ロシアとウクライナの将来

横井技術士事務所
技術士 横井和夫


 ロシアのチェルキン駐国連大使が急死。死因は心臓発作と言われるが、実態は腹上死ではあるまいか。これでロシアの国際ゴロツキが一人消えたわけだが、未だ大物が一人残っている。それはプーチンだ。トランプもゴロツキの一人だ。このゴロツキ二人の間でペコペコ這いまわっているチンピラヤンキーが、我が日本国首相アベ晋三。
(17/02/22)

 トルコでロシア人大使が殺されたかと思えば、今度はドイツでトレーラーテロ。ワタクシはこれはプーチンが差し向けた刺客の仕業ではないかと思いました.。何故なら犯行に使われたトレーラーはポーランドで盗まれたもの。ポーランドはあまりアラブ人はいないのだ。事件後ISが犯行声明を出していますが、これもあんまり信用できない。ISはもはや組織が弱体化し、統一的な指揮系統がない。IS声明など、ロシア情報機関では幾らでもねつ造できる。
 一方、最近ヨーロッパでは二つの重要選挙が行われました。オーストラリア大統領選とフランス野党代表戦です。しかしいずれも極右が敗北しています。また、次にはドイツ・イタリアで総選挙がある。アメリカトランプの所為で、ヨーロッパでは極右に対する反感が強くなっている。これはイカン、なんとかせねば。手っ取り早いのは、イスラムテロを装って各国に民族主義を煽り、極右派を支援することだ。そこでイスラム系のルンペンを雇って、ことを起こさせる。古典的な謀略です。
 考えてみなさい。アサド政権派が攻撃しているのは、主に反アサド派で、対IS攻撃などついでみたいなものだ。つまり、ロシアはISに恩を売っている。ISがロシアにテロ要員を提供しても不思議ではない。プーチンは元KGB将校。顔色一つ変えずに人を殺せる訓練を受けているのだ。
 さてここで興味があるのは、先ほどのアベ/プーチン会談の中にアベが説明を拒否した点がある。ほぼそれと同時に、ロシアのプーチン側近が「日本のおかげでロシア制裁網に風穴を開けることが出来た」と語った。ウクライナ問題でのロシア制裁の中心はEU。ロシアにとってEUの分断こそ当面の目標。その中心にいるのがドイツのメルケルだ。彼女に揺さぶりをかけて、EU解体に持っていく。EUが解体すれば、ヨーロッパはロシアの思うがままだ。それがプーチンの最終目標だ。かつてのアッチラ、モンゴルのバツの野望の再現である。今回の事件がプーチンの指示だったと考えてもおかしくはない。そのお先棒を担ぐのが日本のアベ晋三だ。日本に来た価値はあった。
(16/12/21)

トルコでロシア大使が射殺されました。ザマあ見ろだ。この大使は、プーチンを頭目とするロシアギャングの一味。こんな悪党野郎は殺されて当然。ついでにエルドアンもプーチンも殺ってしまえば、世の中少しは明るくなる。トランプも大人しくなるだろう。
 これに対し菅が早速ロシアに弔電を送り、「お悔み申します」とさ。そもそも未だ正式な国交もない国の、それも一地方大使・・・言っておきますがこいつはギャングの一味・・・が死んだと云って、政府がわざわざ弔電を送ったり、官房長官が声明を出すなど、前代未聞。どっちみちアベの指示だろうが、この男そこまでプーチンにコケにされて、未だロシアに媚びを売る気か。未だあきらめきれてないようだ。あきらめの悪い男ほど、悪い女に手玉に取られるのだ。
(16/12/20)

   にこやかにシャンパンを酌み交わすプーチンと習近平。実はこれ、本日「パナマ文書」を報道したWSJ日本語版のパクリです。
 WSJが何を云いたいのか、云わなくても判るでしょう。「パナマ文書」の内容は、多くの人が「ああやっぱり」と思ってそれほど驚かないのが特徴。なお、今のところ日本人の名前は挙がっていないようだ。これは日本人がマジメというより、パナマ側が要求する富裕層のレベルが高すぎて、相手にされなかった可能性の方が高い。
(16/04/05)


 このところ際立つのがプーチンの反米姿勢。以前とは打って変わったようだ。その原因がウクライナ問題にあるというのは判るが、プーチンの論法は飽くまでアメリカ陰謀説が根拠だ。本当に陰謀があったのかどうか、よく調べれば判る。仮にアメリカの陰謀があったとしても、ロシアだって同じくらいやっているのだ。
 何かプーチンの背景に、ラスプーチンのような怪しい人物がいて、それに操られている可能性もある。馬鹿馬鹿しいと思うだろうが、ロシアではあり得るのだ。特にロシア正教は多くのセクトに分かれ、その中にカルトもいる。ロシアカルトの特徴は極端な反科学主義・反西欧主義・民族主義である。共産党政権時代はこういうカルトは弾圧されたが、ソ連崩壊でまた息を吹き返している。プーチンが反米・反西欧主義に傾くのは、これら反西欧宗教カルトの影響の可能性がある。
 なお、この手の民族宗教カルトが日本にいないかと言うとそうではない。「日本会議」という右翼民族主義カルトがある。その頭目は誰あろう安部晋三首相なのだ。その手先が稲田朋美とか櫻井よし子など、何故か女が多いのが特徴。アベが女性登用を声高に叫ぶのは、女性をカルトに取り込むこと、或いは既に洗脳された女を各界に送り込むことが目的か?
(15/10/02)

 中国景気減速で西側諸国は大慌て。一人そ知らぬ顔(のフリ)をしているいるのがロシア。1930年代の大恐慌でもソ連は資本主義国を尻目に我が道を行った。その続きでしょうか?あの国は旧ソ連時代以来、経済は・・・ソ連崩壊後の一時期を除けば・・・殆ど鎖国状態。特にウクライナ問題以後、西側資本が引き上げてしまったので何も判らない。しかし客観情勢から見ると、今の大国指導者の中で習近平・朴クネに次いで困っているのがプーチンだろうというのは容易に想像出来る。
 まずウクライナ以後の経済制裁で、それまで海外に逃避していた金融資産の大部分が凍結された。凍結されても価値は残るが、今回の株安で大打撃。株安の前に起こっていたのが原油安。原油・天然ガスはロシアの重要な外貨獲得源だが、これも打撃を受けた。兵器輸出はどうか?ロシア製兵器の主な購入先は中東・アフリカや中南米の反欧米国家。彼等の原資は主に石油だ。これも石油価格が下がれば購買意欲が低下する。国内的にはあの国はルーブルしか通用しないから、ルーブルを刷ってさえいれば当面はなんとかなる。しかしその裏で進行するのが悪性インフレ。特に外貨不足で政府がデフォルトに陥れば、民衆がルーブルに信用をなくし革命だ。
 現在ロシア最大の経済的・外交的パートナーは中国である。このところロシアが日本や欧米に対し強面に出るのは、中国をバックにしているから。ところが肝心の中国が現在の体たらく。例の対中天然ガス長期供給契約や第二シルクロードなど、中国関連でロシアにとって美味しい話が一杯あったが、これがみんなパーになりかねない。これはプーチン政権にとって大きな痛手だ。だから逆に日本と手を結びたくて、強面をやっている気もする。いやよいやよも好きの内という例のアレだ。これは3000年来ユーラシア騎馬遊牧民族特有の交渉術なのである。うっかり引っ掛からないように。
(15/08/26)

 ロシアがフランスに発注していた2隻の揚陸強襲艦が1隻12億ユーロの賠償金でチャンセルになった。メデタシメデタシ。何故ならこの内少なくとも1隻は極東に配備されることになっていたからだ。だからウクライナ問題でロシアとフランスが対立したとき、筆者は日本がこの2席にオプションをかけろ、と云ったのはそういう理由だからだ。
 さて日本はこの強襲艦を買うべきでしょうか?NOです。まず第一に日本がこんなものを買うと、東アジアに余計な軍事的緊張をつくるという政治リスクを産む。第二に運用システムが全てロシアスペックだから、日米運用指針に適合しない。管制システムでも日米共通システムにリンクしていないから役に立たない。それどころか艦内部品もロシアスペックにっているから、例えばタービンのネジが壊れてもJIS製品は絶対に合わないからフランスから取り寄せなければならない。だから現実には全く役に立たない。どうしてもというなら、内部儀装を全て撤去し、ガラケー状態で日本に輸送し、中身を全部日本製で入れ替えることだ。つまり中国がやったワりゃーグ方式だ。
(15/08/04) 

 プーチンが訪日に積極的姿勢を見せたので、アベ官邸は大喜び。ところがその本音を聞くととんでもない。この言葉の本音は馬の前にぶら下げた人参。これをぶら下げておけば、日本は何処までもついてくるだろうという読みだ。毎日新聞のプーチンインタビューに拠ると、まず彼は現在の日露関係を損ねている責任は日本にある、とジャブをかました。これはウクライナ問題での対ロ制裁に日本が参加していることと、アベのキエフ演説を意識したもの。
 次にロシアは「期限を限った交渉はしない」と述べた。これはプーチン年内訪日を半ば公約しているアベへの牽制。更に「成果が見通せない交渉はしない」と明言。成果とは何か?現在の対ロ制裁から抜け出して、対ロ投資を増やし、あわよくばアメリカと距離を取れということだ。
 プーチンの狙いは領土問題を人参にして、日米同盟にクサビを打ち込むこと。そして日本に跪け、そうすれば日本に行ってやってもいい、オバマに跪いたのだからオレにも出来るだろうというわけだ。その準備は着々と進んでいる。先日ロシア国防相が、極東での軍事基地整備拡張工事を、従来の2倍の速度で進めると表明。これがプーチンの対日交渉カードだ。しかし、日本側はアベのキエフ演説で対ロカードを失ってしまった。
(15/06/21)

 アベがウクライナに行って、ウクライナ支援を表明。なんとなく昨年カイロ演説の二の舞になりそうだ。これはサミット開催に当たって議長国として、ロシア制裁の引き締めを諮るという説がある。これにより、日本がロシアに対し優位に立てるという狙いだ。つまりウクライナ支援ーロシア制裁ーアベ/プーチン会談ー北方領土問題解決という道筋だというのだが、信じられますか?誰がこんな妄説をふりまいたのか?アベはアホだからこんな妄説を信じてしまったのだろう。
 この説の基には、最早ロシアは終わりだ、今日本はアメリカと同盟を強化し、世界に恐れるものは無い、だからいまロシアに対し強気で出ても問題はない、という思い込みがあるのではないか?
 こんな思い込みなど何の意味も無い。ロシアは相変わらず核大国だし、軍事大国でもある。日本の言うことなど聞く気も無い。おまけに最近は原油価格が回復基調にある。最早ロシアは西側にペコペコする必要もない。
 そしてもっと大事なことを教えておきましょう。プーチンは旧ソ連KGBのエリート将校だった。KGBのエリートなら、少なくともIQ140はある。それに比べ西側諸国指導者のIQは、あのセンスでは、せいぜい110から120程度。アベに至っては・・・成蹊裏口入学だから・・・100あるかどうかではないか?
 だから西側はプーチンに手玉に取られるのである。こんな状態でアベ/プーチン会談などやったところで、やらないほうがまし。第二次大戦中のピレネー会談の二の舞でしょう。
(15/06/07)

ロシアの衛星打ち上げロケットプロトンMが打ち上げに失敗。このところロシアロケットは立て続けに打ち上げを失敗している。3年ほど前だったか、ロシアが打ち上げた火星探査衛星が途中で行方不明になった。これに対しロシア当局は外国製の半導体の所為だと云った。しかしどの国の製品かは明らかにしていない。
 その後立て続けに起こる打ち上げ失敗。なんとなく背景にスキャンダルの存在が疑われます。ロケットを打ち上げるのは国営企業。これには当然プーチンの息がかかっている。部品の調達を高価格の先進国製ではなく、安上がりでリベートもしっかり払う新興国製に変更すれば、莫大な利益がプーチン側に転げ込む。その新興国とは何処?か皆さん言わなくても判りますねえ。
 今回プロトンMが搭載していたのはメキシコ製の衛星。メキシコとしては大変な努力の末の衛星だ。それがパーになったのでは黙っていられない。おそらくロシアは新興国に向けて安値受注をしかけたのだろう。それが裏目に出たわけだ。その結果が、宇宙産業からのロシア追放だ。
(15/05/17)

