陥没について


陥没色々

 陥没とは、地下にある空洞が自律的に崩壊を繰り返し、鉛直方向に成長を続け、それが地表に達したものを指します。空洞の大きさ、成因(人工か天然か?)は陥没の発生には、一切関係がありません。よくマスコミ報道などでは、地すべりで、頂部滑落崖が出来た時、地表面に隙間が出来るので、それを陥没と表現することがありますが、これはあくまで亀裂(クラック)であって、陥没とは全く異なる現象です。同じく、地震で地表に発生する亀裂も陥没ではありません。空洞が出来て、それが陥没に至るまでの時間は、地山の状態によって大きく異なります。殆ど一瞬の内に出来ることもあれば、数日、数年、数10 年、それどころか数100万年以上掛かることもあります。有名な南米ギアナ台地の巨大竪穴もそうして出来た陥没孔です。これは今後次第に成長拡大し、数100万年~数1000万年後には台地全体に広がり、ギアナ台地は何れこの地表から消滅するはずです。中国江南の有名な石林は、石灰岩台地に発生した陥没孔が成長し、石灰岩のコア部分だけが、今残っている状態と考えられます。これも何れ地表から消えて無くなるでしょう。


 北海道三笠市の道路陥没。今朝になって、7~8年前に排水管を3本ほど埋設したという情報*。わざわざ道路を10mも掘って排水管を入れる馬鹿はいないので、道路築造時に埋設した仮設用配管と考えられる。段々筆者が思っていた通りになってきそうですねえ。要するに単純施工ミスか監理ミスあるいは施工の手抜きです。
*その後これは古い炭鉱の排水孔ではないかという情報。どっちでも似たようなものだ。
(21/11/15)

 北海道三笠市で道路陥没事故。道路は盛土で周囲は山林。陥没原因はずばり施工時の施工ミス。多分道路下に設置した仮設排水管の撤去を忘れ、そのままにしたからです。陥没地点の背後に浅い沢が見える。施工中に沢から湧水があったので、それを遮断するために業者が設置したのかもしれない。通常この手のパイプは本設の前に撤去するものです。
 なお今後の対策としては、単に埋め戻すのではく・・・埋め戻しただけでは将来又同じ陥没を繰り返す。そういう例は幾らでもある・・・一旦道路盛土撤去するか、あるいは深礎を入れて、盛土の下の様子を確認したほうが良い。根本的対策はその次だ。
(21/11/12)

 昨日東京吉祥寺で発生した陥没。写真をみれば、現場は住宅地だから下水管の破断かと思っていたら、その後の情報では、隣接してビルの建設工事が進んでおり、その地下工事の所為らしい。
 それはそうとこんな住宅地内で、陥没を起こしかねないような大規模な工事を認めるなど、やっぱり東京はすごいと思う。それだけ地価が高いのだろう。
 ネットには腹起しが足りない、てな投稿があったが、腹起しは土圧に対抗する構造物。陥没に関係ない。陥没事故原因の大部分は、土留め壁先端を回り込むパイピング。地下水対策に問題があったか、やらなかったかだ。
 対策としては湧水箇所にまず押さえ盛土をしてその後薬注をする。とりあえずはLWでよいだろう。ウレタンが使えれば申し分ないが。その後最終的にどうするかを考える。以上
(21/11/02)

 昨日突然生じたメキシコの陥没孔。この場所の遠くに火山があり、地下は火砕流堆積物が分布している可能性がある。地下水の流動が何かの原因で突然変わったかもしれない。スロー地震が起こって、それにによる低周波振動で間隙水圧が急上昇し、パイピングを生じたとか。この場合、地下の様子住民は全く気が付かない。但し遠方の広帯域地震計なら捉えられる。
(21/06/02)

 これは昨夜の関東地方集中豪雨で発生した、千葉県市川市の道路の破損。原因は、道路下の下水道にあることは疑いありませんが、直接の原因は下水道の裏込め材の流出です。多分、裏込め材として周辺から出る上総層群起源の砂を使ったのでしょう。
 これは粒径が揃って見た目は綺麗だが、少し動水勾配がつくと流動化しやすい厄介な砂。無論、地震時液状化にも弱い。どっちみち何も知らない役人が、業者に騙されて高値で購入したのだろう。末端役人の無知・不勉強がこういう事故を起こす。実は高槻にも同じような現象がある。無能役人は東西を問わない。
(21/03/14)

