陥没について


陥没色々

 陥没とは、地下にある空洞が自律的に崩壊を繰り返し、鉛直方向に成長を続け、それが地表に達したものを指します。空洞の大きさ、成因(人工か天然か?)は陥没の発生には、一切関係がありません。よくマスコミ報道などでは、地すべりで、頂部滑落崖が出来た時、地表面に隙間が出来るので、それを陥没と表現することがありますが、これはあくまで亀裂(クラック)であって、陥没とは全く異なる現象です。同じく、地震で地表に発生する亀裂も陥没ではありません。空洞が出来て、それが陥没に至るまでの時間は、地山の状態によって大きく異なります。殆ど一瞬の内に出来ることもあれば、数日、数年、数10 年、それどころか数100万年以上掛かることもあります。有名な南米ギアナ台地の巨大竪穴もそうして出来た陥没孔です。これは今後次第に成長拡大し、数100万年〜数1000万年後には台地全体に広がり、ギアナ台地は何れこの地表から消滅するはずです。中国江南の有名な石林は、石灰岩台地に発生した陥没孔が成長し、石灰岩のコア部分だけが、今残っている状態と考えられます。これも何れ地表から消えて無くなるでしょう。



 昨日堺市の中学校校庭で見つかったと報告された校庭の陥没。おそらく昭和40年代高度成長期に、大阪層群の丘陵中の谷を盛土したもので、地下排水管の老朽化と、その周辺に出来た空洞の成長が複合したものと思われます。実際のメカニズムはもう少し複雑。今後温暖化で豪雨が増えると、この種の事故が増えるでしょう。なお表面ではこの程度の穴ですが、地下に行くと、徳利のように広がり、この数倍の大きさになることがあります。
(17/11/14)

 

これは先日メキシコシテイで発生した陥没。原因は前日の大雨。そもそもメキシコシテイはこんなところに街を作ったのが間違っているのである。
(17/09/06) 

新年早々面白いニュースが飛び込んできました。これは愛知県下のJR東海道本線で起こった陥没事故の様子。

 河川改修によるものと言われますが、特に難しい現場とも思えない。最近特に目につくのが、この種の単純ミス。なお、構造物の老朽化も原因の一つに挙げられます。現場の橋台は少なくとも昭和30年代以前、ひょっとすると明治の作品かもしれない。ずばり基礎など何をやっているか分からない。それを十分調査せず、教科書通りの施工をしたのではあるまいか?
(17/01/12) 

福岡博多駅前の陥没事故、ずばりいえば今のやり方では手の打ちようはない。まずは修復後発生した沈下の問題です。福岡市はこの原因を埋め戻し土の強度不足と説明していますが、実態は地下水の挙動です。地下水を上手くコントロール出来なければ、沈下は今後も継続し、対策を誤れば二次崩壊・・・つまり新たな陥没・・・の危険性もある。
 まず陥没地点下の地下水圧の状況を考えてみましょう。下図は埋め戻し後の陥没地点の状況を想像したものです。


(昨日の続き)
 陥没箇所の埋め戻しは終わりましたが、未だ地下鉄工事は残っている。さてどうするのでしょうか?まさか埋め戻し土の中を、トンネルでやるわけにはいくまい。そんなことをすれば、陥没の二の舞だ。比較的安全と思われるのが、開削でやること。これにしても土止め壁の周囲を薬注でガチガチに固めて*おかないと、周囲の建物が傾くおそれがある。福岡市・大成のお手並み拝見というところか。なお、これで出来たら、初めから開削でやっておけばよかったじゃないか、と会検から嫌味の一つも言われかねない。
*国道2号JR東西線大阪駅前第二ビル前開削工事では、三次注入ぐらいまでやっている。この箇所は40年ほど前に大陥没を起こした。

突如シベリアに現れたクレーター(朝日新聞デイジタル)。これは陥没です。温暖化で地下の凍土が溶けガスが膨張して地盤を押し上げマウンドを作る。更にガス圧が高くなり噴出すると、地下に空洞が出来て陥没が生じる。陥没孔周囲の盛り上がりは、このときのマウンドの跡でしょう。


 凍土溶解でメタンガスの放出が増え、更に温暖化が加速することが懸念されますが、それより数万年間に渡って凍土に閉じ込められていたバクテリアやウイルスが目覚め吹き散らかせると、新たな風土病が発生することが懸念されます。特にロシア人は熱帯性バクテリアへの耐性を持っていないから、被害は悲劇的なものになるでしょう。
(15/07/23
)


これは昨日愛知県春日井市の公園で起こった陥没。このあたりの地下はかつて亜炭採掘場だったらしい。坑道の崩壊が原因でしょう。
 さて問題は、この陥没が今回始めてだったでしょうか?ということです。よくあるのは、最初小さな陥没が生じたが、なんとも思わず土を入れて表面だけを繕った。役人と言うものは、高槻市道路課のように、常に問題を過小評価したがります。それを何度も繰り返す内に、大規模崩壊に繋がるのです。このケースもその例外とは考えられません。
(15/03/17)