 昨日モスクワで行われた対独戦勝70周年軍事パレード。兵員16000人、車両数100両、航空機100数10畿。随分金が懸かったたろうねえ。この金を一体誰が出したのか。あのロシア人が額に汗して稼いだのか?NO。
 実は日欧米の対ロ援助が原資です。ソ連の後を引き継いだロシアをこちらの陣営に取り込もうと、一所懸命対ロ投資をやった結果が、ロシアの軍備増強に利用されただけ。中国でも同じ。日本からのODAとか欧米からの対中投資が軍拡資金に化けたのです。からくりは簡単。
 資本主義国家では、商売の相手がこちらが払った代金を、なんに使おうと文句はいわない。この傾向は現在主流の新自由主義経済下で顕著である。無論契約によって支払い代金の使途を制約することは可能ですが、あまりそれをやると相手から取引を断られたり、横から何も云わないライバルが入ってくるから、結局は何も出来ない。要するにロシア・中国が持つ広大な領地と人口に目がくらんで、尻尾を掴まれただけです。
(15/05/10)

  デンマークがアメリカ主導のMD訓練に軍艦一隻を派遣したところ、ロシアがデンマークに対し「そんなことをすれば核攻撃の対象だ」と脅迫。しかしこの種の脅迫は今回が初めてではない。日本もソ連崩壊時にソ連の核ミサイルは日本を標的としていたと云われて震え上がったことがある。ロシアというのは旧ソ連時代からのゴロツキ国家だったのだ。
 では何故ロシアがこんな脅迫をしたのでしょうか?ウクライナ問題後の西側による経済制裁、更に最近やっとまとまったEUの資源確保の多様化方針で、ロシアが使える資源カードの価値がなくなってしまった。そこで仕方なく核という恐怖カードを見せたのでしょう。このカードを切ればおしまいだぐらいはプーチンだって判っている。つまり、これをやるぞと云わざるを得ないほど、ロシア経済はピンチに陥っているということだ。
 さて問題はこれを受けての西側の対応。毛沢東のように、”水に落ちた犬おも打て”という強硬路線で突っぱねるか、チェンバレン流の宥和主義で問題先送りにするかだ。私ならプーチン辞任を担保に、経済支援を餌にロシアを西側に抱き込む作戦を取る。プーチンがいなくなればウクライナ親ロ派も弱体化するし、ウクライナも納得するだろう。クリミヤの処分はそれから考えればよい。ゴロツキにはそれ相応の対応法がある。
(15/03/23)

 ロシアがクリミアに核爆弾搭載可能の戦略爆撃機を配備した。さてどんな飛行機かとみればツポレフ22M-A3。実はバックファイア(NATOコード)爆撃機だ。これの初期型はベトナム戦争後に配備された。中国も導入している。A3はその改良型で80年代から配備されている旧式機だ。
 現在ロシアはこれの後継機であるブラックジャックを配備しつつあるが、資金不足でなかなか上手くいかないらしい。22Mは確かに超音速で核装備も可能だが、西側がバックファイア(逆噴射)と呼ぶように、機体工学的には失敗作なのだろう。無論ステルス性はないし、機体性能など重要情報は全て西側に筒抜けだ。旧ソ連製の旧式対空ミサイルでも撃墜可能。こういう旧式機を配備するということは、ロシアがクリミア防衛に真剣なのかどうか疑わしい。
(15/03/19)

鳩山由紀夫のクリミア訪問が日米に物議をかもしだしています。ワタクシは別に鳩山の肩を持つわけではないが、鳩山という人間の人格形成に興味がある。鳩山由紀夫の専門は応用数学、特に統計力学である。この分野に限らず自然科学では、理論の正しさを証明するためには、如何にデータに客観性を持たせるかがポイントである。例えばあるデータが得られたとき、その反証となるべきデータがあるかどうかを調べなくてはならない。そういう意味で現在のロシア/ウクライナ問題で、クリミアを実地に調べるのは理念としては正しい。
 しかし、その理論と方法には問題があって、とてもじゃないが鳩山の結論は世間に受け入れられるものではない。
1、理論面で;通常の古典物理学の世界では因果律、つまり原因があって結果が生じるという法則が成立する。ここでは原因から結果にいたるプロセスが重要である。ところが、素粒子物理の世界ではそれが通用しない。どれが結果で何が原因かが判らない。それを説明するのが統計力学、全て確率で決まる、というわけだ。だから原因と結果のプロセスは意味をもたない。バクチになにか意味がもてますか?
 最初に述べたように鳩山の専門は統計力学。当然ながら因果律は無視する。と言うことで鳩山の頭には、何故クリミヤがロシアに編入されたかといういう原因とプロセスは存在しない。
 ところが現実の政治は鳩山のような高次数学の世界ではなく、もっとどろどろした算数の世界なのである。そもそも現在のウクライナ問題の発端は、昨年2月からの旧政権への反対デモが切っ掛けだった。原因は前大統領の腐敗と独裁。この結果前大統領はロシアに亡命した。この時プーチンはいきなりクリミヤのロシア帰属権を主張しだした。これはなにも前大統領を助けようなどと言う親切心からではない。
 この政変でウクライナに親西欧政権が生まれるのを阻止しなければならない。理由はセバストポリ軍港の使用権である。90年のウクライナ独立後も、セバストポリ軍港は25年間はロシアが借用できる条約を結んだ。しかしここに親西欧政権が生まれたらどうなるか?借用期限はあと1年しかない。新政権が今までどおりセバストポリを貸してくれる可能性は殆どない。だったら奪ってしまえということだ。別にクリミア住民を助けようなどと言う気持ちは微塵もない。利用できるものはみんな利用しようという発想である。つまり原因と結果には一次的連関がある。
2、方法について;自然科学はデータの信用性については、STAP細胞事件のように極めて敏感である。また、鳩山がやっていた統計学でもデータの客観性は重要である。しかしながら鳩山のクリミヤ訪問はデータ収集方法としては、小保方のように稚拙としかいいようがない。
 まず自分で誰にも知られずに潜り込んでの調査なら信用できるが、現実はロシア政府の招待であり、ロシア政府高官とも会談している。これでは鳩山が得たデータは事実上ロシア政府から与えられたもので、小保方STAP細胞と同様、客観性に欠け世間から信用されるものではない。無論彼はこれまで西側が伝える情報こそ客観性に欠けるというだろう。私もそういう気はするが、西側報道機関はロシア(や中国)ほど統制されていない。だからろくでもないクズ情報も紛れ込んでいる。しかしこういう無統制報道を繰り返せば、その内有意な情報が浮かび上がってくる。この手法を情報工学ではスタッキング*という。鳩山がこれを知らないはずがないだろう。
 つまり、鳩山のこれまでのロシア/ウクライナ問題へのアプローチは、理論面でも方法論でも未成熟である。もう少し考えなければならないだろう。30点!鳩山は東大まででているから知能はそこそこだろうが、知性が中学三年生並みということだ。所詮煮ても焼いても食えない土鳩か、あっち行けこっち行けの伝書鳩。もっともアベ晋三は知能も知性も中学三年生なみ、ロートルヤンキーだが。
*今、アップルやグーグルがやろうとしているネット戦略が当にこれなのだ。別に新しくともなんともない。30年前に開発された技術だ。
(15/03/15)

   鳩山がいきなりクリミヤに行って政府は大慌て。この男、前にも日中関係が揉めているさなかに中国を訪問したお騒がせマン。何しろ元祖宇宙人だから。鳩山家にはお騒がせDNAというものがあるのだろうか?
 本人が何を思ってこんなパフォーマンスをしたのか知る由もないが、これに対し自民副総裁の高村が、苦言を呈し最後民主党にもクレームをつけた。
 しかしこれは筋違い。鳩山はとっくの昔に民主党を離党し縁もゆかりもない存在。高村はそんなこともしらなかったのか?こういう現象は高齢化するとしばしば発生する老人性ボケというヤツである。彼も最早70代後半。ボケが発生してもおかしくない年齢。高齢化が進むと脳の記憶細胞がどんどん死滅し、空白化する。これがボケの原因だが、若い頃得た記憶は何時までも残ることがある。これが徘徊の原因になる。高村の場合、鳩山イコール民主党という等式が記憶にあって、それがつい出てしまったのだろう。つまり高村も既に老人性ボケ予備軍に入っているということだ。
(15/03/11)

 ロシア反プーチン派リーダーのネムチョフ殺害で、ロシア当局はチェチェン人活動家四人を拘束しましたが、これをそのまま信用する人は世界にどれだけいるでしょうか?第一、チェチェン人は反ロシア、ということは反プーチンのネムチェフとは理念は一致するわけだ。何故そんな人間を殺害する必要があったのでしょうか?
 一般には犯罪では、真犯人はその犯罪でも最も利益を得られる人物とされる。さてネムチェフがいなくなって、一番利益を得るのは誰でしょうか?
(15/03/08)

 昨日ロシアで反体制派リーダーのネプツオフ氏が射殺されました。犯人は誰か?当たり前だがプーチンだ。4プーチンが直接てを下さなくても、やってしまう連中は幾らでもいる。例えば、旧KGB職員。彼等は暗殺のプロだ。プーチンは元KGB将校だったことを忘れないように。
 ロシアで陰謀や暗殺が当たり前なのはイワン雷帝以来の伝統。エイゼンシュタインの映画「イワン雷帝」を見ればよく判る。ではロシア人は元々こういう性格を持っていたのでしょうか?これは結構難しく俄かに答えは出せない。元々あったのが外部の影響で強化されたというケースもある。筆者が思うに、中世モンゴルに統治されていた250年間の間に、こういうやり方を身につけたのではあるまいか?
 そもそも騎馬民族と言うものは、定着生活をしない。常に必要物資・・・食料・衣料・武器・情報・・・を他民族から吸収奪取しなくてはならない。その結果、こういう荒っぽいやり方が身についたのだろう。
 考えてみれば、今話題のISのやり方も、ゴロツキ度と言う点でロシア人と大して変わりはない。それに追いつこうとしているのが中国人だ。国際ヤンキーグループである。誰でもそうだが、ゴロツキとの付き合いは大変だ。山口組OBにでも任せてみるか!
(15/03/01)

今、世界の話題は中東のIS問題とロシア/ウクライナ問題に集中していますが、もう一つ気がかりなのが、ハンガリーです。このところ現ハンガリー政権はロシア接近を強めており、国内ではメデイア規制を強めるなど反動的政策を採っています。理由はよく判らないが、このところのヨーロッパ景気の低迷で、かつてのようなヨーロッパへの期待が薄れたことや、天然ガス供給でプーチンから餌をばら撒かれたとか、そんなところではないでしょうか?
 しかしハンガリーという国は、もともと反ロ感情が強く、50年代には反ソ暴動も起こしている。宗教はカトリックでロシア正教とは犬猿の仲。従って現政権が必要以上に親ロ政策を採れば、昨年のウクライナのような反政府運動が起こり、与党政治家は国外脱出と言うことになりかねない。ただ、ウクライナと違うのは、ハンガリーはEUおよびNATOに加盟していることと、ロシアとの間にルーマニアやウクライナという緩衝地帯をもっていることである。
 だからプーチンも直ぐには手出し出来ない。何か別の手をうってくるでしょう。
それが何か俄かには判りませんが、元KGB将校が何も考えないはずはない。
(15/02/23)

 ウクライナ停戦協定が出来たと思ったら、早速協定破り。実態はプーチンの差し金。始めから協定など守る気はなく、親ロ派つまりロシア勢力圏確保が狙い。国境紛争など国際紛争では、普通の人は停戦協定が合意された段階で現状固定と思う。ところがユーラシア騎馬民族には、そんな理屈は通用しない。時間差を利用する。協定が結ばれたところで、それが実現するには時間が懸かる。その時間の間に既成事実をつくり、これが協定の結果だと主張するのである。これが騎馬民族時間差攻撃である。
 一番判りやすい例は太平洋戦争終結において、日本は8.15にポツダム宣言を受諾した。その結果日本は各地で武装解除に応じた。ところがそれから降伏調印まで20日近い時間差があった。それを利用して、ソ連は満州・千島に戦争を仕掛け、人為的に戦争状態を作り、これを既得権としたのである。ソ連はこれを合法だと主張する。確かにヤルタ協定の内容から見て、そうかもしれないが、これ自身ルーズベルトやチャーチルや蒋介石がスターリンに騙されただけの話なのだ。あのアホ三人プラス悪党一人のために、世界は酷いことになっているのだ。今回のウクライナ合意もそれにそっくりだ。
 実はこの時間差攻撃はアッチラも使い、モンゴルのバツも使った。ロシアは13世紀以来250年に渉ってモンゴルの支配を受けた。その間に、騎馬民族的遣り方を学んだのだろう。
 ヨーロッパは過去から何も学んでいないのである。日本以上の平和ボケだ。
(15/02/18)