新年早々、イタリアはナポリの某病院駐車場で突如生じた陥没。首都ローマでは古代中世にかけて地下墓地などが掘られ穴だらけだから、こんな事故は珍しくないが、」ナポリでもおなじことがあったのでしょうか?
 陥没の規模から見て、地下には相当大きい空洞があると思われます。南イタリアはベスビオなどの火山が多く、地表付近には新しい火砕流堆積物が多い。これは固結して自立性は高いが、水が加わると簡単に崩壊する。一方掘削も容易だから地下に空洞を儲けるには最適。日本では鹿児島のシラスのようなものだ。
(21/01/10)

 

これはノルウエーオスロ郊外で生じた”土砂崩れ”。報道では土砂崩れというから地すべりかと思ったら、よく見ると地形は平坦だし、手前の家は何ともなっていない。これは単なる土砂崩れではなく、古い鉱山の廃坑跡の陥没ではないかと思われます。
 ノルウエーやスウェーデンなどスカンジナビア地方は鉱業先進国で、古代・中世から盛んに鉱山採掘が行なわれていた。ノーベルが最初に儲けたのも鉱山だ。それが中南米やアフリカ・中国に奪われ、鉱山会社は倒産、鉱山はほったらかし。その跡地に住宅開発が進む。そしてこういう事故が発生する。日本と同じです。
(20/12/31)
 


 本日横浜市金沢区の旧米軍燃料庫跡で生じた陥没。。陥没孔はほぼ円形で場面右下の穴の周囲に薄っぺらいコンクリート覆工が見られることから、この陥没孔は直径45mの円形立て坑で、その中に燃料タンクが設置されていたと思われます。多分燃料庫を廃止するとき、タンクはそのままにして上に土を被せただけのいい加減なことで誤魔化したのでしょう。大体旧軍用トンネル跡もこういういい加減工事で済ませた例が多い。
 報道では横浜市はこの上に森林公園を計画してるらしいが、燃料タンクはここ一か所ではありません。他にもあるはずだ。それを調べて確実な対策をしておかないと、あとで酷いことになる。なお元々海軍燃料基地だったらしい。海軍は昭和15年頃から燃料庫や弾薬庫の地下移設を進めている。但し基本は横穴(トンネル)方式でこんな大規模な立て坑はきいたことがないし。当時の日本にはそんな技術も発想もなかった。だからこの立て坑は戦後米軍によって作られた可能性が高い。
'20/08/26)

 昨日横浜市港北区で生じた道路陥没事故。場所は横浜市中心部にちかい目抜き通り。鉄道延伸工事中だというから、地形的には2016年福岡博多駅前で起こった陥没事故によく似ている。多分この延伸工事はシールド工法で行われたものとみられる。その切り刃が崩壊したのだろう。
 場所は横浜市後背を構成する台地と東京湾との境界部に発達する沖積面。横浜も福岡と同様、台地、丘陵と海との間隔が短いので、陸地の脇に砂が溜まりやすく粒径のそろった細粒の砂から構成される砂堆を形成する。この種砂の土質力学的性質は、N値は10~20以下、透水係数は10×10-3㎝/secオーダー以上が一般的だ。この種の砂は泥水加圧式シールドでは逸泥を起こしやすく、泥土圧式でも泥土が薄くなってバランスを崩しやすい。
 こういう砂に対しては原則として薬液注入か凍結工法などの補助工法を併用しなくてはならないのだが、それを怠ったのだろう。その理由として挙げられるのが、21世紀に入ってから国交省はじめ、各省庁の設計基準の改訂が挙げられる。これがいい加減でボルトの繋ぎ方とか枝葉のことはやたら細かいが、地盤の解釈とか工法選定等根幹部分は「…十分な検討を要する・・・」などと、現場に丸投げで責任を取らない。つまり裁判対策が目的になった。この無責任主義がこのような事故を作った。そういう意味で、これは立派な人災である。筆者としては元請け業者が何処かに興味がありますが。
 なお地表での直径は約5m深さは不詳とされるが、当たり前だが深さはトンネルの天端まで、また直径も地下では地表の数倍に達することがあるので、幅は10数mに達するだろう。
 対策としては私なら、陥没箇所とその周辺に、取りあえずウレタン注入で地山を安定化させ、その後凍結なりなんなりの補助工法を使って工程を確保する。どっちにせよ随分高くつく。
(20/06/30)


