ。私は来年後半で持ち直すとしても、良くて平均20〜25ドルと見ます。まず、このシンクタンクが計算の根拠としたのが、今年のWTI原油平均価格。それと来年の需要予測。前者は前半と後半で大きく違っている。前半の価格は野放図な投機資金によって作られたペーパー価格、後半はそれを吐き出し中の価格。この研究所は性質が全く違うデータを無理矢理ドッキングさせているのだ。つまり、この研究所の予測は、来年も投機資金が原油市場に流入して来るという前提に立っている。更に需要予測であるが、新興国需要を考慮していると云うが、新興国需要自体、アメリカ経済依存型、アメリカ経済が復活しなければ新興国需要も復活しない。これ自身極めて不安定な前提である。そもそもこの研究所は電力会社の共同出資で出来た会社ではなかったか?ということは、この予測は来年も電力料金の高値安定を狙った、世論操作(プロパガンダ)の疑いがある。まさか赤字で苦しむ東電救済策ではなかろうね。

 ここに来て日本自動車メーカーの苦境が伝えられます。本来、日本メーカーの利益体質はビッグスリーなんかに比べて遙かに強靱で、最初の株安なんか問題にしてなかった。ところが今の有様だ。何が問題だったのでしょうか?ワタクシなりに考えてみました。
 日本でバブルが崩壊し、企業が一斉にリストラを始めたとき、無責任経済学者・経済評論家が指摘したのは次の三つの過剰、即ち@設備の過剰、A雇用の過剰、B流通の過剰だった。これは実はビッグスリーだけでなく、日本の自動車メーカーにもそっくりあてはまる。ビッグスリーは更に、これに「金融(借金)の過剰」が加わる。
 今回の金融崩壊の直接原因がサブプライムローンの破綻なのは既に報道されている通りである。GMの販売方法を見ると、自動車ローンにもよく判らないデリバテイブ商品が組み込まれていたと考えられる。大元の住宅ローンが破綻すると、それが自動車ローンに影響し・・・当たり前だが住宅ローンを払えない者が自動車ローンを払える筈がない・・・、結局ローンの焦げ付きに発展したのである。サブプライムローン破綻が日本で注目されるようになったのは、今年の春頃からだが、実は、アメリカの個人住宅ローン破産は数年前から始まっていた。NHK-BSワールドニュースでは、去年の春頃からしばしばこの報道があり、特に秋頃からは顕著になっていた。ワタクシでさえ、こんなことでアメリカの経済は大丈夫だろうか?と心配したものだ。トヨタもホンダも三菱も、北米で事業展開している企業はスタッフを現地に派遣し、市場動向をリアルタイムで調査していたはずである。だったら去年の段階で自動車ローンの危険性を察知し、何らかの手を打つべきではなかったのか?という疑問が出てくる。それともウチは、そんなヤバイことはやっていないから大丈夫、と思ったのだろうか?しかし、業界のリーデングカンパニーはGM、GMにもしものことがあったら、自分たちにも火の粉が降りかかるぐらいの想像力が出てこなかったのだろうか?サブプライムローン破綻に気がついておれば(気づくべきなのである)、去年辺りから生産設備は縮小にシフトしておかねばならない。それをトヨタなど過去最高益だなどと有頂天になって、他も同じだろうが設備増強に一目散。そのツケが今来ているのである。
 これまで日本政府による為替介入・円安誘導の容認が、コイズミーブッシュの個人的関係と、日本のイラク・アフガン戦争への支持との引き替えで行われた。これの最大の受益者が日本自動車産業なのである。いつまで経っても終わらない北米事業での成功、これが各社の経営感覚を麻痺させ、果てしない設備・雇用の増大を招いてしまった。北米に送ったスタッフは何をしていたのかね。いい気になって遊んでばかりいたのじゃないか?
(08/12/25)


 WTIがその後反騰して40ドル台に戻し、ここ2、3日ほど43ドル前後を付けていました。ワタクシは三日ほど前に某掲示板(2chではありません)に、「こんなものいつものパターン、すぐ元に戻る」と書き込みを入れましたが、本当に昨日またまた40ドルを割って今、39ドル台。売る方も買う方も、年の瀬を控えて必死の攻防なんでしょう。今は期の変わり目で、1月限と2月限で原油価格が異なるので、今はその調整局面に過ぎない、という解説をする専門家もいますが、それだけでしょうか?それだけなら、OPECの減産は価格に関係無くなることになる。
(08/12/23)

 NYWTIがとうとう33ドルまで落下。その後40ドル台に戻していますが、これはドバイスポットがNYより高くなっているので、ドバイに向かった石油元売りがNYに戻っているのではないかと思われます。従って、これも長続きしないでしょう。いつものパターン。
(08/12/20)

FRBは0金利政策を、OPECは日産220万バーレルの大幅減産を発表したにも拘わらず、NY原油市場(WTI)は本日遂にバーレル40ドル割れ。ワタクシが10月から云っていた年内30〜40ドル、今月後半30ドル台突入がいよいよ本当になってしまいました。理由は色々考えられます。
1)OPECは最早ガタガタ、減産目標はただの建前。それに従う産油国など現実には存在しない、ということを消費国に見透かされてしまった。OPECが決めても、それを無視して闇増産に励む国が後を絶たない。特にイランは大統領選を控えているから、バラマキ用に闇増産に奔る可能性が大。
2)グルジア紛争で一時バーレル130ドルをピークに後は、上がったり下がったりの繰り返し。値段が下がりすぎると誰かが買いに入り値段を釣り上げるが、それも長続きせず又々下落して先値を割る。これの繰り返し。値段が下がると云うことは、買ったものが売れないからで、この価格差が在庫として積み上がる。おそらく世界の石油元売り会社には、ここ1年分ぐらいの在庫があるのではないかと思われる。そうでも無ければ、220万バーレルの大幅減産でも値段が下がるなんてことはあり得ない。
 おそらくは1)2)の複合要因でしょう。ではこの在庫が一掃されれば原油価格は再び高騰するでしょうか?産油国はそれを願っているでしょうが、そう簡単にはいかないでしょう。まず在庫一掃・・・その前提はアメリカの経済回復・・・にどれだけ時間が懸かるか判らない。概ね少なくとも1年は必要でしょう。それまで産油国側の財布がもつでしょうか?せいぜい持っても2〜3ヶ月といったところか。これまでの濫費が祟ってきます。更にその間、消費国では省エネが進む。だからその内、なし崩し的に増産が始まり、結局原油価格は低値安定状況が継続すると思われます。おそらく少なくとも来年1年はNYで10〜15ドル、ドバイ渡しで10ドル前後で推移すると見ます。だから、消費国にとって大事なことは、この原油低価格期間を利用して、産業構造を改革し、石油に過度に頼らない体質に変わっていくことです。筆者としては、現在の法定備蓄量3ヶ月を1年まで延長し、それを可能にするインフラを整備することが必要と考えます。
(08/12/18)

 ブッシュによる金融バブルはここに破綻しましたが、市場主義経済つまりバーチャル経済ある限り、バブルの種は尽きない。リーマンクズレを大量採用した野村HD、GSに投資した三菱UFJ、それにMSなどが狙っているのは、排出権取引市場を舞台にした炭素バブル即ちエコバブルの創出である。これに手を貸しているのが地球に優しい環境主義者だ。
(08/12/14)


 ビッグスリー救済に共和党が反対し霧の中。共和党の反対は金融への公的資金投入反対と同じ、選挙民向けパフォーマンス。第一、共和党はこれまでビッグスリーの出鱈目経営を黙認し、彼らのロビイストまで努めたものがいるはずだからである。おそらく、結論は大統領令で何らかの決着を計るのではないかと思われる。しかし、今上がっているのは140億ドルのつなぎ融資だけで根本的な解決にはほど遠い。年が明けると、ビッグスリー特にGMの破綻がより具体的なスケジュールに上がってくると思われる。
 ビッグスリー破綻で問題視されているのは下請けの倒産、特に部品調達の困難さとされているだからビッグスリーが破綻して下請けが倒産すると、世界中のメーカーが影響を受ける。よく自動車一台作るのに2〜3万点の部品が必要で、その一つでも欠けると車は作れない、と云うことが云われるが、これはこれは部品の数と下請けメーカーの数を一緒にしたくたにしており、石油ピークと同じ業界人間が流したプロパガンダである。
 それはともかく、GMを全部助けるのは難しい。一旦破綻させ、その上で下請けメーカーを組織して傘下に収め、GMの工場の内採算の採れそうなのを吸収して別会社とする。これを核として順次拡大していけばよい。これは昔、京セラの稲盛が始めたアメーバ戦略という奴である。焼け跡に花を咲かせる。これは日本人が最も得意とする分野である。
(08/12/13)