やや旧聞に属しますが、福岡市博多区で先月28日に起こった道路陥没事故。その後続報が無いので敢えて取り上げることにしました。下図はその状況写真です。報道によれば陥没地点は地下鉄の延伸に伴い、既設水道管の迂回工事をやっていた箇所だ、ということだ。掘削が地下14mまで達したときに陥没が生じたといわれる。
 陥没が発生するには、工法も去ることながら、地盤条件が大きく影響します。まず福岡市博多区の地盤の特性を考えて見ましょう。筆者は昔福岡に長期出張し、その過程で福岡や博多の地盤調査も扱ったことがある。その経験で言うと、地表から数m位の間に極軟弱な粘性土層があり、その下にも緩い砂層が分布する。この砂層は三角州の前進に伴って形成されたもので、粒径が揃った所謂液状化を起こしやすい砂である。砂層の下は場所によって異なるが、花崗岩だったり、第三紀層だったり、洪積世の砂礫だったりする。これらの内、花崗岩や第三紀層の上面は起伏に富む。要するに凸凹だということだ。

 地下鉄の施工がどのように行われていたのか発表されていないので、はっきりしたことは云えないが、本地点では迂回工事のための縦抗工事をやっていたのではないかと想われる。と言うのは現場の奥では道路が狭くなっており、事故現場とは工法又は断面が異なっていると考えられるからである。先に述べたように、博多は軟弱地盤地帯である。このようなところで10数m以上の掘削をする場合は当然土止め壁を作らなくてならない。博多の地盤は緩い粒径の揃った砂である。壁体の外側と内側とで水位差が大きいと、緩く粒径が揃った砂では墳砂現象を起こす(ボイリング)。この結果壁体背面の土砂が内部に流入し、背面に陥没を生じる。この種の事故は高度成長下では頻発していたのだが、その後少なくなった。しかし最近又増えつつある。
 ボイリングの発生原因には地盤・地下水条件が大きく関係しているのは云うまでもないが、施工上の手順ミスも無視出来ない。
1)土止め壁の根入れが不十分だった。先に述べたように博多の地盤は起伏が激しい。それを僅かばかりのボーリングデータで代表させ、結果として不安定な構造物を設計してしまった。
2)土留め壁の施工ミス。この種地盤での土留め壁の築造は、現在では柱列工法が一般的である。アースオーガーで地盤を掘削し同時にセメント攪拌混合し、親クイを立て込む。これにも各種あって、最も一般的なものはSMW工法。これは杭をラップさせながら築造するから施工ミスが生じる可能性は少ない。ただしこれは施工機械が大型化するため、狭い市街地では施工が困難になることもある。そこで最近多くなってきているのが、PIPなど単クイを使う工法。この場合、クイが曲がってしまうとか施工ミスが生じやすい。20年ほど前、大阪のJR東西線施工で、福島工区で同じような陥没事故が起こった。ここもPIP工法を使っていた。
3)補助工法の施工ミス。博多のような場所で地下工事を行う場合、予め薬液注入を行って地盤を固結し、その後本体工事に移るのが通常の手順である。博多のような地盤でこれを怠ると、モルタルの流出や硬化の遅れが発生し、土留め壁に弱点を作る。そこから地下水とともに土砂が流出し、陥没を生じる。この原因としてはそもそも薬液注入を想定していなかったとか、あるいは注入不足や工事ミスで注入に不連続性を生じたと言うようなケースが考えられる・

 筆者の感じでは3)の可能性が高いように思える。問題は何故こうなったかだが、一般には業者の意識が問題にされるが、この工事はそもそも工程の遅延があった。筆者は事業者(福岡市)から施工業者に対し、工程短縮のための強いプレッシャーがあったのではないかと疑っている。
(14/11/02)


昨日アメリカケンタッキー州の高級車コルヴェット展示館で陥没事故が起こりました(口絵参照)。原因は未だ定かではありませんが、ケンタッキーという土地柄を考えると、古い炭坑の坑道が陥没した可能性が考えられます。日本では昔の筑豊や常磐炭田のようなもの。個人の自営炭坑主が好き勝手に掘るものだから、何10年か経つとこういうことになる。
(14/02/13)



 ドイツ中部シュマルカルデンでの陥没事故。かつての同盟国ですが、似たようなことをやっています。
 地下に何か穴があるのです。なんの穴かこれだけでは判りません。判りませんが想像をたくましくしてみましょう。
 道路の真下にあるから、一番考えやすいのは下水道です。元々、中部ヨーロッパというのは雨が少ない。だから下水道でも、日本のように大きな断面は必要ではない。ところが、ここ10年ぐらいか、中部ヨーロッパでも雨が降って洪水がよく起こる。又、温暖化でアルプスの融雪量が多く、これが河川の増水をもたらす。その結果、下水道への負荷が増大し、下水管へ内圧が加わって菅が破損したというストーリーが考えられます。
(10/11/02)

 