 本日福岡天神で発生した道路の陥没。陥没孔が二つ数珠つなぎになっているから、陥没は2回に渉って続けて起こったと考えられます。
 天神も博多と同じで緩い・・・流動化しやすい・・・砂地盤が発達するところです。道路下の何らかの管渠(多分水道か下水道)が破損し、砂の流動が生じたものと考えられます。こんな現象は海岸沿いの都市・・・例えば広島や岡山など・・・では何処でも起こり得ります。こういう地盤で何らかの地下工事(例えば推進とか掘削)をするときは対策が必要。薬液注入をさぼってはいけません。一番の問題は都市インフラを預かる土木役人に、自分の都市の地盤がどういうものかという知識や認識が乏しくなったことでしょう。
(20/04/01)


  最近埼玉県浦和市内で見つかった旧大戦中の防空壕跡と云われている空洞。浦和と云えば関東平野軟弱地盤のど真ん中。こんな白っぽく硬い地層が存在するわけがない。埼玉県ということから秩父のセメントは豊富。セメントか石灰で地盤を固めた後に壕を掘った可能性もある。しかし大戦末期にそんな工法があったでしょうか?民間ではなく軍の関係施設か、戦後米軍が何かの実験に使ったのかもしれない。
(19/08/15)

 先週NHK和歌山放送局から「南海トラフ地震と下水道の老朽化」というテーマでインタビューを受けました。この年でNHKデビューだ。その時にテーマとは少し外れるが古い下水道管内の土砂堆積という話をした。 
 先日城址公園の近くを歩いていると下水管の取り換え工事をやっていて、それを見るとやっぱり管内の土砂堆積が見られたので写真を撮っておいた。
 菅内に土砂が堆積するとどういうことになるかというと、管の通水断面積が低下するので雨水の流化能力が低下する。そうすると管内に水圧が発生する。これが限界に達するとマンホールの蓋を持ち上げて道路が川のようになったり、管の強度によっては破損して陥没原因を作る。今後の地球温暖化を考えれば、都市防災で無視出来ない要素になる。
 なお、この古い管、別に損傷がなければ再利用をしてはどうでしょうか?プラゴミ問題もあるし。但し積水や旭化成などの建材メーカーは嫌な顔をするでしょうねえ。
(19/07/06)

福岡市博多区でまたまた陥没騒ぎ。ただし、場所は一昨年の陥没地点とは大きく離れており、直接の関係はないでしょう。メデイアでは深さ2m程度となっているが、これはできるだけ事を荒立てず、小さく抑えてしまおうという木っ端役人の常套手段。その典型が容疑者脱走を20時間近く抑えていた大阪府警である。
 地表面で約2mの深さといわれるから、真の陥没深さは数mから10数mぐらいにはなる。原因はよく分からないが、付近で何らかの地下工事をやっていなければ、やはり集中豪雨の影響。7月以降福岡も随分雨が降っているから、これで下水管がダメージを受けた可能性が高い。一昨年博多駅前陥没事故のとおり、福岡市内の地盤は陥没しやすい流動性に富む砂からなっていることを、十分理解しておくこと。
(18/08/29)

 羽田空港B滑走路で陥没が発生しました。羽田では今年3月にも陥没が発生しています。これが同一箇所だとすると、少しややこしい話になる。同一箇所で何度も陥没を繰り返すのは、よくある現象である。この場合は地山は盛土のような緩い土砂で、地下に何らかの空洞があり、そこから土砂が流出するケースが考えられる。空洞は排水管のような人工的な管が多い。その何処かが破損し、そこから土砂が流出するケースである。
 例えば、降雨時に於ける滑走路の排水を迅速化するため、路床の下に排水管を敷いたとする。この排水管の末端は、空港内の下水道につながる。小型機ならあまり問題にならないが、ジャンボのような大型機になると、着陸時の加重や振動も馬鹿にならない。これが永年に渡って繰り返されると、排水管は破損したり、ジョイントが外れて土砂流失の原因をつくる。
 対策としては、まず現況を正確に把握することが先決である。
1、滑走路の築造経過を調べる
2、地下レーダーのようなインチキ手法は使わず、陥没箇所い深礎を入れて土質の状態を確認する。
 具体的な対策はそれからである。場合によっては、B滑走路を初めから作り直すぐらいの覚悟は必要だ。
(18/07/17)