 2014年世界の最も重要なニュースはロシアのウクライナ介入でしょう。この騒ぎで一番馬鹿を見たのは、当の張本人のロシアです。これはわが国の安全保障、なかでも集団的自衛権の妥当性にとっても重要な意味を持っています。何故プーチンがウクライナにちょっかいを出したか?これには彼の重大な判断ミスがありました。
 ウクライナは何処とも軍事同盟を結んでいない。以前NATO加盟を希望したが、ロシアN機嫌を伺うヨーロッパ側から断られたという経緯がある。つまりウクライナは個別的自衛権はあるが、集団的自衛権は持てないのである。それを良いことに、プーチンはまずクリミアを併合し、次に東ウクライナ併合に乗り出した。この理由はセバストポリ軍港のウクライナ移管が間近に迫っていること、東ウクライナのハリコフには世界最大の戦車製造工場があり、ロシアの軍事産業も部品を東ウクライナの工業地帯から供給を受けなければならないが、新たに成立した親西欧派政権ではこれらが全てロシアの目論見どおりには行かなくなる恐れがあるからである。
 そこでウクライナが軍事同盟に加盟していないこと、アメリカではオバマはレームダック化を良いことに、ウクライナには軍事的脅迫、欧州には天然ガスをネタに脅しをかければ事態は思い通りに動くと読んだ。ところがあにはからんや、少々のもたつきやごたごたはあったものの、欧米はウクライナ支援に動き、対ロ経済制裁に踏み切った。
 お陰で、在外資産は凍結されるは、ルーブルは下がるは、G8から追い出されて国際影響力は低下し、中国からは足元見られるなど、いいところは一つもない。おまけにアメリカのシェールガス攻撃が追い討ちをかける。
 逆にウクライナは欧米から経済・軍事支援を受けられるなど、禍を転じて福をなした。この例は集団的自衛権を持たなくても行使しなくても、独立と民主主義の原則を断固護るという意志を持ち、それを対外に発信できれば、国の独立は護れるという例である。
 おそらくこの例をもっとも真剣に見守っているのが中国だろう。逆に何も学ばず古臭い冷戦構造安保論に寄りかかって思考停止に陥っているのが、日本の外務省・防衛相・自民党保守派である。防衛産業という既得権益が彼らの思考を麻痺させているのだろう。
(14/12/31)

 プーチンがアベに今年の対独戦勝式典に招待。どういう意図でしょうか?ドイツが連合軍に降伏したのは45年の6月。そのとき日本は未だ連合国と戦争中で、三国同盟は生きていた。つまり日本がソ連の対独戦勝式典に付き合う筋合いはない。それどころか、ソ連は8月9日にいきなり火事場泥棒的に日ソ不可侵条約を破って対日宣戦した。
 この意図には二つの狙いが考えられます。まず第一にはウクライナ問題を巡っての欧米日包囲網に風穴を開けること。第二にあわよくば、これにより日本からの経済援助を受け、現在の経済ピンチを切り抜けること。
 その担保が来秋予定されているプーチン訪日である。これによって日露関係が改善されれば、日本にとって対北朝鮮・対中国に圧力を加えることができるから、日本にも悪い話ではない。そもそもプーチン訪日は日本側の要請である。てな話をして、アベを天秤にかけているのだろう。
 さて困ったのはアベ。目の前に毒入りの甘い餌を投げつけられた。これをうっかり食らうと毒が全身に回りかねない。年末にいきなり出てきたとんでもない難題。
(14/12/29)

 ウクライナ騒動で注目されるのが、謎の覆面武装集団。彼等は一体何物でしょう?様々な見方があります。現地のロシア民族主義集団とか、ロシア情報省の代5列とかです。筆者はあれをコザックと見ています。ウクライナとロシアとの境界を流れるのはドニエプル河、これはドン河と合してアゾフ海に注ぎます。古くからドン河下流域に住み着いていたのがドンコザック。
 コザックの起源には色々説があるが、13世紀南ロシアに侵攻したモンゴルによって捕らえられた、ロシア人捕虜という説が有力である。15世紀以後、モンゴルの衰退に伴って北方ロシアが強大化する。その後、ロシア帝国の拡大に伴って発生した逃亡農奴や政治犯を吸収した。基本的には白人のキリスト教徒である。生活の糧は略奪と漁業である。ロシア帝国に何度も反乱を繰り返したが、その後ロシア帝国主義の尖兵となって各地に転戦することになる。
 20世紀に入って、1919年革命、1942年の独ソ戦でコザックの多くは反共産党に付き、その結果多くはシベリアやザバイカル地方に移住させられた。1990年ソ連崩壊とともに、コザックは故郷に戻ってきた。彼等の一部は、ロシア正規軍に吸収されたが、一部は昔ながらの私兵団を組織し、ロシアの敵と戦うと広言している。
 今回ウクライナで見られた、覆面武装集団の法や秩序を無視した狼藉は、当にかつてコザックがロシア帝国から許可された、略奪と無慈悲な戦闘行為そのものである。コザックは常に帝国に忠誠を誓ってきた。しかしその都度裏切られている。今回もそうなるかも知れない。
(14/06/28)


 欧米による経済制裁でルーブルが下落。お陰で来年末でのロシアのインフレ率は10%に達するそうだ。2%のインフレ目標さえ達成できずもたもたしている黒田日銀にとっては羨ましい限りだろう。ということは、日本も何処か外国と悶着を起こして、経済制裁を受けた方が手っ取り早いということだ。しかし日本はロシアと違って売るものが無いから、反対に猛烈なデフレになるでしょう。
(14/12/27)

   ロシアの注文でフランスが作ったミストラル級強襲揚陸艦ウラジオストック。艦名に注意してください。ウクライナ問題でフランスは今の所ロシアへの引渡しを拒否していますが、もしフランスが圧力に屈してロシアに引き渡せば、これは極東に配備されます。日本の安全に対する大いなる脅威になります。
 フランスとロシアがもめている間に、日本がオプションを出すべきだと言うのがワタクシの主張です。少なくとも中国が手を出してくる前に。
(14/11/26)

   これは昨日国境を越えてウクライナに侵攻したとされるロシア軍戦車。ロシア国旗をかかげているからそうなんだろう。しかしタイプはもはやロシア軍では使われていない旧式のT62戦車。これは正規軍部隊ではなく、ボランテイアの可能性もある。ロシアも原油価格下落で、内実は大変なのだ。
(14/11/08)

   これは昨日バルト地方を示威飛行したと伝えられるロシア空軍のTu95ベア爆撃機。独特の二重反転プロペラが特徴。核搭載能力はあるが、物凄く旧い機種で現在では全く使い物にならずせいぜい偵察機。冷戦初期の亡霊のようなものだ。それよりこんな旧式飛行機を操縦できるパイロットがいたのが不思議なくらいだ。日本でSLを動かそうとしたが運転士がいなくて、慌てて退職者を集めたというのと同じである。           ・・・・・・・・・・・(14/10/30)


 ウクライナ東部のマレーシア航空機撃墜事件。どうやら親ロシア派とロシア軍による共同事犯の疑いが濃厚になった。それにしてもマレーシア航空が、何故こんな危険な空域を飛んだのか?燃料費の節約のためか、それとも相当の平和ボケの所為か?マレーシアの平和ボケ気質は前のMH370便行方不明事件でもよく分かった。
 それはともかく、この事件の処理を誤ると、ロシアは西欧諸国だけでなくアジア新興国も敵に回すことになる。おまけにマレーシアはイスラム国家。G20にはサウジアラビアやトルコなどイスラム国家も多い。こんなことでBRICS銀行など出来るでしょうか?
 まあ、プーチンの知らないところで、誰かがやらかしたのだろうが、それを処理出来ないとプーチンの責任になってしまう。
(14/07/19)
NATOが公開したウクライナ武装勢力のT-64戦車。ベトナム戦争時代のポンコツで、ウクライナ軍が持つT-73戦車の敵ではない。国際モーターショーに旧式のダットサンが迷い込んだようなものだ。



親ロ派勢力を砲撃するウクライナ軍のT-73戦車(日本の10式中戦車もこれを念頭に置いている)。ロシアはこれと同型のT-72を装備していますが、T-72/73の主生産工場はウクライナ東部のハリコフ。
 ウクライナが西欧側に付き、NATOに加盟すれば大問題。ロシアが東ウクライナを手放さないのはおの所為です。
 ロシアは現在T-72改良型のT-90の生産と配備を急いでいますが、これがなかなか上手く行かない。T-90の配備が進めば話しは変わってきます。
 

(14/06/08)

 6/6はノルマンデー上陸作戦70周年記念日。それに合わせて関係国*が集まるらしい。しかし今頃何故こんなキワモノイベントをやるのか、その意図がよく判らない。それはともかく、これに本上陸作戦に全く関係のないロシアのプーチン**や、敵方のドイツメリケルが招待されるのが不思議。米軍の沖縄上陸作戦開始日に、何の関係もない韓国大統領がやってきたり、敗戦国の日本首相が祝詞を述べるようなものだ。徹底媚米のアベならやるかも知れないが。
 招待する方もされる方も、何を考えているのでしょう?
*上陸作戦参加国は、英・米・・カナダ・フランスの四カ国だけ。
**現在のウクライナ状勢を見ると、プーチンは最終的には招待されないかも知れないし、されても来ないかもしれない。
(14/06/04)

ウクライナ騒動で注目されるのが、謎の覆面武装集団。彼等は一体何物でしょう?様々な見方があります。現地のロシア民族主義集団とか、ロシア情報省の第5列とかです。筆者はあれをコザックと見ています。ウクライナとロシアとの境界を流れるのはドニエプル河、これはドン河と合してアゾフ海に注ぎます。古くからドン河下流域に住み着いていたのがドンコザック。
 コザックの起源には色々説があるが、13世紀南ロシアに侵攻したモンゴルによって捕らえられた、ロシア人捕虜という説が有力である。15世紀以後、モンゴルの衰退に伴って北方ロシアが強大化する。その後、ロシア帝国の拡大に伴って発生した逃亡農奴や政治犯を吸収した。基本的には白人のキリスト教徒である。生活の糧は略奪と漁業である。ロシア帝国に何度も反乱を繰り返したが、その後ロシア帝国主義の尖兵となって各地に転戦することになる。
 20世紀に入って、1919年革命、1942年の独ソ戦でコザックの多くは反共産党に付き、その結果多くはシベリアやザバイカル地方に移住させられた。1990年ソ連崩壊とともに、コザックは故郷に戻ってきた。彼等の一部は、ロシア正規軍に吸収されたが、一部は昔ながらの私兵団を組織し、ロシアの敵と戦うと広言している。
 今回ウクライナで見られた、覆面武装集団の法や秩序を無視した狼藉は、当にかつてコザックがロシア帝国から許可された、略奪と無慈悲な戦闘行為そのものである。コザックは常に帝国に忠誠を誓ってきた。しかしその都度裏切られている。今回もそうなるかも知れない。
(14/06/28)

 ロシア/中国の天然ガス取引は、一月前に決着が付いていたと思っていたら、事実はそうでなく、未だ価格や条件で折り合わず継続交渉らしい。30年4000億ドルと言われるプロジェクトに、プーチンは現在のEU向け価格を多少値引きした形で、先払いと融資を要求。一方中国は国際価格に連動した変動価格を要求。
 厚かましいのはプーチンの方だろう。供給実績もないのに先に金を払え、というのは資本主義の世界ではあり得ない。ーチンが云う料金先払い制は、一種の固定価格取引である。これなら一見供給側に有利に働くように見える。確かにプーチンを中心とするロシア資源エネルギーマフィアの利権は確保される。しかし、仮に将来ガスの国際価格が上昇したときには、ロシアは儲け損なってしまう。ロシア国民の不満は高まる。逆に低下したとき(シェールガスを考えるとその可能性は高い)、固定価格なら中国は逆ざやだ。逆に変動価格で契約すれば、中国側には有利だが、ロシア資源エネルギーマフィアの利権が無くなってしまう。と言うわけで、この手の話しはなかなか進まない。進まない理由は、一方(この場合はプーチン)が自分の都合を、相手に押しつけようするからである。交渉をまとめたければ、何事も国際慣行・国際ルールに従うことである。
(14/05/21)

 昨日ロシアと中国との間で、天然ガス供給契約が締結された。この案件はここ10年来あったものだが、価格の点で折り合わず、そのままになっていた。理由はロシアはEU並の高値で売りたいが、中国にはそんな気はない。叩けるだけ叩こうと言うわけだ。それがこんな短期間に決着したのは、ロシア経済がそれだけ厳しくなってきた、言い換えればプーチンは相当焦っていると云うことである。これはこれまで筆者が云っているとおりである。EUがガス調達先を変えれば、当然影響は国内ガス産業に及ぶ。相変わらずの生産を続けておけば、国内天然ガスは余ってしまい、価格低下と相俟って・・・プーチン政権の最大資金源である・・・ガス産業の経営が打撃を受ける。かといって生産調整をすれば、失業者が増大するので政治・国内事情が不安定になる。従って余った天然ガスは、闇市場で処分しなければならない。その最大の闇市場が中国と言うわけだ。EUのガス調達転換が進めば、ロシア経済は大打撃を受け、大ロシア語圏どころではなくなる。プーチンはそれを見越して、中国との契約締結を急いだのだろう。
 しかし、思ったほど上手く行くでしょうか?中国とどれぐらいの価格で折り合ったのかは判らないが、国際市場価格(或いはアメリカのシェールガス価格)より安いのは間違いない。これより安い価格で供給すると、下手すると逆ざやだ。これを埋め合わせるのは増税か、他産業から得た利益をガス産業に注入するしか方法はない。無論周辺諸国に戦争を仕掛けて、無理矢理ロシア産天然ガスを買わせる手はあるが、これは却って国際的反発を買うからそこまではやらないだろう。今のところ、中ロ両国は対欧米価値観で蜜月状態だが、いざここにガスというプラグマテイック材が介入すると、将来こじれる可能性もある。ガスは感情もイデオロギーもなく、只市場価格だけで動くからだ。
(14/04/24)