 最近テレビによく登場するのが、岐阜県御嵩町の陥没騒ぎ。あれは亜炭炭坑に残されたピラー(柱)の座掘です。20年以上前に起こった、栃木県大谷町の陥没と同じメカニズムです。大谷町の場合は、戦争中に古い坑道を地下工場か倉庫に転用するため、切り広げた事実がある。これが坑道周辺地山のゆるみを促進した疑いがあります。
 御嵩町の場合は、むしろ亜炭などという脆弱地山で今まで持っていた方が不思議。とっくの昔に潰れていて当たり前だ。
(10/10/25)

 昨日何処かのおそらくコンサルから、某発電所盛土での陥没事故について相談を受けました。何処の発電所か、なんてそんな野暮なことは聞きません。
 そもそも電力屋は土工はシロウトだから、切土・盛土はゼネコンのやりたい放題。東電柏崎原発の盛土の惨状を見ても判ります。尤も、電気を低価格で提供しようと思えば、盛土が幾らやられても、発電所本体がやられなけりゃ構わないんだ、という考えもありますが。しかし、日本の電気料金は安くはない。それを現政権はまだ高くしようと云うんだから、発電所の陥没はもっと増えるかもしれません。
(10/03/17)

 今度は、北海道のゴルフ場で突然の陥没。プレーヤーが一人死亡。このゴルフコースは盛土で、コース直下に排水管が通っていると見られる。コースに隣接して池があるから、それに接続しているのだろう。排水管が何らかの理由で破損し、そこに土砂が流入してゆるみ域が拡大し(空洞は成長する)、陥没に至ったものと見られる。排水管の破損、土砂流入の原因としては、地下水位の上昇と排水能力の低下が挙げられるが、更にこの背景には昨今の温暖化がある。北海道でも雨が降るようになっているのだ。なお、この現象は、ゴルフ場だけでなく、古い宅造地でも発生しうる。斜面地では陥没だけでなく、地すべりに発展しかねない。(09/04/02)


 04/07/10に近畿、東海地方を襲った、集中豪雨で大津市で道路の陥没が生じました。

07/10毎日新聞夕刊より。
写真のみで解説はなし。
 

私の見るところ、この陥没は永年懸かって、地下で準備が行われ、今回の豪雨がとどめをさしただけ。まず、野郷原とは、どの辺りか知らないが、写真遠景では、付近に高い山は見えず、なだらかな丘陵が続いているようです。この点から、発生地点は地質的には大阪層群。陥没地点は、これを造成した、古い宅地(昭和30年代か40年代か)の道路盛土。但し、地形が盛土か、段丘かまでは、この写真では判らない。陥没箇所は、道路センター付近で、且つセンターに平行に発生している。この点から、陥没点の下には下水管が入っており、それが破損したものと考えられる。特に手前の陥没点から、写真中央の陥没点まで、曲線のクラックが入っているが、これは、下水管を埋設するときの、路面の切削線と見られる。この点から、陥没原因は、下水管埋設工事での埋め戻し土の転圧不足が挙げられる。少なくとも昔は、これだけで片づけられていた。しかし、原因はそれほど甘いものではない。ここで、キーワードは周辺地山が大阪層群だということ。大阪層群の中には、雨水浸透によって粒子が流出しやすい砂層があります。周辺の地質がそういうタイプであれば、次のようなメカニズムで、盛土内に空洞が発生し、陥没にいたります。


(1)降雨の度に、地上の会所から砂混じりの雨水が流入する。水は下端から流出するが、砂は管内に残り、管底に堆積する。永年の間に砂の堆積が多くなり、下水管の通過断面積が減少する。
(2)こういう状態下で、大雨が来ると、管内は満水状態になり、下水管に内圧が作用する。管頂部にクラックが発生する。
 下水の設計は自然流下が原則で、上水のように内圧は考慮しない。その結果、少し大きい内圧が作用すると、下水管は簡単に破損する。
(3)クラックが拡大すると、そこから土粒子の落下が始まり、管頂部に初期空洞が発生する。これを契機として、空洞が成長・拡大し、最終的に地表に達する陥没に発達する。

先ず、埋め戻し土の転圧不足は、路面の不等沈下を発生させる元凶ですが、陥没の直接原因にはなりません。陥没が発生しやすくなったり、陥没の範囲が大きくなるだけです。陥没は土の変形ではなく、破壊であり、流出なのです。土が流出するためには、それが通過する空洞と、それを経由して、土砂が継続的に流出する条件が整っていることが必要です。つまり、陥没が発生したときは、その下に何らかの空洞があるはずです。造成地の地下(特に盛土区で、団地の主要道路の下)に埋設されている雨水幹線などは、継続的な土砂流出にとって、実に好都合な空洞です。特に昭和30〜40年代に開発された、造成地は既に危険レベルに入っていると思うべきです。
 なお、この時期に作られた造成地の内、特定地域については、旧軍用トンネルに起因する陥没があります。これは、切土地区で発生する事が特徴です。終戦後半世紀以上を経過しており、危険性はますます増していると思うべきです。


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