 ニュージーランドで発生した大陥没。直径200m深さ60mという規模。日本でこういう規模の陥没は起こらないでしょうか?いや、九州の阿蘇や九重、北海道では大雪など、第四紀火山では起こる可能性は十分あります。
 それより、今後気候変化で豪雨が増えると、昭和30・40年代に開発された大規模団地でも、陥没事故が頻発する可能性があります。特に開放型と云って、底張りしない調整池は要注意。


 羽田空港滑走路脇に穴が開いたので、一部の便が欠航。要するに陥没が発生したということだ。空港当局は穴を埋めただけで、「安全確認」と云って運航再開。穴を埋めたということと、滑走路の安定性は全く別次元。まず陥没の地下における規模を調べ、原因を明らかにした上で、それに対する対策を行って初めて安全と云える。空港がやったことは、只上から土を入れて表面を合わせただけである。
 陥没というものは、地表では小さな穴にしか見えないが、地下で大きく広がってことがある。このままほおっておくと、将来空洞が広がり滑走路本体が陥没することがある。それに車輪が引っ掛かれば大惨事だ。
 このように、目先の小さな出来事だけに目を取られ、根本的な対策を怠って、被害を拡大するのは、日本人・・・特に役人又は役人化した企業経営者・・・の特徴である。神戸製鋼データ改竄、川重新幹線欠陥台車など、みなこの性質の延長線である。森友問題もその例外ではない。
(18/03/26)

 ローマで突然生じた大陥没。ローマの地下には古代の地下墓地や地下教会があるから、それが崩壊したかと思ったが、画面をよく見ると、陥没孔の周りに何やら柱列やコンクリートの壁のようなものが見える。この穴は古代ローマの作品ではなく、現代それも20世紀に入ってからのものと思われる。ひょっとすると戦後かもしれない。何のためにこんなものを作ったのかは分からない。大戦中の防空壕跡か?
 なおローマの地盤は軟らかい凝灰岩(火山灰が固まったもの)でできています。もし地下に空洞があって、大雨が降れば、地盤は簡単に陥没します。ローマを観光する時は、足元に気を付けましょう。
(18/02/16)

 昨年11月堺市小学校校庭で発生した陥没。昨日、堺市は原因不明と発表。原因は不明ではありません。きちんと調べようとしなかっただけです。全て何事も原因があって結果が存在する(因果律・・・これ誰でも高校の物理で習います)。つまり原因不明の結果などあり得ない。
 原因不明となる理由は大きく①堺市がキチンと調べなかった、②堺市に陥没に対する基礎知識がなかった、の二つがあげられます。但しこの二つは関連しており、②が満足されておればされておれば①もありません。又③本当は分かっているのに、諸般の事情で隠していた、というのもあります。
 さてワタクシは、ある人から頼まれて10日ほど前名古屋に行ってきました。依頼人の家の前の道路に名古屋市が上水道管敷設工事を行ったところ、家の前の道路で陥没が起こり、車がはまって大騒ぎ。その後名古屋市が原因調査を行ったところ、結論はやっぱり「原因不明」。事業者の依頼を受けた名古屋工業大学某教授によれば「陥没は浅いところで起こったからたいしたことはないでしょう」と、至ってのんびり。名古屋市も堺市も陥没に関しては同レベルということです。
 こういう呑気なあるいは無責任な説明がまかり通るのは、当事者(この場合一般に土木屋)が陥没という特異な現象に無知無関心であるためである。
 陥没とは、地面に突然穴が空くという現象である。ということは、空いた穴の分の土が何処かへ行ったということだ。煙のように消えてなくなるはずがない。調査のポイントはその経路を明らかにすることである。それをやっていないから「原因不明」で終わってしまうのである。
 そもそも土木工学なかでも地盤工学はTerzaghi以来、古典物理学一遍同で連続性のみを追求し、陥没のような破局的現象を研究の埒外に置いてきた。例えば地すべりでも、第三紀泥岩の地すべりのように土塊が緩慢に動くケースでは古典的土質力学の理論は適用できるが、急速に発生する斜面崩壊では全く通用出来ない。それでも何でもかんでも古典的手法を適用しようとするところに、現代の土質力学の行き詰まりがある。だから古典土木工学を学んできた人たちは、陥没という破局的現象を目を前にすると、たちまち立ちすくみ「原因不明」で逃げてしまうのである。
 もともとが無知無関心だから、調査をしてもピントがずれたり、やるべきことをやっていなかったりして、結局は何もわからずしまいに終わる。ところが自然は終わってくれない。ほおっておくと又やってくるのである。
(18/01/21)