 昨日NYでは遂にバーレル41.7ドルまで下落。40ドルまで幾らもありません。11月のアメリカ失業率の発表や、ビッグスリー救済を巡っての混乱の影響でしょう。筆者はビッグスリー救済に賛成しません。何故ならこういう救済は究極のモラルハザードを作り、将来に最悪の前例を作るからです。かといって、潰してしまうのもショックが多き過ぎる。今のアメリカ経済にビッグスリー破綻の影響を吸収出来るだけの余力があるか、というと疑問。何故なら最良のスポンサーだったアラブが、このところの原油安を受けて、自分のところで手一杯。とてもビッグスリーどころではない。そこで筆者が考えるのは、ビッグスリーの分割売却再建である。例えばGMの場合、会社が大きすぎて丸ごと買収に応じる相手などいない。第一本当の債務がどれだけあるか、誰も判らないのだから。というのもこれまで自動車販売ローンを自分でやっていて、半ば金融会社になってしまったからである。自動車ローンの中に当然サブプライム他の怪しい債券が混じっている。これを例えば五つか六つの自動車会社に分割し、別に債権取り立て会社を設立する。そうすれば自動車会社は身軽になれるから再建の道筋は出来る。日本が国鉄分割でやった手だ。そんなことをすると、新車やハイブリッドカーなどの研究開発・技術資源が分散し、経営効率が悪化するなどというアホが出てくる。そういう研究開発・技術開発こそ協同で、例えば共有の技術研究所や技術コンサルタントを設立すればよい。資本は競争し、技術は協同化する、これが最も効率の良い経営である。 
 なお、ビッグスリーの分割とは、即ちアメリカ合衆国の分割解体である。アメリカも大きくなりすぎた。大きくなりすぎて自分で自分の身を持て余しているのである。この国も五つか六つに分割した方がよいだろう。
 例えば、ミシシッピー河以東では、@北は旧北部連邦、A南は旧南部同盟がそれぞれ独立。Bテキサスは独立するか南部に加盟。Cカリフォルニア、ワシントンは太平洋岸諸州として独立、D中西部はスー・シャイアンに、E南西部のニューメキシコ・アリゾナはアパッチ・コマンチに返還、というのはどうでしょう。
(08/12/06)

 昨日よりNYでは多少の乱高下はあったものの、バーレル45〜46ドル台に落ち着いています。40ドル台が定着したと見て構わないでしょう。もう少し粘るかと思っていたが、意外にだらしがない。それでも今後1〜2ドル幅での乱高下はあり得ます。これまでも、70ドル、60ドルといった大台を割る前には、こういう現象が2週間ぐらい続いたものです。今回もその一つでしょう。従って、今月後半には40ドルを割り、バーレル30ドル台が現実のものになってきます。来年年明けには20ドル(ドバイでは10ドル)が現実か?
 バーレル20ドルというのはイラク戦争が始まる前の平均的原油価格です。ブッシュ退陣とともに原油価格も元に戻るわけだ。なんて事はない、ここ5年の原油価格高騰はブッシュ=チェイニー作演出のヤラセ劇だったりして。十分儲かったからここらで手じまい、皆さんさようならというわけか。G.W.ブッシュは自分の職権を自分のビジネスに利用した最初のアメリカ大統領として、長く記憶にとどめられるだろう。
(08/12/04)

 とうとうWTIはバーレル50ドルを切ったようですね。先週は50ドルを巡って結構ごたごたがありましたが、それもどうやら落ち着くところに落ち着いたようです。これからは40ドルを巡っての攻防戦です。産油国としてもバーレル40ドルは譲れる線ではないので、相当厳しい攻防が予想されます。
(08/12/02)

 一時バーレル50ドルを切ったWTIが昨日少し戻して、今54ドル台です。おそらく米政府のシテイ救済策を好感したダウの戻しを反映したものと考えられます。つまり、今の原油価格の相当部分に未だ、投機資金が残っていると云うことです。直ぐにシテイ救済策には実効がないことが判って、ダウも急落、ついでにWTIの急落。実際、今WTIは下落傾向。今週後半には確実に50ドル割れになるでしょう。
 日が変わってからは53ドル台。予断は許しません。

 ビッグスリー救済のあとのシテイ救済2兆ドル。ビッグスリー救済は雇用確保という点で、ナントカ世論の同意は得られるかもしれないが、シテイ救済が世論同意を得られるかどうかは難しい。ブッシュ政権は、自分がし損なった金融政策をみんなオバマ政権に押しつけるつもりではないか?そういう世論がアメリカで形成されるだろう。おそらくブッシュとその周辺は、その積もり・・・ヤバイ部分はオバマに押しつけ・・・で逃げを計っているだろう。
(08/11/25)

 GM始めビッグスリーの経営破綻が時間表に上ってきています。その他米系金融機関の経営不安とか。こういうのは果たしてこの業界だけでとどまるでしょうか?ここまで原油価格が下がると、色々余計な心配が出てきます。例えば、新規油田掘削は中止になる。そうするとハリバートン(チェイニー)は受注が減少し、やっていけなくなるのではないか?とか、湾岸諸国もあぶく銭が少なくなってくる。そうすると当然手控えるのは不動産投資。事実日本のゼネコンも、湾岸から一斉に引き上げています。中東再開発ビジネスを一手に抑えていたベクテル(ライス)の将来はどうなるのか?ハリバートンもベクテルもオバマ政権にコネはない。オバマは公共事業投資に重点を置くだろうが、これまで国内事業から手を引いてきたこの2社が受注を確保出来るでしょうか?オバマはロビイスト排除を打ち出している。ロビイストフイクサーのこの2社に何が出来るのでしょう?出来たとするとそれはそれだけで、スキャンダルの種になりかねない。
 WTIは今のところ50ドルを維持していますが、週明けにはどうなっているか判らない。グンと戻すこともあれば一気下落というのがこれまでのパターン。但し戻してもそれが長持ちしたことはない。せいぜい1〜2日。来年年明けにはバーレル20ドル(ドバイでは10ドル)もあり得る。
(08/11/23)

 今話題になっているのがアメリカのビッグスリー救済問題。GM他2社の救済法案に対し、共和党は反対、民主党は賛成でで対立している。共和党の反対は大向こう受けを狙ったパフォーマンスに過ぎない。10月に金融機関救済公的資金注入に対しても、共和党は「このような事態を招いたのはウオール街の高給取りである。彼らを救うために税金を投入する必要なない」と空虚な建前論で反対し、ブッシュは最期まで抵抗した。しかし、実態は経営責任を追及しないという条件で公的資金が投入され、金融サミットでブッシュは自由主義経済は護ると宣言した。陰でウオール街と共和党との間に何らかの談合があったのは間違いない。そこに今回のビッグスリー救済である。再び共和党は見え透いた建前論を振りかざしている(ココロは3年後の中間選挙)。しかし、裏で手を握っているのは見え見え。
 ビッグスリー問題がここまでこじれる理由は年金問題である。レーガン以来、アメリカは「小さい政府」理論に基づいて、ひたすら社会保障(ついでに公共事業も)の廃止を進めてきた。その結果、民間企業サラリーマンの年金は企業年金に吸収され、年金の支払いは各企業年金基金が行うから政府は無関係になった。「小さい政府」の実現である。一方、企業年金の運用も自由化され、これがヘッジファンドと結びつくことによって、手持ち資金を、株やら商品先物やFXで、それもレバレッジ他の金融工学を使って運用していたはずである。その中にサブプライムローンを始めとするデリバテイブ商品が入って来ている。年金も証券化されたのである。この結果が、その後の空前の金融バブルが出現することになった。これがそのまま続けば、年金基金も年金生活者も何も云うことはない。ウハウハの人生である。ところが今このバブルが崩壊してしまった。さてどうなるか?親会社の業績が悪化し、株価が下落すれば、年金基金の資金も枯渇する(年金基金は親会社の株価で資金を集めるからだ)。親会社が倒産すれば年金基金も当然破綻する。ということは影響は単に従業員だけでなく、年金生活者にも及ぶと言うことなのだ。この点がこの問題点に対する共和党と民主党のスタンスの差になって現れる。
 共和党はあくまで「小さい政府」原理に基づいて、建前上救済法の成立に反対している(本音はどうか判らない)。共和党の主張をそのまま踏襲(とうしゅう」と読みます)すれば、ビッグスリーの経営破綻、それに続く年金基金の破綻である。関係者はGMだけで300万人と言われるから、全体では500〜600万人に達するだろう。しかもこれが自動車産業だけとは限らない。一番危ないのは金融業界だが、他に石油・航空宇宙産業・軍事産業にも飛び火しかねない。下手をするとアメリカの生活破綻者は数千万人規模に達しかねない。アメリカ経済だけでなく、アメリカ国家の破綻である。これを救済するためには、途方もない費用が必要だろう(ちょっと計算出来ない。21世紀中懸かるかもしれない)。それを担保するには「超巨大政府」が必要になる。
 一方民主党の政策は一見「大きい政府」路線に見える。しかしその目的は、ここでビッグスリーに公的資金を注入することにより、問題の拡大を防ぐことである。無論、上手く拡大をふせぐことが出来ないかもしれない。しかし、共和党のような「ほったらかし」よりはましな結果になることは想像出来る。しかし、これにも公的資金を要求するのは自動車業界だけとは限らない。公的資金注入は更に大きくなる可能性がある。
 いずれにせよ、アメリカはこれまで「小さい政府」を目標にしてきたにも拘わらず、行き着く先はこれまでよりもっと「大きい政府」という矛盾にぶち当たる。それというのも、これまでアメリカ人がサッチャーというシロートや、レーガンというタワケ者の云うタワゴトを、何も考えずに信じてきたからである。
(08/11/21)


