中国の現状と未来
技術士 横井和夫

トロツキーの云うように統制経済が資本主義の最も堕落した形態なら、現代中国の社会主義市場経済は、社会主義の最も堕落した形態と云うべきである。

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 今世界が注目している点の一つにウクライナでもなくパレスチナでもなく、中国経済があります。現在中国が深刻な不況に陥っているのは周知の事実。果たして中国経済は立ち直るのか?立ち直れなければ世界はどうなるのか?立ち直るとすれば、どういう手段が考えられるか?
 中国の経済的破綻はかつての日本のそれに対し比べ物にならない、と云われる。そんなこともないだろう。日本のバブルが崩壊したとき、日本の経済力は世界二位だった。今の中国も世界二位だ。当時のアメリカ経済は永年の不況に苦しんでいた。状況はよく似ている。そして二位の国が没落すると、必ずアメリカ経済は息を吹き返す。多分そうなるでしょう。
 そうなる前にも色々あって、それが地域或いは世界経済に影響を与えることはあり得る。その一つに挙げられるのが「デフレの輸出」である。これには中国は前科がある。今世紀始め、北京オリンピックや上海万博の頃、公共投資バブルで莫大な鉄鋼・セメント等建設資材が生産された。
 さて祭りが終わると、これらがみんな不良在庫となって国内に積みあがった。さてどうするかと見ていると、中国はこれらを国際価格を無視した安値で輸出を始めた。このあおりを食ったのが日欧米など先進国の資材産業。バタバタ倒産が始まり、日本でも多くのメーカーが事業規模縮小などリストラに追われる羽目に陥った。しかしその結果、産業再編成に成功した。
 では中国は自分の失敗を他国に押し付ける格好で経済再生に成功したが、再びバブルに手を出し巨大な不動産バブルを作ったために、その後始末に苦慮している。一度やったことは二度、三度。何をやるか分からないが、国内債務を消すためにドル建て外債を叩き売るとか、中国産半導体を安値輸出するとか、とにかく世界経済秩序を無視したやりかたでしょう。但しそんなことでは台湾の武力解放など出来るわけがない。
 日本の場合、バブル崩壊からデフレ脱却に30年以上掛かっている。日本より遥かに経済規模の大きい中国がそう簡単に脱却できるとも思えない。仮に甘く見積もって10年とすると、そのとき習近平は80才。20年なら90才だ。それまで習が無事に生きているかどうか分からないのである。
(24/01/12)

 公明の山口が中国に出かけ、中国の王毅と会談。この時、山口は日本産水産物の輸入禁止解除を要請したが、王毅は福島処理水の中国独自の検査体制の提供を要求。これは山口が答えられる性格のものではないが、そんなこと百も承知で、何故こんなことを言い出したのか?これには次の二つの意味があると考えられる。
1、国内向けアピール;処理水投入までは中国は絶対反対の立場で、それを関係各国にも宣伝していた。しかし国連やその他の機関が皆投入計画を承認し、各国も容認派が多くなり、中国の国際的孤立が深まった。これはやばい。といって今更振り上げた拳を降ろすわけには行かない。特にこれまで国民に処理水の危険性を刷り込んできた以上、国民を納得させるパフォーマンスが必要だ。そこで思いついたのが独立した検査。これで水産物が無害となれば、中国共産党・政府のメンツも立ち、国民にも言い訳出来る。
2、日本との関係改善へのシグナル;今の中国が抱える最大の問題は経済。新型コロナ対策を誤り、不動産バブル処理を誤って大変なことになっている。これを立て直すのに必要なことは、中国の景気減速や反スパイ法などを嫌って逃げ出そうとする西側資本を呼び戻すこと。そのためには習政権発足以後最悪と云われる、アメリカ・日本との関係改善が最重要課題。その中で対日関係で喉元に刺さったトゲが、福島処理水問題と日本人スパイ事件。これを解決しなければ、日本との関係改善は望めない。
 元々中国は福島処理水海洋投棄には絶対反対の立場を執ってきた。ところが投棄が始まると、様子が変わって中国独自の検査体制の保証を要求してきた。絶対反対なら検査の必要はない。それを中国独自の検査ならとハードルを下げてきたのである。つまりこの問題を外交問題に引っかけることに、手詰まり感が出てきた。そこで何とか手打ちをしたいというのが本音。何とか今の日中関係を改善したいというシグナルだろう。これをづつ買うかが、岸田外交の真骨頂だ。
(23/11/24
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 先日急死した中国首相李克強の葬儀が、明日火葬で行われると中国当局が発表。元々中国は土葬が主流で火葬などは行われなかったのではないか、と思ったが何故わざわざ火葬にしたのか?
 そもそも李克強の死には色々疑惑があって、暗殺説も根強い。仮に毒殺とすれば、将来政権が替わったとき、改葬と称して遺体を発掘すると、遺体から毒物が検出される恐れがある。ナポレオンの頭髪から高濃度のヒ素が検出された、というのは有名な話だ。火葬にしてしまえば、残るのは骨と歯だけ。毒物が残るおそれはない。究極の証拠隠滅だ。
(23/11/03)

 北京で開催が始まった「一帯一路」国際会議。集まったのは20カ国の首脳達。但しこの中には西欧諸国はなく、インドを除けば、殆どが旧ソ連圏諸国。その中で、わざわざ習近平が空港まで出迎えにいったり、ツーショット写真を撮ったり、習に次ぐ二番目の基調演説を行うなど、ロシアのプーチンに対する厚遇ぶりが目立つ。
 域内での国力でいえば、中国に次ぐ大国は明らかにインド。人口はインドに次いでインドネシアが三番目。インドやインドネシア他の途上国が、軒並み人口増加国なのに、中国、ロシアは人口減少国だ。ロシアが他国に対し優位に立つものは何もない。おまけに戦争中で経済はジリ貧。ウクライナのような小国相手に1年半以上もたって、未だに勝利を上げられていない。
 そんな国が何故こんな高い地位が得られるのか?各国・・・この会議に出席した首脳ではなく、その国民・・・に不満が高まるのは必至。その不満はロシアではなく、主催国である中国に向かう。ずばり云えば、習近平は読みを誤った。彼は未来を見ずに、過去の幻想に捉われた。それは「毛沢東の呪い」という幻想である。
 「一帯一路」と表裏一体なのが中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)である。AIIBは加盟各国から資金を調達して途上国に融資し、インフラ開発を促進する。これまで36兆円を融資したが15兆円が回収不能、つまり不良債権化していると云われる。その典型がスリランカの港湾開発である。途上国は融資を援助と勘違いして、債権を回収する前にみんな使ってしまった。その挙句が国家財政破綻である。
 そこで今回中国が打ち出したのが「量より質」、「美しい援助」。要するに途上国・・・大部分はグローバルサウス・・・にばらまくカネが無くなったのだ。そこでよりリターンの高い案件のみに援助を絞るという方針に切り替えた。しかしこれは中国側の都合で、他の一帯一路加盟国家に根回しした風情はない。途上国が欲しいのは、やっぱり質より量の援助なのである。量が大きければ、途中のピンハネ率は低くても、ピンハネするカネは大きい。量を抑えて質に転換すれば、同じカネをピンハネしようとすれば、ピンハネ率を高くしなければならない。そうすれば目立つ。習近平はことのほか腐敗に厳しい。目立つようなピンハネをすれば、中国国内では忽ち反腐敗法で粛清される。途上国側の既得権益層にも被害が及びかねない。これまでのやり方が通じなくなる可能性がある。
 こんな中国の国内事情でコロコロ変わるシステムに、将来があるだろうか?普通の人間だったら誰でもそう思う。今回北京会議に参加を表明した国が、前回に比べ10カ国も減ったのはその所為だろう。多くの国はチャンスがあれば抜け出したいが、中国の脅しと買収、それと「債務の罠」にっ引きかかって抜けるに抜けられないのが、実態ではあるまいか。
 ステロタイプの時代劇によくあるパターン。強欲な金貸しに僅かばかりの借金をしたために、利子がかさんで払えなくなり、泣く泣く娘を女郎に売る羽目に。痛快時代劇なら、そこに正義の味方が現れて、金貸しとそのバックにいる悪代官をバッタバッタとやっつけるのだが、現実世界にそんな正義の味方はいない。自分の身は自分で守らなくてはならないのだ。
(23/10/19)

 中国国慶節に先立つ「革命烈士を称える日」の記念式典に、国防相他ロケット軍トップ2名が姿を見せない。外相の心秦剛と国防幹部三名は数カ月前から行方不明。こんな重要な式典にも姿を見せないということは、身辺によほど重大な事件が起こったに違いない。今頃労働界蔵所で思想教育を受けているのか?それとも既にこの世から追い払われたか。
 現在の習政権は内政でも外交でも、何代が山積している。内政は勿論碧玉園の4破綻に始まる不動産セクターの不安定化、それに伴う地方政府の財政悪化。更に増大する若者の失業率の増大や、急速に進む高齢化による労働力の低下と年金基金負担の増大。大事なことは年金基金が今後、次第に枯渇する恐れがあるということだ。
 日本が昭和30~40年代、驚異的な高度成長を遂げた背景に厚生年金基金があった。これは戦争中に始まったが、40年代までは需給する年代は殆どなく、基金はカネが貯まる一方だった。これを政税制投融資資金として府や民間金融機関に貸付け、公共事業始め様々な事業に唐須した。その結果が高度成長あった。
 中国では、50年代頃に厚生年金井似た年金制度が始まったらしいが、途中文化大革命などの騒動があって、その年金基金は使われなかった。801年代、鄧小平の復活とともに始まった改革開放で、貯まった年金が自由に使えるようになった。そして90年代に見られた中奥野高度成長が始まったのである。
 よく見ると日本とそっくりのパターンだ。これが今後中国経済にボデイーブローの様に効いてくる。日本はそれを莫大な政府借入金で誤魔化しているが、中国の経済は比べ物にならない。日本の海外投資は殆どが民間だったが、中国が一帯一路やAIIBの様に政府管掌が中心。つまり民間物件でも政府が保障をつける。日本と同じようにいかない。これが習近平の悩みの種だ。
(23/10/02)

 昨日台湾初の7国産潜水艦が進水しました。これで台湾の海上防衛能力が著しく増大すると期待されている。しかしあまり過度の期待も禁物だ。潜水艦の強みは海中に沈んで、相手に築かれずに行動出来ることである。深く潜れば潜るほど相手に見つかる可能性は低くなる。これを左右するものは、潜水艦の潜水能力と水深である。
 台湾海軍の行動範囲は主に東シナ海南部と南シナ海と考えられる。ところでこの海域、実は水深が非常に浅い。東シナ海は平均100数10m、深くても200m程度。南シナ海は更に浅く、水深は平均数10mに過ぎない。その代わり、海底地形は複雑で海底のチャンネルや凹凸が激しい。
 これは今から2万年ほど昔のウルム最氷期にはこの地域陸化したため、表面に谷や河が切れ込んだためである。この複雑な海底地形を利用すれば、潜水艦は敵に察知されずに行動できる。しかしその範囲は限定的なものである。今、中国の測量艦が日本特に沖縄近海に出没するのは、潜水艦が行動できる海底の谷を探しているのである。
 この性質を逆利用すれば、日本(及び台湾)は海底地形を把握し、中国潜水艦が行動しそうな海底チャンネルや谷を監視するなり、トラップを仕掛けるなりすれば、中国潜水艦の行動を防止制約することができる。
 台湾有事の場合、中国の潜水艦はアメリカからの補給路を断つため、必ず太平洋に出ようとする。その経路は幾つかに限られる。例えば日本列島周辺で200m級の海峡なら、津軽・薩摩海峡位しかない。あとの海峡は浅くて潜水艦の行動には適さない。つまり潜水艦の動きは非常に制約されたものになる。そこを叩けば良いだけだ。また、主な海峡を封鎖してしまえば、一旦太平洋に出た潜水艦は安全に帰港できなくなる。太平洋一人ぼっちだ。
 なお海底に刻まれたチャンネルや谷は偶然にできたものではなく、プレート運動によるもの。その分布や方向には規則性がある。これを「利用すれば、細かく測量しなくても、あるところで傾向を掴めば、予測は可能だから、測量作業コストを大幅に削減できる。
(23/09/29)

 やっぱり中国の習近平は、インドで行われるG20をパスするらしい。何故か?体調不安説から国内問題まで、色々憶測を呼んでいます。体調不安は置いといて、他の要因はどうでしょうか?こういう場合、真っ先に取り上げられるのは権力闘争です。トップが留守をしている間に、クーデターが起きる懸念。有名なものでは三国時代、曹操が南の呉を討つために軍を起こしたが、長江中流の赤壁で呉の周瑜に敗れた。この時、首都の洛陽では曹操追い落としのためのクーデター計画が進行中だった。それを察知した曹操は直ちに取って返しクーデター派を一網打尽にした。ひょっとして習の頭には、この故事があったのか?
 現在インドと中国との関係は、戦後最悪とも云われるほど悪化している。理由は国境問題である。元々この問題は永く未解決のままだった。それに火をつけたのが、最近中国政府がはっこうした公式世界地図。この中で、中国は現在周辺諸国と係争中の地域を、みんな中国領と表記してしまった。この中にはインドとの係争地も含まれる。当然インド側はカチンとくる。
 この種の地図は発行国の主権の主張とみなされる。つまろ誰でも勝手に発行できるものではなく、その国の検閲を受ける。まして一党独裁・中央集権の中国ならなおさらだ。つまり、この地図は中国政府の主張であり、当然それは国家のトップである習近平の了解を得たものとみなされる。
 さてこんな状態の中で、インドを訪問するとどうなるか?おそらく歓迎セレモニーは、行われないか、行われても貧相なものになるだろう。たとえば、習を乗せた飛行機が空港に到着しても、儀仗兵はおろかインド側からだれも出迎えに来ない。歓迎式典でも、中国は末席。それに比べ、日本の岸田やアメリカのバイデンには、至れり尽くせりの歓迎。そんな様子がテレビ全世界に放送されれば、習や中国のメンツは丸潰れだ。そんな目にあうなら、いっそ出ないほうがましだ。登校拒否の一種です。習近平の知性は小学生並みということだ。
 他にもASEAN会合にも出ないと云われる。ASEAN諸国の中でも、フイリピン、ヴェトナム、マレーシアは、領土問題で、中国に対しインドと同じ問題を抱えている。こんな状態でASEANに出席しても、冷たい扱いをうけるだけだ。やっぱりやめとこう、ということか。
 今中国が頼みにしているのが所謂グローバルサウス。中国はこれの重要なプレーヤーだが、中国と同等か、今後中国以上の存在感を示すと考えられるのがインド。又ASEAN諸国も人口、GDPの点では無視出来ない。肝心の中国がインド・ASEAN諸国と領土問題でもめているようでは、今後が思いやられる。ということは、グローバルサウス自身が、内部に領土問題という内部矛盾を抱えているわけで、統一した行動が執れるか甚だ疑問だ。そこへロシアという新たな帝国主義国家が手を突っ込んでくるから、混乱は更に再生産される。グローバルサウスなど、そのうち再び先進国の食い物にされるだろう。そして中国もまた没落を免れられない。
 なお今中国が抱える内政問題(恒大集団や碧珪園問題、若者の失業率、元安と物価高、処理水風評による漁業・海鮮不況等)や外交問題(台湾問題、一帯一路の行き詰まり)は、みんな習近平が引き起こしたものだ。それが分かっているから、みっともなくて公の場に顔をみせられないということか?
(23/09/05)

 8.25処理水海洋放出開始以来、エスカレートする中国の対日批判。これに悪乗りして、日本企業や商店、役所に迷惑電話が殺到。筆者はこういう騒ぎはまともには取り上げません。何故ならこの手の騒ぎは、大抵中国政府によるヤラセだからです。そんなことも分からずに、中国発ヤラセ偽情報を真に受けて、中国政府と対話とか、放出中止を等と利敵発言をする政治家や評論家がいるのが問題だ。
 元々中国の海洋放出反対は、中国国内水産業者保護のためだった。それがここにきて、俄かに政治目的化してしまっている。何故か?中国が対日批判を強化する理由には大きく二つがあります。
1、日中間に外交・経済的矛盾が生じたとき。
2、中国国内矛盾の方向を対日批判に振り向け、ガス抜きを諮るとき。
1、日中間に外交・経済的矛盾が生じたとき。
 今日中間で摩擦の原因になっていることは次の二つがあります。
(1)半導体規制;これはアメリカによる中国包囲網の一環ですが、日本は高精度半導体製造装置の対中輸出を禁止した。このレベルの製造装置を作れるのは、日本とオランダだけ。オランダも対中輸出を停止したから、中国は高精度の半導体を作れなくなった。
(2)台湾海峡問題;ウクライナ戦争勃発後、日本で俄かに高まったのが台湾問題。これに乗じて岸田内閣は事実上の軍拡路線を踏み出した。それに加え、親台系議員の訪台が相次ぎ、極めつきは「戦う覚悟を」という麻生発言。これらが中国をいたく刺激したのは間違いない。
2、中国国内矛盾の方向を対日批判に振り向け、ガス抜きを諮るとき;今の中国が抱えている最大の国内問題は、コロナ後の経済低迷です。
(1)まずなんといっても恒大集団からSOHOに至る不動産大手の経営悪化。不動産大手三社の不良債務は、約200兆円に上る。これにより不動産セクターの問題が明らかになった。中国経済で不動産部門の占める割合は3割りといわれるから、これが破綻すると次は金融、次は資源エネルギーと飛び火して、国家経済そのもが破綻しかねない。共産党政権の終焉だ。
2)、20%を越えると云われる20代若者の失業率。今のところ、これまで溜め込んだマネーで何とかしのいでいけるが、それが尽きたとき・・・つまり年金基金が尽きたとき・・・果たしてどうなるか?今のような共産党独裁体制が維持できるのか、という不安。
 これらの矛盾・不安がマグマの様に蓄積すると、それが爆発して、かつての天安門事件のような反共産党運動に繋がりかねない。従って、そのエネルギー何処かに誘導しなくてはならない。一番手っとり早いのが日本バッシングだ。これならあまり考えなくて済む。どのみちみんな忘れてしまう。始めから効果など期待していない。その証拠が尖閣列島沖衝突事件後のレアアース問題。日本はこれを再利用とか、中国以外からの調達で、クリアーしてしまったが、中国ではレアアース企業の6割りが倒産し、価格も元に戻ってしまった。
 今回も日本からの水産物輸入禁止などといっているが、日本のEEZから中国漁船は追い出されるから、増えるのは日本産のみ。いずれ中国の近海漁業は消滅するだろう。そしてこれらの内部矛盾を作り出した張本人こそ、習近平その人なのである。
(23/08/29)

 中国不動産大手恒大集団がニューヨークで、アメリカ連邦法に基づく破産法を申請。中国に一体何が起こったのだ、といいたいだろうが、これはアメリカの問題。むしろ中国がアメリカの罠に引かかったようなものだ。多分恒大は、コロナ前からアメリカの低金利政策に乗って資金を借りまくっていた。.コロナ対策の経済政策で、バイデンは市場にジャブジャブ資金を提供。恒大は更に図に乗ってしまった。
 恒大の資金の3割りはドル建て債権といわれる。そこへいきなりのFRBによる利上げ。半年ごとに0.25%ずつ上がる猛スピード。これに耐えきれず、SVBのように潰れた金融機関は多い。恒大だって、毎月の金利支払いが鰻上りで上がっていくのだからたまらない。こうなれば銀行は当然、貸し渋り、貸しはがしにかかる。恒代も例外ではない。その結果、資金繰りに詰まって経営破綻。
 なんとなくバブル期にアメリカに進出した、日本の不動産業の末路によく似ている。あの時日本の某不動産屋は遂にアメリカのシンボル、マジソンスクエアガーデンの一角を所有するまでになった。そこへ突然のバブル崩壊。資金繰りに困って、買値の数分の一の安値で買い叩かれ、アメリカから撤退せざるを得なかった。
 恒大の破綻は、現共産党政権にとっても一大事。何が何でも防がねばならない。何故なら不動産価格の低下は土地使用料の下落に繋がり、即ち地方政府の財政悪化、ひいては破綻に繋がりかねない。それは中央政府への不信・反感を増大させ、共産党統治システムを揺るがしかねない。
 さて、中国政府はこの問題をどう解決するか?とんでもない方法を考えつくかもしれない。08年北京オリンピックの後、中国は深刻な不況に陥った。その結果、膨大な量の鉄鋼・セメント等原材料の在庫が積みあがった。さて中国政府はどういう手を打ったか。それは鉄鋼・セメントの激安輸出である。無論GAT違反で先進国はWTOに提訴するが、中国はそんなもの意に介さず、ダンピング輸出を継続した。お陰で中国経済はもちなおしたが、先進国はたまったものじゃない。日本始め先進国鉄鋼産業は、これで壊滅してしまった。今回も似たようなことをするのではあるまいか?
(23/08/18)

 日本じゃ岸田内閣支持率が急降下し、そのうち岸田下ろしも始まりかねない。それに比べ、筆者が今注目しているのが、イタリアのメローニである。極右政党出身だから、これまでのイタリアの外交姿勢がガラリと変わる不安もあったが、今のところそれはない。
 通常、ヨーロッパの極右というのは、反米・反EU、親ロ・親中であることが多い。しかしメローニは、蓋を開けるとそうではなかった。反EUという点でウクライナ支援網から抜けでるのか、という不安もあったが、それもなかった。ユーロという強い通貨を手にしているから、EUから抜け出せない。その証拠がEUから抜けた今のイギリスの経済的惨状である。EUに留まる限りNATO にもとどまる。論理的必然である。
 そして最近打ち出したのが中国一帯一路からの離脱である。前政権から始まった一帯一路政策は、脱アメリカ依存のシンボルだったが、現実にはイタリアの一方的貿易赤字が記録されただけだった。それだけではない。20年新型コロナの蔓延で、ヨーロッパは非常事態になったが、その震源はイタリア。そしてイタリアはヨーロッパで一番中国人が多い。イタリアに新型コロナを持ち込んだのは、春節で帰国した中国人である。この点からも、イタリアの中国離れは今後も進む。これに倣おうとしているのがドイツ。又旧東欧諸国でも脱中国の傾向が進む。彼らは中国の背後にロシアを見ているのだろう。
(23/08/05)

 中国国家機密保護法(別名反スパイ法)が各国の注目を集め、警戒感を強めています。それよりもっと危険な法律が成立しようとしています。それは在外中国人保護法と云われるものです。この法律の骨子は海外に居住する中国人の安全を、国家が保障しようというものです。 胡錦涛前政権の改革開放、習近平の一帯一路政策の結果、海外に居住する中国人の数はうなぎ上りに増えている。その結果、中国人とd現地人との間のトラブルも急増する。その解決に中国政府が直接介入することを可能にする法律です。
 ではどういうときに、どういう手段で介入するのか?それが未だ不透明。通常は独立した主権国家の場合、そこに居住する人間・・・外国人であろうとなかろうと・・・の生命財産の保全は、その国の主権に属する。中国政府によるこの法律は、独立国の主権を著しく脅かすものである。
 19世紀欧米列強は、この理屈を使ってアジア、アフリカ各国への介入を強め、植民地化を諮った。20世紀に入って、日本も遅ればせながら、居留民保護を口実に大陸への領地拡大を諮った。そしてその結果はどうなったか。一番最初に植民地から追い出されたのは日本だが、その後アジア、アフリカで植民地解放運動が進み、かつてのヨーロッパ植民地大国は見る影もない。ということは、中国もいずれはその轍を踏み、今狙っている・・・多分グローバルサウスと呼ばれる地域・・・植民地候補地から追い出されるだろう。
(23/07/15)

 今中国では都会の若者失業率が20%強に達し、社会不安のおそれまで出ている。本日昼のワイドショーを見ていると、中国では若者の寺院詣でが流行っているらしい。困ったときの神頼みだが、中国では神仏といえども共産党の指導に従わなくてはならない。それなら直接共産党にお願いすればよいのにと思うのだが、これが頼りなくて信用できないから、神仏に頼るのだろう。
 この状況に対し習近平が打ち出した政策が、若者の農村実習だ。今農村で労働力が不足しているのに目をつけて、都市の失業青年を農村に誘導し、農村労働力不足と若者失業率改善の一挙両得を狙った政策だ。しかし一度見たことがある。そう、文化大革命後半に始まり、見事に失敗した「下放」政策だ。
 そのころ習近平は大学生で山西省か何処かの農村に下放し、そこの文革小組で名を上げ、文革後は四川省や浙江省の共産党書記として人脈を広げていった。いわば「下放」こそが彼の人生の原点なのだ。アレこそが自分の人生成功の原点、みんなアレをやれば人生は幸せになる。
 愚かな独裁者程、そう思いたがる。明治維新こそ日本近代化の原点。日本でもう一度明治維新をやれば日本は復活すると信じたアベ晋三。スターリンやピョートル一世の様に、領土を拡大すればロシア人は幸せになれると思ったプーチン。万博をやれば、大阪は豊かになると勘違いした日本維新の松井や吉村。共通しているのは、成功経験と今とでは、時代も社会環境も国民・市民意識も変わっていることを、理解できていないことである。従って、習近平は今度も失敗するだろう。
(23/06/21)

 広島G7でゼレンスキーがブラジルのルラとの会談をすっぽかしたのが話題になっていますが、理由は敢えて説明するまでもないでしょう。G7は以前に比べて力が衰えた、とよく言われます。その引き合いに出されるのが、世界のGDPに於けるG7の比率。2018年には63%を占めていたのが、22年には43%まで低下した。
 しかしたった7カ国で40数%を占めるということは、決して小さい数字ではない。逆に云うと他の100数10カ国はこの7カ国抜きではやっていけないということだ。事実中国の最大の貿易相手国はアメリカで、次に日本、ドイツが並ぶ。ロシアやインドなど目じゃない。一帯一路の主要先はヨーロッパだ。地球温暖化で北極海ルートが有望視されると、途端にこれに目を付けたのが中国。北極海ルートの行く先は、飽くまでヨーロッパでグローバルサウスではない。
 つまり中国は表向きは、グローバルサウス途上国重視ポーズを採るが、本音はカネになる先進国取り込みが目的なのである。アフリカ、中南米への投資を積極的に進めているが、これも狙いはこれら諸国を債務の罠で囲い込むこと。ブラジルのような新興国は外交経験に乏しいから、簡単に中国の手練手管に取り込められてしまう。
 しかし、中国経済の先行きは甘いものではない。先ず一つは人口減少にともなう高齢化問題。次に地方政府を中心とした、国内隠れ債務問題。更に分不相応ともいえる巨大な軍事力とそれを支える軍事予算。それを考えれば、途上国にとって、中国は頼りになる兄貴と云えるだろうか?G7のほうがまだましだった、てな時代が来るかもしれない。
(23/05/22)

 広島G7に対抗して中国が開催した中央アジアサミット。目的は広島G7にぶつけることにより、自分の存在感を高めるのと、G7各国の結束を邪魔するため。集まったのは、中国を除けばカザフスタン他たった五か国。みんな喜んでやってきたでしょうか?東の大国に脅かされて、しぶしぶやってきたのではあるまいか?
 この五か国は一帯一路と豊富な鉱物資源で、中国としてはなんとしてでも引き付けておきたい国々。魂胆は見え見えだ。しかしそう中国の思い通りに行くでしょうか?これら中央アジア五か国は、民族的にはトルコ系で宗教はイスラム。中世ではバトが開いたキプチャク汗国の一部。現在のモンゴル共和国とはそもそも縁がない。
 モンゴルは古代から南の中国と交流し、侵攻を繰り返していたが、中央アジアのトルコ系部族は、むしろペルシャやローマとの交易や侵略が主だった。更に近世では西方のオスマントルコ帝国の影響が強く、18世紀以降この地域がロシア帝国領になってもしばしば反乱を繰り返している。バックにいるのはオスマン帝国だ。今のトルコエルドアン政権はロシア寄りで、中国にも尻尾を振るが、今回の大統領選で政権が変われば、風向きは大きく西寄りに変わる。
 そんなことになれば、危ないのは一帯一路陸上ルート。これはイカン、何とかせねばと思いついたのが、今回の中央アジアサミット。どっちみち綺麗ごと宣言とバラマキが目的だろうと思っていたら案の定、中国側から出されたのが6200億円相当の経済援助と「運命共同体」の構築。6200億円といっても一国辺りにすれば、たったの1500億円少々。こんなちっぽけな金で「運命共同体」にされたんじゃ、たまったものではない。「馬鹿にするな!」と云いたいところだろう。参加した各国首脳も、この中国の厚かましさに呆れかえったのではないか。更に将来ロシアが力を盛り返し、今度は中央アジアの再征服に力を入れ始めたら、中国は助けてくれるのか?なんて疑問が湧いてくるのである。
 中国としては台湾問題で、いざというときに西方国境の安定を確保したい。従って何が何でもこの五か国を繋ぎ留めたいのだろうが、やるならやるでもっとましな手を使わなくてはならない。戦狼外交では駄目なのだ。
(23/05/20)

 注目の南米パラグアイ大統領選。親中派と見られる野党候補を破って、親台湾派の与党コロラド党候補が勝利。コロラドというのは、中南米ではあまり良い印象ではない。19世紀末のメキシコ革命戦争では、コロラド旅団と称するアメリカ人私兵団が政府側について、散々残虐行為を繰り返した。今のロシアワグネルのようなものだ。
 それは別にして、親中派がほとんど全部を占める南米で、何故親台湾派が勝ったのだろうか?経済援助競争という見方もあるが、そもそも台湾と中国とでは、経済規模も市場規模もまるで天地ほどの差がある。経済合理性だけで考えれば、親中派が勝って当たり前。バイデンは民主主義、民主主義というが、途上国にとって、民主主義だけでは飯は食えない。なにか別の要因が働いたに違いない。
 一つ考えられるのが、ここにきて習近平流の戦狼外交が頭打ちに来た可能性である。最近駐仏中国大使が、何かのインタビューで、ウクライナ等旧ソ連から分離独立した国々は、正当な国際法上の承認を得ていないと発言して、国際大炎上。早速バルト諸国から抗議が殺到。北京政府は火消に大わらわ。
 この大使、台湾問題について北京の意向を忖度したつもりだろうが、まるで分かっていない。旧ソ連から独立した国には他に、カザフスタンやトルクメスタンなど中央アジアのザバイカル国家もある。これらの国は、一帯一路の中央部に位置する。これらザバイカル国家が範疇に傾けば、一帯一路は風前の灯。
 パラグアイ人が与党候補に投票したのは、中国流の強引な外交戦略に危機感を覚えたためではないか?うっかり中国の口車に乗って、経済を中国にシフトすると、その内中国に経済から政治「まで全部を握られるおそれである。
 現在、パラグアイを囲む各国は、全て中国派である。ところがパラグアイが踏みとどまったため、将来周辺諸国もパラグアイに倣う可能性がある。つまり戦狼外交の限界である。中国も外交戦力を見直す必要に迫られるだろう。
(23/05/02)

 国際通貨基金(IMF)の幹部が、低所得国の将来はあまり明るくない、と発言。理由は過剰な債務とコロナ禍からの回復の遅れ、そして中国経済の将来の見通しの不透明さである。これらは途上国の問題であるが、同時に中国経済の問題でもある。今低所得国の大部分は、所謂グローバルサウスと呼ばれる地域に集中している。そしてこれらの国々が抱える債務の多くは、中国による経済援助が占める。ということは、途上国が債務不履行に陥れば、中国が損害を被ることにいなる。
 一例を上げればスリランカである。一昨年スリランカの財政破綻が話題になった。この時、最大の債権国は中国だった。スリランカは中国の援助で港湾や空港を整備したが、これが全く採算が取れず、遂に債務不履行に。その後債権国会議が開かれ、債務返済の繰り延べや棒引きで何とか延命。そして中国は再建棒引きの引き換えに、港湾・空港の99年間租借に成功。これはまるっきり、19世紀の欧米列強による植民地拡大と同じやり方である。あの時代も、アジア、アフリカの王様達は国家のことより、自分の利益を優先して、国家をヨーロッパ人に売渡した。それと同じことをやっているのである。
 では99年間租借した港湾・空港が採算に合うのならよいが、そもそもスリランカの財政破綻の原因を作ったのが、これらのインフラである。儲かるわけがないから赤字の連続。その分は中国政府が穴埋めせざるを得ない。いやこの港湾・空港は中国の戦略資産だから赤字でも構わないのだ、と言い訳出来るが何時までもそんな言い訳が通用できるわけがない。香港は最初は只の漁港だったが、その背後には清国という巨大市場がった。しかしスリランカにはそれがない。
 このような採算度外視、近視眼的拡大主義による不採算援助は他に山ほどある。それは将来中国の大きな財政負担となって跳ね返ってくる。それを跳ね返す力は20年後の中国にはもうないだろう。その理由は既に始まっている少子高齢化、人口減少の結果である。
 かつてブレジネフ統治下の旧ソ連は、人口減少にも拘わらず、アフリカ、中南米に手を広げすぎ、アメリカの縄張りを犯したために滅ぼされた。このままでは、習近平中国も同じ轍を踏みそうだ。
(23/04/12)

 賢者と愚者(アホ、馬鹿)の違いは、賢者は過去に学び他者の意見も聞いて、未来に向かって為すべきことを考える。愚者は過去に学ばず、他者の意見を無視し、ひたすら現状維持に務める。そして同じ失敗を繰り返す。今その愚者を演じているのが中国である。場面はレアアース輸出だ。最近中国は高性能磁石製造に必要なレアアースと、製造技術輸出の禁止を発表した。この背景にあるのは、日米欧による対中国向け半導体関連技術j規制に対する報復である。
 ではその結果がどうなるかを考えてみる。丁度今から10年前、尖閣列島沖衝突事件を巡って、似たようなことが起こった。それは中国による対日レアアース輸出禁輸である。当時の日本はレアアースの90%を中国に依存しており、中国からの輸入が止まれば、日本のハイテク産業は死活問題に追い込まれる。そこで日本がとった手法は、代替製品の開発、レアアース輸入先の多様化、ハイ的製品におけるレアアース依存度の削減である。そして5年後、日本のレアアース輸入量は6割り減、中国の輸出量も6割り減、中国レアアース企業6割り倒産という讃嘆たる有様。そしてその後、中国はレアアース禁輸措置を取りやめた。こうやって日本は中国のレアアース攻撃を食い止めた.。
 各国がこれに倣って、レアアース中国依存体質を改めれば、中国の資源攻勢をくいとめられる。それどころか、中国の外交姿勢や、中国共産党内部の権力バランスにも影響を与えることができる。中国の覇権主義、拡張主義に歯止めを懸けられる。
 しかし今回はどうだろうか?10年前は日本だけがターゲットだったが、今回はそれにアメリカ、EUが加わる。つまり中国にとって各個撃破が可能な状況だ。中でも危ういのがEU特にドイツ、フランスの二か国だ。この二か国は対中姿勢がふらふらしている。昨年はドイツのショルツが500人からの財界人を伴って訪中。今年に入っても、フランスのマクロン訪中では59人の財界人が同行。
 この二か国の対中姿勢如何では、対中半導体規制が骨抜きとなり、ロシアが息を吹き返す可能性が出てくる。中国は常に長期的、戦略的に物事を考える。それに対抗するには、対抗する側も長期的・戦略的に考えなくてはならない。それが賢者のやり方だ。
(23/04/09)

中国で日本の製薬会社社員が帰国直前にスパイ容疑で拘束された。タイミングといい、何か政治的思惑が背景にあるとも考えられるが、まずいえることは、本質的に中国はスパイ・監視国家ということを忘れてはならないことだ。又このスパイ・監視は国内だけでなく海外にも延長される点に注意すべきである。
 世の中何処の国の歴史が面白いかといえば、中国の歴史ぐらい面白いものはない。陰謀・裏切り・暗殺何でもありだ。数年前BSで中国歴史大河ドラマを見ていた。最初は日本でいえば、大奥マル秘物語のようなものかと思っていたらとんでもない。それこそ陰謀、陰謀,また陰謀の連続で、目を離す暇もない。おそらく今も大して変わっていないはずだ。ということは中国監視社会は、秦の始皇帝以来の歴史を持っているのである。皇帝は全てを知りたがり、何も教えない。皇帝を今の中国共産党に置き換えれば納得できる。始皇帝の時代といえば、日本では未だ弥生時代で、国家どころか村落集合体が幾つかあった位のレベル。その当時、中国では現代人でも舌を巻くような陰謀やスパイ活動が行われていたのだ。
 この点を踏まえれば、中国ではみんなスパイの可能性があるということ中だ。国外務省の女報道官が「日本政府は日本人をよく教育するように」と説教がましく言ったが、その通り。日本外務省は日本人に対し、一旦中国に入れば全ての行動が監視され、データとして残り、AIの判断で誰でも拘束される可能性がある、ということを正式に周知するべきである。
 この中国監視システムは日本国内でも機能している可能性がある。今回拘束された製薬会社社員は、過去10数年に渉ってビジネスに従事してきた知中派。最近釈放された人も、日中交流協会を通じて日中交流事業に従事してきたベテラン。どうもそういう永年中国に人脈を築いて来た人が狙われている様だ。
 そういうベテランは定期的に日本に帰国する。中国側が関心を持つのはそこで誰と接触していたか、だ。そこで彼は日本にいても中国の監視下に置かれる。例えば警察の公安関係者と接触していないかどうか、である。そして彼の行動は逐一中国人民解放軍のサーバーに記録されることになる。だから公務員やだけでなく、中国と定期的に交流するような民間人・・・商社とか、中国進出企業駐在員など・・・もTIKTOK禁止対象にすべきである。
(23/03/31)

 中米ホンジュラスが台湾と断交し、中国と外交関係を樹立。これ自身台湾にはどおってことはない。経済的に見ても、台湾経済にとってホンジュラスなど問題にはならない。表向きの理由は経済支援だが、台湾への支援要請があったのは中国との国交樹立発表の1週間前。ということは、そのズーッと前から中国との経済支援交渉が進んでいて、中国のほうが割りが良いと思ったから中国にしたのだろう。
 ではどの点が良かったのか、詳しいことはわからないが他の例から類推してみる。現在途上国・・・いわゆる中・後進国で、グローバルサウスに集中する・・・の対外債務の49%を中国が占めると云われる。途上国融資はハイリスク投資でもあって、日欧米先進国は慎重で、融資審査も厳しい。一方中国は少々のリスクはお構いなしで、審査も緩く審査後のチェックも甘い。その代わり金利は高い。これが所謂「債務の罠」である。
 スリランカの例では、債務残高は日本と中国はほぼ同額だったが、金利が中国は日本の10倍近い年利6%だ。仮に双方とも50憶ドル融資していたとして、発生する金利は日本には年3000万ドルだが、中国に対しては3憶ドルにも上る。これではとてもではないが、まともには返済できない。その結果遂にデフォルトとなる。
 ではそんなに融資条件が異なるなら、金利が低い先進国のほうが長期的に見れば有利ではないか、と考えるだろうが、そうはならない。それはまず上で述べたように、先進国融資は事前審査が厳しいので、融資まで時間が掛かる。また、プロジェクトが始まってからの検査も厳しい。
 一方融資を欲しがる途上国は、まず融資が早ければ早いほどよい。そしてホンジュラスやグアテマラなどと辱国の多くは、ギャング団と政府が一緒になって政治をやっているようなものだ。彼らにとって大事なことは、国家や国民の「利益ではなく、自分とそのファミリー、仲間の利益である。そういう連中が、融資審査が甘く、汚職・横流しにも鷹揚な中国に飛びつくのは当たり前。かくして中国は戦狼外交と相俟って、グローバルサウスを中心とする途上国融資を拡大し続ける。
 但し、無定見の援助拡大路線は、債権国・債務国ともにリスキーである。それは債務国にとって「債務の罠」リスク、債権国にとっては「債権焦げ付き」リスクを伴うからである。現に中国はスリランカから債権放棄を迫られている。その原因は旧スリランカ政権の汚職・腐敗体質によるものだが、これは他のグローバルサウス諸国にも共通する。
 80年代、ブレジネフ時代のソ連はアメリカ包囲網を作るために、アフリカ、アジアを中心に軍事支援を中心に影響圏拡大を諮った。ところがそれがみんな裏目に出て、ソ連国内経済が疲弊し、遂にソ連・東欧崩壊をまねいたのである。プーチンはこれをアメリカ、NATOの陰謀と思い込んでいるが、実態はブレジネフとソ連共産党の浅はかな影響圏拡大主義がまねいたのである。さて習近平と中国共産党は、これを学んでいるでしょうか?
(23/03/26)

 昨年の共産党指導部体制に続いて、中国政府陣容も決定しました。際立つのが、徹底した共青団系排除と、習近平側近重視。かつての日本アベ政権のようなものだ。さてこの陣容で中国は無事にやっていけるのでしょうか?一番の弱点は首相の李強ではないか。彼は殆ど何の実績もなく、只習に忠実だったと云うだけで上海市長になった。しかし強引なゼロコロナ政策で評判を落し、結局は白紙抗議デモ発生の原因を作っただけだ。その他国務院筆頭副総理になった丁僻翔、これは習の秘書だったというだけで、何の行政実績もない。
 トップが絶対的な独裁者で、他は経験も乏しい凡庸なイエスマンばかりの政権では何が起こるか。
1、何か決定すべきことが起こっても、誰も決定できないから、何でもかんでもトップにお伺いを立て、その決定を仰がなくてはならない。そこで発生するのは膨大な行政の停滞である。
2、こういう組織ではトップ以外は全て同じ、ドングリの背比べ。そこで起こるのがドングリ同士の競争。いかに自分がトップに近いかを競う。つまり忠誠心競争だ。重要なことは国家の将来ではなく、自分の行く末だ。これが組織内権力抗争に繋がる。
3、この権力抗争が宮廷内だけで収まっておれば、別に大したこともないが、今の中国ではそうはいかない。習近平体制下で、社会のあらゆるレベルで共産党の影響力が強化されている。つまり共産党内での僅かな力のバランスの揺らぎが、中国社会全体の変動に繋がりかねない。特に経済・外交面では不安定な状態が続く。
 といえば悪いことだらけだが、視点を帰ればメリットもある。周りが側近ばかりだから、トップの指示がダイレクトに末端に伝わる。便利で合理的だ。周りをボンクラで固めておけば、当分自分の地位を狙ってくるものもいない、安泰だ。等々。
 このメリットは短期的効果でしかない。つまり国家の緊急時とか、あるいは中小企業などのような常に即答を求められる場合である。しかし国家とか社会的影響の大きい大企業は、短期利益よりは長期的利益を目指すべきである。そのためには、組織内に批判勢力を取り込むとか、異質な部分を一定レベルで保有しておかねばならない。つまり「寛容と忍耐」である。国家・企業は「広く天下に人材を求め、万機公論に決す」べしだ。
(23/03/13)

バイデンのキーウ電撃訪問に合わせたかのような、中国王毅のミュンヘン国際安全保障会議での発言。要旨は
1、中国は停戦を仲介する用意がある。
2、この地域の安全を保障する枠組みを作り、それを関係国が保障する。
3、中国はヨーロッパの安全に貢献出来る。 
 さてこんな提案をまともに受け止める国はあるでしょうか?そもそも外交的センスが悪いというか全くない。まず第一にこの中にアメリカが入っていない。アメリカの入っていない停戦案に、ウクライナが載ってくるはずがない。仮にアメリカを入れれば、今度はロシアが難色を示すだろう。次に、中国がヨーロッパの安全保障に対し干渉しすぎる。ということで、中国案はそのままゴミ箱行きが当たり前。
 しかしここで中国鼻薬をかかされて、中国案に乗る国もないではない。一番危ないのはドイツだ。ウクライナ戦争が始まってまもなく、ドイツのショルツは、大勢の財界人を引き連れて中国を訪問している。ドイツ人はその合理的思考で、今儲かる方向があれば、そっちに突っ走る傾向がある。付き合うには気をつけた方が良い。かつての同盟国ではないかというのもいるかもしれないが、ヒトラーは日本を利用しただけだ。それを松岡洋介とか大島浩が勘違いして、三国同盟に奔っただけである。
(23/02/21)

 「皇帝は全てを知りたがり、全てを隠す」というのが、数年前筆者が見ていた中国歴史大河ドラマから筆者が得た、中国独裁者の印象である。さて今の話題はアメリカが撃墜した中国製気球。アメリカはこれを軍事偵察目的とし、中国は民間の気象観測用で、それが不可抗力で漂流しただけだと言い張る。誰がどう見ても中国の言い分が通らないのは明らか。民間気象観測用なら何故それを国際気象機関に通告しなかったのか?不可抗力で漂流を始めたのなら、何故それをアメリカやその他の国に通告しなかったのか?
 気球(飛行船)を軍事用に使いだしたのは、第一次大戦のドイツ、ツエッペリン号が嚆矢。ロンドン空襲に使った。その後各国が倣い、日本も戦後飛行船部隊を作っている。しかしヒンデンブルグ号事件や、飛行船より早い航空偵察が進歩して、気球(飛行船)の軍事利用は急速に廃れた。飛行船の大量使用で有名になったのは、第二次大戦ノルマンデイー上陸作戦で、連合軍は大量の飛行船を使用している。そいかしその目的は艦砲射撃の弾着観測や、ドイツ軍後方の観測に限られている。
 戦後はアメリカのU-2やSR74のような、高高度高速度偵察機が一時流行ったが、現在は偵察衛星が主流で、航空偵察そのもがマイナー化している(但し今回のウクライナ戦争で明らかになったように、局地戦では偵察ドローンの有効性が注目されている)。だから気球(飛行船)のような前時代偵察など、誰も考えない。だからこれまで、日本周辺始め各地で目撃されても、みんな只のUFOと片づけていたのである。
 では何故中国はこんな前時代的アナクロツールを持ち出したのか?中国だって偵察衛星ぐらい持っているはずだから甚だ不思議だ。気球(飛行船)の有利な点は、低速だが滞留期間が長いことである。高速偵察機ならせいぜい数時間の飛行で、得られるデータも少ない。偵察衛星は視野が狭いので、広い地域をカバーしようと思えば、軌道を少しづつ変えながら帯状のデータを撮り、それをスーパーコンピューターで合成するという複雑な作業が必要だ。
 しかし気球なら低高度でゆっくり撮影出来るため、細かい情報が得られるという利点がある。しかし逆にばれやすく、低速だからミサイルや対空砲火からは逃げられない。今回のように撃墜されるリスクも大きい。そもそも撮影したデータを、どうやって中国まで転送するのかという根本的な問題がある。リアルタイムで遅れないから、一旦洋上に出て、データカプセルを投下して船で回収するか、のんびり地球を一周するかしかない。又低高度だから撮影範囲も狭いので、得られる情報は極限られた範囲に留まる。軍事的にどの程度有効か疑問。だから普通の技術者なら、誰もこんな原始的な方法は思いつかない。
 それにも拘わらず、気球による低高度偵察をやった理由として偵察衛星で使用できるだけの分解能を持つカメラを、中国が開発出来なかったことが考えられる。地上400 ㎞以上の宇宙空間で、地上1m未満の高分解能撮影ができるカメラを作れるのは今のところ日本だけ。中国はこれが欲しくてほしくてたまらないだろう。だから気球による低高度撮影に飛びついたのかもしれない。
 さて冒頭に戻るが、始皇帝以来、中国皇帝は常に情報を独占してきた。しかしこの情報独占政策こそが、中国各王朝の滅亡の原因にもなっている。今の中国共産党政権がその例外であるとは到底思えない。更にこれに倣うロシアやミャンマーなど強権独裁政権も、情報独占を諮っている。従って、これらの国もいずれ滅亡の道を辿るだろう。これは一般企業でも同じで、各部署が縦割りで情報を共有せず、社内の一部のみが情報を独占するような企業は必ず破綻する。東芝や日産がそれだ。
(23/02/07)

 只のアンチゼロコロナとだけで済まされなくなったのが、中国白紙デモ。デモは上海だけでなく、北京、武漢にも飛び火し、公然と「習近平は辞めろ。共産党は出ていけ」とか「PCRより自由を」のような、反体制スローガンが大声で叫ばれている。
 先月の共産党大会で習近平は盤石の支配体制を固めたように見えたが、果たして中身はどうか?結構ゆらいでいるのではなかろうか?その証拠が、早速出てきた政府のデモ鎮圧方針。「これは敵対勢力に踊らされた陰謀である」、「社会秩序を乱すいかなる行為も許されない」、といった政府声明は、共産党が都合が悪くなると必ず出てくるパターンである。
 敵対勢力とは何者か?かつて文化大革命当時は、それはソ連修正主義であったりアメリカ帝国主義、国内では走資派反動勢力だった。今では日欧米といった自由主義陣営である。習と同様に西側自由主義陣営への対抗心をむき出しにしているのがロシアのプーチン。西側自由主義とは戦後アメリカを中心に作られたプレトン・ウッズ体制と呼ばれるもので、経済的にはドルを基軸通貨とした自由貿易主義、政治的には民主主義をベースとした相互依存主義である。
 この体制は最初の20年ぐらい迄はうまく機能してきたが、ソ連を中心とする社会主義陣営が軍事的・政治的に力をつけて来ると段々おかしくなり、1970年ニクソンのドル自由化で、事実上破綻してしまった。その後世界状勢はかつてのような単純米ソ対立軸ではなく、中国の台頭もあって複雑化する。
 世界情勢が複雑化すると相対的にアメリカの負担は増え、求心力は低下する。89~91年にかけての東欧・ソ連崩壊は更に世界を複雑化した。見かけ上は自由主義陣営の勝利に見えたが、実態は世界的な経済格差の拡大、それに伴う地域紛争と移民の増加。そして2000年代には民主主義、自由主義を否定する国家主義、強権主義が各地で復活した。
 代表的なものが現在の中国やロシアだが、これらの指導者はみんな70才前後だ。中国の習、死んだが日本のアベ晋三も69才。プーチンは70才になったばかり。少し年取るがアメリカのトランプも70代。この世代は所謂ポスト団塊で、戦後の高度成長の申し子。しかし若い頃に、その後の不景気や国家の挫折も経験 している。
 彼等の目で見れば、今の世の中いい加減だらけだ。やれ民主主義だの人権だのと云っているが、犯罪は増え経済格差は広がって社会は不安定化する一方。今こそかつての繁栄を取り戻すべきだ、と保守と称する反自由主義を主張する。そしてそれは一定の力を得た。例えばアメリカではトランプ派、ヨーロッパでは極右勢力が進展しイタリアでは政権を握った。日本でも維新が躍進した。
 一方この世代は親・・・団塊や戦中・・・の世代に甘やかされて育ったので、無責任も板についている。つまり自分を安全な場所において、責任を他者に押し付けるのに長けているのだ。プーチンは自分の歪んだ世界観、歴史観に基づいてウクライナで戦争を始めたものの、上手くいかず名もなき戦死者は増える一方。これに対し、人間は必ず死ぬものだ、などと自分が作った死を個人の運命に転嫁する。アベ晋三は、始めからあんなもの駄目だと云われてきたアベノミクスを強引に推し進め、上手くいっていないと指摘されると「未だ道半ば」と逃げを打つ。アキレスと亀の寓話ではないが、「道半ば」を繰り返して居れば、永遠に責任を取らなくて済む。そして習近平は今更になって、ゼロコロナ対策には柔軟性を持つよう地方政府に指示した、と報道。ではこれまでの対策は間違っていたのか、というとそれには一切触れない。つまり自分の誤りは隠して、責任を地方政府に押し付けようというわけだ。
 しかしこのところ、これら極右保守派にも陰りが見えだしてきた。プーチンは自分が始めた戦争が上手くいかず元気がなくなった。日本でもこのところの円安でアベノミクスの見直しが叫ばれている。ヨーロッパの極右勢力も、プーチンのやり方が余りに乱暴なので、距離を置きだした。
 そして中国の習近平である。習は今のところ白紙デモを敵対勢力の影響の下として徹底弾圧姿勢を打ち出している。果たしてこれが何時まで続くか?。来年の全人代で何が起こるか、それが注目の的。
(22/12/01) 

 中国新疆ウイグル自治区で、アンチゼロコロナ暴動が発生。集合住宅で発生した火災に駆けつけた消防車が、コロナ対策の封止線に引きかかって到着が遅れ、10人が死亡したことが原因。北京政府はこの事故の発生を認め、責任者を罰すると声明したから、死んだのはウイグル族ではなく、本土からやってきた漢族*と思われる。ところがこれが上海に波及し、ここでもアンチゼロコロナデモが発生した。これがどの程度の広がりを持つのか未だ分からないが、過去の中国王朝の交代劇を見ると、こういった地方の小さい動きがいずれ全国的な暴乱に発展し、内戦を経て新王朝の成立に向かう。
 勿論、習近平もそんなことは知っているはずだから、早めに鎮圧に向かう筈だ。鎮圧方法には二つあって、一つは力づくで抑え込む方法。つまりデモをおこしたグループを反党、非国民勢力、はてはテロリストとみなして大衆と切り離し、分断を諮って弾圧する。もう一つはとりあえず反乱側と妥協し、表面は抑え込む。そしてほとぼりが冷めた段階で、反暴乱プロパガンダを流し、やはり反乱者を非国民、テロリストとして弾圧する。
 習がどの手を使うか未だ分からない。ただ10月共産党大会で新執行部が決まったばかりだ。ここで弱気を見せれば、来年の全人代で一波乱ないとは言えない。今回の暴動は、第二次天安門事件の再来のようなものだ。ここは強行突破=強権弾圧策を取るのではないかと思う。
 但し中国史を振り返って見ても、王朝交代がたった一度の暴乱で起こることはなく、一度起こった暴乱が一度の弾圧で収まった例もない。小さい暴乱が積み重なって大きな革命に結びつく。これが「烽火燎原」である。
*現在の中国に純粋の漢族は殆どいない。3世紀末=後漢末から北方騎馬民族の侵攻が始まり、五胡十六国時代を経て南北朝の動乱期に、騎馬民族と漢族との交替、混淆が生じた。今の中国人は漢族と北方騎馬民族(匈奴とかモンゴル、ツングース、ウイグル)とのハイブリッドと思ったほうが良い。
(22/11/27)