 昨日堺市の中学校校庭で見つかったと報告された校庭の陥没。おそらく昭和40年代高度成長期に、大阪層群の丘陵中の谷を盛土したもので、地下排水管の老朽化と、その周辺に出来た空洞の成長が複合したものと思われます。実際のメカニズムはもう少し複雑。今後温暖化で豪雨が増えると、この種の事故が増えるでしょう。なお表面ではこの程度の穴ですが、地下に行くと、徳利のように広がり、この数倍の大きさになることがあります。
(17/11/14)

 

これは先日メキシコシテイで発生した陥没。原因は前日の大雨。そもそもメキシコシテイはこんなところに街を作ったのが間違っているのである。
(17/09/06) 

新年早々面白いニュースが飛び込んできました。これは愛知県下のJR東海道本線で起こった陥没事故の様子。

 河川改修によるものと言われますが、特に難しい現場とも思えない。最近特に目につくのが、この種の単純ミス。なお、構造物の老朽化も原因の一つに挙げられます。現場の橋台は少なくとも昭和30年代以前、ひょっとすると明治の作品かもしれない。ずばり基礎など何をやっているか分からない。それを十分調査せず、教科書通りの施工をしたのではあるまいか?
(17/01/12) 

福岡博多駅前の陥没事故、ずばりいえば今のやり方では手の打ちようはない。まずは修復後発生した沈下の問題です。福岡市はこの原因を埋め戻し土の強度不足と説明していますが、実態は地下水の挙動です。地下水を上手くコントロール出来なければ、沈下は今後も継続し、対策を誤れば二次崩壊・・・つまり新たな陥没・・・の危険性もある。
 まず陥没地点下の地下水圧の状況を考えてみましょう。下図は埋め戻し後の陥没地点の状況を想像したものです。


(昨日の続き)
 陥没箇所の埋め戻しは終わりましたが、未だ地下鉄工事は残っている。さてどうするのでしょうか?まさか埋め戻し土の中を、トンネルでやるわけにはいくまい。そんなことをすれば、陥没の二の舞だ。比較的安全と思われるのが、開削でやること。これにしても土止め壁の周囲を薬注でガチガチに固めて*おかないと、周囲の建物が傾くおそれがある。福岡市・大成のお手並み拝見というところか。なお、これで出来たら、初めから開削でやっておけばよかったじゃないか、と会検から嫌味の一つも言われかねない。
*国道2号JR東西線大阪駅前第二ビル前開削工事では、三次注入ぐらいまでやっている。この箇所は40年ほど前に大陥没を起こした。

突如シベリアに現れたクレーター(朝日新聞デイジタル)。これは陥没です。温暖化で地下の凍土が溶けガスが膨張して地盤を押し上げマウンドを作る。更にガス圧が高くなり噴出すると、地下に空洞が出来て陥没が生じる。陥没孔周囲の盛り上がりは、このときのマウンドの跡でしょう。


 凍土溶解でメタンガスの放出が増え、更に温暖化が加速することが懸念されますが、それより数万年間に渡って凍土に閉じ込められていたバクテリアやウイルスが目覚め吹き散らかせると、新たな風土病が発生することが懸念されます。特にロシア人は熱帯性バクテリアへの耐性を持っていないから、被害は悲劇的なものになるでしょう。
(15/07/23
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これは昨日愛知県春日井市の公園で起こった陥没。このあたりの地下はかつて亜炭採掘場だったらしい。坑道の崩壊が原因でしょう。
 さて問題は、この陥没が今回始めてだったでしょうか?ということです。よくあるのは、最初小さな陥没が生じたが、なんとも思わず土を入れて表面だけを繕った。役人と言うものは、高槻市道路課のように、常に問題を過小評価したがります。それを何度も繰り返す内に、大規模崩壊に繋がるのです。このケースもその例外とは考えられません。
(15/03/17)