 1週間前にバーレル60ドルを切って後のWTI。市場が開いているときは乱高下があるが閉鎖するとジット黙ったきりの状態が続いています。そして昨日市場閉鎖後とうとう、53ドルを割りました。50ドルまで幾らもありません。このままで行くと、来週には50ドル割れ、来月には40ドル割れもあり得ます。云った通りになりました。今のところ、原油価格を回復するネタはありません。グルジア問題もロシアの思惑通りの展開。グルジアで一騒ぎ起こして原油価格を釣り上げようと云うブッシュの思惑ははずれました。それにしても情けないのはOPECの惨状。幾ら減産しても追いつかない。このままでは価格を下げて量で稼ぐしかないでしょう。バーレル20〜30ドルと云ったところでしょうか。これはイラク戦争前、アメリカがクリントン政権下で好景気に沸いていた当時の価格です。
(08/11/20)

 20カ国金融サミットは終わりましたが、皆さんこれで問題が解決したと思えるでしょうか?本日サンプロで榊原英資が早速かみついていましたが、ワタクシ自身一番問題とするのはアメリカ(ブッシュ)の対応です。他の19カ国がみんな、ファンド始め金融機関・取引の規制強化を求めたのも関わらず、ブッシュは相変わらず自由主義経済の堅持、規制強化反対を表明。10/14にポールソンが金融経営者を集めて公的資金注入を強要したが、このときに何が話されたか?ブッシュの発言はこのときのやりとりを反映したものと考えて良い。まさか、外国が規制を強化したとき、アメリカだけがゆるめておくと、再び海外から資金が流入しバブルが再現出来るなんて考えているんじゃ無いでしょうねえ。しかし、それをやろうにも、政権はオバマに替わっているし、世界の投資家はアメリカの投資環境の問題点、リスク管理の脆弱性を知ってしまっている。ブッシュの思惑通りにはいかない。オバマがこのサミットに参加しないのは、横からジーッと世の中の展開を眺め、それKまら作戦を立てようと云う腹でしょう。その中で我が日本はどう振る舞うか?ズバリ今一よく判らないのである。
(08/11/16)

 昨日(11/12)NY市場閉鎖と同時にWTIは一気に5ドル下落、今はバーレル55.5ドル台。ドバイでは47〜8ドルぐらいでしょう。思ったより下落が早い。無論これだけで済むとは思っていませんが。結局OPECの減産が何の効果も無かったことは間違いない。何処かが闇増産してスポットで売っているのではあるまいか(ロシアは40ドルを切ってスポット売りをやっているという噂もある)?何時の世も、規制あるところ闇商売ありだ。OPECの盟主サウジ自身が闇をやっていたりして。あり得ますねえ。と言うことで、ワタクシが以前から云っている、年内30〜40ドル(NY)もあり得る。
(08/11/13)


 NYではとうとうバーレル60ドル割れ。今後一時的に買いが入って60ドルを回復する動きもあるかもしれませんが、基本的にそれを持続する力はない。上げ下げの繰り返しで、今月下旬から50ドルラインを巡っての攻防が繰り広げられるでしょう。しかし、それも無駄な努力。年内バーレル40ドルが現実のものになるでしょう。
(08/11/12)

 今はバーレル60ドルを巡っての攻防戦。WTIでは60から65ドルの間で上がったりさがったり。今(NYで11/10の夜10時)は60ドルギリギリに付けています。一時60ドルを切る展開もあります。果たしてこれが何時まで持つでしょうか?
(08/11/11)

 と思っていたら(↓)、NYマーカンタイル市場閉鎖後(現地14時頃)途端に値を下げ、現地の21時(日本では朝の9時)頃にはバーレル60ドルギリギリ。同時にダウもシカゴ穀物も値段を下げています。一種のオバマショックでしょうか?バブル崩壊は更に続きます。しかし、これがアメリカ再生のプレランニング(助走)かもしれません。これからはアメリカに投資するのも一法。但し未だ早い。WTI価格がバーレル40ドルギリギリになるまで待った方がいいでしょう。
(08/11/07)

 更に同日昼前(NY時間)には一気に4ドルばかり下落しています。日が変わっても下がり続けています。バーレル60ドルを何時切るか?という状勢ではないでしょうか?
(08/11/06)

 昨日投票開始後辺りから値を上げ、昼頃にはバーレル70ドルまで上昇したが、市場閉鎖後ジリジリ値を下げ、日が変わる頃(オバマ勝利確定直後)には67ドル。オバマでバブルなしと見て放出に奔ったか?
(08/11/05)

 やっぱり思った通り、WTIは一旦69ドル近く迄跳ね上がったものの、休み明け市場開始と同時にじりじりと値を下げ、昨日夕方(日本では今日の朝)には63ドル台。結局元に戻りました。これが今後どう動くか、大統領選挙とどう関連するのか、が興味の対象になります。間違いないのは、最早OPECは機能しておらず、今後各国が自分の利害で動いていくだろうということです。産油国と消費国との経済的実力の差を考えると、今後の石油市場は産油国(生産者)ではなく、消費国の動向で動かされる可能性が高くなると予想されます。グローバル化してしまったから仕方ありません。
(08/11/04)

 一昨日は一時バーレル62.5ドルまで下がったが、昨日の午後(NYで10/31)いきなり67ドルまで跳ね上がりそのままです。何故こんなに上がるのか理由が判らない。この処こういう展開が繰り返す。価格があるレベルまで下落すると、いきなり買いが入って値段がつり上がり、その後又下落する。どういう時に買いが入るかというと、その時点での防衛ライン、10月半ばでは70ドルライン。今は60ドルラインが防衛線といった処。吊り上げても高値が続くのはせいぜい二日ぐらいなので、来週週明けには又下がっているでしょう。ここで65ドルを切ると、後は一気に50ドル台に転落?。それでも底値の倍はある。アラブはまだ儲かっている。
(08/11/02)

