横井調査設計のCSA-MT探査(3)


 ご存じ「有馬温泉」での探査例です。有馬温泉周辺は、断層が錯綜して地質構造が複雑だ、ということと、高温・高食塩泉のため岩盤自体の比抵抗が低いので、結果の解釈には悩む処の多い地域です。


場所 比抵抗平面図 比抵抗断面図 備考
神戸市北区有馬町 有馬温泉東北部、「有野断層」を挟む地域での探査です。
 全体に比抵抗が極めて低いのが特徴。平面図で、図の右上半分が相対的に高比抵抗帯、左下が低比抵抗帯になっています。断面図では測点18/15の中間を境に右が高比抵抗帯、左に低比抵抗帯が分布します。両者の境界が概ね「有野断層」と考えられます。実は地質は両者とも白亜紀有馬層群です。表層に第三紀神戸層群が分布しますが、これは比抵抗構造には関係しません。高比抵抗帯と低比抵抗帯の差は地下水の塩分(Cl)濃度の差と考えられます。有野断層の南側(有馬温泉側)に高濃度の食塩水が分布することがこの図で判ります。
有馬口〜唐櫃 有馬温泉西部の丘陵地帯。表層の地質は白亜紀有馬層群ですが、この辺り唐櫃断層や射場山断層、それらの派生断層が錯綜して地質構造は極めて複雑。それどころか、山のてっぺんから熱水が噴き出している状況も見られました。全体に有馬層群としては比抵抗が低いのが特徴。なお、実際に温泉を掘削すると、有馬層群は表層200m位、その下は花崗岩でした。
 断面図の上のグラフは放射能探査(γ線スペクトル)の結果。

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