 中国河南省鄭州市にある鴻海の系列会社工場で、従業員2万人が給与・ボーナスの支払いを要求して暴動を起こし、警備員・・・警察や軍隊ではない・・・と衝突したという報道。これだけ見ると只の労働争議に見えるが、中国ではあらゆる点に政治的影響が関与していることを忘れてはならない。
 10/20に始まった中国共産党大会で習近平は、万民の目の前で胡錦涛追放劇を演じ、万全の権力を手中に収めたことを全世界に示した。これから少なくとも10年は、何事もなければ習近平独裁路線が続くことになる。習近平の狙いは何処にあるか。最終的には大中華帝国の復活と、自ら21世紀の始皇帝になることだろうが、そこへ行くまで解決しておかなければならないことは幾つかある。当面は次の3点が挙げられる。
1、鄧小平ー江沢民ー胡錦涛に連なる改革開放路線と共青団の追放。
2、人民の言論統制、行動規制の強化。
3、台湾問題の解決。
 これらはみんな底流で連続しており、それは習近平個人崇拝の強化に連なる。そしてそれが現在中国の様々な政策に現れている。例えば、
(1)最近とみに顕著な民間企業への圧迫は1、改革開放路線の追放に利用される。中でもアリババやウエイボー等IT企業への資本参加と称する、事実上の国有化はその典型である。これらの民間企業の国有化は、「国進民退」という言葉であらわされる。つまり国有企業を増やし、民間企業を淘汰しようとするものである。言い換えれば、文化大革命の再現、「特色ある社会主義市場経済」から、旧態依然の「社会主義計画経済」への回帰だ。
(2)全国で3億台という監視カメラを中心に、全国に張り巡らされた、行動監視システムは有名である。又これと同様に、ゼロコロナ政策の名のもとに、毎日のPCR検査はスマホにダウンロードされた行動記録は2、人民の行動規制に利用されている。
(3)そして今回の鴻海争議だが、鴻海が中国に進出したのは、胡錦涛時代。アップルの下請けでiiホーンの組み立てをやっている。ここに台湾カードが浮上してくる。今度の争議・・・だけでなく度重なるゼロコロナ対策の封鎖・・・で鴻海が中国市場に嫌気がさして中国撤退を決めたらどうなるか。鴻海に対して莫大な補償金を請求すると同時にこれを国営化する。設備、労働者はそっくり中国後継企業のものになる。これを契機に中国国内の台湾系企業の追い出しにかかる。
 来るべき台湾問題解決の邪魔になるのは、台湾海峡を挟んで両方に資本関係を持つ台湾系企業である。彼らは大陸経済に大きな影響力をもっている。雇用する労働者も多い。かれら台湾系企業企業を追い出せば、誰にも遠慮する必要はない。というわけで、筆者はこの争議の裏には、中国共産党、中でも習派の扇動があるとにらんでいる。
 しかしそんなことをすれば、一時的にせよ中国経済に悪影響を及ぼすではないかと誰でも考える。普通の人間ならそうだ。しかし、10月の共産党大会で最後に演壇に上った7人の顔ぶれをみれば、経済が分かっている人間は一人もいない。肝心の習近平自身が経済オンチで、他の6人は揃いも揃って習の太鼓持ちか提灯持ち。うっかり経済合理性などと改革派的意見を言えば、たちまち反党行為となって粛清だ。今後の中国政策は、今のロシアプーチン政権がそうであるように、およそ経済合理性からかけ離れた者になっていくだろう。
(22/11/25)

インドネシアG20でのバイデン政権になって初めてサシの米中首脳会談。バイデンは中間選挙結果を踏まえて、余裕で「・・・米中関係は競争はするが、対決にならないよう務める・・・」と、まあ穏便な口ぶり。言外に競争になったら中国はアメリカに勝てっこない、てなニュアンスも伺える。
 一方の習近平はバイデンの提案には直接応えず「・・・二国間には複雑な問題がある」とし、「・・競争は存在せず、対決は望まない」とはぐらかす。要するにアメリカは中国の問題に口出しするな、ということだ。中国の問題とは、勿論台湾問題とウイグル問題に代表される人権問題、それと軍備拡張問題だ。
 これを聞いていて、バイデンと習の方向性には、溝ではなくすれ違いがあると感じた。溝は埋めようと思えば埋められるが、すれ違いの場合は一致することはない。只離れていくだけだ。習の半ばバイデンを無視したような態度には、両者の歴史観の違いが反映している。
 バイデンは資本主義国の指導者らしく、相手を対等にあつかおうとするため「競争」と云う言葉を使っている。私有財産制を原則とする資本主義こくでは対等の「競争」は、悪い意味としては使われない。
 一方習近平の立場は全く違っている。習はあくまで国家の最高指導者であり、唯一無二の存在だ。これに匹敵する存在は、かつての中華の皇帝を置いて他にない。習近平の夢は、かつての中華帝国の復活である。中華帝国は「中華思想」に基づく。「中華思想」とは、世界では中国が中心にあり、その周囲の国は皆夷荻であり、中国に臣従し朝貢しなければならない、という思想である。この考えによれば、アメリカでも夷荻になる。まさかアメリカに朝貢せよとは云えないが、少なくとも対等以上の地位は保たなければならない。だからああいう態度になるのである。
 習だけでなく21世紀に入ってから、特に大国の強権主義者に顕著に見られるのが、過去の栄光への回帰、復活の夢である。例えば、プーチンはピョートル大帝時代のロシア帝国の栄光、アメリカのトランプは20世紀のアメリカの栄光。習近平は元々夷荻である満州族が作った清の前の、明・宋帝国の栄光と皇帝の権威。それと日本のアベ晋三の夢は明治の栄光の復活だった。しかしどの夢も、今では潰れたか潰れかかっている。
(22/11/15)

 中国共産党大会が閉幕しました。注目の習近平三期目はシャンシャンで通過。注目されたのは政治局常務委員人事と、前国家主席胡錦涛が、途中から警備の係員に腕を取られて退席したこと。両者から云えることは、習が自分の権力の確立と、反発する人間は容赦しないという姿勢を、内外に示したことである。しかし習近平の権力基盤の確立と、中国の安定とは必ずしも一致しない点に注意すべきである。
 まず次期政治局常務委員人事だが、全員が太子党で、共青団出身者は見当たらない。しかも習を除く常務委員6人の内4人までが太子党で、それも習の幼馴染とか古くからの学友とかで、実績はないが習への忠誠心だけ人一倍というのばかり。つまり周りを自分の気心の知れた仲間で固めている。その中には、強引なゼロコロナ対策で市民の悪評芬々の元上海市長李強も含まれている。つまり習近平は能力より、自分個人への距離を重視する。これをネポテイズムと云う。
 これは旧い文革時代の毛沢東政権や今のプーチン政権に見られ、更に歴代の韓国政権は皆これに侵されている。鄧小平は文革時のネポテイズム横行に危機感を抱き、政権復帰後共産党員の教育・訓練機関として共産党青年団(共青団)を作り、能力主義を打ち出した。共青団出身者としては、胡耀邦、胡錦涛、温家宝、李克強等があげられるが、習近平はいずれ彼らの名前を共産党史から消し去るだろう。
 次に胡錦涛の途中退席事件である。胡錦涛は今では共青団閥のトップ。これを腕をとって途中退席させ、万座の前で恥をかかせるということは、共青団への宣戦布告に等しい。共産党中央で実務官僚タイプの共青団出身者を排除すれば、残るはイエスマンぞろいの太子党ばかり。彼らが伺うのは、国家国民ではなく、習近平の顔色である。そんな彼らに果たして外交・経済・内政能力はあるだろうか?要するに習近平の指示通りに動くだけ。そのうち誰からも相手にされなくなる。
 今回共産党政治局常務委員になったのはみんな60代前半世代。仮に10年後も常務委員70代定年制が残っていれば、彼らもまた追放され、習近平だけが生き残り、永久政権となる。そして同じようにネポテイズムを繰り返すことになる。しかしそれは中国共産帝国の滅亡を早めるだけである。つまり今回の22年度中国共産党大会は、共産党にとって、「終わりの始まり」ともいえる。
 では我が国の政治ではネポテイズムは行われていないだろうか?とんでもない。最近では岸田首相自らが、自分の息子を首相秘書官に据えるなど、ネポテイズムの典型をやっている。その他、世襲議員の増加など政治の家業化・・・特に岸家、アベ家、福田家、岸田家、鳩山家・・・は、ネポテイズムそのものである。それを、「その方が本人の部強になるから国民にとって良いことだ」などと、明治維新以来の日本近代化の意義を無視したトンでも発言をする田崎史郎のような愚か者まで出てくる。これでは日本も終わりだ。
(22/10/23) 

 いよいよ中国共産党大会が始まりました。筆者が興味を持ったのは、大会冒頭の党活動報告における習近平演説の中の台湾に関する部分。17年報告では「祖国の平和的統一」と云っていたのが「祖国統一のためには、あらゆる手段を排除しない」と武力解放を示唆する表現になった。
 これを習の「強固な信念の現れ」と見る向きもあるだろうが、筆者はむしろ習は相当追いつめられ、余裕がなくなった、と感じた。動物は攻撃を受けたとき防御体制に入る。防御方法には複数あって、余裕がある時はそれらの内から、防御方法を選べられるが、その余裕がなくなると、逆に攻撃的になる。習近平の置かれた立場は当にこういう場面だ。
 何が習近平の余裕をを奪っているのか?それは言うまでもなく経済問題である。主な現象には次のようなものがある。
1)「恒大集団」破綻を始めとする不動産バブルの崩壊。
2)地方銀行の取り付け騒ぎを始めとする金融不安。
3)アメリカの金利引き上げに伴うドル高で生じた元安。
4)その結果生じた経済の失速。
 これらの経済問題は、実はこれまでの習近平経済政策の失敗がもたらしたものである。
 まず最大の失敗には
1)共同富裕という幻想に捉われ、IT企業潰しに躍起となり、富裕層への課税を強化した。
2)過度のゼロコロナ政策に固執したため、経済活動の停滞を招いた。
 があるが、ことの始まりは国家就任直後に始めた反腐敗運動。言葉は綺麗だが、自分に反対する旧勢力の追放が目的。旧勢力とは鄧小平に連なる共青団閥。習はこれらを文革時の走資派とみなし、彼らの弱体化を諮った。まるっきり文革時の反右派闘争そっくりである。
 この結果、実体経済を運営できる実務派が弱体化し、習に媚びへつらう媚習派ばかりになった。共青団系の最期の頼みだった李克強も今回の人事で外されるのは確実だ。そして昨年から特に強化されたのが、習近平思想と習個人崇拝。これも文革そっくりである。
 ゼロコロナ政策で、まず影響を受けたのが流通セクター。港湾での検疫、乗務員の隔離が長引き、海上輸送が大幅に遅れる。物資の流通停滞に加え、過度の都市封鎖で経済活動が麻痺する。すると消費が伸び悩み、資金が金融機関や個人資産家に滞留する。その結果起こったのが、資金の海外流出。折からのアメリカのドル高政策もあって資金海外流出が更に加速する。これが元安を呼び更に、海外特にアメリカへ逃避する。
 これらの余った資金が投機市場に流れ込む。更にウクライナ・ロシア戦争による食料・燃料供給不安が重なって、今世界的に問題になっているインフレを起こす元になっている。その結果が世界的景気悪化であれば、その影響を最も大きく受けるのは、おそらく中国である。それが分かっておれば、中国は現在の経済政策を修正すべきだが、今のところ習近平にその気はなさそうだ。
 従って、プーチンが生きている限りウクライナ戦争が終わらないのと同様、習近平が生きている限り、世界経済不安は続くだろう。
(22/10/20)

 今中国で問題になっているのがマンションのローン不払い運動。中国では日本と異なり、マンションが完成していなくても契約した時点からローンの支払いが始まる。ところが契約したマンションが何時まで経っても出来上がらない。それどころか建設業者が途中から逃げ出したり、販売業者も行方不明。そこで怒った民衆が銀行に押しかけ、解約を要求しても口座が凍結されてしまっていた。こういう問題が中国のあちこちで起こっているらしい。
 この理由は銀行が集めたローン資金を、銀行が勝手に別目的に流用しそれが焦げ付いたためと云われる。では銀行はどの目的に使ったのか?筆者はスリランカ投資ではないかと考えている。中国でマンション建設問題が明らかになったのが今年四月頃。丁度同じ時期にスリランカ経済危機が叫ばれるようになった。
 スリランカの対外債務で中国が突出して多い訳でない。割合から言うと日本と同じ9%程度。しかし金利がまるで違う。日本やIMFなどはせいぜい1%程度だが、中国は6%と突出して高い金利を設定している。この高い金利がある日突然入ってこなくなれば、銀行はたちまち資金が廻らなくなる。これが中国での住宅ローン破綻に繋がったと考えても不思議ではない。
 さて問題は日本である。中国はスリランカ経済が破綻しても、空港や港湾などの担保を取っている。元々中国の狙いは採算性ではなく、スリランカを中国インド洋戦略の中継地とすること。その目的さえ果たされれば、後はどうでもよい。
 では日本はどうなのか?今、アジアアフリカ諸国に日本は莫大な債権を持っている。それは中国の一帯一路政策に対抗するため、アベ元首相の”地球儀を俯瞰した外交”によってばらまいた、途上国への無分別といって良い援助の結果である。しかしこれらの国の多くは、最早一帯一路に組み込まれてしまっている。もしこれらの国がスリランカと同じ”債務の罠”に陥って財政破綻すれば、これまでの開発援助はみんな焦げ付いてしまうことになる。
 いずれその問題は明らかになるでしょう。なおアベ政権の無分別援助外交に外相として飛び回った今の岸田も、無関係ではなく責任はある。
(22/07/22)

 スリランカが経済破綻して、前大統領一家が海外逃亡。はたして幾ら持ち逃げしたのか?破綻寸前にロシアに原油供給を要請したが、どうなったのか?ロシアという国は一旦は甘い顔をする振りをするが、あとできっちり落し前はつけてくる。
 朝鮮戦争の時、ソ連は中国経由で北朝鮮に軍事援助をおこなった。中国はこれを全世界人民連帯の証と勘違いして、無償で北朝鮮に供与した。ところが戦後ソ連は武器援助の請求書を中国にまわしたのである。ソ連の理解では、例え社会主義国でも、援助はビジネスで寄付ではないのである。
 これにカチンと来たのが毛沢東。その後の中ソ対立の原因となった。だから仮にプーチンが原油供給を約束しても本当かどうか分からないし、後からとんでもない請求書が送りつけられるかもしれない。プーチンはスターリンを尊敬する残忍なリアリストである。
 それは別に、中国河南省の地方銀行4行が、今年四月から預金引き出しを停止したので預金者数1000人が銀行に押しよせ、公安が出動する騒ぎ。この預金口座停止で被害を受けたのは数10万人に上るという。果たして中国の銀行に何が起こったのでしょうか?
 要するにこれら4行が、何らかの理由で資金ショートに陥ったということだ。問題はその理由だ。引き出し停止が始まった時期から考えて、次の3ケースが考えられる。
1)ゼロコロナの影響;習近平の強引なゼロコロナ政策で、中国国内の流通や生産が影響を受け、融資先からの資金回収が出来なくなった。特に河南省は北京と上海との中間にあり、流通部門は特に影響を受けやすい。
2)、ウクライナ戦争の影響;ウクライナ戦争でロシア金融機関が西側の制裁を受けた。この結果、ロシア企業への投資が焦げ付いた。
3)今回のスリランカ経済破綻の影響;河南省の銀行の主な融資先がスリランカだったりすると、今回の取り付け騒ぎの原因が、スリランカ経済破綻という可能性は満更無いとはいえない。
 どれもありそうだが、これらの理由は何も河南省だけでなく、中国全土に存在する。何故河南省に集中するのかは分からない。本当はこういう問題は中国全土にあるが、未だ他地域では耐えきれているだけで、河南省の金融体力が他地域に比べ特に脆弱だっただけかもしれない。しかし今後このような事態が・・・特に3)のケース・・・、中国全土に波及する恐れは否定できない。一帯一路には穴も開いているということだ。
(22/07/13)

 秋の全人代に備えてか、中国で「愛国者法」なる法律が成立。これは国家の安定について重要情報提供を国民に義務付けるもの。但し無料ではない。情報の重要度によって報酬がランク分けされ、最高度のものは日本円でン100万円オーダーがバック。体の良い密告制度だ。
 しかし中国では密告と相互監視は昔から当たり前で、起源は春秋戦国の時代に遡るだろう。秦の始皇帝も漢の劉邦も大いに活用したはずだ。則天武后は皇帝に即位すると「告密」という制度を作り、人民や下級官僚に高級官僚の不正告発を奨励した。現代では毛沢東の文化大革命が代表的なもの。
 中国文革では、あらゆる組織・機関に「文革小組」という反毛派摘発機関を作り、その配下に紅衛兵というスパイ組織を作り、これにより国民のスパイ・密告を組織化した。密告されたものは有無を言わさず人民集会で糾弾され、運が良ければ自己批判で済むが、悪ければ反革命で処刑だ。習近平は中学・高校と紅衛兵をやっていたから、スパイ・密告はお手の物だ。
 日本では90年代電力業界・・・電力会社やその系列・関連企業・・・に吹き荒れた、TQC運動がそれにあたる。会社内のあらゆる部署にQCサークルという「文革小組」が出来、嘴の黄色いチンピラ社員がベテラン社員・・・主に中間管理職・・・を非効率社員として槍玉にあげ、糾弾する。それをアホな経営者が「ようやっとる」とニタニタ見ているものだから、社内の綱紀はズタズタ、誰も責任を取ろうとなしない。返って非効率化が進んだ。木川田というアホが死んで、この愚策も終わった。
 ロシアでもイワン雷帝以来、密告は当たり前になり、それはスターリン以降のソ連体制下では、制度化され更にノルマ化された。制度化・ノルマ化されるということは、密告をしない国民は逆に制度に従っていないということになり、反革命の烙印を押され処罰される。それを避けるために、密告のための密告、つまりフェイク密告が氾濫する。結果として密告のインフレが起こり、信頼度が下がる。政府は誰も信用できなくなり、政策は混乱して結局は崩壊する。簡単な話だ。ソ連崩壊もこのプロセスで起こった。
 日本のTQCも似たようなもので、QCサークルのためのあら捜しがノルマ化し、仕事そっちのけでQC用レポートの作成ばっかりやるようになる。昨今明らかにあってきつつある、メーカーのデータ捏造も、その起源はこの辺りにあるのではないか。
 そもそも密告の奨励は、権力者が国民を信頼していないから生まれるものである。逆に言うと、国民が今の権力者を信頼に値しないと思っている風潮を、権力者が感じるからでもある。TQCだって元は東電の経営者が社員より、アメリカ帰りの妙なインチキ経営コンサルタントのタワごとを信頼したからだ。
 ということは、今の習近平政権は安定・盤石どころか崖っぷちということだ。その証拠が、今回の密告奨励法である。まして今回の中国密告制度は金が絡んでいるから、密告がビジネスになる。ビジネス密告が信用できるのか。さてこんなことで、習近平は秋の全人代を無事乗り切れるか?乗り切れたところで、それが何時まで続くか?
(22/06/12)

 食料はない、水もない。このところ家に閉じこもりで外に出ると逮捕される。これはロシアの攻撃にさらされるウクライナ マリオポリの話ではありません。新型コロナ対策で、政府主導のロックダウンを実施した中国上海のこと。報道によれば、従来の上海市の対策は比較的緩やかだったが、数日前から北京から派遣された査督組という組織が現れ、それが上海市政を牛耳るようになってから酷くなったというのだ。
 査督組という組織、名前から言って文革時代の文革小組を思い出す。この組織が毛沢東の権威を笠に着て、農村や工場を”指導”して回った。ところが所詮素人の集団だから、やることはでたらめ。生産は全く上がらない。それでも上には生産は計画通りと報告する。嘘報告を真に受けた政府や共産党中央は更に厳しいノルマを課す。かくして中国社会は崩壊に向かった。
 これと同じことは文革の20年前にやった「大躍進」でも行われている。このときの餓死者は全国で1000万とも2000万とも言われているが、はっきりしたことは分からない。そういえば習近平は文革時代紅衛兵をやっていたから、コロナ対策でも同じことをやれば成功すると勘違いしたのだろう。但し成功したのは自分の出世だけで、その陰でどれだけの人民が犠牲になったかは無視している。
 日本では今から40年近く前に、電力業界で流行ったTQC運動を思い出す。これは当時の東電会長木川田一隆が、アメリカ帰りのインチキ能力開発コンサルタントにたぶらかされて始めたもので、その後全国の電力会社や関連企業に感染した。各工場や部署にQCサークルという組織を作り、「改善」と称して社員に改善計画や自己批判を要求する。特にやり玉に挙がったのが課長クラスの中間管理職。更に社長直轄のQC推進室というのがいて、それが各サークルを監視して廻る。現場としては二重に監視されているようなものだ。その結果東電では自殺者まで出た。関電でも鬱病患者が多発して、業務に支障が出るようになった。まるっきり日本版文化大革命だ。
 系列や関連会社でもTQCをやっていないと東電の指名に入れないものだからみんなやる。当時、筆者は現役サラリーマン。TQCの話を聞いて”我が社でもいっちょやるか”と云ったが、そんな根性のある人間は誰もいなかった。東電は見事失敗し、木川田が引退するとみんな止めてしまった。それまで10年位掛かった。つまり国家でも企業でも、ある組織では末端を知らない独裁トップが、自分だけの理解である方針や計画を下に押し付けても、それが現場の事情と乖離しておれば、みんな失敗するということである。
 日本のTQCは失敗とわかると、再び繰り返すことはなかったようだが、中国はどうも何度も繰り返すようである。昔陳俊臣の「小説十八史略」という本を読んだことがある。ズーッと読み続けたのだが、唐か宋の当たりで読むのが嫌になってきた。何故かというと、各王朝で同じことを繰り返しているのである。つまり王朝末期に混乱が起こり、その中から英雄があらわれ、それが天下を平定して新しい王朝を開く。その王朝も長続きせず、最期は滅亡して新しい王朝が現れる。これを2000年に渡って繰り返してきた。何故か?それは階級の交代がなかったからである。交代どころか、中国にはそもそも階級というものがなかった。階級がないから王朝が行き詰っても交代する相手がいない。
 中国の国家体制の特徴である皇帝を中心とした中央集権制は秦の始皇帝に始まるが、それは絶対主権者である皇帝が皇帝を補佐する官僚を介して人民を直接支配するシステムである。中間の貴族や資本家階層がないから、支配者(皇帝/官僚)の決定をチェックする機能がない。その結果、政策が誤っていても自ら是正出来ない。誤謬は拡大再生産し国家は混乱する。その結果最悪革命/内戦となる。国家モデルが一つしかないから、その後の王朝も同じことを繰り返す。
 多分この問題に最初に気づいたのは毛沢東だろう。階級のない民族にマルクス流階級闘争理論を説いても無駄だ。そこでたどり着いたのが「永久革命論」。永久に革命をやっていれば支配者が批判を受けることはない。文句を云う奴は反革命的だ、と云って処分すればよい。だからゼロコロナ政策は、王朝・・・今の習政権が・・が続く限り永久に続く。そう考えれば、毛沢東に心酔する習近平が上海市に対し、これが革命的対策だ、と云ってゼロコロナを押し付けるのも当然かもしれない。文革は失敗し、TQCも失敗。さてゼロコロナは何時まで続くやら。
(22/04/19)

 ウクライナ戦争ですっかり影が薄くなった中国全人代。ここで今年度の経済成長率5.5%が決定された。改革開放以後、政策成長率が6%を切ったのは始めてではないか?原因はやっぱりコロナか?中国の対コロナ政策は欧米と異なりゼロコロナで、一旦感染者が出ると、有無を言わさず都市全体を封鎖してしまう。その結果、その都市の経済活動は数カ月の間ストップ。それが周辺地域に影響し最終的には国全体のGDPを押し下げる。今の中国政府はこの状態が今年も続くと見ているのだろう。
 GDP6%割れというのは、実質1~2%以下の成長しか見込めないということで、景気は冷え込む。更に今のウクライナ状勢はそれに輪をかける。中国経済にとってロシア経済が占める割合は大したことはないと思うが、ルーブルの下落は中露貿易の足を引っ張ることになる。
 中国経済の減速は石油・天然ガス価格に影響する。今や中国は世界最大の石油・ガス輸入国である。中国需要が下がれば、価格も下がる。これはロシア経済を更に打撃する。但しその効果は直ぐには出てこない。2・3カ月後だ。それまでは高いガソリンの値段は我慢しなけれなならない。
 プーチンは強気だが、最早ロシア経済は破綻寸前。当たり前だが、あれだけミサイルを打ちまくっておれば、金がかかって少々兵隊の給料を削っても足りない。プーチンは戦死した兵士に700万ルーブルを支給したと自慢したが、ルーブルなど元々大したことはないのに、この戦争で紙切れ同然。兵士への給料は何で払うのか?まさか中国人民元ではあるまい。
 もし台湾進攻でアメリカの経済制裁を食えば、中国も同じ目に合う。元やルーブルでは戦費は賄えない。習は慎重にプーチンの行方を見守っているでしょう。明日はわが身とならぬようにだ。
(22/03/06)

 今グラスゴーで開かれているCOP26に中国の習近平が出席しないので、各国から非難を浴びている。では中国は化石燃料削減に消極的なのか?これまでの経緯を振り返ると、中国は何処よりも積極的だった。
 何故習は出席を見送ったのか?今習は国を出ることができないような、重大な国内矛盾に見舞われているのではあるまいか?一つは恒大集団問題が挙げられる。これの処理に失敗すると、一気に共産党の内部矛盾が噴き出す恐れがある。それは自分の権力基盤を揺るがしかねない。それはNOだ。この問題が片付くまでは北京を離れられない。
(21/11/03)

 中国恒大集団が果たしてどうなるか?これには今のところ二つの見方があるようです。一つは(1)恒大を破綻させ、けりをつける。もう一つが(2)時間をかけて安楽死させる。
 (1)は解決法としては短期決戦で後腐れはないが、副作用が大きい。33兆円とも云われる負債を一挙に消せば、海外経済に与える影響が大きすぎる。何よりも中国資本の信用をなくすから一帯一路政策にマイナス。また、国内への影響も大きい。特に一番被害を受けるのが、一般投資家。これには個人も多い。彼らの損害が過度に大きくなれば、暴動から内乱に発展しかねない。更に共産党内部の権力構造にも影響する。従ってこれはあり得ない。
 もっともあり得るのが(2)である。簡単に言うと福島第一原発事故後の東電処理である。この事故処理で東電は一時事実上の債務不履行状態になった。そこで当時の民主党政権は、東電に資本注入を行い、事実上国有化することによって金融機関の信用を取り戻し、東電倒産を防いだ。今もその延長線上にある。
 おそらく中国政府・共産党はこの事例を研究し、それに倣った対策を取るだろう。つまり、恒大の財務状況が維持出来ないと判断された段階で、政府が経営に介入し、資本注入等の対策で債務を保証する。その結果、一般投資家は救われ、習と共産党政権への信頼は高まる。恒大は事実上の国営企業になるから、これは共産党にとって新たな利権だ。これを起点に他の不動産資本にも手を出し、この業界から江沢民・胡錦涛派を追い出す。要するに責任を、彼ら改革開放派に押し付けるのである。習近平にとって万々歳だ。
(21/10/23)

 9月の豪雨で緊急放流している中国山西省黄河中流域のダム。主ダムは画面左上方のロックフイルダム。放流部の余水吐けは岩盤を掘削しているので、オーソドックスな形式。日本のODAで出来たダムだったりして。
 なお、中国には日本の対中ODAで出来たダムがかなりあります。三峡ダムにも一部使われている。そもそも三峡ダム自身、世銀融資がかなり入っているので、中国単独で出来たものではありません。今のところダムの決壊事故は報告されていないのは、ODA効果かもしれない。
(21/10/17)

今年7~9月の中国GDP成長率が4..9%と発表されました。かなり落ち込んでいるようですが、それは前月が多少良かっただけ。実はこれがノーマルな数字なのです。2010年度からの中国GDP成長率の推移を見ると、10年度までは10%台をキープし好調だったが、これは北京オリンピック、上海万博による公共投資の余波をうけてのもの。11年度には一桁に下落し、その後は6~7%の間をウロウロ、ゆっくりと下降曲線をたどっています。その割合は0.3~0.4%/年になります。上にあげた数字はこの延長線上にあり、中国経済がゆっくりと減速傾向にあることには変わりはない。
 中国経済がこの割合で減速し続ければ、10年後の経済成長率は最悪で2~3%になります。一般に中国経済は最低6%を維持しなければ国家は安定しない、4%では社会不安が起こり、2%を切ると内戦だ、などといわれます。そうなる前に台湾解放を、という気にならないとも限らない。
 中国経済を不安定化させる要因は何かというと、一つはここ数年顕著になってきた自然災害、そしてもう一つが人口問題です。中国は日本以上の速度で少子高齢化が進んでいる。その原因は過去40年間続いた一人っ子政策。それともう一つが、中国伝統の移民拒否政策。日本も移民を受け入れないので有名だが、中国はそれ以上に厳しい。更に中国は移民は受け入れないが、自国民を移民として輸出する。かつてヨーロッパやアメリカは同じように経済減速に悩まされていたが、80~90年代にかけて移民規制を大幅に緩和したおかげで、経済的には大飛躍を遂げた。つまり経済成長には人口政策が欠かせない、ということだ。
 習近平政権はこれに危機感を抱き、政権奪取後一人っ子政策の見直しを進めた。しかしそれも三人までは認めるとか、中途半端なもの。そもそも出産という極めてデリケートな問題まで、イチイチ国家が口を出すことが間違いのもとなのだ。この何でも口を出したがるのが、始皇帝以来の中国政権の悪弊。それが行き過ぎるから内紛から始まって王朝滅亡にいたる。ということは、今の習政権(=共産党政権)は、良く持ってあと10年ということか。皆さん・・・日本政府もユニクロのような日本企業も・・・そのつもりで中国と付き合ったほうが良い。
(21/10/19)

  今年9月中国南部芬河の洪水。中国では今年6月にも大雨が降り、各地で洪水が起こっている。中国では洪水の多発は、支配者・政治不信ー人民の暴乱ー王朝崩壊に繋がる第一歩。習近平も気が気じゃない。最近相次ぐ規制強化はその所為か?
 写真中央の橋梁は鉄道橋でしょうか?それにしてもやけに橋脚の数が多い気がする。橋脚が多いと、そこで河積が小さくなり、上流にバックウオーターを作る原因になる。上部工を鋼製桁とか橋の構造をPCラーメンにすれば、7もっとスパンを跳ばせ、洪水対策にもなる。しかしこういう箸も共産党や軍の利権だから、合理化は難しいのだろう。
(21/10/15)

 中国不動産大手「恒大集団」の経営危機が叫ばれてしばらくになります。中国版リーマンショックの再来かなどといわれていますが、不思議な点がいくつかあります。
1、リーマンの時は既にその前から不動産価格は低下し、中小不動産企業の倒産が相次いでいた。しかし今回は中国不動産価格は低下しておらず、関連企業の倒産も見られない。
2、本当にリーマンの再来なら、中国政府はもっと何らかの手を打つはずである。しかしその形跡はない。それどころかTPP加入だとか、石炭火力輸出を停止するとか、およそ金融危機とは裏腹の政策をだしてきている。
 理由は何か? 経済・金融よりはむしろ政治的思惑が優先しているのではないか、と思われます。
 ここ数年中国習政権は経済政策の締め付けを強化している。締め付けられる企業・業界はどれも胡錦涛前政権下で成長を始めている。ウエイボーしかり、教育受験産業しかり、中でも不動産業の成長は物凄い。極めつけは習が国連総会でリモートでやった演説の中に「中国は今後石炭火力の輸出を止める」というのがあった。一見気候変動対策に見える。確かに今中国が直面している課題の一つに気候変動対策があるのは間違いない。しかしそれだけか?
 中国石炭産業は前政権首相だった温家宝の縄張り。石炭産業を締め付け、前政権を追放し、あわよくば石炭産業を自分の手に入れる算段ではあるまいか?
 そう考えると、今回の「恒大集団」事件も、何か裏に政治的意図、ずばり旧政権との権力闘争の現れと見えるのである。習近平(文革派)が目の敵にする旧勢力とは、毛沢東を事実上否定した鄧小平とその弟子筋に当たる江沢民、胡錦涛ら改革開放派。
(21/09/23)

 香港国家安定法以来、中国の監視社会化が話題になっています。やれAI、ITを使った本人特定や通信、情報の監視、傍受、密告などです。まるっきり中国全体が刑務所になったようだ。しかし中国の監視、密告は今に始まったことではなく、過去もそうだったし、将来もそうあり続けます。中国の監視社会化がいつ始まったかと云うと、制度的には多分秦の始皇帝以来ではないか。漢の劉邦始めその後の皇帝はみんなこれを真似た。有名な唐の則天武后は皇帝になると「告密」という制度を作り、地方の下級官吏に上級官吏の行状を密告させるようにした。
 始皇帝がこれを独自で考え出したわけではなく、彼が参考にした手法、或いはこれを彼に吹き込んだのがいたわけです。始まりは約250年続いた戦国時代の抗争。この時代進んだのは、只の戦法、戦術だけでなく情報戦。如何に情報を取り、それを覇権奪取に利用するか?それを平時に適用したのが始皇帝と云うわけ。
 以後の中国国家ではこれに更に陰謀、裏切りという特徴が付け加わった。こういった社会では誰も信用出来ない。飲み屋でうっかり政府批判をすれば、それがたちまち役人に知れ渡る。現代では仲間同士で何か商売でもしようかと相談しても、その中にライバル会社のスパイがいたりして、叩き潰されるようなものだ。
 例えば74年第一次天安門事件では、林彪以下四人組がクーデターを計画したが、その直前に解放軍によって拘束された。四人組の周辺に裏切り者がいたのである。こうなれば権力者でも部下が信用出来なくなる。つまり不信の連鎖が発生する。
 この構図は長年かかって中国社会に形成されてきたのだから容易には亡くならない。無論今の習近平ー共産党政権でも同じである。彼は今や12.6億・・・最近の説では中国人口14億と云うのは粉飾で実態はこの程度らしい・・・という世界最大の人口の頂点に位置する。それは言い換えれば、世界最大の不安を抱え込んでいるということだ。
(21/07/01)

 G7に合わせたように香港民主化活動家周庭が、刑期を短縮して釈放されました。中国ではあらゆる事柄が政治的意図・判断に基づいて動く。それは・・・幾ら法律があっても・・・法律を越えている。周庭釈放もまた中国党・政府上部の意志を反映したものと考えられる。
 G7では当然ながら中国人権問題が話し合われる。これに対し周庭釈放と云うエサを投げ、G7(10)の反応を見ようとしているのだろう。これでもって「愛される中国」の実現と云うのはナイーブ。そういえば昔、日本でも「愛される共産党」と云うのがあった。
 なおG7各国中でもアメリカ、ドイツは人権問題に対し強硬だから、菅も国会答弁のようなのらりくらり「あのー人権についてはあー・・・色々な考えがありますがー」なんてことを言っていると、周りからバッシングを受ける可能性がある。自分の言葉で明確に言わなくてはならない。大丈夫かなあ?
(21/06/12)

   

 このほど貫通した中国ーラオス間トンネル。覆工は鉄骨+鉄筋吹付けコンクリート。日本では見たことがない。コンクリート吹付を使うなら鉄筋は不用・・・使うのは勝手だが・・・。覆工設計の思想がよく分からない。NATMでは吹付コンクリートだけで変形を収束させ、ロックボルトや鉄骨支保工は補助的に使うのが常道。
 下は切り刃の状況。上半工法だがジャンボは使っておらず、ドリフターも見当たらない。どうやって掘っているのでしょうか、謎です。ズリ出しなどは人力なのか?。
 それはともかく異様なのは作業員がみんな上半身裸で、防護チョッキだけを身に着けていること。それと換気ダクトや防護設備もなく、資材の置き方も乱雑。日本でこんな様子を労基に見つかれば、直ちに作業停止処分を食らう。それでもこんな格好をするということは、坑内が相当暑いということだ。
 中国南部ーラオスーミャンマー国境を囲む地域は、従来アヘン密造の「黄金の三角地帯」と呼ばれた。そして同時に地熱地帯でもある。だからトンネル坑内は高温になる。地熱は地下資源とも結びつく。古来中国南部は銀の産地だった。今ではレアメタル、レアアース産地と目されている。それを見逃さないのが中国「一帯一路」。このトンネルの背景にもそういう思惑が働いていることを見逃さないように。
 なおこの地域は、世界に猛威を振るう新型コロナウイルス(Covit19α)の最初の宿主と見られるコウモリの生息地でもあります。
(21/06/06)

中国シンセン超高層ビルの振動。このほど中国当局は原因を強風・地下鉄・気温の上昇が複合したものと発表しましたが、どれも信用出来ません。只分かったのは、振動が上下動でこれに対する免震ダンパーが取り付けられていなかったことです。
 スロー地震の場合は、中国が隠していても日本や世界中の地震観測網が捉えるので、その発表がなかったことは地震原因説は消えます。
 そうだとしても、地下鉄や気温上昇が何故振動に繋がるのか、全くあり得ない話である。結論は一つ「手抜き工事」。床の床版の鉄筋やコンクリートを節約した。その分が地元役人の利権に消えた。床が薄ければ同じ荷重でも撓みは大きくなる。何処かの階で振動が発生すれば、それは柱を伝って上下階を振動させる。高層だから振動は増幅する。この場合の振動は上下方向が主になる。てなとこrだろう。
(21/05/24)

 毎年この時期になると、年中行事の様に行なわれるのが改憲論議。確かに年中行事で、改憲論議はやっても一向に改憲は進まない。なんとなく今の政府や大阪府のコロナ対策と同じで「やってる感」だけの気もする。いくらわあわあ騒いでも実行が伴わなければ、やってないのと同じ。
 改憲論議に関して何時も行われるのが各種世論調査。今年は時事通信調査で初めて改憲派が非改憲派を上回り、又憲法への自衛隊明記派が過半数に達した。これを保守系評論家は、やっと日本人も現実的になってきたとか、櫻井よし子の様に改憲への大きなうねりを感じた、などとそれこそノー天気なことを云うものもいる。
 しかしこれは昨今の中韓反日派の言動、中でも中国の軍事的拡大、尖閣諸島への圧力を反映したものである。言い換えれば、中国のお陰で日本国内に改憲派が増えたようなものだ。アベ晋三始め日本右翼保守派を一番助けているのは中国習近平政権と北朝鮮。アベと習近平とは実は裏で握手しているのではないかと勘ぐられる。
 同じようなことをしているのが北朝鮮のキムジョンウン。かれはアベ内閣の支持率が下がった時を見計らって核実験やミサイル発射を繰り返す。典型は18年の国難選挙だ。この時は森加計問題でアベ内閣支持率は急落。そこへジョンウンがミサイル発射をやったものだからこれ幸いとアベは解散総選挙に打って出て大勝。ジョンウンに感謝状を送りたいぐらいだっただろう。
 何故彼らはこのような愚劣な行為をするのか?ズバリ言えば、今の中国外交は狡猾であるが幼稚ということだ。中世の騎馬民族帝国のやり方を、21世紀の現代にそのまま持ってきただけだ。
 かつての騎馬民族帝国と云えば、5世紀ローマ時代のフン賊帝国、中世のモンゴル帝国、近世のオスマントルコ帝国が挙げられる。彼らの常套手段は、まず相手国の国境に兵力を集め軍事力で脅しをかけ、一方交易を持ち掛け利益誘導を図る。けっして最終的な軍事攻勢は行なわない。但しやるぞやるぞと脅す。それでもいうことを聞かなければ、相手国の大臣や宦官を賄賂で買収し、最小コストで欲しいものを手に入れる。
 ではこういうやり方で作った帝国が長続きしたか。フンはアッチラが死ぬとあっけなく崩壊した。モンゴルもチンギスハーンの後は兄弟同士で分裂抗争を繰り広げた。ユーラシアの大部分を軍事的に征服したが、その後は被征服地の文化・・・多くはイスラム文化・・・に吸収されてしまった。オスマントルコもビザンツ帝国を征服した後は、むしろヨーロッパ化を進めた。
 騎馬民族国家が好きなのはスパイと暗殺である。中国では古代からスパイ網が全国各階層に張り巡らされていた。皇帝は大臣を大臣は役人を、役人は人民を監視する。その逆が密告。人民は役人を大臣に密告し、役人は大臣を皇帝に密告する。皇帝はこの密告によって反逆者をあぶりだし処分する。こういうシステムは多分春愁時代に始まり戦国期に発達し、その後各王朝で温存されてきた。現代の中国監視社会はそれがデジタル化しただけだ。つまり中国は4000年の昔から何の変化もないのである。
 では4000年の間の中国外交は何かというと、朝貢外交である。これは中国中心の儒教精神を反映したもので、世界の中心に中国・・・の皇帝・・・があり、周辺諸国は中国皇帝に貢物を差し出す(朝貢)。これに対し皇帝は官位・爵位を与え領地の支配権を認める(冊封)。つまり諸外国に対し常に中国が上位に立つ、あるいはそれを認めさせることが中国外交の基本なのである。このようなシステムでは双方対等の近代的外交経験が産まれるはずがない。その結果が19世紀の対欧米外交の失敗に繋がる。
 中国の外交システムが崩れたのが19世紀アヘン戦争に始まる諸外国の侵攻。この中には日清戦争で日本に割譲を余儀なくされた台湾も含まれる。中でも屈辱の極みが1900年義和団事件に伴う北京条約である。これら屈辱外交の清算が今の習近平政権の目的だ。しかしその前に中国各王朝が周辺諸国に要求した朝貢外交こそが周辺国にとっては屈辱外交だったのが、中国人には理解できないようだ。
 このように中国外交姿勢は、基本的には過去と何も変わっていない。王毅や李ケッチの様に、相手に外交儀礼を無視した暴言や、自分は礼儀は守らないが、他国には礼儀を要求するなどは外交経験の未熟さを物語る。単に手段と対象が変わっただけである。従って、中国外交を見るときは、今だけではなく過去の中国史を十分研究する必要がある。
(21/05/06)

 地球温暖化防止のための気候変動サミットに、世界最大の二酸化炭素排出国である中国が参加することが注目されています。これを世間では、これまで経済・軍事で欧米と摩擦を繰り広げてきた中国が、環境問題では国際協調体制を執ることの表れだ、などと甘いことをいうのが多い。
 中国がこのサミットに参加するのは、この問題で世界と協調するのではなく、純粋に自国の利益と党内権力闘争との関係だ、ということを忘れてはならない。
1、気候変動と王朝の崩壊; 中国の歴史を見ると、概ね2~300年毎に旧王朝が崩壊し、新王朝に交替していることが分かる。旧王朝崩壊の原因は幾つかの要因が複合しているが、基礎的要因に自然災害による農地収穫の減少、農村の疲弊、更に中央や地方政府の権力争いや腐敗がある。更に周辺異民族の侵入もあって、人民が土地を放棄する。これが結果として皇帝の権威を損ない、地方での暴乱・内戦に繋がる。そして自然災害の誘因になるものが気候変動なのである。
 古来中国の自然災害要因には次の三者が重要である。
    1)水害
    2)砂害
    3)蝗(イナゴ)害
1)水害;昨年(1920)中国南部、特に長江流域は記録的な豪雨に見舞われ、三峡ダムの安全性まで疑われたぐらいです。この雨をもたらした前線は日本の九州中部にまで及び、大被害をもたらしました。中国では古来、水を制することは帝王の役割とされています。
2)砂害;毎年春になると日本にも黄砂がやってきます。これは中国北部の砂漠地帯で発生した砂嵐の内、微粒の砂が偏西風で日本にやってくるものです。中国では今年は例年になく砂嵐が酷く、北京や其の他の都市では交通にも支障が出ていると云われる。これは北京北西の獏北地帯の砂漠化が進んでいるためです。この地域の緑化事業は70年代後半から日本の援助・・・これもODA・・・で始まったが、90年代の改革開放以来廃止されてしまった。それ以後、砂漠化は止まらず今や北京近郊まで達している。その内、北京は砂に呑み込まれるだろう。
3)蝗(イナゴ)害;19年エチオピアでイナゴ(アフリカトビバッタ)が異常繁殖し、それはアラビア半島から南西アジアに達し、果ては中国か、と思わせたが、インド北西部で留まった。ヒマラヤは越えられなかったのである。しかしこれで済んだと思うのは早い。いずれヒマラヤを越える能力を身に着け、いずれ中国本土に現れるかもしれない。イナゴは全ての作物を食い尽くし、しかも繁殖力が強いので、農業にとって大敵である。多分中国政府はこれに対抗するために、新たな農薬や天敵となる新生物を開発しているはずである・・・無論これが今の新型コロナの原因とは言わないが。しかしこれがとんでもないモンスターに変身しないとは限らない。
 以上は一種の天変地異現象だが、科学的には全て地球温暖化がもたらした結果と解釈される。しかし古来中国の儒教思想では、天変地異が現れるのは天子の徳が失われた所為とされる。徳の無い天子はこの世に必要がないので退陣させ、新しい天子を迎える。これが易姓革命である。革命には二種類あって、平和裏に行なわれるのが禅譲、武力によるのが奪権。無論今の中国共産党はそれは迷信だと否定するが、2000年以上民衆の深層心理に染み付いた集合無意識は容易に消し去ることはできない。
 もしこの深層心理に火が付いたら大変だ。過去の王朝の二の舞になりかねない。これを防ぐためにとりあえず環境サミットに参加し、二酸化炭素削減の実質を西側先進国に押し付ける。そして国内の産業構造・・・言い換えれば利権構造・・・を作り変えることが目的である。
2、党内権力抗争;以前から中国共産党内には共青団系と太子党系の二大派閥があり対立してきたのはよく知られている。共青団系は党の中核幹部を養成する共産党青年団出身者を中心とするグループで云わば党のエリート官僚である。逆に太子党は親の人脈を辿ってのし上がってきた叩き上げグループである。
 これまでの二酸化炭素排出産業である石炭・石油産業は、習政権と敵対関係にある江沢民・胡錦涛・温家宝ら共青団系の系列。一方習近平の狙いは、これらを潰すことによって共青団系を叩き、自分ら太子党の権力を確実にする。そのための産業育成に重点を置く。それは何処かと云うと、ITとか通信情報などの先端産業。そう思えば、いつの間にかウエイボーは共産党傘下に入り、アリババも創業者は追い出され、共産党の影響が強くなっている。つまり今回の気候変動サミット参加やその前提となる化石資源半減計画は、胡・温(共青団)派に対する先制パンチのようなもので、中国内権力抗争の延長である5
 ということで、中国人のやるこということには必ず裏がある。日本人は目先の足元のことしか考えられないが、中国人は更に先を読み広くものごとを考える。それが裏の思想だ。日本人はそれを学ばなくては、とてもあの国には太刀打ちできない。
 なお最近の報道ではウエイボーに投稿された温家宝の記事が、インターネット上で接続しにくくなっているらしい。内容に現政権批判の部分があるためらしい。ということは胡・温(共青団)派と習(太子党)派の抗争は終わっておらず、いまなお前者は一定の勢力を保持しており、習近平への権力一極集中は完成していないことを意味している。
(21/.04/25)

 中国政府がアリババに対し、独占禁止法違反でおおよそ3000億円の罰金。他にも大手IT企業に対し同様の措置を執ると云われる。さてこの報道、どうとらえるか?一見社会の不平等に対する是正措置に見えるが、そういう不平等を先導してきたのは、外ならぬ中国政府と共産党である。
 筆者が想像するに、中国政府あるいは共産党の懐がかなり寂しくなってきたので、金持ちから少し巻き上げようということではないか。まるっきりヤクザの論理だが、今の中国共産党自身、ヤクザまがいから始まっているのだから仕方がない。
 ではこういう政策を取り続ければどうなるか?通常の資本主義国なら、企業や富裕層は国外に資産を逃避させる。しかし今の中国はそうは出来ない。一つはアメリカが中国富裕層特に共産党系は資産凍結を進めており、西側諸国もそれに倣う。もう一つは共産党がこれまで愛国教育を続けているから、それに染まった民衆が富裕層や企業の逃避を許さない。うっかり認めれば、共産党体制の崩壊に繋がる。結局は自分の資産を食いつぶして衰えるしかないのではあるまいか。
 中国の諺に「豚は太らせてから食え」というのがある。アリババや其の他のIT企業、国営企業は当に太らされた豚だ。但し、豚を食った後どうするか、誰も考えていない。
(21/04/11)

 アメリカ次期太平洋軍司令官が、6年以内に中国が台湾への軍事行動を起こすだろうと警告。これ、狼少年か、それとも真実か評価が分かれるところである。筆者はあり得ると思う。その理由は中国全体の人口構成及び習近平の年齢である。人口構成から見ると中国の国力はここ5年位がピーク。その後、人口は減少に転じる。今でも高齢化が進んでいる。そのスピードは日本・韓国以上である。つまり10年も経てば中国はすっかり老人大国になってしまう。又習近平も今や60代後半。憲法を改正して終身主席の座を獲得したかに見えるが、どっこい中国政権中枢の権力抗争はそんな甘いものではない。だから毛沢東の遺言でもある台湾解放は急がなくてはならない。
 だからと云って台湾解放は一度に達成できるものではない。おそらく次の三段階を踏むだろう。
1、第一段階 大陸に近接する金門・馬租両島の占領;多くの人は台湾領と云えば台湾本島のことだ、と思っているだろうが、それは間違いである。浙江省の海岸は多島海だが、その中に金門島・馬粗島という二つの島がある。これは旧国民政府が台湾に脱出する際に、大陸に最後に残した国民政府領で、今も台湾政府統治下にある。50年代まで、大陸と両島の間で盛んに大砲の打ち合いをやっていた。台湾解放のシンボルとして、この両島の解放は是非やり遂げ得なくてはならない。
2、第二段階 澎湖列島の占領;大陸と台湾とtの中間に澎湖列島という島がある。台湾解放に当たっては邪魔になるし、これを確保すれば台湾進攻への補給基地に使え、台湾海峡の制海権を確保出来る。しかしそれに失敗すれば中国にとってのミッドウエーになりかねない。
3、第三段階 台湾本島の解放;第二段階が成功した上での最終段階である。中国戦法の極意は「孫子」に曰く「戦わずして勝つ」である。但しこれが直ちに軍事侵攻に繋がるとは限らない。
 台湾内部にも親中派は一定数存在する。彼らは大陸にルーツを持つ集団で、国共内戦末期に台湾に逃れてきた。いわゆる外省人と呼ばれる。それに対し日本統治下から暮らしていた台湾人を本省人という。政党的には、前者は国民党支持層、後者は今の与党民進党支持層にラップする。つまり台湾といっても一枚岩とは限らない。これを利用して宣伝戦を展開し、親中派(外省人)と台湾派(本省人)の分断対立を煽る。これが頂点に達し、台湾内部が混乱したときを狙って、人民保護を名目に軍事介入に踏み切る。この場合は中国はこれは国内問題だと主張して、国連の介入も防止できる。
 以上が今中国共産党が描いている台湾解放のストーリーである。はたしてこの通り上手くいくのか行かないのか、それは偏に中国国内事情に懸かっている。ポイントは第二段階の澎湖島占領が上手くいくかどうか、逆に言えば、台湾側がこれをミッドウエーにすることが出来れば台湾本島は維持できる。例えば中国が、保有する空母や揚陸強襲艦の一隻でも失い、それで中国側に数1000人単位の戦死傷者がでれば、形勢は逆転する。なぜなら彼らはみんな一人っ子だからだ。この結果中国では習近平批判が高まり、更に共産党批判に繋がるので、今の共産党独裁体制が揺るぐことになる。つまり、台湾解放は中国にとっても、共産党にとっても、甚だリスクの大きい賭けなのだ。
 筆者は一昨年以来、BS11の中国歴史ドラマにはまっているが、何故かと云うとこれらのドラマの主役は、主人公同士の恋愛とかそんなものではなく、中国王朝内の権力争いそのものなのである。そしてそれが、現在の中国共産党や、日本自民党内権力抗争にそっくりなのも面白い。つまり台湾解放も、おそらく中国共産党内部の権力バランスの中で行なわれるだろう。
(21/03/25)