アメリカの金利下げ情報が伝わった途端にWTIはじりじり上げ、昨日は一時バーレル69ドル台まで戻しましたが抵抗もここまで。その後65ドル台まで急落(日本時間本日夕方4時には63ドルまで下落)。但しダウは9000ドル近くまで戻しています。株が上がって、原油が下がるのは先進国にとって好ましい状況。せっかくのOPEC減産合意も全く効果が無いことが証明されました。減産は11月から実施されますが、月初の原油価格をドバイ渡しでバーレル55ドル(NYで65ドル。ドバイはNYより10ドルほど安い)とすると、OPEC加盟国は1日あたり8250万ドルの減収になる。一ヶ月ざっと25億ドルだ。大手の産油国ならこの程度の減収はどおってことない。だからこれで原油価格が元に戻る保障はない。何故なら、原油の底値はイラク戦争前のバーレル20〜30ドル。仮にバーレル30ドルとすると、現在価格との差35ドルは泡沫(バブル)だということだ。いくら下がったと言っても未だイラク戦争前の2〜3倍の値段。まだ儲かっているのだ。値切ればまだまだ下げられる。バブルはいつかは潰れる。それをいくらいじくったところで中身は何にも変わらない。それどころか、減産で資産が目減りした国が闇増産を始め、低価格でスポット売りを始める。従って原油価格は更に下がる。
 問題は政府やマスコミがこの事実を把握しているかどうかだ。メデイア特にテレビメデイアではNHKも含め相変わらず、「原油価格の高騰により・・・」などという、産油国の立場に拠ったようなアナクロフレーズが見受けられる。実勢と一ヶ月は遅れている。如何にこの業界が何も勉強していないかの現れである。むしろ、メデイアは原油・穀物(これの価格変動は見事に原油に連動している)はまだまだ下げられる筈だ、というキャンペーンを張るべきだ。
(08/10/31)

 原油価格は上がるどころか、じりじり下げ、とうとうバーレル63ドルを切りました(WTI)。OPECは追加減産を打ち出すでしょうが、まず無意味でしょう。実態経済が回復しない限り、価格が戻る理由がありません。これまでの原油価格はイラク戦争前の20〜30ドルがベース。それから先はイラク戦争がらみの思惑買い、更に投機筋からの資金投入による吊り上げ。原油そのものが証券化し、デリバテイブの対象になってしまっているから原油価格は実態経済を反映したものではない。今のWTI価格を63ドルとするとその内30ドルぐらいは水増しで、これ全部が不良債権化するかも判らない。だから売りまくられるのである。来月には60ドルを切るでしょう。なお、ドバイは50ドルギリギリ、ロシアは40ドルで投げ売りやっているらしい。原油安と円高で関電なんか儲かってしかたがない。来年の電気料金などとんでもない。料金値上げを申請したら関電社長は逆さハリツケだ。
(08/10/27)

 OPECが150万バーレル減産を打ち出したにも関わらず、原油価格は反騰しない。WTIは前日のバーレル67ドルからじりじり下げて一時は62.5ドルまで下げたが、その後やや戻して64.5ドル前後。返って下落している。今のOPEC産油量はおおよそ3120万バーレル/日。基準価格を67ドルとし、150万バーレル/日を減らして受給がバランスするとすると、単純計算でバーレル70ドルぐらいになるはず。しかし、この計算は小学校程度のレベル。67ドルの中に不良債権がどれだけ入っているか、とか価格が上がれば、需要がどれだけ減退して、それが自分の懐にどれだけ響くか、とかいった複雑な要素は一切含まれていません。しかし、150万バーレル減産を満場一致で決めたOPECの頭の中も、これと同じくらいスッカラカン。その証拠が一向に挙がらない原油価格に現れています。
 そもそも67ドルという価格そのものがまだまだ水膨れで、大体30〜35ドルくらいは水増しされている。おまけにOPEC加盟国自身が、投資ファンドやSWFを使って、水増しに荷担してきたのだから話にならない。神の怒りに触れて懲罰を受けている最中だ。アッラーアクバル!アラーは偉大なり。原油価格は未だ下がるでしょう。
(08/10/25)


 実際、石油と株は仲がよい。何故でしょう?どちらもブッシュのお友達だからです。ブッシュのもう一人のお友達チェイニーは大丈夫でしょうか?そういえばライスも最近めっきり顔を出しませんが、どうしているんでしょう?世間は金融界やGMの心配ばかりしていますが、ハリバートンやベクテルだって危ないもの。両方ともイラクには相当投資しているはず。その投資を原油高で回収するはずだったのに、とんだあてはずれ。いや、とっくに回収したから原油安にシフトしたのか?そうだとすると、奴らの方が役者が一枚上手。騙されたのは投資ファンドと一般投資家だけ。
 さて、昨日WTIはバーレル70ドルを割り込んでどうなるかと思っていたら、やっぱりそのままズルズルの展開。一時65ドル台まで落ち込んでいます。同時にNYダウも9000ドルを割り込み8500ドルに達しています。 ドバイは既に55ドル辺りではないでしょうか?やっぱりサウジの「大幅減産拒否」報道は効いた。
(08/10/23)

 昨日一昨日とWTIはバーレル74〜75ドル台を維持していましたが、昨日の7時(ということは日本では夕方の5時)頃からじりじり下げだし、9時の市場開始前(日本時間では昨日の夜中)には70ドルギリギリまで下落。その後やや持ち直し72ドル前後でモタモタ。どこかから買いが入った模様。やはり昨日のサウジの「大幅減産否定」報道が効いたか。このまま下げ続けるとヤバイので、産油国の何処かが買いを入れたのではないだろうか?しかし抵抗もここまで、日が変わった(NY)途端、70ドル割れ。市場が全体として下落傾向にあるとき、このようなことを繰り返していると、いつかは資金が底をつき、財産をはたかなくてはならなくなる。つまり、産油国は再び先進国の植民地と化すだろう。これがブッシュ=ネオコンの最終目標だったりして。24日のOPEC臨時総会である程度結論が出るでしょう。OPECが一致して何らかの声明を出せれば、原油価格は反転するか、少なくとも落ち着きを取り戻すだろう。しかし、強硬派(イラン、ベネズエラ等反米派)と慎重派(サウジ、UAE等親米派)との対立が鮮明になり、明確な統一声明が出せなくなると、市場は足下を見て売り浴びせる(市場から逃げ出す)可能性がある。その場合は一気に60ドル、50ドル台もあり得る。
 昨日、NYダウが急落しました。原油の下落もこの影響の可能性があります。その前にブッシュとサルコジが会談した。サルコジがファンド規制を含む厳格な市場管理を打ち出したのに対し、ブッシュは未だ市場原理主義に未練たらたら。つまりアメリカと英欧とで、問題への対応に温度差がありすぎるということだ。どちらが正しいかは別として、投資家はどちらを信用してよいか判らなくなった。おまけに市場に、アメリカは金融業界に対し甘いという印象を与えてしまった。アメリカで今回の金融不安によって一番被害を被ったのは誰かというと、それは一般投資家であり普通の納税者である。しかも彼らは、共和党支持の白人保守派と重なる。彼らは市場原理主義に疑問を持ってしまった。ブッシュの発言はこの草の根不信感に十分答えたものになっていない。
 と言うことで、ブッシュが何かを喋る毎に共和党の支持率が低下するので、マケインは気が気ではない。無論白人保守層がオバマに投票する訳はない。おそらく、白人保守層の大量棄権が発生するのではあるまいか。
(08/10/22)

 OPEC議長の大幅減産発言を受けてか、WTI価格はじりじり値を上げましたが、一日経ってもやっと2ドルほど戻しただけ。今は74ドル前後。爆発的な勢いは見られない。値崩れしそうになると誰かが買いを入れて防戦一方(バーレル70ドルが防戦ラインか?)の様子。なんとなくこのまま60ドル台に落ち込むような気がします。ちなみにシカゴ穀物先物も軒並み下落。
(08/10/20)

 一
昨日のNHK日米デイペート(公的資金注入について)。どうにも気になったのがアメリカ人専門家三人と日本人証券家の他人事みたいな評論家風発言。危機感が全く感じられない。アメリカ人は公的資金注入がどういうものかよく分かっていないのではないか?この調子では10年後に又同じ様な騒ぎが繰り返されるだろう。(08/10/18)の続き
 このアメリカ人専門家プラス日本人の意見を要約すると(1)アメリカは依然世界経済をリードし続ける、(2)アメリカの経済は強固で崩壊していない、(3)グローバル化とデリバテイブは(規制は強まっても)市場の原理であり続ける。(1)(2)はアメリカ人なら当たり前の見方で、単に鈍感なだけ、(3)は証券屋なら当たり前。これから、これらコメンテーターが新自由主義経済の信奉者で、議論を自分の立場を肯定的なものに持って行こうとしているのは顕か、態の良い我田引水である。さて、経済政策を決定する者は、専門家でも学者でもない、政治である。金融パニック発生後、いち早く対応したのは英欧である。対応にはいささかモタモタばらつきはあったが、とりあえずは公的資金注入を発表し、英欧では主力銀行の国営化、経営責任の追及、デリバテイブ取引の規制強化とかなり積極的な対応を採っている。それに比べ、アメリカはブッシュの無責任発言で対応を遅らせ、バーナンキのボケ発言で市場を混乱させたように、未だ危機感が足りない、ブッシュはなお市場原理主義に未練を持っているようである。この種の騒ぎの時は、騒ぎを先に消し止めた国・地域のやり方が、その後のグローバルスタンダードになる。この点では日本が一歩進んでいるから、日本がもっと積極的にコミットしても構わないのである。
 一方、本日ブッシュが拡大(G8+新興国)首脳会議の開催を提案した。それはよいが、場所を「問題が発生したのはアメリカだから、アメリカでやろう」と言い出した。この男全く反省がない。この期に及んで、未だ世界経済を、アメリカの都合の良いように持っていこうとしているのである。この調子なら、この国は将来また同じ失敗を繰り返す。本当ならこの会議は、バブル崩壊処理で最も経験のある日本で行うべきだろう。
(08/10/19)

