東シナ海開発は国運を賭ける程の価値があるか?
資源の世界は地質調査がものを云う。それを怠ってきた国家に未来はない。

技術士(応用理学) 横井和夫

1、始めに
 尖閣列島を含む東シナ海の問題は、現在日中間最大の棘である。これを解決する方法はあるか?おそらく無い、というのが正解だろう。だから燈小平も解決を次の世代に委ねた。ところが、次の世代と言うのが全く知恵が無く、燈や竹下に遙かに及ばない。同じ所を行ったり来たりで話しにならない。誰のことを云っているかは判るでしょうねえ。
 この問題は、単純な領土問題と資源問題をゴッチャにすることから始まる。尖閣列島の領土問題は国家主権の問題だから毅然としなければならないのは当然だが、EZ水域での資源問題はもっと現実的・合理的な判断が必要である。何故なら、資源賦存の問題は領土・政治問題ではなく、経済及び自然科学の問題だからである。
2、東シナ海問題の意味
 尖閣列島周辺の石油ガス資源問題の歴史は古く、戦後まもなく米系メジャーが調査をしたが、埋蔵量に期待出来ないとして撤退してしまった。それが日中間問題として注目されるようになったのはここ10数年のことに過ぎない。メジャーの調査から数10年の間に突如資源埋蔵量が増えたのだろうか?そんなことはない。中国政府に、此処には石油や天然ガスがありますよ、と吹き込んだ誰かがいるのだ。それが誰かを詮索するのは本論の目的ではない。09/18朝、サンプロに少しチャンネルを廻したところ、例の桜井よしこが、日中問題について「日中EZ水域には中共(本人がそういっていた。今時中共というのは相当のアナクロ)が軍艦を数隻派遣している。日本は帝国石油が試掘申請を取ったが、実行出来る支援体制が全く出来ていない。日本も海上保安庁の巡視船や自衛艦を派遣すべきである」と述べる。これに私はびっくりしたのである。双方が軍艦を派遣して衝突すれば即戦争である。桜井女史が先頭を切って戦争に行ってくれるなら構わないが、大抵戦わなくてはならないのは、我々男性である。女性的感情だけの開戦論は、非常に迷惑なのだ。果たして、この水域での地下資源に、日中双方が干牙を交えなくはなくてはならないほど価値があるか?この点について、もっと冷静に評価を下さなくてはならない。
3、東アジアの地質構造
 そのためには、中国大陸とその周辺の地質構造を頭に入れておく必要がある。図―12-2は中国大陸の地体構造図(市川浩一郎「中国東部・日本列島の基盤構造の発展」;東アジアの変動帯、藤田和夫教授退官記念論文集、1984、海文堂)である。この図は専門家でなければ少し判りにくいので少し解説を加える。

図12-2中国および近隣地域における造構期の推移(文献に基づく,一部改変)1:地台,2:地向斜榴曲区,3:横向推移,4:縦向推移,X:ハンハイ・バイカル摺曲,Xl:カンブリア紀前期末,X2:同中期末,C:カレドニァ禰曲,C1:オルドビス紀中期末,C2:シルル紀末,V:バリスカン摺曲,V1:デボン紀末,V2:石炭紀前期末,V3:石炭紀末,V4:ペルム紀前期末,I:インドシナ櫓曲,y:燕山櫓曲,y1:早期,y2:中期,y3:晩期,H:ヒマラヤ