 アラスカで行なわれた初の米中外交会談。のっけから罵詈雑言の応酬。そもそもこの会談、アメリカが中国を招待したのか、それとも中国が先行して行われた日米韓会談を牽制する為に要求したのか、分からない部分があるが、大方の見方は後者である。それならそれでもう少し云い方もあるだろうと”東洋の君子国である”日本人なら思うが、中国人はそんなもの一切気にしない。主張すべきはすべきだ、というわけだ。それはそれでアメリカの言い分には常にへいこらする日本人は学ぶべきかもしれない。
 そもそも利害が対立するもの同士が交渉する場合、最初に本音をぶつけ合った方があとあと後悔しなくて済む。云いたいことも云わずにナアナアで始めると、後になって手のひらを覆されたとき、それを回復するのに大変な時間・手間暇・エネルギーが必要だ。始めに云いたいこと・・・但し正論・・・を言っておけば、逆にこっちが有利なポジションを得ることができる。本音というものは、相手に云うより相手に云わせた方が勝ちなのだ。逆に相手の方がまともだと思えば、素直にそれを受け止め修正したほうがよい。何も云わないか、逆に意地の張り合いこそが、問題解決のさまたげになる。
 さてアラスカ会議の行方。果たしてどちらが正論をぶっつけたか。アメリカはウイグル・香港等の人権問題、南・東シナ海での中国の覇権主義行動を非難。一方の中国はこれらは中国国内問題だ、逆にアメリカ国内での人種差別問題を非難。一見お互い様に見えるが、多分中国の方がショックを受けたのではないか。
 中国ウイグル問題や、周辺の現状変更に対しては、これまで日米欧は内輪で非難しても公の場で、しかもあれほどあからさまにいうことはなかった。それは先進国はどの国も、中国という巨大市場を離したくないから、中国を敵に回すことはできない。つまり中国は経済を盾にとれば、誰でも屈服させられると思っていたからである。ところがバイデン政権は、対中外交は経済だけではない、別のアプローチもあるということを示した。
 又これまでと違うのは、トランプ外交は過去のいきさつを無視し、トップダウンで物事を決める。その結果、同盟国を敵視(対EU)、軽視(対日英)してきた。だから中国は外交・安保はアメリカだけ、極端にはトランプだけ見ておけばよかった。しかしバイデンはそれとは全く異なったアプローチをしてくる。同盟国重視、伝統的外交法重視という点ではオバマと変わらないように見えるが、バイデンはチームで仕掛けてくる。つまりバイデンだけ見ていてもアメリカの戦略は読めない。しかもチームバイデンの方がより強硬でかつ原理主義的である。さてこういう政権とどう付き合うかこれからは中国がアメリカの攻勢を受ける番になるだろう。
(21/03/21)

 注目の中國全人代が閉幕しましたが、殆ど何も決まらなかった大会ではなかったか、という印象だ。習近平がぶち上げたスローガンの内、主なものを列挙すると
1、21年度経済成長率を6%以上に持っていく。但し22年度以降は明示しない。
2、軍備費は6.8%増。
3、2050年までに中國を世界一級の軍事大国にする
4、貧困撲滅。
5、環境対策、エネルギーの再生エネルギーへの転換をすすめる。
6、先端技術の取得。
 といったところか。これらの中で、習政権が最も重視するのは1から3であとは付けたしというのは誰でも分かる。だから上記1から3で挙げられている数字及びスローガンがどういう意味を持つかを吟味することが重要である。
1、GDP6%以上というスローガン;これはあたりまえである。GDP6%は、今の共産党政権を維持するために最低必要な数字である。ある研究者によれば、中国GDPが4%前後になれば、各地で暴動が起こり、2%を切れば内戦だ、というらしい。
2,、6.8%増の軍事費;これもGDPと同じく、軍部の不満を抑えるために最低必要な数字である。過去では12、3%増というのが当たり前だったのだから、それに比べれば未だ控えめな数字ともいえる。
 中國軍事費というのは、実際のところ何処までが軍事費で通常経費との境はどこかが分からないのが特徴。だから本当の処の軍事費の伸びがどうなのか分からないのが実情。但し全人代で発表される数字は国内向けなので、これは軍部の了解が得られるギリギリの数字だ。GDPの伸びとオーダー的に変わらないことから、少なくとも今年度は大幅な軍備増強はない、というより出来ないというのが実情だろう。
3、2050年までに世界一級の軍事大国を目指す;ここには大きな落とし穴がある。それは人口問題と失業問題である。現在自中国人口は約14億人とされるしこれがほぼピークで、2030年代には人口は減少に転じ、50年代には13億人位になるだろうという予測もある。更に深刻なのは20~30台の労働者人口の動きで、25年以降にはこれも減少に転じると云われる。その結果生れるのは空前の少子高齢社会である。まるっきり昭和50年代以降の日本社会そのものだが、日本以上のスピードで高齢化が進むのである。
 そしてこれに輪を掛けるのが、過去40年間続いた一人っ子政策である。5年前に一人っ子政策は廃止されたので、一人っ子は今の40台前半から下ということになる。軍隊で40代前半から30代というのは、階級でいうと大尉から中佐レベル。陸軍なら中隊長から大隊長。当に軍隊の中核と云うべき存在である。さらにその下の下級将校・下士官・兵もみな一人っ子だ。つまり今の中國人民解放軍はみんな一人っ子で構成されているのである。
 さて30年後、この一人っ子軍隊はどうなっているでしょうか?一人っ子政策を止めた処で急に人口が増えるわけではない。特に都市部の先進地域ではそうだ。周辺地域でも所得が増えれば都市部の後に続く。かくて中国人民解放軍はとんでもない高齢者軍隊になるのではないか?てな妄想も出てくる。これは冗談としても軍隊志願者は次第に減少し、まともな編制が出来なくなる。現在の解放軍の兵力は約150万人だが、通常後方支援や何やらでその2~3倍の要員が必要だ。それだけで約600万人が軍関係になる。
 更に中国の場合、馬鹿にならないのが軍関連企業。これは特に交通・不動産関係に多い。人口減少で軍予算が削減されれば、革命後永年築いてきた産軍複合体が崩壊しかねない。そうなれば膨大な退役軍人の生活はどうなるのだ、というわけで国防予算を削減することは出来ない。このような矛盾が冒頭で挙げた、22年度以降の成長率を明示できない原因になっている。
 つまり今後の中国国家の命運を決めるのは人口問題である。これに先行し、なお解決策を見いだせないでいる日本の現状を、中国は真剣に観察しているだろう。明日は我が身だからだ。というわけで中国の現状と未来は甚だ不安定なのである。ではこのような不安要因と諸矛盾を作り出した元凶は誰か?それは言うまでもなく中国共産党である。この傾向は江沢民時代に始まり、習近平時代になって、性格を変え拡大した。習近平こそが現代中国の矛盾の核心である。それを理解せず、今の中国・・・習政権・・・が将来も続くと勘違いして、国策を誤ることがよっぽど危険だ。
(21/03/12)

 昨年から筆者がはまっているのがBS11でやっている中国大河ドラマ。始まりはファービンビン主演の「武即天」。最初は只の大奥メロドラマかと思って何気なく暇つぶしにみていたが、段々面白くなって途中から目が離せなくなった。何故か?それは政権内の陰謀、陰謀、又陰謀。まるっきりかつての文化大革命裏面史。
 皇太子によるクーデターが事前に発覚して制圧される件など、林彪ら四人組のクーデター計画が事前に露見し、解放軍によって制圧された第一次天安門事件にそっくりだ。これが終わってからも、とにかく見続けてしまう。逆に言うと日本大河歴史ドラマが如何に淡泊か、ということだ。「麒麟が来る」なんて中国歴史ドラマに比べれば、お茶の間の話に過ぎない。
 さて、報道によれば、中国当局は習近平の娘の習明択とその夫の顔写真をウエブサイトに掲載した容疑で牛某なる人物を逮捕し、懲役14年の刑を言い渡した。それだけではない、当局は逮捕理由について、顔が知れ渡ると「明択らに身辺の危険が及ぶからだ」と云う。つまり中国には習一族の「命を狙う勢力がいるということを、公安当局自らが明らかにしたのだ。
 ではどういう勢力か?
1、共産党内のアンチ習勢力
2、新疆ウイグルや法輪功などの反中勢力
3、習一族と利権を争う黒社会勢力、要するに中国マフィア
 この中で一番可能性が高いのが3、中国黒社会と考えられる。まず1、の場合はわざわざ当局が禁止するまでもなく、習の家族の顔位みんな知っている。習が明らかにしていなくても、彼らが独自の情報網をもっているから隠すだけ無駄。2、は習の家族ではなく、習を直接狙うだろう。彼らもまた独自の情報網を持っている。3、は大手から中小末端まで物凄く数が多く、多分あの中国公安でも把握出来ていないだろう。大手は既に共産党ー習近平体制に組み込まれて利権を分け合っているから問題はない。むしろその利権構造からはjき飛ばされた末端組織が、強硬手段に奔る可能性がある。
 先に述べた中国大河ドラマ・・・無論これは中国の歴史を踏まえている・・・を見ると、中国人民の中で最も不安定で孤独なのは、実は天下を統べる皇帝自身だということが分かる。1920年の辛亥革命で、中國の帝政は廃止されたが、どっこい戦後1960年代に復活した。それは毛沢東による独裁である。彼は部下を分裂させて争わせ、更に文化大革命で人民を分断統治した。
 毛の死後天下を奪った鄧小平は、子分を表に出して巧みに身を隠し、自分の身の安泰を確保した。彼の後継者である江沢民や胡錦涛もトップとはなったが、党規約を掲げて批判をかわした。しかし習近平はこれまでの慣習を破って党規約及び憲法まで変えて、自分の個人独裁を明確化した。これは極めて危険な賭けである。この賭けを有利にもっていくために、今回の牛某の逮捕に至ったのだろう。但しこれは習個人の指示ではなく、末端の公安係官が上司の機嫌を忖度して先走った可能性が大きい。しかしこのような些事の積み重ねが王朝崩壊に繋がった、というのが中國の歴史でもある。
(21/02/11)

 ミャンマーでクーデターが起こりました。この事件の背景に中国が関与しているのは明らか。目的はアメリカバイデン政権を牽制し揺さぶりをかけること。そしてバイデンがこれにどう反応するかを見定めること。但しこの手がこれまで成功したためしがない。日本では民主党政権誕生後に尖閣沖衝突事件を起こしたり、日本人拘束事件をおこしたりして日本側の様子見をしたが、返って日本人の反中感情を刺激しただけ。それにもかかわらず中国寄り姿勢を取るのは、自民党二階と伊藤忠ぐらいなもの。
 バイデン政権発足後、中国の動きは目まぐるしい。例えば米韓首脳会談(電話)の前に韓国文大統領に電話したり、尖閣に海警艦出動をふやしたり、台湾海峡どころか台湾上空まで偵察機をとばすなど、アメリカ新政権の挑発に予断がない。
 中国にとって、ミャンマーは一帯一路の連結点として極めて重要である。例えばマラッカ海峡とか南シナ海を米軍によって封鎖されたとき、中東・アフリカからの資源輸入はミャンマーを経由せざるを得ない。だからミャンマーの民主化は何としてでも防がなくてはならない。
 今回アメリカバイデン政権誕生で、アメリカによるミャンマー民主化圧力が高まるおそれがある。これはミャンマー軍部だけでなく、中国にとっても望ましくない。しかしバイデン政権は未だ固まったとは言えない。閣僚については一々議会のチェックを受けなくてはならない。議会は与野党をつうじてアンチ中国だが、未だにトランプ波議員が残っていて混乱も予想される。バイデンが政権を固めえる前にやってしまえということだろう。
 しかし何故アメリカはミャンマークーデターを見逃してしまったのか?これは今のアメリカ情報能力、特にCIAの能力の劣化の所為だろう。トランプ政権最期の国務長官ポンペイオの前職はCIA長官だったが、これがまぬけだったのではないか?ポンペイオだけでなくトランプ自身も情報という点については無頓着だった。トランプは中国を只の商売敵で、政治的カウンターとはみなさなかった。その結果実はトランプ時代に、中国はその覇権を拡大していったのである。そして中国が覇権拡大に最もよく使った手段が、権力者に対する買収である。これはトランプだって自身のビジネスでよく使った手だから、人のことはとやかく言えない。かくて悪が拡散した。
(21/02/01)

 中国山東省金鉱山での坑内落盤事故。原因は爆発と云われるが、何が爆発したのか?炭坑なら炭塵爆発などはよくあるが、金鉱山の場合、母岩が花崗岩とかペグマタイトのような深成岩あるいは半深成岩なので、そもそも爆発するようなガスは発生しない。キースラーガー鉱床の場合は稀にメタンが発生することはあるが、それほど大したものではない。通常の換気を行なっておればまず問題はない。
 一つの仮説だが爆薬の管理が不十分だったのではあるまいか。坑内の火薬庫が何かの原因で引火したとか。そうだとすればこの鉱山主はとんでもない悪徳業者となる。中国報道では、やれ11人救出だとか美談のオンパレードだが、果たして実態はどうなのか?ひょっとしてこの業者、習近平の大口献金者かもしれない。中国指導者が鉱業界にコネをもっていることは珍くない。前職の胡錦涛は石油マフィア、温家宝は石炭マフィアだった。そうなら習近平がメタル業界に手を伸ばしてもおかしくない。
(21/101/26)

   

 これは中国山東省の金鉱山で起こった落盤事故で、閉じ込められた抗夫救出作業。三軸のボーリングマシン(日本でいえばSMWのような)で600mの立て坑を掘って、抗夫を引き上げようとするもの。上の写真で掘削機の手前に並んでいる丸い棒はドリルロッド。温泉か石油を掘削するような設備だ。
 それはそうと山東省に金が出るとは知らなかった。母岩は多分花崗岩。山東省に花崗山という山がある。そこが花崗岩のタイプになる。
(21/01/20)

昨日BS-TBS某時事番組。ゲストの中国研究者が中国副主席王岐山と習近平との感に確執があるとし、その背景に現在中国では習近平ー王岐山グループー太子党内アンチ習グループとの間に深刻な内部矛盾と対立が進行中とする。
 対立原因は色々あるが、その中で最大なものは米中貿易摩擦。これによって中国が失った資産・権益は莫大なものになる。結果として農民や対米輸出産業を利権としてきたグループの利益が失われている。
 更に今習政権が進めている民間企業への党役員の派遣と国有化。こんなことをやられれば、せっかく苦労して作ってきた自分の会社がやっと儲かるようになったと思ったら共産党に横取りされるのだ。こんなことをやられればみんなやる気をなくしてしまう。
 つまり改革開放路線で潤ってきた社会の中堅階層が習近平の資産国有化路線・・・文化大革命の焼き直し・・・に不満を抱いているというのである。
 中国の歴史を見ると、その大部分は権力闘争と陰謀の繰り返しである。中国ではおおよそ200~300年サイクルで王朝が交代するが、各王朝は動乱で生まれ陰謀で自滅した。現在の共産党王朝がその例外であるとは考え難い。
 10月の5全中で習近平は2035年にアメリカを追い越す最大強国を建設すると発表する。35年と云えば今から15年後、習は80才になっている。それまで生きるつもりで憲法を改正し主席任期を外したのだろう。しかし任期がないということは明日にでも辞任するかもしれないということだ。それは病気かもしれないし暗殺かもしれない。クーデターの場合もある。逆に中国情勢は不安定化を増しているとみるべきである。
 さてこのような不安定要素を抱えた中国だが、日本としてどうすればよいか?今の日本政権の最大の問題は明確な対中政策を持っていないということである。それは政府内だけでなく肝心の与党・・・自民党内・・・にも対中政策で矛盾があることだ。これは菅政権でもデリケートな問題なので、多分何もしないだろう。少なくともアメリカ大統領選までは。
(20/10/08

中国が2060年までにCO2発生をゼロにすると国連総会で発言。いや中国は凄いなあと思うのは幼稚園程度の頭。2060年と云えば今から40年後。その時は習近平以下中国首脳部はみんなあの世に行っている。達成できてなくても責任追及は出来ない。40年先の指導者は現在20代。今60代超のオッサンの言ったことなど10年も経てば忘れている。というわけで習の国連発言は実質的には何の意味もないだろう。
 15年後の2035年以降、中国は顕著な人口減少期に入るとされる。日本、韓国はとっくにそうなっている。一番深刻なのはアジア経済成長率トップのシンガポールが人口減段階に入っている。
 今の世界の経済成長を支えているのは人口増加著しいインド、アフリカ、中南米だが、これらの地域もいずれ・・・おそらくは10~20年後・・・人口減に襲われる。つまり40年先の世界では経済成長の種が見いだせない。従ってCO2発生は嫌でもゼロになる。その時は世界の経済成長が停止するときだ。
 さて今回の国連総会。何時もと違ってリモートでやったらしい。その所為かみんな言いたい放題。特にアメリカトランプと中国習のやり取りは本音が出ていたとみられる。その中で日本の菅の発言がどうなるか注目。
(20/09/24)

 中国雲南省で猛威を振るうバッタ。ラオス起源というから、今インドにいるアフリカ起源のサバクトビバッタとは別種と考えられる。中国政府はこれを殺虫剤で駆除しているが効果はイマイチらしい。それどころかあまり大量の殺虫剤を撒くと河川や地下水汚染を引き起こし、農作物に影響を与えたり、住民に奇形が発生する恐れもある。
 中国三千年の歴史で10数回の王朝交代があったが、その原因の大半は辺境農村の疲弊。そのまた原因が気候変動とかそれに伴うバッタの繁殖。習近平も気が気じゃないだろう。世界に誇る中国最新テクノロジーもバッタにはかなわないか?
(20/09/06)

 習近平がいきなり贅沢禁止令や食糧節約を言い出した。これにはアメリカからのトウモロコシや小麦の輸出規制の結果と見る向きもあるが、筆者は今年春の豪雨の影響と考えている。これには中国政府は大きなミスを犯している。それは上流ダムの安全性を過大視したため緊急放流が遅れ、返って下流の被害を拡大した。典型は三峡ダムだが、他にも山西省、湖北省などでダムの緊急放流による被害拡大が生じている。それ以前に中国では土地計画に大きな内部矛盾が生じている。
 それは急速な改革開放で、土地の使用権が証券化され、自由市場で取引されたため無秩序開発が生じた。これが自然災害の拡大を進めたことは否定できない。しかし現在の共産党独裁体制では、政策の過ちを認めたり修正することもできない。うっかりそんなことをすると、たちまち党内反主流派からの攻撃を受けるからだ。だから後始末は人民の責任にもっていかざるを得ない。この点で政府・官僚のチョンボを全て国民に押し付ける日本アベ政権とそっくりなのである。
 さて中国で農村の疲弊が進めばどうなるか?中国の歴史を見ると平均200~300年毎に王朝が交代する。王朝交代のパターンもみなよく似ている。まず自然災害、感染症などが発生し農村が疲弊し失業者があふれる。それに加え異民族の侵入が始まる。これらは相互に影響を与える。この結果辺境地域が不安定化し農村社会は崩壊し、農民が流民化する。流民が集まって流賊となり、それが集まって造反軍が出来る。造反軍の中から英雄が現れ、遂に王朝を乗っ取る。これが中国流「革命」である。
 この革命が始まる発端が、辺境農村の疲弊、崩壊による食糧供給不足。その原因となるものが自然災害、感染症である。現在の中国で農村の疲弊、崩壊の原因になりそうな要因は次の三つである。
    1)感染症
    2)自然災害
    3)蝗(イナゴ又はバッタ)害
1)は言うまでもなく武漢発Covid19だが、これはなんとか抑えきれた。しかし最近になって、新規感染者や新型インフルエンザ、豚インフルエンザ(人間に感染する)が発見されており、安心はできない。
2)が今年春から夏にかけての豪雨と河川の氾濫である。これにょる被害者数は4000万人ともそれ以上とも云われる。政府も把握しきれていないのだろう。
3)は未だ中国では明らかになっていないが、今後気になる話題である。
 昨年秋頃エチオピアを中心とする東アフリカでサバクトビバッタが異常繁殖し、年を明けるとこれがアラビア半島に飛来。さらにこれがインドに達し、今一所懸命インドの草や稲を食い散らかしている。問題はこれの先ゆきである。インドから東南アジアへ向かうのか、それともヒマラヤを超えて中国に向かうのか、未だ分からない。
 今の問題はアフリカ起源のバッタの繁殖だが、バッタが繁殖を始めるのはなにもアフリカだけではない。今回の異常繁殖も、昨年東アフリカは何時もより雨が多く、バッタの餌になる草が増加したためと云われる。ということは、中国だって同じことが起こらないとは限らない。今年の異常な厚さは生態系に何らかの異変を起こさないとは言えないのである。中国の歴史ではイナゴの発生が作物を食い荒らし、その結果王朝が潰れたという例はいくらでもある。
 以上三つの問題を放置すれば、たちまち共産党独裁政権は崩壊する。習近平は夜も眠れないだろう。
(20/08/16)

 最近読んだ「独ソ戦(岩波新書、大木 毅)」という本の中に「権力のカオス」という一節があった。これはどういうことかというと、独ソ戦が始まったころ、ヒトラーがなんら明確な意図・方針を持たなかったため、政府や党、軍部が勝手に権限行使の競争に陥ったということである。この結果軍と政府、ナチ党の間に混乱と権力闘争が生じ、それは占領地政策だけでなく作戦方針にも影響した。つまり分散した権力が全体の統治システムを破壊した。
 第二次大戦中のドイツだけでなく、「権力のカオス」状況は一個人に権力が集中すると、歴史上しばしばみられる。旧大戦の日本でも東条首相への過度の権力集中が、返って戦争指導の混乱を招き最終的な破滅に落ち込んだ。
 現在のアベ内閣はそのコロナ対策とイージスアショア以降の防衛政策で「権力のカオス」状態にあると考えられる。その証拠として挙げられるのは、検察人事問題から始まってコロナ対策の朝令暮改振り、更にGo To事業の混乱。背後に見え隠れするのは、河井事件を巡っての二階vs菅の対立。更に国会閉会以後一か月半以上首相は私邸に籠って出てこない。つまり政策を示さない、というより示せない。こういう政府・与党内での混乱対立が表に出てくることこそ「権力のカオス」の証拠なのである。
 以上は日本のことだが日本以上に深刻なのが中国ではないか?今の中国は習近平独裁が固まり、共産党政権はますます強固になる、と外目には見えるが内実はどうか?実は日本以上に「権力のカオス」が進行しているのではないかと思われる節がある。
 権力のカオスが発生すると、その国の政策が頻繁に変更し前後の整合性がなくなるため、関係国はその国の将来がどうなるかを予測できなくなる。相手国が巨大であればあるほど、関係国はその整合性のない行動に引きずり回されることになる。迷惑至極もない。今の中国がそういう状態なら、日本としては何もせずに見ているしか手はない。
 国家安全法違反で一昨日逮捕されたばかりの周庭他香港民主派がたった二日で保釈された。逮捕する理由もよく分からないが保釈する理由もよく分からない。日本では籠池夫妻やゴーンの例を見ても保釈は裁判所の権限で警察が勝手に出来るものではない。
 それはともかくこの件で分かるのは、現在中国共産党内部で深刻な内部矛盾が発生しているということだ。あの国安法では出先の警察官が勝手に逮捕や保釈を出来るとは思えない。香港では香港政府の指示、そして香港政府は中央政府の管理下にあるから、この件も中央、つまり共産党中央の指示によるものだ。
 たった二日で保釈ということは共産党内部にかなりの意見対立があり、それを習近平が抑えきれなくなったということだ。
(20/08/14)

 いきなりの香港国家安全法。しかし今の習近平にこんなことをやっている余裕があるのでしょうか?今の中国には。、当面次の二つの問題がある。
1、先月来、長江周辺では大雨が続き、上流の四川省や下流の湖西省では大規模な洪水が発生している。そのためか数日前、三峡ダムが緊急放水を始めた。下流では既に洪水が始まっているのに、それにダム放水が加われば被害はさらに拡大する。おそらく三峡ダムが危険水位に達したのだろう。このダムは政府の直轄だから、その放水は政府並びに党中央の指示・了解によるもの。今の中国でこんな重要決定が下せるのは、習近平を置いてほかにはない。
2、covid19に続いて武漢では新型豚インフルエンザが発生。このウイルスは豚→ヒト感染が確認されている。それだけでなく、東北地方ではロシアからのcovid19感染が広がっている。
 こういう内憂時期に、中国にとって何の利益もない香港廃止を何故慌ててやらなくてはならないのか?筆者は現在中国共産党内部に深刻な内部矛盾・・・・・要するに権力闘争あるいは路線対立・・・が生じているのではないかと感じている。中国史を見ると、いきなりとんでもない事件が発生するが、それは実は時と所を変えた政治闘争だったというのがよくある。しかもそれは内部ではなく外部への干渉や圧力という形でだ。「江戸の敵を長崎で」というわけだが、長崎住民こそいい迷惑。最近増加しているいる尖閣周辺の中国公船侵入もその所為か?
 ではどういう矛盾か?1975年に文化大革命が終わり、改革開放時代に入る。この時代、党や政府を主導したのは共青団出身者だった。彼らは北京大学や精華大学などの有名大学を卒業し、党官僚の出世階段をのぼってきたエリート達である。民主派の趙紫陽や江沢民、胡錦涛はみなこれである。
 これに対し、官僚組織ではなく主に自己の人脈を多用して勢力を伸ばしてきたのを太子党という。習近平は中高校生時代は文化大革命時で紅衛兵をやっていた。大学に進んでもろくな授業はなく地方に下放され辛酸をなめた。その間、共産党幹部だった父親は失脚した。その後地方党支部勤務を経て次第に勢力を拡大した。この経験で近平はどう考えたのだろうか?
 普通の人間なら文化大革命、それを作った共産主義の矛盾に気が付くはずだが、彼はそうではなく、父が失脚したのは彼が弱かったからだ、と考える。世の中敵と味方を良く見抜き、敵には容赦なく立ち向かい、味方には恩を与える。これで天下は獲れる。歴代の中国王朝帝王はみんなそうしてきた。かの毛沢東などその典型だ。このように太子党は、理より権力・イデオロギーを重視する。日本で、この中国太子党習近平路線に一番似ているのがアベ晋三である。以外に二人は気が合っているのではないか?
 一方首相の李克強は共青団党。イデオロギーよりは実利を重視する。習近平との矛盾点の第一は対米貿易戦争である。これはこれは習主導で進められた。習の思惑では中国がアメリカ産農業製品を買わなければトランプはギブアップするはずだったが、蓋を開けると困ったのは中国農家。アメリカから飼料が入ってこないから豚が飼えない。さらに追い打ちを掛けたのがフアーウエイ問題。習もトランプがあれほど強硬だとは思わなかったのだろう。これはほんの一部。習と李は元々肌が合わなかったのだろう。
 又一般に後継者は前任者の方針を否定したがるものである。特にこれは情動的な人間の方に強い。今の一国二制度が出来たのは1997年。当時の中国首脳は共青団系の江沢民。又その後継である胡錦涛も共青団で、彼は国際協調路線を取り香港自治を認めていた。
 習にとって一国二制度はにっくき共青団が西欧帝国主義との妥協の下で作られた民族的欺瞞である、なんとしても自分の代で叩き潰さなくてはならない、という思いがある。しかし何時でも良いというわけではない。うっかりやると再び米帝の干渉を受ける。幸いそのリーダーであるトランプは自分の選挙で手一杯。おまけに選挙に負ける可能性が高い。民主党のバイデンは経済に加え人権・民主化を要求項目に挙げてくるだろう。また西欧同盟はトランプのお陰でバラバラだ。香港吸収は今を置いて他にはない、というのが三国志的発想なのである。
(20/07/02)

 先月からBSで中国大河ドラマ「武即天」を見ている。最初は社会主義中国ともあろうものが、なんでこんな頽廃資本主義的男女ドロドロ宮廷陰謀ドラマを作るのか不思議で仕方がなかった。しかし最近やっとその狙いが分かってきた。このドラマは見方を変えれば、実は文化大革命の裏側と習近平権力奪取ドラマなのである。舞台は大唐帝国初期、支配者である皇帝李世民を毛沢東、次の王座を狙う皇子や皇妃達を毛の次を狙う共産党幹部達と考えれば大体筋は分かってくる。先週には皇太子によるクーデター未遂事件が取り上げられていたが、これは第一次天安門事件。
 皇子や皇妃はその後次々と失脚し今残っているのは楊淑妃のみ。彼らは林彪以下の四人組のようなもの。そしてその陰で蠢いているのが主人公であるファン ビンビン演じる武如意こと後の即天武后。これこそ最終的に権力を掌握した習近平。
 武即天こと即天武后は昔は政敵を次々と殺し、大唐帝国を乗っ取った希代の悪女、ということになっていました。しかし文革時に評価が変わり、旧弊を改め民を幸福に導き、国家を強大化した名君と、肯定的評価に変わっています。この評価、なんとなく習近平に対する共産党のそれと共通しているように感じられる。だから大河ドラマ制作許可が出たのだろう。
 実際習は文革中の少年時代は紅衛兵をやり、文革後は下放され地方組織から這いあがてきた。その間、父親が粛正されるという悲運も経験している。一介の宮廷才人に過ぎなかった武如意が様々な苦難を経験しながら宮廷で地位を向上させる様は、確かに習のそれに重なる。
 さてそこで不思議なのは習近平を演じたファンビンビンが、何故昨年腐敗防止法違反で拘束されたのか?あまりにもファンの演技が生々しくて、習のやり方を彷彿させるものだったのか?あるいは制作意図が共産党中央方針とずれがあると判断されたのか?さてこのドラマが果たして中国本土で再放送されているのか興味があります。もしされていなければ、現在日本での放映版は貴重な資料になるでしょう。
(20/06/10)

 2週間ほど前の03/14にクラボウが導入すると決めた中国製新型コロナウイルス検査キットを、あんなものバッタモンだと決めつけた。ところがそれに類する情報が次々と出回っている。まずスペインでは中国支援の検査キットの大半が不良品だったので全て送り返した。又、オランダでも中国援助のマスクが品質基準を満たしていないので返品した。かつて福島原発事故後、市場に出回った中国製線量計とにたようなものだ。別にこれの背景を中国の悪意というわけではないが、中国産業の根本的な問題があるように思える。
 このような中国製品の性能無視濫造で思い出したのが、1960年代毛沢東主導で打ち出された「大躍進」政策である。この時作られたのが「土法高炉」というもので、欧米先進国のような耐火煉瓦製ではなく、土で田舎の人民公社で溶鉱炉を作って鉄を作ろうというもの。
 土では耐火性がないから温度が上げられない。結果としてできた粗鋼は不良品ばかりで、結局は使い物にならない。このよう愚を繰り返していたものだから、大躍進は「大失敗」に終わった。その結果出てきたものが2000万人とも云われる餓死者。そして毛は党中央から追放されるが、10年後復活して「文化大革命」をおこすのである。
 そして今その真似をしているのが習近平政権。歴史は繰り返す。つまりここに見られるのは、中身はどうでも形だけあって、数さえ作ればよいという安易な思い込み。それを指導しているのが今の中国共産党で、そのベースには毛沢東主義という幼稚な思想がある。
(20/03/29)

 新型コロナ肺炎がヨーロッパから更にはアメリカまで広がってきて、このところ中国の態度が変わってきた。例えばイタリアにマスクを寄付したり、中国は新型コロナを制圧した、世界は中国に感謝すべきだなどと殆ど居直りと云って良いプロパガンダの炸裂。中でも興味を引くのが新型コロナウイルスは中国が発生源ではない、おそらくアメリカが持ち込んだものという陰謀説。
 これ、ネットニュースではなく中国副首相が言い出したもの。ということは、これは共産党の指示に基づくものか、あるいは副首相がトップの習近平におもねるために発言したものと考えられる。もし副首相の云うように、芸軍持ちこみ説が本当なら、逆に中国の安全保障体制が如何に脆弱で、セキュリテイーがいい加減なものかを自ら認めているようなものだ。
 さてこのような・・・外国にとっては心外と思える・・・発言を、何故中国は始めたのか?一般には危機をチャンスへという経営管理法、あるいは孫氏の兵法によるものという説明がされる。それはそれぞれ一部の真実である。しかし筆者は別の見方をしてる。それはこれこそが毛沢東思想なのである。
 近代思想の原点とされるのが、18世紀末に作られたヘーゲルの「弁証法」である。この中で重要部分を占めるのが」認識論。ヘーゲルはこれを(1)感性的認識、(2)理性的認識、(3)理論的認識の3階梯に分け、人は経験により、この階梯を上昇するとした。これをアウフヘーベンというが、小池百合子はこの言葉の意味を理解していなかったようだ。
 それはともかく、ヘーゲルの弁証法は19世紀以来、近代論理学の基本理論である。ところがこれを否定したのが20世紀半ばアジアに現れた。それが毛沢東である。毛はヘーゲルの認識3階梯の上に更に「革命的認識」というものを付け加えた。
 ヘーゲルの認識論は所詮古くからのヨーロッパ思想の延長に過ぎない。これでは革命は出来ない。従来思想をひっくり返す思想的転換が必要である。これが毛沢東思想である。敵を分断し、弱い敵を味方として勢力を拡大し、革命を強要する。これを実現しようとしたのが63年に始まった中国文化大革命であり、70年代世界に広まった左翼過激派活動である。
 習近平は中学生時代に文革に遭遇し紅衛兵をやっていた。筋金入りの毛主義者である。彼らが太子党を作る。75年文革終了とともに復活したトウ小平は改革開放を掲げ、文革派を追放していった。このトウ路線を象徴するものがトウ語録にある「色が白でも黒でも、ネズミを獲る猫は良い猫だ」という言葉である。まさしくアメリカ顔負けのプラグマテイムズである。この路線を引き継いだのが江沢民、胡錦涛ら共青団。
 当然この路線は権力者の腐敗を招く。腐敗防止を掲げて湖路線に対抗したのが習。習のよりどころは毛沢東思想。今回のコロナ騒動でも毛思想に立ち返って「革命的認識」に立った発想転換を計らねばならない。そのための思想闘争として、イタリアにますくを贈って懐柔し、アメリカの陰謀説を流して反中諸国を分断する。そののち、中国による世界支配を実現する。これこどが毛沢東思想だ。しかし上手くいくわけがないというのは誰でも分かる。なぜなら今回の新型コロナウイル発生源が中国であることは、どうしても動かせない事実だからだ。
 現在見かけ上の数字では、中国の感染者数は収束に向かっている。中国習政権はこれは現在の共産党独裁体制の効果と自賛する。しかし感染をここまで拡大させたのも、共産党独裁体制の罪なのである。
(20/03/16)

 台湾総統選挙で民進党の祭が圧勝。これは事前に予測されたことで別に驚くことではありません。マスコミではこれで習近平他中国側が困ったというような見方が主流です。しかし習側もこういう結果は当然予想していたはずで、今頃その対策を立てているだろう。
 しかし習よりもっと困っているのが日本の外務省とアベ政権ではあるまいか。台湾総統選でこれほどの大差が開けば日台関係にも影響を及ぼす。つまり日本政府は従来より、台湾を重視せざるを得なくなる。一方これは日中関係にも影響する。台湾重視は即対中関係見直しになる。
 そこで問題は四月に予定されてる習近平の国賓招聘。従来これには自民党保守派を中心に反対意見があった。それが今回の選挙で勢いづくだろう。そもそも習の国賓招聘を思いついたのは誰か?河野か茂木か?総理のアベ自身だとすればたちまちアベ求心力は低下し、次の総裁選に影響する。ひいては自民党内政局に発展しかねない。興味深々。
(20/01/13)

 2019年ももう終わろうとしていますが、今年の世界経済で最大の話題はやはり米中貿易戦争でしょう。この騒動は未だ第一ラウンドが終わったばっかりという段階ですが、なんとなくアメリカ有利という感がします。この騒動で浮かびあがったのが中国経済の意外な層の薄さ。トランプが対中農産物輸出をストップすると途端にギブアップ。対米輸出にストップを掛けると同時に日本のアベにすり寄ってアメリカへの橋渡しを要請(先日の成都会談)。これからうかがえるのは、今の中国習政権も一枚岩ではなく、弱みを持って居るということだ。
 その弱みの実態とは何か?それは政府、地方政府、民間企業を含めた巨額債務である。中国債務の全額を正確に把握しているものは、おそらく殆ど誰もいないだろう。ある情報で知ったのは、中国経済拡大の原資は国営・民営企業に蓄積された老齢年金だというのである。日本でいえば厚生年金や企業年金基金である。これを使って日本はかつての高度成長を成し遂げた。ということは、今の中国はかつての日本の真似をしているだけなのだ。
 そして今の日本はどうか?少子高齢化と労働力不足、それにもかかわらず表面だけの好景気を装うアベノミクスという欺瞞経済で借金まみれだ。間違いなく中国も20年後にはその轍を踏む。何故なら中国の少子高齢化は日本以上のスピードで進んでいるからだ。
 日本人はおとなしいから政府の失政を飲み込んでしまうが、中国人はそうはならない。それはこれまでの中国の歴史が証明している。実際今の共産党だって元を言えば、政府の失政を否定してのし上がった集団だ。下手すると、新共産党なんてのができるかもしれない。それが怖くて今の中国政府(共産党)は思い切った構造改革が出来ない。その結果がトランプの要求を唯々諾々と受け入れざるをえなくなったのである。
 一方関税で中国を大人しく出来ると味を占めたのがトランプ。関税で経済的締め付けをやれば、反米国でもいずれは言うことをきくということだ。今中国は一帯一路でアフリカへの影響力を拡大している。中には資源、特に戦略資源でアメリカだって無視できない国がいくらでもある。
 ところがこれらの国はファイウエー始め中国IT企業瀬品を導入している。これらの国がみんな中国に牛耳られるようになれば、アメリカの覇権は危うい。 これはイカン、なんとかせねばというわけで、来年は米中IT戦争が激化するでしょう。場所はアフリカと中部太平洋。さて日本は如何にすべきか?何時までもホルムズ海峡などに拘っておれば、世界の潮流から取り残されるでしょう。
(19/12/30)


今月一日に北京で行われた中国建国記念軍事パレード。最新兵器の登場や規模の拡大など、中国の軍事大国化を見せつけるものだったらしい。しかしこの式典に参列した某日本人研究者によると、習近平の演説は何となく原稿の棒読み風で、民衆の心を揺り動かすようなカリスマ性は感じられなかったらしい。
 革命以来の中国指導部の性格は概ね次のように分けられるだろう。
 まず毛沢東、周恩来、トウ小平ら革命第一世代は叩き上げの革命家。彼らの目標は中国の開放と革命の深化。その典型が大躍進と文化大革命だった。これに欧米帝国主義との対決のための革命の輸出が続く。
 続く湖庸邦から胡錦涛までの第二世代は北京大学他の大学で教育を受けたエリート達。彼らは共青団出身者が中心になる。彼らの役割は文化大革命で疲弊した国家の再建と主に経済の改革開放。これが極端な経済格差と腐敗を生んだため、次の世代から批判されることになる。
 そして現在の習近平をトップとする政権はいわば第三世代である。この世代は俗に太子党と呼ばれる。共青団系が出身階層に無関係に知的エリートだけの集団だったのに対し、これは父祖が党や政府の何らかの役職についており、その威光を背景に権力闘争で出世してきたと云われている。本当にこれらの分類がどこまで妥当か分からないが、とりあえず世間の噂ではそうなっている。
 習近平は腐敗退治をスローガンに権力を握り、更に憲法を改正して国家主席の任期をなくしてしまった。その結果、習近平の終身独裁体制が確立された、と世間では云われている。しかし任期の廃止は諸刃の剣である。これまでの1期5年2期までという制度下なら、少なくとも10年間の安全は保障される。しかし任期がなくなるということは、何時ナンドキ権力の座から追放されるか分からないのである。これは独裁政権にとって付き物の恐怖である。つまり習政権は返って不安定化を増したことになる。
 不安定な権力の座を守ろうとすれば政策はより派手で強硬なものにならざるを得ない。経済と軍備の拡大は、人民の眼に訴えるのに最も都合がよい。一方情報統制は更に精緻・複雑なものになる。既に習政権はその路線を走っている。しかしその路線の到達点が何なのか、それが分からない。習近平も共産党幹部も分かっていないのではないか。とりあえずこの路線を進めなくては自転車はひっくり返ってしまう。
 これまでの第一・第二世代は正しいかどうかは別にしてそれなりの哲学があった。しかし現在の政権には政策や戦略はあっても哲学らしいものが伺えない。政治における哲学の役割は、国家が持つ権力の暴走を防ぐ理論的歯止めである。自分の権力を維持するために憲法を変えるような政権に哲学があるとは思えない・・・そういう点で今の習政権に一番似ているのは日本のアベ政権だろう。
 問題は現在の中国政権が哲学もなく、自分の力だけを信じて暴走を始めた時、世界はどうなるか。そしてその結果、中国自身が破滅する可能性が高いのである。
(19/10/06)

中国某企業がウルトラマン酷似キャラクターのアニメを配信したので、日本の円谷プロが商標権侵害で提訴した。しかし中国企業は何処知らぬ顔でそのまま営業を続ける。これは中国企業による知的財産権侵害のほんの一部に過ぎない。現在米中貿易摩擦の内、重要項目に上がっているのが、知的財産権である。石原慎太郎にゅな低レベル日本人は、中国人は元々そういう民族と思っているかもしれないが、そもそも日本人に道や徳、義や仁といった徳目を教えたのは中国人である。その中国人が何故、今の様に何でもあり民族になったかには理由がある。この理由を理解しなくては、中国人との付き合いは無理である。
 中国が知的財産権を無視しだすようになったのには、二つの段階がある。
1、文化大革命;1965に始まった中国文化大革命で当初叫ばれたのは「造反有理」というスローガンである。これは文革を始めた毛沢東が走資派、実権派とみなした既存権力者を実力で批判するのは「有理」つまり認められるという意味である。更に文革後半では「批林批孔」というスローガンが叫ばれるようになった。林は、辻毛沢東の後釜を狙っていた国防相の林彪のこと。孔は孔子のことである。要するに、既存の価値観(孔子の唱える儒教道徳が代表的なもの)や、力を持っているもの(林彪のような成り上がりもの)を批判否定せよということだ。
 西側諸国のいう「知的財産権」などは、古いブルジョワ資本主義思想に基づくものであり、これを否定する(造反)ことは批判されるべきではない(有理)ということになる。
2、改革開放;1975年、文化大革命が終了し、毛沢東の死とともに最高指導者鄧小平が復活した。彼が推し進めたのは改革開放という資本主義の導入である。この時、鄧は南方講話の中で「白い猫でも黒い猫でも、ネズミを獲る猫は良い猫だ」と語った。これをきっかけに中国の爆発的経済発展が始まるのである。これの言わんとするところは、手段は何でもよい。金さえ儲ければそれは国家に対する貢献である。つまり言い換えれば、外国の知的財産権を盗むのも国家への貢献だから構わない、ということになる。毛・鄧二人の発言を総合すれば、本人はそのつもりでなくても一般企業家にとって、外国資本のデザインやキャラクター、特許等知的財産権パクリにお墨付きを与えたようなものである。
 米中貿易で中国政府は一部国営企業に対し「海外企業の国内投資で、技術移転を強制してはならない」という通達を出した。しかしこれには罰則もなく口先だけという批判があるのは当然。もし習政権がアメリカの要求通り外国知的財産保護姿勢をとれば、それは革命の英雄毛沢東、改革開放の最高指導者鄧小平の否定に繋がることになる。だから習もうっかりしたことはできないのである。当面は抜け穴だらけの知的財産権保護法を作り、外国から指摘されれば「あれは民間人が勝手にやったことだ」と言い逃れてその場を繕うしか手はない。この問題は、いわゆる文革世代がこの世から姿を消す20年ぐらい先まで解決しないだろう。
(19/01/28)

 元旦早々中国から物騒なニュースが飛び込んできました。中国の習近平が年頭の演説で台湾問題の解決を強調し、解決に当たってはあらゆる手段を否定しないとした。これは武力による台湾解放もあるということを意味する、と世間では解釈される。習が本気でそう言ったのかどうか、本人に聞いてみなければ分からないが、これには二つの解釈がありうる。
一つは国内向け、特に保守派へのアピール。昨年の米中経済摩擦で中国は特に農業分野で甚大な損害を被った。まずアメリカによる鉄鋼・アルミ製品への25%課税に対し、中国はアメリカ産大豆に10%の関税をかけた。まずこれが誤算の始まり。確かにアメリカの大豆農家は損害を受けたが、トランプはこれに巨額の補助金をばらまいて支持を取り付けた。無論この副作用はあるが、それは数年先。後始末は次の政権に押し付ければよい、というのがトランプの腹。
 一方中国ではアメリカ産大豆が入ってこなくなったため、それに依存する畜産産業が打撃を受け、それの下流に位置する流通や小売業まで影響を受ける。当然共産党内の反周派にとってチャンス。中国共産党内派閥では習はいわゆる「太子党」に属する。それに対するのが、胡錦涛や江沢民らの共青団系。実は共産主義や民族主義では、こっちのほうがより原理主義。一般にある組織内で意見の対立が生じたとき、少数派の方がより原理主義的・・・過激化・・・になる傾向がある。共産党内での習派の勢力は断トツとは言えない。その結果、より急進的な方針を出す必要に駆られた。
 もう一つ考えられるのが、プーチンの成功体験である。中国が本気で台湾に軍事侵攻を行えば、当然アメリカや西側による制裁が考えられる。一方16年、ロシアはいきなりクリミアを併合し、更にウクライナ東部に軍事干渉を行った。それに対し、欧米日は経済制裁を行ったが、なんら効果を上げていない。それどころか日本はやる気もない北方領土解決というニンジンをぶら下げると、ホイホイと載ってくる始末だ。つまり資源や領土で釣れば、西側の制裁などいくらでも潰せるという判断である。
 習はこの両者を組み合わせて、台湾問題の解決という判断に至ったのだろう。但し世の中、そう自分の思い通りいくとは限らない。アメリカ・・・この時はトランプのような馬鹿政権ではない・・・の本格的干渉をはねのけられる覚悟と作戦があるのか、という点があいまいである。
(19/01/03)

 今年の言葉は「災」でしたが、もう一つ話題になった言葉に「ハゲタカジャーナル」というものがあります。これはネットを利用して、学術論文を公開するものです。従来のペーパー論文だと、査読や何かを入れれば、投稿から公開されるまで、下手すると半年位かかる。分野によっては、そんなことやっている間に論文そのものが陳腐化してしまうおそれがある。
 又ある時期から、研究者のランク付けに引用論文数というものが重視されるようになった。これに目を付けた出版業者が、査読付きと称して安価で論文掲載を宣伝するようになった。これに引っかかって掲載料をだまし取られる研究者も出てきた。その結果現れたのが、真偽不明の不良論文。これを大量生産しているのがハゲタカジャーナルという産業です。
 その背景にあるのが、上に挙げた論文引用数というカテゴリー。一見客観的に見えますが、ずばり言えばツイターの「いいね」とか、アイドル総選挙の組織票に毛が生えたようなもの。
 そしてこの引用論文数最多の国が中国です。先日の全人台で、習近平は「あらゆる分野で共産党の指導」と宣言したが、そんなことはとっくの昔に始まっている。国家戦略と一体化している科学技術分野ではなおさらだ。つましり究者に対しては、中国人研究者や中国国内研究機関の論文引用が義務付けられていると考えてよいだろう。フアーウェイ騒動で、ある企業は従業員に対し、フアーウェイ製スマホを買えば奨励金を、アップル製を買えば罰金を取ると通知した。それと同じである。学術論文がそうなればどういうことになるか?国営ハゲタカジャーナルの跋扈である。
 既に中国の科学技術予算は日本の数倍に達している・・・ということは研究者の数もそれだけ多いということだ。それにも関わらず、あの国から、一向にノーベル賞級研究が現れないのは何故か?それは共産党の指導が誤っているからである。日本も決して中国の真似だけはしないように。
(18/12/19)

500人の大デレゲーションを引き連れてのアベ晋三北京詣で。決まったことは
①競争から協調へ
②パートナー関係を強め互いに対立しない
③公正自由な貿易の推進
 の3項目。ところがこの評判がよろしくない。元駐中大使の丹羽総一郎は某テレビ番組で、このうち①②は当たり前で、既に何度も約束している、今更言い返す必要はない。唯一③だけがオリジナルだが、これはアメリカを意識したもの、と評する。
 一方中国メデイアではこの3項目は一切触れられていない、という報道もある。ということは、この3項目は国内向けの宣伝に過ぎないということか?日本側からも大勢のメデイア関係者が同行しているのだから、いくら何でもありもしないことを発表するわけはないと考えられるが、アベのことだからわからない。
 アベの言う日中合意の中で、上の2点はいささか怪しいが、最後の③公正自由な貿易だけは本当だろう。ところがこれがアメリカ(=トランプ)の一番気に入らない点で、さっそく翌日には日本車20%課税を持ち出して脅しにかかっている。
 日中米三角関係はなかなか複雑で、今後どんな展開を見せるか予断を許さない、といったところが現時点の結論。なお今回の訪中で40年間の対中ODA終了という記事が、メデイアにはよく出てくる。これだけ見るとこれはいかにもアベ政権の実績の様に見えるが、実際はそうではなく、最初から40年間という約束だったのである。
 サンケイなど保守系メデイアでは対中ODAは天下の愚策、媚中主義の現れと非難ごうごう。特に親中派だった竹下政権下では激しかった。これだけ見るといかにもこれは竹下の師匠だった田中角栄の遺産のように見える。しかし対中ODAが始まった1978年は田中の政敵であった福田内閣時代。現在のアベ内閣の祖先なのである。福田派(清和会)と云えば、現在の自民党を牛耳る最大派閥にしてタカ派集団。勿論党内反中派の牙城でもある。2000年コイズミ内閣以来、自民党政権15年の内、14年は清話会政権。この間に対中ODAを辞めておれば、褒めてもやれるが、期限がくるまでただ待っていたのでは、アベやアベ支持者の反中発言も価値が乏しい。要するに清和会とは口だけは偉そうだが、いざとなれば何にもできない臆病者集団ということか?
(18/10/29)

 中国美人女優が行方不明になって出てきたと思ったら脱税を告白して、おまけに共産党への感謝の弁。と思ったら、今度は中国人ICPO総裁がいきなり帰国したら行方不明。多分同じような結末になるだろう。中国政府は両方とも腐敗の元凶として処罰するが、一方寛大な処置をして、共産党への感謝と忠誠心を人民に広める。
 つまり、これらの事件は実態を伴った・・・別に両方とも脱税収賄をしていないというわけではありません。中国では今も昔も腐敗の線引きはあってないようなもので、権力の意向でどうにでもなる・・・ものではなく、単なる共産党プロパガンダの一環ということは明らか。両方とも西側への滞在期間が長く、思想的に動揺している可能性がある。ここらで一丁締め付けてやろうかてなところだろう。
 さて二人は長期間の拘束期間中どんな目にあったのでしょうか?一番考えられるのは、釈放してやる代わりに、西側諸国の情報を持ってこい、だろう。しかしそんなにうまくいくとは思えない。女優の方は今後ハリウッドでの仕事がなくなるだろうし、場合によっては無断で連絡を取らなかったために、所属会社から契約違反で訴えられる可能性もある。ICPO総裁も無断で職務を離れたために理事会で辞職を迫られる可能性もある。それ以上にこんな人物を総裁にしておけば、ICPOの情報が全て中国に筒抜けになる。つまり、中国はスパイも汚職もやり放題になるのだ。
 思えば、数年前東洋大研究員だった朱という人物が、一時帰国したとき行方不明になったことがあった。数か月後日本に現れると、東洋大はそのまま復帰を認めている。例え大学教員でも、無断で勤務を外れた場合、解任理由になりうる。全く日本人は甘い。公安は何をしておるのか?
(18/10/09)

中国がアメリカの関税制裁を避けるため、700億ドル相当の米産品購入を発表した。輸入品目は主に小麦・大豆などの農産品の他、石油天然ガスなど一時産品。という事は、アメリカの対中母液赤字の大部分を占めるIT製品や電化製品など二次工業製品の輸出は温存されるわけだ。
 この点から見えるのは、今の中国政権の経済政策の重心が、これら二次産業にシフトしており、農業や鉱業は軽視、言い換えれば切り捨てても良いと考えていることである。あるいは現政権内で、二次産業系企業をバックにしている幹部の力が増しているということでもある。
 このような重工軽農政策が果たしてうまくいくのか?中国の伝統的社会を二分することになり、中国社会そのものが不安定化する予兆にもなりかねない。
(18/06/06)

 中国全人代がやっと終了しました。終了記者会見で人民日報女性記者がヨイショ質問して、周りからひんしゅくを買うとか、人口雪を降らせて、習にヨイショするなど、全体が習ヨイショ大会でした。なお、昨日から行われている我が国国会森友集中審議でも、自民議員はアベヨイショ質問の連続だから、他国のことをあれこれ言う資格はありません。
 さて今回の全人代で憲法に、習思想というものが明記されました。さて習思想とはどんなものか、具体的にはさっぱり分からない。中国をアメリカに匹敵する大国に成長させることか?あるいは個人独裁の復活のことか?それとも反腐敗運動のことか。
 今回の全人代で、党の規律委員会と並んで、政府に全公務員の腐敗を取り締まる機関の設置が決まった。しかし腐敗とはなんでしょう?腐敗とは相対的なもので、誰かが「これが腐敗だ」というと、腐敗になってしまう。かつて文化大革命の時、同じことが行われた。誰かが「奴は反革命だ」というと、彼は反革命分子となって粛清されてしまうのである。これで2000万人が殺された。つまり第二の文化大革命こそが習思想なのかもしれない。
 では第二の文化大革命だとすれば、習の将来はどうなるでしょうか?かつても林彪他四人組が毛思想を横取りしてやりたい放題をやったため、最後は毛の怒りを買って自滅してしまった。毛は建国の英雄だから死ぬまで無事だったが、習はそうはいかない。仮に誰かが習思想を騙って習を「腐敗だ!」と告発すると、習自身が粛清される可能性もある。
 中国の歴史を見ると、どの王朝でも途中から宦官や官僚の腐敗が始まり、それに不満を抱く清官が奪権する。しかしこの清官もその内腐敗し、遂に農村で暴乱が起こり、王朝は滅ぶ。今回の反腐敗運動がその繰り返しにならなければよいが、権力と腐敗の一体化は中国人のDNAのようなものだから、さていつまで続くことやら。
(18/03/19)