 昨日あったOPECの大幅減産予測で、WTIは一時73〜74ドル台を回復したが一日も持たず、取引終了と同時に71ドル前後まで下落。このところこういう展開が多い。価格が下落し危険ライン(今回はバーレル70ドル)を割ると誰かが買いに入り一旦戻す。しかしその後再び下落し、全体としては下落トレンドが継続する。
 さて今下がっているのは株と原油だけでしょうか?実は金もトウモロコシも下がっています。商品相場全体が下げ調子なのです。特にトウモロコシ相場の下落は原油価格に連動している。何故かというと、トウモロコシも原油と同様証券化されており、市場で取引される。これらにもサブプライムローンが組み込まれている。サブプライムローンが焦げ付いて株価が下落すると、これらも同時に下落するというわけである。又、原油がこれ以上安くなると、バイオエタノールなど見向きもされなくなる。ブッシュがエタノールを導入したのは地球環境問題などではなく、アメリカの資源農業戦略の一環で、その背景にはカーギルなどの農業資本や中西部農家の出資による穀物会社のロビー活動があることをお忘れなく。と言うわけでその内穀物相場も暴落し、アメリカの穀物会社は倒産続出、てなことになるかもしれません。
(08/10/18)

 一昨日バーレル80ドルを割った(NY、WTI)と思うと、昨日は一時的にも70ドル割れ。その後70ドル台に戻しているが腰は弱い。週末には70ドルを割っているでしょう。このまま行くと、来月には50ドル台、年末には30〜40ドル台も嘘では無くなります(08/10/07の記事参照)。
 OPECは緊急会合を開いて減産圧力をかけるだろう。ベネズエラは50万バーレル/日の減産を主張している。しかし、サウデ
は既に46万バーレル/日の減産を実施しているが何の効果もない。原油価格のの下落は既に構造的なものになっているから、これに50万を加えたところで、市場心理で一時的に上昇するかもしれないが、直ぐに腰砕け。追加減産を実施しても、長期になると体力のある産油国は耐えられるかもしれないが、そうでない国は資金が欠乏して協定破りに奔る。つまりOPECの分裂だ。そうなると石油の投げ売りが始まって、石油価格は更に下落し来年にはバーレル20ドル台もなくはない。そうなるとアメリカの景気はドーンと良くなる。おまけに原油価格がここまで下がると、アラブの原油高騰を資金源にしてきたアルカイダも破産。金の切れ目が縁の切れ目で、永年連れ添ってきたタリバンとも離縁。アフガン戦争も終息に向かう。オバマはついとるよ。その代わり、ドバイのリゾートはガラガラになり、バーレンに世界最大のシャッター街が誕生する。何10年か何100年かすると、このシャッター街は砂漠に呑み込まれる。砂漠の中の朽ち果てた建造物群。果たして、後世の考古学者はこれをなんと考えるでしょう。
(08/10/17)

 ブッシュは公的資金注入量を1000億ドル積み増しし、3500億ドルにしたにも拘わらず、株価は急落しダウ平均は8500ドル台。原油も下落しWTIではバーレル73ドル台。これでも実勢価格とはかけ離れているので、今後更に下落し、月内70ドル割れはほぼ確実でしょう。何故こんなことになったのか?1)アメリカ政府の公的資金注入量積み増しが、投資家に銀行の内容は本当はもっと悪いんじゃないかと言う疑心暗鬼を産んだ・・・逆効果。2)アメリカ財政赤字が過去最高額となり、一層の景気悪化懸念が起こった。3)銀行が早速貸し渋り、貸しはがしに入ったため、実体経済の流動性が悪化し、製造業の収益性が低下した。4)これらの要因の複合がベースにあって、それに火をつけたのが一昨日のバーナンキ発言。私もこれを新聞で読んだとき、せっかく政府が景気浮揚をしようとしているときに、FRB議長ともあろう者がわざわざ足を引っ張るような発言をするとは、アホじゃなかろうかと思ったら、やっぱりアホでした。
 なんだか、かつての日本と同じ様な状況になってきました。かつての日本は国内産業を徹底的にリストラし、輸出産業に活路を見いだしました。それが出来たのもアメリカのお陰。アメリカが赤字を垂れ流して、それが中国やアジアの好景気を産み、それに日本もすがったのである。しかし、今のアメリカは何処に頼れば良いのでしょう?新興国の経済成長はアメリカの好景気に支えられた物。アメリカが駄目になればみんな駄目になる。まさかロシアだったりすると、これはブラックユーモアである。
(08/10/16)

 株の反騰を受けて一時84ドルまで上がったWTIも一日も持たず、たちまち70ドル台に下落し今やバーレル77ドル前後。ドバイは多分65ドル前後だろう。元に戻ってしまった。同様にNYダウも9800ドル超まで行ったのが、いまや9300ドル。何故でしょう。一昨日出されたアメリカの対策案は一応の合格点。又、ポールソンが銀行経営者を呼びつけて膝詰め談判を行ったのも好感を得たと思われる。だからNYダウが反発したのである。しかし、そこで何が話し合われたのかが判らない。又、日米欧の対応もとりあえずの金融崩壊防止のためのカンフル注射。肝心のアメリカの構造改革が全く見えていない。単に資本注入だけではなく、かつての日本や今のヨーロッパの様に、主要行の一時国有化(国による構造改革の強制)まで踏み込まないと、再び同じ失敗を繰り返すおそれがある。これが株や原油価格の伸び悩みの原因だろう。
 なお、7月中旬からの原油価格の下落は、サブプライムローンなどの問題とは関係ありません。サミット後、アメリカは全米年金機構などの公的年金機構に対し、石油市場などの投機的市場への資金供給を自粛するよう勧告した。アメリカの年金は莫大な額に上るから、たちまち原油市場から投機マネーが消える。これが原油価格下落の直接原因です。何となく、かつて日本の大蔵省がやった、銀行による不動産融資の総量規制に似た構図が浮かびます。おそらくリーマンやGSなども原油市場で資金を運用していたに違いない。原油価格が下がればその穴埋めに株を放出する。そうすれば株価も下がる。株が下がれば原油に投資する資金が減るから原油は又下がる。これの繰り返しで株〜原油連動下落が始まった。このままでは11月の大統領選挙に共和党は勝てない。ブッシュもこれではイカンとグルジア戦争を仕掛けたが、プーチン(メドベージェフではありません)が意外に強硬で、ブッシュの意図に乗ってこない。マケインは自分はグルジア人とまで言い切ったが、効果はなかった。グルジア戦争の結末も中途半端となり、結局リーマンの破綻・金融混乱の幕開けになったのである。
 さて、現在の原油市場を支配するものは何かと言うと、上で述べたように、アメリカ公的年金機構の資金引き上げです。おそらくG8各国や新興国もアメリカに右に倣えでしょう。私的な企業年金もこれに追随する可能性があります。年金という安定した資金が市場から消えると、後は仕手筋が支配するギャンブル市場と化します(グルジア戦争以後特にその傾向が強くなった)。ハイリスクハイリターンの世界です。そうなるとまともな投資家はみんな逃げ出す。ということで、今後の原油価格は投機筋による乱高下はあるものの全体として下落する。おそらく年内40〜50ドルぐらいか。
(08/10/15)