 久しぶりのウクライナ問題。これに関しロイターは、ロシアと欧米との関係では、依然ロシア(プーチン)が優位に立ち、欧米は混乱するだろうという見方を紹介している。理由はプーチンは後4年任期を残し、更に次の大統領選で勝てば更に任期を6年延ばせる。その永いタイムスパンで、ロシア/欧米の関係を戦略的に考え組み立てる事が出来る。プーチンは長期戦を覚悟し、それに備えている。それに引き替え欧米側は指導者がみんな短期的目的に縛られ、一貫的な対ロシア対策が築けない。最も強硬なのはアメリカだが、ヨーロッパは腰が引いている。最も弱腰なのはドイツである。このバラバラ部分に、老獪なプーチンが手を伸ばせば更に欧米を分断出来る。だから当分プーチンは好き勝手なことが出来る、という訳だ。
 更にロイターは続けて、プーチンの最終目標は「大ロシア語圏の再構築」にある、と指摘する。「大ロシア語圏」とは何かと云うと、ズバリロシア帝国のことである。このロシア帝国主義こそが周辺に騒乱を巻き起こし、ついには自分自身を滅ぼしてしまったのである。ロシア帝国主義とは何かと言うと、一般にはレーニンの定義による未成熟な資本主義の拡大という事になるが、実はそれにロシア民族主義及び正教的宗教情熱が合体したものである。ソ連崩壊後のエリツイン政権は、西欧への接近をはかるものだった。ところがこの政策は、国内的には新興財閥を作って経済格差を生み、対外的には欧米によるロシア蔑視を生んだ。結果は深刻な経済的・社会的混乱。
 エリツインの後を襲ったプーチンの方針は、混乱したロシアの立て直し。接近した相手が民族主義者で、中でも宗教指導者だ。プーチン政権になってからのロシア最高会議がしばしばCNNなどで報道されるが、特徴的なのはロシア正教会の大主教が参加していることである。日本で云えば、内閣閣議に靖国神社宮司が参加しているようなものだ(アベならやりかねないが)。これがロシア民族主義を扇動しプーチンの大ロシア主義にお墨付きを与えてしまうのである。それとクリントン以来の西側エネルギー無策政策が現在の石油・天然ガス高騰を招き、ロシアの経済的復活を誘い、プーチンとロシア人に欧米なしでもやっていける、という錯覚を植え付けてしまったのだろう。
 つまりウクライナ問題は、単なる政治問題を越えて宗教紛争になりかねない。これこそプーチンの思う壺である。問題を長期戦に誘い、西側の分裂と疲弊を誘い、ロシア帝国を復活させるということだ。これに対し西側は、今のところ殆ど有効な対応手段を持っていない。エネルギーで対抗することは出来るが、それが有効になるまで10年位懸かる。その間に、プーチンは周辺のロシア語圏を自分のものにしてしまうだろう。
(14/04/22)

 昨日の某民放BSニューストーク番組。テーマはウクライナ問題で、ロシアが天然ガス供給をストップすればどうなるか、という話し。ゲストコメンテーターは第一生命総研の、年で云えば40代の若手経済屋。彼曰く、「ロシアからのガス供給がなくなれば、EUはそれに耐えられず、ガス価格の高騰は避けられない」。何だか高校生か大学生向け試験の模範解答のようだ。この経済屋は、かつてのイラン・イラク戦争の教訓を全く勉強しておらず、現在のグローバル経済のなんたるかを理解出来ず、前時代的石油本位経済を信じているのである。こんなのがいるから、第一生命の株価は上がらないのだ。末端株主としてアホのシンクタンク研究員をクビにせよ、と云いたい。
(14/04/15)

 1938年5月、ドイツはチェコのズーデンラント併合を要求。これに対し英仏伊+独4カ国で開かれたのがミュンヘン会談。戦争はもうまっぴらだという世論に押されて、英仏両国はズデーデンの割譲を了承。処がこれの半年後には、ドイツはチェコの残り部分まで併合してしまった。これには英仏も我慢出来なくて対ドイツ経済制裁を発動。元々ナチス型統制経済は既に破綻に近かった*のだが、これに経済制裁が加わったものだから、ドイツも耐えられなくて遂にポーランドに対しダンツイヒ回廊割譲を要求。これをポーランドが拒否したから、第二次欧州戦争が始まった。開戦一ヶ月前の39年8月、ヒトラーはベルヒテスガルテンの山荘に党・軍・政府の幹部を集め、一連の講演を行った後「これ以上引き延ばしていてはドイツ経済が保たない。開戦は一ヶ月後」と締めくくった。経済制裁は、他人が思っている以上に効くのである。
*この破綻したナチス経済を6年遅れで導入したのが、我が大日本帝国。
 さてウクライナ問題。実に75年前の欧州状勢とよく似ている。ズデーデンには既にナチの第5列が潜入し、ドイツ系住民を扇動していた。クリミアや東ウクライナでも同じ事が行われていたはずである。さしずめヒトラーを演じているのがプーチン、チェンバリンはメリケルといった処だろう。オバマはチャーチルを演じたいのだろうが、チャーチルほどの迫力がない。そしてその結果がどうなったかぐらいは、お互いよく判っているはずだ。今や前大戦を知っている世代はほぼ絶滅した。戦後を知っている世代すら少数派になっている。果たしてその教訓を上手く生かしきれるのか、がプーチン・オバマら戦後世代の能力である。習近平は無能・無知だから全然ダメである。
(14/04/13)

 ロシアとイランがバーター取引で合意した。イランがロシア向けに石油、ロシアがイラン向けに工業製品を現物で取引する。西側の経済制裁で、両方ともよっぽど外貨が無くなったらしい。戦後1950年代、西側のココム規制に対し、ソ連はコメコンを作って対抗。要するに貿易を金融ではなく、バーターで行うもの。処がこれが見事に失敗し、80年代にはソ連自身がコメコン各国に外貨決済を要求する始末。これが89〜90年にかけての、ソ連・東欧崩壊に繋がったのである。
 バーター取引の最大の問題は、正当な価格が設定されないまま、政府間で取引が決まってしまうことである。その結果何が起こるかと云うと、流通過程での横流し・闇経済の発生である。そもそもバーターでもやろか、という国の役人のモラルがまともであるはずがない。例えばロシアからイランに送られる工業商品が、全部まともに届く保障はない。下手すると半分くらい途中で行方不明になって、それが闇市場で高値で売買されたりするのだ。その差額が、中間に介在する政治家・役人・闇業者の懐に入る。このとき使われるのが闇ドルや闇ユーロ。何のことはない、対西側政策が逆に西側経済を潤すことになる。但し闇経済だが。結果は両国とも、物価は高くなり庶民の生活は貧窮。しかし汚職官僚や闇経済屋はボロ儲け。そして再び革命となる。ロシアにはまとも経済学者がいないのか?
(14/04/10)

 下の写真は昨日東部ウクライナドネツクで行われた、親ロ派の集会です(CNN)。ロシア国旗を中心に銅像と赤旗が並んでいます。銅像はレーニンです。手前の赤旗に注目しましょう。右の旗に描かれている人物は、オールド左翼にはお馴染みのゲバラです。左の人物はよく分からないが、多分毛沢東です。今頃何故こんな、アナクロ極左過激革命指導者が、ウクライナに現れたのでしょうか?おまけにこの集団は人民共和国成立を宣言している。


ゲバラと毛沢東の旗とレーニン像(CNN)

 今のプーチンの目的は、共産主義への回帰ではなく、偉大なロシア帝国の復活である。つまり右路線。まして、ゲバラやレーニンのような極左などとんでもない。と言うことは、今のロシア社会は結構複雑で、右から左まで様々なグループが混在し、何かことがあると過激派(右も左も)がふいと頭を出すのである。頭を出すだけなら良いが、その内腕も出てくるかも知れない。
 そもそも、人民共和国と今のプーチン政権とは相容れない概念である。ロシアの辺境に本当に人民共和国が出来れば大問題。プーチンはウクライナより先に、これを潰しにかかるだろう。極左路線が出てくると言うことは、経済格差がそれだけ広まっているということだ。東部ウクライナのロシア系住民は、現在のウクライナ政権の親西欧路線が経済格差を産み、生活が不安定になることを恐れてロシア回帰を望んでいるのだろうか?それが全人民の平等を訴えた、ゲバラや毛沢東に繋がったのでしょうか?これはとんでもない錯覚です。今のロシア経済とプーチン政権を支えているのは、莫大な資産を貯えたオルガルヒ達。しかも彼等は資産の大部分を、外国銀行やタックスヘヴンを通じて外国投資ファンドによって運用している。東部ウクライナのロシア系住民の生活のことなど、これっぽっちも考えたことはない。プーチンも同じだ。ただ国際政治ゲームの一環として、辺境住民を利用しているだけなのである。処が、ロシア辺境住民(これは地理的意味だけでなく、階級的意味もある)は、常にツアーリは人民のことを思っている、悪いのは貴族だ、という信仰に囚われている。それが現れたのが、ゲバラとロシア帝国旗が同居するという、なんとも奇妙なあり得ない上の写真になったのである。
 もし事態がこのまま進み、ロシア国内にも同じ様な極左派が産まれるとどうなるでしょうか?プーチンは当たり前だが徹底的に弾圧するだろう。しかし極左派だって負けていられない。経済格差を盾にとって勢力を伸ばせば、最悪の場合はロシア内戦の再現。或いはオルガルヒら資産家が海外に逃亡(ビットコインを使えば簡単に資産移動が出来る)する。そうなれば、ロシアは深刻な資本不足に見舞われ、破滅するしかないでしょう。
(14/04/08)

 やっぱり始まった東ウクライナでのロシア系住民の暴動。ロシア系住民が住民投票を求めて州の庁舎を占拠する騒ぎ。クリミアの再来である。果たしてこれがプーチンの指示によるものか、それともロシア国内の過激民族主義者の暴走によるものか、はっきりしない。おそらくプーチンとは無関係の処で動いたのではないかと思われる。 しかし、単なる民衆の暴動であっても、それに国家が引きずられることはよくある。19世紀末〜20世紀始めの汎スラブ主義運動も似たようなものだったろう。
 今のところ欧米による経済制裁はジワジワと効いている。クリミアでは併合前は1000あった銀行窓口が、みんな無くなった。プーチンはロシアの銀行に対し、クリミアへの出店を促しているが、銀行は欧米の制裁を恐れてなかなか出店しない。ロシア軍兵士には本国から給料が送られるが、一般市民や年金生活者にとっては大変だ。本国から現金が送られるとしても、途中でネコババされたり、強盗に奪われるかも知れない(コザックなど、元は盗賊だから信用してはならない)。多分ロシアの事だから、年金受け取りにもの凄く手続きがかかり、下手すると1週間以上待たされるかも知れない。と言うわけで、ロシア系クリミア市民は後でしまった、と思うだろう。こういう場合、どこの世界でも一番先に現れるのは、闇金融業者である。ルーブルなんて元々なんの価値もないバーチャル紙幣だ。そこで登場するのが闇ドル。これによってルーブル価格は更に低下し、ロシアに進出した西側資本も逃げ出すだろう。
 東ウクライナ情勢によっては更に西側の制裁は強化されることになる。問題は、あの強突張りで自己本位で、時間を守ることしか頭にない臆病なドイツ人がどう反応するかだが、東ウクライナまでクリミアと同じになっては、しらん顔は出来ないだろう。経済制裁はジワジワと効いてくる。但しこの効果は対ロシアだけでなく、中国人やアメリカやアラブやインドなどの怪しい資産家に対しても効いてくるのである。それが楽しみだ。
(14/04/07)

 ロシアのG8追放が決まりましたが、ワタクシは元々このG8そのものに違和感を感じていた。異質なものが、単に何かの勢いで、くっついていただけなのだ。要するに木に竹接いだ偽装結婚が解消され、お互い元の鞘に収まっただけの話しである。
(14/03/26)