間もなく中国で重要会議が開かれる。その中で最重要なテーマは、現憲法から国家主席の任期条項を削除するという改憲案である。現在、中国国家主席の任期は一期5年二期までとなっている。但し一期で辞めた人物はいない。現主席の習近平は現在一期目だが、今年満期となり二期目を迎える。これまでの慣例では、そろそろ後継者の下馬評が出てきてもおかしくない。ところが一向にその気配が見えない。実力者とみなされる人物がいても、反腐敗闘争の名の下に失脚が相次ぐ。つまり習は後継者候補が現れそうになると、次々とそれを切っていくのである。そこへ今度の改憲案だ。習は終身国家主席つまり皇帝を目指しているのではないかと、疑われても仕方ない。
 中国の歴史を見ると、世襲ではなく、兵力(クーデターでも兵乱でもよい)も使わず、宮廷内権力闘争だけで帝国を乗っ取った例は、前漢末の王莽の「新」ぐらいである。しかもこれは僅か数年しか持たなかった。これまでの中国史で王朝を築いた創業者皇帝は、良い悪いは別にして、みなカリスマを持っていた。それは戦乱の天下を収めたという実績から来たものである。毛沢東でさえ、20世紀初頭の国民革命、日中戦争、国共内戦を戦ってきたという実績があった。それに引き換え、習は共産党幹部に抜擢されるまでは、ただの官僚に過ぎなかった。この辺りが江沢民ら老幹部と肌が合わない理由だろう。
 というわけで、習が幾ら改憲に成功したところで長続きするとは思えない。それどころか、その後の政権交代は、血なまぐさい暴乱を伴うものになりかねない。これまでの任期制下では、少なくとも前任者は死ぬまで安泰だった。しかし今後はそういう保証がない世界になる。それは専制独裁体制下では、政権が不安定になるということで、政権交代は力づく.。クーデターに継ぐクーデターということになる。これは経済・民生の混乱をもたらす。中国各王朝は、みんなこの混乱で衰亡し、果ては諸外国による半植民地化の憂き目をみたのである。
 では何故習は皇帝になりたがるのか?習だけでなく、最近の指導者には「皇帝願望」が強まっている。最も典型的なのは、ロシアのプーチンである。その他アメリカのトランプとか、日本のアベにも小皇帝願望があるように感じられる。彼らに共通するのが、過去の(帝国の)栄光の復活願望である。
 皇帝とは帝国の統治者である。帝国が始まったのは中国で、それがローマに伝播し、その後あちこちに広がっていった。古代帝国のイメージは広域的な土地、複数の民族を従え、文化や宗教の多様性を許容する複雑なシステムである。帝国(皇帝)に対し王国(国王)がある。その違いはあいまいで、帝国と名乗れば帝国になってしまう。その結果、近現代では東洋の小国まで帝国を名乗るようになった。帝国は多様性には一般に寛容だったが、王国ではそうでないケースもある。
 古代帝国の特徴は、政治的には神の権威を背景にした神権政治と専制独裁体制、それを支える膨大な官僚群。経済的には極度の富の寡占・偏在と貧富の格差、それを支える奴隷制経済(つまり裁量性労働というブラック労働)。一方貿易は自由で、有能な人間の富の蓄積には制限がなかった(村上や堀江のようなブラックマネー)。一攫千金が夢見れた時代でもあった。
 さてこれに最も似ているのは、何時の何処の国の話でしょうか?いうまでもなく現在のアメリカ、ロシア、中国そして日本のことです。つまり、現在の先進資本主義国は概ね古代帝国に回帰しているのです。
(18/02/27)

 北京での米中会談で習近平がトランプに対し太平洋を東西で二分し、米中で山分けしようと云ったらしい。そのときトランプがどう返事したのか定かではない。これに対し、日本政府は大慌て。河野太郎はカンカンだ。
 しかし米中太平洋二分論は今から10年程前、中国海軍のトップがハワイを訪れた時、アメリカ太平洋軍トップに提案している。そのときはアメリカ側は真面目に取り合わなかった。日本政府も真面目ではなかった。それを又蒸し返してきたのである。しかもそれは一軍人からではなく中国のトップからである。
 このプロセスは毛沢東の人民戦争理論及び1980年トウ小平談話を理解しなくてはならない。人民戦争理論で最も重要な部分は解放闘争の指導原理である。毛沢東はこれを1)専守防御、2)攻勢防御、3)防御攻勢、3)全面反攻の4段階に分け、それぞれにおける闘争原理を述べている。又トウ小平はその談話で、力のない時は牙を隠して力を蓄え、力が十分になった時反撃を加える、と云っている。
 この両者を組み合わせると、ポスト文革改革開放体制下での中国海上戦略はあきらかである。まず解放後の中国人民解放軍は陸軍主体で海軍など取るに足らないものだった。しかし文革後開放政策下で次第に”力を蓄えて”きた。以前のハワイ中国/アメリカ軍首脳会談は、毛沢東理論の2)攻勢防御の段階である。それから10年、同じ言葉が政権トップから出てきたということは、中国の海上戦略が進み既に3)防御攻勢の段階に入ったことを意味する。
 ということはいずれ4)全面反攻ということになるはずだ。しかしそれが何時で、反攻が具体的にどういう形になるかは習自身も分かっていないだろう。パターンとしては、最悪熱核戦争もう一つは経済・資源戦争が考えられる。
 今更習だってアメリカ相手に熱核戦争をやろうというほどの馬鹿ではない。ということは太平洋を巡る米中対立は、経済・資源戦争にシフトする。具体的には西太平洋での経済流通及び海洋資源の中国独占権をアメリカに認めさせるということに他ならない。
 さてここで問題は、この件について日本政府が具体的な対策を持っているかどうかである。ずばり云うと、今のところ中国が幾ら出てきても、西太平洋経済・資源戦では日本が優位にあることは間違いない。その優位性を何時まで保たれるか、そのための具体的政策を幾つ持っているかが問題なのである。この点については、今のアベ官邸の意識は理念性が強すぎ具体性に乏しい。官僚達はと云えば、短期効果を重視する財務省の力が強くなりすぎて長期的展望が描けない。何よりも政府国債残高が多くなりすぎたため、長期的投資が控えられているということだ。神戸製鋼事件がその典型である。
(17/11/11)

 以前中国で温泉開発調査を請け負った日本企業社員6人の内、二人が正式に逮捕された。この内一人は筆者の旧知の間柄である可能性がある。この点を、先日筆者宅に無礼な電話を懸けてきた馬鹿者に聞いたところ、何にも答えられないの一点張り。
 それはともかく筆者が注目するのは、その前に逮捕されている「日中青年交流協会」という団体の鈴木なる人物。一体これはどういう人物か?そもそもこの協会はいかなる団体か?名前だけでは如何にも公的団体で、バックに政治家がいるような雰囲気である。おそらくこの協会が全体事業をプロモートして、その中に「日本地下探査」という中小企業がひっ懸っただけのような気がする。
 背後に政治家がいる可能性はある。しかしろくな政治家ではない。昔「日韓トンネル技術協会」とかいう団体があって、その当時筆者はダイヤコンサルタントという会社にいて、よくそのパンプレットを受け取った。ところがこの協会のスポンサーに中曽根康弘事務所と「文鮮明=統一教会」があったのである。そこで全て無視した。しかしライバル会社の某社は受注に励んで、ボーリングも請け負っていたらしい。元鉄建公団で映画「青函物語」のモデルになったMUが絡んでいたかもしれない。その会社が儲かったかどうかは知らない。無論筆者は全て無視。
 この手の海外事業では、受注業者が元受け業者に保証金と称する金品を巻き上げられるケースがある。世銀ローンとかJIICA建て政府ローン物件でもない限り、うっかり手を出してはならない。「日本地下探査」はナントカ協会に騙されて保証金を支払って中国に行き、酷い目にあった可能性もある。何故なら、彼らはあくまで探査屋であって、契約とかそういう細かいことには疎い。なかでも海外事業には素人だ。普通こういう事業には、間に弁護士を立てるものである。人間うっかりしたことには手を出してはならない例である。
(17/10/14)

 今朝新聞を見ると、アメリカが中国の太平洋方面への拡大を防ぐため、日本に第一列島線防衛を要求なんて記事があった。そういえばこの間石破がいきなり言い出した、在日米軍核武装議論もこの方針の延長線上にあったのか。今は在日米軍の問題だが、いずれ日本の核武装問題に発展するだろう。
 あたかも北朝鮮問題で、日韓核武装論が出てきたが、筆者の見解は日本が核武装したところで、中国の領土拡大意欲を止められるわけがない。何故中国が領土を拡大したいかと云うと、それは中国の内部矛盾、つまり自国の経済縮小が原因である。
 1930年代、ドイツ・日本・イタリアがいきなり領土拡大に乗り出した。その原因は1929年アメリカに発生した経済恐慌にある。この結果アメリカ経済の拡大に依存してきたこれら三国国内に、深刻な経済収縮が発生した。それを解決するために領土拡大を指向したのである。その理由は国内各層の不満、つまり農民・労働者、中でもプチブルと称される零細中小企業経営者の失業対策である。なおプチブル階層がナチ支持者の中核で、実は現在の大阪維新や都民ファースト支持者に重なるのである。その結果が世界大戦である。
 中国の経済縮小はその国の問題じゃないか、とたかをくくってはならない。中国の経済規模は世界二位。関連国との関係を考えると、馬鹿にしてはならないのである。中国経済が縮小すれば、まず最初に国内に失業者が発生する。この失業者力が一定以上になれば、社会不安が発生し、更にそれから革命=内乱に移行する。これを避けるには、戦前の枢軸三か国同様、領土拡大に奔らなければならないのである。
 中国経済は既に国際レベルまで達している。中国の経済破綻は、下手をすると世界戦争に発展しかねない。アメリカはその一翼を日本に担え、といっているのである。さてどうすべきか。うっかりすると、もう一度世界戦争に参加することになる。単純に核武装だの防衛力強化だのという、ネトウヨ風単純論で済ましてはならない。この問題について、次の衆院選は極めて重要なのだが、政党もマスコミも自分の売り上げしか考えていないから、何にも出てこないだろう。
 要するに日米安保条約と云うのは、日本のアメリカに対する下請け契約にすぎないのである。
(197/09/17)

 中国で温泉探査に行った日本人スタッフ6人がスパイ容疑で拘束されました。今から7年程前、中国残留毒ガス対策調査に行った、フジタ工業社員が、同じようにスパイ容疑で拘束されて、民主党の細野が解放交渉に行った事例があります。この直前に尖閣衝突事件がこっていますから、これは明らかに中国側の政治的揺さぶり。さて今回の事件、アベ内閣はどう処理するのでしょうか?
 それはともかく今回の事件、事業は温泉開発という民間事業。事業者が一体何処の何物かわからない。これに日本の商社かゼネコンが乗って、物探のコンサルを引き込んだのだろう。どんな方法を売り込んだのか?もしMTかそれに類した探査法なら、筆者の昔の部下も取っ捕まっているかもしれない・・・あのアホが・・・である。
 サンケイなら、単に探査行っただけでスパイとは何事か!といきまくだろうが、それは世界を知らない田舎者のたわごと。中国も主権国家である。そこに外国人がやってきて、何か怪しいことをやっている・・・物探とか地質調査がやっているのは、部外者の目では結構怪しいのである・・・と誰かが当局に通報すれば、たちまち事件に発展する。当局者も物探の内容など分るわけがないから、とりあえずスパイ容疑でひっくくるのである。
 無論事業申請の段階で探査範囲を明示しているはずだが、これが中国側に伝わっていなかったり、あるいは探査屋が範囲を踏み外してしまった可能性もある。しかし申請時に、中国側事業者が、業務内容を十分理解し、それを当局に伝えられていたかどうかは、極めて怪しい。
 このように新興国・途上国での地質調査は、結構政治リスクが大きい。それに対し、日本の地質屋・物探屋はあまりにナイーブである。だからこういう国のプロジェクトには、うっかり乗ってはならない。これまで筆者の下にもこれに類した話はあったが、全部断っている。危なくて仕方がないからである。
(追記)捕まった日本の物探会社は「日本地下探査」という会社。筆者もよく知っていて、建設企画時代からしばしば下請けとして手伝ってもらっていた。70代の社員というのは、ひょっとして高屋君ではあるまいか?かれは滋賀県出身、名大理学部地球科学からサンコーコンサルタント。昭和50年代、サンコーが労使紛争でもめた時に、上司の川原田らと一緒に「地下探査」を立ち上げた。
 彼らだけでなく、この時期サンコーを辞めた人間は結構多く、その一人が筆者に云うには「骨のあるやつはみんな辞めた。ないのだけが残った」。それは応用地質にも言える。ダイヤなんて、もとから骨なしばっかりだから、こういう揉め事は起こらない。
(17/05/22)

 今回香港政庁主席に選ばれた林郭月峨なる女性。名前から見ると、漢族ではなく少数民族出身と思われる。中国の少数民族は数多いので、どれかは分からないが、なんとなく南方、雲南系ではなかろうか。少数民族を地域指導者に任命する例はあまり聞かないが、習が少数民族対策を気にしている証拠だろう。
 さて、中国の対香港政策、吉と出るか凶と出るか?一番の問題は今後の中国経済の伸びである。中国としては香港を吸収したいだろうが、なかなかそうはいかない。その理由は上海株取引の低迷である。株取引が上海だけでOKなら香港は切り捨ててもよいのだが、肝心の上海がピリッとしない。その理由は中国経済の低迷なのだ。今回の全人代で中国政府はGDP伸び率を6.5%に設定した。これだけで手持ち外貨の海外流出が始まっている。韓国や日本への観光禁止や制限もその所為だ。
 このように、中国経済は安定してはいない。その時々の政治情勢でどうにでも変わるのである。そんな中国富裕層をあてにする日本IR法などナンセンス。特に大阪府カジノは馬鹿の一人歩きだ。
(17/03/27

 ドテルテとは何者か?見たところ頭は良く、いささか乱暴だが弁舌も立つ。ただし独りよがりで周囲を顧みない、従て摩擦を引き起こす。こううタイプは中小企業経営者、特に創業者に多く見られる。初期の上り調子の時は世間ももてはやし、従業員の人気もよい。銀行もドンドン融資する。しかし、一旦歯車が止まると世間は冷たい。たちまち奈落の底だ。
 ドテルテに一番よく似ているのは、多分戦前イタリアの独裁者だったムッソリーニだろう。彼は軍隊を使ってマフィアを弾圧し、汚職官吏・政治家を追放した。おかげでイタリアの秩序は劇的改善。郵便物も中身を抜き取られずに無事に届くようになり、鉄道も時刻通り動くようになった。ド
テルテの対麻薬戦争のようなものだ。ところがムッソリーニが失脚し、戦後アメリカがやってくると、たちまちマフィアと汚職が復活した。悪は死に絶えるのではなく、ただ眠っているだけなのである。
 さてそのムッソリーニも、ドイツの成功に目がくらんでドイツと同盟。これが運命の分かれ道で、ドイツと同盟するということは、英米と敵対するということだ。その結果がイタリアの敗戦、自身の失脚そして処刑に繋がった。
 果たしてフィリピンにとって、中国との関係強化はどういう意味を持つのか?かつての独伊鉄鋼同盟の再来なら、やらない方がよい。問題は、この関係に日本はどういうスタンスで臨むべきかがだ。ドテルテは日本に対し揺さぶりをかけてきている。その後ろに中国がいるのは顕か。
 フィリピンにとって、アメリカは口うるさい銀行。箸の上げ下ろしからなんでも注文を付けてくる。それに比べ中国は緩やかだ。融資の審査も殆どなく、どんどん金を出してくれる。バブル時代の日本の銀行みたいだ。ひょっとすると、銀行というより高利の金貸しかもしれない。それに比べ日本は何だ。便利な現金引き出し機だ。おまけにマイナス金利だから、幾ら金を借りてもへっちゃらだ。。
(16/10/28)

 ドテルテが日本に来て何を云うかと思うと、自分は親日家で日比友好が重要である、国際問題は全て平和的解決が望ましいとリップサービス。さてその心はというと、経済援助。もっと金寄こせというわけだ。ただ今日本と中国関係は戦後最悪。理由はアベと習は性格も育ちも、似すぎているからだ。それだけでなく、アベは国内の反対を押しのけて、日米同盟に前のめり。逆に日本に来る前は、中国はフィリピンの友達だと持ち上げて2兆5千億の経済援助を引き出した。
 典型的な二股外交*である。二股外交と云えば第二次大戦中のスペインのフランコがいる。彼はナチスドイツとイギリスという二大大国に挟まれて、両方に曖昧な態度を取って誤魔化し、とうとう中立と独立を守り抜いた。一方に与すれば、国家が戦場になるおそれがあったからだ。ポイントは片一方のドイツが勝手に滅びてくれたから。これがなければどうなっていたか判らない。
 ところがフィリピンにとって、中国・アメリカのどちらかが滅亡するなどとは考えられない。ドテルテが幾らアメリカは出ていけと云っても、背後のフィリピン海には常にアメリカ第7艦隊がにらみを利かしているのである。一体全体彼の狙いは何なのか、金なのかアメリカ追い出しなのか、イマイチよくわからない。ただ、二股は二枚舌に通じる。最初はよいがあまり使いすぎると、錆びてきて双方から信用されなくなって、ポイ捨てにされるおそれがあるから用心。
*ドテルテはアメリカに悪態をついているが、断交とかそんなんところまでは言っていない。未だアメリカには未練があるのだ。ということは、これは二股どころか三股外交でもある。
(16/10/27)

 皆さん今は東京オリンピックと豊洲問題で、頭が一杯だろうが、ここで少し頭をを冷やして、今の中韓問題を振り返ってみましょう。昨年の9月には、対日戦勝記念日ということで、天安門に習近平と朴クネが仲良く並んで、中韓蜜月関係を強調していました。ところが、現在は最近の黄海漁船衝突事件はじめ、中韓関係は緊張度を高めている。この背景には筆者は現在の中国共産党内部の権力闘争と、密接に関係していると考えている。、
 そもそも朴クネが習に接近した理由は、北の核・ミサイル開発を中国の影響下で諦めさせることだった。ところが中国はこの韓国の願いを無視し、昨年末・・・その前にはSLBM実験をやっている・・・には外務次官を北朝鮮へ、今年に入っても、核実験やミサイル発射実験を繰り返すにも拘わらず、王毅が北朝鮮を訪問している。このような度重なる中国の配信行為に対し、朴は遂にTHARD配備に踏み切った。
 ずばり、昨年からの中国外交は安定性を失っている。このような中国の行き当たりばったり外交の裏には、大抵共産党内部での権力闘争が付き物である。では誰がどう繋がって、どう動いているのか?これが全く見えない。少なくとも言えるのは、習近平は必ずしも全権を掌握しきれていない、党内に反習勢力があり、これが結構力をもっているということである。来年の全人代で彼は更に後5年間の主席に選ばれるだろうが、現実には何が起こるかわからないのである。
 中国は複雑で巨大だ。必ず裏がある。決して見かけだけで判断してはならない。これを忘れぬこと。
(16/10/18)

 現在中国杭州でG20首脳会合が行われています。なお本日これを狙ったかのように、北朝鮮が日本海に向けてミサイル三発を発射。同じやるなら東シナ海に向けてやればよいのに。それは別として、何故こんな無意味な会合・・・G7もそうだが・・・いつまでもやっていくのか?
 そもそもG20とは90年代以降経済発展した新興国が、その経済力を背景に、先進国と対等の地位を要求して出来たもの。その経済力の背景は、高騰した原油価格と、低賃金労働者。ところが最近の原油価格低迷や、途上国賃金の上昇で、新興国も以前のようなうまみを吸えなくなった。その典型が韓国とブラジルだろう。
 G(20-7)各国の共通点は、先進国に対する被害者意識が強く、援助慣れしてしまって、自らのイノベーションが出来なくなってしまっている、ということ。かつては世界経済を引っ張っていた新興国が、今や世界経済の重荷になってしまっているのである。
 それに対するG20声明が、あらゆる政策を動員するというメッセージだけ。こんなあほな声明を出すために、大枚の金を掛けて大勢集まる価値があるのか?!日銀黒田のやり方も似たようなものだ。あらゆる政策を動員すればどういうことになるか?政策にはリフレ政策(例えば金融緩和と通貨安)とデフレ政策(例えばバブル防止のための利上げ)がある。これらを同時に使えば、プラスとマイナスが同時に作用して結局はプラマイゼロになってしまうのだ。つまりなんにもならないのだ。
(16/09/05)

 8月に入っていきなり尖閣周辺に中国漁船・公船230余隻が来襲。世間では南シナ海問題への腹いせだとか、THAAD配備への抗議だとか、色々言われていますが、皆さん大事なことを忘れています。現在中国は北載河会議の真っ最中です。これは来年度共産党指導方針を決定確認する重要な会議です。来年度全人代では、習近平政権の継続を認めるかどうかの重要な議案が待っている。
 中国は国内の内部矛盾・・・つまり権力闘争・・・を対外圧力に転嫁する傾向がある。現在の中国共産党中央の権力構造は、習ら太子党、江派と呼ばれる保守派、共青団系の改革派が三つどもえで争っており、大変複雑な状態だ。現在の中国は外交・経済ともに大変な状態になっている。外交的には無論南シナ海問題で、国際司法裁判所から全面敗北裁定。北朝鮮の暴走を止められなかったため中韓関係が悪化し、せっかく作った中韓枢軸はどこへやら。反対に中韓対立状態。経済では昨年の経済以来、回復の目途がたたない。特に酷いのは鉄道輸出で、軒並みプロジェクト中断とかキャンセルの連続だ。
 これでは会議で現政権の批判が高まっても仕方がない。それをかわすために尖閣に漁船を集め、日本に圧力をかけているという状態を作っているのである。つまりこれは日本に直接対話を求めるというより、対国内向けパフォーマンスと見たほうが良い。ところが突然現れた外国船にぶつけられ、漁船が沈んだ。それだけでなく、海に放り出された乗員を救助したのが日本海保の巡視船。同行していた中国公船は何をしていたんだ、というわけで習のメンツは丸つぶれ。この結果が北載河会議や来年の全人代に、どういう影響を与えるでしょうか?
(16/08/12)

 南シナ海問題での国際裁判で、中国が全面敗訴。なんとなく満州事変当時の日本のような状態だ。なお満州事変は関東軍の一部が起こした事件で、政府は無関係。しかし今回の南シナ海問題は政府も深く関与しているから、深刻さは満州事変の比ではない。
 今度の国際司法裁判所の決定で、今中国指導部では深刻な路線対立、権力抗争が発生していると考えられる。南シナ海問題については次の三つの勢力が関係している。
 一つは習近平とその側近(第一グループ)。共産党中央の国家原理主義グループで、太子党文革派。次が李克強、王毅らの国務院院を中心とする共青団系現実主義者(第二グループ)。もう一つが江沢民派(第三グループ)。更に次が軍部、特に海軍(第四グループ)。今のところ、第一と第四が手を組んで、第二を引きずり回しているようだ。
 まず南シナ海問題を引き起こしたのは中国海軍。10年ほど前から、海軍の某少将が対外強硬意見論文を解放軍報や他の雑誌に掲載するようになった。この少将は最近海軍を辞め、自前のシンクタンクを経営している。この論文に飛びついたのが、共産党内の対外強硬派。第三グループが特に力を増したのは習近平政権発足後。習も第三グループを利用しようとしたのだろう。
 南シナ海では中国は以前からゴタゴタを起こしていたが、目算違いだったのがフィリピンが国際司法裁判所に提訴したこと。これは中国でも未経験ゾーン。そこで昔通りの力押し戦略を採ったが、今回失敗してしまった。ここで少しでも中国の言い分が通ればメンツもたつが、出てきた採決は中国の全面敗訴。これでは話にならない、誰の責任だ!ということになる。国際裁判対応は国務院の責任だ。従って、李克強や王毅が責任を問われることになる。これはカナワン。というわけで、自分らの責任逃れのために、判決を日米陰謀説とか、判決紙屑論が出てくるのである。
 そこで発生するのが、三者を取り巻く権力闘争。習は李を排除しようとするが、李だって負けていられない。共青団・江葉の力をりようして反撃する。今はその最中なのだ。
 では日本はどうすればよいか?黙ってみておればよい。他人の夫婦喧嘩に、むやみに手や口を出すべきではない。これぞ「戦わずして勝つ」孫子の兵法。
(16/07/15)

 イギリスのEU離脱で一番うろたえている国は何処か?日本も当然その一つだが、意外に中国ではないか、という気がしてきた。国民投票当日は、誰もこれがどういう結果をもたらすか理解できなかった。しかし時間が経過する内に段々と目に見えてきたのである。
 プーチンが国民投票結果をしめしめと思ったのは間違いない。しかし今、それを後悔しているかもしれない。中国は困ったと思っているだろう。元々中国の狙いは、AIIBにイギリスを参入させ、これを梃子にEU市場への参入を図ること。又一帯一路構想も、イギリスに拠点を築いて欧州鉄道事業に参入すること。それがみんな国民投票でパーになってしまった。以前の習近平を押し立ててのイギリス訪問はなんだったのか!と習は言いたいだろう。
 なおAIIBだが、中国当局は参加加盟国が既に80数か国に上ると宣伝するが、その大半は金は出さないが、金は欲しいという連中ばかり。こんなのにうっかり融資すれば、金は戻ってこないが、責任者は行方不明という、バブル崩壊後の長銀や北海道拓殖銀行の二の舞になりかねない。従って、完全無視が得策。
(16/07/04)

 鳩山由紀夫がAIIB顧問に就任しました。鳩山がなにを考えようと本人の勝手。それより今更になって鳩山を担ぎ出す中国側の意図がよく分らない。鳩山は既に政界から足を洗って堅気になった。つまり政治的影響力など全くない。その点を中国側がよく理解していないのではないか?
 ところが中国では、政治的最高位に達した人物が引退後も相変わらず政治に影響を及ぼすケースが通例である。もし中国側がそれを鳩山に期待するなら、とんだ勘違いだ。しかし中国側に現在の硬直した日中関係を、何とか打開したいという勢力があり、それが動いて鳩山にパイプ作りを要請してきた可能性もある。
 中国は複雑で巨大だ。中国の歴史は、権力闘争の繰り返しで、安定することはない。現在中国では「反腐敗闘争」が進行中である。中国で表向き〇〇運動とか、××闘争というのは、たいてい裏で権力闘争が進行中ということだ。
 では現在闘争している勢力にはどういうものが挙げられるか?一つは軍部特に海空軍を中心とする強硬派。現在の南シナ海緊張を煽っているのはこのグループ。逆に対外協調を目指すのが経済外交部。現在外交部長王徽は本来この路線だったのが、最近対外強硬発言が目に付く。これは現在北京で両者の闘争が激しくなっている証拠である。
 この対外強硬・協調派の危ういバランスの上に立っているのが現在の習政権。鳩山は敢えてその権力闘争の渦中に飛び込んだわけだ。その結果がどうなるか分らないが、現在の中国権力がどのように動くか、その指標にはなるかもしれない。
(16/06/26)

 26日からのサミットを前に、早速中国から聞こえてきたのは「あんなのは金持ちクラブの集まりだ、中国抜きのサミットなど意味はない」と云うけん制発言。どうやら中国は、G7会合を世界7大国会合と勘違いして、世界第二位の経済大国である中国を仲間に入れないのは怪しからんと息巻いているようだ。
 G7は正しくは先進7カ国首脳会合である。だからこれに参加したければ先進国にならなければならない。これには内政・外交面の先進性が求められる。要するに人権問題・報道の自由・環境問題等について、西側先進国と同レベルの義務を果たさなければならない。ロシアがG8から追放されたのは、ウクライナ問題で軍事力で国境線を変えるという、古代フン帝国のようなやり方をやったからである。
 ところがこういう問題になると、突然中国には中国の事情があるとか、中国はまだ新興国だと言って、先進国義務から逃げ出す。これではやっぱりサミットメンバーに入れられない。中国は国家としてはまだまだ子供だということだ。
(16/05/25)

 本日毎日新聞トップはアベの改憲意欲とともに、中国鉄道輸出の本音取材。最近とみに激しくなっている中国の対外鉄道輸出政策に対する毎日の結論は、ずばり国内で飽和状態になったインフラ産業の海外移転である。これが」顕著になったのは昨年8月のインドネシア高速鉄道輸出。その背景にあるのが、中国主導の一帯一路構想。中国は一帯一路を通じて、自国で立ち行き行かなくなった不採算企業及び非生産産業を、海外に輸出しようというわけだ。
 輸出過程で様々な交流や経済発展があるかもしれない。しかし輸出が終わった先に何があるのか?途方もない空虚と混乱である。みんなそれは判っているのである。判っていないふりをしている少数の悪党が7いる。例えばイギリスのキャメロンとか。彼は今必死で自分の逃げ場を探しているだろう。
(15/01/01)

 中国人民銀行が外国銀行3行に外為取引禁止を通告(12/31ロイター)。理由は明らかではない。先日のアメリカ利上げとそれに続くドル高で、加速した国内資金の海外流出を防ぐためか?国内外での元の価格差を利用した利ざや稼ぎを防ぐためとも云われる。これも言い換えれば、国内資金の海外流出を防ぐためである。
 かといってニューシルクロードとか巨額海外投資には余念がない。最近ジンバブエを元経済圏に取り込むことに成功したが、こんなインチキ国家など態のいい資金逃避先。自国通貨を守りたいのか?それともばら撒きしたいのか?それがよく判らないあの国なのだ。その点は我国の総理大臣も同じ、莫大な借金を積み重ねつつ、更に海外援助に金をばら撒く心理が判らない。今度の韓国慰安婦救済資金でも、表がねは10億だが、裏金を含めるとざっと100億と言うのが筆者の読み。
 何故一国通貨にこんな内外価格差が生まれるのか?それは通貨価値を政府が管理しているからである。そのため国内的には通貨を高くしてして物価を安くしたり。対外的には輸出を増やすために通貨を安くするなど、サーカスのような通貨政策をとらざるうを得なくなるのである。水が高きから低きに流れるように、通貨も高いほうへ移動する。それを人工的に制御しようとするから利ざや稼ぎが現れるのである。
 これを防ぎたければ、今のような通貨の政府管理を止めて、為替フロート制に直し、市場原理にゆだねるべきである。しかしそれをやると、中国4国内に隠匿されている莫大な資金が流出するから、やりたくても出来ないのだ。
(15/12/31)

 連日の中国深セン土砂崩壊報道ですが、崩壊現場の映像では、只やたらアームを振り回すだけの大量のバックホウの群れと、テレビカメラに向かって整列したり、腕を振り上げるだけの消防隊員。そんなことやってる暇があればセッセと働けと云いたい。
 この救助活動の真の目的は、行方不明者を助けるのではなく、党や政府が如何に人民のために働いているかを示すパフォーマンスなのです。この種のパフォーマンスは前政権後半から現れ、現(習)政権になって更に顕著になった。そして報道はそれを広めるプロパガンダになってしまった。
 この伝統は、中国古来の英雄譚にある。悪官僚や暴漢の横暴に苦しむ人民を、一人の英雄が現れて悪党を退治して人民を救うという物語。水滸伝でもおなじみです。これによって観客=人民はやんやの大喝采。今の中国では、これを習近平以下共産党幹部が演じているのです。
 この根底にあるのが中華思想と儒教朱子学に基づく皇帝無謣論。つまり皇帝=天下のトップは絶対に間違いを犯さない。何か邪事がおこれば、それは誰か皇帝に従わぬ者の所為。その誰かを退治すれば問題は解決する。朕はそのために働いて居るのだぞ、というわけだ。そのシンボルがやたら無作為にアームを振り回すだけのバックホウの群れだったり、テレビカメラの前に整列する消防隊員だったりするのである。
 さて我国ではどうか?やたら外国に出てテレビカメラに映りたがる首相。それに物欲しげにくっつく元大阪市長など、パフォーマンス芸人には事欠かない。
(15/12/24)

 いよいよIMFが中国人民元のSDR組み込みを発表しました。これで中国元も一流通貨になったわけだが、本当にそうなるでしょうか?今回の決定はSDRとして流通するというだけで、IMFが元の信用性を保障しているわけではない。通貨価値を決めるのは飽くまで市場であり、保障は発行国家の信用で決まる。やっぱりバクチの世界である。
 元々10年以上前から、東南アジアを中心に元通貨圏が形成されてきた。しかしこの地域で経済危機が起こると、常に救済に使われたのが円で、日本政府の信用がそれを担保してきた・・・お陰で国の借金が膨らむばかり。ドルやユーロは知らん顔。今回SDRに元が組み込まれることによって、これら元建て新興国の通貨リスクは、元イコール中国が支えることになる。お陰で日本は、新興国国リスクから解放されるから、あり難いと云えばあり難い。
 問題は中国が基軸通貨発行国としての責任を果たすかどうかと、アベ晋三が事態を理解しているかどうかだけだ。
 それに備え、来年には元に対するドル・円高局面が予想されます。
(15/12/01)

 中国の新たな恐怖。中国政府が過剰設備の稼働率を維持するために、輸出攻勢をかけているという情報。現に日本鉄鋼メーカーに影響が出ているらしい。これではアベノミクスの円安効果は帳消しだ。中国爆買どころか、爆売だ。しかしこれは今の中国経済が相当危機的状況にあるというシグナルの様でもある。
 まず鉄を見てみよう。鉄を作るのに必要な物質は、鉄鉱石、石炭、石灰岩である。これらの内、後2者は中国で自給出来るが、鉄鉱石は微妙。国内生産量だけでは成長率7%を維持出来ないから、輸入に頼らざるを得ない。中国が原料を輸入すれば当然コストは上がるから、国際競争力は低下する。要するに鉄鋼産業は不採算事業だ。資本主義国家なら設備を合理化するが、それをやれば莫大な失業者を産む。こんなことになれば共産党の威信が低下し、国家暴乱の原因になりかねない。やりたくても出来ないのが社会主義の矛盾である。
(15/11/18)

 条約は破られるために存在すると云ったのはアドルフヒトラー。1939年ナチスドイツは突然ソ連と独ソ不可侵条約を結び、ポーランドを征服した。その2年後の1941年、ドイツは突然同条約を破棄してソ連に侵攻した。同じように、会談や協定も忘れられるものである。1938年ミュンヘン会談の結果は、ズーデンランドだけをドイツに割譲するはずだったが、その舌の根も乾かぬ半年後、ドイツはチェコの残り全土を併合してしまった。
 一体何を云いたいかと言うと、TPPと昨日の台中会談のことである。どちらも今年最大級のニュースです。しかしホンモノでしょうか?TPPと台中会談は、どちらも当事者の片一方が間も無くいなくなる。それどころかTPPでは肝心のアメリカ議会が懐疑派・批判派が強く、次の大統領本命候補のヒラリーはTPP反対を明確にしている。対立する共和党は無論TPP反対。つまりどっちに転ぼうが、アメリカが本当にTPPに参加するかどうか判らない。
 台中会談では「一つの中国」を確認したと云われるが、肝心の台湾馬英九の任期は今年限り。来年の総統選では、独立指向の民進党勝利が確実と云われる。
 冒頭に挙げた条約や協定はそれぞれ政府のトップの主導、或いは国際的枠組みの中でおこなわれていた。それでもこのザマだ。TPPも台中会談も、一方の当事者の後継者がいずれもこれを護る気はない、と明言している。と言うことは、どちらも当分の間は狐の葉っぱと思っておいたほうが良い。
(15/11/08)

 EUが南沙諸島への米艦派遣を支持した裏で、イギリスは中国からの原発や鉄道投資契約を結ぶ。それだけでなく、今月にはオランドやメリケルまで中国を訪問する。ここで注意しなくてはならないのは、この訪中はこれまでと性格が違うということだ。これまでの訪中は対中国投資の可能性を探るもの。いわば積極ビジネスだ。ところが今回はそうではなく、中国からの投資を呼び込むもの。つまり「物乞い外交」だ。その口火を切ったのが英国。
 何故英欧がここまで落ちぶれたのか?要するに金がないからである。典型が英国だが、老朽化したインフラを更新するにも、生産設備拡大のための地域開発するにも、政府には先立つ金がない。何故かと言うと、国内(地域内)金融機関が政府に金を貸さないからだ。
 イギリスはサッチャー政権下でシテイーの銀行はみんな外国資本になった。ドイツ・フランスも同じだ。今ヨーロッパ主要銀行CEOはみんなインド人だ。彼らはリスク管理には厳しい。特にドイツは国内法で政府の借金は厳しく制限されているから、政府が直接借金できない。ここがが日本と大きく異なる点に注意。無論どちらが良いかは、まだ判らない。日本はこの歯止めをなくした(アベノミクス)ので、アベ内閣発足後2年で、国債発行残高が1200兆円まで膨れあがった。
 国内(地域内)から資金が調達できなければ、外国からの投資を呼び込むしか方策はない。それはかつてアメリカドルだったり、アラブのオイルマネーだったが、昨今のドル安原油安でそれもおぼつかなくなった。そこで飛びついたのがチャイナマネーというわけだ。なんとなく吉原の安女郎が旦那をとっかえひっかえしているように見えるが、これも又女郎こと自立した女性のの生き方。
 中国は全てを戦略的に見る。そのため投資先の少々のリスクには目をつぶる。ここがインド人やアングロサクソンとの違い。おまけに、アメリカや日本ではご法度の賄賂も自由だ。投資先の政府にとってはこんなあり難い話はない。
 さてこんなことで英国・欧州の将来はあるのでしょうか?先に挙げた吉原安女郎ではないが、当座の儲けは出るが、いずれ客の信用をなくし、廓から追い出されるでしょう。
(15/11/01)

 習近平の英国国賓訪問。これで俄かに高まった中英蜜月論。それどころか、習やキャメロンの発言を見ると、殆ど中英枢軸に近い。当然ながらアベもオバマも心穏やかではないはずだ。かつてイラク戦争のとき、日英は他国の批判を受けながらも、アメリカの同盟国であることを世界に示した。それから14年、イギリスは同盟国アメリカの制止を振り切り、対中接近に舵を切った。両者を結びつけたものはマネー。
 なんとなく小説「金色夜叉」の一情景を思い出しました。金貸し富山(中国)のダイヤモンド(マネー)に血迷ったお宮(イギリス)は、二世を誓った寛一(アメリカ)を捨てて富山のもとに走った。これに激怒した寛一は富山以上の金貸しとなって、お宮に復讐するのである。”♪英国海岸散歩するキャメロン・オバマの二人連れ。ともに歩むも今日限り、ともに話すも今日限り”。さてお宮の運命や如何に、一巻の読みきり。
(15/10/21)

 上海で日本女性がスパイ容疑で逮捕され、これで日本人容疑者は4人になった。ところでこの4人、ある共通点がある。それは日本語と中国語がほぼネイテイブで喋られることである。
 まず遼寧省の件は中国帰還者2世。セツ江省二人の内一人は下日航パイロットで、中国に深い人脈があり、しばしば中国に入国していた。今度の上海例は日本語学校を経営しており、これまでもしばしば中国に入国していたという。つまり中国当局は始めからこれら日中バイリンガルに目をつけ、スパイ容疑で逮捕しようと考えていた可能性がある。その理由はかれらを洗脳し、逆スパイとして日本に送り込むことである。
 その目的は何か?彼らの地位から見て、そんな高度な情報源に辿りつけるわけがない。このところ増えているのが日本観光目的の中国人。中には反中国思想に影響されるものもいる。そういうのをピックアップして報告させるのではあるまいか?何故なら、中国大使館や領事館職員はみんな日本公安に監視されているからウッカリ動けない。そこで日本人を逆スパイに仕立てるのである。現にアメリカでは中国情報機関が入り込んで、中国人留学生や在米中国人の監視・拉致を行なっている。いささかスパイ小説の読みすぎか?
 もう一つは今年中に予定されている、日中首脳会談前に人質を採っておこうと言う作戦。これはあり得ると思う。これこそ春秋戦国以来の中国伝統戦術。共産党中央から各部局に、日本人スパイを摘発せよ、なんてノルマが跳んでいるのではあるまいか。
 なおこの事件で不思議なのは、マスコミ特にテレビマスコミが殆ど報じないことである。かつて民主党政権下で、フジタの社員がスパイ容疑で拘束されたときは、マスコミ挙げて大騒ぎ。政府の政治責任まで追求する勢い。しかし今回はみんなだんまり。アベに遠慮して何も云えなくなってしまったのか?公安のエージェントだったという説もあるくらいだから、政府からの脅しが効いているのか?
(15/10/11)

 ノーベル医学生理学賞で、日本の大村先生と同時受賞したのが、中国のトウヨウヨウ女史。中国にとって自然科学系ノーベル賞受賞は悲願のはずだったが、中国政府・共産党はこれに対し、祝福どころか何のコメントを発していない。何故ならトウ女史は三無科学者と云われるように、学位もなく地位もなく海外留学経験もない。つまり中国科学界では傍流のその又外のような存在。それがノーベル賞を取るなんて、政府や科学界主流派のメンツ丸潰れ。習近平にとって、オバマに右頬をぶん殴られたのに続いて、左頬をぶん殴られたようなものだ。日本で言えば、地方大学の助手か講師がノーベル賞を取るようなもので、東大医学部は大ショック、のようなものだ。
 ノーベル賞自然科学分野で日本人が受賞すると、何時ももれ聞こえるのがお隣韓国の火病。「何故日本人ばっかりで韓国人は駄目なのだ!」「儒教主義で上からの指導をそのままに守る習慣が問題だ!」。その通りで儒教の教義墨守主義が新しい発想を邪魔し、上に受け入れられやすい成果主義、それどころか成果捏造主義まで産んでいるからである。
 実は日本も昔はそうだった。昔の日本は支配階層である武士は儒学、被支配階層は実学というように分かれていた。ところが八代将軍吉宗以来、武士も実学を学ぶことが義務付けられた。無論これに対する反発もあり、貴族・僧侶・神官、武士でも地方の保守層は、自分の既得権や権威を守るために儒学に拘り続けたが、そういう階層・地域は明治以降貧困階層・未発展地域になってしまった。
 ところが19世紀に入ってからの欧米の圧力には儒学では対抗仕切れないことが判った。そこで実学が主導権を握ったのが明治維新である。但しこれに対する儒学派の巻き返しも激しく、昭和になってから儒学者が主導権をとった。そのために国が滅びたのである。
 儒学が政治的ヘゲモニーを握っても実学のDNAは消えない。この間に行なわれた研究が、戦後の日本物理学を支え、湯川・朝永を初めとする日本物理学ノーベル賞の伝統を作ったのである。
 中国も韓国もこの間の経緯はよく判っているはずなのに、何故日本と異なり儒学主義に拘ったのか?韓国など、あのまま日本の植民地でいたら、今頃韓国系ノーベル学者の数人は出ていただろう。中国も同じで、共産党を排除し、日本と同盟しておれば、もっと早くノーベル賞学者が出ていたはずである。しかし文化の中心である中国、それに最も忠実な韓国が、夷荻である日本人の真似など出来るか、というわけで、両国とも儒教的中華メンツ主義に拘ったから何時まで経ってもノーベル賞は取れない。何でも拘りは身の破滅の素。
(15/10/09)

(インドネシア高速鉄道問題その3)
 この問題が報道された途端、ロイターやWSJなど外信系では、「海外投資家のインドネシア投資への懸念」というニュースが踊った。つまり、インドネシアインフラ事業に幾ら投資しても、最期には中国か中国系に持っていかれるのではないか、という懸念である。当然インドネシアへの投資が手控えられる。無論世界銀行の融資基準にも反するから、対インドネシア融資の審査基準はより厳しくなる。これがインドネシアに対する副作用である。
 これを補完するのがAIIBだが、今回の逆転発注は逆にAIIBの本質を暴露してしまった。今のところ中国政府はAIIBへの投資比率を50%から25%まで下げたが、実質的決定権は中国政府が握ることには変わりない。つまり中国外のAIIB参加国企業がアジア新興国インフラプロジェクトに参画しようと色々投資してきても、対象国がAIIBからの融資を望めば、そのプロジェクトを中国系企業に持っていかれる可能性があるのだ。それはAIIBへの不信感を産み、ヨーロッパ系諸国のAIIB離れを促進する。これが中国に対する副作用である。
 これは更に中国が推進する第二シルクロード構想にも影響する。今更こんなもの作って何を運ぶのか?というのが大方の見方だが、参加各国はシルクロード機能には興味は無く、それを作り上げるまでの建設投資に興味がある。その原資を供給するのがAIIBだが、実態が中国による中国企業のための事業と判れば、一遍に熱は冷めてしまう。出来上がったとき、残ったのは借金だけということになりかねない。
 そして両国共通の副作用。中国側はバンドン鉄道について3年で完成すると約束した。問題は用地確保なのである。ジャカルタやバンドン周辺は都市化が進んでいるから土地収用は簡単ではない。山間地でも、これまでの援助投資で地元住民も交渉慣れしている。それを見越して日本案は工期4年を提示している。それを1年前倒しするということは、土地収用に相当強引な手をつかうことを前提としているとしか思えない。例えばいざとなればインドネシア政府による軍隊を使った強制収用である。ところが契約条件は民間企業によるものだそこに軍隊を使うなどありえない。もしやったら反政府運動の引き金になる。しかもその企業連合の大部分の株を中国が持っているとすれば、住民の反発は反中運動に繋がりかねない。これが広がると、反中運動が反政府運動になり、更にそれが発展すると、戦後二番目の革命となる。だから、たかが鉄道と云って馬鹿にしてはならない。当に鉄道は”国家”なのだ。
(15/10/03)

(インドネシア高速鉄道問題その2)
 インドネシア高速鉄道逆転受注で、中国政府はしめしめと思っているだろうが、世の中そう甘くはない。なぜならこの受注合戦、世界の政治・ビジネス界注視の下で行なわれたからです。おそらく今後その副作用が、中国・インドネシア両国にジワジワと効いてくるでしょう。なお、本日(15/10/01)中国政府は他の財新民間PSI指数の発表を中止すると発表しました。中国経済減速が、共産党中央でも無視出来ないレベルに達したのでしょう。
 さて今回のインドネシア突然受注。果たしてこの背景にあるのは何でしょう。ワタクシはこれは中国軍部、特に解放軍総参謀部の一部局主導によるものと考えています。中国鉄道事業が解放軍の管理下にあることは、よく知られた事実です。現在日本やフィリピン、アメリカは南シナ海を巡る中国の領土拡大を懸念していますが、中国軍部の目から見れば・・・自分から撒いた種とはいえ・・・これら各国に包囲されているという認識になる。
 又鉄道と言うものは、かつて帝国主義時代では国家主権のシンボルでもあった。南アフリカでもインドでも、メキシコでも英仏など列強は鉄道を敷きまくり、これを主権の象徴として、その地域を植民地化したのである。日本が満州事変で手に入れた南満州鉄道が日本の大陸進出のシンボルであったようにだ。おそらく、中国共産党や軍部にはそういう意識・・・・鉄道=国家主権(侵略)・・・が強く残っているのだろう。
 そう思ってこの事業を見直すと、インドネシア新幹線計画はまずジャカルタからバンドンへ、更にスラバヤまで延伸する。これを中国側から見ると、日本が新幹線を通じてインドネシアに主権を確立し、南シナ海を包囲する戦略を立てているようにに見えてしまう。これはイカン、何とかして潰さねば、と言うわけで採算など度外視した作戦に出る。その後はインドネシアに中国主権を確立する算段だろう。なお、将来中国がインドネシアに主権を確立すれば、南のアラフラ海や珊瑚海も中国の縁海になってしまう。その先はオーストラリアだ。
 本日朝、中国南部で17件に及ぶ連続爆破事件が起こりました。果たし習近平は人民や軍部を掌握しきれているのでしょうか?(続く)
(15/10/02)

 インドネシア政府が、日本式新幹線をやめて中国式に決定。この問題が出てきてから、ワタクシはいずれこうなるだろうと思っていました。賄賂の額が違うから。経緯はと言うとインドネシア政府が計画したジャカルターバンドン間鉄道整備に関し、11年から日本政府がFSを行なって、日本型新幹線を売り込んできた。ところが今年3月に、いきなり中国が日本案の3割り安という安売り攻勢をかけてきた。これにうろたえたインドネシア側が、日中両国を天秤に懸ける形で競争させたが拉致が空かず、最近一旦白紙に戻すと発表した。
 数日前、週刊ダイヤモンドがネットに「インドネシア高速鉄道を白紙に戻させたのは日本外交の勝利」なんてノーテンキな記事を書いていた。それを読んで、ワタクシは何をアホなことを云っておると思ったのだが、ダイヤモンド紙は経団連の広報誌のようなもので、これは経団連(=アベ官邸)の雰囲気を反映したもの。ところが結果はワタクシの読みどおり中国案に決定した。ダイヤモンド=経団連=官邸は大恥だ。
 さて、この件での中国の一連の動き、果たして単にビジネスの問題だけでしょうか?とんでもない。中国の一連の動きは極めて政治的・戦略的なものです。ことが決定してからも、日本側には中国案に対し、現実性に乏しいといぶかる声があるようだが、そんなことではとても中国には太刀打ちできない。
 中国の狙いは、日本・インドネシアの関係にクサビを打ち込み、インドネシア政府のふらつく腰を親中にたたきなおすことです。目的は南沙諸島の領有権問題。先のバンドン会議でも、東南アジア諸国で唯一親中の立場を取ったのがインドネシア。しかしほおって置くと何時反中に寝返るかもしれない。ここで一つネジをまいておこうということだろう。少なくともインドネシア利権から日本を追い出せればそれだけでもOK.。
 なお目的が政治的・戦略的なものだから、実利的なものは置き去りにされる。だから本当に中国に鉄道を造る意志があるのかどうか、作っても運営する気があるのかどうか、運営してもそれがだれのためのものか、なんにも判らないのである。何故ならインドネシア政府はこのプロジェクトに鐚一文出さない。そのかわり複数の企業連合が建設運営権を持つ。従ってインドネシア政府はこの鉄道の運営になんの権利も有ししない。ただ中国の息がかかった企業が土地や施設を所有し、その周辺が中国によって植民地化されるのだけは間違いない。かつて東南アジア諸国は、こうやって王侯貴族(今では大統領や議員)が外国からの賄賂に目がくらんで、西欧)の植民地になっていったのである。
(15/09/30)

 先週(09/05)のG20財相会合では、中国は景気安定に自信を見せ、その所為か、各国は中国の示す7%成長を了承した。ところがその舌の根も乾かぬ内に、バブル崩壊を認め、おまけに今後5年間は苦難の道だ、と構造改革を示唆。途端にNYや東京では株価は全面安。上海でも影響がでている。何故このように短時間に言うことがコロコロ変わるのか?言い換えれば中国金融当局が混乱しているということで、それはとりもなおさず中国共産党中央で深刻な矛盾、つまり意見対立があるということである。
 よく考えてみよう。先月15日の天津爆発(この日は日本がポツダム宣言を受諾した日)以来、多くの工場爆発が起こっている。その殆どは化学工場である。中国重化学産業は江派や胡派ら旧政権の縄張り。炭鉱爆発も1件あったが、資源・エネルギー産業も胡派の独占。世間ではこれら一連の事故を反習派の陰謀と考える向きが多いようだが、筆者は逆に習近平による謀略ではないかと考えている。
 中国経済減速は今年に入ってからも言われていたことである。そのポイントが国営企業の過剰設備リストラ。ではどの分野をどうやってリストラするかが問題である。中国にも倒産法はあるが、これを国営企業に適用するわけにはいかない。もしそんなことをすれば労働者人民からの政府・共産党への批判・責任追及が高まり、党への信頼が低下する。これはイカン、政権への批判をかわす形でのリストラ策が爆破なのである。これなら問答無用だ。更にその責任を旧政権派におっ被せて責任者を粛清する。結果として旧政権派を弱体化出来、一挙両得である。
 さてどの分野にするか?鉄道とか航空宇宙産業は軍が握っているので、これはダメ。旧政権派が握っているのが重化学工業・資源エネルギー分野。とりあえずこれから始めようかと言うところではないか?
 なお、こんな謀略はロシア人ならわからないではないが、中国人の発想になるかという疑問は残る。おそらく習はプーチンあたりから吹き込まれたのではあるまいか。
(15/09/07)

 抗日戦勝利70周年北京軍事パレード。ミニスカ娘子軍は別として、気になったのは習近平の映像。習の映像はしばしば報道されるので慣れているが、何時も気になるのがクビをかしげていること。クビをかしげるのは相手を見下した時の態度だから、そんな意志表示かと思っていたが、そうでもないようだ。
 式典の最初の閲兵で出てきた習のクビが、やっぱり傾いているのだ。普通こういう晴れの場では、誰でも背筋をまっすぐ伸ばすものだが、それが出来ていない。何故か?通常考えられるのは神経系(特に頚椎)の損傷か何らかの内臓疾患。そういえば彼が笑った顔はついぞ見たことがない(作り笑いは別)。筆者の見るところ、習近平の健康状態はかなり深刻だということだ。
 そういえば我国の首相も潰瘍性大腸炎という持病を抱えている。そうすると似たもの同士の韓国大統領も何か病気を抱えているはずだ。彼女の場合、ヒステリーか?
(15/09/03)