(1) 中国大陸は単一の大陸ではなく、幾つかの「地台」と呼ばれるブロックで構成されている。このブロックは先カンブリア紀、即ち太古代以前の古い岩盤からなる安定陸塊である。古地磁気、放射年代測定結果から、かつて南極やオーストラリア付近にあった古代陸塊が移動してきて、ユーラシア大陸東縁に集積したものである。このブロックは非常に古い(数10億年以前)岩石で出来ているので、石油、天然ガスなどの化石資源採取対象にはならない。
(2) 地台の境界に、「地向斜褶曲区」と呼ばれる部分が帯状に延びている。これはカンブリア紀以降の比較的新しい(と云っても古いものでは数億年の年齢を持つ)地層が、数千m以上に渉って堆積している場所である。
(3) 地向斜褶曲区は北から
    @ サヤンーゲルゴウ褶曲区
    A 天山―興安地向斜褶曲区
    B コンロンー秦嶺地向斜褶曲区
    C 濱蔵地向斜褶曲区
これらの内、石油・天然ガスにとって、特に重要なのはA天山―興安地向斜褶曲区、C濱蔵地向斜褶曲区である。
(4)A天山―興安地向斜褶曲区では、北東端の北満州で、かつて大慶油田が開発された。これの西端の天山地区では、現在内陸油田では、世界最大級と云われるタクラマカン油田が開発中である。更にこれを西に延長すると、中央アジアからカスピ海に至る油田地帯に延びる。アメリカが何故、9.11事件に直接関係しないアフガニスタンに侵攻したか?キルギス、ウズベキスタンに今も軍隊を駐留させているか?その理由がよく判る。
(5)C濱蔵地向斜褶曲区は、今のヒマラヤ山脈から東南アジアに延びるゾーンである。図を外れるが、これを南東に延長すると、ミャンマー、更に現在中国とフィリピン、ベトナムとで係争中の南沙・西沙列島からボルネオ・インドネシアのガス・油田地帯に延びる。
 東南アジア諸国への、日本の政治的・経済的影響が強くなると、何故か…CIAの後押しによる…反日運動とか、民主化と称するクーデター事件が頻発する。その理由もこの図から顕かである。つまり、東アジアのガス・油田地帯の分布、現在の政治状勢は、この図に示される基盤の地質構造から決定されているのである。
4資源地質から見た東シナ海
 では、尖閣列島を含む東シナ海はどうか?中国大陸の東縁に、「華南」と呼ばれる地質区がある。これはジュラ紀以降の、比較的新しい地層・岩石からなる構造区である。これが東シナ海の基盤を作る。更にこれは日本列島の延長でもある。つまり、東シナ海の基盤は大陸塊のかけら、深海底の堆積物、海山の残骸など雑多な岩石の集合体であって、ガス・石油の賦存層ではあり得ない。
 一般的に、ガス・油田規模を決定する要素は、@堆積盆の空間的広がり、A堆積物の厚さ、B堆積物の年齢、C地質構造である。
@ 堆積盆の空間的広がりが、大きければ大きい程良いのは当たり前である。ガス・石油の賦存量の大枠を決定する。
A 堆積盆が幾ら広く広がっていても、堆積物の厚さが小さければ、有機物(CH)の熟成が不足して化石資源にはならない。厚さが大きければ、温度・圧力が高くなるので、熟成が進行する。
B 幾ら堆積物が厚くても、それが若ければ有機物は熟成しない。時間が必要である。上等のワインを作るには、それ相当の時間が必要と同じである。
C 以上の条件を満たしても、石油にはならないことがある。もう一つ必要な要素は褶曲構造である。褶曲とは、地層を横からゆっくり加圧することにより発生する地質構造である。この結果、地層中の有機物はゆっくりと絞り出され、それに適度の温度・圧力・時間が加わることにより、上等の石油に変化するのである。ワイン醸造で云えば、匠による細やかな工夫とでも云おうか。加圧が急速な場合、断層となり、それから有機物成分が逃げ出してしまうので、日本列島のような活発な構造帯は、有機物の蓄積や熟成には不向きなのである。
以上の点を頭に入れて、東シナ海を資源地質の目から検討してみよう。東シナ海は地理的には西を中国大陸、北を朝鮮半島及び日本列島、東及び南を南西諸島・台湾島で囲まれる幅400〜500q長さ1000q程の海域である。水深は極浅く平均200m程度。ウルム最氷期には殆どが陸化していたと考えられる。唯一水深の大きい部分が沖縄トラフで、最大2000mぐらいになる。
 東シナ海の外周には南西諸島・台湾島が一つの島弧をなして連なるが、これらを作る地質系統は、主に中新統以降の新しい地層と古第三紀以前の古い地層からなる。後者は日本で云えば、四万十累帯に相当するもので、この地域の基盤を作るものである。従って、この地域での石油・天然ガス賦存層は、主に中新統以降の地層、せいぜい古第三系の上の方までと考えられる。従って東シナ海の年齢は、概ね中新世以降、つまり1500万年程度、古くてもせいぜい2000〜3000万年程度と見積もられる。
 下図は東シナ海を含む西太平洋の第四紀地質構造図(Neo-Tectonic Map)の一部である。…塩野清治「西南日本・琉球弧とフィリピン海プレート」;東アジアの変動帯、藤田和夫教授退官記念論文集、1984、海文堂)