 世の中には危機屋とでも云うべき評論家やジャーナリストがいる。彼等は何か事が起こると、あれこれ危機を並べて世間の恐怖心を煽る、大川隆法的エセ占い師である。これが今幅を利かせているのが、EU諸国。だから対ロシア制裁に、なかなか足並みが揃わない。何故か?彼等ヨーロッパ人にはピンチをチャンスに変える知恵がないからである。
1、ドイツ・イタリア
 対ロシア天然ガス依存率は、ドイツで25%、イタリアで50%。両方ともガス禁輸に脅えている。しかし先進国には三ヶ月の戦略備蓄が義務付けられている(筈である)。これを取り崩せば、ドイツで1年、イタリアで半年は持ちこたえられる。その間に省エネ、資源調達の多様化を図ればよい。省エネでは日本企業に、資源調達多様化ではサウジやイラン・イラク・中央アジア各国にビジネスチャンスがある。これに脅える様では、独・伊は先進国の約束を守らなかったことである。結果は自己責任。
2、イギリス・ドイツ・ルクセンブルグ
 これらはロシアマネー依存度の高い金融国家。ロシアマネーなど、そもそもいかがわしい金で、それに頼っていたと云うことは、彼等自身いかがわしいことをやってきたと云うことだ。ズバリ、全てのロシアマネーを凍結する事によって、これらいかがわしい金融屋を、この世から追放出来る。一挙両得だ。
 ルクセンブルグなどという国は、国際投資屋にとって必要なだけで、他の人間には関係はない。世界地図から消し去っても良いのだ。
 なお、第二次大戦で、ドイツはベルギーの中立は犯したが、ルクセンブルグとスイスには侵攻しなかった。その理由は、これら二カ国が平和主義だったからでも何でもない、ナチの秘密資産を隠匿していたからである。
3、フランス
 この中に日本にとっても一石二鳥、ヒョットすると三鳥となるテーマがあります。
 フランスはロシアから揚陸強襲艦2隻を1600億円で受注し、ほぼ完成状態。処がロシアはこのキャンセルを言い出した。そこで慌てたのがフランス政府。上手く行けば追加発注を見込んでいたのが当てが外れた訳だ。
 さてどうする?筆者はキャンセルされた2隻を日本が買えば良い、と思う。そもそもこの2隻は、ロシアが極東配備に予定した者で、かつて日本がフランスに抗議していた代物。それが手に入れば、
1)ロシアの対日攻勢を牽制出来る。北方脅威が少なくなるから、南方に防衛力を傾注出来る。
2)フランスに恩を売ることが出来る。少なくとも、フランスや欧州左翼の親ロ姿勢は牽制出来る。それと欧州に於ける、中韓日本誹謗中傷外交を牽制するにも有効である。
3)この強襲艦の艦内管制系やウエポンシステムは、おそらくロシア仕様だろう。ロシア海軍の技術レベルを知るにはもってこいである。
 以上の三鳥に比べれば、1600億円など易い物だ、と思う人がいないことが問題なのである。日本がモタモタしていると、中国がオプションを出してくる可能性がある。やるべき事はさっさとやらねばならない。その点が出来ないのが、アベがオボッチャンである由縁である。
 但し、問題もある。果たしてフランス製軍艦が役に立つのか?という疑問である。近代以降、フランス海軍が実戦で勝利を収めた例はない。トラファルガー海戦の例を出すまでもなく、日露戦争対馬沖海戦では、ロシアバルチック艦隊主力艦の殆どはフランス製、一方日本連合艦隊のそれはイギリス製。結果は顕かである。要は1600億をドブに捨てるか、それともそれ以上の政治的勝利を収めるか、の見極めである。
(14/03/22)

 クリミアを手に入れたプーチンの次の狙いは?ウクライナは新クリミアに対し、食糧・ガス・電力・水道の供給を停止し、クリミアの孤立化を図る。ロシアは対抗上、これを供給しなければならない。当然ウクライナは妨害する。その結果、ロシアはクリミアへの自由通行権を主張し、その担保として、東ウクライナの割譲を要求するだろう。
 かつてヒトラーは、チェコを併合した後、東プロイセン(現カリーニングラード)への自由通行権確保のため、ダンツイヒ回廊(ポーランド回廊)の割譲を要求した。ポーランドがこれを拒否したため、第二次世界大戦が勃発した。
 現下の状勢はこれと非常によく似ています。ヒトラーが何故あそこまで強気に出られたかというと、当時世界最強国と思われていたイギリスが老大国化し、政府がすっかり弱気になってしまったからである。プーチンもアメリカは既に老大国であり、オバマは脅せば腰を引くだろうと思いこんでいるフシがある。しかしロシアとアメリカとでは、経済力は1:10くらいの差があり、愛国心はいざとなれば、ロシア以上だ。そういえば、39年当時の英独の経済力の差はそれぐらいあった。ヒトラーはそれに気が付かなかった。日本の東条やその他も同じだった。そして今のプーチンも、気が付いていないみたいだ。
 現在のウクライナ人口は4000万人ぐらいだが、在外ウクライナ系は1000万人ぐらいおり、その大部分はアメリカ人だ。幾らオバマでも、今年秋の中間選挙で、ウクライナ系住民を無視は出来ない。その点をプーチンは読み誤っている感がある。仮にロシア軍がウクライナに侵攻した場合、現在のウクライナ軍ではひとたまりもないが、戦争を長引かせば、ウクライナ系欧米人が義勇兵として参入する。これに欧米が武器支援を行えば、ロシアにとって第二のアフガン戦争であり、ボスニアヘルツエゴビナ紛争の二の舞である。
 そこまで行かなくても、欧米が経済制裁をやれば、ロシアには外貨が入ってこなくなる。ルーブルなど何の価値もないから、闇ドルが値上がりし、ルーブルは暴落。ロシア国内には猛インフレが発生する。これが命取りだ。革命以来久しく聞かなかったインフレが、ロシアを襲うのである。
 但しこれを実現するには、欧米の断固した結束と、明確なウクライナ支援メッセージが必要である。果たして可能か?一部の国が目先の欲に目がくらんで、団結を乱すおそれがある。その可能性が一番強いのは、ドイツではないだろうか?ここは一番、ドイツ人に泣いて貰わなければならない。
(14/03/19)

 住民投票でクリミアのロシア帰属が事実上決定。これに対し欧米は対ロシア経済制裁を発表。日本も追随・・・どっちみち追随しか出来ないのだが。さて原油価格は、と見ると昨日のNY-WTI価格終値はバーレル98.1ドル、先週末の99ドルより下がっている。つまり、市場はこんなことは、既に折り込み済みということだ。がっかりしたのはプーチンだろう。
 ポイントはシェールガスである。シェールガスは石炭と相性が良く、石油・天然ガスとは悪い。EU国家にはイギリス・北フランス・ドイツ・ポーランドなど産炭国が多い。これらの国にはシェールガスの可能性が高く、開発に取り組めば、十分ロシアの資源攻勢に対抗できる。第一ウクライナ自身が産炭国である。又、ウクライナ領ドン河、ドニエプル河などの河口沖合には、天然ガスの可能性もある。まず、自分の身の内を良く調べて、将来を考えるべきなのである。
 なお何度も云うが、クリミアはロシアにとっての「満州国」になるだろう。
(14/03/18)

 明日16日はクリミア住民投票。圧倒的多数でロシア併合が決まるでしょう。ロシア人もプーチンも、勝った勝ったと大喜び、万々歳。しかし、これでロシアは、クリミアという負債を背負い込むことになった、とは気づいていない。領土の拡大が国富の増大に繋がる、というのは19世紀帝国主義時代に作られた伝説。20世紀にはもはや通用しなくなった。それに気が付かなかったのが、日本・ドイツ・イタリア敗戦三カ国、それと旧ソ連。今、その轍を踏みつつあるのが、プーチンのロシア。
 戦前ナチスドイツは35年のラインラント進駐を始め、領土拡張を進めた。しかしポーランド侵攻の一ヶ月前、ヒトラーはベルヒテスガーデンの山荘に、党・政府・軍首脳を集め、現下状勢について講演し「これ以上(ポーランド侵攻を)待っては、ドイツ経済は持たない」、と結論付けた(シャイラー「第三帝国の興亡」)。つまりヒトラーが政権を獲って以来進めてきた領土拡大政策は、結局のところドイツ経済を破綻に追い込んだだけなのである。
 同じ事は、我が大日本帝国にも云える。帝国主義の夢に漬かれて、満州に手を出したが、それがとんでもない不良債権と化し、とうとう国を滅ぼした。
 どちらも欧米による経済制裁が決め手になっている*。気を付けた方がよい。グローバル時代の経済制裁のポイントは、相手が欲しい物を売らないのではなく、売りたいものを買わないことである。
*ミュンヘン会談でズデーデンランドを手に入れたドイツは、半年後にはチェコの残り部分も併合した。この結果が欧米による対ドイツ経済制裁で、上述のヒトラー発言に繋がる。
 昭和16年の三国同盟で、アメリカが対日経済制裁を発動。これが日米開戦のきっかけになった。
(14/03/16)


 昔イラン・イラク戦争の時、日本の評論家は皆、石油価格が上がってパニックになるだろう、と吹きまくった。しかし現実には、いつまで経っても原油価格は上がらず、ガソリン代など逆に値下がりする始末。何故か?と考えたら「ああそうか、これでは原油価格は下がっても、上がることはない」と合点がいった。それは両国とも石油を売り続けない限り、戦争を続けられないからである。
 今度のクリミア問題で、プーチンは欧米が経済制裁するならこちらも報復する、ブーメランは跳ね返ると応酬。しかし、ロシアが執れる報復手段は、1)ウクライナやEU向け石油天然ガスの供給遮断、2)ロシア国内の欧米資産没収ぐらいしかない。ロシアが強気に出られるのは、石油・天然ガス価格の高騰により、ロシア経済が回復したことと、欧州企業のロシア投資が進み、欧州経済のロシア依存度が高くなっているからである。つまりロシアは西側先進国の弱みを握っている、と考えている。このどちらかをやれば、西欧側は経済的にパニックを起こし、いずれツアーリ プーチン一世の下に跪かねばならない、と思っているのだろう。果たして思惑通りいくか?
1)ウクライナやEU向け石油天然ガスの供給遮断
 確かにロシアは、この面での生産大国の一つである。しかし全てを支配しているわけではない。石油天然ガスでは全世界の2〜2.5割程度。天然ガスでは既にアメリカのシェールガスに追い抜かれている。ロシア産天然ガス依存度は、日本では1割程度、アメリカはゼロ、その他の新興国は対ロ制裁に参加しないから無関係。逆にウクライナやEU加盟国でもロシア産天然ガスに殆ど100%依存する国が幾つかある。これらの国々はロシア産天然ガスストップに恐怖を憶え、これがEU内部に不協和音を作る。それがプーチンの付け目である。
 一方、石油天然ガスはロシアにとって最重要の外貨獲得手段である。と言うことは、ロシア産ガスの主な外貨獲得先は、EUということになる。EUへの供給をストップすれば、その分外貨収入は減り、ロシア国内に在庫として積み上がる。プーチンは理解していないかもしれないが、現在世界的に原油・天然ガスは余っている。だからロシアが生産をストップしても、世界的な在庫調整が行われるだけ。逆にこれをチャンスと、サウジ他の産油国が増産に乗り出すかも知れない。それでは却って資源価格が低下するから何にもならない。そこで生産調整をすれば、資源関係財閥の収入が減り、廻り廻って政権に入る利権も減る。
更にこれは周辺産業にも影響するから、失業者の増大をもたらす。
 これはイカンと生産を続けても、国内消費量には限度があるから、結局は自由市場へのスポット売りか、闇市場へ行くしかない。しかしここへ廻しても、いきなりEU(+日本)市場に匹敵する新市場が産まれるわけはない。これらの資源は廻り廻って、結局は欧州に逆戻りするだろう。又、これら自由市場では、ロシア産資源は足下を見られて買いたたかれるのは必定。つまり、ロシアは対 EU逆制裁をやりながら赤字を増やしていくことになる。つまりこの報復は、ロシアにとって、マイナスになってもプラスになるものは何にもない。
 これに似た話が、自動車排ガスフィルター用パラジウムの、日米向け輸出の規制強化。これなどは以前あった、中国の対日レアアース輸出規制と同じ発想である。これで中国は日本の先端技術に大打撃を与えられると踏んだが、結果は逆で、3年後には日本はリサイクルと代替品開発で失地回復に成功し、逆に中国は日本向けレアアース輸出が6割減、関連企業の4割が倒産という大失敗に終わった。
2)ロシア国内の欧米資産没収
 これも似たような話しである。ソ連崩壊以後西欧からの対ロシア投資が激増した。ドイツだけで6000社が進出していると云われる。このとき、日本も、と散々投資話が持ちかけられたが、日本側はドブに金を捨てるような者だ、と拒否。これが幸いした。
 もしロシアが西欧資産を没収すればどうなるか?西欧では、無論進出した企業(特に中小企業)は大打撃だろうが、大企業はそうでもない。だからこれで国家が潰れるとかそういう話しにはならない。この危機を救うには、EU協調で内需拡大をすればよい。では資産を没収したロシアでは、当たり前だが、従業員は解雇されるので、逆に失業者が増大する。又、ベテランの企業管理者がいなくなる。ロシア人だけで、果たして西欧型企業を運営出来るか?今日本では、トヨタがサンクトペテルスブルグに欧州向け自動車組立工場をもっているが、仮にこれが没収されたとき、ロシア人で、トヨタ同じ品質管理ができるか、甚だ疑問である。仮に同じ物をを作れたとしても、経済制裁を受けているから、製品は日欧米向けには輸出出来ない。一番の儲けしろを自ら潰しているのである。
 逆に欧米によるロシアの在外資産凍結が進めば、ロシアにとって大打撃である。在外資産の最大保有者は、ユコスやガスブロムなど、プーチンに近い資源産業や、金融を支配するオルガルヒ達。彼等の在外資産が凍結・没収されれば、プーチンや権力者に集まる利権が減少する(ざっくばらんに云えば、賄賂が減る)。これはイカンと、増税や食料品・燃料費の値上げに踏み切れば、却ってプーチン支持率は低下し、権力抗争が激化し、ロシアが再び空中分解しかねない。
  
