ブッシュ再選。4年後は民主党ヒラリー・クリントン大統領で決まり


 一応、次のアメリカ大統領はブッシュになった。これでホット胸をなで下ろし、安心しているのは
    (イ)コイズミとその取り巻き
    (ロ)外務省
    (ハ)トヨタ他輸出関連業界

 アメリカ大統領選挙に関しての、日本人の反応は概ね次の4パターンがある。
    (1)何が何でもブッシュ再選でなくては困る。
    (2)ブッシュは嫌だが、多分ブッシュだろう。
    (3)ブッシュノー、ケリーに勝って欲しい。
    (4)ケリーが勝つ。
 (1)は上に挙げた(イ)から(ハ)までの人達。具体的には、コイズミ、安部、岡崎、佐々など普段私がこき下ろしている連中。(2)は、私を含む日本人の大部分。冷静な判断力を持つインテリ、マジョリテイー。(3)は少し変わった社民党や共産党シンパ。(4)は相当変わった人間で、殆どいない。
 これで確実になったのは、4年後のアメリカは民主党政権に移り、大統領はヒラリー・クリントンだ、ということだ。
 ブッシュも盤石で大統領になれたわけではない。そもそも、次の点でブッシュはケリーに対し優位だった。
  @ケリーが民主党予備選挙を勝ち抜かなくてはならなかったのに対し、ブッシュはその必要がなかった。
  A選挙資金が二桁ぐらい違っていた。この点を取り上げて、ブッシュの圧勝と云った、元日商岩井のコンサルタントがいたが、今回の勝利を圧勝というのですかね?
  B再選の時は、現職有利は当たり前。
  C戦争中の大統領は支持率が上昇する。
以上4点の内、A〜Cについてブッシュ陣営は見込みを誤ったか、十分利用出来なかった。つまり、これだけのハンデイを貰っていながら、あの程度の勝差ではとても勝てたとは云えない。とはいうものの、勝てば官軍だから何でも出来る。しかし、その反面、自分のやったことの後始末を4年以内に、片づけなくてはならない。これがブッシュの十字架である。ブッシュのやらかした問題は沢山あるが、我々非アメリカ人にとって大きなものは、次の3点があげられる。
  (1)イラク戦争の終結
  (2)双子の赤字の決算
  (3)石油価格の後始末
 この問題は、実にブッシュ本人が創り出したものであって、だれにも責任を転嫁出来ない。
(1)イラク戦争の終結
 先に、筆者が述べているように、イラク戦争は継戦の段階に入っており、今後1年ぐらいで厭戦の段階に入る可能性が高い。又、イラク派遣米兵の不足が懸念されている。民主党の追求に抗しかねて、追加派兵をしようとすると、今や兵力動員の限界に達しているので、徴兵の復活が囁かれている。徴兵は政権の命取り。ベトナム戦争でも、ジョンソン民主党(テキサス党)が徴兵制を復活すると支持率は急落し、戦争終結を主張したニクソン共和党(カリフォルニア党)の勝利となったのである。ブッシュもジョンソンも、表向き所属する政党は、共和党と民主党の違いはあるが、ルーツは同じ「テキサス党」という点に注意。理念無き戦争での徴兵制の復活が、70年代のアメリカ青年層に、政府への不信感を植え付け、様々な反政府活動を産み、最後はジョンソンテキサス政権の命脈を奪ったのである。
(2)双子の赤字の決算
 これは、イラク戦争を終わらさなくては出来るわけはない。終わらしても出来るかどうか判らない。ベトナム戦争で発生した、双子の赤字は結局、日本の内需拡大政策でナントカ吸収した。しかし、おかげで日本にはバブルが発生し、その後始末で非道い目にあっているのだ。今度もその手で行こうとしているのじゃないかと、私は疑っている。つまり、ベトナム戦争後、発生した不景気を、アメリカは国内では結局解消出来ず、60年プラザサミットで日本に、大幅円高を容認させた。その結果が、空前のバブルだったのである。それだけではなく、当時のパパブッシュは日本に対し、640兆円の内需拡大を約束させた。これが、その後の第2名神や神戸空港などの官製不良債権を生む原因になった。最近よく聞くのは、民主党政権は日本に量的目標を要求するが、共和党政権は同盟国の自主性を重んじる、といった評価である。これは実例から見ると全くの嘘である。民主党だろうが、共和党だろうがアメリカは、同盟国の自主性を尊重「したことはない。あるとすれば、その自主的行動がアメリカの利益(テキサス党の利益)に合致した場合のみである。
 イラク戦争以来発生した双子の赤字を、どうすれば解消出来るのだろうか。筆者は正直判らない。グリーンスパンも判らないだろう。おそらく、ブッシュは最も安易な方法、つまりどんな無理難題を押しつけても、決して文句を言わない、ポチ同盟国「日本」に押しつけることだ。
(3)原油高の後始末
 イラク戦争の前後で、原油価格は倍ぐらいに跳ね上がった。ブッシュ財閥も、相棒のハリバートンも儲かってしかたがない。選挙に負けていれば、インチキを民主党につつかれるが、4年もあれば、帳簿の誤魔化しをやるのは十分な時間だ。まだまだ儲けられる!といいたいところだろうが、ガソリン価格の高騰は消費者を直撃する。1年位なら誤魔化しも効くかもしれないが、2年も続くともう無理。何らかの対策が必要になる。今のブッシュ政権に、それに対する対策があるようにはみえない。当たり前だが、大統領も副大統領も、原油高騰で儲かっているのだから、価格を下げる政策をとる訳がない。アメリカ国民がこれに気がつくまで、2年以上は懸かるでしょう。

 というわけで、筆者の読みでは2年後、つまり中間選挙の辺りに、現ブッシュ政権の限界が現れると考えている。それと、第二次大戦後、同一政党が3期以上政権を執った例は殆どない。例外としては、レーガン2期の後のパパブッシュで、共和党が計3期12年を担当したケースがあるのみである。要するに飽きられるのだ。特に現代人はTVの見過ぎで、直ぐにチャンネルを切り替えることに慣れている。8年も高支持率(高視聴率)を維持することは、大変なことでコスト、エネルギーを考えると、21世紀では殆ど不可能だろう。というわけで共和党政権はブッシュ2期目で終わり。次は嫌でも民主党政権になる。そして、その隠し球がヒラリー・クリントンというわけである。実は、筆者はケリーというのは、とりあえずのつなぎで、民主党の本命はヒラリー。そして彼女は次の次を狙っていた、と思っていた。もし、ケリー大統領が誕生すると、彼女の出番は遅れる訳で具合が悪い。つまり、世の中は、彼女の描いた筋書き通りに動いている。そうでしょ。イラク問題はブッシュに後始末させればよい。双子の赤字や、原油価格はブッシュのせいにすればよいのだから。敢えて火中の栗を拾うことはない。そして、レイムダックになったブッシュと共和党を叩いて、政権をとればよいのだから。
 さて、そこで困ったのは、我が日本。前政権・・・4年先には誰が総理大臣だか判らない。少なくともコイズミでないのは間違い無い・・・・が余りにも共和党に肩入れしてしまったので、アメリカ新政権は日本にどういう印象を持つでしょうか。トヨタ他自動車産業はアメリカ市場から閉め出しを喰うでしょう。内需拡大並びに、より一層の市場開放を要求されるのに決まっている。再びあの悪夢が繰り返されるのだ。
 だから、ブッシュ再選でうつつを抜かしている暇があれば、今の内から民主党へのパイプを繋いでおかなければならない。良かった、良かったとのんびりしてはおれないのだが。(04/11/04)


RETURN      一覧へ       TOPへ