やや旧聞に属しますが、福岡市博多区で先月28日に起こった道路陥没事故。その後続報が無いので敢えて取り上げることにしました。下図はその状況写真です。報道によれば陥没地点は地下鉄の延伸に伴い、既設水道管の迂回工事をやっていた箇所だ、ということだ。掘削が地下14mまで達したときに陥没が生じたといわれる。
 陥没が発生するには、工法も去ることながら、地盤条件が大きく影響します。まず福岡市博多区の地盤の特性を考えて見ましょう。筆者は昔福岡に長期出張し、その過程で福岡や博多の地盤調査も扱ったことがある。その経験で言うと、地表から数m位の間に極軟弱な粘性土層があり、その下にも緩い砂層が分布する。この砂層は三角州の前進に伴って形成されたもので、粒径が揃った所謂液状化を起こしやすい砂である。砂層の下は場所によって異なるが、花崗岩だったり、第三紀層だったり、洪積世の砂礫だったりする。これらの内、花崗岩や第三紀層の上面は起伏に富む。要するに凸凹だということだ。

 地下鉄の施工がどのように行われていたのか発表されていないので、はっきりしたことは云えないが、本地点では迂回工事のための縦抗工事をやっていたのではないかと想われる。と言うのは現場の奥では道路が狭くなっており、事故現場とは工法又は断面が異なっていると考えられるからである。先に述べたように、博多は軟弱地盤地帯である。このようなところで10数m以上の掘削をする場合は当然土止め壁を作らなくてならない。博多の地盤は緩い粒径の揃った砂である。壁体の外側と内側とで水位差が大きいと、緩く粒径が揃った砂では墳砂現象を起こす(ボイリング)。この結果壁体背面の土砂が内部に流入し、背面に陥没を生じる。この種の事故は高度成長下では頻発していたのだが、その後少なくなった。しかし最近又増えつつある。
 ボイリングの発生原因には地盤・地下水条件が大きく関係しているのは云うまでもないが、施工上の手順ミスも無視出来ない。
1)土止め壁の根入れが不十分だった。先に述べたように博多の地盤は起伏が激しい。それを僅かばかりのボーリングデータで代表させ、結果として不安定な構造物を設計してしまった。
2)土留め壁の施工ミス。この種地盤での土留め壁の築造は、現在では柱列工法が一般的である。アースオーガーで地盤を掘削し同時にセメント攪拌混合し、親クイを立て込む。これにも各種あって、最も一般的なものはSMW工法。これは杭をラップさせながら築造するから施工ミスが生じる可能性は少ない。ただしこれは施工機械が大型化するため、狭い市街地では施工が困難になることもある。そこで最近多くなってきているのが、PIPなど単クイを使う工法。この場合、クイが曲がってしまうとか施工ミスが生じやすい。20年ほど前、大阪のJR東西線施工で、福島工区で同じような陥没事故が起こった。ここもPIP工法を使っていた。
3)補助工法の施工ミス。博多のような場所で地下工事を行う場合、予め薬液注入を行って地盤を固結し、その後本体工事に移るのが通常の手順である。博多のような地盤でこれを怠ると、モルタルの流出や硬化の遅れが発生し、土留め壁に弱点を作る。そこから地下水とともに土砂が流出し、陥没を生じる。この原因としてはそもそも薬液注入を想定していなかったとか、あるいは注入不足や工事ミスで注入に不連続性を生じたと言うようなケースが考えられる・

 筆者の感じでは3)の可能性が高いように思える。問題は何故こうなったかだが、一般には業者の意識が問題にされるが、この工事はそもそも工程の遅延があった。筆者は事業者(福岡市)から施工業者に対し、工程短縮のための強いプレッシャーがあったのではないかと疑っている。
(14/11/02)


 最近テレビによく登場するのが、岐阜県御嵩町の陥没騒ぎ。あれは亜炭炭坑に残されたピラー(柱)の座掘です。20年以上前に起こった、栃木県大谷町の陥没と同じメカニズムです。大谷町の場合は、戦争中に古い坑道を地下工場か倉庫に転用するため、切り広げた事実がある。これが坑道周辺地山のゆるみを促進した疑いがあります。
 御嵩町の場合は、むしろ亜炭などという脆弱地山で今まで持っていた方が不思議。とっくの昔に潰れていて当たり前だ。
(10/10/25)