 中国政府の為替介入でとりあえず円も日経平均も原油価格は持ち直した」ようですが、問題はこれが何時まで続くかです。なんとなくSo Slowly So Smallの感が無くもない。これで中国政府が安心して政策を元に戻せば・・・・つまり構造改革を怠り、財政赤字を放置したり・・・又元売り株安に戻る。そうなれば中国は90年代の日本のように長期不況だ。
 中国経済が世界経済を引っ張っていけなくなれば、替わりにその役割を引き受けられる国が他にあるでしょうか?もしないとすれば、世界経済は悪夢のブロック経済に移行するかもしれない。これこそが第二次大戦の引き金になったのだから、何が何でも防がねばならない。しかし世界にはこれを指向するものもいる。例えばロシアのプーチンとか、又次期アメリカ大統領候補になりかねないトランプなどである。
(15/08/28)

 連日報道紙面を賑あわす中国株安。これにつれて世界的にも株安連鎖が広がっている。筆者の見るところ、この騒ぎ習近平という経済オンチが引き起こした人災である。前政権で中国バブルは極限まで拡大した。その所為で腐敗も極限まで拡大した。これは人民の反感を買う。これを抑えるために習は虎退治に乗り出したが、やりすぎて虎だけでなく役に立つ馬や羊まで退治してしまった。その結果が今の金融不安だ。
 日本も80年代バブルで極限まで拡大した地価を抑えるため、経済オンチの三重野が金利を引き上げた。その結果バブルが崩壊し、20年に及ぶ不況に突入した。アホが世間の圧力に負けて余計なことをしたという点で、同罪だ。
 今の中国もかつての日本も、マネーが無かったわけではない。逆に政府の為替介入や利下げで、ジャブジャブだったのだ。ところが国の将来が信用出来ないから、手持ちのマネーを懐に入れるか、他所の国の他所の安全商品に逃避させていたに過ぎない。今のギリシアが当にそれなのである。
 こういう場合、大事なことは政治家が明確なメッセージを発信することである。そうすれば逃げ出したマネーは又戻ってくる。ところが現実は、習はじめ中国政府も共産党中央も、何も云わず他人事みたいな態度をとる。なぜかと言うと、彼等にとって当面重要なことは、経済危機ではなく9/03抗日戦勝式典だからである。
 これでは誰も中国を相手にしなくなる。だから逆に今の中国危機では、アベが北京に飛び習と会うことが重要である。二人で握手して、どこか密室には入り、暫くしてからお互い笑顔で出てきて、それがテレビカメラに映るだけでよい。
 密室では何も話さ無くてよい・・・ウッカリ妙なことを話されるとあとが厄介だ。これだけで、市場には中国危機には日本が対応するという安心感が伝わり、市場は落ち着きを取り戻す。これで元安に歯止めがかかれば、円高も落ちく。更に世界経済に対する日本の存在感をアピールできる。
 後のことはその後考えればよいのだ。これに要する時間はたった一日である。北京と東京は今や日帰りコースだ。従って国会審議には何の影響もない。ただしこの手はタイミングが重要。タイミングを外せば逆効果になりかねない・・・もう遅いかもしれない。
 そしてその鍵を握るのは官房長官だが、あの秋田ハゲネズミでは、どう見ても無理だ。後藤田や伊東正義、それと野中弘努のような大物がいれば!この程度のことが出来ないのだから、アベも習もそれから朴も、経済オンチを通り越して政治オンチだ。
(15/08/25)

 爆発後の大気中に神経ガスが存在するという情報が出てきました。そうだとするとこの危険物貯蔵施設は軍関連施設という、ワタクシの読みがあたったことになります。タイミングよく共産党中央は事故調査委員会トップメンバーを規律違反で逮捕してしまった。要するに態の良い口封じである。

 天津爆発の主原因に金属ナトリウムが浮かんできました。ワタクシも最初これを疑いましたが、新聞やテレビではNaCNや他の材料が出てきたので引っ込めました。
 しかしこれが爆発の初期原因ではありません。当たり前ですが、金属ナトリウムを水があたるところにおいておけば、雨が降る度に爆発騒ぎだ。当然密封容器に保管される。だから、初期段階で何らかの爆発が起き、その衝撃で容器が破損しNaが漏れ出したところに放水があったと考えるべきです。これはNaCNの場合でも同じです。
 問題はその初期爆発が何から起こったかです。よく考えると中国は火薬大国です。花火・爆竹等庶民生活の場でも火薬類は欠かせない。花火業界は来年の春節に合わせて今から花火・爆竹を作っておかなければならないから、火薬類を集める。これが一時的大量貯蔵に繋がったのでしょう。
 なお爆発物質を金属Naとすると、それが何故あんなに大量に貯蔵されていたかはわかりません
(15/08/19)

 中国天津での爆発事故。興味があったのは、地面に大きな穴が空いたこと。通常地表面より上では、どんな大きな爆発でも地面に穴が空いたりはしない。広島でも長崎でもそんなことは生じていない。おまけに写真では、穴の周りに盛り上がりが見える。と言うことは、地下でも爆発が起こったということだ。おそらくは地下20~30mまでに爆発性物質があったということだ。最初地上で起こった小さな爆発が、次第に拡大し、何らかの経路で地下の爆発物質を誘爆したのだろう。興味深深ですねえ。
 さてこの爆発物質が何者で、貯蔵庫を管理していた会社が何者か、一切顕かになっていない。NaCNという説もある。それなら青酸ガスの原料にもなる。この倉庫の経営が軍系で、その管理下にあったとすると、中国軍は毒ガス兵器の生産にてを染めていたことになる。まああっても不思議ではない話だ。
 なお中国にはこんな倉庫が他に一杯あると思っていたほうが良い。
(15/08/17)

  中国で人権派弁護士57人が当局により拘束された。容疑は「国家社会秩序に混乱を起こす活動する団体」、要するに今の政権に色々イチャモンつける輩だからだ。これを一番羨ましがっているのがアベ晋三とその取り巻き連中、例の自民党勉強会に集まった輩。彼等は朝日・毎日・沖縄2紙あたりの反自民記者や支援者、安保法制違憲派憲法学者らを一網打尽にして、刑務所に放り込みたい。それが出来る中国やロシアが羨ましい。
 しかし中国人もロシア人も一部の日本人も勘違いしていることがある。それは事情が変われば、刑務所に入るのは自分達だ、という事実だ。
(15/07/12)

 自民党の二階が3000人のデレゲーションを率いて訪中。ただし国会議員は自公民合わせてたった20人。6年前の小沢訪中団が123人もの国会議員を率いたのに比べ大分見劣りがする。それにも拘わらず訪中団歓迎レセプションに習近平が登場。二階からアベ親書を受け取る。ただこのときのポーズがイマイチで、二階は叩頭し、習は横を向いている。中身だってただの挨拶状で、何にもないだろう。
 では何故中国はこんな大規模訪中団を受け入れ、人民大会堂などという晴れ舞台で歓迎し、おまけに習近平挨拶というサービスをしたのか?世間では中国が日中関係改善を願っているとか、近年低下してきた日本の対日投資を呼び戻したいとか、色々云われていますが、無論どれも嘘ではないが本当のところを突いていない。
 まず日中関係改善だが、これは中国にとって悪くはないが、経済使節団に国家最高指導者が出てくる問題ではない。次に日本の対中投資減少だが、日本の投資が減ったからと言って中国が潰れるわけではない。日本の替わりにドイツ・フランス・アメリカからの投資が増えている。
 ワタクシが見るところこれはAIIB問題であろう。まず第一に、AIIBの出資比率の変更がある。これは、昨年発足時には中国が50%だった。ところがつい先日中国は出資比率を30%に下げると言い出した*。50%なら中国支配力が強過ぎ、他からの出資が望めないからだろうか?しかし50%を30%にしたところで、中国支配力は変わらない。この20%の差を日米で埋めてもらおうという算段だ。逆に言うと、他の出資国からは中国は自信をなくしているのではないか、と疑われる。この穴を日本が埋めてくれれば万々歳だ。
 第二にギリシア問題、つまり不良債権問題だ。AIIBが狙っている国はインフラ整備が遅れている。ということは国内金融体制も未整備ということだ。そうでなければAIIBに期待するわけが無い。結構ハイリスクのビジネスになる。融資先が破綻したとき、そのリスクを負うのは出資金が多い順。イギリスや」ドイツはせいぜい数%の負担。AIIB融資国にはギリシア似が多い。うっかり金を貸し込むと、とんでもないリスクを抱え込むことになりかねない。ここは一番頭を下げても日本を引き込み、リスクを日本に分担させようと言う腹だ。二階訪中団は、マンマと中国の陰謀に利用されている。
*本日報道では25%まで下げると言い出している。かなりうろたえているようだ。それでもAIIBや対中貿易にこだわりますか?
(15/05/26)

 バンドン会議で習近平がアベに接近してきたのを見て、早速日中関係改善の兆しと早合点するアホがいる。習にとって今更日本との関係を改善しなくてはならない必然性はない。あるとすれば経済問題。ここ2年ぐらいで、日本の対中投資は4割減っている。しかし代わりにドイツ・フランス他ヨーロッパ勢の投資が増えている。だからこれは大した問題ではない。
 一方AIIBは習政権にとって、その浮沈を賭けた大事業。これが思い通りに行っていないのではなかろうか?例えば出資額は参加国GDP比例という規定があるが、これは余計なお世話だ。出資するかどうか、その額をどうするかは参加国の自由意志であって、中国政府が決めるものではない。これなど、あたかも過去の朝貢外交の復活のように見える。
 これが参加国、特にヨーロッパ圏を中心に不協和音を産んでいるのではないか?ここで日本が参加すればそういう不協和音を一気に消すことが出来る。習の狙いはそんなところだろう。
(15/04/23)

 中国AIIBについてもう一言。AIIBと抱き合わせで語られるのが新シルクロードである。そもそもこのシルクロード、一体何を運ぶのか、全く判らない。中国政府も理念のみで具体案を全く説明していない。
 中国案には二つあって、一つは中国四川から中央アジアを通ってトルコに至り、ヨーロッパに渡って一旦モスクワによってベルリンまでという陸上ルート。何故モスクワによるのか判らない。第一中国とロシアとでは鉄道のゲージが違う。モスクワによる分だけ経費と時間の無駄遣いだ。もう一つがインド洋紅海を経てヨーロッパに達する海のシルクロード。こんなルート3000年以上昔からあるので、何を今更だ。
 いずれも中国・アジアとヨーロッパの流通拡大を睨んでいることは間違いない。しかし、15世紀や16世紀頃の世界地図もろくになかった時代じゃあるまいし、今やGPSの時代だ。この流通は既に十分成熟している。今更新たな流通ルートを作る必要性はない。地球温暖化の影響で、日本を含む東北アジアで見ると、北欧との流通は北極ルートの方が有利である。又パナマ運河の拡幅が完成すれば、巨大タンカーや大型船が太平洋と大西洋を直交出来るようになる。イラクや湾岸地域からの原油を東地中海まで運ぶパイプラインが運用できれば・・・危険要素はISだがこんなものあと1年で根絶できる・・危険なホルムズ海峡やソマリア沖海賊を無視できる。日本はむしろこちらに投資した方が賢明だろう。中国の新シルクロード構想はこういう動きを牽制するためのものとも考えられる。
 ずばり言えばこの構想、21世紀の恐竜、役立たずの戦艦大和だ。更にこの構想はもとになるAIIBを含め、メリットもデメリットもよく判らないままに走り出しているのである。メリット・デメリットが判らないままにやるビジネスを、世間一般ではギャンブル或いはバクチという。イギリスは女王みずからギャンブルをやるお国柄だからどうでも良いが、バクチ慣れしていない我が日本国民はそうは行かない。バクチに負ければ全部吐き出しだ。AIIBに参加するならそれを覚悟の上だ。
(15/04/10)

 福田康夫までAIIB参加をほのめかすに至って、この問題いよいよ外堀内堀を埋められそうだ。バスに乗り遅れるなということだろうが、かつてこの言葉に騙されてドイツというボロバスに乗って、酷い眼にあった経験があるから慎重にならざるを得ない。AIIBというバスは安全運転を心がけるのではなく、低料金高速運航バスだ、と言うのは出資国みんなが判っている。料金の安さとリスクは反比例の関係にある。このバスに乗るかどうかは、最近事故がよく起こるLCCと同様、乗客の自己責任でもある。
 それはそうなのだが筆者が疑問に感じるのは、このバスいつまで走るのかよく判らないことだ。ある日いきなり乗客を放り出して「運航を止めました」と言い出しかねない。そもそもAIIB構想が表に出てきたのは昨年後半。習政権で3年目だ。こういう構想は前政権にはなかった。習近平が何時ごろこの構想を得たかは判らないが、そんなに旧くはないのは間違いない。つまり中国共産党内部でも十分議論吟味されたものか、全党的にコンセンサスを得たものかどうか疑わしいのである。ずばり言えば国内インフラ開発はすでに飽和状態に達しており、その結果起こった経済減速。これをほおって置くと国営鉄道・道路・鉄鋼セクターが大打撃を受ける。これを避けるために大規模プロジェクトを立ち上げ、それに海外資本を呼び込もうという算段だ。これずばり言えばかつて日本が突如の円高に怯えてバブルを作ったのとそっくりの構図だ。つまり中国経済減速に怯えた中国政府が、国際バブルを作ることがAIIBの狙いなのである。
 又、現在の中国は、党規約によりほぼ10年毎に政権が交替する。しかし新政権が前政権の政策をそのまま受け継いだことはない。事実現政権も腐敗追放の名の下に、前政権追放に躍起だ。つまり中国の政権交替は一種の革命なのである。AIIB構想が習政権のものなら、次の政権でどうなるか判らない、ということを理解しておかなければならない。
 AIIBを巡る中国の現状は19世紀前半のそれと極めて似ているように感じる。この時期中国(=清帝国)は世界最大の経済大国だった。多分世界GDPの半分くらいは中国が占めていた。それがアヘン戦争を境にたちまち欧米列強の食い物にされてしまった。その最後にくっついたのが我が大日本帝国である。何故欧米は中国に喰らいついたのか?それは中国が豊かだったからである。資源もない貧乏国なら誰も見向きしない。AIIBは当に豊かな中国の象徴。イギリス人やドイツ人のようなハイエナはそれを見逃さない。食うだけ食ってさっさと逃げ出そうという算段。実際20世紀始めの欧米もそうした。それが出来ずにモタモタ中国に拘って馬鹿を見たのが我が大日本帝国だった。
 結論的に云えば、AIIB参入は極めてリスクの高いビジネスである。もし参入するなら、経営の透明性を要求すると同時に、いつでも脱退出来る権利の保障、又出資額に見合う担保を要求すべきである。その担保として尖閣諸島を要求するのが良いと思うが、その場合、向こうのほうから参入を断ってくるだろう。
(15/04/07)

 AIIB攻勢が強まり日本は孤立状態。本日が参加の締め切りだ。現在まで参加国は44。さて日米はどうする?もともと世銀借款事業は事業申請から三ヵ年のFS(フィージビリテイスタデイ・・・事業可能性調査)を経て、更に数年の審査期間を経て、融資決定がなされる。審査項目は経済性、投資効果、環境、事業資金とその担保等多岐にわたり、申請から決定されるまで5~10年懸かる。これでは直ちに経済テイクオフを狙う途上国、新興国のニーズには間に合わない。そこに目をつけたのが中国。
 中国の狙いは大きく次の二つがあると思う。
1)申請手続きを簡素化することによって、新興国、途上国に影響を及ぼし、アメリカ主導のドル経済圏に圧力を掛ける。翻って中国の対米ステータスを高める。
2)現在の中国経済減速は共産党政権にとっても重大事である。特に問題は不動産、鉄道・道路・港湾といった公共事業セクター。これらが今打撃を受けている。これを放置しておくと莫大な失業者を生み、社会不安を作って共産党一党独裁体制が維持出来なくなる。それを防ぐためには、新興国、途上国のインフラ需要を手に入れることが必要。そのための資金を先進国から集め、儲けは我国で独占する。てなところだろう。利点は融資の執行手続きが簡素化され、事業がスピーードアップされ、経済効率が高まると言うのが売り。途上国、新興国の政権・・・非民主的独裁政権が多い・・・にとっては大歓迎。AIIB経由でマネーがジャブジャブ入ってくるのだから、こんな有り難い話はない。
 無論副作用もある。申請手続きで最初に簡素化されるのが環境だ。更に経済審査では融資担保とか資金保障などが簡素化される。その結果何が起こるかと言うと、とんでもない乱開発と環境破壊、経済格差の拡大、腐敗の蔓延である。つまり今の中国国内問題の拡大再生産だ。エボラ出血熱やHIVもアフリカジャングルの乱開発で眠っていたウイルスが目を覚ましたと云われる。それがアジアにも波及するのである。昨年日本にもデング熱騒ぎが起こった。今後それどころではない現象が発生するだろう。AIIBとの付き合いは命がけなのだ。
 マネーと共産主義は地域と文明を破壊するが、人の命をまもってはくれない。
(15/03/31)

 中国人という人種は、物事を長期的戦略的に考える部分と、短期的戦術的に捉える部分が同居している。これは春秋戦国以来の知恵の賜物だ。だから中国人の発想は複雑で二重三重の重層構造をとる。日本人や韓国人のような単細胞人種は、しばしばこれに振り回されるのである。
 今回国連総会で中国外相王徽は大国気取りで、反ファシスト戦勝70周年とか加害者責任を忘れるな、と間接的に日本批判を繰り返している。これはアベの敗戦70年談話への牽制と受け取られていたが、必ずしもそうとばかり云えないようだ。
 それは来週に予定されているドイツメリケルの訪日である。これまでのドイツのアジア外交はあまりにも中国一遍道だった。それがここにきて急に風が変わったのである。何故か?一つは中国経済の急減速。もう一つはこのところの中米関係悪化である。
 そもそも日中関係はドイツやフランスにとってどうでも良いことだ。それはロシアとウクライナの関係が悪くなったところで、日本には関係ない、と言うのと同じである。ここ暫くの中国経済情勢を見ると、中国の将来も大したことはないようだ。要するに対中投資をこれ以上続けるのはリスクが大きすぎる。だから日本に保険を掛けておこうということだ。昔からドイツ人の逃げ足の速さは有名だった。アフリカでもロシアでもイタリアでもだ。と言うことは、アベも外務省もやったやったと喜んではならぬということだ。
 王徽の国連演説やロビー外交には、単に日本批判だけでなく、日本に傾斜しつつあるドイツへの牽制もあると見るべきだろう。
(15/03/08)

 昨日中国広州市で数人が刃物で切りつけ10人が負傷したという事件が発生した。犯人の背景は不明とされるが、これが5日から始まった全人代に対する反発ということは明らか。そもそも一般の中国人は、今のような共産党独裁体制を肯定しているのでしょうか?肯定する人もいればしない人もいる。前者は共産党員だったり、何らかのコネで共産党から利益を得る連中。後者はそれから疎外された連中。
 現在中国共産党員は全人口の約1割といわれる。この1割が、残りの9割を食い物にしているわけだ。何故こんなに共産党員が増えたかと言うと前政権が入党資格のハードルを下げ、資本家のような搾取階級でも、国家に相当額の寄付をすれば党員になれるようにした。この結果、資本家層や改革開放で儲けた成り上がりが、権力中枢である共産党に大量に入党した。つまり資本家が共産党員になってしまったのである。マルクスもビックリだ。この結果、資本家・プチブルと共産党との癒着が進んだ。癒着とは利益共有構造そのものである。お陰で共産党員の数は増えたが資質が下落し、不正腐敗がはびこり共産党が堕落する様になった。元々中国共産党にも腐敗因子はあったが、この政策により、それが急拡大し固定化したのである。しかし習政権は上のハエを追い払うだけで、下から這よるミミズのような根本的腐敗には手をつけていない。腐敗の拡大再生産はまだまだ続く。
(15/03/07

  本日韓国で駐韓アメリカ大使に切りつけた狂人がいました。別に日本には関係ないので、高みの見物をしておけば良いでしょう。こんなことより重要なのは中国の動向です。いよいよ始まる全人代で、習近平は「中国は大国外交を展開する」という宣言をするでしょう。この真意は欧米を中心に構築されてきた戦後国際秩序を、中国中心に作り変えるというものです。しかしいきなりは出来ない。戦略としては国連を舞台に新興国・発展途上国を糾合し、数の力で国連を支配し、その盟主に中国が座ろうというものです。
 
この発想、何処かで聞いたことは無いでしょうか?そうです。国際秩序の変更はかつて我が大日本帝国が開戦当初に打ち出した、「アジアの解放と東亜新秩序」「八紘一宇」とそっくりです。
なおヒトラーも同時期に欧州新秩序を打ち出しています。東亜新秩序はそのパクリでしょう。又新興国・発展途上国による国連支配は、古い毛沢東人民戦争理論の中の「農村に拠って都市を包囲する」という戦略そのものです。そしてこの二つとも見事に失敗したことが共通しています。
 
日本の場合は戦争を始めたものの大義名分が見あたらない。そこで無理やりくっつけたのが上記のフレーズ。しかし本音は東南アジアの資源確保が狙い。開戦当初の勝利で欧米資本を追い出したまでは良かったが、その後の方策を考えず、日本の価値観や方針を押し付けただけ。当たり前だが、八紘一宇で、日本の天皇がアジアの盟主になるというのだから、東南アジア人民は反発する。東南アジアに積極経済投資をすれば良かったのに、それもやらず、やったことは資源の収奪だけ。結果は返って現地勢力の反感を買い、大戦後期には日本軍は各地に孤立して玉砕の連続だ。
 次に中国のケースだが毛沢東は都市を包囲して何をしようとしたのだろうか?云うまでもなく都市人民の資本家からの解放である。解放された都市住民は農民化されなければならない。これが様々な悲劇を生んだ。都市インテリに対するテロ・虐殺。これは80年代カンボジアで、そして今も中東のIS支配地域で繰り返されている。
 一方毛理論・・・永久革命説・・・によれば、都市と農村との対立は永久に続けなければならない。では解放されて何が起こったのか?解放されるということは、革命を克服された状態のはずだ。つまり都市と農村は同質化されなければならない

 ところが事態は逆で発生したのは、農村の都市化或いは農民の都市住民化要求である。これではイカンと始めたのが60年代の反右派闘争、それに続く大躍進。これが見事に失敗して2000万人とも言われる餓死者をだした。なおこれを賞賛した日本左翼もいたのは事実。この結果が共産党中央からの毛沢東の追放だったのだが、これへの反撃が文化大革命。これもまた見事に失敗した。文化大革命で犠牲になった人民の数は未だにわかっていない。南京大虐殺どころではないのだ。その反動が今の改革開放なのである。改革開放の最大の副作用は腐敗と権力者の堕落。
 今、習近平がやろうとしているのはこの二つの失敗の拡大再生産である。毛理論に従えば、先進国と新興国・途上国との対立は永久に続けなければならない。そうでなければ中国の優位性は確保できない。と言うことは先進国と新興国・途上国との関係を、現状で固定化しなければならないということになる。ところが後者は常に先進国化を目指す。これは世界秩序変更を目指す中国の方針とは大矛盾である。何故なら、新興国・途上国がみんな先進国になってしまえば、中国に従う国なくなってしまう。未だ途上国というのもあるだろうが、そんなのは経済は遅れ国内は混乱し、テロが頻発する今のソマリアやスーダンのようなものばかりだ。中国はそういう不良債権ばかりを抱え込むことになる。その結果、中国は新興国・途上国に置いてけぼりにされ、気がついたときは丘の上のウサギ状態になる。
 そもそも、ヨーロッパ市場が風をひいたぐらいで、新興国経済は肺炎状態。お陰で中国経済もお先真っ暗。李克強の経済演説も、実のところさっぱり判らない。互いに矛盾していることを、克服しなけばならないという綺麗ごとで誤魔化しているのに過ぎない。今年の経済成長率目標7%と言うのは事実上0%成長と言うことだ。韓国もどうにもならない状態。どの国も自国が大国だと思った時から凋落が始まる。今度の中国全人代は中国凋落の切っ掛けになるだろう。
(15/03/05)

 本日米中東司令官は、ISの威力は低下していると発表しましたが、これは筆者が前から云っていることで驚くことではありません。さて世界先進国・・・日本も含め、韓国はどうかと思うが・・・の次の脅威はイスラム過激派ではなく、中国です。これも筆者が前から主張している点です。ところがそれを判っていない国が多すぎる。中国が動き出した時・・・既に動き出しているのだが・・・・又慌ててばたばた騒ぐのでしょうか?
(15/03/04)

昨晩の某民放BS討論番組。ゲストは自民党の二階俊樹と宮本とか云う元駐中国大使。テーマは混乱する日中関係改善に向けて。二階はまもなく3000人のデレゲーションを連れて訪中する。本人曰く「今の日中関係がこれでよいはずは無く改善しなくてはならない。私を媚中派という人がいるが、これは媚中ではない」。しかしかつて小沢一郎が600人を連れて訪中した時、もっとも批判したのは自民党である。たった5年前の出来事だ。しかも今回はそれを遥かに上回る3000人だ。
 そして続けて「中国韓国から日本に来る観光客は増えているが、日本から両国に行く観光客は減っている。我々を支持している旅行業界はこれで大変なダメージを受けている」と。どういうことかというと、中国から日本への観光客が増えれば、中国の旅行業者は儲かるが、日本から中国への観光客が減れば、日本の旅行業者は儲からないということだ。つまり二階の云う日中関係改善とは、旅行業界という特定業界の要望であり、自民党はその太鼓もちをやろうという訳だ。元々自民党という政党は特定業界の代弁者(太鼓もち)でやってきた政党だからそのDNAはまだまだ顕在、むしろアベ政権で更に感染力が強くなったというわけだ。
 次の宮本だが、紹介されたのは最近発表された習近平の講話が2件。一つに「・・・大国としての特別な外交を目指す・・・」というのがあった。もう一つは何か忘れたが、中国の覇権主義拡大を目指す物騒な内容だったのは間違いない。「特別な外交」とは周辺諸国に対する朝貢外交の要求である。既に韓国は半ばこれに応じている。ところが宮本は、これを「習政権はまだまだ試行錯誤の段階であり、政権基盤を確立するための過渡的状況である」として、中国の外交政策をわざと甘く評価しようとしている。果たしてこんな甘いやり方で、したたかな騎馬民族の末裔である中国に太刀打ち出来るでしょうか?
 まず二階の3000人デレゲーションだが、これには前例がある。昨年オバマの訪中、ドイツのメルケル訪中も1000人規模の財界人を連れている。これにショックを受けたのが日本経団連。これでは中国市場を欧米に奪われる、と言うことで自民党にねじ込んだ。その結果が今回の二階訪中団だ。要するにバスに乗り遅れるなということだ。これは昭和の戦前に流行った言葉で、バスに乗り遅れまいと焦って載ったバス(三国同盟)がとんでもないポンコツで、行く先もわからないまま突っ走るだけ。お陰でとんでも無いことになっってまった。
 今の中国経済は既に減速傾向にあり、これが急速に回復する可能性は殆どない、と筆者は考えている。理由の一つは日本を上回るスピードで進む少子高齢化。莫大な国営企業の赤字、つまり借金。これは国家経済の破綻を意味する。それと富裕層や企業資金の海外逃亡である。この中には、中国共産党最高幹部の名前も取りざたされている。つまり国家指導者層のモラル崩壊である。更に国内にはウイグル族を始めとする民族運動もある。それと何時までも変わらない政権内の絶え間なき権力闘争。先進国どころか、中国国民だって呆れておるよ。
 二階も宮本も、何故こんな不安定な国に必要以上に接近しようとするのでしょうか?根拠がないのである。根拠、つまり客観的判断基準無く、ある権力方向に動くことを媚びへつらいという。相手が中国ならこれを媚中主義という。共通するのは対中平和ボケと国内欲ボケである。モラル崩壊国家への接近は、自らのモラルも崩壊している証拠である。この二人のバックに誰かがいて、その指図で動いているとすれば判らないでもない。さてそのバックとは誰か?白土三平のマンガなら、アベか麻生ということになる。
(15/02/26)

 伊藤忠がタイ企業と共同で中国最大の国営企業CITICに総額1兆円(伊藤忠分は5000億)融資を発表。融資先企業のメインは不動産と流通・金融。ところが昨年中国のGDP伸び率は7.4%で目標の7.5%に及ばず中国景気の下振れが取りざたされている。その原因は欧州企業の中国離れと不動産市場の低迷。要するにバブル崩壊なのである。
 果たしてそんな将来性のない企業に何故5000億もの巨費を投じようとするのか?伊藤忠の中国のめり込みは今に始まったことではない。前の駐中国大使の丹羽は伊藤忠の出身。
 伊藤忠の中国シフトは瀬島龍三あたりに始まる。多分田中角栄との関係だろう。別に私企業だから何をしても構わないのだが、融資が焦げ付いたとき、責任を国民に押し付けないようにしてもらいたい。かつて三井物産がイラン石油に投資したらイラン/イラク戦争が始まって、投資を回収出来ず、輸出保険で損金を埋め合わせた。輸出保険の最大の出資者は国で、結局は国民の税金で三井物産のチョンボを穴埋めしたのである。その二の舞は許されない。
 そもそもビジネスマンたるもの、全てのリスクは自分で背負うものである。先に述べた三井物産などビジネスマンの風上にも置けぬ乞食野郎だ。乞食と常民の違いを皆さん判っているでしょうか?収入という点では乞食の方が常民を上回っていたのである。どこが違うかと言うと、乞食は権益を独占し、奉行所ともつるんで利権を蓄えていた。ところが常民は、権利は制限され利権どころか義務ばっかり負わされてきた。伊藤忠も乞食呼ばわりされぬように身を慎むべきである。
 今の福島原発補償もそうだ。被災者への補償は東電がやっているのではない。皆さん毎月の電力料金明細書をみていますか?実は料金に東電補償費が加算されているのです。それだけではなく、所得税にも東北復興特別課税があります。その大部分が福島補償費に使われているのです。あの補償費は全部国民からの税金なのだ。そのお陰で東電は今期過去最大の純利益をたたき出した。東電という会社も、いざとなればお上に頼る乞食会社だ。福島の住民は、補償金でン100万という外車を乗り回しているらしい。補償長者の誕生だ。
(15/01/21)

 中国がこの程アメリカに対し、腐敗撲滅を名目に中国富裕層の在米資産没収協議を要請した(ロイター)。これと並行して、旧勢力派の重鎮周泳庚が逮捕され、更に昨日子分の令計画も逮捕された。この背景にあるのは、習近平(太子党)vs胡錦禱(共青団)との確執・権力抗争があるのは明らか。この際胡派の資産を取り上げ相手の没落を狙う算段。或いは米中対立が激化した・・・例えば中国が南沙諸島海域で覇権拡大に乗り出した・・・とき、中国制裁のために在米中国資産をアメリカに凍結されるのを牽制する狙い。
 しかし中国の歴史を見ると、ある勢力が天下を取って国家資産を独占すると、その先腐敗化する。その後清廉派と称する一団が現れ腐敗層を追放するが、その後彼らも腐敗して同じことをやり、最後は人民の暴乱が起きて王朝は滅びる。それを飽きもせず繰り返すのが中国の歴史なのだ。従って今回の腐敗撲滅運動もその典型で、胡派を追放したところで習派も必ず腐敗する。既にその兆候は現れている。
 中国富裕(腐敗)層の莫大な在米資産は、既にゴールドマンサックス始めアメリカの投資銀行やヘッジファンドの主要資金になってしまっている。習の要求はその資産を全部自分の口座に移せというのと同じなのである。さてアメリカは習のこのような虫の良い要求を受け入れるのでしょうか?
 ウクライナ経済制裁にドイツと並んで最後まで抵抗したのがイギリス。その理由はロンドンがロシア逃避資金の主要受け入れ先で、シテイーの銀行団がロシア資金を切れなかったからである。中国とニューヨークとの関係は、かつてのロシアとロンドンの関係と同じなのだ。

(14/12/31)

 これもロイターによると、中国軍部が共産党中央への報告書で、尖閣諸島周辺で日中衝突が発生した場合、日本に勝ち目はないという結論を報告した。その理由は1)日本の航空自衛隊には保有機数や補給の困難から見て、長期間の経戦能力はない、2)陸上基地の防備は脆弱で破壊するのは簡単、3)日本列島を海上封鎖すれば日本は音を上げる、というものだ。
 この点から現在の中国国際政策には三つ問題があることが判る。
1)まず発想が1700年近く前の三国志か2500年前の春秋戦国時代の領土争いのレベルだということだ。特に海上封鎖で音を上げるというのは全く現実的ではないし、逆に日本を攻撃すれば、経済制裁を受けるのは中国の方だという視点が欠けている。今のロシアを見ればよい。つまりグローバリズムというものを理解していない。
 4年前尖閣衝突事件が起こったとき、中国は対日レアアース輸出をストップした。しかしそれで倒産した日本企業は一つもない。2年後日本企業は代替品やリサイクル、調達先を増やして、生産力を元の水準に戻してしまった。逆に中国は日本向けレアアース輸出が6割減少して、国内レアアース産業の4割が倒産してしまい、習政権発足後、日本向け制裁を止めてしまった。尖閣レアアース戦争は日本の勝利に終わったのである。
 又今の日本企業の大部分は生産拠点を海外に移転してしまっているから、海上封鎖などやっても何の効果もない。むしろ日本を経済封鎖すれば、海外で生産されている日本製部品中国に入ってこなくなるから、海外向け商品を作れなくなる。打撃を受けるのはむしろ中国経済である。
2)中国は国際問題に関しては、常に中国は覇権を求めない、問題は平和的に解決すべきだと、口では綺麗ごとを言う。しかし実態はこのような報告書を公表しては周辺国に動揺を与え、恫喝するのである。その術中にはまったのが、今の韓国とアメリカオバマ政権だ。
3)日本の空自基地などイチコロだ、といっているが実際は空自基地は米軍基地とラップしていることが多い。特には沖縄はそうだ。空自基地を攻撃するということはアメリカとの全面戦争を意味する。だから報告書では米軍基地の件は知らん顔だ。
 以上からこの報告書は,発表のタイミングから見ても、軍部予算獲得のための、共産党中央向けプロパガンダであることは明らかである。問題は今の習政権がこのような妄説を信じて冒険主義に奔らないかと言う点である。習近平もそこまで馬鹿とは思わないが、国内世論に押される危険性もある。
(14/12/06)

 台湾統一地方選で与党国民党が大敗し、首相が辞任、馬英九も国民党主席を辞任する騒ぎ。さてこの結果はどうなるでしょうか?当然中台関係は冷え込み、中国に進出していた台湾企業は大打撃を受ける。しかし台湾企業の進出で利益を上げてきた中国企業も打撃を受ける。どちらも傷つくからこれは痛み分け。
 いよいよ台湾武力解放に乗り出すか、と見せて軍事的圧力を加える。この手は日本・ベトナムに使ったが、かえって相手国の反中感情を刺激しただけで、思ったような結果は出ていない。中国は国連安保常任理事国だから、自分の好き勝手に武力を行使できないのだ。だからアメリカは、武力行使の理由作りに何時も四苦八苦している。
 元々中国は台湾を同盟国と思って、東シナ海や南シナ海でやりたい放題やってきたのだが、これから先はそうは行かなくなる。習政権内部で混乱や責任の押し付け合い、権力抗争が再燃する可能性がある。何故ならこれまでの中台連携を実現したのは前の胡錦禱政権。これの影響は今もなお共産党中央に残っている。習は未だ胡の影響を完全排除出来ずにいる。こう考えれば今の所習政権の方が追い詰められてりると見たほうがよい。しばらくすれば何らかの形で巻き返しに出るだろうが、どういう手を使うのかは未だよく判らない。日本はどうすべきだが、暫くは下手に動かず、様子見を決め込んだほうがよいだろう。
 では何故国民党は斯くまで大敗したのでしょうか?ワタクシはこの前に香港で起こった反中デモが、大きな影響を与えたと思っています。そもそも一国二制度で、香港に大幅な自治権4を認めていたにも関わらず、習近平政権は支配権を強め香港自主権を認めようとしなかった。それが学生を中心とする大規模な抗議活動に繋がったわけで、台湾にも大きなショックだったはずだ。親中政策を強める国民党政権下で仮に第三次国共合作が行われれば、台湾も香港のようになるという懸念が選挙結果に現れたのでしょう。まあどちらにしても、習は大幅な作戦ミスを犯した訳で、大幅な作戦変更が迫られているということには変わりない。共産党中央」で習批判が高まる可能性は否定できない。
(14/12/01)

 10年前に地元自治会長になったところ、その上に連合自治会と言うものがあって、その総会に呼び出されいきなり連れ込まれたのが、連合自治会役員の選出に当たっての「指名委員会」。実は連合自治会役員候補は既に決まっていて、シャンシャンの片棒を担げということだ。
 さて今世界を騒がせている香港デモ。発端は行政府委員選挙の指名委員会制度への反発。21世紀GDP世界第二位の中華人民共和国の民度が、大阪府高槻市という一地方都市の、それも末端自治会のそれと変わらないという事実にあきれるでしょう。何時までたってもなくならない封建制の遺産。実は日本でも地方保守層では大差はないでしょう。
(14/10/03)


 香港の民主化要求闘争がいよいよ佳境を迎えそうです。これに対し北京政府はなんら妥協の余地を見せない。筆者は別に香港民主化とか、北京政府の強硬姿勢をどうとか云うつもりはない。むしろ興味があるのは、現在の日中韓三国指導者、つまりアベ晋三、周近平、朴クネ三人の性格が実によく似ている点である。普通の人は、この三人が似ているなんて想像もつかないかもしれない。特に日本と中韓指導者とは互いに罵り合っている。ところが現実はそうではない。
1)三人とも年齢は60才前後。戦後世代で前大戦を経験していない。国家の破滅というのも目にしていない。
2)三人とも父親は著名な政治家である。つまり太子党である。太子党ということは、回りに取り巻きが大勢いると云うことで、父親のしがらみから、なかなか抜け出せない。この反動が父親否定、つまりエデイプスコンプレックスを引き起こす。そして父親(祖父でも良い)を乗り越えようという願望に繋がる。
3)三人とも頑迷で、一旦こうと決めたらなかなか言うことを聞かない。何故こんなに頑迷になれるかと言うと、本人の性格というより、やはり父親を乗り越えたいという願望の方が強いのだろう。
 上記三点の中で、筆者は一番重要なのは2)取り巻きの問題と考える。三人ともタイミングに応じてそれぞれ発言しているが、これは本当に本人の意見なのか?と疑問に感じることが少なくない実はとり巻がいて、それが発言をコントロールしているという疑惑である。この疑惑が一番濃いのがアベ晋三だが、他の二人だって怪しいものだ。朴クネはセウオル号事件以来何も云わなくなったし、得意の反日発言もこのところトーンダウン。取り巻きも対日関係を考慮するようになったのか。周だって取り巻きがいてそれに操られている可能性は大きい。最大の取り巻きは人民解放軍だがさすがにこれを使うほどの度胸は無いみたいだ。取り巻きが強いからこの三人が強硬なのか?それは逆で彼らが頑固だから、そこに取り巻きが付込んできたと見るのが現実的である。
 もう一つ大事なことは
4)この三人には哲学と言うものが感じられないのだ。
 三人とも、頭にあるのは今だけ、政権確保だけにこだわり国家や世界の未来を見ようとはしない。典型保守である。プラグマテイストと云えばそれまでだが、政治家はそれではすまない。笑ってしまうのはプーチンだ。これも世代的には似たようなものだ。ウクライナ状勢が自分の不利になると見ると、反対派の弾圧に乗り出す。大事なことは自分の政権が永久ではない、ということだ。何年か先には天下がひっくり返ってしまうかもしれないのである。それが民主主義だ。それが太子党にはよく判っていないようなのだ。

 現実には自分で重要案件を処理したことが無い周近平に、突如(本当はそうではなかったが)香港騒動。果たして父親を超えられるか?超えられる発想のない凡人には、従来どおりの政策を力ずくでやっていくしかないので、答えはわかっているようなものだ。要するに共産党の面子を護ってどこで妥協するかしかない。
 
 東アジア三国の指導者三人が、このような頑固な似たもの同士で、本当に大丈夫でしょうか?
(14/10/02)

昨日北京で「中国対日戦勝利・ソ連対ファシシスト戦勝利69周年記念」という、中途半端な式典が執り行われました。ここで前大戦末期の状況を振り返ってみると、現中国政権を担う共産党は中国北西部と山東省の一部に、国民党も内陸部に押し込められ、戦線は膠着状態。特に国民党は内紛と腐敗が激しく、国民の支持を失っていた。この局面を打開したのが、アメリカによる太平洋反撃と日本本土戦略爆撃である。
 つまり日本の敗戦にとって、中国は直接的には殆ど貢献していない。あるといえば、200万もの日本兵を大陸に釘付けにしたぐらいである。これは開戦当時の東条内閣の誤りであって、石原莞爾の言うように、大陸からの全面撤兵・10年不戦策をとっておれば、こんなことにはならなかっただろう。同じようなナンセンス行事は毎年韓国で行われる独立記念式典光復節である。韓国の独立は自力ではなく日本の降伏、つまりアメリカの勝利によってもたらされたものである。
 最近中韓ロ三国から日本の歴史修正主義批判が行われる。無論日本保守派・・・特に百田や櫻井・石原ら保守系言論人、週刊新潮・サンケイら保守系マスコミ・・・による馬鹿げた愚昧歴史修正は認められないが、反日各国の歴史修正も似たようなものなのである。
(14/09/04)

 前のマクドナルド系福喜食品豚肉偽装事件に次いで、今度はウオルマートでの食品改竄事件がネットに流れました。この2件、どうも似ている。手口から見て、当局(共産党)とメデイア合作ヤラセ疑惑が濃厚。改革開放以来、中国の産業投資は輸出産業と不動産に偏っていた。ところが最近の元高人件費高騰で輸出産業の先行きは怪しい。不動産は莫大な在庫を抱えてアップアップ。その間、消費者向け小売業(衣料・食品・・・)は外資系に席巻されてしまった。これでは7%強成長は危うい。つまり党の利権は目減りしてしまう。
 そこで目を付けたのが外資系小売り業。まず槍玉に挙げたのがマクドナルドとウオルマート。官民一体で因縁を付け、ショバからの追い出しに懸かる。業者も追い出されては困るから、そこを何とかと地方政府に賄賂を送るとか、企業役員に太子党を迎える。これが狙いで、外資系を槍玉に挙げることによって、大衆の不満を和らげ、民族系企業に恩恵を与える。あわよくば外資系を追い出し、民族系に交替させそうすれば共産党利権は更に拡大する。戦わずして勝つ「孫子の兵法」である。態の良いヤクザのみかじめ商法である。
 しかし、こんなことをやっていれば、当面の戦術的勝利は得られるが、戦略的勝利から見放される。実際日本マクドナルドは中国産豚肉を止めて、タイ産に切り替えた。つまり外資系企業は中国産業からの材料調達を止めてしまうかもしれないのである。そうすれば農村部で失業者が増大し、返って社会不安を煽るかも知れない。ビジネスはまともに戦ってのみ、成長出来る。
(14/08/10)

 先週アベが習近平と会談がしたいと、南米で喋った。しかしそんなことは無理だろうと思う。理由は習が対日関係改善を望んでいないからではなく、現在外交特に日本関係どころではないからだ。
 世間では周や徐など江沢民に連なる幹部粛清で、習の権力基盤固め完成と伝えられているが、実態はそうではない。まず最近ウイグル自治区カシュガルで立て続けにテロが生じている。注目されるのは体制派と目されるイスラム指導者も殺されている点だ。前の習訪問に会わせたテロ事件と合わせると、テロの標的は習の近辺或いは習自身に及んでいると考えられる。
 次ぎに上海での食品偽装事件(これはヤラセで、これをきっかけに江派を粛清する意図がある、という説もある)浙江省での化学工場爆発事件、政府情報機関がハッキングされて天安門事件の映像がユーチューブに流れた事件など、政府・党の信頼を揺るがしかねない*事件が続発している。こんな状態でアベなんかと会談なんてやってる暇はない(中国にとって、今アベと会談したところで何のメリットもない)、おまけにここに地震でも起これば大変だ、と昨日思っていたら本当に地震が起こってしまった(08/04雲南省昭通M6.5)。
 ズバリ、今習近平は外交どころではないのです。
*今の中国憲法では、社会のあらゆるレベルで共産党の指導を受けることになっている。この化学工場も党の指導を受けていたことになってるはずだ。しかしこんな惨事を起こしてしまった。共産党の指導とは何か?労働者の権利を護るのではなく、企業と結託しその利益を横取りするだけではないか?という疑問が人民の中に沸いてくる。
(14/08/04)

 今の中国の話題は実力者周永厚の失脚。中共指導部は「虎退治」と汚職撲滅を宣伝する。しかしこんな物、中南海の中の権力闘争に過ぎないことは誰でも判る。判らない人もいるらしい。一般庶民はこの虎退治は習近平の正義の刃と思っているらしい。思わない人は、うっかりしたことを云うと公安に捕まるから何にも云わない。
 まず1)周が900億元(1兆5000億円)の資産を貯め込んでいたと云われるが、それが何故今まで判らなかったのか?2)周失脚に伴って300名以上が拘束されたと言われるが、それは全て江沢民や旧体制派で、今の習政権に近い太子党は誰もいない。更に4)周の利権基盤だった石油企業集団や、治安機関はボスが拘束されただけで機構には何の変化もない。つまりボスが交替しただけで、腐敗を産む利権構造は何も変わっていない。習もそれ以上の変化は望んでいないということだ。
 以上から、数年後には利権構造は復活し、その時は習金平を中心とするグループに利権が集中する。その後習自身も腐敗で失脚するだろう。
 なお、筆者が興味を持つのは、周失脚発表と同時に、ウイグル自治区カシュガルで起こったテロ事件である。100人以上の死傷者が出たと云われるが詳細は判っていない。当局はウイグル人によるテロと発表しているが本当でしょうか?周拘束に先手を打って、周派が仕組んだ対習牽制ではないでしょうか?
(14/07/31)

 中国が地中海地域で購入したヨーロッパ鰻の対日輸出を停止すると発表した。少し判りにくいが、要するに地中海地域でヨーロッパ鰻を捕獲する業者がいて、それが中国業者に販売し、中国業者が日本に転売してきた、それを止めるということだ。捕獲業者が日本業者でないことは明らかだ。何故なら日本業者ならわざわざ中国業者に売る必要はなく、直接日本に持ってくれば良いからである。
 これで日本の鰻価格が高騰すると云われているが、鰻の高騰は何年も前から始まっており、今更の問題ではない。又、鰻など食わなくても日本人が滅亡するわけでもない。
 この騒ぎ、豚面にして豚並の頭しかない習近平特有の低次元日本イジメパフォーマンスに過ぎない。実際これを実行すれば、中国の対日鰻輸出業者はみんな倒産だ。何故なら、ヨーロッパ鰻の最大の輸入国が日本だからである。何処の世界に、自分で最大のお得意山を斬るアホがおるか!前例はある。以前、アホの胡金濤がやった対日レアアース禁輸が、レアアース企業の大量倒産を招き、輸出再開を余儀なくされたと同じ愚策である。豚は豚小屋で糞を食っておればよいのだ。
(14/07/28)

 北京を訪れたメリケルが経済協力だけでなく、人権・少数民族問題にも言及。さて習はこれをどう受け取ったのでしょうか?折しもアベはオーストラリアを訪れて、軍事(備品)協力始め対中共闘を要請。これに対しオーストラリアも前向き。
 さてこれらの動きに習がどう出るか?今の豪州鉄鉱鉱山を支配しているのは中国資本。処がこのところのアメリカや欧州不況の所為で、新興国需要が低下。それで中国資本が引き上げてしまった。これに困ったのが豪州。そこにアベがつけ込んだのか?当然何らかの形で中国は巻き返しに出てくるだろう。その時、日本はどういうカードを握っているのか?
 一方同時期に、北京を訪れたアメリカケリーは中国側に云われっぱなし。何故同じ時期に訪れるのでしょうか?そんなことをすれば中国に足下を見られるだけだ。ドイツ人もアメリカ人もそして日本人も、中国人の本質は騎馬民族であることを理解していない。
 中国は米独両者の政権が不安定であることを先刻承知。その上で揺さぶりをかけてきているのだ。1600年前のアッチラ大王と同じ手を使っているのである。
(14/07/09)

中国がドイツに対し8000億元(おおよそ13兆円)の対中投資枠を設定した。この額はほぼ中国GDPの1割程度に相当する。一方、最近顕著なのは日本企業の対中投資の減少。それどころか増えているのが、日本資本の中国脱出加速である(尖閣衝突以前に比べ今や6倍に増えていると云われる)。
 これがこのまま続けば中国産業に空洞化が生じ、更に失業者の増大、社会が不安定化する。これを防ぐためにドイツに目を付けたのだろう。つまりドイツ資本を導入することにって、日本企業の穴を埋めようと云うわけだ。しかし、経済合理性に忠実なドイツ人は、投資条件や労働条件に付いて日本人ほど甘くない。同舟異夢の可能性は大きい。
(14/07/08)

 中国がレアアース輸出を再開する(らしい)。何もこれで中国が国際基準に戻るという訳ではない。ただの中国国内問題である。これまでのレアアース輸出禁止で、日本始め先進国の対策が進み、中国輸出量は激減。一昨年迄に中国レアアース企業の4割が倒産したという。昨年までなら半分くらいになっているかも知れない。国内資源産業からの圧力が強くなって、輸出解禁に踏み切らなければならなくなったのだろう。だからといって、輸出量が従前まで回復する保障はない。先進国は中国の国策に疑いの目を持ってしまったからである。それだけでなく、代替品の開発やリサイクルが進んで、中国産レアアースには中国政府が期待するほどの魅力がなくなってしまったのである。
 人を呪わば穴二つ。同じ事はロシア天然ガスにも通用する。どちらも自分が持っているものの独占的地位が、永久に続くと錯覚しているのである。
(14/06/15)

 一昨日に東シナ海で、日本哨戒機と中国空軍機が異常接近したので、昨日はその話題で持ちきり。これは当時行われていた中ロ海軍合同演習環視が目的。しかし東シナ海で、日本と米軍が日米安保条約に基づいて(アベ集団的自衛権ではありません)合同演習をすれば、中国は同じように哨戒機を飛ばし、それに対し日本も米軍も同じようにスクランブルを懸けるだろう。要するにこんなことはお互い様なのである。日中間にホットラインがないことが問題視されるが、米中間には存在する。日本の自衛隊など米軍の下請けなのだから米中で合意出来ればそれで問題ない。アベ集団自衛権とはそれを確認し、恒久化することである。
 さてもっと現実的な問題に戻ろう。今回の中ロ合同演習に見られる様に、今やプーチン/習蜜月関係に見える。しかし、それは上辺であって、末端ではそうはいかない。そもそも両国海軍の間に信頼関係などあるでしょうか?この演習を最も警戒しているのは、日米よりロシア海軍だろう。ロシア海軍にとって、何の経験もなく,言葉も通じない成り上がりの中国海軍の共同行動など、迷惑以外の何者でもない。更にロシア海軍には中国海軍から得るものは何もないが、中国はロシアの電子管制システムとか、使用周波数帯のような電波環境とか、対潜・対空ウェポンシステムとか莫大な利益を得られる。お陰でロシア海軍は中国に対し丸裸だ。
 今回の合同演習はどちらが言い出したのか?習が云いだし、プーチンがそれに答えたと言うのが大方の見方だろう。プーチンにとって、ウクライナ問題に発する西側経済制裁がこたえてきた。その足下を見たのが習というわけだ。天然ガス輸入という餌をばらまいて、飛びついてくるのを待っていたのだ。お陰で対中天然ガス輸出は合意したものの、対EU価格に対し、1万m3当たり10~30ドル買いたたかれ、おまけに今回の合同演習に名を借りて、軍事機密を中国に只でプレゼント。踏んだりけったりだ。数年後再び起こる中ロ対立の火種を作っただけである。
 中ロ対立の火種はまだまだある。ロシア極東州では中国人が農地を買いあさり、買うだけでなく労働者まで中国から連れてくる。その結果、ロシア人農民は農地から追い出され、中国人労働者はそのまま住み着き地域経済を支配する。ロシア版華僑である。この事態に州政府どころかモスクワ政府も何もしない。何故なら、政府高官がみんな中国人によって買収されているからである。それもこれも中国マネーに目がくらんだ、プーチンとメドベージェフの所為だ、と言うわけで、ロシアに三番目の革命が起きるだろう。その結果が、欧米に対する二度目の降伏。
(14/05/27)

 ウルムチでまたまた自爆テロ。ウイグル独立派のイスラムテロだろう。北アフリカ、スーダンやナイジェリアで起こるアルカイダやタリバン・ボコハラムなどの過激テロには反感を憶えるが、中国やロシアのイスラムテロは、何故かザマア見ろという気になってしまう。原因はこれらの国には、漢族優位、ロシア系優位という人種差別主義があることだ。強者(中国・ロシア政府)が弱者(チベット人・ウイグル人・チェチェン人)を弾圧する事に、反感を憶えるのだろう。
(14/05/22)