 一気にNYは9400ドルを突破。WTIも83ドルを回復。みんなやれやれほっとした雰囲気。これというのも日欧協調介入のお陰。アメリカや市場の努力ではないのです。アメリカもやっと公的資金注入を発表したが、タイミングは遅すぎるし、注入額(2500億ドル)を見れば、本気でやる気があるのかどうかも疑わしい。 今後注目されるのはアメリカの政策。これでアメリカが、しめしめ嵐は過ぎ去ったと安心して、構造改革(つまり市場主義経済と金融工学を含む全金融システム、それと企業報酬体系の見直し)をさぼり、相変わらず旧態依然の赤字垂れ流し政策を採れば、再び市場はアメリカを見放す。この次は日欧もアメリカを救済する余裕はない。そうなれば回復不能の奈落の底だ。要はアメリカ人自身が自らの生活態度を改めなくてはならない。しかし、贅沢に慣れた(民主的)ローマ人は自己改革を出来ず、遂に国家を滅ぼした。アメリカ人がその例外であるという証拠はない。そういえば、帝政末期のローマ軍には伝統的な市民兵は殆どおらず、貴族の私的徴募兵や傭兵、異民族部隊が大部分を占めていた。ローマ市民が自ら国家の求めに応じて、軍隊に加わるということはなくなった。ローマ帝国軍の活躍は、みんなマスコミ頼み。マスコミ報道に一喜一憂していたのである。そういえば、今アフガンやイラクに展開している米軍兵士の1/3は市民権待機者、米軍サポートを請け負うのは民間軍事会社、アメリカ市民の殆どはテレビで戦争を見ていると云う現実を見ると、アメリカも又ローマ末期に酷似してきている。
 今回の株価回復が持続するかどうかは、一にアメリカが自己改革出来るかに懸かっている。なお、日欧が注入した公的資金は全て税金だから、いずれ返済しなくてはならない。日本の経験では10年以上の長く暗い低成長時代が続く。アメリカはそれは嫌だから、又何処かでバブルを作るつもりではあるまいか?
(08/10/14)

 本日WTIはバーレル80ドルを回復。ダウも8400ドル台になった。やっとG7とかホワイトハウスの声明の効果が出てきた様子。しかしまだ弱含みなのでこのまま反転するかどうか怪しい。もう一つか二つ強力な援護射撃が必要。例えばイギリス並みに、主要銀行を国有化するぐらいの公的資金注入だ。つまり、国際的にも国内的にも金融を安定化する枠組みは出来つつある。後はアメリカ、特に金融界経営者の決断だけだ。但し、ブッシュが未だ狐疑逡巡している疑いがある。第二第三の対策を追加しなければ再び下落するおそれはある。

 さて、ワタクシが一番聞きたいのは、竹中平蔵センセーのご託宣・・・というか言い訳・・・である。世界で最も構造改革が進み、最先端の金融工学を駆使し、最もリスクが少なくセンセーが終始モデルにしていたアメリカ市場で、何故こういう経済混乱が起こったかである。昨日(10/12)6chサンプロに登場したのはセンセーの天敵榊原英資。何故、テレ朝は竹中センセーを招かなかったのだろうか?いや出演交渉したのにも拘わらず、センセーが形勢不利と見て敵前逃亡を決め込んだのではなかろうか?アメリカ、ヨーロッパ、イギリスが公的資金注入を実施して、株価が回復した頃にニヤニヤ出てくるような気がします。しかし、実態を見てみましょう。公的資金注入の必要性は、既に今年の7〜8月頃には出ていた。しかし竹中センセーはその点については一言も触れていない。相変わらず、アメリカの経済ファンダメンタルズは強固と宣っていたのである。
(08/10/13)

アメリカ大統領の一言は重い。ブッシュはベアスターンズが破綻した時何も云わず(”無視する”という発言)、リーマンが経営危機になったときも「ウオール街の紳士を救うために国民の税金を使えない」と無神経な発言をして、結局リーマンを潰し、現在の金融不安の引き金を引いた。市場はそのことをよく覚えている。今更G7が何を云っても、大統領が何を云っても「本当か?」と信用しない。だから幾らでも株は下がる。株は下がりきった時が買い時なのはセオリー。ゴールドマンサックスの救済をアラブが断ったのは、未だ株は下がると見て底値に来たときに安値で買い取るつもりではあるまいか?ところが日本の三菱UFJはその前にモルガンスタンレーへの出資を発表。その後株は下がり続けているので三菱経営陣は頭を抱えている。やっぱり、金融はアラブのほうが一枚上手だ。と言うことは、気がつけばアメリカの大企業はおおかたアラブに買い占められ、アメリカがアラブの植民地になっているケースもある。又、比較的被害が少ない日本や外貨に豊富な中国・インドがアメリカ資産に興味を示せば、日本とこれら数カ国でアメリカを分割支配することも夢ではない。当にブッシュはアメリカ亡国のスターだ。

 確かブッシュが大統領に就任した直後、「アメリカ人のみんなに王様の様な暮らしをさせるのが、私の仕事だ」という意味の発言をした。そんなこと出来るわけがない。しかし、その当時のアメリカの政治家もジャーナリストも、海外のそれらも、そんな疑問を投げかけたものは誰もいない。しかし、ブッシュが云った通り、王様の様な暮らしになった人はいないわけではない。その典型はウオール街のデイーラー、特にレヴァレッジをやっている連中の女である。デイーラー本人は分秒を争ってトレードをやらなくてはならないから、幾らン億ドル稼いだところで、つかう暇がない。それを後目にやりたい放題の贅沢をするのは、彼らの女房と愛人、その周辺のいかがわしい連中。男を働かせて贅沢しているのは、何時の世も女である。江戸時代日本の大奥の贅沢も相当の物だったが、その結果徳川幕府は滅びたのである。残念ながら篤姫が大奥の贅沢を戒めた記録はない。
 要するにアメリカ人はブッシュの甘い言葉に酔って、王様気分になった。しかし、この王様は裸の王様で何も見えていなかった。そして、遂に乞食に転落するのである。
(08/10/12)

 もう少し粘るかと思っていたら、今日あっさりバーレル80ドルを割りました。ドバイでは既に60ドル台。こりゃ当たり前で、NYで現物で取引している物など誰もいない。先物取引だから決済期がくれば現物を引き取るか、保障金没収だ。石油タンクを持っているブローカーなど一人もいない。だから値段が下がり出せば、身を守るために投げ売りの連続。云ったとおりになりました。メリルリンチは年内50ドルを予測しましたが、それも怪しい雰囲気。なお、メリルの余計な予測が価格下落を煽っている可能性もあります。当たり前ですが、株屋は値段が上がろうが下がろうが、値段の変化で儲けるものです。
(08/10/11)

 どうにも止まらない世界同時株安。サブプライム被害の少ない日本まで巻き添えになるから迷惑千万。こういう時は政府が断固たるメッセージを出さなくてはならない。一番だらしないのはアメリカのブッシュ。藪の中に隠れて嵐の過ぎるのを待つ気か?麻生ももっと日本経済の健全性をアピールする必要がある。
(08/10/10)


 
 アメリカが預金保護額を10万ドルから25万ドルに引き上げたのを皮切りに、ヨーロッパ各国で広がる預金保護の嵐。預金ペイオフ制度の崩壊である。ペイオフの本家本元であるイギリスでも、破綻に瀕したアイスランドのネット銀行に対し例外的全額保護を決めた。例外というものは一度認めると、あとは次々に連鎖しそれが当たり前になる。こんなことは当たり前で、仮に何処かの銀行がペイオフを実施したりすれば、たちまち噂は噂を呼んでとりつけ騒ぎが起こり、国の金融は崩壊する。ペイオフ制とは、預金者が自分の預金を降ろさないという前提で成り立っているのだ。つまり、これは社会主義の最たる物である。サッチャリズムの崩壊である。サッチャーに意見を聞いてみたい物だが、既に彼女は重度の認知症であり、聞くだけ野暮。

 みんなWTI価格ばかり見て騒いでいるが、
他にも市場価格がある。例えばドバイとか東京工業取引とかである。それを見ると、WTIは大体10ドルぐらい高い。今日のWTIは乱高下があって一定していないが、概ね平均バーレル87ドル前後。一方東工取では来年三月切り先物で、既にバーレル80ドルを割り込み76ドル前後。こういう事はマスコミがもっと報道しなくてはならない。ガソリン価格が下がっているのは当たり前。
(08/10/09)

 
ユーロもドルに対して下げているので、このままでは円の独歩高。今こそこれを利用して、世界の資源市場を日本の支配下に置くべきだ。

 WTIは相変わらず、バーレル80ドル台。ドバイは81ドルまで下落。このままでは大統領選挙後には、バーレル50ドルどころか、30〜40ドル台のイラク戦争前水準まで下がるかもしれない。なんのことはない、これまでの原油高騰はブッシュが一人で煽ったお祭り相場だったと云うことだ。
(08/10/07)