 以上から云えることは、跳ね返ったブーメランは再び自分に跳ね返って来ると云うことだ。
(14/03/11)

 ウクライナ問題についてアメリカとEUが共同でロシアに対し経済・外交制裁を加えると警告。今のところ、打つ手はそれくらいだ。これぐらいでプーチンが大人しく引き下がるとは思えない。しかし、この賭、最終的にはプーチンの負けになるような気がする。
 仮にクリミア・東ウクライナの分離独立を実現させたとしよう。当然新ウクライナも経済制裁の対象になるから、単独ではやっていけない。ということで、ロシアは自ら経済制裁を受けつつ、新ウクライナ経済を支えなければならない。これは大きな負担である。領土が広がった、などと浮かれている場合ではない。実際日本も満州国で同じ眼にあっているのである。
 そこでプーチンの腹づもりは、この負担を上海協力機構にも肩代わりさせること。しかしこれは、かつてのワルシャワ条約機構の失敗の轍を踏むことになる。プーチンは未だ、旧社会主義国はロシアに忠実だと錯覚しているのかも知れない。
 ブレジネフ時代にソ連はやれベトナムだ、やれアンゴラだ、やれエチオピアだと海外権益を増やした。処が実際に発生したのは、これら新興社会主義国への軍事・経済援助負担。これはソ連だけではとてもじゃないが負担しきれない。そこでそれを東欧ワルシャワ条約機構国にも肩代わりさせた。そこで起こったのが、東欧諸国の経済的疲弊。ふざけるな!というわけで、これが結局は東欧ソ連崩壊に繋がったのである。
 カザフスタンやタジキスタンなど中央アジア諸国にとって、ウクライナなど何の関係もない。ロシアとの付き合いで、欧米から経済制裁を受けたのでは割が合わない。中国はよくわからないが、したたかに計算するだろう。その結果がロシアとの経済摩擦に発展するかも知れない。これによって上海協力機構が分裂すれば、当にかつてのソ連東欧崩壊の二の舞になる。過去を学ばないものは、いやでも過去から学ばされることになる。
(14/03/04)


 よく言われるのは「平和ボケ日本」だ。しかし世間には日本以上の平和ボケ国家は沢山ある。かつてのクウェートとか、今では韓国やシンガポールがその口。さて中でも最大の平和ボケ国家がEU。いやとんでもない、これらの国はみんな軍隊も持っているし、国連平和維持軍にも戦闘部隊を派遣している。軍隊も持たず、紛争地での戦闘もしない日本とは大違いだ、と大概のアホはそういうだろう。軍隊を持つとか、それに戦闘能力を持たせるかは、危機対応としては枝葉末節、中学生レベルに過ぎない。大事なことは如何に危機を招かないか、危機が生じても動じない体制を作っておくか、ということだ。
 EUの平和ボケは次の2点で現される。
1、ソ連・東欧崩壊を中世モンゴル帝国の崩壊と同じと錯覚し、永遠の平和がやってくると信じた。ロシア人はヨーロッパ人と同じで、今後も友好関係が保てると錯覚したのである。処が、ロシア人はやっぱりヨーロッパ人ではなかったのだ。
2、資本及び資源を過度にロシアに依存した。現在ロシアでの海外投資資本の内、最大を占めるのはEUである。又、EUは石油・天然ガスの大部分をロシアに依存している。特にドイツ・オランダでは25%、旧東欧圏諸国は殆ど100%を依存している。ここには、金さえ出せばロシアは無尽蔵にガスを供給してくれる、という錯覚がある。しかし、冬になってプーチンがガスパイプラインのコックを閉めれば、ヨーロッパじゃ経済の混乱だけでなく、凍死者の続出だ。
 つまり、今のEUは資本・資源の両面で、ロシアに首根っこを押さえられているようなものだ。だから、今回のウクライナ騒動で、EUがうろたえて、プーチンに鼻も引っかけられないような声明しか出せないのは、その所為である。
 何故こんなことになったか?というと、EUの政府や資本家達が、グローバリズムに過度に反応したためである。東西冷戦時代は、ソ連からの脅威から身を守るために、何をするにもアメリカの顔色を伺わなくてはならなかった。処がソ連・東欧崩壊で、何でも出来るようになった、と錯覚した。それを後押ししたのがグローバリズムと新自由主義経済である。つまり錯覚の連鎖である。
 かつて自分達が餌を与えて、大きくなって主人に仕えろと育てたロシア犬が、今や主人の云うことを聞かず、主人も食い殺しかねない勢いだ。ロシア犬は昔からヨーロッパの主人になついたことはない。あれはロシアという大地でしか生きられない種族なのだ。何故こんな簡単ことに、昔から気が付かなかったのでしょうか?食い物の違いでしょうか?
 しかし、今回の軍事介入はプーチンにとって、千慮の一失の感がある。何故ならセバストポリの保全やロシア系住民の安全確保なら、今慌ててやる必要はなく、総選挙後の新政権と交渉すれば良い話しである。仮にウクライナ人によるロシア人迫害が発生すれば、逆に国際世論を味方に付けられる。何故それが出来なかったのか?おそらく、国内保守勢力(軍部、伝統派、宗教勢力、保守系マスコミ)の圧力が強く、プーチンも抵抗しきれなかったのだろう。
 やっぱり満州事変の事後処理に、日本がおかした失敗と大変似ている。
(14/03/03)


 プーチンがいよいよウクライナ介入に本腰を入れだした。手始めはクリミアへの派兵。これに欧米がどう反応するかを試しているのだろう。次はクリミアの分離独立、その大統領にヤヌコヴィッチを押し込む。これを梃子に東ウクライナを分離する。しかしこれ、まるっきり第二の満州国だ。日本も満州事変で張学良を追い出した後、国民党と交渉に入れば問題はなかった。処が土肥原賢二らが動いて(彼等のバックにいたのが永田鉄山ら新軍閥と、岸信介ら新官僚)、廃帝溥儀を担ぎ出して、満州国をでっち上げたのが運の尽き。とうとう日本の滅亡となった。
 うっかりしたことをすれば、ロシアにとって、第二のアフガン戦争になりかねない。
(14/03/02)


 ソチ五輪とウクライナ政変、ヤヌコヴィッチのロシア亡命。非常によく出来たシナリオ。作者はプーチンか?プーチンとしては何が何でも五輪は無事に終わらさねばならない。そこで問題はウクライナ状勢。ヤヌコヴィッチが少しでも弱気でも見せれば、全ては終わりだ。そこで五輪が終わるまではヤヌを支える。終わってしまえば用事はない。だから彼を見限る。彼が逃げ込んで来たところで、何が何でもヤヌを支えるわけでもない。とりあえず亡命を認め、情勢を眺める。
 ウクライナが完全西欧化する事は、プーチン(と彼を支えるロシア伝統主義者・・・日本で云えば維新とか自民党保守派層)にとって面白い話しではない。そこで彼を交渉のカードにとっておこう、ということだろう。まだまだウクライナ情勢は流動しますが、ヤヌが復活することはあり得ないでしょう。プーチンもそこまで馬鹿ではない。
(14/02/28)


 突然のウクライナ政変。早速アメリカは歓迎声明だが、微妙なのはアベ。まずウクライナ政情が、このまますんなりと新政権に移行するなんて、誰も期待していない。
 ウクライナは今後改革派vs保守派に分裂し、情勢は更に混沌とするだろう。前者に組みするのは西欧及びアメリカ、後者はロシアとその同調者である。仮にウクライナが西側陣営になれば、この騒動はベラルーシに波及する。ベラルーシは今も強権独裁体制だが、北のバルト諸国、西のポーランドは、脱ソ連民主化を果たした。ここに南のウクライナが加われば、ベラルーシ政権は風前の灯火。プーチンも安穏ではない。プーチン政権が不安定化すれば、それは中国にも波及する。最終目標は、共産党追放を含む中国の民主化だ。
 ロシアにとって、ウクライナ問題はどういう意味を持つか?ウクライナにはセバストポリ軍港があり、ハリコフには世界最大の戦車製造工場がある。これを西側に渡すわけには行かない。これはイカンという訳で、最も懸念されるのは、ロシア(+中国)による軍事介入である。最悪、第三次世界大戦の引き金になりかねない。さて、この場合、アベは集団的自衛権を発動するのか?積極的平和主義はどういう意味をもつのか?アベは明解に説明出来なくてはならない。
(14/02/23)


ロシアのグルジア侵攻で、ロシアの外貨準備高が164億ドル減少し、外資が70億ドル逃げ出した。又、ロシアの株式市場にも影響を与え、ロシア主要株価指数RTS(日経平均の様な物か?そもそも日経平均こそ当てにならない物だが)が下落し、グルジア侵攻はロシア経済に動揺・打撃を与えた、という論評がマスコミ各紙に流れている。要するに今回のグルジア侵攻は、ロシア経済にとってマイナス効果しかなかった、だからグルジア侵攻はプーチンの判断ミスだった、と云わんばかりである。本当でしょうか?実際のデータに基づいて検討してみましょう。
1、外貨、外資流出
 紛争開始前のロシアの外貨準備高は約5975億ドルで、終結後164億ドル減って5811億ドルになった。たった2.7%の減少である。これもその前後からの外貨準備の推移が不詳なので、原因がグルジア介入とは云えない。むしろ、RTSの下落と同様、原油価格の下落が主因と考えた方が良い。又、逃げ出した70億ドルの外資は何処へ行くのでしょうか?逃げ出すと云うことは、投資資金をロシア市場で処分し、何処かへ移すということである。処分によって得られた利益は所得と見なされるから、課税対象になる。一時的にタックスヘブンに逃避させることも考えられるが、そう何時までもということにはならない。来年には税務署から督促状がやってくる。放っておくと、最悪ロシア検察庁の捜査を受けることになる。だから何処かへ再投資しなければならないが、、サブプライムローン問題で冷え込んでいる今、どこへ投資すればよいのでしょうか?ベトナムはインフレだし、中国は先行き不透明、インドもそれにつられどうなるか判らない。西側の投資家がどうなろうが、ロシアは知ったことではない。損をするのは西側投資家なのである。
2、経済指標は何を物語っているか?
 RTSの変動(ネットか新聞を見てください)を見てみよう。7月上旬に最高値1960に達したが、その後下落を続け、ロシアのグルジア介入時(8/8)に1760迄低下したが、その後1800付近まで回復し、停戦合意後の8/19以降は1700レベルに低下している。実はこれは、NYマーカンタイル原油市場における原油価格の変動にピッタリ一致しているのである。まず7月上旬140ドルという最高値に達した原油価格は、その後下落を続け、8月初旬には111.3ドル台という最安値をつけた。ところがロシアのグルジア介入以来、一気に114ドル台まで回復し、08/20時点では121ドルまで達した。この間、ドルは売られっぱなし。ところが、ロシア・グルジア停戦協定が成立すると、たちまち113ドル台まで下落。今や111ドル台だ。これはRTSが、グルジア紛争ではなく、原油価格に完全に連動しているという証拠である。つまり、グルジア紛争はロシア経済に打撃を与えたのではなく、一時的にせよロシア経済を活性化させたのである。では、紛争中の一時的な原油価格とRTSの上昇で、誰が一番儲けたのでしょうか?当たり前ですが、ロシアとガスプロム及びユコスに影響を持つプーチンとその一派でしょう。しかし、イラク・アフガン戦争で一番儲けたのが、ブッシュとライス、チェイニーとそれに連なる、ベクテルやハリバートン、それに民間軍事会社。ブッシュ一派も今回のグルジア紛争で、人にはいえないが、儲けているはず。
 なお、今回の紛争での原油価格上昇の原因の一つに数えられるのが、アゼルベイジャンからグルジアを通る、鉄道輸送ルートの破壊である。グルジアはこれをロシアの所為だというし、ロシアは無関係と主張。無関係は無いでしょう。確かにロシア軍は無関係かもしれないが、事前にグルジアに潜入したロシアスパイの所為かもしれない。プーチンは元KGBの将校だったことをお忘れなく。この点で、ブッシュなど大学生と中学生の差がある。
(08/08/24)
 