 ロイターによると、別に何の行事予定もないのに、北京では警戒が厳重になり、市内では装甲車が巡回し、ガソリンの大量買いは氏名の登録が義務づけられるようになった。従来のテロは少数民族差別や経済格差抗議活動の一環だったが、先月のウルムチでの爆破事件はそれと異なり、習近平個人を狙ったものという見方が強まっている。まあ、その通りだろう。習はよほどショックを受け、恐怖感が強まっているのだろう。今回の警備強化措置はそれを裏付けるものだ。
 現在、中国の権力抗争図は大きく4者の対立からなる。一つは習ら太子党。このバックには江択民など保守派の人脈がある。これに対抗するのが、胡・温ら共青団系の改革派。これは今もなお共産党政治局の半数近くを占め、実力を保持している。新興富裕層の支持をバックに資金面は潤沢最強と云える。更に馬鹿に出来ないのが薄キライに連なる毛派。これは、経済成長から疎外された季節労働者などの低所得者階層が支持層となる。この階層は人口の大部分を占める。薄キライは政治的には失脚したが、処分は収賄とか権力濫用とかに留まっている。それ以上の件には目をつぶっている。しかし一般中国人は、薄が作った個人資産など大したことはない、胡・温や江はもっと大きいだろうと思っている。だから薄も切れないし、毛派の弾圧も出来ないのである。そして第四の勢力が周辺の少数民族である。これは場合によっては過激行動に奔りかねない。過激行動が活発化すると、中国の治安・政治の不安定性に繋がり、外国資本の撤退や投資減少要因となる。結果として長期金利上昇、元高要因になるので、中国の全体経済に影響する。
 軍部はどれにつくか?おそらく少数民族を除く、三勢力に保険を懸けているだろう。一番保険料率が低いのが太子党と共青団系。薄派は料率は高いが、無視も出来ないといったところだ。と言うわけで、習近平は、今や薄氷を踏む思いだろう。ある日突然誰かから背中を刺される。これはいまに始まったことではなく、中国四千年の歴史の中には、掃いて捨てるほどある。
(14/05/13)

 昨日新彊ウイグル自治区ウルムチで、習近平来訪に遭わせて爆弾テロが発生。これで習が国家主席に就任してからのテロは4回、その内少なくとも3回はウイグル族絡みと考えられる。文化大革命を除けば、これだけテロに恵まれる政権も珍しい。よっぽど国民に嫌われているか、舐められているか、のどちらかだ。
 もう一つ習政権の特徴は、強烈な反日パフォーマンスである。かつての胡・江政権も途中から反日にシフトしたが、国家元首が外国に行ってまで、特定隣国の悪口や歴史的にも確定していない事件を言いふらす、てなことはなかった。それだけ幼児性が強いのか?習の反日活動の直接的きっかけは昨年末のアベ靖国参拝パフォーマンスだが、習(及び中国人)にも根強い日本恐怖症と言うものが残っているのではないか、と思われるのである。これは根拠が無い話しではない。朝鮮戦争勃発前後の北京(毛沢東)・モスクワ(スターリン)とのやりとりの記録があって、ソ連崩壊後ソ連公文所館から公開された。その中に上述の両者書簡があった。その後研究が進んで、概要は邦訳されて日本でも出版されている。それを筆者は高槻市中央図書館で見つけた。
 北朝鮮の南進は1949年秋金日成が云いだし、毛沢東はその前に全土解放を達成した高揚感もあって大賛成。しかしスターリンはニエット。当時ソ連はベルリン封鎖など対欧戦略の方が重要で、極東まで手が回らないのが実状だった。ところが翌年にはスターリンがダーを出した。理由は韓国駐留米軍2個師団の内一つが日本に移駐するという情報。これで韓国防衛兵力は著しく弱体化し、弱い北朝鮮軍でもやれると踏んだのだろう。ところが反対したのが毛沢東。彼が恐れたのは日本の介入である。馬鹿馬鹿しいと思うだろうが、毛は本気でそれを恐れていたらしい。毛が中国軍の戦線投入を決意したのは、開戦から4ヶ月後。日本が現れないのを見届けてからの決定だろう。
 この毛の日本恐怖症が他の共産党幹部に伝染していたら、その子もそれに感染している可能性がある。習は今61才、毛ら革命第一世代の息子の世代である。子供の時から親から日本軍の凶暴さを植え付けられていたら、大変な恐怖心を抱くだろう。恐怖心は逆に憎悪に転換する。これは脳内ホルモンバランスで云えば、アドレナリン過多症状である。これが日常的になると、しばしば異常行動・・・秋葉原連続殺人のような・・・を誘発する。医学的治療は極めて難しい。習近平は就任以来数々のテロに遭っている。アベの靖国参拝も、彼にとっては一種のテロである。彼は日本初め周辺諸国や辺境人民に、大変な恐怖心を抱いてるはずである。この恐怖心が何かの弾みに自己防衛行動・・・・アドレナリンは自己防衛本能を司るホルモン・・・が具体化すると、かなり危険な状態が予想される。
(14/05/01)

戦前に日本企業が中国企業からリースした貨物船が、戦中に海軍に徴用され沈没してしまった。中国船主の子孫が日本企業に未払いリース代金を求めて提訴。裁判所はこれを認めて、商船三井の鉱石運搬船を差し押さえてしまった。これに対し、商船三井は40億円の供託金を支払った。係争は未だ続く。
 昨日宮崎県漁協が数年前座礁した中国船引き上げ費用4億円の支払いを巡って提訴。中国企業は支払いを拒否して経営者はトンズラ。保険会社は、契約外と知らぬ顔。
 一方は70年前の契約に基づいて補償金を支払う意志を示しているのに拘わらず、片一方は10年前に起こったたった4億円の補償金を踏み倒して逃げようとしている。これが世界第二の経済大国、先進国のする事でしょうか?要するに、韓国だけでなく、中国も三流後進国ということです。
(14/04/26)

 中国GDPがこのところ7%台で、遂に7.4%になったことが話題になっています。この原因は何でしょうか?色々云われていますが、中国GDPは10年の12%をピークに後は下がり続けています。多分北京五輪や上海万博で儲けた富裕層(民間、共産党幹部)の資産が、この時期をきっかけに海外に流出し、国内再生産に向かわなくなったのでしょう。何故向かわなくなったか?それは共産党独裁という国家システムを、誰も信用していないからです。アナーキーだねえ。その通り、中国人とその社会は究極のアナキズムが支配する社会です。毛沢東など甘っちょろい。
 ロシア人にもそういう処がある。プーチンなんか甘っちょろい。ロシアアナキズムは果たしてウクライナ併合を許容するでしょうか・
(14/04/16)

 今世界三3位の武器輸出国はドイツです。そのドイツに、今や世界第二位の軍事大国中国の国家主席が訪問し、何やら話しをまとめたい様だが、これが上手く行かない。チャンコロ習は当初、メリケルにアウシュヴィッツ見学を申し入れたが断られた。と言うより、習の無知・アホさが露見したのである。当たり前だが、アウシュヴィッツがあるのは、ドイツではなくポーランドである。幾らドイツ首相でも、他国に案内するわけにはいかないだろう。国家主席ともあろうものが、それぐらいのことも知らなかったのか、とあきれ果てる。だからチャンコロ呼ばわりされるのである。
 その後講演で南京で30万人、全体で3500万人*の犠牲者を出したと、白髪三千丈的誇大広告をぶちかました。国家主席がこんなことを云ったのでは、後で取り返しがつかなくなる。当に退路を断った感がある。それに対するドイツの反応はどうかというと、フランクフルターアルゲマイネによれば「ドイツ政府の今後の対中外交は、従来の経済一遍道ではなく、人権・民主主義分野も含める」「パートナーであっても友人ではない」と甚だ冷淡。何となく、習にとって当てが外れた状況。これにはウクライナ問題に対し、中国が中途半端な態度を採ったのがひびいているだろう。
 習のあまり効果的とは云えない外交を余所に、モンゴルでは日朝会談が急テンポで進んでいる。この背景にあるのは、最近の中韓同盟強化である。これにくさびを打ち込むために、北が日本に接近してきたのである。筆者は、これは利用した方が良いと考える。
*この数字の大部分は日中戦争間というより、その後の国共内戦による疑いがある。略奪にしても、日本軍によるより、国民党軍によるものの方が酷かったのである。
(14/03/30)

 中国南部昆明で、死傷者170人に及ぶ無差別殺人事件。当局は新彊ウイグル自治区の過激派の仕業と断定しているが、疑問の点もある。
1、まず170人もの死傷者を出した武器について、中国当局は具体的な説明をしていない。刃物によるという報道もあるが、カンフー映画じゃあるまいし、槍や刀でこんな殺傷事件が実現出来るでしょうか?
2、新彊から昆明まで2000㎞はある。その間武器を隠匿してどうやって移動出来たのか?無論現地に組織があって、そこが武器を調達した可能性はあるが、現在の中国では全ての通信が管理されている。そんなことが出来るのでしょうか?
 逆にそんなことができたとすれば、それこそ現中国政権の治安維持能力に疑問が発生する
 つまり新彊ウイグル独立派の仕業という、当局の発表そのものが疑わしいのである。
1、本当は共産党や当局の腐敗や、経済格差に対する不満。駅で事件が起こったのは、象徴的だ。ただ、そういってしまえば、共産党のメンツを潰すから、とりあえず独立派の所為にしておく。そうすれば地元治安当局も地方共産党も傷つかない。
2、全人代を前に、習政権追い込みをたくらむ守旧派の牽制。全人代が終われば、習金平は大規模粛清に乗り出すと言う噂がある。それじゃたまらんと、守旧派が牽制球を投げた。
3、その逆に習が守旧派を牽制するための自作自演。
 ワタシは何となく3、自作自演が正しいのではないか、という気がします。
(14/03/02)

 本日ロイターによると、中国シャドーバンキング6行の負債が約8億元、日本円なら100億円近くになるという。原因は山東省に本拠を置く石炭会社。これが発行した社債の総額が何と300億元(5000億円)ぐらいになる。
 これなど今の中国裏経済社会では氷山の一角だろう。日本なら大騒ぎで政局に発展しかねないが、中国では何処吹く風。なんとなく終わってしまう。そうする何らかのシステムがあるのだ。その一つは上位下達の儒教社会、もう一つは共産党絶対主義。何か事が起これば、責任者を処罰すればそれで終わりなのだ。
 そもそも中国石炭(と石油・ガス)産業は温家宝の縄張り。これの利権を巡って、裏で胡・温派と習近平・江択民派のせめぎ合いがある筈。温はシャドーバンクを使って資金を自派ファンドに移し、それはタックスヘヴンを通じて欧米に流れる。無論流入を受けた側は、金に色は着いていないから大歓迎。最近のギリシア国債の値上がりを始め、ヨーロッパ経済が再びバブル気配をうんでいるのは、その所為だろう。
(14/02/14)

中国広東省で覚醒剤村一斉摘発。党書記を含む180人余を逮捕と言うが、逃げたのがこの10倍はいるはず。共産党組織まで巻き込んだ密造カルテルが存在するということだ。こんなこと別に驚くことではない。90年代から始まった改革開放で、中国共産党(と人民解放軍)は、巨大犯罪組織になってしまった。只これは中国だけの問題ではない。
 昨年掴まった愛知県稲沢市議が立ち寄った先もここか?ジイサンの嫌疑は一向に晴れる気配はない。ズバリジイサンは死刑。馬鹿が一人いなくなってメデタシメデタシ。
(14/01/04)

 中国が月面着陸に成功したと云うことで何処も大騒ぎだ。しかし月面着陸自身は3、7年前の旧ソ連以来何処の国もやっていない。何故か?

 連日報道されるタイの反政府デモ。ターゲットになっているのは、国外逃亡中のタクシンだが、彼の背後には中国が控えている。タクシンやインラックは中国の操り人形。最近、タイー中国間で米と水(タイが供給)と新幹線(中国が供給)のバーターが決まったという報道がある。無論巨額の裏金がタクシン派に動く。これが農民買収にばらまかれるのであるその替わりタイ農民は、水という喉元を中国人に搾り取られるのだ。
(13/12/03)

 謎に包まれていた、中国三中全会の内容が段々明らかになってきました。当初、李克強首相は経済改革を進め、国有企業をリストラし、民間活力優先で経済再生方針を表明していた(リコノミクス)。ところが最期になって、習は公有経済堅持、言論思想の自由制限強化を表明。リコノミクスは何処かへ行ってしまった。おそらく共産党保守派、とりわけ上海閥の抵抗が強かったのだろう。そのトップにいるのが江択民。習も江の引きでトップまでのし上がれたのだから、江に頭は上がらない。そこにあるのは、共青団vs共産党保守派、とりわけ上海マフィアとの対立抗争。胡・温体制下(共青団)10年で、中国は10倍以上の経済発展を遂げた。その替わり経済格差も10倍以上に広がった。これが現在中国の最大不安要因である。一方習は、共青団政治と決別し、薄派を弾圧し、今後10年に渡って、上海閥中心政治を継続しようとしている。さてこんなことが可能でしょうか?人民の不満は更に鬱積し、それを余所に富裕層や権力層による、資産の海外移転が進行する。つまり中国は表面はキンキラに輝いているが、中身はがらんどうになりつつあるのである。巷間に囁かれる、習は中国共産党王朝最期の皇帝になる、という見方が現実味を帯びてくる。
 ここで哀れというか滑稽なのは、最近中国を訪問した、張富士夫をトップとする日本財界訪中団。一体何を望んで中国に行ったのか?結局は中国政財界の主要人物の誰にも会えず、相手から歴史認識について云いたいことを云われ、すごすご引き返してきた。ブザマとしか云いようがない。当に・・・・中国では王朝は永久ではないという・・・歴史認識が無いのである。
(13/11/21)

 「大男総身に知恵が回りかね」という言葉があるが、今の中国が当にそれに当てはまる。フィリピン台風被害で、当初中国の対応は極めて冷淡。ところが日米の動きが大規模になると判ると、途端に本日支援隊を送る用意があると言い出す。これをフィリピンが受け入れるかどうかは別問題だ。
 客が熱いスープを欲しがっているときに、ぐずぐずして冷めたスープを出せば、客はここの主人は私を嫌がっていると思うだろう。援助にしろ、契約にしろ、その実行がタイミングを失うと、効果など全く無くなってしまう。20年東京オリンピックが決まった時、中国も韓国も祝電を送るのに一日以上懸かってしまった。これを周辺諸国はどう思うか?「所詮おこぼれが欲しかったのだろう」となってしまう。効果が逆効果になってしまうのである。
 何故中国がそうなってしまったのか?それは共産党を頂点とする官僚機構がそうしてしまっているのである。今のような国際化社会では、外交部門は諸外国の情報を如何に早く把握しそれを正確に伝えることが重要である。ここで官僚機構が力を持ち出すと、まず情報のセレクトが行われる。つまり出先は、中央が承認しそうな情報を優先して伝達するようになる。その結果、中央は誤判断に陥る。その結果、誤った政策が実施されるようになる。
 これは何も今の中国だけの事を言っているわけではない。前大戦中東条内閣当時の日本がそうだったのである。勘違いしないように。
(13/11/17)

 中国で薄派が新党結成。三中全会最中にとんだ騒ぎ。果たしてこれ、薄派単独の行動か、それとも共産党内部での対習揺さぶりか?新党は薄を終身主席に選んでいる。共産党が薄新党を政治協商会議メンバーに承認すれば、薄に対しては手出しできなくなる。これは合法的居座りなのだ。非承認という手はあるか?これ結構微妙である。
(13/11/10)

 中国山西省事件に前後して東北地区遼寧省で連続して爆発の様な音がしたという噂がある(11/07)。無論中国当局は完全黙視。遼寧省と云えば、薄キライの原点。彼はこの地区の党書記から権力の階段を上りだした。当然当時の人脈・・・つまり毛派・・・が相当残っているはずである。勿論ウイグル族など、何の関わりもない。
 これら一連の破壊事件を、中国政府・共産党は一部の少数民族過激派の仕業に矮小化したいのだろうが、実際はもっと大きい・・・但し組織化されていない・・・広がりを持っていると見るべきである。
 何故この様な事件が今頃出てきたのか?それは未だ、習近平が権力を掌握しきれていないこと、習の治世方針がどの辺りにあるかが未だ確立していないことだろう。太子党の人脈を使ってのし上がって来ただけだから、そんなものは無いのかもしれないが。
 なお毛派は貧困層に、ウイグル族は被迫害少数民族に立脚する。いずれも抑圧・疎外された存在である。70年代ゲバラの解放理論によれば、これらは共通点があり、両者が連帯する可能性はある。但しこれにアルカイダのようなイスラム過激派が加わってくると、話しはややこしくなる。
(13/11/08) 

 今度は山西省共産党本部ビルへの爆弾テロ。あのビル4~50階ぐらいあるのではないか?たかが1政党の地方支部が、あれだけの巨大ビル・・・・日本の自民党本部ビルよりでかい・・・を所有すると云うことは、今の中国共産党が如何に組織的に肥大化しているかが、よく判る。「大男総身に知恵が回りかね」状態か?
 それはともかく、これら一連の事件は、組織的なものでなく、ウイグル族や国内不満分子による突発的犯行という宣伝が為されている。しかしこれは今の共産党中央の苦肉の策。この様に問題を経済格差に矮小化しておけば、トカゲの尻尾切りで難局を乗り越えられる。北京事件直後、新彊省トップが交替させられたのはその証し。
 しかし誰が考えても、犯行のタイミングやターゲットから、背景に何らかの組織があると見るのが当たり前。その点、筆者は、未だ事件と博派つまり毛派との関連を疑っている。解任された前新彊省トップは、人脈的に博キライに繋がる。北京事件犯人はウイグル系とされているが、本当はどうか判らない。北京直後の四川省事件、今回の事件ともに、犯人が何者かは明らかにされていない。おまけに山西省は、かつて日中戦争時代、共産党が支配していた地盤だ。
 似たような事件は今後も続くだろう。「地方(農村)に拠って、中央(都市)を包囲する」これは毛沢東「人民戦争」理論の基本である。今の中国共産党は本拠を置くべき農村を忘れ、都市に特化してしまった。つまり、解放より富裕化を優先してしまった。そこを狙われているのだろう。
(13/11/07)

 北京天安門広場で、乗用車が外国人観光客を含む歩行者の居る歩道に突っ込み死傷者多数。ここで注目すべきはほぼ同時期に、四川省でバスが警察に突っ込むという事件が起こっている。タイミングから見て、これらは同時多発テロと見るべきである。
 では何者がやったか、が問題だ。筆者は背景に、例の薄キライ裁判があるのではないか、と思っている。そもそも四川省は薄の地盤。薄を支持する毛派が、裁判を機会に、権力を握る習派(太子党)に対する巻き返しを始めたのではあるまいか?天安門事件を報じた微博には、毛沢東の写真がこれ見よがしに載っていたという。
 毛派は共青団系にとっても、習派にとっても天敵。一方共青団系と太子党(+江沢民ら江南閥)も敵同士。と言うことは、今の中国は共青団系、太子党、毛派が鼎立し、互いに覇権を競い合う、新三国志の世界に突入したということだ。

 なお、本日午後中国当局は北京事件の犯人としてウイグル系二名を拘束したと云われるが、ウイグル系が毛派と結ぶ可能性は十分ある。
(13/10/29)

これは、このほど中国政府が発表した、261年前の古海路図です。中国はこれを根拠に、尖閣諸島の領有権を主張していますが、これは果たしてホンモノでしょうか?ネット画面で見る限り、これはホンモノではなく、明らかに捏造品である。

 

 当たり前だが、まず第一に、こんな精密地図が260年前の中国に存在していたことが疑わしい。第二に台湾島の両岸にある線は何か?これは鉄道ではないのか?台湾での鉄道は100年以上後の日本領有後である。又中国国内にも、鉄道ではないかと疑わしい線がある(図左上)。この地図の炭素年代測定が必要だろう。
 中国は何か対外問題が生じると、まず既成事実を作り、その後にこういう資料がある、と古証文を持ちだしてくる。処がその証文は相手国には残っていないのが通例である。これはチベットやフィリピンでも共通する。つまり後出しジャンケンを、みんなが見ていないところでやっているのである。
 何故中国はこれほどまで、捏造を繰り返すのか?それは儒教にある。儒教は支配者の嘘を認めるが、被支配者の嘘は認めない。この矛盾が200~300年毎に繰り返される王朝交替の原因である。儒教では、天帝の命で皇帝が地上を治める。皇帝の命令は天の意思と、矛盾があってはならない。処が人民の要求と治世の間には、しばしば矛盾解離が生ずる。これが人民の暴乱を
招く。これは地上の皇帝の責任である。皇帝はそれを認めるわけには行かない。このとき、儒教は皇帝のための学問だから、天に対し嘘をつくことを奨める。これが王朝毎に繰り返される、歴史の捏造・改竄である。この様な混乱を招いたのは、人民の中に暴乱を唆す何者かがいるわけだ。そのものを許すわけにはいかない。そいつを追放するためにも、人民の嘘は認められないのである。これも王朝交代時によく見られる、大量虐殺である。この矛盾は1000年経っても消えないだろう。世界の政治家や歴史家は、中国は壮大な矛盾国家で、且つ本質的に捏造国家だと言うことを忘れてはならない。
(13/09/21)

 中国自慢の空母遼寧が、東シナ海での共同演習を突如中止して大連に戻った。これについては今のところ次の二つの憶測がある。
1、毎日新聞 金子専門委員の意見
 習近平の大連訪問に合わせて急遽帰港した。習は遼寧艦上で、海兵を前に中国海軍の勢威強化を力説した。
2、その他(例えばニューズウイーク等外信)
 遼寧は何らかのトラブルを起こし、急遽帰港し、大連のドックに入った。

 さて、どちらが本当でしょうか?筆者には、2の方が納得出来ます。まず1の場合、習が海軍力強化演説をするなら、何も大連でやる必要はない。むしろ現在海南島で建造中の新空母を背景にした方が、より効果的だろう。習のため遼寧が急遽引き返したというのは、とってつけた理屈。
 そして重要なのは遼寧が大連の何処へ入ったか、だ。2では明確にドックに入っていると言っている。おそらくこれはアメリカも衛星から確認しているはずである。習の演説だけなら、ドックに入る必要はない。遼寧がトラブルを起こしたが、それを瑚塗するために、習が慌てて大連に赴いた、と言うのが実態だろう。

 そもそも皆さんは、遼寧を過大評価しているのではあるまいか?あれはウクライナで建造開始以来、既に艦齢20年を越える老朽艦。最大速力はナント19,5nt。これじゃとても攻撃型空母にはなれない。せいぜい訓練か実験用が関の山。米海軍では、”浮かぶ標的”と呼んでいるらしい。”浮かぶ棺桶”と呼んだ方が良いかもしれない。むしろ現在建造中空母の方が重要である。
(13/09/12)

 中国で元鉄道相に執行猶予付き死刑判決。死刑で執行猶予など聞いたことはないが、要するに政府のメンツを立てて、とりあえず死刑判決を出して置くが、実際に執行するかどうかは、その時の政治判断というお話し。如何にも中国らしい曖昧決着だが、こういう場合大抵背後に権力闘争がある。一つは、元鉄道相支持派vs反鉄道相派の抗争。もう一つは、SNSで流れる官僚・党幹部腐敗批判の波。人民の抗議をこれ以上無視出来ないから、とりあえず死刑にしとけ、てな具合。
 どっちでも良いが、こんな間にも元鉄道相はせっせと資産を海外に移転。その内自分自身も海外逃亡を企てるのではないでしょうか?
(13/07/09)

 今ワタクシが注目しているのが、習近平による「何らかの譲歩が無ければ、日中首脳会談はない」という声明です。これが声明と云えるかどうか判らないが、ロイターも報道しているから、それなりの根拠はあるのでしょう。全く何も判りませんが。
(13/06/29)

 最近の話題の一つが中国7月危機。主役は中国「陰の銀行」。「陰の銀行」とは何者か?中国に非合法の「闇の銀行(黒銀行)」があるのは承知していたが、「陰の銀行」とは聞いたことがなかった。「陰の銀行」とは、正規の金利では融資を受けられない中小企業やベンチャーに、高金利で貸し出しをする金融機関で、こちらで云う所謂ノンバンク。大手銀行が副業でやっているケースもある。最近のヨーロッパ不況や不動産価格の値下がり、更に日本円安攻勢*で、中小企業の資金繰りが悪化してきた。これが「陰の銀行」の破綻に繋がりかねないというのである。なんだ、かつてのアメリカサブプライムローンや日本の住専と同じ構図である。
 処がこれがそんなヤワなものではない。彼等の全融資額は、中国全体の金融資産の半分を占め、200兆円以上とも云われる。日本の国家予算の6年分だ。これが連鎖倒産を起こしたら大変な事になる。中国は売り上げは大きいが、中身は未成熟な疑似資本主義国家。経済危機は成熟した資本主義(=民主主義)国家と違って、直ちに政治危機に繋がりかねない。政治危機は中央政府の統制弱化に繋がる。又他民族国家とは云うものの、漢族一族支配が強化されている支配ー被支配民族国家。被支配民族は支配民族に対し常に不満をもっている。中央政府統制劣化は被支配民族の民族主義に火を付けて、国家分裂騒動になりかねない。だからワタクシは前から云っている様に、中国進出企業は速やかに撤退すべきだ。それが顕在化するのが、今年7月頃だということなのである。7月に注目。

*10年の尖閣沖衝突事件以来、日本はレアアース調達の多元化を進め、中国からの輸入は一時から4割減。この結果、中国ではレアアース採掘業者の倒産が相次いでいる。
(13/06/25)

 先月来話題になっているのが、トルコ・ブラジルでの反オリンピックデモ。さてこの騒ぎで一番イライラした国は何処でしょう?筆者はそれを中国と考えます。この騒ぎは、これまで中国が新興国に奨めてきた政治モデルの破綻を意味するからです。
 20世紀という時代は政治思想的には、全体主義vs民主主義の対立の時代と定義出来るでしょう。全体主義には、かつてのドイツやオーストリア・日本などの専制君主制もあれば、ナチや旧ソ連のような一党独裁等様々なパターンがあります。民主主義にも、イギリスや北欧諸国のような立憲君主制もあれば、フランスやアメリカのような共和制もある。しかしこれらの勢力は離合集散を繰り返しつつも、結局1990年ソ連東欧崩壊で、民主主義勢力の勝利に終わった*。
 この結果俄に起こったのが、市場原理主義に基づく新自由主義経済の拡大。これが欧米先進国と周辺諸国との経済格差を産んだ。更に国内での経済格差は周辺諸国にも影響し、元々経済格差が無かった周辺諸国に、新たな格差を産んだ。しかし、ソ連東欧崩壊に味を占めたアメリカブッシュ政権が、イスラム圏に対し自由と民主主義の拡大を進めた**。この反発が、今に続くイスラム原理主義勢力による反米闘争になって跳ね返った。
 又、市場原理主義経済は、先進国にバブルを作り、先進国はその対応に苦慮する事になった。先進国がリーマンショックやギリシアショックで苦しんでいる間、一人成長を続けていたのが中国。北京オリンピックの後、中国は新興国に対し”統治主義”という概念を奨めだした。これは現在の中国の政治システムを政治理論に転換したものである。簡単に云えば、言論・集会・結社という民主主義的自由は認めないが、資本主義経済活動は政府の指導・保障のもとで自由に行わせる。社会活動は政府の指導の下におく、と言ったような者だ。要するに、片手で経済成長・所得配分という人参をぶら下げ、もう片一方の手では、文句をいうなと鞭で叩く、どの道を進むかは政府・指導者が決めるというシステムである。
 中国はリーマンショック後、自らの成功体験を基に、新興国にこれを奨めた。これに同調し、もてはやすアホ経済学者が欧米にも現れた。そしていち早くこれを導入したのがトルコであり、ブラジルだった。一般に経済発展は中間所得層を拡大する。処が、彼等は統治されることを好まない。これは矛盾である。トルコでもブラジルでも、当初反オリンピックデモを始めたのは、比較的高所得階層に属し高学歴の若者だった。彼等は中間所得層を代表する。トルコ、特にヨーロッパ側では既に中間所得層が形成されていた。ここにエルドアン政権は統治主義的政策を持ち込んだが、既に形成されている中間所得層からはアナクロ呼ばわりされるだけである。ブラジルも同じで、これまでの経済成長から既に中間所得層が形成されていた。オリンピック誘致というのは、彼等の眼では最早アナクロ政策。現政権がこの矛盾に気がついていなかっただけである。
 中国でも改革開放以来着実に増えているのが、中間所得層とその予備軍。そもそも改革開放政策は、この階層を増やすことが目的だったのだから仕方がない。処がこの階層が、いきなり牙を剥いて体制に噛みつきかねない。その象徴が今のトルコ・ブラジル騒ぎなのである。これが何時中国にバッククラッシュするか判らない。クワバラクワバラ
 
*筆者自身は1917年第一次大戦の終結によって、民主主義の勝利が確定したと考えているのだが、それに納得しない勢力も多い。
**このバックにあのアホのランド研究所がいる。ホントにこの研究所はアホの塊だねえ。
(13/06/23)

 段々明らかになってきたのが、オバマ/習会談の実態。習が核心的利益について1時間も喋ったり、ペーパーを一方的に読んだり。その狙いはアメリカを説得すると云うより、国内向けアリバイ造りのパフォーマンスという感がする・・・ということは国内には習を見張る闇の権力があるということだ。それは別にしても、このところ目立つのがアメリカ国内の不協和音。会談後、ベーダー前NSC上級アジア局長が、尖閣棚上げ論をぶったり、アベ内閣の右傾化を批判すると見るや、逆に民主党ら超党派議員が中国の海洋覇権主義を非難する決議を出すなど、米国内でも日中関係に関しては一致していないことが判る。日本はこの際なんとしても、アメリカ世論を味方に付けなくてはならないのだが、之までのアベや自民党議員の発言を総合すると、どうもその逆方向に行っている可能性の方が強い。ここを中国につけ込まれているのだ。それを補完するために、やたらアメリカ追従主義を叫ぶが、あんなもので信頼を作れるでしょうか?前の戦争は、あっさり侵略戦争と認めた方がよい。実際侵略戦争なのだから仕方がない。あれを侵略戦争と云わなければ、ボーア戦争もアフガン戦争も、皆自衛戦争になってしまう。
(13/06/13)

 オバマ/習会談が延べ8時間に及んだ事が話題を呼んでいますが、8時間も会談しなくてはならないのは、両国間にそれだけ問題が多いと言うこと。どんな問題が大きいでしょうか?一番大きいのはサイバー問題、それから知的所有権と不公正貿易でしょう。北朝鮮については、もしアメリカが北朝鮮を攻撃したら、中国はどうするんだ、といった話し。領土問題、特に東・南シナ海問題については、アメリカはむしろ及び腰、てなところか?
 問題を解決するのではなく、むしろ問題の存在を確認しあったといったレベルではあるまいか?何となく、習の方が一手先を行っている感じだ。
 しかし、習は毎朝ランニングと水泳を欠かさないといっているが、ラフスタイルで暴露されたあの腹では、とても信じられない。イイトコ週一ゴルフか犬の散歩程度。今後彼の健康問題が浮上してくるだろう。
 日本にとって一番の重大事は尖閣を取り巻く領土問題。しかし習の回答は「領土問題は中国固有の問題。アメリカは口出しするな」というにべもないもの。これに対しオバマは「お互い話し合いで解決してくれ」と逃げまくり。アメリカにもベトナム系、フィリピン系市民がいる。来年には中間選挙がある。このとき、これら東南アジア系アメリカ人がどういう投票行動を採るか見物。あのケニア人は未だアジアと中国の関係、中国そのものの歴史をよく判っていないようだ。
(13/06/10)

【習近平の憂鬱】
 中国で習近平政権が成立してからおおよそ2ヶ月が経ちますが、この政権今や次のような数々の内憂外患に襲われている。果たして彼はこの難関を越えられるか?
1、いうことを聞かない北朝鮮
2、経済の減速
3、一向に埒が明かない尖閣問題
4、環境汚染と鳥インフルエンザ
それに加え
5、第二四川地震
がある。

1、いうことを聞かない北朝鮮
 これまでは北朝鮮は子分扱いだった。朝鮮戦争の時、完全にノックアウトされていた金一派を、リング際で救ったのは中国である。その恩義があるから北は何でもいうことを聞くと思っていた。ところが3度の核実験に成功し、おまけにテポドン打ち上げまで成功したら、途端に態度が変わって一人前にブイブイ云わすようになった。ヤクザ世界でもよくある話しです。なんやこの野郎生意気な、と思っても、相手はそこそこコワイ武器を持っている。ウッカリ手を出す訳にはいかない。
 それともう一つ重要な点を皆さん判っていません。朝鮮民族は一つではない。大きくは扶余族系と高句麗系に分かれます。前者はBC2世紀頃北方シベリア地域から南下してきたツングース系騎馬民族で、新羅・百済といった古代国家を作った。彼等は中国(漢)に服属し、農耕民族化した。後者は同じツングース系騎馬民族だが、AD4世紀頃に南下し半島北部を支配した。彼等が鼎立した時代が所謂三国時代である。彼等の支配地域は、北朝鮮が概ね高句麗に、新羅・百済が韓国に被るのである。だから同じ朝鮮人でも北朝鮮と南韓とは、歴史も伝統も異なり、それどころがお互いが支配被支配の抗争を繰り返してきた。この中で、中国に対し事大主義を貫いてきたのが南韓特に新羅系。今では韓国慶尚道、韓国保守派の地盤だ。新羅は特に日本とは折り合いが悪く、常に対立してきた。実は日本と一番仲が良かったのが高句麗である。白村江の戦いでは日本は高句麗と連合して唐と戦った。しかし唐と同盟して高句麗を滅ぼし、日本に痛撃を食らわしたのが南韓新羅である。
 その後高句麗の後継者である北韓地域は、常に南韓の支配や差別を受けてきた。この間に作られた中国とそれに内通する南韓への、煩の感情は相当のものだ。その恨みが核開発やテポドン成功で自信となり、過去南韓贔屓だった中国への反感になってるのだろう。と言うことで、北朝鮮は当分・・・どころか将来に渉って・・・中国のいうことは聞かず、独自路線で行くでしょう。但し金日成一族さえ追放出来れば、日本が高句麗に進出することは不可能ではない。
2、経済の減速
 2月の全人代で中国中央は昨年度の経済成長率を7.7%と発表した。中国の経済統計は水増しが多く、全く信用出来ないが、話し半分に聞いても実質成長率は3~4%と言うことになる。これでは全く話しにならないだろう。何故こうなったかと言うと、まず1)ヨーロッパ経済の不況、2)日本や欧米資本の中国脱出、3)国内人件費等製造原価の高騰、4)日本の円安政策等が挙げられます。しかしこれらの内(1)~(3)までの3要素は、中国が自ら招いたのではないかと考えられるのである。
 中国GDPの7割は国営企業が稼ぎ出し、その大部分は輸出に廻る。GDPの低下は輸出の減速であり、その結果は国営企業の経営悪化、ひいては共産党幹部の利権縮小に繋がる。これは共産党への求心力の低下に繋がり、共産党の分裂にも繋がりかねない。その所為か、昨年来よく聞かれるのが、アメリカ不動産への中国人投資。昨年すっぱ抜かれた温一族による米国不動産取得などこの一例。これ国営企業幹部(=共産党幹部)の個人資産移転ではあるまいか?つまり共産党幹部自身中国経済の将来に見切りをつけ、泥船からネズミが逃げ出す様に、逃げだし始めているのだ。それを加速するのが、日本以上のスピードで進む高齢化である。最近IMFは20年後の中国成長率予測を6.5%と発表したが、これは少し甘い気がする。もっと早い段階で、もっと深刻な事態が起きるだろう。
3、一向に埒が明かない尖閣問題
 連日のように報道される中国艦船の尖閣領海への侵入報道。これを監視する日本の海上保安庁や海上自衛隊もしんどいだろうが、それ以上にしんどいのが中国海監や海軍部隊だろう。目的も判らず、予定も分からず、毎日単調な作業を繰り返す位しんどいことはない。軍部や隊員にも不満が溜まる。政府もなんとか解決の道を探りたい。その所為か、昨年は威勢の良かった、最も強硬派の海軍の羅少将が今年突然更迭された。しかし、日本政府は何の反応もなく相変わらず知らん顔。アホ相手の勝負ぐらいやりにくいものはない。
 今中国は超遼寧級の新鋭空母2隻を建造中である。そのために海南島に専用ドックも作った。その結果何が起こったか?最近の報道では老朽化したフリゲート艦8隻を新造ではなく、改造して使うことになっった。要するに、新型空母建造に金が懸かったので、従来型艦船を新造ではなく改造で済まそうというわけだ。何となく戦前の日本海軍を思い出します。あの時も、戦艦大和などという役立たず建造に金を使いすぎて、連合艦隊の兵備バランスが著しく悪くなった。これと同じ状況だ。これだけでなく、現在中国の兵備状況は老朽化が進み、殆ど2流軍隊である。特に海上兵備で問題になっているのが、原子力潜水艦である。現在中国保有の原潜は80年代建造と言うものが主流。それも旧ソ連製のコピー。これじゃ役にたたない。これを更新したいのだが、空母が邪魔をするのだ。これというのも尖閣問題で日本と衝突を侵し、日本からの投資も減り、軍備近代化に廻す金がなくなったからだ!一体誰の所為だ!と言うわけで、内部分裂が始まります。
4、環境汚染と鳥インフルエンザ
 これも昨年から今年、つまり胡から習への政権移行期にいきなり明らかになった問題。PM2.5問題や湖南省での豚の大量死体遺棄事件、同じく化学工場からの汚染水排出事件。そもそもの原因は胡時代の過度な経済拡大政策。お前達の所為じゃ無いか、と云いたいだろうが、習も後半は副主席として政策に関与してきたのだから、偉そうなことは言えない。しかし最大の問題は、以前の江沢民時代までなら、力で押さえ込んでしまえた問題が、今やネットを通じてオープンになり、国内だけでなく海外にも拡散していくことである。この結果が、国際的にはチャイナリスク回避を産み・・・つまり中国への直接投資を減少させ・・・、国内的には共産党が求心力を失う。そして共産党の権威を失墜させ、非共産主を社会が生じさせかねない。と言えばカッコ良いが、現実はソ連崩壊の二の舞。これはイカン、ナントカせよ、という圧力が国内保守派や軍部から強まる。最悪はクーデター、天安門事件の再来だ。ナントカの意味はこれまでの利権を確保せよ、ということ。
 それに追い打ちをかけているのが、鳥インフルエンザ。これもPM2.5と同じ、共産党の権威を失墜させる役割を果たす。
5、第二四川地震
 今年4/20生じた第二次四川地震は、5年前のそれに比べマグニチュードで1オーダー小さかった。その所為か、中央政府の対応も1オーダー小さかった。前回は震災翌日に総理の温が現地入りし、直ちに解放軍を投入している。今回は対応はどうも1日ずつ遅れている。李克強が現地入りしたのは翌々日だ。それにも拘わらず、情報管制は前回以上だ。前回は震災直後からネットに様々な情報が飛び交い、国家統制が入ったのは1週間ぐらい経ってからだった。それに懲りたのか、今回は直ちに管制が実施され、メデイアに映るのは李や軍隊の行動過程だけ。おまけに地元民のヤラセ映像まで入る。これじゃ国民が白けるのは当たり前。これが共産党への不信感を増大させる。国家分裂の前兆だ。

 以上から云えるのは、今日本だけでなく世界中の脅威になりつつある中国も、内部に様々な矛盾を抱えている、ということである。習はこれを乗り越えなくてはならない。期限は概ね主席任期10年の前半5年である。しかしどの問題も簡単に片づきそうにはない。環境問題など、直ぐに自分の脇腹に匕首を突きつけられているようなものだ。習の背後にいる江沢民、それに対立する胡・温ら共青団。これらの矛盾をどう解決するか?それより周辺国にとって重要なことは、この矛盾を他人事と思わず、その結果が自分にどう降りかかってくるかを冷静に分析し、対応策を練っておくことである。
(13/04/28)  

中国の某SNSのネット世論調査で、8割が共産党一党独裁に反対。慌てて当局は接続を遮断した。だから云っているでしょう。中国に媚びる鳩山・小沢路線は愚策、何でもかんでも中国人を敵視する石原シンタローや自民保守・維新は下策、中国国内民主化勢力を支援して、内部から改革(と言う名の崩壊)を誘うのが上策だ。
 要するに一般中国人民と、それを搾取する共産党や国営企業ら特権階層を分断することが肝要。何故それができないか?アメリカも日本もヨーロッパも、資本がこれら特権階層と持ちつ持たれつ関係になっているからである。男も女もそうだが、深みにはまると身動きできなくなる。
(13/04/18)

 今の中国の大問題の一つに環境問題があります。環境問題で連日話題になるのは、大気汚染と河川の水質汚染。これも大問題ですが、それ以上に大きな問題が現在進行中です。それは三峡ダムから北京地区への大運河建設事業です。これは増大する北京市地区の水需要を確保するために、長江の水を北部へ分流しようというプロジェクト。現在相当進んでいるはずです。
 この結果、山三峡ダムから下流への長江の水量は激減するから、周辺の農産物は大打撃を受ける。それだけではなく、長江が運ぶ膨大な量の土砂の供給も減るので。上海デルタが貧困化する。つまり陸地が痩せこけ、海による海岸浸食が活発化するということだ。また、内陸からの供給土砂が減るということは、それに付着している有機物も減るということである。これは直接に食物連鎖に影響する。まず」有機物を餌とする微生物が減少し、微生物を餌とする魚介類が減少する。魚介類の減少は水産業の破滅を意味する。これは南シナ海及び東シナ海に影響を及ぼす。今でも海域の水質汚染で漁獲高が減少している中国水産業は、周辺海域への漁場拡大を目指し、それが周辺各国との摩擦を引き起こしている。その現れの一つが日本との尖閣列島問題であり、韓国やフィリピン・ベトナムとの衝突である。今でさえこれだから、大運河建設後はもっと問題は大きくなるだろう。
 日本や周辺諸国にとって問題になるのは海洋水産資源だけだが、中国本土ではそれだけでは済まない。ただでさえ工場排水で水質が汚染されているのに、今度は水量減少が追い打ちをかける。江南農業の壊滅である。江南地域はかつて中原政権に対し反乱を起こしたことが何度もある。これには巨大土木事業*が引き金になったことも少なくない。当に現在行われている三峡ダム大運河プロジェクトこそ亡国のプロジェクトである。さて習よどうする。
*秦・明の長城建設、随の煬帝による大運河建設。なお、今回の大運河建設には、日本企業も大型建設機械売り込みで儲けているから、あまり偉そうなことは云えません。
(13/04/11)

 以前買った「中国の大盗賊(高嶋俊男 1993 講談社親書)」と言うのを本棚で見つけた。読み返してみると、本書で挙げている事例が、現代中国とそっくり当てはまるのである。これは別に著者に先見の明があったというより、中国が過去何千年も何も変わっていない、ということなのだ。
 本書では幾つかの説を引用して、中国の盗賊発生原因を説明している。それを要約すると、つまり原因は農村が貧困だから、と言うことになる。中国農村が何故貧困かと言うと、第一に土地(可耕地)が狭いことである。狭い土地を小さく分割して大勢の人間に分ける。農業技術は発達せず、土地生産力が低下する。その結果農業の縮小再生産が起こる。次ぎに農業以外に産業が無ければ、第一の理由と相俟って、必然的に余剰労働力(つまり潜在失業者)が発生する。これが第二の理由である。この潜在失業者の多くは屈強の若者で、日本人ほど大人しくはない。実力で自分の要求を押し通すことに躊躇しない。ヤンキーの集団と思えば良い。更に役人の横暴と高い税金がある。役人は中央政府から派遣され、2~3年で転勤する。すると又別の役人がやってくる。こういうことを繰り返すから、役人は土地や住民に愛着をもたない。如何に農村から税金を収奪するか、だけが目的になる。当然農民もそうで、役人は畏怖する存在であっても尊敬の対象ではない。役人は国家の代理人だから、国家も農民から見れば同じだ。つまり中国農村には潜在的に中央政府への不平不満が溜まっているのである。こういう状況下で誰かがそこに火を付ければ、それはたちまち大きな炎となって燃え広がる。これが全国に広がれば、古い王朝は焼き尽くされ、その中から新しい王朝が始まるのである。
 果たしてこれは過去の話しでしょうか?とんでもない、現代中国は過去の中国の生き写し状態になっている。それも始めからそうではなく、ここ20年以来その傾向が強くなっているのである。先日、筆頭副首相の張が講演で、中国の現状に於ける解決課題として幹部の腐敗、地方政府の非効率、環境、過剰生産力等の他に戸籍を挙げた。日本人なら何故戸籍が問題なのかさっぱり判らない。それは中国と日本では戸籍制度が全く違うからである。中国では農民戸籍と都市戸籍があり、農民戸籍を持つものは都市での居住・就労が禁止される。これが中国社会を不安定化させる大きな要因になる。まず都市と農村部の経済格差である。農民は少しでも良い暮らしがしたいから都市へ行きたがるが、それは出来ない。農民は土地を持たない。土地所有者は国家だけで、農民は国家から土地を借りているだけ(要するにあの広い中国で、地主は一人と思えば良い)。土地を管理しているのは地方政府。だから地方政府は土地の売買を自由に出来る。そこで地方政府が土地を不動産会社に売り払い、農民を追い出すという事件が頻発した。土地を失った農民は都市に行くしかないが、農民戸籍が邪魔をして、都市に移住できない。浮浪者として流民化するしかない。なんと、改革開放が中国人民の貧困化を進めていると云っても過言ではない。
 又、農村は本質的に潜在失業者を抱えている。改革開放政策は、これを農民工という出稼ぎ工場労働者として吸収した。しかし何らかの原因で経済状況が変化*し工場が合理化に奔れば、都市戸籍を持たない農民工はたちまち失業者となり流民化する。これらの流民化した農民が結集すれば、流族・盗賊となって天下を覆す。斯くして農民の処遇が政府にとって緊喫の課題である。如何にして農民を黙らすか、このためには年率7~8%の経済成長が最低必要なのである。
*経済状況の変化としては、輸出経済に過度に依存する中国経済の場合、現在最大の問題は欧州経済危機、次ぎに日中関係の悪化と円安攻勢、更に資源・人件費の高騰が挙げられる。
 さて7~8%の経済成長が今後も持続可能であろうか?先日アメリカFRBは「2030年代には中国経済成長率は6.5%に低下する」という予測を発表した。理由は日本を上回る速度で進む高齢化で、30年代には中国は人口減少に陥ると見られるからである。筆者はこの見通しは少し甘いような気がする。FRB分析はマクロ経済に偏り過ぎ、制度・システム・実態経済を無視しているような気がする。中国の歴史を見ると、ある王朝末期に世直し農民蜂起が発生し、次の王朝が成立するまでの期間は平均20年位である。しかしこれは旧王朝の滅亡や新しい小王朝が出来たりする混乱期である。旧王朝滅亡に要する時間は遙かに短く、平均2年といったところ。又混乱期に出来る中間王朝の寿命も短く半年という例もある。中国の場合、何かが起こるとそれが劇的に進展するケースが多い。その意味で、中国の今後10年は、思いも寄らぬ展開があるやも知れぬ。未だ、中国に未練や希望を持つ人達は、その点を十分考えておくべきである。
(13/03/29)

 中国南部広東省のある村で、村長が勝手に土地を不動産業者に売り払ったので、怒った農民が市役所を占領して村長を追放してしまった。これに驚いた省政府は武装警官隊(といっても実質的には人民解放軍の一部)2000人を投入し、農民暴動の鎮圧に掛かった。その結果数人の死者と数人が逮捕された(この数字は多分相当改竄された可能性があり、実数はこの10数倍以上に登るでしょう)。その他の農民は逃げ出した。さて問題は、逃げ出した農民は何処に行くのか?或いは何処に行ったのか?だ。
 この様な騒動は珍しいでしょうか?とんでもない、中国史では王朝交替期に、この様な騒ぎは頻繁に起こっています。地方政府の圧制に苦しんだ農民は土地を捨てると逃亡生活に入る。諸国を放浪し、行く先々で略奪を重ねる。かれらを流族という。この流族が幾つか集まり一定の規模を持つと、略奪も組織的になる。これを盗賊という。水滸伝の英雄達は概ねこのレベル。更に盗賊が大勢集まって一定の地域を支配し、朝廷に対抗するような軍事力を備えると、それは最早地方政権であり、その親玉は王を名乗るようになる。例えば秦末の陳勝とか、明末の李自成なんかである。この王の中から抜きんでたものが現れ、他の王を従えるようになる。これが前政権を倒すと、彼は新しい皇帝となり、新たな王朝を開き国家全体を支配する。漢の劉邦、明の朱元璋がその例で、毛沢東もその口。21世紀の今そんなことは、と大概の人は思うだろうが、中国だからこそ今更のことが起こるのである(中国の歴史を大雑把でもよいから読んでみると、姿形は変わっても同じ事を、飽きもせず何千年も繰り返していることが判る。
 さて今の中国では、上に挙げた騒ぎは別に珍しいことではなく、大小合わせると年間数千件も起こっているらしい。一カ所でも火がつくと、たちまちそれは全国に燃え広がり、政権を転覆させかねない。現在中国は全人代の真っ最中。こんな時にこんな騒ぎが大きくなっては大変。かといって無視すると火が更に大きくなる可能性がある。と言うわけで、習政権は口では腐敗撲滅を謳い、実質は農民暴動を弾圧する二枚舌作戦。しかしこんな対処療法・事なかれ作戦が長続きするわけはない。何故なら腐敗こそが共産党や軍幹部の重要な収入源だからだ。今年の全人代では経済成長率7.5%が了承されたが、昨今の人件費高騰、円安、ヨーロッパ不況を見渡せば、7.5%の名目成長率は実質1~2%に過ぎないのではないか?それが昨今のアメリカ不動産への中国人投資を呼んでいるのだろう。つまり、富裕層を中心に富の海外移転が生じている。ネズミが沈没船から逃げ出すように、中国支配層が中国からの脱出を始めたようだ。
(13/03/13)

 以前紹介したバーバラ・タックマンの「八月の砲声」を読み返してみると、第一次大戦前のドイツと現在の中国が置かれた状況がそっくり瓜二つだと云うことが判ります。19世紀末から20世紀にかけてのドイツは、統一を果たし、産業革命も達成し、ヨーロッパ最大の軍事力とイギリス・アメリカに次ぐ大艦隊を保有し、海外にも植民地を持つ英米仏露に次ぐ帝国主義国家に成長した。その結果は中欧随一の大国として、「イギリスは最早衰退しつつある老大国、フランスは堕落し、ロシアは革命寸前の破滅国家、唯一世界を改革し前進させ支配出来るのはドイツ」との自負心となった。そしてこれが弱い周辺国家に対する優越感となり、軍事的圧力を産んで外交的軋轢を生じることになった。一方、この優越感の裏返しが先進国に対する劣等感である。ドイツはこれほどまでの力を持ちながら、それに相応する待遇を受けていないというコンプレックス。それは周辺諸国により包囲されているという被害者意識となる。その筆頭がイギリスで、アングロサクソンの陰謀が常にドイツ人の不安感を誘う。これが逆に周辺諸国にも影響して、1910年代にはドイツにも周辺諸国にも、一戦は避けられないという雰囲気を創り出してしまったのである。
 さて、2013年3月中国全国人民代表大会。温家宝の涙ながらの政治改革要請はあっさり無視され、ひたすら軍備増強の大合唱。ここに見られるのもまずGDP世界第二位の経済大国、アメリカに次ぐ世界第二位の軍事大国の達成という自尊心・優越感。一方アメリカは最早衰退する老大国であり、ロシア・EU・日本もそれに替わる力はない。当分は中国が世界のリーデングネーションだ、今や世界に中国を凌ぐ勢力はない。しかし日本始め周辺諸国は中国に対する警戒心を緩めず、服従するどころか敵対心まで露わにする。唯一例外は韓国で、この国だけは脅すとすぐにペコペコしてくれた。昔と同じ憂い奴じゃ。それに比べ日本はー!それは別にしても、中国はこれだけ巨大強力になったのに、世界はそれを認めず中国にその力に応じた待遇をしない。それが不満なのだ。
 もう一つの共通点は両方とも陸軍国ということである。タックマンは「陸軍国ドイツは世界第一の海軍国商船保有国イギリスが中立を保持する限り、物資の海上輸送を妨害される恐れもなく、どのような組み合わせにしろ同時に二カ国を敵に回して戦う事もできた。そう考えてくると、ドイツは海軍があるよりもない方が他国より強力でいられたかもしれない」と評している。ドイツを中国に、イギリスをアメリカ(或いは日本)に置き換えて見ると、今とそっくりなのである。
 強大な陸軍国が海軍を拡充することはそれほど難しいことではない。強大な陸軍を維持するにはそれなりの工業力が必要で、それを海軍建設に振り向ければそれで済む。又、資源・経済力を持っておれば、それを担保に諸外国から軍艦を購入する事も容易である。元陸軍国でドイツ的付け焼き刃海軍を作った国はほかに幾らでももある。例えばナポレオンのフランスやロシア。どれも長続きしなかった。何故かと言うと、軍艦を作るのは金に任せればどうにでもなるが、人材の育成はそうはいかないからである。まず時間が懸かる。なによりも経験が重要である。ロシアもドイツも経験が足りなかった。その結果、ロシアもドイツも明確な海軍戦略を作れなかった。海に大きな軍艦を浮かべておけば、周辺諸国は皆云うことを聞くとでも思っていたのだろう。処が世の中はそう甘くはなかった。巨大海軍はとにかく高く付く。陸軍国にとっては持ち慣れない宝だ。政府としてはなるべくこれを消耗したくない。だから温存主義に奔る。宝の持ち腐れだ。ロシアもドイツも決戦を避け、温存に奔ったため、海軍を滅ぼしたのである。
 ドイツは、上に挙げた不満を他に転嫁出来ず戦争に踏み切り・・・・カイゼルは口先では開戦を叫んで見たものの、最期まで踏み切れずモルトケに脅されてやっと決断した。そのモルトケも計画を撤回したときの混乱を恐れただけである・・・・遂に敗戦の憂き目。中国はどうか?今の中国はかつてのドイツとは人口・GDPも比べものにならないぐらい巨大化している。もしこのモンスターが暴走を始めたら、如何に強力な政府でもそれを押しとどめることは出来ないだろう。しかも習政権はこの不満を解消する努力を払う気はないようだ。そしてその結果は人類史上最大の惨事になりかねない。これを避ける唯一の方法として筆者が考えるのは、中国の内部崩壊を誘うことである。現代世界最大の癌は中国共産党と人民解放軍である。これ自身、中国最大の矛盾でもある。これに対する人民の不満を、共産党独裁支配体制打倒に振り向けるのである。受け皿として筆者が考えているのがノーベル平和賞受賞者劉堯波だ。
(13/03/06)