1:海溝,2:活動中の拡大軸,3:古い拡大軸,4:トランスフォーム断層,5:活火山6:相吋運動の方向(数字は速度cm/yr)

 東シナ海の東縁を作る沖縄トラフは、「2:活動中の拡大軸部」であり、ここでは引っ張り応力が作用する。又、フィリピンプレートの沈み込みにより、沖縄トラフ付近は地震の多発地域でもある。この場合、地震が起きる度に地層に割れ目が発生し、そこから有機物が逃げだすので、有機物が蓄積しない。つまり、十分有機物が熟成される条件下にはない。従って、有機物を熟成させる力としては、地層の重さである鉛直応力しかないことになる。だから石油ではなく、天然ガス主体になるのである。
 堆積物の厚さに関しては、実際的なデータを持ち合わせない(日本政府は実施した物理探査結果を公開すべきである)が、日本海と相似的と仮定すると、おそらくは4000〜5000mのオーダーと思われる。
5、結論
 そろそろ結論に入ろう。
1、 東シナ海は、その規模、ユーラシア大陸縁辺での地質構造上の位置付けから、日本海の相似形と見なされ得る。つまり、期待出来る地下資源は、大陸での地向斜褶曲区のような大規模なものではなく、かつて日本で採掘された程度のものが予測されるに過ぎない。ガスや石油が全く出ない分けではないが、採掘出来てもせいぜい20〜30年程度、下手すれば数年で終わりだ。その量も、とても一国のエネルギー需要に影響を及ぼし得るものには成り得ない。
2、 更に海上採掘だからコストがもの凄くかかる。採掘箇所は台風の通り道に当たり、稼働日数が制約を受ける。つまり、コストパフォーマンスが非常に悪い。
3、 以上の点を考えれば、まともな石油屋なら手を出したがらない物件である。かつて米系メジャーが撤退した理由が判る。今回帝国石油が試掘権申請を出したが、実態は政府・自民党から、無理矢理出させられたようなものだ。ということは、帝石に発生する負債は政府が肩代わりすることになる。これで石油が出なければ、政府は不良債権を抱え込むことになるので、そのつけは何れ国民にまわってくることになる。つまり、無駄な公共事業になりかねない。
4、 それでも中国はやっているではないか?という反論はあるだろう。中国は共産主義(というより社会主義的官僚制で、共産主義とは似て非なるものである)国家である。世界中のあらゆるところから資源を集めろ、という指令が下れば、採算を無視して走り出す。そこから発生する不良債権は中国のリスクだから、日本が心配する必要はない。一方、日本は資本主義国家である。まず、事業の採算分岐点を見定めなくてはならない。その点について、日本政府や与党・マスコミ・ジャーナリズムが冷静であるとは、とても思えない(桜井女史のコメントに顕か…尤も、日本は資本主義的官僚制国家だから、中国と大差ないのが心配)。
5、 日本としては、尖閣列島の領有権と、EZ水域の占有権だけをしつこく主張し、ガス掘削など、日本の権利を侵さなければ、中国のやりたいようにやらせておけばよい。その内採算割れで撤退するのに決まっている。ただ、こういっても国内の一部の民族主義者(例えば桜井女史、石原慎太郎、田原総一郎など)は納得しないだろうし、又、中国指導部は採掘実施を、別のプロパガンダに利用するだろう。これを防ぐには、前回行った物理探査の結果に、第三国(例えばイギリスとかフランス)による客観的評価を合わせて公表した方がよい。
6、 タクラマカンにも、日本は僅かだが鉱区権を持っている。東シナ海が揉めれば、これの鉱区権延長は無理だろう。私ならどうせ大したことはない東シナ海は中国に譲って、タクラマカンとシベリアパイプラインの権利を頂く。期間は双方30年。日本は損をしない。
以上の点に桜井女史やその他、東シナ海開発推進派のみなさんの反論があれば、非常に有り難いと思いますので、是非反論をよこして下さい。以上(05/09/20)