 グルジア問題はどうやらロシア有利の状態で収束に向かいそう。今頃になってアメリカは、この騒ぎはロシアの軍・治安機関によって巧妙に仕組まれた謀略で、その背後にプーチンがいると主張しだした(CIA)。そんなこと、私はとっくに指摘しています。しかし、グルジアにロシアのスパイが潜り込んで、サーカシビリがその唆しに乗ったとしても、アメリカだってグルジアにCIAのエージェントを送り込んでいるはずだ。グルジアどころか、ウクライナやカザフスタン始め、旧ソ連圏の中央アジア諸国・・・かつてアメリカが「不安定の弧」と呼んだ地域・・・のアメリカ大使や大使館員は、みんなCIAのエージェントかその息の懸かった者でないはずがない。グルジアなどその典型。騒ぎの発端は8月9日のグルジア軍による、ツハンバリへの軍事侵攻。南オセチアでの戦闘停止と、ロシア軍による平和維持部隊の駐留は、国連安保理での決定事項。それを破る大胆な行為だから、常識的に見て事前にアメリカに対し通告するか、承認を求めているはず。アメリカ大使がボンクラで、事の重大性を理解出来ず、ただ黙っていただけでも、サーカシビリはこれを”YES”と錯覚した可能性もある。或いは、CIAエージェントは重要事項はワシントンより先にラングレーに報告し、その指示で動く癖がある。ラングレーが現地報告を無視した可能性もある。いずれにせよCIAの脳力が低下している証拠である。(なお、この件については事前に、グルジアからアメリカに南オセチア侵攻プランが示され、アメリカ政府はそれを押しとどめたが、グルジア政府がそれを無視して侵攻を開始したことが明らかになった。こんな人の云うことを聞かない身勝手な国を、仲間に引き入れてNATOは大丈夫なのか?08/08/20)
 そこで思い出すのは88年の湾岸戦争である。これのきっかけになったイラクのクウェート侵攻は、みんな突然の奇襲攻撃と思い込んでいるようだが、実はその1週間前の毎日新聞に、「クウェート国境にイラク軍が集結している」という記事があったのである。ベタ記事だったから、誰も気がつかなかったのかもしれない。だから、筆者はイラクのクウェート侵攻は、アメリカの承認済みだとばかり思っていた。それが証拠に、当時の駐イラク大使だったエイプリルは、開戦後直ちに帰国、そのまま行方不明になってしまった。ブッシュ(パパ)政権としては、彼女に喋って欲しくない部分が多々あったのだろう。エイプリルがラングレーのエージェントだったことは間違いない。
 それはともかく、現実は、グルジアの跳ね返りに対し、ロシア側の反応が思っていた以上に強硬だった。アメリカも西欧側も、ロシアがここまで強硬だとは予想しなかったのだろう。果たして、西側にロシアを屈服させる手だてが有るだろうか?プーチンが狙っているのは、そこの処にくさびを打ち込み、西側世論を分断し、あわよくば、NATOを分裂させることである。
1、西側がロシアに圧力を加えることが出来るか?
 ロシアに圧力を加えよ、と叫んでいるのはアメリカ(ブッシュ政権)とグルジア、ウクライナ、ポーランド、ラトヴィア等バルト三国。後のヨーロッパ諸国はどちらかといえば消極的。ニュートン力学の教えでは、圧力を加えると同じだけの反力が発生するが、政治力学の場では、圧力以上の反力が発生して、自分のクビを絞めることがあるから、圧力のかけ方には用心が必要である。政治圧力には経済圧力と軍事圧力の2種類がある。
1)経済圧力
 経済圧力の最もポピュラーなやり方は、経済制裁と云う経済封鎖である。これは相手国の経済や技術が未成熟で、資源活用能力に乏しい、要するに貧乏国の場合には効果はある。しかし、今やロシアは十分な金持ちになってしまった。ポーランドやその他の貧乏国など屁でもない。欧米が対ロ経済制裁を行うと、ロシアは逆に経済封鎖で報復するだろう。経済封鎖は一つは(1)天然ガス供給の制限、もう一つは(2)欧米資本のロシアへの投資制限である。
(1)天然ガス供給の制限
 現在西欧の天然ガスの大部分はロシアに依存している。このリスクを避ける為に計画されているのが、カザフスタンーアゼルベイジャンーグルジアー黒海ルートのいわゆるCBTラインで、これが今回の南オセチア紛争の発端になっている。このルートが南オセチアを通るためである。しかし、CBTラインが完成したとしても、それだけで全ヨーロッパの需要を賄えるわけがない。これは西欧資源政策の失敗のツケである。ソ連崩壊で、西欧は旧ソ連圏の地下資源を殆ど自由に使えるようになった。そのため、その他の地域での、資源確保を怠った。その隙に世界中の地下資源は中国に抑えられることになったのである。
 仮にロシアがヨーロッパへの天然ガスパイプラインのバルブを閉めたり、供給価格の値上げを要求すればどうなるか?たちまちユーロは下落し、ヨーロッパは深刻なインフレに見舞われることになる。それが怖いから、NATOの中でも、経済大国である独仏は対ロ制裁に慎重になり、経済よりイデオロギー偏重のアメリカや旧東欧圏諸国との間に溝が出来る。
(2)欧米資本のロシアへの投資制限
 ロシアの経済発展で、今や西欧とロシアの経済は一体化してしまっている。西欧に繋がっているのがアメリカ資本だから、アメリカも無関係ではない。従って、これは欧米の問題である。今や、中国市場は飽和しつつあり、又サブプライムローン問題でアメリカ経済も不透明感を増している。インド市場は中国への依存度が高いため、中国の経済成長が鈍化すれば、その影響を受けざるを得ない。従って、西欧資本の主な投資先として、最も有望なのはロシア市場である。そのロシアから閉め出されたら、西欧資本は行き場をなくす。生産は停滞し、失業者は増大する。企業や経営者からは対ロ関係改善圧力が強まり、若者からは、何で東欧のわがままで俺達が失業しなけりゃならないんだ、となる。これにネオナチのような右翼民族主義者がつけ込めば、各国に反政府、反東欧感情が生まれ、西欧全体の世論が分裂し、各国で対応はバラバラ。事態はロシアに有利に働く。
2)軍事圧力
 アメリカの核を除くヨーロッパ正面の通常軍事力では、ロシア軍がNATO軍を圧倒していると見るべきである。冷戦時代から通常戦力ではアメリカを加えてやっと東側と均衡がとれていた。そして今、アメリカはイラクとアフガンに兵力を割かれ、これ以上の海外派兵は無理な状態。第一、イラクやアフガンの状態を見ても判るように、アルカイダのようなたかがテロ組織や、タリバンのようなたかが地域武装組織相手に、あれだけ手こずっている。ロシア軍はかつて世界最強を誇ったナポレオンの大陸軍やドイツ軍を、パルチザン戦法でうち破った実績がある。妙なことをすればイラクやベトナム以上の長期戦になりかねない。
 今のグルジアやウクライナの目的は、自分達の反ロ闘争に自分達だけではロシアに叶わないから、全西欧(つまりNATO)を巻き込むことである。しかし、それ以上にNATOが結束出来るかどうかが疑わしい。かつてのNATOの目的は共産主義対民主主義の闘争の中で、西欧民主主義陣営の軍事部門をになうことだった。そこには、西欧民主主義の防衛という、誰でも理解出来る共通のテーゼがあった。しかし、今回の騒ぎはただの領土争いに過ぎない。極端に云えば、当事者以外に共感を呼びにくい案件である。今回のグルジア問題について、同じNATO加盟国の中でも、受け止め方に相当温度差があると考えられる。例えばポーランドとスペインやアイスランドが、同じレベルで問題を意識しているとは思えないのである。おまけにNATO理事会は、ソ連崩壊後旧東欧圏諸国のNATO加盟を急ぎすぎた。その結果同じNATO軍でも旧東欧諸国と西欧諸国とでは、装備も異なるし命令系統もバラバラ、統一軍事組織の態をなしていないのである。旧東欧圏の中には、未だに旧ソ連軍の装備のままの軍隊もある。
 こういう状態の下で、もしロシアとの軍事的緊張が高まれば、NATOの中で旧東欧と西欧、西欧の中でも反ロと反戦派というように世論・国論が分裂するだろう。要するに、グルジアやウクライナのような、見たことも行ったこともない国の為に、何で俺達が血を流さなくてはならないんだ!、というわけである。

 ポーランドが対ロシア防衛の為にMD配備を承認した。ところで、ロシアが対西欧向けに核ミサイルを発射し、それをポーランドのMDシステムが捕捉破壊したとしよう。そこでどういう事態が起こるかを考えなくてはならない。まず核弾頭がウラン型である場合、AMM爆発の衝撃で核分裂が生じる可能性が高い。高度数万mで核爆発が起こるのである。この結果、発生した放射性核分裂物質が周囲にばらまかれる。プルトニウム型の場合、AMMにより核爆発を起こす可能性は少ないが、猛毒のプルトニウム破片がばらまかれることになる。間違えてはいけないのは、核爆発と通常火薬爆発とは全く性質が異なることである。後者は急速な酸化作用であり、爆発後に出来る物質は、殆ど水と幾つかの無機元素に過ぎない。つまり、幾ら破壊力が大きくても、それは一過性の衝撃に過ぎない。しかし、核爆発の場合、爆発時の衝撃だけでなく、後に放射能を出す核分裂物質が残る。それが、多発性発癌などの放射線被害を発生させる。これらの核分裂物質やプルトニウムが、どの辺りにばらまかれるかと云うと、最終的には世界中なのだが、地域的に濃淡がある。東欧地域では季節にもよるが、南東から北西方向に風が吹くときがある(チェルノブイリ事故)。そのときは、ポーランドだけでなく、北欧(北ドイツからデンマーク、スカンジナヴィア地域)が汚染地域になる。逆に冬には北極寒気団が強くなり、北東から南西方向に風が吹く。そのときはルーマニア、チェコ、セルビア等バルカン地域が汚染地域になる。


 という訳で、対ロ圧力はあまりかけすぎると、返って西欧側の分裂を招き、やぶ蛇になる可能性が高い。むしろ、それがプーチンの付け目。西側世論が分裂するまで、圧力を加え続けるかもしれない。
2、ロシアはシカトされるか?
 ブッシュはロシアの行為は21世紀では許される者ではなく、ロシアは責任あるパートナーではなく、今後の関係を見直さざるを得ないと主張(ライス)。要するに、ロシアは国際的イジメに合うぞという警告。さて、米ロ間のこれまでの関係とはなんでしょう?責任あるパートナーとは何を意味するのでしょう?これらをどう見直すのか、具体的な話が無いので、俄に判断出来ません。しかし、プーチンとしては後四ヶ月しか寿命のない政権の話を、まともに聞く気はないでしょう。アメリカの次期大統領候補は色合いは少しずつ違うものの、少なくともブッシュの様な頑迷な原理主義者では無さそうである。ロシアとのより現実的妥協を目指すだろう。
3、アメリカの失敗とプーチンの狙い
 対ロ政策についてアメリカはこれまで、二つの決定的失敗を犯した。
1)自由と民主主義の拡大
 イラク戦争開始後、ブッシュ(=ネオコン)はいきなり、「自由と民主主義の拡大」というテーゼを掲げ、 ロシアの下腹に当たる中央アジア諸国にアメリカの援助を始めた。更に、NATO の東方拡大政策を進め、ポーランドを始めとする、旧東欧諸国が一斉にNATO加盟を果たした。これがロシアの対米、対西欧警戒心をかき立てたのは間違いない。「自由と民主主義の拡大」といえば聞こえは良いが、実態は十字軍そのもの。中世に十字軍の侵略を受けた経験のあるロシアが、この状況過敏にならないわけがない。アメリカが自ら喧嘩を仕掛けているようなものだ。
2)原油価格高騰の放置
 イラク戦争前、20〜30ドルに過ぎなかった原油価格が、1年後には倍の40ドル台になった。その後原油価格はどんどん上昇し、今年の春には遂にバーレル100ドルを突破。その間ブッシュ政権は何もせず、原油価格高騰を放置したまま。イラク復興資金を原油売却益で補うという当初方針に照らせば、これは有り難い話だろうが、これで漁夫の利を得たのがロシア。自分は何もせずにドルがジャブジャブ入ってくるのだ。これでたちまちロシアは金持ち国の仲間入り。エリツイン時代にボロボロになった軍備の近代化・増強も可能になった。西欧なんかに頭を下げる必要はない。同じ石油成金でも、プーチンはチャベスやアフマデイネジャドほどマヌケ・ボンクラではない。
 ではプーチンの狙いは何処にあるか?元KGB将校だったプーチンは、旧ソ連の政策の間違いをつぶさに見てきた。旧ソ連の最大の政策的失敗とは、特にブレジネフ時代、ソ連圏の拡大という領土的野心と、アメリカとの軍拡競争にのめり込みすぎたことである。その結果、海外友好国に対する軍事的経済的支援が過大になり、結果として旧ソ連の経済的破綻とソ連圏崩壊という事態に達したのである。補助金漬けで国家予算が破産状態になっている東洋の某国とよく似ている。ソ連東欧崩壊は裏返して見れば、ロシアにとっては都合の良いリストラだったのである。これに原油高騰という僥倖が加わり、ロシアは空前の経済発展を実現した。今更、領土を拡大したところで、ロシアにとってはコストが掛かるだけである。だからそのような愚は二度と犯さない。彼の狙いは、グルジアやウクライナ・旧ソ連圏諸国を中立化すること、要するにNATOには加わるな、ということ。それとあわよくばNATOの分裂を誘って西方正面の安全を確保する事、そしてアメリカの野心を押しとどめることである。
(08/08/20)