 今日、WTIが一時的でもバーレル90ドルを割りました。このまま一気に70ドル台まで落ちるか?それによってはドバイの1000mタワーもバブルの塔に終わる。
(08/10/06)


 メリルリンチが年内に原油価格はバーレル50ドルまで下落すると予測。しかし、新興国需要により10年には150ドルをうかがうとも云う。この会社、去年の秋か今年の春には、原油価格は08年にはバーレル200ドルを突破すると宣伝して、石油投機を煽った前科がある。その結果がどうか、原油価格は株価と連動し、今や90ドル台の底をウロウロ。それでも本当のあるべき価格よりは20ドルは高い。
 新興国需要とは一体どのようなものか?これも実態はメリルやリーマン、GSが流した虚像ではないのか?アメリカ、ヨーロッパのバブルも潰れた。中国のオリンピックバブルも収束方向。そこで新興国にバブルを作って一儲けしようという陰謀だろう。確かに一部の産油国ではバブルが発生しているが、これはアメリカのバブルに引っ張られただけの底の浅いもの。新興国バブルなど発生するかどうか大変疑わしいし、発生しても数年で潰れるだろう。それと新興国の住民は、先進国ほど紳士的ではない。バブルが潰れれば、クーデターと内戦の繰り返し。そこにロシアとか左派系国家、アメリカが介入してくれば、第二の冷戦になる。
(08/10/05)

アメリカ議会はこの期に及んで金融安定化法案を否決。民主主義という名の利己主義の極み。ブッシュは直ちに、大統領令により議会の権能停止と市場を閉鎖すべき。要するに金融戒厳令の発動だ。ロシアならやるが、アメリカじゃ無理かね。
(08/09/30)

 ここ暫くバーレル106ドル前後で山谷を繰り返してきたWTI価格が、アメリカの金融機関救済法案を下院が否決すると同時に、一気にバーレル96ドル台まで急落。同時にダウも777ドル下げ。アメリカの議員は一体全体何を考えているのでしょう?彼らの言い分は「ウオール街の特権階級を救うために税金を投入する必要はない」というものだ。これはその通り正論だが、口先だけ。第一ワシントンの議員自身が、ウオール街に買収されているのだから全く実効性がない。これで突っ走ると間違いなくアメリカ経済・・・だけでなくヨーロッパ、アジアを含めた市場主義経済・・・の破綻。その影響は想像することも出来ない。現在のアメリカ経済にそっくりの90年代の日本では、当初住専の持つたった6400億円の不良資産買い取りだけで大揉めに揉めて、結局タイミングを失い、銀行に数10兆円の政府資投入をせざるを得なくなった。
 そもそもアメリカに対しては、今年の春頃から公的資金投入の必要性が・・・特にグリーンスパンあたりから・・・提言されていたにも拘わらず、ブッシュがそれを頑なに拒んだ為に傷口を広げてしまったのである。その時点なら2000億ドルぐらいで済んだ公的資金投入が、今では7000億ドルに膨らみ、それでも効果は疑問視されている。下手をすると数兆ドル以上が必要になる。ではこの資金をどこから調達するのか?まず戦争を止めて不要な支出を抑えるのは当然。次に増税で自己資金を増やす。あとは奉加帳方式で各国から資金を調達する。本来なら原油高騰でボロ儲けしたアラブ産油国とかメジャー、アメリカバブルで私腹を肥やした新興国とその系列の大企業が負担すべきだろう。中国、インドも呑気に宇宙開発や原発建設なんかにうつつを抜かしてる場合ではない。ポーランドやグルジアなんか、これまでアメリカに散々世話になってきたのだから一肌脱ぐべきでは無かろうか?その周りで、こそこそあぶく銭を稼いでいた、香港やシンガポールも儲けを吐き出さなくてはならない。日本はどうか!日本は外資流入を規制していたので、サブプライム損害を極小化出来た。もし、成田空港会社にリーマンなんかの資本が入っていたらどうなっているか?一度竹中平蔵に聞いて見たい者だ。日本民間金融機関は既にリーマンやAIGの救済に動いている。これ以上動く必要はない。さて、麻生太郎よ、アメリカから公的資金協力を要求されたらどうするのかね?
 どうでも良いけど、株安、原油安で村上ファンドは無事でしょうか?
(08/09/30)

 昨日一時バーレル109ドルまで行ったWTIがその後反落し、今は105ドル前後。動きも怪しく、長期的持続性は感じられない。しかしこの一週間で、ボロ儲けをしたのもいれば、大損したのもいるのも間違いはない。ギャンブルだから仕方がない。この後再び暴落に転じるのか?或いはアメリカ大統領選挙を見越して、誰かが釣り上げに奔るのか?予断は許しません。
(08/09/25)

 リーマン、AIG他26社の経営者に対しFBIが詐欺容疑で捜査中。大統領選挙前の政権支持率浮揚策とはいえ、これまで彼らを散々利用し、具合が悪くなっても無策で誤魔化してきたブッシュ政権のツケ

 昨日一気に130ドルまで行ったWTIが、今日反落して105〜106ドル台。背後で誰かが煽っているのは顕か。煽っているのはGSか?MSか?村上ファンドも陰でこそこそやっている可能性はあります。要するに、そういった石油のプロではない仕手屋が、銀行とかSWFから資金を集めてギャンブルをやっているわけです。NYマーカンタイルマーケットは(ついでにウオール街も)一日でも早く閉鎖した方が、世界だけでなくアメリカの為にもなるでしょう。
(08/09/24)

 昨日もWTIは一気に130ドルまで上昇しましたが、これも昼過ぎからじわじわと値を上げ、市場閉鎖直前に一気に高値をつけています。誰かの意図的買い付け以外に原因は考えられません。金融市場の不安定化で、株式市場を逃げ出したドルが一斉に先物市場に逃避しただけで、経済の実勢を反映した物ではありません。しかし、これで儲けたのが産油国と石油バイヤー。中にはイランやベネズエラのような反米国家もあります。先日、中米ホンジュラスがアメリカを見限って、ベネズエラに接近する姿勢を見せだしました。これも株は駄目だから原油で行こう、原油にはアメリカは何にもしないからベネズエラの方がマシだ、というわけ。では日本はどうすべきか?これは前にも書きましたが、備蓄量を現在の三ヶ月から一年位に引き上げ、価格変動によって輸入量を増減するなどの方法で、原油市場に介入出来るようにすべきである。
(08/09/23)

 リーマン破綻後、WTI価格変動で目立つのは、スパイク的値動きです。昨日の午前中に一時的に上がるかと見ると、昼には下落し、市場閉鎖と同時に一気に2ドルも値上がりしています。誰かが意図的に、値動きを操作しているとしか思えません。マーカンタイルマーケットは、世界石油市場の3%位しか扱わない小さい市場だから、誰かが意図的に介入することも可能です。問題はその誰かですが、マフイア関係で無ければいいですね。何の為にそんなことをするのでしょうか?面白半分とか、自己顕示とか、そんな処でしょうか?それとも。
(08/09/21)

リーマン兄弟の破綻の原因は、ある人物が流した悪意ある噂だとして、FBIが捜査に入る。これこそアメリカ資本主義の病根。

 昨日、WTIは時間外でバーレル100台を記録しました。それでも最高値に比べれば、40ドル以上下がっている。前後の値動きを見ていると必ずしも安定しているとは云えない。リーマン破綻、AIG株価下落で余ったドルが市場に乱入しているだけと見られる。そこでドバイ原油を見ると、大体90ドル前後。NYよりバーレル10ドルぐらい安いのである。この点から見ると、WTIもいずれこのレベルで落ち着くだろう。
(08/09/20)

 AIG救済案が中途半端とか、他にも怪しい金融機関が大勢いるなどの噂がウオール街に乱れ飛んで、WTIも乱高下が激しい。昨日は、一時100ドル台をつけました。しかしこれは完全なギャンブル相場、実相場ではありません。先進国の省エネが進み、アメリカが戦争を止め、新興国需要の化けの皮がはがれたとき、原油価格は下がるのみです。
(08/09/19)