次の中国外相は知日派と期待半分。但し中国外交を実質的に支配しているのは人民解放軍。外相など誰がなろうと同じだ。
(13/02/24)

 今中国の大気汚染が注目を浴びています。下の図は昨日毎日新聞に載った東アジアの大気汚染予想図。実はこれは現在のこの地域の矛盾を表したものです。PM2.5濃度の高い地域は、中国東部・台湾・日本西南部を含む東アジアと、インド・東南アジアを含む南アジアの2ブロックに別れますが、どちらも原因は似たような者なので、ここでは東アジア特に中国について問題を考えて見ましょう。

 中国大気汚染の原因とされるものは、(1)エネルギーの7割を依存している石炭からの排ガス、(2)年間1500万台ずつ増えると云われる自動車からの排気ガス、と云われます。更に重要な点はガソリンの品質です。自動車排気ガスの原因はガソリンですが、これの品質が悪く・・・つまり精製が不十分・・・その結果、硫黄分含有量が先進国の10数倍とも云われる。精製レベルを上げるとコストが高くなるので、国営石油会社が反対する。おそらく石炭でも同じで、発電所の脱硫脱窒は殆ど行われていないのでしょう。仮に設備があっても動いていない可能性もある。その設備が京都議定書(排出権取引)に基づく、先進国援助からかもしれないのですよ。その結果、経済発展とともに大気汚染は進む一方。そして今の状態になった。
 現在の中国経済発展の原動力は1)安い製造コスト2)意図的に下げられた元レート3)ヨーロッパの購買意欲である。この内2)はこのところの円安で効果なし、3)もヨーロッパの不況でさっぱり。残る1)製造コストの安さは(1)安い労働力、(2)安い電力料金、(3)安い燃料で支えられてきた。しかしこれも人件費は着実に上昇し、今や日本の1/3レベルに達している。(2)安い電力料金を支えてきたのは石炭。(3)安い燃料を支えてきたのが低い環境基準。これらは中国経済だけでなく、中国国営企業の利益及びその幹部つまり共産党幹部の利権も支えてきた。ここに降って沸いた大気汚染問題。この問題を看過すると、これまでの利権構造、それどころか共産党一党独裁システムの根幹を揺るがしかねない。つまり、大気汚染を見逃せば民衆の反発を買う。だからといって環境基準を日欧米並みに引き上げれば、たちまち国営企業の利益率は低下し、自分達が吸い取るべき利権も減る。それはイカン。ナントカせねば、と今や頭を寄せて対策を練っているでしょう。無論これは大気汚染を減らすのではなく、今を誤魔化して如何に自分達の利権を護るかということ。そこで出てきたのが、大気汚染の原因は人民がエネルギーを無駄遣いするからだ、という人民責任論。人民を悪玉に仕立てて、自分達は安全圏に逃げ込もうという算段。なんとなく全米ライフル協会に似ています。さて、そんなことが何時まで通用するでしょうか?
 なお日本経済界の中に、これこそ日本の環境技術を売り込むチャンス、と意気込むアホも多いでしょうが、あまり相手を甘く見てはならない。環境技術導入に応じて技術ノウハウの提供も要求する。その内そっくりパクラれて、今後経済発展が見込まれるインド・アフリカなどに、中国製環境商品がならんでいるかもしれないのです。特に日本経団連、特に会長の米倉や丹羽などは要注意。自分の商売大事でつまらぬ媚中発言をするかもしれない。

 なお、南アジアの様子を見ると、汚染物質の主発生源がインドであることは顕かです。特にヒマラヤの南で汚染物質濃度が高いのが興味引かれる。中国起源汚染物質の拡散はチベット高気圧を起源とする偏西風によるものですが、インドはベンガル湾やアラビア海からの北向きの風によるものです。
 問題は京都議定書なのです。あれをさっさと葬り去らねば、世界の環境問題は永久に解決しない。
(13/02/07)

 日本のアベ/自民は、自民党が政権を維持していたときは、尖閣諸島に中国艦船が入って来ることはなかった、と豪語する。ホントにそうか?尖閣諸島だけでなく、日本近海に中国艦船が接近・浸入することはいくらでもあった。当時の自民党政権がそれを隠していただけの話しである。
 尖閣諸島というのは、日本南西諸島と台湾島との間にある小規模な島嶼であって、そもそも経済的価値が大きいものではなかった。それがこんなに大問題になるのは、関係諸国の政治的思惑が作用しているだけの話しであって、自民党がどうこう出来る問題ではない。まして、日本の政権がどうなろうが、中国に関係はない。以前某民放BS番組で、元海将海上幕僚長が「中国の海上覇権拡大は、ある計画に基づいているものであって、決して偶然でも多国間(相対的)関係に基づくものではない」旨を述べていた。さてここで関係諸国とは何処?。アベ/自民はそこに日本を組み込みたいのだろうが、それは大間違い。中国側に立てば、それはアメリカであって、日本など眼中にない、というのが本音だろう。アベ/自民には、中国/日本の関係は、日本を中心に回転しているという錯覚があるように思われる。
 中国の海上覇権願望は日本とは関係なく、自国の都合によるものである。かつて最高実力者のトウ小平は南方講話で海上覇権に付いて、「力のないときは爪を隠して力を蓄える。力が備わって来たらゆっくりと立ち上がる。更に力がみなぎれば闘争に出る」と述べた。これは毛沢東の人民戦争理論(1)専守防衛→(2)攻勢防御→(3)防御攻勢→(4)全面反攻の海上版である。(1)文化大革命後の改革開放開始から江沢民政権初期までが雌伏即ち専守防衛の段階、(2)江政権後半から胡政権初期までが爪を出す攻勢防御の段階、(3)そして胡政権後半特に北京オリンピック後がゆっくりと立ち上がり周囲に睨みを効かす防御攻勢の段階。とすれば次の習近平政権の役割は(4)全面反攻ということになる。奇しくも、先の共産党大会で胡錦濤は、2020年までのGDP倍増、農民所得倍増をブチ上げた。これが全面反攻の具体例だろう。これはどういうことかと云うと、要するに20年までに中国は日本を押しのけ、アメリカと対等に渡り合える或いはアメリカを凌ぐ大国になる、そしてそのためには軍事力行使もためらわない、という意思表示でもある。海上覇権はその手段の一つである。
 現在の中国海上覇権ベクトルは、南シナ海方面と東シナ海方面の2方向に分かれる。この内どちらが中国にとって重要かというと、アフリカからのシーレーンや南沙諸島海底資源をみれば、南シナ海方面ということは直ぐに判る。一方東シナ海・・・即ち尖閣・沖縄諸島・・・の意味は政治的・軍事的価値である。この方面・・・つまり日本・・・を屈服させられれば、次の対米交渉・・・即ち太平洋の分割・・・にとって極めて有利になる。そのためには、日本に絶え間なく圧力を加え続ける必要がある。
 毛沢東革命理論のもう一つ重要な点に永久革命説がある。マルクスが歴史は直線的に進化すると考えたのに対し、毛沢東は歴史はスパイラル的に進化すると考えた。これは過去の中国王朝交替劇を踏まえたもので、つまり歴史は行きつ戻りつしながら進化するという考えである。中国史を見れば直ぐに判るが、革命である王朝が誕生しても、数代で政権内に宦官・官僚が跋扈し、腐敗堕落が横行し、地方に暴乱が起きて政権は滅亡し、混乱(革命)を経て新王朝が誕生する、というサイクルを繰り返す。革命で政権を獲っても何もしなければ必ず政権は腐敗する、従って常に革命を継続しなければならない、というのが永久革命説である。1949年共産党は大陸中国を解放した。その直後に朝鮮戦争が起こったため、革命の緊張感は維持されたが、その後社会主義の実践として実施された「大躍進」が2000万人とも云われる餓死者を出して見事に失敗。その煽りで毛は失脚、後継の劉少綺らはソ連型計画経済を取り入れたが、毛はこれを資本主義的堕落として文化大革命を主導。これによってもン千万人からの犠牲者を出した。しかし、これも又永久革命の一環なのである。
 永久革命の一環である文化大革命の後に現れたのが、トウ小平の改革開放路線。これは後に江沢民により社会主義市場経済という奇怪な名称を与えられた。筆者の目では、これは資本主義の最も堕落した形態である「国家統制経済」以外の何者でもないのだが。改革開放という革命の最終段階が習近平政権なら、この後20年代後半にも何らかの革命が発生するはずである。それがどういう形態なのか?中国の民主化か、それとも解体かは今の段階では判らない。しかし、中国という巨大国家と付き合おうと思えば、その歴史・文化を十分把握し、その狙いを理解し、対策を練らねばならない。しかし、一方的な情報ばかりを鵜呑みにしてはならない。中国は広大で複雑である。容易に本音を明かすことはない。しかし、本音は間接的にも表面に現れるものである。従って、表面に見える何らかの表象からシグナルを読みとるべきである。

 オンが中国でのデパート営業を再開すると途端に長蛇の列。店内は中国人客で満杯。一体あの反日デモはなんだったのでしょう。共産党と政府当局の作演出によるもの、つまりヤラセだったことは顕か。一部の反日デモでは、参加者に手当が支給されていたのは公然の事実。
 あの反日デモのピークは8~9月にかけて。11月の党大会に向けて、国民の意思を一つにまとめる必要があったのだろう。自動車や電気製品の売れ行きが落ち込んだままなのは、反日政策だけでなく、日本企業の商品戦略が間違っていただけ。これを機会に対中経済戦略を根本的に見直すべきだ。
 さてその陰で進む中国奪権闘争。党大会の後、明らかになったのは(1)胡錦濤が退任後、党・軍の役職を退くこと、(2)温家宝が退任後は自分のことは全部忘れてくれ、と泣き言を言っていること。これで(3)習近平が党・軍・政の前役職を独占することである。これを見て、今後中国は新しい段階に入ったとか、改革が進むなど気楽なことを云う評論家がいるが、こういう人達は何を見ているのでしょう?これまでの中国の権力継承は、旧指導部がある程度権力を維持し、暫時次期指導部に権力を委譲するのがパターンだった。ところが今回はいきなりの全権限委譲である。9月の習近平行方不明とか、異常現象が多い。
 ワタクシの眼では、これは第四次天安門事件。事実上江派+太子党
による対共青団派(胡・温ら改革派)クーデターのようなものだ。背景でこのクーデターを取り仕切ったのが江沢民他の守旧派幹部。習は一見、党・政・軍の全権を握ったよう見えるが、習を背後で操るのが彼等守旧派。と言うことは習を介して、守旧派独裁が完成するようなものである。では彼等守旧派+太子党権力は長続きするでしょうか?少なくとも10年持続可能でしょうか?ワタクシの勘ではNOです。問題は江沢民の寿命です。彼は今86才。シンタローより六つ上だ。江の実質的寿命は、あとせいぜい3~4年。あまり長生きすると、対立する団派だけでなく、同盟者の太子党からも邪魔者扱いされる。この同盟は共青団から奪権することだけが目的の奪権同盟。日本で云えば、かつての小沢民主党、今の太陽維新野合同盟みたいなもの。理念も政策もないから、江があの世に行けば、この同盟もバラバラ。そして中国は再び三国志の昔に戻る。ひょっとすると、中国人は三国志のような動乱世界が一番落ち着くのかもしれない。
(12/11/25)

 さて注目の中国共産党大会。無事終了のように見えますが、内実はどうでしょうか?ワタクシには中国の権力(利権)闘争はまだまだ終わらず更に継続し、場合によっては近い将来に於ける中国崩壊の危機すら感じます。
 まず胡錦濤は(1)これまでの経済発展は全て中国共産党の指導によるものだ、と自画自賛し、次いで(2)2020年までにGDP倍増、農民所得倍増を達成するとブチ挙げた。更に(3)国内各層の腐敗・格差の存在を認め、その根絶が重要である、とした。特に党幹部の腐敗について、これが出来なければ、党・国家の滅亡に及ぶ、とまで云っている。又、(4)今後も軍備拡張が重要である、としている。
 さて、(2)(3)は次期習政権に対する重い宿題である。中国の現状に照らしたとき、こんなきれい事が達成出来るでしょうか?出来ないのです。出来ないことを後継者に託すと云うのは、儒教国家特有の権力回復手段。
 まず(2)については、今後たった7年でこんなこと出来るのでしょうか?というのが誰もが抱く疑問。確かに日本は池田・佐藤内閣の時に、10年で所得倍増を成し遂げたが、それは日本のGDPも国民所得も、まだまだ世界水準に比べ低かったから。つまりその当時は、頂点に向かうまでの余裕が十分あった時代だったのだ。それに比べ今の中国は、既に世界第2位の経済大国。頂点までの余裕はそう大きくはない。生産量も大きいだろうが、消費量も馬鹿に出来ない。その大国がGDPを倍にしようとすれば、化石燃料始め様々な資源消費量も倍になるということだ。これは地球環境に無視できない影響を与えるだろう。最大の問題は水である。現在でも中国の自国内水供給量は、消費量に比べ十分とは云えない。中国の資源消費量が増えれば、地球温暖化が更に進む。現在の中国国内水資源の供給源は、チベットやパミール高原の氷河、或いはシベリアやモンゴル高原の永久凍土である。温暖化で氷河や永久凍土の縮小が進めば、水供給量不足を招く。これは経済発展の逆方向に働く。更に余裕の無い段階でのGDP拡大政策は、かつてのナチスドイツの例を見るまでもなく、対外的な領土の拡張、資源確保に繋がる。それが現在の対日尖閣問題、ベトナム・フィリピンとの南シナ海問題のはじまりである。東アジアで中国権益が拡大出来ないとすれば、中国の拡大ベクトルは西の中央アジアやアフリカに飛ぶだろう。今後中国は世界各地で、領土資源に関するトラブルを抱えることになる。これは経済発展のためのマイナス要因になる。つまり、(2)はそれ自身内部矛盾を抱えた命題である。
 次の(3)腐敗撲滅であるが、一体誰が幹部の腐敗を招いたのか?江沢民時代、中国共産党は(イ)資本家の入党を認めた。更にそれだけでなく、(ロ)富裕層の資産形成過程で不正があったものにも、それを反省し共産党に忠誠を誓えば、不正は問わないとした。胡・温政権はそれを継続した。そもそも資本家とは、財産の私的所有を最大限化することを目的とする階層である。一方共産主義は財産の私的所有を否定する。私的所有を否定する組織が、それを目的とする階層を受け入れること自体矛盾も甚だしい。これに(ロ)を加えれば、中国共産党は金さえ出せば何でもあり、という無思想無節操団体に堕落したのである(日本で云えば、金さえだせば誰でも立候補出来る「日本維新の会」のような者だ)。また、今の中国国家は、あらゆる権力が共産党に集中するシステムになっている(これもあらゆる矛盾を橋した党首に集中させる「日本維新の会」によく似ている)。思想的に堕落した党中央に権力が集中すれば、党が腐敗するのは当たり前。つまり胡・温体制自身、権力の腐敗を容認・・・どころか唆した・・・した堕落政権である(その堕落は前代の江政権時代に始まった)。つまり(3)自身も自己矛盾に満ちた命題であることが判る。
 以上の矛盾は誰が見ても判ることである。それを瑚塗するために持ちだしたのが(4)軍備拡張である。通常国内諸矛盾が露呈し出したときに権力者がよく使う手は、外に敵を作り国内反体制気分を外敵に廻し、ついでに反体制派を切り崩して葬り去るというものである。そういう点では、瑚も温もやることが教科書過ぎて面白くない。権力者としては大したことは無いなあという感じなのである(瑚も温も精華大学、北京大学出身の受験エリートだから仕方がない)。そのための具体的手段として用いられるのが、まず国内に民族主義を煽り、同時にその担保として軍備拡張に奔る、というものがある。これはかつてのソ連共産党やナチスドイツが使った手である。軍備拡張政策は、周辺諸国への脅しという面もあるだろうが、一つは先に述べた諸矛盾の誤魔化し、もう一つは、共産党に匹敵或いはそれ以上の権力(利権)集団に成長した軍へのサービスだろう。ではこれらの政策は共産主義と矛盾しないか?大有りなのです。そもそもマルクスらが始めた国際共産主義運動は、財産の私的所有否定以外に民族主義の否定、反戦・不戦をテーゼとした。その共産主義をテーゼとする中国が財産私的所有以外に、民族主義や自国権益擁護・拡大の手段としての軍備拡張に奔ること自体矛盾である。
 次の習政権は以上挙げた諸矛盾に対し、何らかの答えを出さなくてはならない。別に出さなくても良いが、出さなければ矛盾は更に深化し、国家滅亡を加速させるだけである。
 さて筆者が疑問に思ったことは、革命の指導者であった毛沢東が、果たして中国が今のような自己本位の民族主義国家、矛盾に満ち満ちた利権国家になることを想定していただろうか?改革開放を主導したトウ小平が今のような道徳的堕落・腐敗・格差社会、利権対立を想定していただろうか?ということである。この国には、もう一度文化大革命が必要なのかもしれない。
(12/11/09)

 中国が国連総会で、いきなり従軍慰安婦問題を取り上げた。これには裏があるはず。ワタクシには、何だかレアアースをもっと買ってくれと云っているように聞こえます。2年前の尖閣衝突事件以来、日本の中国レアアース離れは急激に進み、今年の統計ではなんと40%以上も減ってしまった。お陰でレアアース産地では採掘企業の倒産が相次ぎ、失業者も増えてきている。おそらく日本の中国離れはもっと進み、ジプロニウム以外殆ど輸入されなくなるだろうという予測。それだけでなく、反日運動やあからさまな日本企業イジメが原因で、今後日本企業の中国離れが進むだろう*。日本企業は給料も待遇も良く、それ以上に様々な技術ノウハウを・・・殆どタダで・・・提供してくれた。中国人労働者にとっては御の字の筈だった。又、レアアースだって日本は高い値段で買ってくれる。中国にとってこんな有り難いお客様はいない。それが共産党のアホの所為で逃げ出していくのだ。残るのは台湾や韓国と言ったこそ泥企業と、せこいヨーロッパ企業。反日運動は日本という良い鴨を逃がし、逆に日本人に反中意識を植え付けただけで、中国にとって少しもメリットはなかった。
 中国から日本がいなくなれば、外国から資本と技術を導入し、安い労働力でそれを製品化し、国際競争力を身につけるという中国モデル、言い換えればトウ小平モデルが成り立たなくなる。共産党よ何処へ行くだ。折しも寧波での国営企業化学工場建設反対運動。この裏に誰がいるのか?江か薄か?これが進むと、国内に反共産党気運が高まり、いよいよ国家分裂・三国志の時代迫れり、だ。それにも拘わらず、まだまだ中国繁栄は続くと思っている馬鹿もいる。例えば、キッシンジャーとか日本の柳井や小沢とか。
*但しこれには日本政府が撤退企業に対する、資金及び法的支援をすることが必要。今の民主党政権だけでなく一部の親中派議員には、この点がいささか甘い感がある。
(12/11/03)

 温家宝の不正財産蓄積すっぱ抜き。一昨日NYタイムズが温一族が20億ドル以上の不正蓄財をやっていると報じた。これに対し中国政府は早速ネットの遮断やNYタイムズへの法的手段など、報復措置に出た。
 中国政府は「そんなものは無い」と断言するが、悲しいことに中国人を含め、誰もそんなことを信用していない。胡・温政権以後の中国政府の政策の特徴の一つに、資源確保への異常な集中が挙げられる。温自身が北京大学地質学科の出身で、個人的にも資源への関心が高いことが理由に挙げられるが、結果としてその周辺に利権が集中することも八無を得ない。そんなこと、本人が知らない筈はないだろう。子供じゃない、60過ぎた大人だ。
(12/10/29)

すさまじい中国共産党権力闘争
 現在の中国共産党上部での権力闘争は、我々の想像を超えるすさまじいものではないか?その第一の証拠として挙げられるのが、薄キライに対する判決である。薄は今収賄・職権濫用などの罪で逮捕・起訴されているが、これを単純経済犯罪と考える人間は、まず中国中で誰もいないだろう。そして下される判決は死刑(実刑)が確実とされる。情報によれば、胡は執行猶予付き死刑を促したが、温が実刑を主張したとされる。中国では司法も捜査も共産党の指導・管理下にあるから、これも共産党中央の意志を反映したものだ。と言うことは、薄の死刑判決は実質上政治闘争の結果を表したものなのである。
 これだけ見ると、薄派の敗北、胡・温ら体制派(=実権派)+江派(上海閥=利権派)の勝利となるが、果たしてそう上手く行くでしょうか?何故、温が薄死刑を強硬主張したのか?温は文革世代で下放を受けたので、文革に強い怨念を持っているのだろう。事実昨年全人代で、薄派(つまり毛派)が勢力を伸ばせば文革の再来だ、と文革批判(つまり薄派批判)を展開している。又、胡や江にしても、薄派勢力が伸びれば、自分達のこれまでの利権や蓄財が全て奪われる恐れがあるから、薄憎しで温と同盟したのである。どっちにしても薄を生かしておけば、必ず将来における禍根を残す。だからやってしまえなのだろうが、残念ながら薄を消しても、薄のDNAは全国にばらまかれている。その証拠が、先日の反日活動での、文革プラカードや毛バッジ集団の出現である。これに胡や温は大驚きしたのだろう。もし薄を方針通り処刑したら、その怨念はキョンシーとなって胡や温・江・習らに祟るだろう。オオコワ。
 それは別にして、今の中共トップ集団はどうなっているのか?これがさっぱり読めないのである。ワタクシは現在の共産党指導部は混乱の最中にあると思う。何故なら10月挙行されるはずの全人代の日程がさっぱり決まっていない。本来なら次期指導者である習近平が、遅くとも9月中にはこれを指示・宣言するはずなのだが、10月中旬に達してもそれがない。無いどころか、最も重要な時期に、彼は2週間も行方不明になっていた。こんな状態で指導部を継承しても、安定政権を維持出来るのだろうか?当面は後見人の江沢民の支持でなんとかやっていけても、江だって今や86才。何時あの世に行ってもおかしくない。江の後ろ盾を無くしたとき、彼はどの勢力を利用出来るのだろうか?太子党はどれだけ頼りになるのか?それよりあの謎の失踪事件が、彼のカリスマ性を大きく低下させたのは間違いない。利権のバラマキ(特に軍部への)をやらなくては政権は維持出来ない。この原因の一つに尖閣問題がある。日本の尖閣国有化で一旦拳を振り上げたものの、肝心の日本が思ったように反応してくれない。それどころか、日本中に反中雰囲気をばらまいてしまった。経済制裁やIMF総会欠席始め、色々対日嫌がらせカードを切ったが、それでも埒が開かない。逆に日本に中国経済離脱雰囲気を作ってしまった。これを放っておくと、日本企業はミャンマーに逃げ出し、中国に残るのは失業者の山。尖閣問題を煽って対日戦争状況に持っていったが、シミュレーションしてみると中国海軍の完敗という結果になった(空母の「燎寧」など何の役にも立たない、ただの風呂桶)。これこそ薄派の思うつぼ。これは胡・温政権の失態である。と言うわけで、今や胡・温派への批判は高まるばかり。さりとて習近平にも、これといって名案があるわけではない。だから全人代はズルズルと先延ばし。
 とりあえず今の状態をナントカ眉縫しても、いずれそのほころびは出てくる。それが何時かという問題だが、筆者は早ければ5年以内のような気がする。まずは胡・温派対江(上海閥)との対立である。そのあげくは軍が介入した実力闘争もあり得る。第四次天安門事件だ。
(12/10/12)

 薄キライが党籍剥奪で中央から追放処分になった。罪状は収賄で、夫婦揃って3億千7万円(2600万元)。薄自身は7200万円(600万元)しかなかった・・・それも本人に渡ったかどうかも判らない・・・と言われる。随分僅かな収賄額だなあ、という感じである。中国首脳部、特に地方政治幹部や国営企業幹部が受け取っている不正金品は、この比ではないだろう。桁が二つ三つ違っていても当然。この程度の収賄で、党籍剥奪(共産党独裁国家では死刑と同意義)という強大処分となったのは何故だろうか?共産党内で相当の権力闘争があり、胡・温派と江・習派が協同して薄の追放に成功したと見るべきである。それにしても結論が出るまでに随分時間が懸かっている。薄の女房の谷による英人殺害が発覚して、およそ一年以上経っている。ただの権力争いならとっくの昔に薄を消していて当然。それをここまで、モタモタしていたのは、薄の周囲に無視出来ない勢力があるためだろう。そして今回の処分は10月の全人代を控えて、何時までもモタモタしていられないという、既存勢力側の焦りの現れか?
 しかし薄粛正の実態がネットや口コミで民衆に伝われば、どういうことになるだろうか?大衆の不満は更に高まり、既存勢力の基盤を揺るがせかねない。実は中国の歴史を見ると、王朝末期には政権内部で権力者間の党派抗争が激しくなる。抗争に敗れた側は、僅かな罪を着せられて追放されたり、殺されたりする。ところが騒ぎはこれでは収まらない。敗北者の支持者がその後地方で力を延ばし、遂に暴乱となって王朝を倒すというのがパターン。薄派はなお東北地区や四川地区では勢力を持っている。と言うことは、今回の薄粛正騒ぎは共産党王朝崩壊の前兆と云えるだろう。
(12/10/01)

 約2週間の行方不明期間を経て姿を現した習近平。いきなり尖閣問題関連で日本批判。政権交替後はより対日強硬派になると見られている。しかし元々そうだったろうか?日本の政権交替で、小沢デレゲーションを歓迎し、なおかつ小沢の求めで来日し天皇に拝謁している。根性の入った反日派ならこんなことはしない。それがいきなりの反日シフト。何故か?それこそ謎の2週間だ。この間に誰かから、反日に転向せよと焼きを入れられたのではあるまいか?誰が焼きを入れたか?筆者は解放軍、特に海軍サイドと見ているが、胡錦濤という説もある。しかしこんなことで政権を譲られた太子党プリンスが、無事に政権を維持出来るでしょうか?彼を取り巻く権力(利権構造)は大きく、江沢民らの上海マフィア(闇世界)、胡・温派(共青団系・・・新興富裕層)、解放軍系(基幹産業・・・鉱山・鉄道・製鉄他)の三つがある。処がそれに加え第四の勢力として、薄キライ派がある。これはカイカク解放から取り残された都市貧困層とか農民層・失業者層が基盤。薄は一見失脚したように見えるが、彼を支持する階層は消えていない。習はこの四つの矛盾を乗り切らなくてはならないのだ。かくて今後の中国の権力基盤は限りなく分裂抗争を繰り返す。こういうことはかつての中国史にはなかったことだ。だから、この国の将来を読みづらくしているのだが、やっぱり国家の分裂ー抗争ー再統一以外には選択肢は無さそうだ。
(12/09/21)

 「世界の艦船」今月号に、「中国の核ミサイル原潜は実は核弾頭を積んでいない」という興味深い記事がありました。核弾頭は党が厳しく管理しているので、軍でも勝手には触れないらしい。つまり日本周辺に展開している中国核ミサイル原潜はただの張り子の虎というわけだ。

 毛沢東の肖像を掲げて行進する反日デモ隊。新三国志時代の始まり。新三国とは
1、共青団系・・・・現在の胡・温政権派。カイカク利権派。
2、太子党・・・・・・周近平・江沢民をトップとする保守派、上海閥。
3、毛派・・・・・・・・毛時代回帰を主張する原理派・反カイカク派。薄キライをトップとする東北・四川閥か?
(12/09/18)


 日本政府の尖閣公国有化に触発されて、先週より中国各地で反日デモが発生している。今回の反日デモには幾つかの特徴が見えます。それらを順序良く見ていると、現在の中国の状況がよく判るでしょう。
1、デモ参加者の多くは若者です。今の中国の若者の多くは失業者です。
2、デモは国内ほぼ全域に渉り、更に海外にまで波及しています。
3、中産富裕層の参加も見られます。
4、日系施設への破壊・略奪行為が発生しています。

 さてこれらの現象は何を意味しているのでしょうか?筆者は中国内部崩壊の始まりとみています。


1、デモ参加者の多くは若者です。今の中国の若者の多くは失業者です。
 
一部報道によると毛バッジを付け、毛沢東路線回帰へのスローガンを叫ぶ若者もいたらしい。そもそも毛路線と尖閣問題は何の関係もない。毛時代の中国は尖閣問題を大きく取り上げなかったし・・・・1960年代の中国は尖閣諸島を日本領と認識していた・・・・、日中国交回復時でも、周恩来は日本に対し強硬姿勢は採らなかった。何故今頃になって毛バッジを付けた若者まで尖閣反日デモに参加するのか?それは今の中国の失業問題の反映です。大学を出ても就職出来ない。北京大学卒業生の半分は就職出来ない。これは日本の話しではなく、中国(や韓国)の現実です。行きすぎた社会主義市場経済の負の側面です。この原因は、元高(と言っても我々日本人から見れば、元とウオンは実勢に比べ低すぎる)と国内インフレーションの発生。その結果、これまでの中国経済を支えてきた、低賃金による輸出拡大、外貨導入という産業モデルが通用しなくなってきた。そのため、企業は経営方針を国内人件費削減にシフトする。かといっていきなり賃下げなどやれば大騒動になるから、国外から低賃金労働者を導入し、国内労働者の採用を手控える。これが国内失業者増大のメカニズムです。又、就業者と言っても製造業・流通業では大部分が非正規雇用。鉱山や農業でも末端は殆ど奴隷労働に近い有様。彼等は潜在的失業者です。
 これらの失業者は常に体制に不満を抱いている。彼等の不満に誰かが火を付ければ、たちまちそれは燎原の火のようにひろまり、遂に体制を焼き尽くす。中国の歴史を見ると、王朝滅亡期には増大する失業者(特に農村)圧力が高まり、地方に暴乱が発生し、それが強大化し、既成王朝は統治能力をなくし、崩壊するというパターンが多い。これは経済とは関係ない。トータルとしての経済は好調でも、内圧或いは外圧によって王朝が崩壊する例は数多く見られる。例えば、日清戦争でも、当時の日本と清国とでは経済力はまるで違っていた。清国はその経済力を背景に東洋一、世界有数の海軍を作った。日本の海軍など清国海軍に比べれば、大人と子供ぐらいの差があったのである。だから列強は清が日本に負けるなどとは、露ほども予想していなかった。処が予想していなかったことが起こったことが、列強の対清干渉を呼び、遂に清帝国の滅亡に繋がったのである。だから今の中国経済は好調だから、中国政権は滅亡しない、というのはただの思いこみで根拠はない。
2、デモは国内ほぼ全域に渉り、更に海外にまで波及しています。
 これは中国でなんらかの転換が迫ったときによく見られる忠誠合戦です。中国は大きくて広いが、実は狭くて小さい積み木の重なりと思えばよい。一つ一つの積み木は常に中央から監視されている。この監視システムは現代中国で始まったものではなく、おそらくは秦の始皇帝の時代まで遡るでしょう。更に皇帝を唯一万乗の君とし、そこからあらゆる徳が現れるとする儒教思想では、皇帝は地上の全て把握しておく必要があるのです。このとき、皇帝の意志に反した行いをした者は、天帝にも逆らうことになるから、皇帝は彼を生かしておいてはならない。何故なら、そのような者を生かせば、皇帝そのものが天の意志に反したとして、地獄に堕ちるからです(要するに死んでも神にはなれず、キョンシーとして永遠にさまよわなくてはならないことになるからです)。この際、人民としてはどうすれば身を守れるか?当たり前ですが、ことの理非曲直はあっちにおいといて、とりあえず強いものに媚びるのが得策。今の中国で尖閣諸島は日本領だ、などと論理的なことを云おうでもするなら、袋叩きだ。本人だけでなく家族一族郎党みな同じ。特に今中国は来年の政権交替を迎えている。新政権がどういう政策を打ち出すのか、実は明らかになっていない。だから今の時点で愛国表現をしておいた方が得だ、という打算の現れです。尖閣問題で軍部が強硬姿勢を採るのも、その現れでしょう。
 そして、共産党や軍部など権力者は、何処の誰がどれだけ愛国運動をしているかを、じっくり観察しているのです。
3、中産富裕層の参加も見られます。
 これは2、と同様自己保身のための保険です。丹羽中国大使の公用車を襲った犯人が実は富裕層の二世だった。今回の反日デモでも富裕層二世が参加しているらしい。彼等は「尖閣は中国のものだ、日本はけしからん」ともっともなことを云っているが、彼等の親が資産を作った大部分は日本相手の商売。とても日本に足を向けて寝られる身分ではないのだ。それにも拘わらず、愛国反日運動をパフォーマンスするには、それなりの意図があるはず。それは彼等富裕層と貧困層との経済格差の問題です。昨年中共全人代で、首相の温家宝は都市部と内陸部との経済格差をなくし、インフレを克服しなければ、第二の文化大革命がやってくると警告した。果たして中国政府はどういう対策を採ったか?欧州金融危機で損害を受けた対外投資資本(この多くは解放軍系)の要求に屈して、相変わらずの景気刺激策。その結果経済格差・インフレは広がる一方。彼等富裕層は今度の反日デモは単なる尖閣問題だけではない、体制を揺るがす大きな動きと、本能的に感じたのでしょう。誰が感じたかというと、おそらく彼等若年富裕層の父か祖父の世代だろう。この動きが本格化すれば、貧困層による富裕層への攻撃が始まる。これこそ第二の文化大革命である。1で述べたように今の中国では、文革の火種は燃え尽きてはいないのである。第二文革が始まれば、今の富裕層の資産は全て召し上げられ、みんな毛沢東語録をもって行進しなくてはならなくなるのだ。どうすれば現在の利権、貯め込んだ資産を維持出来るか?ミナサン必死だよ。そこで思いついたのが、愛国反日パフォーマンス。いざ、文革派が政権を採って、旧体制の摘発が始まっても、反日デモに参加した実績さえあれば、愛国者のアリバイが得られるのだ。ただこれだけでは足りない。今アメリカで多いのは、中国人による不動産取得と、中国人の永住権取得申請と云われる。彼等は既に感づいているのだ、祖国の分裂崩壊というカタスロフィを。
4、日系施設への破壊・略奪行為が発生しています。
 中国人は騎馬民族である。この事実を殆どの日本人は理解していない。略奪は騎馬民族の習性であり、なんら不可解に思う必要はない。孔子は礼節を説いた。礼とは相手に対する尊敬であり、節は自己主張の自制である。孔子がこんなことを説かなくてはならなかったと言うことは、当時(周代後期の春秋時代)の中国人には礼節がなかったということだ。処が、日本人はこれを形通り受け止め、中国を礼節国家と勘違いし、逆に自己を世界一の礼節国家にしてしまった。騎馬民族は本質的に礼節を無視する。彼等の論理は弱肉強食。弱いものは強いものに従えである。これはモンゴルでもアラブでも朝鮮・韓国人でも共通している。もう一つ彼等騎馬民族に共通しているのは、不和雷同性である。これはソレトニンーT-DNAの不足である。騎馬民族の特徴の一つに、感情が高ぶると自己抑制が利かなくなることが挙げられる。これは周囲或いは内面からの刺激が強くなり、一定限度を超えると、ソレトニンの分泌が抑えられ、ドーパミンの分泌が増えるためと考えられる。日本でもロックコンサートなどで、最期に観衆が総立ちし飛び跳ねるのは同じメカニズムである。デモでシュプレッヒコールや行進で外的刺激が高まり、自己抑制が利かなくなり遂に破壊・略奪行為にいたる。しかし、日本スーパーに押し入り、日本製品を略奪するのは、それだけでは説明できない。本心は日本製品が欲しいのだ。

 筆者は次の2点で、今の中国社会には深刻な亀裂が入っているように感じた。一つは云うまでもなく経済格差、もう一つは政治不信。何故これほどの反日デモが起こるのか?尖閣諸島領有化は政府方針で、国民が反対する筋合いのものではない。ただの反日愛国デモなら、政府方針とも一致するから暴徒化する訳がない。それが政府がコントロール出来ないほど暴徒化するのは、大衆が政府を信用していない証拠である。これが今の中国政府の最大の弱みであり、傷口。むしろ石原シンタローは尖閣購入で、この傷口に塩を擦り込んだようなものだ。その意図が尖閣問題を利用して、将来の中国分裂を誘うというのなら、壮大なスケールの構想である。但し、筆者はそんなことをしなくてもいずれ中国は分裂する、それまで待っておればよい。このようなやり方では、日本への副作用が大きすぎる。
(12/09/18)

 習近平が2週間も行方不明になっていたのは何故でしょう。主席就任後の立ち居振る舞い言語について、軍部から厳しい教育・指導を受けていたのではないでしょうか?彼の入院先が解放軍301病院だったというのも意味深。

 なお、本日習が中国農業大学を視察したという映像が出ましたが、これだって怪しいもの。第一に公開されたのは映像で本人ではない(映像などいくらでも加工出来る)。第二に幾ら似ていても本人かどうか判らない(最近の整形技術には目覚ましものがある)。従ってDNA鑑定証明書がなければ信用出来ないのである。
(12/09/15)


 数日来ネット上では習近平の動向が噂に上っています。本日やっと毎日新聞でも取り上げられました。9月1日に現れて以来、今まで全く姿を見せないのである。噂によれば高速道路をリムジンで走っているところを、後ろからきた大型トラックに追突され負傷、そのまま解放軍301病院に運ばれてそれっきりということだ。おまけに習の後ろには側近が後続していたが、これも別の大型トラックに追突された。と言うことは、この事故は単なる偶発性事故ではなく、計画的なものと考えられ、そこから習近平暗殺説が出てくるのである。
 では誰が習の命を狙うのでしょうか?習のバックには陰の実力者江沢民がいて、これが上海閥を抑えている。胡が習に権力を禅譲する約束は既に出来ている。と言うことは両派閥の間には既に話しは着いているので、今更抗争のネタもない。問題は習が権力継承後、どんな政策を採るのか明確ではないことだ。少なくとも云えることは、胡路線の従順な継承者ではないと言うことだ。習は太子党で文化大革命に共鳴しているとも云われる。胡路線の見直しで最も不利益を受けるのは、胡体制下で資産・利権を拡大した新興富裕層とか外国資本家、特に台湾資本。彼等が文革路の復活を恐れ、プロを雇って習を殺ってしまった可能性が考えられる。中国にもプロは沢山いる。80年代のカイカク開放で、海外に逃げていた闇社会が大陸に戻ってきた。彼等の中にプロが混じっている。
 それとも解放軍が何らかの形で拘わっているのだろうか?そうだとすると、これは実質的なクーデターになる。第四次天安門事件だ。

 なおこの件について、その後中国当局は肝臓に出来た小さい腫瘍摘出手術のためだと説明。しかしその程度の手術なら、今時日帰り手術でもできる。10日以上も懸かると言うことこそ異常だ。
(12/09/13)

 香港で愛国教育政策が撤廃されました。愛国教育と言っても、その中身を見れば共産党賛美だけ。つまり愛党教育だ。これに香港民主化団体は猛反発して、香港当局は方針撤回を表明したわけです。
 さて香港という地域では、しばしばこのような極端な愛国運動(パフォーマンス)が、大陸の政治変化に呼応する形で発生する。古くは香港返還前後にも愛国団体が現れて、北京忠誠合戦を繰り広げた。その後も愛国運動は、しばしば日本を標的とした排外運動の形を採って現れる。例えば前の尖閣衝突時でも、香港では大規模な反日デモが行われたし、今回の尖閣上陸事件でも、上陸者は香港在住者。なぜ、香港という地域で、このような運動が発生するかというと、香港の政治的・経済的不安定さが反映していると考えられる。大陸の人間にとって、香港人は中国人にとって屈辱以外の何者でもないアヘン戦争の後、祖国を捨てて帝国主義者の元に奔った裏切り者である。又本国が革命や解放後、苦難にあえいでいたときにも、香港は外国人支配のもと、本国を見捨てて繁栄を極めていた。二重の裏切り者だ。一方返還直後は大陸と香港とでは経済格差が大きく、本国も香港を維持せざるをえなかった。しかし今や本国の方が経済的優位に立っている。古い一国2制度に拘る必要もない。思い切って香港を大陸に吸収、という考えが出てきて不思議ではない。そうなれば香港人にとって、永年に渉って培ってきた利権をみんな大陸資本に奪われてしまう。これはイカン。どうすれば自分の利権を守れるか?相手が決定的に強い場合、徹底的におもねるのも身を守る方法である。そこで考え出した手が、極端な愛国運動である。いみじくも、来年は中国本土での政権交替の節目。新政権が香港に対し、どのような政策を採ってくるか判らない。少しでも香港に有利な・・・自分の身が守れるような・・・方向へ持っていくためには少々乱暴なこともやらねばならぬ。それが尖閣上陸事件だったり、愛国教育などの形を採って現れるのだ。
(12/09/10)

 ラムズフェルド回想録。そこからかいま見えるのは、アメリカ共和党外交に影響を及ぼし続けたキッシンジャーイズムが、徹底的な中国重視・アジア軽視主義だったということ。これが今の日本の外交安保政策にも影響を及ぼし続けている。
 必要なことは脱原発より、脱キッシンジャーイズムIだ。
(12/09/09)

 「愛国無罪」とは懐かしい言葉です。尖閣不法上陸事件に続いて、駐中大使公用車国旗強奪事件。両件関連でネットに溢れているのがこの言葉。昔文化大革命当時、文革派が走資派・実権派を糾弾するために使った。実権派は祖国を資本主義に戻そうとしているから非愛国的である。愛国者が非愛国者を糾弾するために、どのような手段を使ってもそれは愛国心から来たものだから許される(無罪である)というのが「愛国無罪」である。しかし、こんな理屈は世界的にも、法治国家では許されるわけがない。まして外国人中でも外交官に対しては論外である。ところが、胡錦濤政権は内にも外(つまり日本)にも、なにかおどおどしている印象を受ける。中国人の云うこと・行動には表・裏の2種類がある。今日本のマスコミなど表世界で出ているのは過激反日行動であるが、その裏には永年の共産党独裁体制への不満がある。それは単に非民主的強権政治だけではなく、党や政府の腐敗、党・政府幹部ら特権階層・富裕層とその他一般人民との経済格差、都市と農村との格差など、昨年の全人代で温家宝が一旦認めた社会矛盾矛盾が、一向に解消されないことへのいらだちでもある。
 もし強奪犯に甘い顔をすれば、日本だけでなく欧米始め諸外国から文化的・政治的後進国のレッテルを貼られ、今後外交面で日本に先手を取られるおそれがある。逆に厳しく接すると、国内から弱腰呼ばわれされるだけでなく、「愛国無罪」の大義名分の下、第二の文化大革命が起こる。それこそ、日本始め周辺国の思うつぼ。10年位文化大革命で国内争乱状態になれば、それに乗じてチベット・ウイグル・内モンゴルの独立もあり得る。
(12/08/31)

 北京での日本大使館公用車強制ストップと日章旗強奪事件。文明国ではあり得ない乱暴狼藉に世界中の文明国はビックリしただろう。ビックリしなかったのは、韓国とかアフリカ・中南米の野蛮国だけか。問題は何かというと、尖閣問題以前の教育のあり方だろう。永年の反日教育が、こういう国際的に見て非常識な行動を起こすことを招いているのだ。中国はやっぱり未開の三流国家という印象を海外に広めただけで、得るものはなんにもない。やっぱり、馬鹿は馬鹿なりのことしかできないし、馬鹿には馬鹿が集まり、馬鹿の子供はやっぱり馬鹿なのだ。日本や世界は何時までこんな馬鹿と付き合っていくのでしょう?それとも馬鹿から絞れるだけ絞れ、というのなら判るが。
 この事件が本当に個人的な理由による偶発的なものなら、これは騎馬民族的性質の典型的現れである。騎馬民族は気分が極端にハイになっったり、逆にナーバスになると、感情のコントロールが出来なくなる。例えばそういう状態の時に、目の前に欲しいものがあれば有無を云わさず奪ったり、そうでなければ破壊してしまう。その原因は、騎馬遊牧民族は元々ソレトニンーT-DNAが不足しているからだろう。シリア政府軍民兵の虐殺行為は騎馬遊牧民族のなせる技だ。北京の連中も連日の反日ネット情報ですっかりハイになっており、そこに突然日本大使館公用車が現れたものだから、脳内はアドレナリン過剰状態となり、自分でも予測出来ない行動に奔ったものと思われる。イーミョンバクの突然発言も似たようなものだ。では、このような行為の再発を防ぐことは出来るだろうか?出きると云えば出きる。犯人の脳の一部を切除することである(ハンニバル博士なら切除片を喰ってしまうかもしれない)。これは世間ではロボトミーという名前で知られている方法で、現在では文明国では禁止されている(一部ではまだやっている可能性もある。中国など大変怪しい)。これを行うと、患者は外的刺激に反応しなくなる。実質的には只生きているだけの廃人状態だが、周囲は安心だ。
(12/08/29)

 あるBS情報番組で、日中所得比較曲線と言うのがあった。それによると、現状では中国国民一人当たり所得額は、日本の1/8だが、20年後には日本の8割位に達するというものである。あたかも例のホッケーステイック曲線のようだ。この前提には、日本所得額が今のまま頭打ちとか、中国の経済成長率が今のままの年率数%とか、出生率が今のままとか、不確定要素が多いのだが、それを無視して、このまま行くならこうなると言うことなのだろう。
 誰が考えても、このような状況が現実化するとは思えない。まず第一に、中国平均国民所得が日本の1/4のレベルに達した段階で、中国経済に地殻変動が起こる。平均所得がここまで上昇すると、低賃金をベースに外貨を稼いで来た輸出型産業が立ち行かなくなる。こうなると不動産バブルは崩壊し、国内産業も不況に見舞われる。これを防ぐために内需拡大策が採られるが、その結果は、確実にあちこちにバブルを作る。バブルは必ず崩壊する。その後残るのは借金だけだ。また、その原資は潤沢な外貨保存である。しかしこれには限度がある。バブルが崩壊すればその都度外貨準備は目減りする。最大の問題は資源輸入コストである。中国にとって最大の資源輸入地域はアフリカである。同時にアフリカは中国製品の最大輸出地域でもある。中国経済との交流が深まれば、資源コストの増大を招く。アフリカはなにも中国製品だけを買っているわけではない。彼等の所得も上昇する。所得が上昇すれば、よりハイレベルの商品を望む。さて、パクリだけでオリジナリテイのない中国・韓国商品が、果たして成長を持続できるか?誰も期待していない。中でも肝心の中国人が信用していないのである。自国の経済が信用出来なくなったら、その国民はどういう行動を採るか?当たり前だが資産の海外移転である。
 最近アメリカで増えているのが、中国人の永住権取得と不動産取得。つまり中国富裕層は既に資産の海外移転を始めているのだ。この富裕層とは、共産党幹部とその親類縁者。なんのことはない、国家に対し最大の責任を持つべき権勢党が、国家を見捨てて夜逃げしているのである。しかし中国の歴史では、これは別に珍しいことではない。人民が国家を信用せず、国家も人民を信用しない。これが中国政治の実態だ。そしてその遠因は遙か昔、秦の始皇帝に始まるのである。それはともかく、今や中国経済はジワジワと崩壊に向かっている。この際、日本は中国を見捨て、別社会に拠点を移すべきである。
(12/08/25)

 ヒラリーがアフガンを電撃訪問し、アフガンを非NATO同盟国にすると発表。この意味するところは、最近アフガンへの影響力を強めている中国への牽制か?
(12/07/09)


  キッシンジャー博士は「中国の拡大欲求を誰も止めることは出来ない。しかし、アメリカとの戦争は望まないだろう」と予測。これはどういう意味か?要するにアメリカはアメリカの安全・権益を侵さない限り、中国の自由行動を認める、ズバリ云えば日本・フィリピンを含む第二列島線までの中国支配を認めると云うことである。
 つまり、同盟国の安全・主権より中国ビジネスの方が重要だ、という考えに他ならない。無論これは今のアメリカ政府の公式見解ではない。しかし、彼と同様の考えをするアメリカ人は少なからずいる。例えば、数日前の日米関係・米中関係に関するアメリカ世論調査では、一般人は日米関係重視層が多いが、有識者と云われる階層では米中関係重視層が多くなっている。
 こういう人達が、中東の安定よりイラクの石油権益確保を重視し、東アジア同盟国との信頼関係より、中国市場を重要視し、トヨタや日産の対米貢献より、グーグルやアップルやフェイスブックのバッタモン経営を重要視し、世界を混乱に陥れてきたのである。キッシンジャーはユダヤ人ということをお忘れなく。

(12/06/13)

 中国次期政権で、最高幹部入りが確実されているのが、最近話題になった広東省烏炊村の自由選挙を取り仕切り、一躍党中央に注目された広東省書記の王洋という人物。これは胡・温ら改革派に連なる若手官僚。改革派というから少しは民主的かと思うと、その逆で烏炊村の問題・・・・地方政府による借地権の転売・・・・はそのまま有耶無耶。単に火を消しただけ。この人物が、最近面白い発言をしました。「中国人民は、今後政府や共産党から、生活の支援を受けようと思ってはならない。・・・・このようにして社会民主主義を発展させる」。彼が目指すのは、アメリカ以上の競争格差社会である。この人物の経歴は、若い頃プリンストンに留学したことがあるらしい。チャキチャキの新自由主義経済派だ。小さい政府で競争力を高める、それが中国経済発展の最大重要要素と信じて疑わないのだろう。しかしこれで、何故大きい政府の社会民主主義が発展するのか面妖。矛盾も甚だしい。
 ところが、言論の自由とか、人権とか、政府批判の権利とか、民主主義とか、権利の解放、といった体制変革要素については何も語らない。つまり、権利は与えない、しかし生活は自分の責任でやれ、といういわば「やらずぶったくり」政策が、今後の中国政治の基軸に置かれ兼ねないことになる。アメリカは自由競争社会だが、それでも競争に当たっての厳格なルールがあるし、競争を監視する政府機関も充実している。アメリカSECの眼はなかなかごまかせない。そのどれも未整備の国で、こんなことが政策として実施されたら、どういうことになるか。そもそも、今でも共産党幹部とその周辺に富が集中するという、不公平格差社会である。これを中和する存在が共産党への信頼の筈だったのが、肝心の共産党があんた達の面倒は見ませんよ、と云っているのだ。経済格差は更に広がり、不平等は拡大強化される。その結果は人民の分断である。つまり14億人民が、勝ち組・負け組に色分けされる。中国人のことだから、勝ち組が負け組を支配下に置こうとするのは当然である。まるっきり中世封建主義か古代奴隷制の復活である。
 さて、中国の歴史では、このような状況が生まれるのは、それほど珍しくはない。各王朝末期には似たような現象が必ず起こっている。その結果が人民の暴乱であり、外敵の侵掠である。そして王朝は滅亡する。
 薄キ来失脚について、温家宝は文化大革命の再来を防ぐためだ、と述べた。薄は重慶市書記の時、闇社会を摘発すると同時に、毛思想の復活を支援した。つまり文化大革命の再評価である。では文化大革命とは何か、をもう一度吟味しなくてはならない。1958~1960年迄毛沢東の主導による「大躍進政策」は、一説によると5000~6000万人に及ぶ餓死者を出して大失敗に終わった。この結果毛は国家主席の座を追われ、名前だけの党主席として論文執筆活動に専念することになった。後を継いだのは劉少奇ら所謂実権派。彼等はソ連の雪解け政策に範を採り、部分的資本主義政策を取り入れようとした。これに対し毛は、1964年中共指導部を走資派と批判し、ここに文化大革命が始まる。ここで批判の的になったのは、当時の共産党中央に連なる地方政府や共産党地方組織幹部、学者等知識人、宗教家、資本家など、毛理論から反革命と名指された階層。紅衛兵ら文革派は彼等を告発し、裁判に掛け、処刑した。文革派のベースは当時の党・国家体制から疎外された若者や下層階級。何故彼等が走資派を追求したのか?それは彼等が、走資派が人民の財産を搾取し、利権を独占し、私的財産を貯め込んでいると考えたからだろう。しかし、解放軍だけには手を出さなかった。解放軍が利権と関わりなかったからか?まさか、毛が軍を利用出来ると考えたからだろう。ところが1969年林彪を後継者とする憲法改正が行われると、林ら文革少組を中心とした左派による、右派への追求は更に過激になった。この中に解放軍利権も含まれて当然。一方林彪は八路軍以来、野戦指揮官で通してきて、解放軍中央勤務が無かった。解放後元帥となるが、これも主として野戦勤務。朝鮮戦争では、中国人民義勇軍を指揮して国連軍と戦っている。文革初期は南方の某軍区にいたが、このポストは主流ではない。つまり、林彪も又疎外された存在だったのである。彼は又、毛に対する盲目的崇拝者でもあった。従って、文革にのめり込むようになる。そもそも解放軍利権に無縁で、毛思想に忠実であれば、原理主義的文革派になって当然。おまけに毛の後継者と指名されたのだから、遠慮はいらない。この際守旧派をやってしまえと、解放軍利権に対しても切り込んでいく。これに対し解放軍が反撃する。1973年、林彪失脚。次いで批林批孔運動が始まるが、これは実は解放軍から始まった物。1976年天安門事件という二重クーデター事件が発生して文化大革命は終結した。この間、毛沢東はなにをしていたのか?実は、林ら文革派と解放軍とを、天秤に掛けていたのである。天安門事件で、林彪は、こう語っている「毛沢東は常に勢力を二つに分け、互いに争わせる」と。これは中国各王朝の権力争いでは、常時見られるパターン。文革期間中、常に安定を保っていたのは、解放軍とその利権である。林彪らが失脚したのは、彼等が解放軍利権まで、文革の対象にしようとしたからだろう。このように利権をパラメーターとして考えれば、文化大革命の裏側・本質が見えてくるのである。
 では最終的に解放軍利権を懐にしたのは誰でしょう?それはトウ小平です。トウの経歴は主に軍政治委員。毛の人民戦争理論では、人民と軍を結びつける役割。利権が発生しやすいポストである。トウは天安門事件で一旦失脚するが、その後チャッカリ最高指導者として復活する。しかし、彼は党・政府の正式ポストにはついていない。彼の公式ポストは人民解放軍副総参謀長兼総後勤部長である。総参謀長なんかに比べると、一段低いポストだ。しかし、重要なのは総後勤部長というポスト。総後勤部とは何をする部署か?それは人民解放軍の物品調達・購入、部隊への配分を取り仕切ることである。給料だってここが握っているのだろう。莫大な利権が転がり込むポストである。総参謀長なんか問題外だ。そしてその後継者が改革開放派で、その代表が胡錦濤や温家宝など今の共産党中央なのである。
 さて現在、中国で一番人民財産を搾取している階層は、共産党幹部に連なる地方政府幹部とか国営企業幹部。それに連なる資本家達。彼等は現在の中国富裕層を形成している。仮に薄が将来政権を獲り、毛思想・・・文化大革命・・・が復活すれば、彼等がせっせと貯めていた利権が、全て奪われる。これが温が云う文化大革命反対理論の実態なのである。改革派と云っても名ばかりで、実は搾取階層・グループなのである。
(12/05/24)