 これだけなら、如何にも筆者は対中軟弱派のように見えるかも知れない。別にそれでも構わない。少なくとも対中強硬派ではないし、日本の将来を考えれば、アングロサクソンからなるアメリカやイギリスよりは、中国・アジアに重点を置くべきと考える派だからである。何故なら、アングロサクソンは、基本的に相互信頼関係をつくることが不可能な人種だが、中国・アジアは信頼関係を相対化出来るからである。こちらが信用すれば、向こうも信用する。こちらが信用しなければ、向こうも信用しない。非常にやりやすい。
 筆者は極端に云えば、中国が東シナ海資源を欲しがっているなら、譲り渡しても構わないと考えている。何故なら、中国は現在の経済情勢から涎を出しても東シナ海資源が欲しい。一方日本はどうか。少子化は今後も進み、環境対策としての省エネも進む。つまり、間違いなく国内エネルギー需要は減って行く。今でも、電力会社は売り上げが低下して、リストラに必死なのだ。つまり、今後エネルギー資源需要を増加させなくてはならない理由がない。従って、東シナ海資源は中国に譲って、その替わり中国国内開発市場の参入権を手に入れた方がよい。例えば、鉄道電力化事業とか、環境事業とか。むしろ、無理に東シナ海利権を持っていると、必ず開発しなくてはならないから、将来とんでもない不良債権を抱え込むことになりかねない。その点について、日本政府がどの程度の正確なデータを持っているのか、是非公開していただきたい。
 かつて、太平洋戦争開戦時、政府による開戦理由は「ABCD包囲網による石油禁輸措置への対抗」だった。これに対し、石原完爾は「石油が欲しければ頭を下げて売って貰えばよい。石油のために戦争を始める馬鹿はいない」と云っている。石油国粋主義者はこれをどう評価するのでしょうか?(05/09/20)
 先週より東シナ海の掘削井でガスの燃焼現象が見られ、ガスの生産が始まったとし、通商産業省は中国に対し生産の中止を求めるに至った。果たしてこれがどういう法的根拠に基づくのか、国際的理解を得られるのか、国際法は素人なので判らないが、何故このように慌てふためくのか、その理由が判らない。よく云われるのは、中国側が日本側の資源を吸い取っているのではないか、という議論である。これは素人受けはするかも知れないが、ばかばかしい議論でもある。中国がEZ水域境界線近傍でガス採掘を行えば、確かに日本側に賦存するガスも吸収されるだろうが、天然ガスだから掘削井の深さはせいぜい1000〜2000m。数qも離れれば殆ど影響はなくなってしまう。ある資料に依れば、東シナ海の石油資源は、イラクに相当するぐらいあるらしい。それなら、たった3箇所のガス田開発で、資源がなくなるわけがない。蚊が相撲取りの血を吸っているようなものだ。逆にこれだけで影響を受けるようでは、資源量は大したことはないので、そんなものに手を着けず、中国のやりたいようにやらせておけばよい。つまり、最も重要な資源量評価が曖昧なことが問題なのである。この点について日本政府は、中国にデータ提供を求めているが、そんな国家機密に匹敵する情報を出すわけがない。この点を見ても、今の日本の資源政策担当者、特に経済産業省が、如何に無知で凡庸であるかが判る。そもそも、資源の世界は早い者勝ち、先に見つけた者、先に手を付けた者が勝つ世界である。かつて、ヨーロッパ列強はこの論理で世界中の資源を支配し、植民地化してきた。東シナ海だって例外ではない。おそらく、中国は自国の経済水域内で、以前から資源探査を行い、その結果で開発に踏み切ったのだろう。これは実績として国際社会で認められる。その間日本は何もして来なかった。中国が大陸棚主権論(これ自身、非常に新しい概念である)を持ち出す前に、自国経済水域内で探査をしようと思えば、幾らでも出来た(1)。やるべきことをさぼってきたのである。そのつけが今やってきただけの話しで、おそらく国際的にも、日本が支持を得る可能性は低いだろう。(09/25)
(1);現在、我が国には自前で石油探査を行う能力はありません。何故なら、コイズミ改革の一環として、石油公団を廃止してしまったからです。この直接のきっかけは、公団幹部と石油開発会社との癒着により、無意味な探査を行い、それに対する政府補助金が不良債権化したからです。そうなら腐敗した公団幹部や石油会社を排除して、公団組織を立て直せば良い。せっかくの技術まで捨て去ることはない。これにより、日本は石油開発に対しては手足をもがれたも同じ。裏でしめしめとほくそ笑んでいるのは、アメリカメジャーとブッシュ・チェイニー。A級戦犯は、この謀略にうまうまと引っかかった桜内光男と、それを後押しするコイズミ・竹中売国奴コンビ、それに操られている改革派と称するタワケ集団。