 ホワイトハウスがAIG救済を発表した途端、91ドルあたりをウロウロしていたマーカンタイル価格が突如上昇、97ドル台まで戻しました。但し、その後停滞気味。何故こうなったのか?今後どう動くのか?よく判りませんが、90ドル割れを警戒したアラブの王様とか、AIGの株価下落で、世間には価値が下がったドルが溢れている。これが原油市場に再投入され、インデックスファンドとかが買いに走ったのかもしれません。
 ところが、一時98ドル台まで行ったWTIが再び下落し、バーレル94ドルまで下落。どうも一気急上昇というわけには行かないようだ。NYでは打つ手なしで成り行き任せなのか?
(08/09/18)

 リーマン破綻で株価大幅下落。こういうときは原油価格の高騰が期待されるらしい。ところが実態は今のところ90ドル台前半をウロウロするばかり(WTI)。昨日は瞬間的だが90ドル割り込み寸前迄下落。90ドル台をいつまでキープ出来るかが勝負の分かれ目か?
 リーマン破綻ショックで、世界中の投資家が萎縮してしまって買い控え、利益確定売りに走ったのか?それなら更に一段の暴落があり得る。来週には80ドルを割っているかもしれない。こういう時に日本のタンカー船団がドバイの沖合に停泊して一週間ほど何もしなければ、原油価格はもっと下がる。無論その間日本に石油が入ってこないから、国内価格は上がるが、そのときこそ備蓄原油を放出して価格安定を図ればよい。国家備蓄という物はこういう時に使うのだ。今の法定備蓄量は三ヶ月分だが、これを一年間に延長すれば、日本が世界の石油価格を左右することも不可能ではない。
 さて、リーマン破綻を見ると、資本主義というのは、いつまで経っても同じ失敗を繰り返すシステムだということが判る。だから長生き出来るのかもしれない。リーマン兄弟の幹部社員というのは、エール、ハーバード、プリンストンなど有名大学を卒業したエリートの集まりの筈だ。かつて日本でバブル崩壊後破綻した興銀、長銀、拓銀などの幹部社員も東大、慶応、北大などのエリートで固めた会社だったはずだ。このようなエリート秀才達が会社破綻という危機に為すすべも無かった。それどころか、彼らエリートの判断ミスが会社を破綻にに導いたのである。この点から、「エリート秀才達の無能と不作為犯罪」という概念が生まれる。さて、我が日本国は世界に冠たる官僚エリート支配国家である。リーマン破綻は他人事では無いかもしれない。それが問われるのが、今やっている自民党総裁選であり、次に予定されている衆院総選挙である。
(08/09/17)

 昨日100ドルを割ったかと思うと今日はいきなり94ドル。明日は80ドル台になっているかもしれません(WTI)。最近の値動きを見ていると、日中の時間内ではそこそこ持続か押し戻す局面もあるが、時間外で一気に値を下げる展開が目立ちます。誰かが人に見られないように、 大量に売り注文を出している可能性があります。誰でしょう?例えば、メリルリンチ買収資金調達のため、バンカメが売りに出したとか、資金力でオバマに劣るマケインを支援するために、メジャーとかテキサスの石油資本が売りに出したとか、色々考えられます。
 ここまで下落してもOPECは一向に動かない。実はアラブの王様も売り急いでいるのかもしれません。なお、相場が60〜70ドルまで下がっても、実際の生産コストは高くてもせいぜい 20〜30ドルだから、産油国は十分儲かっている。問題は非産油国で、原油バブルであぶく銭を稼いだ国と地域。例えばシンガポールとか西インド諸島のケイマンとか。なお、原油の値段が上がったときに早速出てきたのが、石油資源枯渇説。この手の説は昔から大体20年置きに出てくる物で、その都度当たった試しはない。大体が真面目な顔をしたジャーナリストとか、地質学者だったりする。しかし、大抵後ろにメジャーがついているので、彼らの云うことは眉に唾をつけて聞いていた方が良い。
(08/09/16)

 九月中には100ドル割れを予測していましたが、もっと粘ると思っていました。ところが意外にあっさりと、日替わり(NY本日)と同時に100ドルを切って回復の様子もない(NY時間外取引)。もうみんな逃げ一色か?本日リーマンブラザースが公的整理申請(事実上の破綻)。最大の原因はサブプライムだろうが、この会社、原油市場にも相当投資していたのではあるまいか。タイミングが合いすぎている。日本の石油会社や商社でも、石油に相当投資している会社があるはずだ。他人事ではない。米系企業の破綻は今後も続くと思っていたほうが良いでしょう。
(08/09/15)

 OPECが減産を表明したものの、本日NY原油価格は101.5ドルまで下落。ということは、これまでの(いや今でも)原油価格は需要と供給のバランスで決定されていたのではないということだ。無論、そんなことは誰でも判っていましたが、一番判っていなかったのが、サウジアラビア始め湾岸産油国だったのではないでしょうか。幾らOPECが生産調整したところで、原油価格は石油の実需と供給がバランスするところまで下落するでしょう。それがどれぐらいかは判りかねますが、専門家の意見によると概ねバーレル60〜70ドルあたりか。
(08/09/10)

 昨日105.5ドルまで下がった原油価格が、アメリカが政府系住宅金融会社へ公的資金注入を発表した途端、108ドル台まで跳ね上がる。問題企業の整理でアメリカ発世界恐慌の懸念が遠ざかったので、アメリカ経済への期待感が表れたのか?この上昇をアラブ減産効果と見て、今後再高騰を期待する向きもあるようだが、それほど上手く行くでしょうか?跳ね上がった後の値動きを見ていると、今一消極的。又下落する可能性大。なお、原油価格下落はドル高、つまり円安にシフトする。そうなれば日本株は高くなる。
(08/09/08)

 昨日とうとうNY原油価格が110ドル台割れ。100ドル割れも時間の問題でしょう。オリンピック明け中国の投資削減が原因、と筆者は思います。又、グルジア問題が有耶無耶決着し、ヨーロッパへの石油・天然ガス供給が安定化する見通しがついてきた、ブッシュやチェイニー、ブラウンがしきりにロシア批判を繰り返していますが、そんなもの何の効果もない、と市場が判断を下したのでしょう。なお、原油価格が低下すると、一番打撃を受けるのは、価格高騰を背景に何の経済政策もなく、ひたすらばらまきや無駄使いを繰り返してきた、イラン、ベネズエラのようなノーテンキ産油国家でしょう。
(08/09/04)

 昨日116ドル台までつけていたNY原油価格が、日付が変わると同時に111ドル台まで瞬時に下落。一体何があったのでしょう?(08/09/02)

アメリカ民主党大会は副大統領候補で揉めましたが、バイデンを選んでしまったのだから、もう引き返すことは出来ない。要は如何にヒラリーファンを取り戻すか?である。個人的にはオバマ大統領、バイデン副大統領、ヒラリー国務長官という布陣ではどうかと思うが、大統領選で国務長官を表に出すのが得策か?上院議員が閣僚になれるのか?その点はあの国の法律慣習によるので何とも云えません。何故、ヒラリーを副大統領候補にしなかったのでしょうか?旦那のビルが大統領になったとき、議会・マスコミから「ホワイトハウスのマクベス夫人」と囁かれた女傑だ。実質はヒラリー政権になりかねない。オバマがビビッてしまったのだろう。というのが我が家の無責任な野次馬の意見です。本当はヒラリー大統領、オバマ副大統領という布陣なら、共和党に圧勝出来たのに、海の向こうにもアホが多い。
(08/08/28)

グルジア紛争で、一時120ドル強まで上昇した原油価格が、その後111ドル台まで下落した。その後反転し、今は114〜115ドル前後で推移。しかし、グルジア紛争前の下落傾向を延長すれば、今では110ドル台になっているはず。つまり、4〜5ドルは他の要因がある。一つはサウジの生産調整発言はあるが、重要なのはグルジア効果。要するに、石油メジャーはこの騒ぎで、バーレル当たり4〜5ドルは儲かっているはずだ。(08/08/26)
一昨日やや戻した(116ドル)ので、グルジアがらみかと思ったが、昨日又下げている(113ドル)。下げ調子は止まらないのか。(08/08/15)

原油価格下げが止まりません。先月末に、8月上旬にはバーレル120ドルを割ると予想するとその通りになりました。9月には100ドルを切っている可能性があります。100ドルというのは一つの攻防戦のように見えますから、なかなかこれを突破するのは難しいかもしれない。しかし、一旦これを突破すると、あとは値崩れの連鎖。年末には60〜70ドルレベルも無いとは云えない。(08/08/13)


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