 ブッシュがグルジアに軍事介入をほのめかす。本気かね?ブッシュの思惑は外交好みのマケインを援護射撃して、秋の大統領選挙で共和党有利に持ち込むこと。ついでに下がり続きの大統領支持率回復を狙うこと。そんなに都合良くいくでしょうか?ロシアの(現実の)実力者はメドベージェフではなくプーチン。プーチンが何を考えているか、が最大の問題。
 まず1)ブッシュ(ライス)は今のサーカシビリ政権支持を明確にし、2)ロシアを非難し、ロシアが国際的孤立を招くだろうとか、G8から追放するとか、と宣言する。これはソ連崩壊後のエリツン政権では十分な脅しになった。それから何年経ったと思います?エリツン時代のロシアはソ連崩壊後の経済破綻で、何が何でも外貨を稼ぎ、そのために外資を導入しなくてはならなかった。西側の頭を下げまくらなくてはならない。実にアメリカにとっては愉快な時代だったのである(しかし、その頃、筆者は年賀状に「ロシアは世界最大の資源国であり、無視してはならない」と警告してきた)。それもプーチン時代になって話しが変わってくる。エリツインープーチン時代に旧ソ連の最大の疫病神、国営企業の民営化と産軍複合体のリストラを実行した。その結果、ロシアの経済的負債は大幅に減少し、更に昨今の原油、金属資源価格高騰で、今やロシアの懐は膨れるばかり。では、このロシアの経済発展を指導したのは誰か、というと実にアメリカ(IMF)なのです。
1)国際的孤立とは何か?
 今ロシアを面と向かって非難しているのはアメリカと、EUの中でも旧東欧圏だけ。フランスは最初威勢が良かったが、その内腰砕け。ドイツは元々慎重派。イギリスは様子見状態。今国際情勢を語るに於いて無視出来ない中国、インド、ブラジル、中東産油国は何も云わない(日本は対米追従以外何もないのだから、何も云わない方がよい。うっかり何か云うと恥をかくだけ)。国際的に孤立して何が問題になるかというと、人、物、資本の流入が途絶え国内景気が悪くなり、物価が高くなり、社会が不安定化することである。ところで、今世界中の不安要因は原油や金属資源などの不足、価格高騰である。ところで、ロシアはこれらの生産国・輸出国である。又、ロシアはこれらの高騰を背景に西欧から旺盛に資本を導入している。今欧米がロシアを孤立化させれば、これらロシア産品が欧米に入ってこなくなる。ところが、中国、インド、イランなど買いたい国は幾らでもある。孤立化させたければ勝手にやりなさいよ、というわけで、ロシアにとっては屁でもない。
2)G8からの追放
 G8からお呼びが懸からなくなったとして、ロシアがなにか困ることがあるでしょうか?そもそもロシアがサミットに参加するようになったのは、エリツン時代。レーガンーエリツンの個人的関係からのこと。エリツンはG8に加われて有頂天だったが、プーチンは大して興味は無かった。それから10年。ライスというか、アメリカ自身サミットをそんなに重要視しているでしょうか?最早サミットは何も決められず、決めたことを誰も守らないただの猿芝居。その証拠が今回の洞爺湖サミット。日欧がほぼ合意していた二酸化炭素排出規制数値目標を、アメリカ自身が潰してしまったのである。そんなサミットに誰も興味を示さない。ましてプーチンのようなリアリストならなおさらだ。
 そもそもサミット構成国自体が、冷戦時代の空気を引きずっており最早時代遅れ。イタリアなんていい加減な国が何故サミットに加わるのか?GDPで云えば、カナダが東京都程度、オーストラリアに至っては大阪府程度しかない。つまり、アメリカとロシアを除けば、あとの5カ国のGDPを全部合わせて、日本に勝てるかどうかなのである。こんな事だから、力ををつけてきた新興国は誰もG8のいうことなど聞かない。あとを追いかけるアジア、アフリカ、中南米諸国も同じだ。私がプーチンなら、これら新興国を合わせた経済協力機構を作る。ついでに軍事協力も抱き合わせ。時代遅れのG8など置いてきぼりだ。
(08/08/15)

 ロシア、グルジア停戦に合意。新聞では「国際世論の圧力に屈して」などと報道しているが、本当でしょうか?そもそもあの国は、過去に一度も国際世論を考慮したことはない。考慮した振りをして一旦引き下がり、そのあと逆襲するのが常套手段。例えばかつての対フンランド戦争。最初(第一次カレリア戦争)はフンランド側の抵抗に屈して退却したが、翌年態勢を立て直して三方から侵攻し(第二次カレリア戦争)、カレリア地方を占領してしまった。最近のチェチェン紛争でもそうで、第一次紛争の時はロシア軍はチェチェン側の抵抗に屈して軍を引き上げたかに見えたが、翌年軍を増強し三方から侵攻してチェチェンを制圧してしまった。このやり方はかつてのノモンハン紛争とも共通しているのだ。これらの事例から引き出される結論は、@ロシア(=旧ソ連)は紛争解決を2段階に分ける。A第一段階は、相手と適当にやり合って、形勢不利と見ると兵力を引き上げる。一見ロシア側の敗北に見えるが、実はこれは単なる威力偵察に過ぎない。相手の実力及び、国際世論の動向を探っているのである。B国際情勢が自分に有利になったとき(有利という意味は、国際世論が事を忘れてしまったということでもある)、或いは相手が当初の勝利で有頂天になって油断しているとき、態勢を立て直して一気に侵攻する。
 これを今回のグルジア紛争に当てはめてみよう。
@紛争の引き金をどちらが引いたか?客観的に見ればグルジアでしょう。但し、グルジア政府中枢にロシアのスパイが入り込み、サーカシビリがその唆しに乗った可能性もある。イワン雷帝の子孫なんだからそれぐらいやりかねない。
A今回のロシア軍グルジア侵攻は単なる威力偵察に過ぎない。グルジア軍の実力と政府の統治能力、それと首都への進撃路の確認が目的だろう。
B一方、フランスの仲介でロシアは停戦に合意した。サーカシビリはこれこそ自分の外交的成功と宣伝し、グルジア国民も国際世論は自分達の味方と有頂天。ロシア何する物ぞ、と意気上がり民族主義は最高潮に達する。しかし、現実を見れば、ロシア軍の空爆や侵攻に、グルジア軍は殆ど抵抗らしい抵抗も出来なかったのだ。ところで国際世論とは何者か?だが、実は西欧の一部ジャーナリズムのことで、民衆がそれに悪乗りしているだけである。ブッシュやライスのような馬鹿もその片割れだが。しかし、それもあまりやりすぎると、ロシア国内に別の反西欧ナショナリズムが勃興する(プーチンとその手先が扇動する可能性もあるが、なにせイワン雷帝の子孫だから、何でもあり)。グルジア何する物ぞ、だ。それと、グルジア国内にも親西欧派もあれば親ロシア派もいるはずだ。サーカシビリがこれまでどんなことをやってきたか知らないが、おそらく日本のコイズミカイカクと同じで、都市中心、地方無視政策だろう。当然、グルジアには経済格差が生じている。その恩恵を受けるのは都市住民。彼らはサーカシビリ政権を支持するが、経済発展から取り残された地方には、反サーカシビリ雰囲気が有るはずである。
Cこの地方にある反サーカシビリ雰囲気(即ち親露雰囲気)を利用すれば、グルジアを分断出来る。従って、ロシアは再びグルジアに侵攻する。今度はロシア軍も十分態勢を整えているから、おそらく南オセチア、アブハジア、アゼルベイジャン方面からの三方面侵攻になるでしょう。時期は今年年末或いは来年早々でしょう。その時期は、丁度アメリカ大統領の交替時期であり、アメリカの影響・干渉を極力排除出来る。冬でヨーロッパも冷え切っている。ヨーロッパ向け天然ガスパイプラインの元栓を少し閉めれば、ヨーロッパなど何にも出来ない。今、EUがロシアに対し色々云えるのは、夏で天然ガス需要が減っているからで、冬になればどうひっくり返るか判らない。ヨーロッパ人特に西ヨーロッパ人というのは、自分に関係が無ければ、きれい事を云うが、もし危険が自分に迫れば、それを周辺諸国・民族に押しつけて、知らん顔を決め込むのである。例えば、キリスト教国のアルメニアがトルコに屈服したとき、コンスタンチノポリスがトルコに包囲されたとき、日本でキリシタンが火あぶりになったとき、フインランドがソ連に蹂躙されたとき、等々西欧の無責任は歴史上枚挙にいとまがない。
Dグルジアを軍事的に制圧したとして、それだけではことは済まない。国際世論とか、国連安保理とかややこしいハードルが有るからだ。ロシアの目的は、グルジアを完全支配する事ではなく、グルジアに親ロシア(でなくても非親西欧型の民族主義)政権を作れればそれで済む。それが出来ればロシア軍はさっさと出ていく。今、ロシアは次期グルジア政権を誰にするかを吟味中なのだろう。それが決まれば、あとは外的条件が定まった時点(上のC)で、グルジア再侵攻に踏み切るでしょう。全体に必要な期間はおそらく一週間以内。そのとき西欧は何をするか?これまでの前例を見たとき、当初は 声高にロシアを非難するものの、具体的には何もせず、グルジアを見捨て、ロシアに屈服するでしょう。かつてトルコに何も出来なかったと同じようにだ。
(08/08/13)

 北京オリンピックに合わせたように、あちこちでテロや爆弾騒ぎが起こる。東トルキスタンとかウイグル自治区の場合は、ほぼ背後にイスラム原理主義が動いていると見て間違いないでしょう。イスラム原理主義のこの地域への浸透は、昨日今日に始まったのではなく、アフガン戦争の頃から有ったと見るべきである。それが判っていない人間・・・例えば保守イデオローグの中西輝正など・・・が多い。しかも、現在ではアルカイダの影響も無視出来ない。
 この騒ぎの中で最大の物・・・になるはず・・・が、グルジアによる南オセチア侵攻である。確か昨日、グルジア政府は戦争状態に入ったと宣言し、南オセチア州都に侵攻した。やる気十分かと思っていたら、ロシア軍の反撃にあって、たちまち降参。軍を南オセチアから引き上げると同時に、欧米に仲裁を依頼。自分で大見得を切って喧嘩をふっかけておいて、形勢不利と見ると周りの親分に泣きを入れる態である。グルジア大統領のサーカシビリという人物、どんな人間でしょうか?今回のいきさつを見ると、山師ペテン師の類、ろくな人間ではないでしょう。こんな人間に入れあげると、後で大変高い物につく。それぐらいのことは、アメリカやヨーロッパの政治家は判っていると思うが、判っていない可能性も高い。なお、共和党のマケインは、いち早くグルジア支持を打ち出したが、これはカザフスタンからの石油パイプライン(CBT)維持を狙ってのこと。そんなことはロシアはお見通しで、CBTを維持しようと思えばチェチェンを確保しなくてならない。チェチェンが不安定である限り、CBTも安定とは云えない。それと、カザフスタンも上海協力機構の一員で、ロシアの圧力を無視するわけにはいかないだろう。
(08/08/10)


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