サルコジ フー? 


 日本のマスコミはフランス大統領選を、いささか大げさに扱っているように思われる。新大統領が誰になろうが日仏関係に大きな変化はあり得ない。何故なら、サルコジもロワイヤルも外交政策で日本に対しては一言も触れていない。ということは両方とも日本を無視していることに他ならない。サルコジに至っては大相撲を例にして、日本への侮蔑感をあからさまにしている。いくらシラクへの当てつけだとしても、次期政権を狙う立場の人間なら、友好国に対してもう少し言葉の使い方がありそうなものだ。これだけ見ても、サルコジと言うのがどのレベルか・・・多分猿レベル・・・が判るのである。ロワイヤルにしても似たようなものだ。何故こうなるかというと、日本もフランスも、お互いをそれほど必要としていないからである。日本にとってアメリカがなくなれば大変だが、フランスが消えてなくなってもたいしたことはない。それはフランスにとっても同じ。日本にとって重要なのは、フランスより中国である。貿易額の桁が違う。中国は一衣帯水の隣国だが、フランスはユーラシア大陸の向こうの端。安全保障上も何の問題にもならない。更に、日本とフランスは互いに対立する点が多い。日本が買う航空機はみんなアメリカ製だが、中国はエアバスA380を注文している。中国はフランス製武器を購入したがっているが、日本はそれに反対する。フランスTGVは日本新幹線の中国 売り込みに対する強力なライバルである。つまり、日本とフランスとは協調よりも対立関係にある。それは嫌日派のサルコジによって更に強化されるだろう。従って、日本人は今後の日仏関係に甘い幻想を抱いてはならない。
 しかしそのサルコジも順風満帆ではない。彼の外交基軸は仏米関係の修復と強化である。それはブッシュ政権下では可能だろう。しかし逆に言えば、この結果中仏関係が冷却化しかねない。更にブッシュの運命は後1年半しかない。次期アメリカ政権は90%の確率で民主党である。民主党が親サルコジという保障はない。民主党は伝統的に親中路線である。中国の圧力で肝心の米仏関係も混乱する可能性もある。そうなれば外交的に孤立である。サルコジが少し頭が良ければ、アメリカとの関係を他国間とのバランスの中で抑えるだろう。逆にそれをせずにアメリカ一編道政策を採れば、中国との関係・・・これはアメリカとの関係で決まる・・・が悪化しかねない。エアバス他の対中輸出のキャンセルが発生すれば、国内的には失業者が発生し、選挙公約と違うじゃないか、ということで、政権発足後2〜3年位で、サルコジ政権はレイムダック化する可能性もある。慌てず様子を見ておくにしかず。
(07/05/10)

 フランス新大統領に右派のサルコジが当選。何となく人種差別主義者の臭いがする。差別とは強いものが弱いもの対する侮蔑行為のように思いがちだが、実態は、弱いものがより弱いものを差別するケースの方が多く、そのケースの方が差別はより陰湿・周到化するものだ。彼の主張の一つに不法移民排除がある。彼の云う不法移民とは、即ちアラブ系のことである。ここにアラブに対する蔑視がある。何故アラブ系を差別するかというと、本人が自分を由緒正しいヨーロッパ人と思いこんでいるからだろう。ところが彼は血筋から見てヨーロッパ人なんかではない。父はハンガリー人、母はユダヤ系ギリシア人。ハンガリー人は見かけはヨーロッパ人そっくりだが、実は日本人と同じウラルアルタイ語族に属するモンゴロイド(マジャール人)。赤ん坊の尻は青いのだ。紀元3〜4世紀頃、アッチラに率いられて、黒海北部のステップ地帯からヨーロッパにやってきた不法移民。ユダヤ人もローマに故郷を追い出されてヨーロッパにやってきた不法移民。つまり、サルコジこそ由緒正しい不法移民の末裔なのだ。
ただ彼らの方が先にやってきて住み着いてしまったから、後からやってくるものを、自分達の利権を奪われまいと差別するのである。そう言えばアベもあの顔つきからして、先祖はコリア系不法移民だったかもしれないねえ。山の世界で、先にキャンプ地に着いた連中が良いテント場や水場を占領し、後からやってきた連中は隅っこでこそこそしなけりゃならないのと同じである。
 サルコジ登場でフランスが今後どうなるか判らないが、彼は随分とお喋りのようだから、言葉に気を付けておいた方がよいだろう。これまでフランスはイスラム過激派によるテロの対象にはなっていなかった。しかし妙なことをうっかり口走ると、フランス人がテロの対象になるかもしれない。
 サルコジを支持したフランス右派はかつてアルジェリア独立戦争の折り、アルジェリアの独立に反対した。現在のアラブ系不法移民の大部分はアルジェリア出身である。もし、右派の要求どおり独立を阻止しておれば、彼らはれっきとしたフランス国民であり、フランス移住は権利として認められる。この不条理を右派はどう説明するのでしょうか?これはかつて鬼畜米英と云ってアメリカを敵国視した日本右翼が、掌を返したように日米同盟を主張するのと同様の矛盾である。
(07/05/08)


RETURN    一覧へ    TOPへ