 昨日何処かのおそらくコンサルから、某発電所盛土での陥没事故について相談を受けました。何処の発電所か、なんてそんな野暮なことは聞きません。
 そもそも電力屋は土工はシロウトだから、切土・盛土はゼネコンのやりたい放題。東電柏崎原発の盛土の惨状を見ても判ります。尤も、電気を低価格で提供しようと思えば、盛土が幾らやられても、発電所本体がやられなけりゃ構わないんだ、という考えもありますが。しかし、日本の電気料金は安くはない。それを現政権はまだ高くしようと云うんだから、発電所の陥没はもっと増えるかもしれません。
(10/03/17)

 今度は、北海道のゴルフ場で突然の陥没。プレーヤーが一人死亡。このゴルフコースは盛土で、コース直下に排水管が通っていると見られる。コースに隣接して池があるから、それに接続しているのだろう。排水管が何らかの理由で破損し、そこに土砂が流入してゆるみ域が拡大し(空洞は成長する)、陥没に至ったものと見られる。排水管の破損、土砂流入の原因としては、地下水位の上昇と排水能力の低下が挙げられるが、更にこの背景には昨今の温暖化がある。北海道でも雨が降るようになっているのだ。なお、この現象は、ゴルフ場だけでなく、古い宅造地でも発生しうる。斜面地では陥没だけでなく、地すべりに発展しかねない。(09/04/02)


 04/07/10に近畿、東海地方を襲った、集中豪雨で大津市で道路の陥没が生じました。

07/10毎日新聞夕刊より。
写真のみで解説はなし。
 

私の見るところ、この陥没は永年懸かって、地下で準備が行われ、今回の豪雨がとどめをさしただけ。まず、野郷原とは、どの辺りか知らないが、写真遠景では、付近に高い山は見えず、なだらかな丘陵が続いているようです。この点から、発生地点は地質的には大阪層群。陥没地点は、これを造成した、古い宅地(昭和30年代か40年代か)の道路盛土。但し、地形が盛土か、段丘かまでは、この写真では判らない。陥没箇所は、道路センター付近で、且つセンターに平行に発生している。この点から、陥没点の下には下水管が入っており、それが破損したものと考えられる。特に手前の陥没点から、写真中央の陥没点まで、曲線のクラックが入っているが、これは、下水管を埋設するときの、路面の切削線と見られる。この点から、陥没原因は、下水管埋設工事での埋め戻し土の転圧不足が挙げられる。少なくとも昔は、これだけで片づけられていた。しかし、原因はそれほど甘いものではない。ここで、キーワードは周辺地山が大阪層群だということ。大阪層群の中には、雨水浸透によって粒子が流出しやすい砂層があります。周辺の地質がそういうタイプであれば、次のようなメカニズムで、盛土内に空洞が発生し、陥没にいたります。


(1)降雨の度に、地上の会所から砂混じりの雨水が流入する。水は下端から流出するが、砂は管内に残り、管底に堆積する。永年の間に砂の堆積が多くなり、下水管の通過断面積が減少する。
(2)こういう状態下で、大雨が来ると、管内は満水状態になり、下水管に内圧が作用する。管頂部にクラックが発生する。
 下水の設計は自然流下が原則で、上水のように内圧は考慮しない。その結果、少し大きい内圧が作用すると、下水管は簡単に破損する。
(3)クラックが拡大すると、そこから土粒子の落下が始まり、管頂部に初期空洞が発生する。これを契機として、空洞が成長・拡大し、最終的に地表に達する陥没に発達する。

先ず、埋め戻し土の転圧不足は、路面の不等沈下を発生させる元凶ですが、陥没の直接原因にはなりません。陥没が発生しやすくなったり、陥没の範囲が大きくなるだけです。陥没は土の変形ではなく、破壊であり、流出なのです。土が流出するためには、それが通過する空洞と、それを経由して、土砂が継続的に流出する条件が整っていることが必要です。つまり、陥没が発生したときは、その下に何らかの空洞があるはずです。造成地の地下(特に盛土区で、団地の主要道路の下)に埋設されている雨水幹線などは、継続的な土砂流出にとって、実に好都合な空洞です。特に昭和30~40年代に開発された、造成地は既に危険レベルに入っていると思うべきです。
 なお、この時期に作られた造成地の内、特定地域については、旧軍用トンネルに起因する陥没があります。これは、切土地区で発生する事が特徴です。終戦後半世紀以上を経過しており、危険性はますます増していると思うべきです。


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