 盲目の人権派弁護士陳光誠氏がアメリカに出国しました。中国国内外には、なお大勢の民主化要求活動家や団体があります。将来彼等が力を得て、中国が民主化したとしましょう。中国から遠く離れたアメリカやヨーロッパは万々歳。 何故なら、これで開かれた中国市場が得られるからです。これまでは、中国国営企業に利権を持つ共産党や中国政府によって、散々ビジネスチャンスを奪われてきた。これでやりたい放題だ。しかし、民主化で中国の外交や国防政策が変化するでしょうか?日本を含めフィリピン、ベトナム、インドネシア等周辺諸国が、今最も懸念しているのは中国の膨張主義である。膨張主義の原点は、過度な民族主義である。中国民主化でこれらの懸念が解消されるでしょうか?
 仮に中国に民主化政権が成立したしよう。当然チベット・ウイグル・内モンゴルは独立を宣言する。民主化政権はこれを容認するだろう。何故なら、民主化政権の後ろ盾はアメリカで、これら各地域の独立を支持してきている。しかし、その反動も大きい。中国民衆は民主化に勢いを得て、更に民族主義・膨張主義を煽る可能性がある。これまでの共産党独裁体制では、これらの勢いは党と国家でコントロール出来た。しかし、民主化政府でコントロール出来る可能性は無い。つまり、民主化により、中国が暴走する可能性が却って高まるという懸念である。
 ではこれを防ぐにはどうすれば良いか?これなら間違いない、という方法はない。中国を分割し、かつての戦国時代や三国時代の様に互いに争わせ、中国人の外へのエネルギーを内に向かわせるのも一法であるが、長続きはしない。ウーン暫く考えましょう
(12/05/22)

 中国の次期首相と目される李克強が、中国の正式経済統計など全く信用出来ないとしながらも、不動産・鉄道・金融の経営統計には注目していると発言。この三者、バックにいるのが共産党というのは当たり前だが、特に軍部の影響が大きい。特に不動産・鉄道は解放軍の不動産・鉄道部門のようなもの。李がどの点に着目しているかというと、負債残高。このところ資産の割に、負債が急激に増加している点。何だか日本のバブル崩壊直前の様子に似てきました。つい最近中国中央銀行は、預金残高の0.5%引き下げを実施した。昨年不動産バブルによるインフレ抑制のため、流動性資金の抑制を行ったばかりだ。それを1年も経たない内に元に戻すのは、昨年の金融引き締めで金回りが悪くなった軍や共産党幹部が、胡・温にナントカしろと詰め寄った所為ではなかろうか。胡・温も年末の政権交替を無事穏便に済ませたい、それが自分らが一生安楽に暮らせるクレジットだからだ。だから、軍や共産党守旧派の無理難題にも答えなくてはならない。ここから云えることは、共産党や軍に直結している国営企業の大部分は、最早経営的に逼迫している状態だということである。
 今世界のまともなエコノミストで、中国が今後も安定した投資先と思っているのは、殆どいないだろう。もしいるとしたら、従来の中国神話から抜け出せないアナクロ。或いは、今後予想される中国の経済動乱を利用して、一儲けを企む投機筋ぐらいか。後者は別として、前者に属するメンバーとして、アメリカ特に民主党、それと日本の民主党特に鳩山・小沢グループが挙げられる。対中姿勢に関するオバマ政権の曖昧さは、将来に禍根を残すだろう。オバマの場合、そもそもアメリカ民主党は、日本より中国を重視する傾向が強かったが、ここにきて大統領選を控えて、最大支持母体の労働組合やそのOBの意向を無視出来ず、中国市場重視に傾かざるを得なかった。更に民主党支持派のグーグルやフェイスブック、マイクロソフトなどのIT企業が、皆中国市場進出を狙っているからである。票と市場の両面から挟み撃ちにされて、オバマは身動き出来ない状態になっているとも云える。しかし、そういう状況を作ったのも自分の責任である。前任者ブッシュの露骨な反中姿勢を、何も考えずに改め(チェンジ)た結果である。鳩山・小沢は元を糺せば旧田中派である。彼等は後に自民党内や民主党内での親中マフィアを作った。マフィアというのは、その背後に何らかの利権が、かいま見れるということである。日中国交回復を決断したのは故田中角栄である。角栄がこの時点で日中利権を画策したかどうかは判らない。しかし、その後経世会によって角栄が事実上追放された後は、日中関係は対中ODAという形で、経世会利権に化したのである。これを作ったのはおそらく竹下・金丸。後を次いだのが小沢一郎という役回り。鳩山は只の口上芸人。しかし、彼等がやったことは、中国の際限の無い覇権主義・拡張主義の容認のみ。無能としかいいようがない。その原因は、目先の利益に目がくらんで、後先が見えなくなり売国朝貢主義に陥ってしまったことである。
(12/05/18)

 盲目の人権派弁護士陳光誠氏のアメリカ亡命が認められたが、これの背景には何かすっきりしないものがある。当初駐中国アメリカ大使館は、陳氏が国内に留まることを希望していると発表した。ところが、ある日一転して、陳氏が始めから亡命を希望していたと言い換える。これは、米議会の陳氏への直接電話尋問の直後だった。それ以降、メデイアでは陳氏が途中から心変わりしたという報道が主流になっている。まさかでしょう。亡命を希望しない者が、何故外国大使館に駆け込むのでしょうか?これは駐中国大使及びオバマ政権のチョンボである。アメリカ側は、おそらく陳氏の影響力というものを、全く理解出来ていなかったのでしょう。この前に王立軍という人物がアメリカ大使館に駆け込んできた。これは薄の子分で相当怪しい人物。アメリカはこれを大使館から追放した。大使館は陳氏もこれと同類と思ったのではあるまいか?それをワシントンに送り、オバマもそれに騙された。つまり、駐中国大使館のチョンボ。そのチョンボを隠すために、「陳氏は亡命を望んでいない」などの輪を掛けたチョンボ声明を出さざるを得なくなった、というのが本音ではあるまいか。
 この件で伺われるのは、アメリカCIAの能力劣化である。クリントン時代にCIA 予算を大幅に削ったため、アメリカの情報収集分析能力は著しく低下した。その後のブッシュ政権では、ハード面での予算は増えたがソフト面では相変わらず。これが未だに続くアフガニスタンの混乱に結びついている。オバマ政権もCIA に十分な理解を持っているかどうか、判らない。これが対中関係で何か起こると、オバマ政権が一瞬立ちすくみ、融和策に入る原因だろう。
(12/05/07)

 中国という国の問題の一つ・・・というより最大の問題・・・中央政府の統制が末端に届かないということだ。まさかネット規制や言論統制など、中央集権が進んでいるではないか、と思うだろうが、こんなどうでも良い些事には中央より統制は効くが、より重要なつまり既得権益に関することには、中央は全く無力だということだ。その例が元重慶市総書記だった薄キ来の件。中央は英国人殺害で、慌てて薄を失脚させたが、それが無ければやりたい放題にさせていた筈だ。又、北朝鮮軍事パレードで出現した長距離ミサイル台車。これを入手出来たのは疑いもなく、中国解放軍の承認があったため。問題は、これが中国政府や共産党中央の指示によったものかどうかどうかである。テポドン3の打ち上げについては、中国政府はアメリカとの協調体制を採っていた。それにも関わらず、このような事態を招いたのは、中国国内に政府を無視して独自行動を採る勢力が存在する証拠でもある。ミサイル台車を北朝鮮に輸出した企業は解放軍系国営企業。彼等が勝手なことをやっているのである。彼等が将来中国という国を食いつぶし、国家を破壊するだろう。温家宝が一番心配しているのは、その点かもしれない。
(12/04/24)

 下の記事は4月4日毎日新聞朝刊経済欄に載っていた、酒井吉廣(精華大学米中研究センター高級研究員)という人物のコラムである。

「今中国の軍拡が話題になっているが、中国軍事費の延びの半分は人件費だ。中国は軍拡を通じて米国の経済成長にも貢献してきた。日本もそれに応じて儲けている。今後も中国に協力して互恵関係を築くべきだ。

 中国の軍備拡張は、廻り廻って日米の経済成長に貢献しているのだから、もっと協力せよ、というまことに厚かましいというか、あっけらかん態度である。新自由主義もここまでくると、何でもあり状態である。しかし、これを裏返して見ると、中国の軍備特に兵器は日米のノウハウが無ければ作れない、ということを暴露しているようなものである。実際同コラムでは、軍需産業と民政産業は互いにラップする事が多く、兵器部品は民生品を多く使用し、その多くは日米製であると述べている。つまり、中国兵器部品の多くは日米製ということだ。確かに、中国軍兵器は、世界水準からみれば1世代古い2流品である。しかも中国独自開発のオリジナルなものは何もない。その大部分は旧ソ連製のコピーである。それではイカンということで、西側最新技術を手に入れたいが、まともな手段では出来ないので、スパイやハニートラップ、サイバー攻撃でなんとかしようとしているのだろう。それでも周辺諸国(フィリピン、ベトナム、インドネシア等)への脅しには十分使えるのである。量的変化は質的不足を補うのである。しかし、所詮2流は2流。
(12/04/06)

 中国が12年度経済成長率を7.5%に設定と発表。しかし軍事費は11%、公安関係費は15%の延び。ということは民政関係の経済成長率は、実質5%程度にしかならないのではないか?このしわ寄せは当然民政部分に行くが、中国の場合これにも色々あって、当たり前だが共産党と一体化している国営企業とその幹部一族は安泰。一番割を食うのは内陸部の農民達ということになる。当然農民内に失業者が発生する。この農民失業者が問題で、過去の歴代王朝滅亡の原因になったのがこの農民失業者である。農村の失業者対策に失敗すると、彼等は流民化→流賊化→盗賊化し、内戦を起こして遂に王朝を乗っ取ったり、或いは夷荻の侵攻を許すことになる。これでは大変だ、失業者対策をなんとかせねばならぬ。そこで思いついたのが彼等を軍や公安に吸収すること。しかし、これらは公務員である。何もせずに、給料をただ取るだけ。財政負担は増すばかり。当然、他の産業界や都市住民に不満は高まる。こんなことを何時までもやっていると、いずれ中国もギリシア化しかねない。
 そこで、機を一に発表されたのが、解放軍報の「人民解放軍は海外展開を目指すべし」という論文。要するに、海外に存在している中国人民や投資、権益の安全を確保するために、軍隊を海外に展開する能力を高めよ、というのがこの論文主旨である。なんとなく偶然には思えません。著者は海軍少将となっているが、背景に解放軍や党中央(保守派)の意図が働いているのは間違いない。そしてこの考えは、実は19世紀後半ヨーロッパ帝国主義のそれと瓜二つである。当時のヨーロッパも第二次産業革命の結果、農村に余剰人口(失業者とその家族)が増大し、社会格差が大きくなり、革命の危険が高くなったため、余剰人口の受け入れ先としてアジア・アフリカに植民地を求めた。ところがどの国も同じ様なことをするから、逆に植民地不足に陥って、遂に第一次世界大戦を始めたのである。日露戦争はそのとばっちりみたいなもの。
 ところで、現在の中国経済を主導しているのは、みんなハーバードやプリンストンを卒業した近代経済学のエリート達。マルクス経済学を勉強したものなど一人もいない。そのような彼等が、150年も昔の帝国主義論に陥るとは理解出来ない。これは中国が遅れているのか、経済学そのものが遅れているのか、それとも経済学教育に問題があるのか?
(12/03/08)

今中国で商標権を巡ってアップル叩きが始まっているが、これは冷静に見るとアップルのミス。訴訟ではまず勝てない。国際ヤクザに因縁を付けられたと思えば良い。その対策はヤクザとは付き合わないことだ。アメリカ人はヤクザとかたぎの区別が付かないのだろう。おそらくiPadを開発している段階で、商品名が中国側に漏れていたのだ。誰が漏らしたのか?これは推測でしかないが、アップル社内の中国人スタッフ。実は中国政府の産業スパイだったりして。これこそヤクザの手口。今世界は13億人のヤクザを抱えていると思えばよい。
 
アップルやグーグルなどのアメリカベンチャーの欠点は、経営者が若く法的駆け引きに疎いこと。だから老練の中国人にかかれば子供みたいなもの。歴史の差だね。日本人だって危ないものだ。今後中国人、韓国・チョーセン人をみたらドロボーと思え、というのが国際コンセンサスになるだろう。
(12/02/21)


元重慶市公安部長の王が失脚して、アメリカ亡命を企てたものの失敗。逮捕北京送り。王のボスが重慶市党主席の薄。二人とも太子等のエース。重慶での闇社会摘発に辣腕を振るったらしい。そのエースが何故失脚したのか?王らはやりすぎて胡・温らの逆鱗にふれたのではあるまいか?つまり、重慶闇社会のバックにいるのが胡・温ら共青団閥で、王らはその縄張りに踏み込んでしまった。生意気な奴だ、やってしまえ、てなこと。これだけ見ると、古い濁派(胡・温派)vs清派(薄・王派)の対立のように見えるが、果たしてそれだけだろうか?太子党のバックにいるのが、江沢民をボスとする上海マフィア。これだって怪しいものだ。彼等だって独自の闇社会を抱えているはず。形を変えたヤクザの縄張り争いのようなもの。
 来年中国は主席交替を迎える。本命は太子党の習近平。王らはこれに備え、胡・温派勢力を削減し、習への接近を諮ったのではあるまいか?それが裏目に出てしまった。つまり、今中国では、激しい権力闘争の真っ最中。
 さてこの種の権力闘争は、過去中国各王朝の末期では必ずと言って良いほど繰り返されてきた病理現象。中国の繁栄もあと永くは無いなあと感じるのである。
(12/02/13)

スーダンで、道路建設に携わっていた中国人スタッフ70人が、南スーダンの武装勢力に拉致された報道で、サーチナニュースを検索してみると、なんとネットが遮断されて繋がらない。中国政府も相当のショックで情報規制に乗り出したのでしょう。これだけでなく、最近中国の海外進出には逆風が吹いています。
 リビアでは、革命政権が石油権益をイタリア・フランスに優先的に販売するとし、カダフィ制裁に消極的だったドイツ・中国は追い出されてしまった。最近、温家宝がアラブの春に理解的発言をするのは、何とかリビア石油権益にすがりたいだけ。ミャンマーでは、大規模ダム事業が中止に追い込まれた。中タイ鉄道もダメだろう。
 何故こんなことになるかと云うと、中国指導部が、目先の自己中心的利害・・・中国の核心的利益中心主義・・・に囚われ、現地の実状や時代の変化についていけていないからである。
1、中国援助事業は、監督者から末端の工夫まで、みんな中国から連れてやってくる。おまけに住宅や鍋釜まで持ってきて、一つの街を作ってしまう。従って、現地では雇用も消費も産まない。現地人は土地を奪われるだけで経済的メリットはない。
2 、その変わり、政府の権力者や役人やその周辺には、賄賂をばらまくから首都周辺の都会は経済的に潤いバブルが発生する。その結果、中央と地方との経済格差が広がる。おまけに、中国が援助をする国の殆どは・・・かつてのリビアや今のスーダンの様に・・・民主主義とはほど遠い強権・独裁国家であることが多い。
3、工事が終わっても中国人は帰国せず、現地に居座って、知らぬ内に現地経済を支配するようになる。リビアでは中国人が30000人いたと云われるから(ちなみに韓国人は3000人、日本人は大使館や商社を含めて200人弱)、現地人にとっては脅威だろう。

 他に中国人は儒教的合理主義が身に付いていて、現地の神や仏を敬わないとか、中華思想のため新興国民に対し尊大な態度を採る(この点は韓国人も同じ)ようなことで、現地人の反感を買うようなことが原因として挙げられる。実は日本人も戦前はこういう傾向があって、それで中国人やフィリピン人などに嫌われたのである。
 さて、現在中国は資源確保のため、新興国特にアフリカに急接近している。しかし、その結果が今回のスーダン騒ぎのような反中運動に繋がれば、虻蜂取らずである。上の2で挙げたように、中国援助パートナーには古い強権・独裁国家が多いため、今後そうなる可能性が高い。国際的には中国のステータスを下げ、国内的には政府に対する不信感が強まる。国家的危機に繋がる。
 なお、拉致された中国人が無事解放されたと云っても、彼等の今後の人生が安泰と言うわけではない。余計なことを云わせないため、公安の監視がつくとか、再びもっと過酷な国に送り込まれるかのどっちかでしょう。
(12/01/30)

 中国が宇宙ステーションへのドッキングに成功して、国内は大はしゃぎらしい。「これで我が国も宇宙大国だ」と。しかし、国産化率はロケット部品の6割だけ。あと4割はパクリということ。これも数だけのことで、数に含まれないソフトや部品の性能を考慮すると、実質国産化率は2割程度ではあるまいか。そういえば、ここ数年アメリカや我が国政府機関への中国ハッカーの侵入が急増している。これは実はこのドッキング技術パクリが目的。最近起こった、三菱重工へのハッキング事件も、それが目的かもしれない。所詮パクリしかできない張りぼて大国とそれをう羨ましがる乞食国家。こんなのと共同体を結べば、日本はボロボロだ。
(11/11/07)

 中国で身分証に指紋データが記録されることになって話題になりました。何故今頃こんなことをするのかというと、どうやら今年6月頃から、中国各地で反地方政府暴動やデモが頻発しているのが原因ではないでしょうか?来年、中国首脳の交替がある。それに向けて治安対策を強化せよ、てな要求が、この間の全人代で、江から胡・温に出たのではあるまいか。
なにしろ、江は次ぎの代表の習の後ろ盾だから。ジイサンは孫のことが心配で心配でたまらないのだろう。
 それはともかく、この政策は国家が国民を信頼していない証拠。国家が国民を信頼しなければ、国民も国家を信頼しなくなる。相互に不信感を持つ国家に、まともな将来を期待出来るはずがない。
(11/11/01)

  中国宇宙ステーションモジュール打ち上げ成功の陰で、上海地下鉄追突事故。原因は工事・整備の手抜き。何処か噛み合わないのが、胡・温政権の国威発揚政策。10年前、江沢民から政権を受け継いだとき、「何時かこのジジイを見返してやろう」と、心に誓ったのではあるまいか?通常政権1期目は前任者の影響が大きい(江もそうだった)。無事2期目に入ると政権掌握モードになる。確かに胡・温国威発揚政策は、2期目に入ってから加速している。ちょいとやりすぎだね。過ぎたるは及ばざるが如し。小金を持った小人ほど見栄を張りたがる。
(11/09/30)

 アメリカが台湾へのF16売却計画を急遽取りやめ。オバマがこれにより8万人の雇用を産めるとと言うと、某中国筋が、それならその三倍の失業者を作って見せると脅し。誰を脅したのでしょうか?大方、グーグルやMSなど中国市場拡大を狙っているIT企業。彼等は概ね民主党系。中国市場締め出しを恐れた連中が、来年大統領選を控えているオバマを牽制したというのが実態と思われます。アメリカ民主党とその関連企業の中国コンプレックスは、昔からの伝統ですが、殆ど病的です。
(11/09/20)

一昨日、中国の都民系新聞社2社が発行停止に追い込まれた。この2紙は例の高速鉄道事故をしつこく追求したとされる。しかし、それだけでしょうか?この1週間ほど前には、大連市で化学工場移転に対する反対デモが起こり、政府は異例の早さで工場移転を凍結した。化学工場のバックは軍・江派とされる。事件の背景には政府・党内部での、胡・温等改革路線対保守派との確執があったと考えてよい。今回の新聞発行停止はそれに対する軍・保守派の意趣返しと見られる。何故なら、中国鉄道省と軍はほぼ一体関係で、鉄道省に対する批判は即軍部批判に繋がる。又、両者のバックには江沢民がいる。来年の共産党首脳部交替を前に、既に形を変えた党争が始まっているのだ。
 さて、問題は日本政府の対応。本日発表された国会人事では、衆院外務委員長に田中真紀子。媚中派であるのは当然だが、中国のどの派に属するのかよく分からない。これを読み間違えると、日中関係は更に混乱する可能性がある。
(11/09/06)

 いささか旧聞に属しますが、最近中国国防省幹部がイスラエルを訪問しています。ところがその後、中国の無人偵察機が墜落したという事故が明らかになった。国産と称しているが、どうせスパイを使ったパクリ。ところが肝心の所がわからない。そこで、イスラエルに何か土産を持ってノウハウを貰おうとしたのではないか?土産とはこれまでリビア・アラブシフトだったスタンスをイスラエル寄りにするとか。しかし、相手はユダヤ人。お人好しの日本人とは大違い。とんでもない条件をふっかけられるかもしれない。果たして交渉の行方は?
(11/09/03)


 先日6ch「たけしのTVタックル」(私もたまにはこういう低俗番組を見ることがあります)。ゲストの女中国人記者が面白いことを云っていた。
1)中国は一番上に国家があって、そこから国民が現れると考える。・・・・これは、日本人ゲストが中国高速鉄道事故を批判して、日本では社会はまず人民が居て、その上に家族・国家という共同体が出来上がる。人民が国家の主役と考えるという発言に対する反駁である。しかし、孔子はこんなことは云っていなかった。修身斉家治国平天下であり、孔子もまた、人民を国家の基礎と考えていたのである。
2)日本の対中ODAは朝貢であって、これは挨拶のようなもの。・・・・・・・今は21世紀。しかし中国人の意識は、秦の始皇帝と変わらない。時代遅れも甚だしい。
3)中国は相手が弱いと見るとドンドン突き進む。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・こういうのを日本ではヤクザ暴力団という。

4)中国が一致出来ているのは共産党のおかげである。共産党が無くなれば、昔の様にバラバラになる。・・・・その通り。
 この番組は中国本土には届かないかもしれないが、日本にいる中国大使館が視ている。つまり、発言者は中国大使館員の監視を受けている。と言うことは、同番組での中国側ゲストの発言は、全て中国の公式見解と考えてよい。そこで彼女の発言要旨を視てみよう。1)~3)はどうでも良いような話し。ワタクシが興味を持つのは4)である。現在の中国政権(中国共産党・政府)が最も恐れているのが、国家・民族の分裂だということであり、それは無視出来ない脅威だと云うことを、自ら白状したようなものだ。敢えて発言しますが、今の中国は、10数年以内に分裂するか、それに近い混乱に陥るでしょう。あの女記者はそれを予感しているのではないでしょうか。だから、わざと当局寄り発言をしたのかもしれない(彼女だって、家族が大陸にいるだろうから)。その代わり、隣にいた男の記者は、どうもボンクラで危機感に乏しい感がしたのである。これが将来の中国破滅原因になるかもしれない。そして、将来の中国分裂の原因を、今一所懸命作っているのが、他ならぬ中国共産党。今の中国は共産党の主導でその方向に突き進んでいるのである。
 ではそれを防ぐ方法はあるか?あるのはある。最も有力な案は劉暁波の云う「緩い連邦制」である。これなら、ダライラマもウイグル独立派も納得するだろう。
(11/08/17)

 中国国営格付け会社が鉄道省をAAAにランク付けして波紋を呼んでいます。これ実は軍部と胡・温派との権力争いの結果。これまでの中国政治は国防は軍、インフラ・経済は政府と共産党の様に区分けされてきた。しかし、ある時期からこのバランスが崩れてきた。その典型が鉄道省である。ここで国営格付け会社が鉄道省をAAAにランク付けしたことは、経済の分野まで軍が浸食してきたということである。無論この格付け会社が軍に強く影響されていることは云うまでもない。一方、昨日大連で、国営化学会社の工場拡大工事が、市民1.5万人の抗議デモであっさり撤回された。これを主導したのが共産党である可能性が高い。 この会社のバックに軍がいれば(その可能性も極めて高い)、共産党による露骨な軍(つまり鉄道省AAA格付け)への嫌がらせである。ある意味共産党が軍にケンカを売ったとも見られる。
 何故共産党と軍の対立が先鋭化したかというと、それは来年の政権交替にある。現在の胡・温体制は共青団閥を背景にした改革開放派。来年政権を受け継ぐ習近平は利権階層をバックにした太子党。保守派でこの背後にあるのが江択民。そして江と解放軍とはべったりの関係。昨年11月の共産党大会で、温家宝は政府特に地方政府の腐敗に言及し、不正・腐敗の根絶を訴えた。一国のトップがこんな身内の恥をさらすのは異例である。これが軍部並びにそれに連なる江派と習近平への挑戦であることは顕かである。
 古来、中国王朝滅亡史に共通するのは、軍人と文官(宦官を含む)との対立である。これが、中央政治を混乱させ、地方政府の腐敗・不正を呼び、農民の反乱、流族を発生させ、帝国が滅亡する。今の中国は既にその段階に入ってきたと考えられる。

(11/08/16)

 中国で空母ワリャーグが竣工、試験航海という報道。ワリャーグとは、古代スウェーデンに居たノルマン人で、古代~中世にかけてバルト地方からウクライナ・ロシアに移住し、原スラブ人の上に乗っかって支配したと云われる。白い肌・金髪・碧眼が特徴で、例えばプーチンやイシンバウワなどが典型である。メドに原スラブの血が入っている。

 
それはどうでも良いが、同日に中国新幹線車両のインチキがばれて、納入停止という報道。ワリャーグもそうなる可能性大。何故なら、あの国は、プロジェクトが始まる段階では一所懸命に作るが、それが過ぎると手抜きに走る。世代的には胡・温政権が始まった21世紀初期には真面目だったかもしれないが、拝金主義が横行し出した00年代後半は手抜き世代だだから、何が起こるか判らないのである。
(11/0810)


 

 坑州で、胡・温派メンツを賭けた新幹線が衝突したと思ったら、アモイ事件の主犯(江派)が中国に送還され、空港で逮捕。来年の共産党人事を巡り、共産党内部で熾烈な闘争が行われていることが伺われます。
 権力交替の時、昔から中国では何でもあり、共産党の謀略も何でもあり、です。
(11/07/25)


 中国北京ー上海高速鉄道で、開業以来立て続けに起こるトラブル。その内、橋の桁が墜ちるだろう。 中国ネットでは批判カキコもあるが、その逆もある。目立つのは専門家と称する学者達の鉄道擁護論。これは仕方のないことで、秦の始皇帝以来、中国の学者は、皇帝の下働き。如何に皇帝(共産党)が間違って無かったかの理屈をこね回すことが仕事。自分の考え・判断を持ってはならないのだ。
 なお、これに関し中国鉄道省が「(日本の)新幹線だってたびたびトラブルを起こしている」と言い訳発言。日本の新幹線は余計な話しだ。そもそも日本の国交省は中国新幹線批判など行っていない。それをわざわざ中国政府機関が採り上げる理由が不可解。第一、中国新幹線が日本新幹線より優れていたのではなかっったか?これから伺えるのは、中国の日本に対する根深い嫉妬とコンプレックスである。
 それはともかく、この問題に関し、今一番気が気でないのは現在の中国指導部だろう。何故なら、今政権内では胡・温(共青団派)対習・江(上海閥)の抗争が激化している。胡・温派のメンツをかけた高速鉄道のトラブルは、習派による胡・温派批判の絶好の火種。ネットでの批判カキコミは習派によるヤラセかもしれないし、ネット規制は胡・温派による逆襲かもしれない。下手すると、とんでもない政治スキャンダルに発展しかねない。何事も自分の利益だけを考えて他人のものをパクルと、その因果が自分に報いるという好例。(11/07/15)
 
 この間北京でエスカレーターの逆走があったと思ったら、今度は広東省深サンで同様事故。但し北京はアメリカ製、広東はフランス製。なんだ、新幹線は国産だと威張っているくせに、エスカレーターも作れないのだ。尤も、エスカレーターが国産だと知ったら、客がデパートに集まらなくなるおそれがある。デパート側にも自己防衛の権利はあるのだ。
(11/07/11)


 中国鉄道相が、日本での中国パクリ新幹線報道を中国に対する嫉妬だと広言した。この件についての日本での発言は主にマスコミやネットから。当事者の川崎重工は、法的手続きをするかどうか未だ決めかねている。日本政府は当面何も動いていない。それにも拘わらず、中国政府までがコメントするのは、内心やましいことがあるからだろう。本当はパクリだと言うことを判っているのだ。ただそれを認めれば、人民の反政府気運を産む。それを避けるために、対外的には強気でうってでなけりゃならん。これが儒教国の悲しいところで、みんな「孔子」の教えに金縛りになっているのだ。天命を受けた天子(共産党)のやることに間違いがあってはならない。それに刃向かうのは蛮族であ
る。従ってこれは徹底的にやっつけなくてはならない。てなわけで、蛮族日本に対し歯をむき出しにしているわけだ。我々の見方では、中国の方がよっぽど野蛮性があると思うが。これ実態は日本へのコンプレックスの現れ。この件に関しては、日本人は中国に嫉妬はしていない。むしろ、中国という国家、中国人という人種を馬鹿にして冷笑しているのである。
(11/07/09)


 
今中国では江沢民が生きているか、死んでしまったかで大騒ぎしています。あんなタヌキみたいなボケ老人、生きていようが死んでいようがどっちでも良いと思うが、中国ではそうではないらしい。ローマやトルコ・中国のような専制帝国では最高権力者の生死は、関連利権団体の幅と層への影響が極めて大きい。彼等にとって死生をも分ける。だから最重要課題だったのだ。と言うことは今の中国は、200年前の清帝国と体質は全く変わっていないことを意味する。それどころか社会主義から先祖返りしたようなものだ。
 古生物の世界では先祖返りした動物種が幾つかある。鯨なんかもその一つだろう。この手の種の、種としての寿命は短い。少なくとも大きくは発展しない。
(追記)中国当局は、江の重病・死亡説を否定しネット始め、情報統制を強化しているが、これこそが江死亡説を裏付けるもの。福島事故の時、東電や経産省が情報開示を怠ったことが、却って外部に事故の深刻さを内外に印象付けたのと同じである。
(11/07/07)

 中国全人代で、胡錦濤が不正・腐敗の防止を進めると同時に、共産党一党独裁の維持を主張。こんな矛盾した話しはない。古来、不正・腐敗を伴わなかった独裁政権は存在していない。中国の歴史が当にそれを物語っている。不正・腐敗は独裁体制と表裏一体なのである。今後の中国がその例外であるはずがない。
 胡体制を継ぐ習近平は太子党で、当に中国腐敗階層の代表でもある。中国共産党独裁体制はこの世代で崩壊するかもしれない。それにペコペコ媚びを売り、天皇まで利用した小沢一郎は何を考えていたのか?まさか、中国共産党という腐敗階層と手を結んで私腹を肥やそうというのではあるまいな。
 なお最近チベットで暴動続発という情報もある。
(11/07/02)

中国で高速鉄道に対し、建設した技術者の「手抜き工事で怖くて乗れない」という発言がネットで流れています。これを見ると、日本人としては、ザマア見ろ、中国人は所詮日本人に敵わないのだ、という自分本位思想が出てきます。
 果たしてそれで良いでしょうか?
(11/06/21)

 
中国広東市での暴動。新聞では単なる出稼ぎ労働者の暴動としか伝えられていないが、どうももっと深い根が出てきたように思える。
1)暴動時に広東人から「四川人を殺せ!」というシュプレッヒコールが起こった。
2)暴動で拘束された人物の大部分は四川出身者である。
 つまり、問題は単なる先進地域と後進地域との経済格差だけでなく、地域・民族対立まで及んできてきたと言うことだ。
 昔の三国時代で云えば、四川は蜀漢、広州の様な江南地域は呉、北京を中心とする中原地帯は魏に相当する。いよいよ中国国家分裂の前触れか?
 勿論、中国政府は事件報道を規制するだろうが、口コミという別手段がある。特に「客家」という集団は四川を中心に情報ネットワークを張り巡らしている。都市と地方、江南・中原と四川他内陸地域との対立が深刻化したとき、「客家」はどう動くか?
(11/06/17)

 ベトナムが南シナ海を東海に、アメリカ・フィリピンが西フィリピン海と呼称変更するのに、中国が反発している。これは日本にとって悩ましい問題である。日本は日本海の呼称について韓国・北朝鮮と対立している。ここで、ベトナム・フィリピン側を支持すれば、それが日本海に跳ね返ってくるからだ。なお、韓国・北朝鮮の主張は歴史的にも、国際法的にもナンセンス。東海は朝鮮半島東沿岸の狭い領域を彼等が勝手に読んでいただけだ。こんなナンセンスを許すと、その内、太平洋を大韓海と言い出すかもしれない。
(11/06/15)

中国の史という大学教授が直ちに対ベトナム開戦を主張している。その言い分を見ていると、要するに中国の拡大・発展を邪魔するものは全て排除すべきという主張。実に単純な19世紀的帝国主義理論である。しかし、日本でも大正~昭和のある時期に、似たようなことを云うのは大勢いた。例えば宇都宮太郎とか、頭山満とか云う大法螺吹き。帝国主義のDNAは死なず。場所を変えたそれの再来と思えば大した事はない。要するに、今の中国人は今の日本人から100年以上遅れているのである。
 仮に中国とベトナムが戦争になったらどうなるか?かつて中越が戦争したことはあるが、中国が勝ったことはない。ベトナムは戦争をベトナム戦争の戦訓に倣って、地上持久戦に持ち込むべきである。つまり、ゲリラ戦。その間の軍事援助はアメリカが保証するでしょう。そうすると、一人っ子政策で若年層が乏しくなった中国は、兵士の補充に耐えられなくなる。この不足分をチベットやモンゴルのような地方民族の負担にすれば、地方の離反、国家の分裂に繋がる。旧ソ連が崩壊したのも、中央アジアのイスラム系兵士をアフガン戦争のような対イスラム戦争に動員したからである。つまり、史教授の対越開戦論は実は、中国滅亡論に繋がるのだ。有り難い。
(11/06/14)

 来年中国全人代で習近平が国家主席に選出されることが確実とされる。習近平こそは太子党のリーダー。これにより、中国利権企業・団体は更に利権の集中を進めるだろう。ではこの太子党の天下は何時まで続くでしょうか?
 太子党の定義は難しいが、父親或いは近い親族が政権中央にあったか又は影響を及ぼせる地位にあって、自分自身が政権中央に近い人物となろう。つまり、政治的エリート中のエリートである。日本では2世議員がそれに相当する。さて、日本では明治以来戦後のある時期まで、子供が父親の政治権力を継承するという事例は・・・旧憲法下での貴族院を除けば・・・殆どなかった。世襲議員が増えだしたのは高度成長も終わって安定成長段階に入った昭和50年代以降である。世襲議員の中でも、父或いは祖父を総理大臣に持ち、自分も総理大臣になった例は、平成に入って20年近く経って生まれたアベ、福田、麻生、鳩山の四人しかいない。この四人に共通する特徴は何か、というと親の財産を食いつぶして*、政権を投げ出したということである。太子の実力などこの程度、と言ってしまえばそのとおり。いやこれは日本のことで、中国の太子は違うと反駁するだろう。しかし、中国の歴史を紐解くと、王朝が没落する時期には、太子党とは云わないまでも、権力者の閨閥に連なる一族とか、コネ人脈が王朝財産を食いつぶして破滅に導くことが多いのである。と言うことは、現在の中国共産党全盛時代は習太子党時代で終わりを告げる。後10年持つかどうかといったところだろう。
*アベ、福田、麻生は三代懸かって、コイズミが郵政選挙で稼いだ300人の衆院議席(その半分はコイズミチルドレン)を、09年衆院選で180人に減らしたこと。鳩山は、その09年衆院選の大勝を翌年参院選で敗北した原因を作ったこと。現在の衆院民主党議員の半分は小沢チルドレン。これも次の衆院選ではコイズミチルドレンと同様、泡のように消えていくだろう。おなじことが云えるのは今回の大阪府統一地方選で馬鹿増えした橋下チルドレン(維新の会)。これも泡みたいなもの。
(11/05/01)

 中国で違法食品添加材47種の内25種について検出法が確立されていない。おかしいじゃないかという批判に対し、「製品は製造工程の過程で安全が確かめられているから、最終製品での検出は必要ない」と言うのが政府の公式見解。しかし、国家最高指導者である胡錦濤が母校精華大学で、科学技術振興を歌い上げたばっかりなのですがねえ。
 これ、原発は5重の壁で護られているから大丈夫だ、という何処かの国の原子力安全委員会とか保安院とか、原子力学者の言い分とそっくり。これこそ、儒教的官僚主義論理の典型である。理屈の上ではその通りだが、理屈通りに行かないのが世の中。何故なら人間は理屈通りには行動しないし、そもそも自然というのは人間が勝手に考えた理屈とは無関係な存在だからだ。
 日本の原発は今回の事故に懲りて、今後安全性は却って高くなるだろう。これから危ないのは中国・韓国儒教国家製原発。
(11/04/25)

毎日暇つぶしでテレビのワイドショーを見ていると、面白い事を言う人がいる。今話題の大学入試カンニング問題関連で、中国・韓国カンニング事情の紹介番組がよくある。その中で、ある評論家が「中国では成功する為には全てが許される、カンニングも実力の内、という思想がある」と紹介。こんな思想は元々の中国には無かった。なにせ「渇しても盗泉の水は飲まず」の民族なのだから。いつ頃からこうなったかと云うと、改革開放以後。トウ小平が地均しをし、江択民が種を撒いて、今の胡錦濤政権以後に花が開いた。所謂「拝金主義」が甚だしくなったのは、この時期からである。江択民時代に若手の学生・官僚が大量にアメリカに留学した。彼等はプリンストンやハーバードで、当時真っ盛りだった、新自由主義経済学を吸収して帰国。現在では中堅の経済官僚として、中国経済を管理・運営している。新自由主義経済とは、つまりあらゆる規制を撤廃した自由な経済活動によって、企業価値を最大化するシステムである。ここには道義とかモラルのような、旧時代の余計な価値観が入る余地はない。中国は一党支配の一元国家だから、ここに新自由主義経済を持ち込むと、それは何をやっても構わないから国家資産価値(簡単に云えばGDP)を最大限化せよ、というテーゼになる。この中ではカンニングも、グッヅの売り上げ増加に貢献するから正当化される。外国からのパクリ(知的所有権侵害)も、今の中国人にとっては、何故問題になるかも判らないだろう。中国国内で横行する人身売買や物乞いビジネス、臓器売買も然りである。
 何故、中国は何時の間に、こんな不道徳な民族に落ちぶれてしまったのか?それは革命と、それに続く文化大革命で昔からの儒教道徳を反動の名の下に、徹底的に葬り去ったからである。しかも、社会主義だから無神論が思想の中心になる。道徳とか宗教という歯止めが無くなれば、人々が心の安定を求めるのは、まず金であり、それを保障する権力への接近である。更に国家が掲げる経済的成功第一主義が、この風潮を加速する。中国がカンニング先進国になるのも八無を得ない。しかし、こんな事をやっておれば、中国は永遠に日本に追いつけない。少なくともノーベル賞の分野では。
(11/03/02)

  余計な話しですが、中国はリビア在住中国人救済の為、客船をチャーターしました。さて、この船は何処へ行くのでしょうか?うっかり本国へ戻すと、帰還中国人からリビア情勢が駄々漏れ。せっかくの情報統制が無駄になる。だから、しばらくは海上に置いて置いて、リビアがウヤムヤになれば又、戻すのではあるまいか?しかし、その時のリビア人がすんなり中国人を受け入れる保証はない。とすれば、3万数1000人と云われる在リビア中国人の運命やいかに?
(11/02/26)

それでもビックリしたのが、リビアには3万数1000人もの中国人がいたことです。中国はリビアに経済援助を行ってきたが、それに携わる工事もみんな中国人がやってきたわけだ。リビアの場合、援助額のまず半分がカダフィとその周辺への賄賂、それに中国共産党幹部へのキックバックで消え、残り半分が現地に行くが、その殆どを中国企業とその従業員がパクッテしまうので、現地に落ちる金は殆どない。だから援助をすればするほど、社会の上層部と末端との経済格差が増えるだけ。その分リビア人には中国への恨みが蓄積する。これと同じことをやっているのが韓国。だからこの二国は、騒動が始まると同時に尻尾を巻いて逃げ出さなくてはならなくなった。腐敗民族のクサレ仕事の恥かき行状。
 なお、注目すべきは、中国は中国人脱出に向けて駆逐艦2隻をリビアに派遣していることです。これこそリビア政府の主権侵害。砲艦外交以外の何者でもない。リビア政府による中国軍艦撃沈を望みたい。
(11/02/25)

 中国で流行る物乞いビジネス。子供を誘拐して硫酸や器物で障害者に仕立て、乞食をさせるわけだ。そもそも社会主義国家に乞食などいるはずがない。それが社会主義中国でに話題になることは、中国という国家そのものがデマだということだ。
(11/02/10)

胡錦盗のアメリカ訪問。結果はどうでしょうか?ワタクシは僅差(51対49位)でオバマの勝ちではないかと見ています。まず、アメリカは胡訪米で450億ドルの契約、他にも民間購買ミッションなどの実利を勝ち取った。それに引き替え、胡は従来の主張を繰り返しただけ。何も奪われなかったが、何も得られなかった。訪米に合わせた元買い介入やアメリカ製品の輸入急増で外貨減らしに協力した。おかげでドル高円安傾向で日本も有り難い。帝王のメンツ第一の外交・経済政策は昔から変わらない。これで中国歴代王朝は滅亡していったのである。
(11/01/20)


 中国金融当局が、中国への投機資金融資(ズバリ云えば不正融資)として、邦銀を含む10数行を摘発しました。面白いのは、この中に中国国営銀行が相当数含まれていること。中国国営銀行の経営幹部は、当たり前だが中国共産党幹部か幹部候補生又はその一族。現代中国最大の利権集団である。そこに手を入れたと云うことは、共産党と政府の間に何らかの対立・亀裂が入った可能性が感じられる。折しも、北京では不動産価格高騰に抗議するデモが発生した。公安も特に制止しなかったらしい。今の中国では自発的デモはあり得ない。現在の中国バブル利益最大享受者は先に述べた通り、共産党幹部・幹部候補生及びその一族。つまり、不動産価格高騰で一番儲けているのはこの連中なのだ。これに対するデモを許可したり、公安が黙認したと云うことは、共産党対政府、又は共産党内部でも改革派対守旧派の対立がいよいよ先鋭化したということだろう。
 さて問題は、解放軍の出方である。建前では中国人民解放軍は中国共産党の軍隊である。しかし実態はどうか?解放軍が出来てから既に半世紀以上が経っている。その間、解放軍は様々な形で政治に関与している。例えば文化大革命中は一貫して中立を護った。林彪ら四人組を逮捕した第二次天安門事件は、事実上解放軍によるクーデターである。胡ヨウホウら民主派を弾圧した、89年天安門事件も実態は解放軍によるクーデターである。中国民衆の中に、共産党利権に対する不満が高まったとき、果たして中国人民解放軍はどうでるのか?これが2011年中国状勢を見る上で、欠かせないポイントになるでしょう。
(10/12/31)

日のノーベル平和賞騒ぎ。この経過を見ているとある特徴に気づく。それは中国は先進国に圧力を掛けるとともに、途上国特に旧植民地国家抱き込み作戦を展開していることだ。これは毛沢東の人民戦争理論(農村によって都市を包囲する)のマル写しである。と言うことは、中国の最終目標は全世界の解放という中国による社会主義支配である。まあ、その夢もイイトコ後3年と思うが。問題は世界中にその危険性を理解していない人間が多すぎると言うことだ。今の中国の危険性に比べれば北朝鮮など赤ん坊のようなもの。
(10/12/11)


 ノーベル平和賞で早速出てきたのが、キョウユという例の報道官。このオンナ段々人相が悪くなって今や魔女面。他人の悪口ばかり云っていると、それが自分に乗り移ってくるのだ。
 自分の主張が通らないと見ると、民主化と称して暴力・脅迫を使い多数派工作に奔るのは、レーニン以来ボリシェビキの常套手段。レーニンは死なず、東アジアの某国にしっかりと生きている。そういえば、小沢一郎のやり方もこれにそっくり。
 さて数年後か10数年後、共産党政権が崩壊し(崩壊の原因はバブル崩壊とそれに伴う共産党内部の利権・権力闘争、これに軍部の利権が絡むから更にややこしい。習近平が何者かに暗殺されたりして)新しい中華連邦共和国で出来て、その大統領に劉暁波がなったりしたら、このオンナ報道官はどうするのでしょうか?その時こそ、本当にレーニンが死んだと云える時。
(10/12/10)


 レアアースに続いて今度は漢方薬の原料(生薬)の価格が跳ね上がっているらしい。完全にバブルだね。今中国バブルの主人公は不動産からニンニク、レアアースと来てあちこちに飛び火している。この原因は、アメリカや欧州が通貨切り下げ競争に奔り、外国資金が中国市場に流れ込み、更に中国政府が相変わらず元安政策と景気刺激策を採っているから。こんなこと何時までも続くわけがない、と誰でも思うが、目先の欲に釣られるとなかなか抜け出せない。行くとこまで行かないと、眼が覚めないでしょう。
(10/11/17)


 今、世界最速のスパコンは中国製だ。ところがこのスパコン、MPUはインテル製、チップはヌビデイア(米)製。なんて事はない、肝心なところは皆アメリカ製だ。これで内部の配線やHDが日本製なら、中国製は外の筺と電源コンセントだけだったりする。要するに、今の中国の実力は外国のパクリとコピーだけ。上海万博の中国館とテーマミュージックを見ればわかるでしょ。
(10/11/16)


 
今、とにかく中国が混乱しているように思われる。一つは元安問題、反日デモとノーベル賞問題、更にレアアース問題に対する日米欧の対応。こんな事は二ヶ月前までは、中国政府も共産党も想定していなかったのではないか?レアアースの輸出を削減すれば、中国内鉱山会社が潰れてしまう。経営者は共産党員だから会社が潰れても関係はないが、労働者は失業だ。これが周辺の社会不安を作る。中国史を見ると、王朝交替の原因を作るのは、常に周辺の失業者である。レアアースの輸出削減こそ中国共産党王朝を潰す絶好のチャンス。輸出量を増やしてくれ、などとお願いする必要はない。
 世間は次期政権を習近平でメデタシメデタシと思っているようだが、本当にそんなに上手く行くでしょうか?とんでもない混乱もあり得ます。何故なら、習自身も団塊世代だからだ。
(10/10/28)


  現在、中国の製鉄会社は約800社、自動車は300社もあるそうだ。某調査によると、2015年には中国の生産設備は4割が過剰になるらしい。その内国際基準を満たす優良企業は、それそれ数社程度の大手国営企業。後は中小か地方政府系企業。そこで中国政府は余剰企業のリストラに乗り出す方針。ところがこれら余剰企業は地方共産党や地方政府、廻り廻って共産党中央や中央政府高官の利権になっているのだ。彼等にとって、利権の素が無くなっては一大事。断固護らなくては!腐敗官僚を粛正しようとした清廉人士が、逆に返り討ちに合うのは中国史であまりにもポピュラー。だから今回の余剰企業リストラも同じ運命に合うだろう。これが中国4000年の歴史。
中国の経済成長が2050年まで続くと思っている人がいるとしたら、その人の頭の中がどうなっているか見てみたいものだ。何もないでしょう。
 今の中国経済を支えているのは弱いドルにペッグした元と、政府による元安コントロール(実際元の部分自由化を実施したと思ったら、たちまちの元買い介入。こんな政府の通貨が信用出来ますか?)。安い人件費を武器にした輸出攻勢。しかし成長が続き所得が増えると、当然出てくるのが人件費の高騰。これが国際競争力を削ぐ。それより、中国人自身の中に国産品不信がある。中国富裕層は水もミルクも食料品も、みんな日本製品を欲しがる。
 既に日本始め欧米企業の中に、生産拠点を中国からベトナム、バングラデシュに移す動きがある。その内、中国企業も海外に逃げ出すだろう。そうなると、中国に猛烈なインフレが発生しかねない。つまり不景気の到来だ。日本や欧米では、いくら不景気になっても、国民が国家を見捨てるケースは少ないが、中国人は判らない。つまり、国家分裂だ。そこへいくまでに30年も40年も懸からない。
(10/09/09)

最新の英米系世論調査によると、ナント中国人の83%が、2050年までに中国はアメリカに追いつき追い越し、世界をリードする国家になると信じているらしい。この楽観主義にも驚かされる。25年前バブル期の日本人も同じようなことを考えていた。それが今のザマだ。過去の中国は何度も世界最大の経済大国になった。しかしその都度、分裂と滅亡を繰り返してきた。今の中国がその例外であるとは考え難い。おまけにホンの一部の最富裕層が、120兆円にのぼる国民総所得の30%を隠し持っていることが判った。これが国家崩壊の引き金になることは、過去の中国史から顕かである。
 なお、中国の今のバブルはあと15年は続くから、中国べったり主義でいくべきだと、日本民主党の某議員が宣わった。これも亡国の論議。何度も云いますが8.15は終戦記念日ではなく、敗戦記念日だと言うことをお忘れなく。
(10/08/15)


  三日前に中国政府は人民元変動相場制を発表。その後0.46%上昇したが、その翌日にはたちまちもとの水準に下落。この陰に噂されるのが、中国人民銀行の介入。云った通りでしょ。人民銀行が元売りと元買いを繰り返せば、対ドル元レートは一定水準に保てる。人民元変動相場制はサミット向けパフォーマンス。
 資本主義国家では中央銀行は政府とは独立した立場である。しかし、社会主義国家では中央銀行も政府機関の一つに過ぎず、共産党の指導を受ける。従って、この蔭に中国共産党の意志が働いているのも顕か。
(10/06/23)

中国が元の変動相場制を発表。但し基準値の0.5%以内。こんなの変動相場制と云えるのでしょうか?例えば、国営銀行に元買い(=ドル売り)をやらせ、0.5%に近づけば市場をストップする。次にその逆をやる。これで通貨の水準と流通を政府のコントロール下に置ける。これぞ、社会主義市場経済。
 84年円高は一ヶ月足らずの間に、40%以上も切り上がった。リーマンショック時でもギリシアショック時でも、一日足らずで10%以上も切り上がっている。これになんのても打たなかった(打てなかった)、日本の大蔵・財務省並びに大臣の無能・無責任が諸悪の根元。それに取り込められている菅直人など魔女化しているから、火あぶりの刑が相応。
(10/06/20)

中国のホンダ系企業で再びストライキ。前のストの時に会社が要求を受け入れたから、これから従業員がつけあがって来るぞ、と思っていたらその通り。しかも今回の要求は賃金だけでなく、管理体制やその他経営権に関する分野にも及ぶ。この騒ぎ、単なる企業への不満ではなく、中国の現体制への不満をぶつけて来ている疑いがある。そのターゲットに日本企業が利用されているだけだ。中国人がよくやる手。しかし、これが更に広がると、全国的な反政府(反共産党)運動に発展しかねない(このストライキ騒ぎの裏に反体制活動家が存在し、更にその裏にアメリカとGoogleがいたりして)。そうすると、日本企業はどうする?中国国内情勢の変化には十分な観察が必要。ワタクシはさっさと中国から逃げ出すのが正解と思います。次はベトナムかバングラデシュか。
(10/06/09)


 ホンダを始め中国進出外資が、軒並み賃上げを迫られています。随分前の韓国に似てきました。さて、賃金が高くなり、元も上がれば、進出企業としてメリットは無くなる。従って、製造業を中心として、今後ベトナムやバングラデシュへの企業避難が始まるでしょう。それが中国の将来にとって、どういう影響を与えるでしょうか?
(10/06/03)


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