横井調査設計のMT探査

 当社は、MT探査のみのサービスは行いません。まず、MT探査を行う価値があるかどうかを見極めます。その前提となる、空中写真判読・地表踏査を含む、地質構造の検討からの総合サービスを行います。だから、当社が計画したMT探査で、狙った構造を外したことはありません。他社よりは高めになるかもしれませんが、永年の技術・・・特に地質調査・・・のノウハウが含まれているからです。O社のような2流の会社と一緒にしないで下さい。


 (MT探査の原理)

 MT探査とは、1950年代、フランス人カニアルによって考案された地下探査法で、ある周波数に於ける、電場と磁場の強度比は、地下の比抵抗に依存するという原理(カニアルの原理)に基づく。
 電波が地表面に直角に入射するとき、地球表面の曲率は十分大きいので、平面電磁波に対する、マクスウェルの法則が成立する。

                           (∂2Ex/∂X2)+4πσωiEx=0
                                                 }・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
                            Hx=(-i/ω)・(∂Ex/∂Z)
                                     Ex;電場強度    Hx;磁場強度   σ;等電率     ω≒2π/T (T;周期)

 これを解くと次式が得られる。
(地下深部)
             Ex=B・exp(-a√(σZ)
                                                 }・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
             Hx={B・exp(i4/π)√(2σT)}・exp(-a√(σZ))
                            B;積分定数

(地表面)

             Ex=B
                                                  }・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
             Hx=B・exp(i4/π)√(2σT)

これより

             σ=(1/2T)・(Ex/Hx)2             ρ=2T・(Ex/Hx)2 =(1.26×105/f)・(Ex/Hx)2    ・・・・・・・・・・(4)
                                                ρ;比抵抗(Ω-m)   f;周波数(Hz)

即ち、ある周波数fで、Ex 、Hxを同時測定する事により、その地点の平均比抵抗ρが求められる。Ex 、Hxは深度に従って減衰する。減衰定数はexp(-a√(σZ))で、地表面強度の1/eになる深さをスキンデプスと呼び、見かけの可探深度とする。
             Z=0.503√(ρ/f)                         ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(6)

で表される。 
よく用いられるMT探査法の特性の比較を下に示します。

摘要 使用周波数(Hz) スキンデプス(m) (ρ=500Ω-mのとき) 備考
最小 最大
MT探査 ELF-MT 7.8、14.0、20.4、39.2          数種 188 4000 自然電磁波(シューマン共振)を利用
VLF-MT 17400                   1種 85 潜水艦通信用VLF帯を利用
CSA-MT 4.2、8.5、17、36、68、136、272、545、1000、2100、4300、8700           12種 120 5500 人工電磁波


 CSA-MT探査は、測定地域の遠方に、外部アンテナを展開し、それより電波を発信し、地表に浸透してきた電波の電場強度と、磁場強度を受信器で受信し、記録するものである。
アンテナから発信された電波は当然、斜めに入射するから、電波の透過距離は、測定点の位置により変化する。受信器で受信される信号も、透過距離で変化するが、距離がある程度離れると、その差は実用上上無視されることが、コンピューターシミュレーションで判っている(但し、探査範囲が数10q2といった広大なものになると、探査範囲を幾つかのユニットに区切り、その都度、アンテナを張り替える事があります)。
 外部のアンテナから発信される電波の周波数を、変化させることにより、(4)式で各周波数帯(深度に対応する)での見かけ比抵抗が得られるから、これを用いモデル計算により地下構造を解析する。


(MT探査の計画の要点・・・・・・ここではCSA-MT探査を規準にして、計画から測定までの要点を説明します)
1、MT探査で最も重要な部分は、探査計画です。探査結果の成否は、殆どこれで決定されると云って良いでしょう。計画の要点は次の通りです。是非、これを守ってください。
 1)何を調べたいのか! 断層なのか! 地熱なのか! それとも堆積層の厚さを調べたいのか! 探査の目的を明確にすること。
 2)目的に応じて、探査結果をイメージすること。断層調査なら、断層のイメージ、地熱調査なら、地熱のイメージを作ること。要するに、イメージトレーニングが重要。
 3)イメージを作るために、事前検討に十分時間を使うこと。空中写真判読は当たり前。入念な現地踏査、その他の様々な情報の仕入れが必要。
 4)これが出来てから、始めて探査計画(測点配置計画)に入ること。

 駄目な例は、何も考えず、機械的に測点を配置しているケースです。例えば、水源調査の場合、測点を単純にグリッド方式で配置する例、トンネルの場合でも、トンネルセンター上に等間隔で配置する例などです。探査計画に思想も何もない。こういうのは、自分がアホだということを証明しているだけです。物理探査では、測点1点毎に、何故ここに測点を設定したか、その理由・根拠を説明出来なければ、意味はありません。
 
2、測点設定上の留意事項
 1)なるべく平坦な土地を選ぶこと。急斜面や、尖った尾根上は好ましくない。
 2)電力鉄塔、携帯無線塔の直近・直下は避けること。電力鉄塔周辺は、測れない事はないが、自然電位が高くなり、不自然に高い比抵抗を測定する可能性がある。無線塔の側では、受信信号が邪魔されて、上手く受信出来ないことがある。20〜30m離れれば大丈夫でしょう。
 3)電車の側では測定不能
  電車が走ると、周囲に誘導電流が走り、アンテナからの信号が受信出来なくなります。事実上測定不能です。この場合は、終電から始発までの間の深夜作業になります。
 4)離れ島や海岸近くでは、異常に低い比抵抗になります。比抵抗の値に拘らず、単に相対的なパターンから、地質構造を読みとる、という風に割り切れば構いません。離れ島の場合はアンテナが張れるかどうかが問題です。 
 5)測点間隔は近すぎず、離れすぎず、バランスをとること。最終的な比抵抗断面図の仕上がりをイメージすること。当社では概ね数10〜100数10m間隔を目安にしています。


測定例

   MT探査での地質構造検出例を紹介します。

NO 探査例
1 地表からは想定出来なかった地質構造を、MT探査で検出した例
2 空中写真判読で予測した地質構造をMT探査で検出した例
3 ご存じ「有馬温泉」
4 トンネルへの適用例

MT探査には、放射能(γ線スペクトル探査を併用することをお奨め致します。          



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