 原油価格が上がっています。この原因として、中国やインドなどの発展途上国の原油消費が増えていることが挙げられています。それはそうかもしれません。しかし、それだけでしょうか?原油価格の高騰が始まったのは、今年の春頃からです。その頃から、急に中国やインドなどの石油消費が増えだしたわけではありません。全世界的な石油需要と、原油価格との関係は、おそらくリニアーにはならないはずです。実態は原油需要以上に資金が余って、行き場のなくなった資金が、かつて我が国バブル時代に余った資金が土地、株、絵画に流れこんだように、原油市場に流入して、価格の高騰を作っているのではないか、と考えています。民営化された郵貯資金がこういう市場に流入すると、国際的過剰流動性を産み、やがては世界的不良資産を作るかも知れません。(10/01)
 本日サンプロ(10/02)で中川経済産業大臣が、タワケ改革派の典型とも云うべき、国際的無知と非常識をさらけ出しました。東シナ海開発に関して、日本側の中国側への要求項目の内、「資源情報の提供」について、専門家である元石油公団顧問は次のような意見を述べています。
 「資源情報は「秘中の秘」であり外部に公表する事はあり得ない。これが国際常識」。これに対し中川大臣は、「日本が求めているのは、資源量がどれぐらいあるとか、ガス層の深さや厚さがどれだけあるとか、と言った具体的な情報ではなく、基礎データである。専門家ともあろう者が、このような国民を騙すようなことを云って貰っては困る」。実は国民を騙しているのは中川大臣である。ガス層の厚さや、埋蔵量などは二次情報であって、一次情報である物理探査の解釈(や操作)によっては幾らでも変わる。それどころか、しばしば資金集めのためのプロパガンダに利用される。だから、専門家は、そんなものは信用しない。試掘データも、データは後で改変が可能だから、半ばそういう部分はある。最も基本的なデータは、物理(地震)探査のデータである。通常、資源情報と言えばこれを指す。これの改変は殆ど不可能である。これこそ国家機密に属する部分だから、公表されることはあり得ない*。欲しければ自分で集める以外に方法はない。日本はそれをさぼってきたわけだから、国際的理解を得られる分けがない。中国は、法的対応を含め着実にガードを固めて攻め込んできている。それに比べ、日本はメロメロの泥縄対応。始めから勝負はついている。この際、中国と何らかの妥協を模索する以外に方法は無い。又、何度も云うが、それ以前に東シナ海ガス田の採算性をもっと冷静に評価した上で方針を決定すべきである。
 こういった資源問題に直面すると、日本人、特にマスコミに「日本は資源が乏しい」、「今後のエネルギー不足を考えると」などとステロタイプなことを言い出す奴が出てくる。こういうのが世論を惑わすのである。何度も云いますが、将来は少子化と省エネの進歩で、エネルギーが不足することは考えられません。

*NHKプロジェクトXに「中東石油開発」というのがある。アラビア石油がカタール沖で石油開発に成功するまでのドキュメントである。アラ石はカタール沖の鉱区内で物理(地震)探査を行ったが、当時日本には、これを解析出来るコンピューターやソフトがなかったため、イギリスでスパコンを借りて行うことにした。すると、周辺に怪しげな人間がまとわりつき、生命の危険すら感じたと言う。資源情報で何が重要か!これを見ても判る。
なお、私が中国側エージェントなら、日本があまりしつこく云うと、五月蠅いから、関係の無いデータの一部とか、全く別のデータを見せて誤魔化すかもしれない。それでも日本人はそれを見破れないだろう。何故なら、今の日本政府には、探査データの真贋を見破れる人材が、みんな追放されて残っていないからである。石油公団は無くなったし、地調も法人化してしまって、職員は国家公務員ではなくなった。(05/10/02)

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